7月29日(水)、福岡県福岡市中央区で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
安倍政権が7月15日に行なった強行採決に危機感を抱き、自ら動かなければと福岡の大学生らが「FUKUOKA YOUTH MOVEMENT」を結成した。デモを主催したことがないのと、大学のテスト期間が重なり準備は大変だったというが、初めてのデモを滞りなく行なっていた。
[動画]安保法案いけんくない!?パレードデモ@福岡 – 2015.7.29 福岡市(8分19秒)
ローカル感あふれる「方言シュプレヒコール」が天神の街に響いた。
今回のデモの為に学生たちが意見を出し合って決めたものだ。デモそのものが怖く、デモで叫ばれる強い言葉が怖かったから、柔らかめの言葉をチョイスしたという。
「安保法案はいけんばい!」
「集団的自衛権はいけん!」
「憲法守らん総理はいらん!」
「うちらで権力しばろうよ!」
「憲法9条がよかろうもん!」
「何よりいのちをまもろうよ!」
「憲法!」「守れ!」
「権力!」「縛ろう!」
「憲法!」「壊すな!」
「いのちを!」「守ろう!」
東京や関西で大学生が立ち上がり、遂に福岡でも大学生によるデモが行われ、他でもない福岡が感じられた。
彼らは言う、若い人達にもっと政治に関心を持って様々なことについて積極的に考えて欲しい、と。
そして、単に、法案に対してNO!と言うだけではなく、自分たちがデモをして人前に立つことによって、今日本で起っていることを、同世代の若い人たちに、ちゃんと自分のこととして考えてもらうきっかけになって欲しいとの願いも込めて、今回のデモを企画し実行したのだ。
デモ出発の前と後に行なわれた参加者スピーチは、事前に原稿が用意されていたものではなく、参加した若者たちの生の声が聞けた。
以下、少し長いがその一部を書き起したので読んでみて欲しい。
女性「安倍さん悪いと思うんですけど、今日本にいるみんなが関心を持っていないっていうのも一つあると思って、だから自由にされちゃうっていうのはあると思うんですよ。それでわたしは今関心のない人達の気持ちをちょっとでもかき立てて、今まで私達の先輩達が作り上げてきた、ずっと守ってきた平和、その平和を守ってきた憲法っていうのを守りたいと思って、その思いを今の世代の若い人達、次の世代を担う若い人達に知って欲しいと思って今活動しています。本来は憲法って言うのは権力者を縛る為のものであるのに、国民がそれによって不利益を被るようなことがあるのは絶対にいけないと思います。その思いを伝えるのはもちろんなんですけれども、やっぱり若い人達がたくさんいる天神で、関心の無い若い人達が自分の意見を持てるように、私は活動していきたいと思っています」
女性「初めてこのようなデモに参加してすごく緊張しました。それに先頭も歩いてしまって、こんな私が歩いていいのかなって思いましたけど、私達若い人が先頭に立って歩いて、声を上げて行かないと、全然安倍さんにも伝わりません。歩きながら何か言われたりもしましたけど、私達は私達の声を上げていきましょう」
女性「生活保護費の総支給額よりずっと高い、この5兆円を使って私たちの頭の上に戦闘機を飛ばし、きれいな海を埋め立て基地を作り、そして隣の国を恐れ、彼らを貶めるような言葉をぶつけ合うような、そんな中で守られる平和を私たちは平和と呼ぶんでしょうか。彼らの言う抑止力なんて、きっと嘘っぱちだと、私はそう思ってここに来ました。もう今日から私たち、若者は立ち上がります。この福岡という街は、アジアのリーダー都市だと、そういうようなスローガン掲げています。それならば、こんな小さな島を出て、私たちは、いろんな場所で、いろんな友達を作ります。いろんな人たちと、いろんな言葉で、互いの文化を交わし合って、歌を歌いながら、いつか軍事の、基地や戦闘機じゃなくて、私たち、ひとりひとりが、そんな戦争の抑止力なんだと、いつか言ってやりたいと思って、ここに集まりました」
女性「今日初めてデモっていうものに参加して、且つ主催者っていう立場で、何もわからなくて参加したんですけど、直前とかもどれだけの人達が来てくれるんだろうって思って、すごいドキドキしながら待ってたんですけど、こんなにたくさんの人が来て一緒に声を上げてくれて、すごく今心強い気持ちです。新聞とかを読んでいて集団的自衛権とかいろいろ出てきて、わかんないから自分なりにすごく勉強して、国会中継とかも見て、政府が出してるQ&Aも読んで、でもどれだけ見てもわからなくて、すごく不安な気持ちとか怖い気持ちになって、その不安な気持ちとか怖い気持ちっていうのを、解消してくれる答えが全然見つけられなくて、きっとそういう人がいっぱいいて、そういう気持ちでみんな集まってくれたのかなと思います」
男性「僕は今大学三年生です。今日初めてこのデモに参加しました。率直な感想としては、こういう風に声を上げるっていうのは、本当に勇気がいるなあっていう風に思いました。最初、ここに来た時、僕は震えていました。今も若干震えています。でも、こうやって声を上げるっていうことは非常に大事な事だと思います」「今この流れが全国各地に広がっています。この運動をこの先もずっと継続的に続けて行けたらと思っています。みなさん様々な考えを持って参加してるとは思うんですけど、今日こういう風にして自らの考えを示す事が出来たっていうのは、大きな一歩だと思っています」
男性「同じ大学生が何か声を上げてるっていう事で、気になって法案を調べてみたら、色々おかしなところがあるみたいで、それで何よりも僕が反対したいのは、自分、友達に自衛隊の子がいるんですけど、その子を戦地に派遣する法案を僕は絶対に通す事は出来ないと思いました。自分の一緒に部活とかをしてきた仲間が、まるでスプラッター映画のように戦地で殺されるような様は絶対に想像したくないし、それに反対するために何かしとかないと絶対に後から後悔すると思ってこの活動に参加させてもらいました。最初怖かったんですけど、本当に参加してよかったと思いました」
女性「今日も高校生も来てくれて、でも制服姿だからそんなに前には出れないけど、でも来てくれて、それって本当に草の根的にというか、本当に名も無い人達が声を上げてきてる、全然政治の話は意識高いやつがやってるとか、そういう問題ではなくて、自分たち一人一人の問題なんだっていうのを、今日デモをしてみて自分でも実感したし、またこれをいろんな人に広げていかないといけないなって思いました」
自らの行動に対し不安や恐怖と同時に希望を感じ、現状を一緒に変えようという気持ちが溢れ出ていた。
勇気を出して表に立った彼らの後ろには、まだ見ぬ多くの若者たちが見えたような気がした。
[2015年7月29日(水)・福岡県]
▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。
《ウィークリー理央眼》
◎《018》戦争法案に反対する若者たち VOL.12 福島
◎《017》戦争法案に反対する若者たち VOL.11 長崎
◎《016》戦争法案に反対する若者たち VOL.10 津
◎《015》戦争法案に反対する若者たち VOL.9 熊本
◎《014》緊急寄稿・朝日新聞と冨永特別編集委員のおわび