広島県の湯崎英彦知事は、広島市内で唯一の水族館だったマリホ水族館や同じくし内唯一の観覧車を含むショッピングモール「マリーナホップ」(広島市西区観音新町地区)との県有地契約を2024年度限りで打ち切り、後継の施設を東京の自動車用品会社「トムス」に造らせようとしています。
◆波乱続いたモビリティーパーク案
そのトムスの案ですが、モビリティーパークといって、車やバイクなどの乗り物をテーマとした施設にする予定でした。ところが、この案については、当初から波乱続きです。マツダやトヨペットなど地元の大手企業がメインから引いています。なぜ、大手が引くのか?それは、「見通しが不透明」だからではないのか?
また、中国新聞社がこの問題について情報公開請求したところ、「企業秘密に当たる」などという理由で黒塗り文書が公開されるなど、不透明な湯崎県政の対応が続いてきました。
◆温浴施設に外国人富裕層ターゲットのホテル?
そして、このほど、2025年2月定例県議会において、県当局は、修正案を議会側に提示してきました。それは、モビリティーパークに加えて温浴施設、そして主には外国人富裕層をターゲットとしたホテルを加えるというものです。
しかし、冷静に考えると、西区観音新町地区から例えば原爆ドームを含む平和記念公園からは少々遠いのです。純粋に商売だけを考えれば、世界遺産である宮島や、中区の平和記念公園、あるいは広島駅周辺なら外国人富裕層向けのホテルは成り立つでしょう。それ以外の成功例で言えば、いま「時の人」となっているウクライナのゼレンスキー大統領たちがG7広島サミットで利用した南区元宇品のグランドプリンスホテル広島があります。しかし、グランドプリンスホテル広島の場合は、原生林に囲まれ、海に面した窓からの景色も極めて良好です。工業地帯だったマリーナホップ跡地とはくらべものにもなりません。
◆コンセプトがブレブレ
そもそも、コンセプトが異なる色々なものをぶち込んでも、上手くいかない。車やバイクに興味が薄い層も取り込む、というが、逆に、ピンボケしかねないのではないでしょうか? 近年では商売でも選挙でも、良いか悪いかは別にして「ハッキリした」会社や政党・政治家が(購入先・投票先としても就職先としても)ウケる傾向が顕著にみられます。
◆これなら、マリーナホップ存続で良かった
はっきり申し上げます。こんなことなら、マリホ水族館や観覧車を中心にマリーナホップを存続させた方が、広島県民のためには「より少なく悪い」選択肢だったのではないでしょうか? 確かに、広島市内にショッピングモールが他にも増えた中で、苦戦はしていた。しかし、マリホ水族館は、広島市内では唯一の水族館でした。観覧車も含めて、子どもと一緒に安心して遊びに行ける場所でした。筆者には子どもはいませんけれども、広島市内には意外と子ども・若者が安心して遊べる場所は少ないのです。そういうことと、子ども医療費の助成が全国と比べても遅れている。このあたり「も」人口流出の背景の一つになっているのではないでしょうか?

◆インバウンド重視の暴走は広島の水・食べ物を台無しに
今、広島県内も広島市や廿日市市を中心にインバウンドブームに沸いてはいます。廿日市市の本土側では大規模なリゾート開発工事が進んでいます。しかし、その現場から大量の土砂が流出。今年は恒例のカキ祭りが中止になるほどカキが不作でした。因果関係は不明ですが、きちんと調べる必要があるのではないか?一方、廿日市市の宮島側でも包ヶ浦自然公園に富裕層向けのホテル誘致が計画されています。そして、住民から懸念の声が亜上がっています。
※宮島包ヶ浦自然公園のホテル誘致計画を白紙撤回してください
https://voice.charity/events/2476
こうした声を無視して市は開発を推進し、県はそれを許可して良いのでしょうか?カキの養殖に悪影響が出れば、広島県が進めてきた広島食材や料理のPRも根底から崩れます。立ち止まることが必要です。
◆「東京・関東の煌びやかさ」ばかり重んじる湯崎県政の限界
湯崎英彦・広島県知事は2025年、4期16年目の最後の年を迎えています。湯崎さんは就任当初は、不十分だった情報公開などに積極的だったし、筆者も期待して湯崎さんに一票を入れました。
しかし、3選を果たされたあたりから、どうも、東京の企業とか、中央官僚とか、平川教育長ら関東の煌びやかな経歴な方ばかりを優遇する県政、地元で地道に頑張って来られている若手・中堅や企業を疎んじる県政へと暴走を加速しているように思えます。
もちろん、広島県はいわゆる封建的な風土も健在です。それも、いわゆる国政野党に顕著です(詳しくは「茶番選挙 仁義なき候補者選考」楾大樹著などご参照ください)。
こうした中で、地元で地道に頑張って来られている若手・中堅や企業は挟み撃ちにあって「面白くない」状態なのではないでしょうか?
湯崎県政をリセットし、県民に広島を取り戻し、知事から広島の水・食べ物を守る庶民革命。11月に県知事選挙が予定されている今年こそ、正念場です。
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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