低賃金で人手不足、過重労働の悪循環の介護現場 筆者も肩に激痛! さとうしゅういち

3月29日朝、筆者は右肩の激痛を含む広範囲の痛みで体が動かなくなりました。急遽、勤務先に電話をし、夜勤明けの上司に報告して、休ませてほしいと伝えました。たとえ、タクシーで職場までたどり着いたとしても、とてもではないが仕事になる状況ではないからです。

少し痛みが治まった段階で土曜日の午前中の診療時間ギリギリに近所の病院へたどり着き、レントゲンを撮影してもらったところ、肩の骨が真っ白になっていました。いわゆる「関節炎」ですが、激しく腫れていたのです。

4月1日には筆者も仕事に再び出ましたが、肩が痛い状態は予断を許しません。

広島瀬戸内新聞ニュース3月29日号で苦痛に顔面を歪める筆者

◆動けなくても「見守りだけでも」という状態

弊社でも、世間の介護事業所のご多分に漏れず、このところ退職者が相次ぎ、人手が不足している状況です。日中は本来3人ですべき仕事を2人でなんとか繰り回している状況です。こうしたことも筆者の疲労蓄積の背景にありました。

ただ、こうした状況で誰かが休めば大変なことになります。筆者が休んだために、11連勤になってしまった人がおり、恐縮です。筆者も上司からは「先日は仕方がなかったが、今後は、たとえ仕事ができなくても、見守りだけでも来ることも検討してほしい」と言われました。

◆執行体制確保に責任を果たさない政府

とはいえ、そもそも、こうならないように余裕を持った業務執行体制を組む責任は経営者にあります。さらに言えば、介護保険制度は、日本国政府が法律で定め、それに基づいて市町=地方政府が保険者として執行する制度です。きちんとした執行体制を経営者が組めるように政府が制度を設計し、予算措置すべきです。市町も運営主体の保険者として努力すべきです。

都道府県は、市町が足りない部分で、国がなかなか腰を上げない部分については、市町を支援しつつ国を突き上げていくべきです。だが、現実には、そうなっていない。だから、こういうことになるのです。

◆世間の物価上昇・賃上げに追いつかず

岸田文雄前総理は、2021年の自民党総裁選および衆院選において、「賃上げ」を一丁目一番地とし、特に介護や保育などのケア労働者の給料アップに力を入れると公約。2022年は、期待ほどではないが一定程度それを守ってくれはしました。しかし、物価上昇も、また他業種の賃上げもはっきりしてきた2023年は、さらなる追加の手立てがありませんでした。

2024年は3年に一度の介護報酬改定の年であり、一定の対応がされました。しかし、平均2%、月6000円のアップではあまりにもショボすぎた。しかも、これはあくまで平均であり、中央値で見ればそんなにもらっている人はいない。さらにこの2024年度の介護保険法改定では訪問介護については、介護報酬本体の一律カットが強行されました。これにより、賃上げなど難しい状況になった事業所も多くあります。若い人がそんな希望のないところに来るはずもなく、訪問介護の従事者の高齢化はさらに進みました。

この年、全産業平均では5.33%という賃上げが行われるも、介護はそれに取り残されてしまいました。岸田政権一年目でせっかく縮小しかかった全産業平均との差が拡大。現場での退職が急増しています。

しかも、近年では、「金を払っているのだから」と、何でもかんでも事業所側に押し付けてこられるご利用者のご家族も少なくはありません。いわゆるペイハラ、カスハラです。職員たちも「そんなにおっしゃるならご自分で見られたらいかがですか?」と言い返したくなるのを押さえています。

また、最低賃金が引き上げられる中で、基本給が最低賃金に満たず、国からの処遇改善をあわせようやく最低賃金超えという事業所も多いのです。そういう事業所から最低賃金引き上げに応じて賃上げした事業所にどんどん職員が移動していく状況もあります。

介護職員が辞める時は「家庭の事情」などを理由にするのが定番です。だが、周囲もそんな理由を本気にする人はいません。「賃金が低すぎるから他所へ」というのが本当のところだし、そのことで、退職した人を責められません。

この状況をこれ以上、放置すれば、まさに介護「戦線」の完全崩壊となります。そうなれば、現役世代にも悪影響が及びます。いわゆるヤングケアラー、若者ケアラー、ダブルケアラー(子育てと介護)そしてビジネスケアラー(仕事をしながら介護)の問題が深刻化します。

◆ショボすぎる石破政権

石破政権は今通常国会で正規の介護職員平均で5.4万円の給付をする補正予算を成立させています。他方で野党第1党の立憲民主党は1万円の賃金アップ法案を出しています。

だが、どちらも「ショボすぎ」ます。せめて、ここ2,3年の全産業平均の賃金アップの遅れ分を補償するくらいの勢いがなければ、生活が成り立たずに辞めていく職員が増える一方です。れいわ新選組の「10万円アップ」を暴論とされる方も少なくはないですが、そこを最終的に目指すくらいの勢いで取り組まないと、大変なことになります。もう限界です。

広島県知事の湯崎英彦さんにも申し上げたい。県内の介護保険の保険者=市町で介護崩壊が食い止められないのなら、県が国の制度改正までのつなぎとして、バックアップをすべきではないか?

だが、湯崎知事は、大型箱物や啓発イベントなどには熱心ですが、現場が潤うような支援には後ろ向きです。湯崎英彦知事よ。あなたは、巨大病院建設にご執心のようですが、それよりまえに、介護の現場で働く職員に直接行き届く支援をすべきではないですか?

筆者は、広島県庁職員時代(2000-2011年)に、主には山間部や島しょ部の医療や介護事業所の指導をさせていただいた時期が長くありました。介護職員の皆様のお給料を見せていただき、「若造の公務員の俺より、現場の皆さんのお給料がこんなに低くて、これでいいのか?」「日本は将来大丈夫なのか?!」と衝撃を受けるとともに憤りを覚えました。

筆者は、今後、広島県知事としてであろうが広島市長としてであろうが、広島地盤の参院議員としてであろうが、県庁職員時代の憤りと、介護福祉士として体験したことを絶対に忘れず、高齢者・障がい者もご家族も安心して過ごせる、そしてサービス提供者も安心して働ける広島・日本へ体を張って取り組んで参ります。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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