裏がようやくとれたので「アサヒ芸能」の誤報について書く。その記事は2月26日号の「戦慄スクープ イスラム国『東京マラソン2.22襲撃』は防げない!」についてだ。
「東京マラソン」については、マラソンコースを走りながら警備する警官、「ランニングポリス」が話題になった。たとえば、毎日新聞の2月22日にはこう出ている。
日本最大規模のマラソン大会「東京マラソン2015」が22日開催され、3万5797人が都心部を快走した。テロ対策を強化した警視庁は約4500人の警察官を投入。国内のマラソンでは初となる「ランニングポリス」も初めて導入した。警備部所属の男女計64人が2人1組で、それぞれ割り当てられた10キロほどの区間をリレー形式で市民ランナーに伴走。頭に着けた小型カメラで沿道の様子を撮影、ライブ映像を警視庁本部に送信した。
都庁(新宿区)から日比谷公園(千代田区)までを担当した中澤浩警部(43)は「沿道の様子がかなり把握できた。小型カメラも気にはならずマラソンには有効な警備になる」と話し、「観客やランナーから『警備頑張って』と声援をいただき励みになった」と振り返った。【岸達也】(毎日新聞)
◆「東京マラソン」一日で数百万円を売上げる警察天下り先の警備会社
確か、「東京スポーツ」(2月14日)でも東京マラソンのテロの可能性は指摘された。
実は、この「東京マラソン」には警備員が6000人ほど配置された。例年よりも1000人増やしているのにはからくりがある。
「警備会社としては、1日で数百万円を売り上げるおいしいイベントです。実は、この『イスラム国が東京マラソンを狙っている』という情報は、警察庁が、天下り先の警備会社を儲けさすために流した情報だということです。実際、この情報が流されたのは、1月の末のこと。警察から警備会社に流れたOBたちが、警察幹部と赤坂で会合をもってからすぐの出来事ですから、これはもう、出来レースだと見ていいでしょう」(全国紙社会部記者)
そして、配置された警備員も、短時間で稼げるおいしいバイトとなった。
「なんせ、コースから応援する人がはみ出ないように『人の盾』となるだけ。かかしになっていれば4時間で8000円ですからおいしいバイトですよね。警察から流れてきた仕事なんですか? どうりで支社でも幹部たちがやたら警察の幹部に挨拶に行くわけですね」(警備員)
◆「元警官」を日当2万円で1000人弱雇った「警視庁雇用」枠
実は「元警官」も「警視庁雇用」枠で1000人近くが呼ばれており、「日当2万円なり」をゲットしたとされる。
「70歳とか73歳とかの年寄りが通行止めのポイントに立っていました。彼らがうまく車を裁けるのかどうかヒヤヒヤして見ていましたが、うまく裁いていましたね。でもこういうイベントのたびに『小遣いを稼げる』から、役所のOBっていいですね」(同)
筆者も短い時間、警備会社で短時間にアルバイトをしていたが、実は警察OBが偉そうにしているのを間近で見た。彼らは、警察から仕事をもってくるための「大切な人質」だったのだ。
かくして、各マスコミには、「東京マラソンが危ない」という情報があふれ出る。アサヒ芸能は、東京マラソンが危ないという話を、大学教授を使って展開している。
「イスラム国が最も憎む相手、それはいまだにキリスト教側の白人です。しかし、安倍政権が〝積極的平和主義〟を打ち出して以降、反日感情が高まってきているのは事実でしょう。そして基本的に彼らのテロの成功は、その脅威を世界的に見せつけること。もし日本国内でテロの標的になるとしたら、場所としてはやはり首都・東京が最も危険。中でも世界的スポーツイベントの東京マラソンは、格好のターゲットです」こう指摘するのは、国際テロが専門の青森中央学院大学の大泉光一教授だ。(「アサヒ芸能」より)
そしてイスラム国を支持するフィリピンの過激派組織「アブ・サヤフ」やナイジェリアの武装組織「ボコ・ハラム」の動きを警察が警戒していると「アサヒ芸能」は言及している。
記事はこうして終わる。「『世界一安全』と言われてきた日本。その称号を、はたして東京マラソン後も維持できているのか。もはや運を天に任せるほかないと思えてしまうのである。」(「アサヒ芸能」より)
◆『危険』を食い物にして稼ぐ警察の天下り警備会社と御用マスコミの共犯関係
警備に呼ばれた「シンテイ警備」関係者が語る。
「3.11の大地震が起きたときも、警察をあげての避難訓練でたくさんの警備員が出て、かなり稼いだ。『危険』を食い物にして、稼ぐ警察の天下り警備会社は、その考えからして腐っている。情報にのるマスコミも同罪でしょう」
「アサヒ芸能」よ! 警察情報を垂れ流す記事を出す思考停止の誌面はもうやめたまえ。ただでさえ「まったく芸能の記者会見にも来ないのに芸能ネタをやたら書く」と芸能プロダクションに嘲笑されるあなたたちに未来はない! 地道に裏をとる「週刊ポスト」や「週刊現代」の記者のほうがまだ好感がもてる。
「ここはもう、取材のやりかたから根本的に変えないと週刊 文春や週刊新潮にはたち打ちできないでしょう。なにしろ取材しないで平気で書くのですから」(藤堂香貴・ジャーナリスト)
さて次は何の誤報を取り上げようか。手元にはたくさん資料があるが、裏がとれたものから報告しよう。うししししし。(鈴木雅久)
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