SAMURAI WARRIORS 原点回帰から挑戦へ!

堀田春樹

昨年から連続出場のオーシャン・ウジハラ(=氏原文男)は韓国のテクニシャンに判定負け。
期待の広翔も韓国のテクニシャンに首相撲で力及ばず判定負け。
全日本キックボクシング協会が大韓ムエタイ協会と提携、新たな戦略拡大へ。

◎SAMURAI WARRIORS挑戦 / 3月28日(金)後楽園ホール17:30~20:45
主催:全日本キックボクシング協会

◆第11試合 60.0kg契約3回戦

オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/無所属/1986.10.12高知県出身/ 59.8kg)
28戦13勝(8KO)15敗
VS
大韓ムエタイ協会フェザー級チャンピオン.Flash(=權賢佑クォン・ヒョンウ/2000.11.25韓
国出身/59.75kg)11戦9勝2敗
勝者:Flash(=權賢佑) / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:勝本剛司28-30. 竜矢28-30. 少白竜27-30

初回の權賢佑の重いパンチの連打。関係者の噂にあった「氏原文男は1ラウンドで倒されるかもよ!」という予想が当たるのかと思われる守勢。だが、氏原もボクシング経験あるパンチも得意として、体勢を立て直し、気の強さでアグレッシブな攻防戦へ持ち込む。

オーシャン・ウジハラを上回るスピードと多彩な技を持った權賢佑、ヒザ蹴りで攻める

第2ラウンドには權賢佑のスピードあるパンチと接近戦で、バックヒジ打ちが氏原の右瞼をカットした。氏原は流血しながらも闘志衰えず、ラストラウンドもパンチと蹴りで粘り強い前進。權賢佑も蹴りとパンチ、組み付いてヒジ打ちも繰り出し、互角の展開を見せて終了。

權賢佑は昨年5月17日に「NO KICK NO LIFE」で鈴木宙樹に2ラウンドKO勝利しており日本では2連勝。試合後、「オーシャンは気持ちが強かったです。今日は勝てて嬉しいです。」と語った。K-1やONE Championship出場が目標としているという權賢佑である。

終盤はジワジワ攻めたオーシャン・ウジハラ、長丁場で発揮したいテクニック

◆第10試合 バンタム級3回戦

広翔(稲城/ 53.45kg)5戦3勝(1KO)2敗
      VS
Joker(=朴秀浩パク・スンホ/2002.9.13韓国出身/ 54.4kg/880g超過、減点1)
6戦2勝(1KO)4敗
勝者:Joker(朴秀浩) / 判定0-3
主審:和田良覚
副審:勝本剛司27-29. 竜矢28-29. 椎名26-29(朴秀浩に減点1含む)

パンチと上下の蹴りで様子見の両者。広翔の蹴りに下がらず蹴り返してくる朴秀浩。首相撲に移ると朴秀浩のウェイト掛ける状態からヒザ蹴りの優勢を保つ流れ。

自分の距離を掴みたい広翔だが、一旦離れても朴秀浩が広翔の動きを読んで高い蹴りも出して来る。ジワジワ攻める朴秀浩に広翔もスタミナ奪われる展開。

自分の距離を保って攻めたい広翔、単発だったが攻勢も見られたパンチもヒット

ラストラウンド、広翔は組み合った際のパンチヒットか、朴秀浩も鼻血を流す苦しい攻防。終盤には広翔も自分の距離に持ち込み右ストレートヒットを見せるも時間切れとなった。880グラムオーバーの影響がどれほどあったか分からないが、朴秀浩が大差となる勝利を掴んだ。

朴秀浩はプロ戦績は不振だが、タイでの試合が殆どで、アマチュアでは先月の大韓ムエタイ国家代表選抜戦で優勝しています。

広翔は試合後、「相手は思ったより首相撲が強くて、一発を狙い過ぎて、蹴りも思うように出せなかったです。自分の力も足りなくて、対策とかいろいろ考えて変えなきゃいけないと思います。」とコメント。

組み付いたら離さない首相撲のしつこさが目立った朴秀浩のヒザ蹴りが広翔を苦しめた

◆第9試合 フライ級3回戦

横尾空(稲城/ 50.6kg)4戦2勝1敗1分
      VS
小池空(I DEAL/ 50.5kg)2戦2勝(1KO)
勝者:小池空 / TKO 1ラウンド 2分12秒
主審:少白竜

互いのローキック中心の牽制から横尾空の首相撲からの崩し転ばし優勢を印象付けるも、蹴りの距離で小池空の左前蹴り(三日月蹴り)が横尾空のレバーにヒット。
ノックダウンを喫し結構苦しそう。更に小池がボディーを狙った左フックで横尾が下がったところで左ハイキックを横尾の顔面にヒット。バッタリ倒れてノーカウントのレフェリーストップとなった。

小池空のハイキックが横尾空を襲ったヒット、一瞬の油断だったか

◆第8試合 スーパーフライ級3回戦

HIROKI(AKIRA ~budo school~/ 52.0kg)6戦3勝(1KO)3敗
        VS
井上蓮治(パラングムエタイ/ 52.15kg)2戦2勝(1KO)
勝者:井上蓮治 / 判定0-2
主審:勝本剛司
副審:和田29-29. 少白竜28-29. 椎名29-30

蹴り中心に様子見の両者。首相撲に移る際に左ストレートヒットさせた井上蓮治。第2ラウンドもやや前進する井上が蹴りで攻めるがHIROKIもしっかり蹴り返し、第3ラウンドも流れは変わらぬまま僅差の判定で井上蓮治が勝利した。

井上蓮治がフェイント掛けての前蹴りがHIROKIの顔面を何度か襲った

◆第7試合 ライト級3回戦

山田旬(アウルスポーツ/ 61.05kg) 4戦3勝1分
      VS
生野逸晟(WSR三ノ輪/ 60.7kg)6戦1勝1敗4分
引分け 三者三様
主審:竜矢
副審:和田29-28. 少白竜28-29. 勝本剛司29-29

山田旬のサウスポーからの左ミドルキック、パンチを含めて生野逸晟をロープ際に追い詰める。ヒット数も優るも生野も負けずに出て、山田のパンチをやや被弾しつつも巻き返して来た。ラストラウンドは分かれる採点となって、結果的に三者三様の引分けとなった。

◆第6試合 スーパーフライ級級3回戦

福僚太(健成会/ 52.4→52.16kg)4戦1勝(1KO)2敗1分
      VS
風間祐哉(WSR三ノ輪/ 52.1kg)5戦1勝3敗1分
勝者:福僚太 / KO 2ラウンド 2分53秒
主審:椎名利一

初回、福僚太が蹴りパンチで風間祐哉をやや下がらせるも、風間も間合いを見てハイキックなどで応戦。第2ラウンドには福僚太がパンチで風間をコーナーに追い詰め連打でノックダウンを奪い、更に連打で二つのスタンディングダウンを奪って、3ノックダウンとなって福僚太のノックアウト勝利。

福僚太が長身の風間裕哉にハイキックで攻め、パンチへ繋いでKOを導いた

◆第5試合 フェザー級3回戦

中村健甚(稲城/ 56.9kg)4戦1勝(1KO)1敗2分
      VS
斎藤鷹也(TRIM/ 56.9kg)5戦3敗1分1NC
勝者:中村健甚 / KO 1ラウンド 2分57秒
主審:少白竜

中村健甚はパンチからハイキックで勢い有る攻勢から始まった。斎藤鷹也はパンチ蹴りで返すも中村が様子見ながら躱し、右ヒジ打ちで斎藤の左額辺り側頭部をカット、更に接近戦で中村のヒザ蹴りが斎藤のボディーヒットするとノックダウン。相当苦しかったか、そのままテンカウントを聞いた。

中村健甚も多彩に攻める中で攻勢を維持、ヒザ蹴りのKOへ繋いだ

◆第4試合 ウェルター級3回戦

Katsuya Norasing family(Norasing family/ 67.05→66.65kg)4戦2勝(1KO)2敗
        VS
田山朋希(まっちゃんFIGHT CLUB/ 67.1kg/420g超過、減点1)1戦1敗
勝者:Katsuya Norasing family / TKO 2ラウンド 2分25秒
主審:和田良覚

開始から静かな攻防だったが、第2ラウンドにKatsuyaがノックダウン奪ってからアグレッシブな展開に移った。赤コーナーに詰まったKatsuyaが右アッパーか、田山朋希からノックダウンを奪い、飛びヒザ蹴りでプレッシャーを与え、首相撲で体勢俯き気味の田山に右ヒジ打ちを落とし、ノックダウン奪うとほぼノーカウントのレフェリーストップとなった。

Katsuyaがハイキックで田山朋希を追い詰め、パンチ、ヒジ打ちでKOへ繋いだ

◆第3試合 スーパーウェルター級3回戦

KENTA PUAKUTA SHONBIN(スポーツジム67 S/ 70.4→70.3kg/450g超過、減点1)
3戦1勝1敗1分
        VS
蘆立亮太(Ysk YAMAGAT / 68.7kg)1戦1勝
勝者:蘆立亮太 / 判定0-3 (27-29. 28-29. 27-30. KENTAに減点1含む)

◆第2試合 81.0kg契約3回戦

オマル・ファーレス(稲城/ 80.2kg)2戦2敗
      VS
星のケースケ(百足道場/ 80.5kg)1戦1勝
勝者:星のケースケ / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)

◆第1試合 フェザー級3回戦

KAI×A.K.G(A-BLAZE×KICK/ 57.0kg)1戦1勝(1KO)
      VS
安田和幸(中島道場/ 56.7kg)1戦1敗
勝者:KAI×A.K.G / KO 1ラウンド 1分53秒

蹴りの勢い優ったKAIは安田和幸をコーナーに詰め、左ストレートから飛びヒザ蹴りでノックダウンを奪う。更に蹴りで追って飛びヒザ蹴りで二度目のノックダウンを奪い、コーナーに詰め、ヒザ蹴り入れたところでレフェリーが割って入り、3ノックダウンとなる形でレフェリーストップとなった。

第1試合のKO、顔は隠れるが、飛びヒザ蹴りで二度のノックダウンを奪ったKAIの攻勢

《取材戦記》

前日計量で三名の計量失格があった模様。計量減点1点と2オンス大きいグローブハンデとなっています。オーバーウェイト、相変わらず結構多いなあという印象。ペナルティーの在り方も難しい議論があるようです。「グローブハンデは大きいグローブ使用が逆に有利になっていないか?」とか、減点与えては短い3回戦制で接戦の勝負に興味が薄れるなど。

全日本キックボクシング協会は、新人中心の地味な興行が続く中、ジワジワと着実に進化し、新たにノラシン・ファミリージムが加盟と、旗揚げ2年目は韓国との国際戦。2月16日に栗芝貴代表と役員が渡韓して、大韓ムエタイ協会と提携、今回の交流戦に進みました。

氏原文男は過去の実績から存在感あるだけに今後も出場可能なら、しぶとい技を見せて、全日本キックボクシング協会での初勝利を期待したいところです。

今回の韓国選手2名はFlashとJokerというリングネームでした。「日本でもファンに分かり易いように」という意味合いがあるようですが、古い気質の世代から考えれば、逆に分かり難い気がします。顔と名前が一致し難いとか、英単語のリングネームでは、今後幾らでも変更可能であり、同名の二代目三代目も出て来ることも考えられます。

韓国語は日本語の音読みと近い発音があり、「權賢佑=クォン・ヒョンウ」「朴秀浩=パク・スンホ」。そうは聞こえないという人は大多数かもしれませんが、日本の単語と比べたり、韓国語を習ったりすると、似ていることに気付く人も居るかと思います。特にプロボクシング世界戦に絡んだ過去の選手。輪島功一と戦った柳済斗は「りゅう・さいと」と当時は日本の音読みで呼ばれましたが、現地的には「ユー・チェド」。畑山隆則と戦った崔龍洙は「チェ・ヨンス」でした。

1月24日に井上尚弥と対戦し敗れたキム・イェジュンは“金芸俊”と各スポーツ新聞ではカタカナ表記と漢字名が載っていました。さすがに大手新聞社は徹底した記載です。

最近のキックボクシングはどこの団体、プロモーションも韓国選手名はカタカナ表記が多くなっていますが、偏見ながら今後も昔に返って本名、もしくは現地の漢字名で発表して欲しいと思うところなのです。

次回の全日本キックボクシング協会興行は6月20日(金)に後楽園ホールに於いて、「SAMURAI WARRIORS挑戦」二ノ陣が開催されます。二ノ陣かvol.2か2ndか、発表されていませんが、今年二回目の興行で、瀬川琉が出場予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」