震災から1年が経った。改めて、犠牲になられた方々のご冥福を祈りたい。そしていまだに収束しない原発事故の大惨事を目の当たりにして、地方に痛みを押しつけて都市の生活が成り立っているというあり方を、真摯に問い直していかなければならないだろう。その意味でも我々は、東電マネー漬けになっていたマスコミの責任を、執拗に追及していきたい。
ある大新聞社の記者が言うには「なんとか東電の責任を逸らすようにしろと上は言うが、かつてよほどおいしい思いをしたのだろうな」と。そう、東電のみならず、関連会社から「接待漬け」になっているのが大新聞社の役員たちである。とりわけ、読売新聞社の罪は重い。
遡れば、1954年にアメリカからのプレッシャーで日本初の原子力関連予算を要求したのは当時、改進党に所属していた中曽根康弘元首相たちだった。予算が衆院を通過したのは、ビキニ環礁での米核実験で漁船員らが被ばくした「第五福竜丸事件」が明るみに出る約2週間前の3月4日。中曽根氏はギリギリの日程で原発関連予算を通す。中曽根氏は原子力関連法を次々に提案し、科学技術庁(現文部科学省)の初代長官に就任した正力松太郎氏とともに、原子力事業を推進したとされる。
「読売新聞社の正力松太郎もアメリカ政府に与し、原子力潜水艦の技術を使って、日本に原子力発電所を作って、中曽根らの政治家を巻き込み、原発は安全という論陣を張った。田中角栄、中曽根元首相らととともに日本に原子力発電をもちこんだ罪は、未来永劫、消えないでしょう」(反原子力団体のメンバー)
読売新聞社は、震災から1年遡ると、ちょうど20ページの広告を東電からもらっている(下部資料参照)。
「広告料金が軒並み下がっていくご時世で、定価で広告を出してくれる東電はありがたい存在でした。また、読売新聞社が発行している雑誌にも定期的に広告を出してくれました」(読売関係者)
ジャイアンツ関連以外、これといって鋭い記事が見当たらない「東電マネー漬け新聞社」、読売新聞。
「ACジャパンの理事に、東電の役員が多数いる(西澤俊夫:東京電力代表取締役社長、深堀慶憲:九州電力代表取締役副社長)が、これを知りながら東電は、事故直後、『テレビスポットCMを流しますから』と勝俣会長が記者会見で語った。これこそ『テレビスポットをくれてやるから、おとなしくしろ』というアピールでしょう」(全国紙記者)
もちろん読売新聞社系の日本テレビでも、大量のACジャパンのスポットCMを流した。
「東電の責任追及では、読売新聞や朝日新聞よりも、広告をもらっていない東京新聞のほうがよほど突っ込んだ紙面を作っている。そもそも、『ここ半年、タクシー以外で移動したことがない』(読売新聞・中堅記者)という連中がわんさかといること1つとりあげても、彼らが《東電マネー漬け》になっていることは明らかです」(経済雑誌記者)
東京新聞の「こちら特捜部」の『<核燃基地六ケ所村>古川健治村長に聞く』(2月29日付)などはかなりタブーに切り込んでいる。読売新聞の記者もみならうべきだ。
鹿砦社の松岡利康社長は語る。
「読売は、『押し紙』問題を追及している黒藪哲也さんや販売店のオヤジさんに対し執拗に攻撃をかけています。攻撃されるべきは読売で、東電の広告や接待問題、原発推進問題の責任と併せ、ガンガン追及しないといけませんね」
読売新聞よ! ただちに東電の接待を受けた幹部のリストを公開せよ。東電叩きはそれからの話である。
(渋谷三七十)
【資料】
新聞の電力系PR広告出稿ランキング(調査対象:全面広告)
順位
新聞名
合計(原発+原発以外)
原発
原発以外
1位
読売新聞
15P
11P
4P
2位
産経新聞
11P
8P
3P
3位
朝日新聞
10P
1P
9P
3位
日本経済新聞
10P
3P
7P
5位
毎日新聞
6P
3P
3P
(出典:『日本を脅かす! 原発の深い闇』(宝島社)より。※2010年3月11日から2011年3月11日付を調査対象とした)