朝日新聞社の冨永格・特別編集委員が、”Japanese nationalist demonstration in Tokyo. They are supporting PM Abe and his conservative administration.”と、ナチスの旗の写真とともに(要するに「ナチス旗デモ参加者は安倍政権支持者だ」と)ツイートし、批判を受けて削除した事が問題になっています。

これに対し、朝日新聞は8月5日午前5時に『報道姿勢に疑念抱かせおわびします 朝日新聞社特別編集委員、不適切なツイッター』と題し、「冨永記者はツイッターにナチスの旗などを掲げてデモをする人たちの写真を載せ、英語で『東京であった日本の国家主義者のデモ。彼らは安倍首相と保守的な政権を支持している』と投稿し、フランス語でもほぼ同様の内容の投稿をしました。
冨永記者は投稿について、事実関係の裏付けをしておらず、写真も撮影者の許可をとらずに転載していました」とのおわびの文章を掲載しました。

冨永さんがツイートした写真は、私が2014年3月に西葛西で撮影したものです。それで「秋山理央の写真を無断借用してる!」と怒っている人々がいますけど、私的にはあのツイートの趣旨であれば別に使ってもらっても構いませんし、本日現在、朝日新聞の担当者と、冨永さんからは直接、無断借用に関しての謝罪を受けています。
そもそもこの件についてまだよく知らない方に読んでもらいたいのが、以下の記事です。
リンク先で記事全文を読んでもらいたいのですが、面倒な場合は引用部分だけでも目を通して下さい。

『朝日記者ツイート:カギ十字写真に「安倍政権の支持者」』(毎日新聞)

「朝日新聞社の冨永格特別編集委員が、自身のツイッターにナチスの『カギ十字』の旗や旭日旗を掲げたデモとみられる写真とともに『東京での日本のナショナリストによるデモ。彼らは、安倍首相と彼の保守的な政権を支持している』との内容を英語と仏語で書き込み、その後削除していたことが分かった」

『ナチス旗デモ掲載「首相を支持」 朝日編集委員ネット書き込み』(共同通信)

「朝日新聞社の冨永格・特別編集委員が、同社公認の自身のツイッターに、ナチスの旗や旭日旗を掲げてデモする人たちの写真を掲載し、英語とフランス語で『東京での日本の国家主義者のデモ。彼らが安倍首相と保守政権を支持している』と書き込んでいたことが4日、分かった。既に削除している」

『朝日新聞特別編集委員 不適切ツイートで謝罪』(NHK)

「朝日新聞の特別編集委員が、自身のツイッターにナチス・ドイツのカギ十字の旗などを掲げたデモ活動の写真とともに、『彼らは安倍首相を支持している』などと英語で不適切な書き込みを行い、その後、削除して謝罪しました」

富永さんが私の撮った写真をツイートしたのも何かの縁ですし、本来なら消すべきではないのに消してしまったものですから、私は撮影者として、改めて「ナチス支持者が安倍を支持している」と以下のようにツイートしました。

「【撮影記録】2014年3月・東京での日本の排外主義者によるネオナチデモ。
ハーケンクロイツを掲げたデモの参加者は、8月2日に銀座で行われた安保法案賛成デモにも参加。彼らは安倍首相と彼の保守的な政権を支持しているのだ。(撮影:秋山理央)」

同時に英文でもツイートしています。
「Japanese neo-nazis with swastika, Tokyo Mar.2014, its members joined in the rally supporting LDP’s war bill Aug.2015.」

自分の写真を使い、事実をつぶやいているだけですから誰からも文句を言われる筋合いはないのですが、筋違いなリプライが非常に多いです。ネトウヨが凄い勢いで攻撃してきて大変なことになってますが、在特会みたいなネットのカス達を普段から批判しまくっているので、こういうことにも慣れてしまいました。
「ナチス支持者が安倍支持者」ということを否定する人も多いのですが、そういう人たちがどう捻じ曲げて信じたくても、これは事実です。それにも関わらず、冨永さんがツイートを削除・謝罪してしまったから、そのツイートの内容がデマだという印象が生まれてしまい、それが事態をややこしくしていると思います。
私が改めて上記の「事実」をツイートすることにしたのは、そういうわけです。

文句を言ってくる人の中には、私が書いた日本語の文章を理解できない人も多く、トンチンカンな意見や先入観だけで語ったり、頭が痛くなってしまいます。
これは今回の件に限らないのですが、「それ、言う前にちょっと調べろよ!」という意見が本当に多いです。まずは検索してから発言する事をお勧めします。
というか、誰も彼も、もっと検索する癖をつけるべきで、高校で「とりま検索」って教えた方が良いと最近よく思います。
前衆議院議員・次世代の党の中山成彬さんもちゃんと調べてからツイートした方が良かったかもしれません。
「かつて天声人語も書いていたという朝日の富永格編集委員がナチスの旗を掲げたデモの写真と共に『東京での日本人の国家主義者によるデモ、彼らは安倍首相と彼の保守的な政権を支持している』とツィートした。相変わらず日本人を貶める為なら捏造も厭わない。削除したが本音を呟くというから本音だろう』

この中山氏のツイートに対し、対レイシスト行動集団のC.R.A.Cが「在特会の前会長桜井誠が呼びかけた安保法制賛成デモに、元国家社会主義者同盟(ネオナチ)の瀬戸弘幸が星条旗を掲げて参加し、ここでハーケンクロイツ持ってるやつらがそれに続いてましたよね。どこが捏造?」というリプライをしていました。

「ナチス支持者が安倍支持者」って事は、否定できないでしょう。
ナチス旗デモ主催の荒巻氏は、安倍政権を支持していないらしいのですが、デモ主催者と参加者が全く同じ考えとは限らないですし、ナチス旗デモと安保賛成デモの参加者が実際に一致しているのは事実です。
それに加え、白昼堂々ハーケンクロイツ(ナチス旗)を掲げ、外国人集住地域に出向き、そこに住む外国人を排斥するデモを行なっている集団がいることも大問題でしょう。しかも、オリンピックを控えた東京都内でのことです。
今回の写真に対し、「ナチスの旗なんて合成だろ!」と言われもしましたが、何を寝ぼけたことを言っているんでしょう…。むしろ、合成ならどんなに良いことか。しかし、事実なのだから仕方ありませんし、事実だからこそ問題にしなくてはならないと思います。
こうしたデモは例外なくヘイトスピーチを伴うものであることも忘れてはいけません。そうした事実こそが問題とされ、メディアがしっかり事実を探り、公にするべきだと思います。

安倍内閣、自民党、その支持者、ヘイトスピーチ、ネオナチ、ハーケンクロイツ(ナチスの旗)といったものが結びついていることは、もっと社会的大問題とされて良いと思いますので、引き続き、私は撮り続けていきたいと思います。

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《013》戦争法案に反対する若者たち VOL.8 福岡
◎《012》戦争法案に反対する若者たち VOL.7 甲府
◎《011》戦争法案に反対する若者たち VOL.6 国会前
◎《010》戦争法案に反対する若者たち VOL.5 鳥取
◎《009》戦争法案に反対する若者たち VOL.4 新潟
◎《008》札幌攻防戦!ヘイトスピーチを撮影せよ!
◎《007》戦争法案に反対する若者たち VOL.3 渋谷
◎《006》戦争法案に反対する若者たち VOL.2 札幌
◎《005》戦争法案に反対する若者たち VOL.1 京都

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