8月23日(日)、福島県郡山市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
主催したのは「戦争法案に反対する福島県若者有志の会」だ。デモ出発前の郡山駅前集会では、共産党県議、社民党市議、虹とみどりの会市議、そして「安全保障法案に反対する福島県大学・短期大学研究者の会」の大学教授がマイクを握った。デモ行進は西口から奥州街道まで行って帰ってくる約40分ほどのコースだ。


[動画]戦争法案に反対するデモ@郡山 – 2015.8.23 福島県郡山市(7分58秒)

映像の冒頭、出発したデモ隊がアーケードに入ると次のカットではもうアーケードを抜けているが、これは楽器の音が大きくてスピーチの声が聞き取れず、やむなくアーケードでのスピーチを編集で削った。録音した音声だけでなく、実際の現場でも話が聞き取れなかった。私のようなカメラマンはスピーチを意識的に聞いている。そのような人間でも聞き取れないということは、街の人には届いていない可能性が高いだろう。
楽器はデモを盛り上げるのに非常に役立っていると思うが、時に主張を音量で妨害してしまうことがあるので注意した方が良い。特にスピーチを行なっている時、思い切って楽器は完全にミュート(無音化)してみてはどうだろうか。デモが作り出すサウンドにメリハリがないと街の人は聞き流してしまう。今までしていた楽器の音が止まることにより街の人の耳目を引くことができるし、スピーチの声だけを聞かせることができる。気にし過ぎると何もできなくなってしまうが、少しの工夫や配慮で効果が上がるはずだ。

郡山のデモで特徴的だったのは小気味良いドラムのリズムとクラリネットの旋律に乗ったシュプレヒコールだ。独自に考案されたと思しきものもいくつかあった。語尾に「だばい」をつけた方言コールや、プラカードではよく目にする「アベ政治を許さない」というフレーズも耳にするのは初めてのことだ。中でもハッとしたのは「歴史に向き合え」というコールだった。これは政府与党に対してというより、安倍晋三個人に向けられたもののように聞こえた。
それはスピーチも同様で、スピーチを行なった三人全員が「安倍総理なんかに私の大切な人の命も未来も絶対に渡しません」「この国の主権者は安倍総理ではない」「安倍さんの独裁政治に付き合うのはもうコリゴリです」と言及しており、怒りの的が安倍首相に絞られていた。法案も提出されていない、ましてや国会審議も行われていないことを米国議会で勝手に約束したり、アジア諸国との和解は無視し、米国の政策関係者だけに歓迎されるような70年談話を発表した「歴史修正主義者」の安倍首相を国民はちゃんと見ている。



[2015年8月23日(日)・福島県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《023》戦争法案に反対する若者たち VOL.17 弘前
◎《022》戦争法案に反対する若者たち VOL.16 仙台
◎《021》戦争法案に反対する若者たち VOL.15 秋田
◎《020》戦争法案に反対する若者たち VOL.14 渋谷
◎《019》戦争法案に反対する若者たち VOL.13 福岡

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