公文書のすっぱ抜きで知られるウィキリークスの創設者、ジュリアン・アサンジュが生まれ故郷で現在も国籍のあるオーストラリアの上院議員に立候補するかもしれない。ウィキのツィートはそう伝えている。
スウェーデンのお尋ね者の身であり、現在暮らしているイギリスでも自宅軟禁中だが、アニメ「シンプソンズ」の放映第500回にゲスト出演したり、ロシアの英語衛星テレビ局「ロシア・トゥデイ」でトーク番組の司会をしたり、と話題には事欠かない。
ロシア・トゥデイのトーク番組は「あすの世界」という名称で、アサンジュが政界の重要人物、思想家、革命家などのゲストに話を聞く30分番組で、予定されるゲストにはイランのアハマディネジャド大統領やベネズエラのチャベス大統領、米言語学者のノーム・チョムスキーなど、ロシアの同盟国や反体制の論客の名前が挙がっている。
オーストラリア上院の半数改選は来年なので、ちょっと気が早いかも知れないが、ウィキのサイトが言うように、独自の政党を立ち上げるのであれば、早すぎることはない。オーストラリア国内におけるウィキへの支持の大きさを見れば、下院選挙にも候補者を立てるかも知れない。前述のウィキのツィートはビクトリア州のレイロー選挙区に候補者を立て、労働党首相のジュリア・ギラードの首をねらう可能性にも言及している。
オーストラリアの上院議員は人口の多少に関わらず各州(12人かける6)と準州(2人かける2)から選ばれ、連邦制度の下で州の利益を代表することがその役割とされているが、日本の参議院よりも大きな力を持っている。アサンジュが上院に立候補するなら、生まれ故郷のクイーンズランド州が最も妥当だが、他の州から立候補することもありうる。彼がどの州から立候補するか、また、ギラード首相の選挙区への刺客の名前は「追って発表する」と前述のツィートは書いている。
新政党を起こして上院議席を争うことになれば、これまでアサンジュやウィキを支援してきたみどりの党との関係はぎくしゃくするかも知れない。みどりの党は2010年の上院選挙で各州で1議席を獲得、現在9人の議席を上院(定数76)に占めている。上院でキャスティングボートをにぎっているが、しかし、ウィキがアサンジュなど上院に候補者を立てれば、それぞれの州で最後の議席をみどりの党との間で争う展開になるはずで、票の食い合いは避けられない。これまでのような好調な関係は維持できなくなるかもしれない。
(RT)