タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。

記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号お得)。

ここでは6月号の注目記事2本の一部を紹介します。

◆岸田訪米の能天気は害悪だ! アメリカが狙うアジアの1兆ドル海洋資源
 取材・文◎浜田和幸(国際政治経済学者、元参議院議員)

 

 

 岸田「忖度演説」をよそに米中駆け引きの新展開

4月に国賓待遇で訪米した岸田文雄首相は同11日、米議会上下両院合同会議において「未来に向けて~我々のグローバルパートナーシップ~」と題して演説を行ないました。この演説はロナルド・レーガン元大統領のスピーチライターからのアドバイスを基に、国際秩序維持への米国の貢献を讃えつつ、民主・共和両党の分断を助長しないように配慮したもの。

岸田首相は幼少期にニューヨークの公立小学校に通った当時の思い出に触れながら、日本と米国が「最も親しいトモダチとして、世界の未来を創造する責任を分担して果たしていきたい」と訴えました。これまでの米国の指導力を称賛し、引き続き米国が国際問題で中心的役割を果たすように呼び掛けたものです。

とはいえ、これでは岸田カラーが印象に残らないどころか、「アメリカ頼み」の感はぬぐえません。11月の大統領選挙を念頭に、米国内の分裂や分断にはあえて目を向けないようにし、日米両国がAI・量子・半導体・バイオテクノロジー・グリーンエネルギーなど次世代を切り開く最新技術の発展において協力する可能性に焦点を当てることに腐心しただけでした。

注視すべきは、こうした分野で米国は中国との連携にも関心を寄せているということです。

というのも、同じ頃に中国を訪問していたイエレン財務長官は「中国と米国で世界を2分すればいい」との大胆な提案を繰り広げていました。日本はあくまで「捨て駒」としか見なされてはいないのです。

バイデン大統領は岸田首相や「ボンボン」の愛称で知られるフィリピンのマルコス・ジュニア大統領をワシントンに招き、中国包囲網の形成に力を注ぐ姿勢を見せてはいました。とはいえ、アメリカの本音はあくまで自国の産業最優先。中国の脅威をことさらに煽ることで、米国製の武器を日本やフィリピンに大量に売りつけることにあることは疑いの余地がありません。

日本では関心を呼びませんでしたが、ワシントンでの日米比3カ国首脳会談の直前には、アメリカのレモンド商務長官一行がフィリピンの首都マニラを訪問し、同国周辺の海洋資源開発のためのファンドを立ち上げることを明らかにしています。

実は、フィリピン沖合の天然ガスや石油などの資源には、中国も日本も前々から大きな関心を寄せてきました。アメリカ政府はこうした資源を中国や日本の資金と技術で開発し、自国のエネルギー企業の利権に直結するように働きかけているのです。

しかし残念ながら、岸田首相にとっては、フィリピンの資源を巡るアメリカと中国の駆け引きは関心外の模様で、情報収集のアンテナが向けられていないことが歴然としました。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nda41dedeaeff

◆TSMCが熊本の水を殺す 半導体工場がもたらすPFAS汚染 
 取材・文◎本誌編集部(【特集】隠蔽される「健康被害」より)

 

 

 なぜ半導体工場はアジアに集中するのか

コンピュータやスマートフォン、家電から車まで、多岐に渡る製品に必要な「産業のコメ」と呼ばれる半導体が、世界で深刻な供給不足に陥っているといわれてすでに久しい。

そうした状況下、「世界最大のファウンドリ(半導体委託製造メーカー)」であるTSMC(台湾積体電路製造)が熊本県菊陽町に進出し、第1工場が竣工。2月24日に開催された開所式には齋藤健経済産業大臣や蒲島郁夫熊本県知事(当時)らが出席した。隣接地には2027年の稼働開始を目指し、第2工場の建設も決定されている。

地元では新駅や高速鉄道建設も計画され、「食堂のパートの時給が3000円」「3000万円の庭付き一戸建てが6000万円に爆上がり」といった景気のいい報道が続き、「空前の半導体バブル」ともてはやされている。

ただし、冷静になって考えれば、いくつかの大きな疑問がわく。

まず、半導体製造が、それほど重要で雇用を生み出し、利益をもたらす産業であるなら、なぜ欧米ではなく中国・台湾・韓国、そして日本に集中するのか、ということだ。

国・地域別に見た場合、半導体の生産能力は、トップの台湾が21.6%、韓国が20.9%、日本が16.0%、中国が13.9%(IC Insights、19年)。実に72%をこれらアジアの国・地域が占めている。米国は12.8%でも、欧州は全体で5.8%にすぎない。欧州は1990年代、世界の半導体産業の44%を占めていたとされる。米国も同時期は37%だった。

半導体製造の主要地は、なぜアジアに移動したのか。その大きな原因が、半導体工場に勤務する労働者を襲った健康被害だといわれる。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n474afde43b23

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

『紙の爆弾』2024年 6月号

岸田訪米の能天気は害悪だ!アメリカが狙うアジアの一兆ドル海洋資源
次期戦闘機の第三国輸出解禁 日本を「兵器産業国家」にする公明・創価学会の“貢献”

【特集】隠蔽される「健康被害」
TSMCが熊本の水を殺す半導体工場のPFAS汚染
がんを引き起こし脳の働きを阻害する遺伝子組換え食品によるこれだけの危険
小林製薬「紅麹問題」で少なくとも言えること
開業延期」ではなく「計画中止」を リニア新幹線「電磁波と白血病」

「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子 暴かれた“女帝”の虚像
裏金事件でも自民党で“岸田降ろし”が起きない理由
「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
一水会50年は、対米自立実現の橋頭堡である
事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
“制裁ありき”の駄文判決 岡口基一判事弾劾裁判「多数決で罷免」の異常
ジュリー前社長が手放さないジャニーズファンクラブ巨額の行方
失言バカ政治家の傾向と対策
改憲派2社以外も“軍拡肯定”2025年度中学教科書 防衛省の広報誌化
シリーズ 日本の冤罪50 北方事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D33BMRD4/

前田和男さんは鹿砦社創業メンバーの一人、現在ただ一人生き残っている方です。当時、創業時の社長・天野洋一(故人)らと『マルクス主義軍事論』などを編纂し、最近では『続全共闘白書』を編纂したことで有名です。

昨年前田さんは、『昭和 街場のはやり歌 ── 戦後日本の希みと躓きと祈りと災いと』を刊行、好評を博しました。このたび、その続編が刊行され届きました。

詳しい内容は省きますが、書店で手に取って、どうぞご購読お願いいたします! または、私への手紙(下記)の末尾に記された前田さんの事務所に直接ご注文ください。

鹿砦社 代表
松岡利康

前田和男『続昭和街場のはやり歌 ── 戦後日本の希(のぞ)みと躓(つまず)きと祈りと災いと』彩流社刊 A5判 240ページ 定価2420円〔税込み〕

前田和男さん(2019年、鹿砦社創業50年インタビューの時のもの)

本に挟まれた前田さんから松岡への手紙 ※書籍のご注文は、〒102-0072 東京都千代田区飯田橋4-10-1 セントラルプラザ507 同文社気付 Tel.03-5228-2140

朝日新聞2023年11月4日付け朝刊読書欄

連休の5月3、4日、石川県の能登半島に行ってきました。ボランティアでなくて申し訳ないが、石川県の珠洲市(すずし)で30年もの間、住民の皆さんと原発建設の反対運動を闘い、2003年ついに計画を凍結に追い込んだ(凍結が解凍出来ないから結果中止)元石川県議・元珠洲市議で現在「志賀原発を廃炉へ!訴訟」の原告団長・北野進さんにお話を聞くためにです。北野さんからお聞きしたお話などはまたなにかの機会に紹介出来ればと思います。

 

『季節』2024年春号 表紙は関西電力が珠洲原発の立地可能性調査を予定していた区域にある高屋漁港の状況。1月1日の地震後、2メートルほどの隆起を指し示す北野進さん

もうひとつの目的は、珠洲市で原発建設が予定されていた高屋(たかや)と寺家(じげ)地区が地震でどのような被害を受けたか、さらには鹿砦社発行の反原発季刊雑誌『季節』39号(2024年3月発売号)の表紙及びグラビアで北野さんが指し示していた珠洲原発建設予定地の海底の隆起状況などを、この目で確認したかったからです。

現地に住んでいない私にとって「海底が隆起した」と言われても(凄いなとは思うものの)見た目ではなかなかわかりにくかったのですが、実際の現場で、「尾崎さん、ココは以前は海だったんですよ。それが今は隆起して海面からでてるんですよ」と説明され、自分でもそこを普通に歩いていると、「ここは海底なんだ」と不思議な気持ちになりました。

もともと能登半島の歴史を調べると、地震などで隆起、隆起を繰り返し、今の半島が形成されています。それでも今いる住民は海底が隆起したのを見るのは初めてで、住民は最初見たとき、潮が引いて海底が見えていると考えたそうです。そして「では、大きな津波が来るのか」と心配していたところ、それが海底の地盤の隆起とわかったそうです。光にあたるとどんどん白くなるそうです。

珠洲の狼煙から輪島方面にかけて150キロもの長い間隆起し、幸運なことに志賀源波の少し手前で止まっていたといいます。一番高いところでは4メートルも隆起したそうです(ちなみに福井県では過去に5メートル隆起した箇所があるそうです)。周辺の人々は一晩にして目の前の光景がかわったことになります。それだけ激しく強く力が働いたということです。恐ろしいことです。珠洲に原発が建設されていたら……元旦の大地震で珠洲市、能登半島、石川県どころか関西一園が壊滅していたでしょう。

珠洲市寺家地区で原発の建設予定地にカメラを向ける北野さん。先端の白い建物は「ランプの宿」

北野さんが指差す岩近くまで海だった。元旦の地震で海底の地盤が歩けるようになった

北野さんが指差すあたりまで隆起した

本当に本当に珠洲市の皆さん始め、周辺の原発反対を訴える方々の闘いのお陰です。ということで、珠洲の皆さんの闘いを知ろうと北野さんに連絡しました。正直、私は珠洲という地域で昔、原発建設を止めた人たちがいるらしい程度の知識しか持ち合わせていませんでした。多忙な北野さんにあわせて急遽珠洲行きがきまったので、慌てて関連記事、資料などを読み込んでいきました。

2日間に渡ったのは、前日金沢まで入らないと取材は無理とわかったからです。珠洲市には国鉄高速バスが通ってますが、震災前3往復あったものが現在は1往復のみ。朝7時15分に金沢駅を出発し、珠洲市役所、終点未知の駅「すずなり館」に着くのが11時過ぎ。帰りは3時ジャストがあり、それに乗ると金沢から大阪に戻れるということで、3日は扇町公園の憲法集会でチラシまきをして、すぐに金沢へ向かいました。

7時15分金沢駅発のバスに乗ると、隣に座った70代の女性も珠洲へ行くとのことで、いろんなお話を伺いました。女性の家は海岸から100メートル位のところにあり、津波被害にあいました。女性はちょうど輪島の親戚宅にいて津波の難は逃れました。近くで亡くなった方もいたそうです。

能登半島では昨年も一昨年も震度5弱、6弱の地震がおこり、女性の家でもあちこち損傷したため、少しづつ直し、最後に床を直してもらう業者に予約をいれていたところだそうです。しかし、今回の地震で津波被害に遭い、家はぐしゃぐしゃになったそうです。震災後、女性は富山の親戚宅に住みながら、ときおり珠洲に用事に来るそうです。

「今日は家に荷物を取りにいくのですか?」とお聞きしたところ、「違うの。役所で家を解体してもらう手続きですよ。もう住めない。荷物も取り出せない。荷物というのは入れる家があって持ちだせる。持ってきたいものはあるけどね。家に帰っても目をつむって置いてくるの」。

目をつむって置いてくる……辛すぎます。(5日の夕方のニュースで珠洲市での家の公費解体の受付のようすを放送していました。先月30日時点で申請数は1万279棟、うち解体が完了した家は全体の1%の129棟だそうです。朝会った女性には帰りのバスでもお会いしましたが、なかなか手続きが進まないと嘆いておりました)。
 

珠洲市内、原発建設予定地近くで多くの家屋が倒壊、半壊していた。連休で片付け作業に来る方々の姿もチラホラ

北野さんの家で2時間ほどお話をお聞きし、そのあと原発建設予定地だった寺家地区と高屋地区を案内してもらいました。2つの地域は近くだと思っていましたが、ずいぶん離れています。もし原発が出来ていたら「柏崎刈羽原発」のように「高屋寺家原発」と呼ばれていたかもしれません。

また道路も陥没したり、マンホールが隆起していたり、崖くずれの大きな石がどーんとあったりして移動に時間を取られ、ゆっくり回ってみるには時間が足りませんでした。それでもどのようにして珠洲の皆さんが闘い、原発の建設をやめさせてきたかの貴重なお話はたっぷり聞いてまいりました。記事を楽しみにお待ちください。

北野進さんと著書『珠洲原発・阻止へのあゆみ―選挙を闘いぬいて』(七つ森書館 2005年)

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

『季節』2024年春号 表紙は関西電力が珠洲原発の立地可能性調査を予定していた区域にある高屋漁港の状況。1月1日の地震後、2メートルほどの隆起を指し示す北野進さん

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最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

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本稿は、携帯電話基地局から放射させる電磁波をめぐる電話会社と住民のトラブルに焦点を当てた連載の後編である。前編では、電磁波による人体影響を科学的な観点から説明した。電磁波に関するフェイクニュースの氾濫を踏まえたうえで、電磁波の何が問題なのかを指摘した。

携帯電話基地局から放射させるマイクロ波の何が問題なのか?〈前編〉

◆楽天モバイル、天井裏に基地局を設置

 

大宮ファーストプレイスタワー

JR大宮駅(さいたま市)の周辺には、商業施設やマンションが立ち並ぶ。その一角に空を背に聳える大宮ファーストプレイスタワーがある。25階の高層マンションである。戸数は179戸。

2023年の秋、楽天モバイルは、この集合住宅の管理組合に対して、建物内に5Gの基地局を設置する案を打診してきた。賃料は、最初は月額3万円を提示し、後日、4万円に改めた。設置場所は、1階ロビーの天井裏である。

天井裏に基地局を設置する手法について、わたしはかねてから違和感を感じていた。このタイプの基地局の存在をわたしが知ったのは2年ほど前だった。やはり楽天モバイルの基地局で、大阪市の住民から相談があったのが発端だった。その後、何人かの住民が同じタイプの基地局について、わたしに相談してきた。

楽天モバイルが管理組合に提出した基地局の位置と電磁波の照射方向を示すイメージ図によると、照射範囲は1階のロビーになっている。注意書は、次のように記述している。

「今回の電波対策はスポットでのアンテナ設置の為、局所的なサービスとなり、マンション全体への電波対策ではない」

楽天側が提示した基地局の設置場所を示す資料

4月5日、わたしは現地を取材したが、1階は平日ということもあり利用者はほとんどいなかった。ソファーは設置してあるが、生活空間というよりも住民の「通路点」に近い。その空間を限定的に5Gのエリアにする理由が理解できなかった。

念のために楽天モバイルの担当者に電話で、基地局が網羅する範囲について確認したところやはり、1階のロビーが5Gの対象だという。基地局を屋根裏に隠して、建物の外もカバー範囲になっているのではないかと考えて、楽天モバイルの担当者に電話でこの点を問い合わせてみたが、この推測も否定された。マンションのロビーが照射範囲なのだという。

さらに楽天モバイルの広報部にも同じ問い合わせをしてみたが、回答はなかった。

◆住民の生存権よりも電話会社に配慮

大宮ファーストプレイスタワーの基地局問題では、もうひとつ疑問点がある。

基地局の設置を許可するか否かはマンションの管理組合が決める。その際、総会を開いて採決を取らなければならない。建物の形状を変える場合、住民定数の4分の3の承諾を得なければならない。ただし、管理組合の規約に定数を2分の1とする条項があれば、規約を優先することもできる。

大宮ファーストプレイスタワーの管理組合は、2023年12月24日に、臨時総会を開き、基地局の設置を可決した。賛成者は4分の3に満たなかったが、2分の1には達していたので、設置が承認されたかたちとなった。

これまでわたしが取材したケースでは、基地局設置の賛否を4分の3で採決して、計画が中止になったケースが何件もある。ところが最近は2分の1の採決が採用されるケースが増えている。電磁波(低周波音を含む)に対して繊細な住民がいれば、住民の生存権を優先しなければならないが、なぜか管理組合が基地局を設置する方向で積極的に動くことが多い。
 
基地局が稼働した後、住民のAさんが体調不良を訴えた。頭痛、胸痛、耳痛、目がチカチカするなどの症状などが現れたという。基地局からのマイクロ波を直接受けているわけではないが、基地局を設置すると相対的に生活空間の電磁波は強くなる。電磁波に過敏な体質の人には影響が現れる。

楽天モバイルは、管理組合が基地局の撤去を決議した場合は、無料で応じるとしているが、Aさんには、それまで体調不良を我慢するか、他の場所に引っ越すかの選択肢がない。

◆三菱地所が介在、ソフトバンクが事業を推進

 

ライブタワー武蔵浦和

さいたま市南区でも基地局の設置をめぐるトラブルが起きている。トラブルの現場は、JR埼京線の武蔵浦和駅に隣接した商業施設にある38階のタワーマンションである。ライブタワー武蔵浦和という名称だ。

このケースには、なぜか三菱地所が関与している。三菱地所がライブタワー武蔵浦和を管理しているわけではないが、問題の発端はこの不動産大手である。

発端は、2022年の秋だった。三菱地所は、ライブタワー武蔵浦和に対して、共有部数に基地局を設置する案を打診してきた。それを受けて管理組合(理事長は自由法曹団系の東京法律事務所の弁護士)は、設置の方向で検討し始めた。基地局を設置する電話会社は、ソフトバンクと楽天モバイルである。ただし、楽天モバイルは途中で計画を中止した。

このケースで特徴的なのは、大手の不動産会社が基地局の設置場所を探して、電話会社に仲介する役割を担った事実である。わたしが知る限り、マンションの管理会社が電話会社に基地局の設置を打診してトラブルになった例はあるが、第三者の不動産大手が介在した例はない。三菱地所は、今後、こうした仲介がビジネスとして成立すると見込んでいる可能性が高い。住民にとっては迷惑な話である。

この集合住宅に住むBさんは、管理組合の理事会に対して計画の白紙撤回を求め続けている。電磁波による人体影響を受けやすい体質なので、基地局が稼働した場合の体調の変化を心配しているのだ。しかし、4月25日の時点では、設置の方向で話が進んでいる。採決は臨時総会で行われるという。

わたしは三菱地所、ソフトバンク、それに管理組合の理事長に書面でいくつかの質問を送付した。三者に共通した質問のひとつに電磁波の安全性に関するものがある。次の質問である。

「総務省が設置しているマイクロ波の規制値は、1000μW/c㎡(マイクロワット・パー・平方センチメートル)となっており、たとえば欧州評議会の0.1μW/c㎡に比べて、1万倍も緩やかに設定されています。1000μW/c㎡でマイクロ波による人体影響がないと考える科学的な根拠を教えてください。」

三者とも揃って回答を拒否した。かつては日本弁護士連合会も、基地局問題を重大視して集会を開催するなどしていたが、現在は沈黙している。マイクロ波による人体影響が認められないことが分かった結果、この問題を回避するようになったというのであれば理解できるが、欧州では以前にも増してマイクロ波の遺伝子毒性が問題になっている。5Gの推進をペンディングにしている自治体もある。

日本には電波通信網の普及という国策があるにしても、どこかで歯止めをかけなければ、人類は高いリスクを背負うことになる。住民の健康よりも企業の利益を優先することがあってはならない。住居を台無しにしてはいけない。

黒薮哲哉 携帯電話基地局から放射させるマイクロ波の何が問題なのか?
〈前編〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=49690
〈後編〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=49765

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉のタブーなき最新刊!『新聞と公権力の暗部 「押し紙」問題とメディアコントロール』

黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』(鹿砦社)

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2003年1月16日、京都市下京区の俳優の平野義幸さんの自宅で火災が発生し平野さんと内縁関係にあった女性が焼死しました。その後、平野さんは放火・殺人罪で逮捕・起訴されました。

 

平野義幸さん

平野さんは1992年から大地義幸の名前で俳優活動を始め、「新・仁義なき戦い」「荒ぶる魂」などに出演していました。しかし、火災事故が起こる数年前、平野さんは、妻、親友だった菅原文太さんの息子さん、先輩俳優らを立て続けに亡くし自暴自棄になっていました。そんな時、平野さんが再び俳優業をやれるよう背中を押してくれたのが焼死した女性でした。「恩人を殺せる訳がない」。平野さんは一貫して無実を訴えています。

しかし、京都地裁は平野さんに懲役15年を言い渡した。15年と短かったのは、裁判官の中に平野さんは無実と主張した人がいたのではと、当時の弁護団は述べていましたが、その後大阪高裁は「平野さんが反省してないから」と無期懲役を言い渡しました。その後最高裁で刑が確定、平野さんは現在徳島刑務所に服役しています。

平野さんには、同じ放火殺人で娘を焼死させたとして逮捕された東住吉事件の冤罪犠牲者・青木恵子さん(その後再審で無罪が確定、国賠で一部勝訴)が定期的に面会に訪れています。筆者も青木さんを通じて平野さんを知り手紙のやりとりなどを行っています。

そして現在、青木さん、平野さんの無実を晴らすために、現在青木さん、映像ジャーナリストの二村昌弘さん、そして原審を担当した堀和幸弁護士(京都弁護士会)らとともに再審に向けた準備を進めており、その第一歩として、以下の実験を行う予定です。

警察、検察は、当時ストーブはついてなかったが(極寒の京都でそんなことがあるでしょうか?)、平野さんが女性を焼死させるため灯油をまき、火をつけたと主張。一方、平野さんは2階のストーブ近くに灯油がこぼれていたため危険だと思い、1階に灯油を拭くタオルなどを取りにいったが、その間に2階で何らかの原因で火災が発生、女性が焼死したと主張した。

火災発生時、平野さんは必死で女性を救助しようとし、自身も火傷を負っています。しかし、2階は既に火の海で救助出来ず、その後表にでて周囲に救助を求めました。平野さんが燃え盛る家に入ろうとするので「このままではヨシ君(平野さん)が危ない」と近所の人たちが平野さんに膝カックン(膝の後ろを押してひざまずかせる)して止めていたことも確認されています。

今回行う予定の実験と、そのための2つの情報提供を堀弁護士が訴えています。多くの皆様に読んで頂き、情報提供にご協力をお願いしたいと存じます。どうぞ宜しくお願い致します。 

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【情報提供のお願い】

 

シャープ石油ストーブ「HSR-24L」取扱説明書

平野義幸さんの再審請求を担当している弁護士の堀和幸です。前回に続いてのお願いで恐縮ですが、2点、情報提供していただきたいことがあり投稿させていただきました。

【1】シャープ製・石油ストーブ提供のお願い

平野さんが放火したとされた部屋には石油ストーブがありました。この石油ストーブが、再審請求する際に大きな役割を果たすと考えているのですが、残念ながら現物はすでに廃棄されています。もし同型の石油ストーブをお持ちで、不要だという方がいらっしゃいましたら、ご提供いただきたいと考えております。

「シャープ製 石油ストーブ/型番:HSR-24L」
(2000年販売開始、2007年に製造打ち切り)

【2】石油ストーブの構造に詳しい技術者の方を探しています

もう一点は、このシャープ製の石油ストーブの設計、製造に関わっていた技術者の方を探しています。石油ストーブの構造や「対震自動消火装置」についてぜひお話を伺いたいことがあります。現在、シャープは石油ストーブの製造を行っていないため、技術的な問い合わせに対応できないと言われています。もし該当する技術者の方がいらっしゃいましたらご連絡いただけると幸いです。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

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▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

4月11日に米国議会上下両院合同会議で「日本は控えめな同盟国から、強くコミットした同盟国へと自らを変革してきた」「日本はすでに、米国と肩を組んで共に立ち上がっている。米国は独りではない。日本は米国と共にある」などと演説した岸田文雄首相。米国の“覇権”に非西側陣営はもちろん米国内からも疑問が呈されるなか、それでも日本は支えるから、心配せずにそのまま邁進してほしい、という“心中宣言”です。

であれば、日本のメディアが繰り返し報道した「十数回のスタンディングオベーション」はどういう意味だったのか。とくに、イスラエルと同国を支援する米国政府に対する抗議の声は全米で高まり、政府や企業が時に弾圧と呼べる手段でそれを抑圧しています。議場にいた議員たちも、米国が永遠に“唯一超大国”ではいられず、そのことが自らの首を締めつつあることを認識しているはず……そう考えると背筋に冷たいものが走りますが、岸田首相やその取り巻きは議場の反応に大満足したようでした。

しかし、そもそも議場はどういう状態だったのか。そして、岸田首相の演説原稿はどのように作られたのか。日本のメディアが報じなかった実際のところを、今月号で元外務大臣政務官の浜田和幸氏が明かしています。

同時に指摘するのが、米国が日本を踏み台にして狙うアジアの利権です。詳細は記事をお読みいただければと思いますが、少なくとも米国にとって日本は「肩を組んで共に立ち上がる」存在ではないようです。

今月号では、大谷翔平通訳・水原一平事件の背景にみられる国際的なカジノ・ネットワークやヒューマン・トラフィック(人身取引)ネットワークについて指摘。WHO(世界保健機関)やコロナワクチン(mRNAワクチン)に象徴される「医療」、日本も参入する「兵器」も含めて、それら国際ネットワークの“市場規模”の大きさに驚愕するところです。そして現状を凝視すると、むしろ政界や官公庁は、その下にかしずく存在に見えてきます。

特集では、半導体製造の必需品として工場からの漏洩の可能性が指摘されるPFAS、身の回りの電子機器から発生する電磁波、食物・作物の遺伝子組み換えなどによる「健康被害」を考えました。またコロナワクチンの危険性が周知されつつあるなかで起きた「紅麹」問題にも、独自の視点で解説を試みました。それらはいずれも、人命を利権化する行為といえます。「利権」であって「経済」ではない点も、強調したいと思います。また事態は日本国内にとどまるものでもありません。

4月号で自民党裏金事件における「検察捜査の穴」を指摘した郷原信郎弁護士が、上脇博之・神戸学院大学教授とともに、丸川珠代参議院議員と清和政策研究会代表で会計責任者の松本淳一郎氏を政治資金規正法違反等で3月28日に東京地検に告発。同法の問題点を知る郷原弁護士だけに、その後の展開が注目されるところです。

一方、裏金事件で政権と自民党の支持率が低下しても、議員は逃れ、その間にも自創強力で第三国への戦闘機輸出、重要経済安保情報保護活用法(前号参照)、日本版DBS、改正NTT法など、日本の国としてのかたちを変えるいくつもの法やルールの成立・改悪が進んでいます。それぞれ問題を把握するとともに、その裏にある仕組みにも迫らなければなりません。

ほか、もの言う裁判官・岡口基一判事を「罷免」とした弾劾裁判の内実をはじめ、小池百合子東京都知事の“虚像”、ジャニーズ巨額収益の行方など、5月号も多様なテーマに斬り込んでいます。全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

『紙の爆弾』2024年 6月号

岸田訪米の能天気は害悪だ!アメリカが狙うアジアの一兆ドル海洋資源
次期戦闘機の第三国輸出解禁 日本を「兵器産業国家」にする公明・創価学会の“貢献”

【特集】隠蔽される「健康被害」
TSMCが熊本の水を殺す半導体工場のPFAS汚染
がんを引き起こし脳の働きを阻害する遺伝子組換え食品によるこれだけの危険
小林製薬「紅麹問題」で少なくとも言えること
「開業延期」ではなく「計画中止」を リニア新幹線「電磁波と白血病」

「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子 暴かれた“女帝”の虚像
裏金事件でも自民党で“岸田降ろし”が起きない理由
「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
一水会50年は、対米自立実現の橋頭堡である
事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
“制裁ありき”の駄文判決 岡口基一判事弾劾裁判「多数決で罷免」の異常
ジュリー前社長が手放さないジャニーズファンクラブ巨額の行方
失言バカ政治家の傾向と対策
改憲派2社以外も“軍拡肯定”2025年度中学教科書 防衛省の広報誌化
シリーズ 日本の冤罪50 北方事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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◆NJKFの新エース、嵐とは

嵐(坂本嵐/2005年4月26日、東京都出身)は、今年2月11日にNJKFバンタム級王座決定戦で、甲斐元太郎(理心塾)を第2ラウンドにヒザ蹴りをボディーに炸裂させ倒し切るTKO勝利で王座獲得。興行MVPでNJKF(ニュージャパンキックボクシング連盟)のエース格へ頭角を現した。

チャンピオンとなって最高のチームと並ぶ(2024.2.11)

その評価で4月7日は初のメインイベンターとなったが、前日計量記者会見で語ったのは「そのうち全てのチャンピオンを倒していく。その最初の相手は桂英慈選手になる!」と宣言したが、その桂英慈に主導権を奪えない苦戦の引分け。早速壁にぶち当たった感のある中で、11月のNJKF祭り(総決算)に向けて、今年のエース格は担い続けなければならない。

桂英慈に苦戦の引分け、再戦があれば雪辱したい相手(2024.4.7)

3年前だが16歳の嵐。2戦目、悠戦(2021.6.27)

絆興行での5戦目、玉城海優に2ラウンドKO勝利(2022.4.24)

9戦目、倒れた相手に挑発、KAZUNORIに判定勝利(2023.6.4)

◆凶暴性ある心優しい子

嵐が5歳の時に入門したキングジムでは7人目のチャンピオン誕生となった中、3月17日に江戸川区のタワーホール船堀で嵐のNJKF王座獲得祝賀会が行われました。

嵐は御挨拶で「2月11日にはNJKFバンタム級チャンピオンと成っても全然こんなところで満足していないし、俺はNJKFをトップ団体に連れて行って、必ず最終目標である世界制覇を成し遂げ、キングジムという最高のチームと自分を応援してくれる最高の応援団に必ず日本のトップの景色を見せようと思っているので、御支援応援宜しくお願い致します。」と力強い宣言。

更にステージ上ではお母様に「生まれてから18年、非行に走ったり、格闘技をやりたいと言い出した時に、真剣に向き合って話し合って、見捨てることなくここまで育ててくれて有難う。」と感謝の言葉を述べた。

嵐のお母様は「チャンピオンベルト獲った時もそうなんですけど、想像も出来ないことやってくれるので、いつも胸が熱い想いをさせられています。とても心優しい子なんですけど、キックボクシングをやると決めて、今迄ずっと頑張って来てくれたので、これからも応援宜しくお願い致します。」と息子への想いを語った。

昨年11月12日のNJKF興行のセレモニーでは、今年2月11日興行の東西対決で対戦する甲斐元太郎(理心塾)と対峙し乱闘寸前の罵り合いを起こした。その東西対決の前日計量では「あいつを殺します!」と物騒なアピールをして一人先に退席する悪役っぷりを発揮。しかし試合はクリーンファイトで技量を見せ付け、「チャンピオンは俺を産んだ母!」と母の腰にチャンピオンベルトを巻いた親孝行ぶりを見せたのは、すでに試合レポートで述べたとおりである。

ここまで13戦11勝(5KO)2分……(不戦敗は加えません)

嵐と甲斐元太郎の舌戦(2023.11.12)

 

甲斐元太郎の心臓にヒザ蹴り炸裂(2024.2.11)

◆カオマンガイ嵐としてデビュー?

現・キングジム、羅紗陀会長が語る嵐について、ジムに入った5歳の頃、当時はまだ現役で、コーチでもあった羅紗陀氏に後方からカンチョーしたり、股間を殴って来たりの腕白坊主。でもキックボクシングの才能はピカイチで、同時に学校の成績も良かったが、キックボクシングに専念したいということで勉強しなくなった様子も、何をやるにも意志の強い子だったという。

NJKFで始まったアマチュア大会「EXPLOSION」で嵐は2015年の第一回から出場。大会実行委員長の米田貴志氏は、「この頃からすでに嵐選手は強くて上手いと思っていました。」と語る。

しかしアマチュア時代はトントン拍子で来た訳ではなく、小学校高学年になると、アマチュアのタイトルマッチで連敗喫して、次のタイトルマッチで負けたら辞めるという中、最後の最後でアマチュアのベルト獲った時には、嵐本人やお母さん、周囲の仲間らが皆泣いたという感動も懐かしいという羅紗陀会長。

(2018年2月4日、EXPLOSION第5代37kg級王座。2019年12月15日、第8代50㎏級王座獲得)

そしてプロに上がって試合を重ねていく毎に、キックボクシング、ムエタイ、ボクシング、それを融合したハイブリットな嵐に成長していった。

王座獲得祝賀会で貼られた4月7日興行ポスター、18歳がメインイベンター(2024.3.17)

プロデビューは2021年(令和3年)3月7日、3回戦で判定勝ち。リングネームは名前だけの“嵐”。

向山鉄也名誉会長(前会長)は、「嵐がデビューする前に、リングネームをどうするか、どうしたら名前が売れるかなと、『嵐、お前タイ料理で何が好きだ?』と聞いたら、『カオマンガイ』と言うから「カオマンガイ嵐」にしようと決めてエントリーしたのに、試合当日のプログラム見ると名前が替わっていて、この会長差し置いて連盟に直訴して“嵐”に替えていた」という。

キングジムは向山会長の趣味で、歴代からヘンなリングネームを付けられる慣習があった為、これを回避しようと先回りしたなら、嵐は試合のような相手の作戦を読んで先手を打つ才能を持ったキックボクサーであろう。

◆今後のストーリー

向山鉄也氏は続けて、

「嵐はこれからが本当の勝負で、世界平和? いや、世界制覇か、この最高峰を目指しているということで今、軽量級で世界一になっている奴、それが吉成名高(ムエタイ二大殿堂同時制覇、二階級制覇)。それがめっぽう強い奴なので、これに勝てば嵐の夢も達成出来ると思います。今はまだ早いんですけど、2~3年もすれば名高もバンタム級に上がって来るだろうと思うので、そこで名高との試合を観たいなと思いますね。そこで嵐が勝てば一番ですけど、そこまで行くのにこれから一日一日、本当に血の出るような努力が必要。まあこれから嵐は今からどんどん新たなストーリーが始まっていくので、皆さんもこいつの生き様を最後まで見届けてやって、後楽園ホールに応援に来て頂ければと思います。」

と実現可能ながらも険しい日々となるストーリーを語っていた。

キングジム前会長の向山鉄也氏とツーショット、孫の世代の歳の差(2024.3.17)

先日4月7日の桂英慈戦は格下相手かと思われる中、首相撲が強く、相手の持ち味を殺してしまう上手さがある選手だった。嵐はテクニックや圧倒的な攻撃力があるが、スタミナ的な不安が指摘された。今後はタイトルマッチを含め、ノンタイトル戦でも5回戦が増えて来る可能性も大いにあり、スター性も充分あるので我武者羅に練習して今後に繋げて貰いたいものです。

格闘群雄伝で現役選手を扱うのはプロアマ含め、嵐で二人目でした。現役選手という存在は今後の運命が全く分かりませんが、嵐はここから大きく飛躍すると見据えての御登場でした。

世界制覇にもいろいろな道程がある中、向山鉄也氏が期待する吉成名高戦の実現まで“チャンピオンの終わりなきトーナメント”を現役最後まで見届けたいものです。

祝会で披露したミット蹴りでコーチを圧倒(2024.3.17)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年5月号

世界で唯一、広島にだけあった乗り物「スカイレール」が2024年4月30日、26年の歴史に幕を閉じました。

 

「スカイレール」は神戸製鋼所と三菱重工が開発した、モノレールのような軌道に小さなゴンドラを吊り下げて運行する乗り物でした。

1998年8月、積水ハウスなどが開発した約2200世帯、人口7700人の「住宅団地スカイレールみどり坂」のみどり中央駅とみどり口駅(JR山陽線瀬野駅)の1.3km、高低差130mを5分、片道170円で結んでいました。山陽線を通じての通勤客はもちろん、小中学生も登下校の手段として使っていました。

特徴としては、悪天候に強いことがあげられます。西日本大水害2018では被災地に向かうボランティアを輸送するなど活躍していました。また、1998年の運輸白書でも、今後の活躍が期待されていました。

しかし、利用者数が低迷し、赤字が累積する一方でした。それでも、地域の交通手段として貴重であれば、行政の補助などで存続もあり得たでしょう。しかしながら、世界で唯一ということで、部品業者にとってはマーケットが極めて小さい=商売にならない=ということで、部品業者が撤退してしまい、設備の更新が困難になったことが決定だったようです。

2024年3月からは、すでに電気バスが先行して運行しており、瀬野駅までの交通手段となるそうです。確かに、スーパーにも寄るなど、バスの方が便利です。ただ、運賃はバスの方が200円と、スカイレールより高くなっています。

 

筆者は4月28日にスカイレールに乗車しました。この日は、夜勤明けで、かなり眠かったのです。しかし、翌日29日は雨だということで、それなら、今日のうちに行ってみようと思ったのです。

ちなみに安芸区は、筆者の妻の実家もあります。広島市西区の勤務先から自転車で東区の自宅に帰宅した筆者は、妻と二人で、自宅の最寄りの広島駅から山陽線に乗り、瀬野駅へ向かいました。そして瀬野駅で降りると、接続しているスカイレールの「みどり口駅」に向かいました。

このスカイレールはICOCAなどICカードが使えません。この点が不便と感じました。一々、切符を買わないといけないのです。その切符を買うのに並んでいる人がたくさんおられました。

時刻表を見ると15分おきにしか運行していません。前の人が切符を買っているうちに発車時刻が過ぎてしまい、がっかりしてしまいました。それでも気を取り直して、改札に向かいました。切符のQRコードを機械にかざすのがスカイレールの改札方法です。改札を過ぎて階段を上がると、なんと、次から次へとゴンドラが登場していました。混雑しているときには臨時便を運行する。これがスカイレールなのです。

筆者たちがゴンドラに乗り込むと、すぐに出発しました。グーンと上に上がっていく感じがしました。たしかに、ゴンドラからの眺めは最高でした。

「みどり中央駅」で降りると、周囲は瀟洒な住宅街でした。「きれいな家が多いね」と妻も感想を述べました。

みどり中央駅の近くには電気バスの車庫もありました。ただ、駅の周りには商業施設などはなく、たしかにこの点は不便だな、と感じました。みどり中央口駅には町の地図もあり「スカイレールタウンみどり坂」と、文字通り、スカイレールがこの街の象徴だったことを強く感じました。

広島県内もご多分に漏れず、高い場所にある団地の交通手段の確保が焦眉の急となっています。バスは運転手不足。アストラムラインのような軌道系交通の駅までは距離がある。一方で、高齢化の中で、住民の皆様の車の運転が困難になってきている。八方ふさがりの状況もありました。無人運転ができていたスカイレールは、これからを担う交通システムになった可能性もあったのでしょうが、残念ながら、この路線だけだったために、部品業者が撤退してしまったのが痛かったということでしょう。

いずれにせよ、住民の移動の権利を保障するため、今後も県民的な議論を進めるとともに、国にも地方交通の維持へ向けて財源などの面でのバックアップをお願いしたいものです。
 
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年5月号

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/

5月12日(日)、「西成青い空カンパ」で久々の企画を催します。

今回は、福島県浜通りで進む「福島イノベーション・コースト構想を監視する会」の和田央子(なかこ)さんをお招きし、「福島イノベーションコースト構想が進める惨事便乗型の軍事ビジネス」と題した講演会を大阪・浪速区の「ピースクラブ」で開催いたします。

私は2019年、この構想が進む浪江町請戸地区を訪れました。請戸地区は津波に根こそぎ流さられ、広大な更地と化しており、そこに何やら大きな工場、建物が建てられていました。当時、構想の全貌まではわかりせんでしたが、神戸の震災で焼け野原になった長田地区で行われた「復興」が、結局住民のためではなく、土建屋を肥え太らすものになったのではないかとみていた私は、請戸地区で進む「復興」もゼネコン、大企業が儲けるものになるだろうと考えました。同じことは、3・11以降、仲間と支援してきた福島県飯舘村の復興でも良く見てきたからです。

次々とハコモノが建設され進む飯舘村の復興には、あの原発メーカーである三菱や東芝が関わっていました。原発を動かしては儲け、壊して(壊れて)しまってからもまた儲けようという連中については、一昨年逝去された飯舘村前田地区の元区長・長谷川健一さんが著書「原発にふるさとを奪われて」に、こう書かれています。

「原発事故で多大な損害を受けた村が、原発で禄を食(は)んできた彼らの世話になる理由などないからです。そもそも彼らは抗議をする相手なのであって、世話になるパートナーではないのです」

この言葉を肝に銘じなければなりません。

またそのあとになりますが、小さな反原発の学習会で、浪江町から関西に移住してきた方が、寂しそうに、「私の故郷が大変なことになっています。国や推進派は原発が壊れても平気です。またそこで儲けようと考えてます」というような趣旨の発言をされました。

「私が前に訪れたあの場所だ……」

そして私はその実態を更に知りたいと,昨年7月、今野寿美雄さんの案内でその場所を見てきました。人が寄り付けなくなってしまった場所で、膨大な税金を使った国家的プロジェクトが、なぜかひっそりと進行しているような気がしました。

その全貌は、飯舘村の復興と同様に、決して元そこに住んでいた住民のためではないことはハッキリ見てとれました。そればかりか、政府の軍備拡大路線、戦争のできる国にしようという動きを後押しするような内容ではないでしょうか? それは原発事故のために、泣く泣く故郷を追われた人たちを更に苦しめるようなものではないでしょうか。

そこで今回、「福島イノベーションコースト構想を監視する会」の和田さんに、浜通りで進む国家的プロジェクトが何を狙っているのかなどをお聞きしたいと思います。一人でも多くの皆様に、福島県の浜通りで何が行われているか、ぜひ知って頂きたいと思います。

なお、終了後は、集い処はなに場所を移し、和田さんを囲んで親睦会を開催いたします。アカリトバリの演奏もあるかも……。

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年春号 能登大震災と13年後の福島 地震列島に原発は不適切

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尾﨑美代子著『日本の冤罪』

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《5月のことば》五月のやわらかい風とあたたかい緑に……(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

今年は逸早く夏が訪れた感がします。

おだやかで平和な季節です。

しかし、目を外に向けると、いまだに戦火は収まりません。

ウクライナ、パレスチナ・ガザ……

ところで、さすがに全米を揺るがしたベトナム反戦運動の歴史を持つアメリカでは、学生運動が拡大しつつあります。

その口火を切ったのはコロンビア大学。

われわれの世代には懐かしい大学名です。

そう、映画『いちご白書』の舞台になった大学です。これは1968年の同大学の学生運動をモチーフにした映画です。

映画は1970年6月米国封切り、日本では同年秋に公開されました。懐かしいな
あ。

さほどヒットしなかったとのことで、私は郷里の映画館で観た記憶がありますが、あまり観客は入っていなかった記憶があります。

主題歌は、バフィ・セントメリーの「サークル・ゲーム」ですが、こちらもあまりヒットしませんでした。

私はどちらも当時から知っていましたけどね。

映画も主題歌も、今また視聴したいものです。

日本では、のちに(1975年)旧姓・荒井由実が作りフォークデュオ「バンバン」が歌ってヒットした「『いちご白書』をもう一度」の名を出せば思い出される方も多いかと思います。むしろこちらのほうが有名で、この曲がヒットしたことで映画「いちご白書」も知られるようになったのではないでしょうか。

反戦運動は、コロンビア大学が口火を切り全米に拡がりつつあります。さらにはフランスにも飛び火したとのニュースを目にしました。日本では?

われわれの「いちご白書」を語ろう! 闘争勝利!

(松岡利康)

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