あまたある「東電マネーに溺れたマスコミ」の中でも、「福島第一原発」そのものの安全性をPR広告で入れた、『週刊朝日』(朝日新聞出版)の犯罪性を見逃すことはできない。11年の新年号で「福島第一原子力発電所レポート」を4ページにわたって掲載。吉田所長(当時)の写真入りで「ベストミックスで安定した電力供給 プルサーマルで実現する発電の未来」と題して、福島原発の安全性をPRしつつ、プルサーマル発電を大きく宣揚し、解説している。また、「見どころいっぱい福島県浜通りの観光スポット探訪」と題して、浜通りの名所「いわきマリンタワー」や、風光明媚な「塩屋崎灯台」などを紹介している。
「まるで福島に来て原発と観光スポットを味わうのが一流の旅とでも言いたげの内容でした。今、さかんに東電叩きを週刊朝日はやっていますが、かつて福島第一原発の安全性や魅力を伝えたのは、どこの誰なのでしょうか」(新聞記者)
まさに、過去を忘れたかのようなトーンで東電叩きに走る『週刊朝日』の二枚舌ぶりには驚きを禁じえない。
「3.11の震災直後、週刊朝日は、『危険だから』と若手の記者を福島に行かせなかった。これこそやっていることが矛盾だらけです」(識者)
『週刊朝日』には記者が50人近くいるはずだが、全員が行って被災者に謝罪しつつ、全財産を寄付すべきではなかったのか。
『週刊朝日』だけではない。同じく朝日新聞出版社が出している週刊『AERA』の罪も重いといえる。2010年、ヨネスケと電事連のPR広告記事で、立地環境部長と対談し、ヨネスケは「暮らしを支える電気のすごさを実感する僕としては、原子力発電にもっと注目してもらいたい。毛嫌いせずにさ、考えてほしいんだよ。もちろん安全性を確保したうえでの“は・な・し”だけどね(笑)」と語っている。
そのわりに嗚呼『AERA』よ!
震災直後、ガスマスクの顔の表紙で「放射能がくる」(3月28日号)という特集など、どんな神経なのか。ちなみに今、電事連のホームページからはヨネスケと立地環境部長との対談があったログは見事に消されている。
「やっていることがおかしくないか。放射能を呼びこんでいるのはお前だろうと、AERA編集部に言いたくなりましたよ」(読者)
東電、関西電力や九州電力などの電力会社や関連団体の電事連などを含めると、年間2千億円もマスコミにばらまかれていたことは明確だ。名う手の記者をたくさん輩出した『AERA』よ、残念極まりない。こうした「東電マネー網」に君たちも引っかかったのか。
また、資源エネルギー庁の広告が子供向け雑誌『ジュニアエラ』に掲載していたのも、無視できない。
もちろん、私は『週刊朝日』『AERA』の記者が、震災後、がんばって放射能の脅威を、原発事故の悲惨さを伝えたことはよく知っている。だからこそ今、「原発を是とした過去の検証」が必要ではないのか。特に『週刊朝日』が堂々と取り上げ、もちあげたPR記事は他のどこでもない、かの「福島第一原発」なのだ。
鹿砦社の松岡利康社長は語る。
「原発問題に限らず、朝日のこうした、表の顔と裏の顔が違う偽善者的なスタンスこそ、朝日の記者や編集者らは反省しないといけないんじゃないでしょうか。渋谷クンらが怒り心頭の『創』と全く同じ発想です。いや、発行部数『週朝』が22万部、『アエラ』14万部と公にされていますが、それも週刊で発行されていますから、犯罪性の度合いとしては、発行部数が1万部前後の『創』の150倍も大きいと言えますね」
ふだんからきれいごとばかり並べる朝日新聞出版の社員たちよ! 『週刊朝日』および『AERA』の自称エリートたちよ!
今すぐ福島に飛んで過去のPR記事は間違いでしたと懺悔せよ。偉そうに記事を書くのは、それからの話である。
(渋谷三七十)