横浜副流煙事件の「反訴」で、被告A妻(3人の被告のひとり)の本人尋問が行なわれる公算が強くなった。しかし、A家の山田弁護士は、A妻の体調不良を理由として出廷できない旨を主張している。最終的に尋問が実現するかどうかは不透明で、3月11日に原告と被告の間で裁判の進行協議が行われる。

副流煙の発生源と決めつけられた音楽室と、「被害者」宅の距離を示す現場写真

裁判では、作田医師が被告3人のために作成した診断書が争点になっている。これら3通の診断書は患者が自己申告した病状に重きを置いて、化学物質過敏症、あるいは「受動喫煙症」の病名が付された。それを根拠として、約4500万円を請求する前訴が提起されたのである。従って診断書が間違っていれば、提訴の根拠もなかったことになる。

つまり診断書の作成プロセスが問題になっているのだ。言葉を返ると、患者の希望に応じて作成した診断書に効力はあるかという問題である。

この「反訴」の発端は、2017年の秋にさかのぼる。

横浜市青葉区のすすき野団地に住むミュージシャン藤井将登さんは、自室で煙草を吸っていたところ、副流煙が原因で、化学物質過敏所に罹患したとして、上階の斜め上に住むAさん一家(A夫、A妻、A娘)から、約4500万円の損害賠償請求を受けた。しかし、将登さんが喫煙していた部屋は、防音構造が施されている音楽室で、煙は外部にもれない。しかも、喫煙量は1日に2、3本程度だった。さらに将登さんは留守がちだった。A家が主張する副流煙の発生源に十分な根拠がなかった。

それにもかかわらず原告(「反訴裁判の被告」)は、将登さんの煙草が原因で、化学物質過敏症になったと主張し、高額な金銭を請求したのだ。

裁判所はA家の訴えを棄却した。控訴審でも、A家の訴えは一切認められなかった。

将登さんは勝訴の確定を受けて、2022年3月にA家が起こした裁判はスラップに該当するとして、損害賠償裁判を起こした。これが現在進行している「反訴」である。この裁判の原告には、将登さんの他に、妻の敦子さんも加わった。さらに3人の診断書を交付した作田医師については、被告に加えた。

裁判は順調に進み、証人調べの人選の段階に入った。藤井さん側は、A夫の尋問を求めたが、A夫の山田弁護士は体調不良を理由に出廷はできないと主張した。しかし、藤井敦子さんは、A夫が戸外を歩いている場面をビデオに撮影して、山田弁護士の主張が事実に基づかない旨を主張した。

しかし、平田裁判官は山田弁護士の意見を重視して、A夫の尋問は行わない決定を下した。

これに怒った将登さん側は、平田裁判官に対する忌避を申し立てた。忌避の審理には、上級裁判所での審理も含めて、約1年を要した。結局、忌避そのものは認められなかったが、平田裁判官はA夫の尋問を決めた。

山田弁護士は、やはりA夫の尋問は難しい旨を説明した。医師の診断書も提出した。そこで藤井さんの側は、代案としてA妻の尋問を求めたのである。平田裁判長は、判断に迷ったようだが、最終的にそれを認めた。

こうしてA妻の尋問が実現する公算が高くなったが、山田弁護士はA妻の体調不良を理由に、出廷できないと主張している。既に述べたように、裁判の進行協議は3月11日に行われる。

作田学医師が交付したA妻の診断書。根拠なく副流煙の発生源を特定している

※このところ一部の市民団体が化学物質過敏症の患者数を誇張して報じている。化学物質が人体に有害な影響を及ぼすことは、紛れもない科学的な事実で、規制も必要だが、実際の患者数については慎重に検討しなければならない。誇張があってはならない。横浜副流煙事件のような「冤罪」を生む可能性があるからだ。

たとえば市民団体代表の加藤やすこ氏は、「あたらしい年は香害のないきれいな空気で過ごしたい」(『週刊金曜日』2月9日)の中で、化学物質による被害の実態について次のように述べている。

香害に関する情報発信などを行うフェイスブック「香害をなくそう」は、2022年に移香で困っていることについてWEBアンケートを実施した。

回答者600人のうち、「家の中に入る人や、近隣からの移香や残留で、家の中が汚染される」は、90.9%で、「外出先の空間や人から移香して汚染される」は90.0%……

有病率を明記しているわけではないが、香による被害を殊更に強調している。数値に客観性があるのか否かを慎重に検討しなければならない。

この件については、別稿を準備している。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』(鹿砦社)

黒薮哲哉『新聞と公権力の暗部 「押し紙」問題とメディアコントロール』(鹿砦社)

100万円争奪東西対抗戦となった今回のCHALLENGER興行。アマチュア2試合含め、全13試合全てがチーム対抗戦となり、いずれかの勝利チームとなれば選手一個人が勝っても負けても3万円獲得。更に判定勝ちで+5万円。KO勝利すれば+10万円で。計13万円が贈呈されることになり、チーム13選手全員がKO勝利すれば156万円となるが、100万円からオーバー予算分は武田幸三氏が「私が何とかします!」と宣言。余った場合はMVP賞に与えるという。

ポイントは判定勝利が1点。KO勝利が2点。引分けは0点。タイトルマッチ3試合は判定勝利が2点。KO勝利が5点。結果、東軍が12対7で勝利チームとなった。

MVPは鮮やかTKO勝利を飾った嵐が獲得。

◎NJKF CHALLENGER / 2月11日(日)後楽園ホール 17:20~22:10
主催:TAKEDA GYM / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

◆第11試合 第14代NJKFフェザー級王座決定戦 5回戦

 

今更といった感もあるNJKF新チャンピオンとなった大田拓真、目指すは上位へ

1位.大田拓真(新興ムエタイ/24歳/ 57.15kg)36戦27勝(8KO)7敗2分
      VS
2位笹木一磨(理心塾/27際/ 57.0kg)22戦12勝(4KO)9敗1分
勝者:大田拓真 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:宮沢50-46. 中山50-46. 児島50-46

初回は牽制の上下の蹴り、パンチと多彩に突破口を探る両者。第3ラウンドには徐々に攻勢を強め、ヒザ蹴りからパンチやハイキックで流れを引き寄せた大田拓真。第4ラウンドにはヒザ蹴りで優位に立ち、笹木一磨の反撃も衰えないが、劣勢に流れた態勢を立て直すには至らない。

最終ラウンドも大田ペースで終了。序盤に攻め倦んだ印象は強いが、打ち優っていく底力を見せた展開は、ジャッジ三者とも第2ラウンドから大田拓真が10対9を付ける大差となっていた。

試合後控室では「知らない選手だったので、どういう選手なんだろうかと考え過ぎて様子見し過ぎました。映像はちょっと古い試合ばかりで、あまり参考にならなかったので見てなかったです。」と語り、セミファイナルで弟の一航が負けたことも影響し、「慎重になり過ぎました。」という反省もありました。

4月にはまた海外で試合が予定されているという。海外での試合が多い大田拓真。

国内でもメインイベンターをこなし、精力的な連戦が続きます。

第3ラウンド、大田拓真の右ミドルキックがヒット、徐々に攻勢を増していった

第4ラウンド、より勢い増した大田拓真のヒザ蹴りがヒット

 

新チャンピオンの真琴。今後の注目株である

◆第10試合 第10代NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

1位.一航(=大田一航/新興ムエタイ/22際/ 55.3kg)27戦18勝(4KO)7敗2分
      VS
3位.真琴(誠輪/19歳/ 55.25kg)13戦10勝(1KO)2敗1分
勝者:真琴 / 判定0-3
主審:多賀谷敏朗
副審:少白竜47-49. 中山47-48. 児島47-49

多彩な蹴りパンチの様子見の攻防は一進一退の中、徐々に真琴の勢いが増し、第3ラウンドに真琴のヒジ打ちで一航の額を切る。

このラウンド2度のドクターチェックを受ける一航。マットに落ちる夥しい流血はストップが掛かるかに思われたが続行は許された。

第4ラウンドには打ち合いで一航の勢いが増したが、一航の右パンチに合わせて真琴の軽く飛び気味の右ヒザ蹴りを顔面に受けた一航はノックダウンを喫する。

最終第5ラウンドは激しい攻防となる中、一航の底力を見せる猛ラッシュも、真琴が圧されながらも打ち返し、この勝負を落とせない懸命のラッシュ。

最終第5ラウンドのみポイントはジャッジ三者揃って一航に流れたが、真琴が判定勝利を飾った。

パンチの距離で真琴の左ジャブが先にヒット、一航は珍しく劣勢

カメラ位置は悪かったが、真琴のヒザ蹴りでこの後、一航がノックダウンとなる

◆第9試合 第15代NJKFバンタム級王座決定戦 5回戦

3位.嵐(キング/18歳/ 53.45kg)13戦11勝(5KO)1敗1分
      VS
2位.甲斐元太郎(理心塾/21歳/ 54.5→53.85kg 減点1)19戦7勝(2KO)10敗2分
勝者:嵐 / TKO 2ラウンド2分54秒
主審:宮沢誠

前日計量では甲斐元太郎が1kgのオーバーで再計量に向けウェイト調整に入った為、後の記者会見は欠席。この対戦では嵐のみの公開インタビューとなったが、「あいつ居ないんで何も言うこと無いですけど、明日はあいつを殺すんで伝えておいてください。以上です。」と語ると席を立って退席。

甲斐元太郎は2021年8月8日にNJKFバンタム級暫定チャンピオンと認定されているが、王座決定戦の相手、志賀将大(エス)の欠場で認定されたもので翌年、その志賀将大に判定負けで王座陥落している。ここは正規に勝利して王座奪取を狙いたいところだったが、ウェイトは350グラムオーバーで計量失格。タイトルは届かないものとなってしまった。

試合は予告どおり初回から倒しに行く体勢の嵐はパンチでも蹴りでも上下打ち分け、強く打ち込む勢いが増して行く。甲斐元太郎も打ち合いの体勢で互角に展開はするも、第2ラウンドには嵐の右ヒザ蹴りヒットで効かせてロープ際に追い込んで二発目ヒザ蹴りで甲斐は堪らずノックダウンを喫する。立ち上がるには苦しそうな中、レフェリーストップとなった。第1ラウンドにも嵐のヒザ蹴りが入っており、手応えはすでにあったかもしれない。

前回興行セレモニーで散々罵り乱闘寸前の展開を見せながら、試合中は正攻法な戦いで、バッティングかローブローがあったか、そこはグローブタッチしてスポーツマンシップを守った両者。嵐はTKO勝利後も倒れている甲斐元太郎を気遣う声掛けをした後、チャンピオン認定されてから母親をリングに上げ、「チャンピオンは俺を産んだ母」と言わんばかりにチャンピオンベルトを巻いてやった親孝行ぶり。なかなか好青年の嵐であった。

嵐の右ヒザ蹴りがグサッと甲斐元太郎のボディーへヒット、TKO勝利へ繋げた

“本当の”チャンピオンとツーショット、嵐の親孝行

◆第8試合 64.0kg契約3回戦

ジャムワンスック・ゲッナァーウィー(タイ/21歳/ 64.25→64.2→63.8kg)約90戦超
       VS
真吾YAMATO (元・NJKFスーパーライト級Champ/28歳/大和/ 64.05→64.0kg)
37戦25勝(13KO)10敗2分
勝者:ジャムワンスック / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:少白竜30-27. 多賀谷30-27. 児島30-27

(ジャムワンスックはタイ国ノンタブリー県ジットムアンノンスタジアム・スーパーライト級チャンピオン)

東西対抗戦にタイ選手が加わるのは不自然ではあったが、真吾は先手を打って蹴りやパンチで攻めてもジャムワンスックは距離に応じた蹴りやパンチのバランスが良く、真吾の空いたところを突くのが上手く、首相撲でもヒジ打ちの距離も脅威で余裕の展開を見せた。ジャッジ三者ともフルマークの大差で東軍のジャムワンスックが判定勝利を飾った。

蹴り足をキャッチした真吾、しかしジャムワンスックは体幹良く崩れない

◆第7試合 ウェルター級ノンタイトル3回戦

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凛太朗(VERTEX/23歳/ 66.5kg)
24戦11勝(3KO)9敗4分 
       VS
WBCムエタイ日本ウェルター級チャンピオン.青木洋輔(大和/29歳/ 66.45kg)
27戦13勝(2KO)11敗3分
勝者:吉田凛太朗 / 判定2-0
主審:宮沢誠
副審:児島29-29. 多賀谷30-29. 中山30-29

両者様子見の攻防から吉田凛太朗は第2ラウンド後半から的確さが増し攻勢に転じたが、青木洋輔はローキック(カーフ)に拘ったか、あまり積極性を感じない流れとなって、第2ラウンドを抑えたポイントで僅差ながら吉田凛太朗が判定勝利を飾った。

前蹴りで青木洋輔の前進を阻止、チャンピオンと成って存在感増した吉田凛太朗

◆第6試合 61.5kg契約3回戦

NJKFライト級1位.岩橋伸太郎(エス/36歳/ 61.1kg)19戦7勝10敗2分
       VS
TAaaaCHAN(=ターチャン/聖域統一スーパーライト級Champ/PCK連闘会/32歳/ 61.5kg)
34戦21勝(10KO)12敗1分
勝者:TAaaaCHAN / TKO 3ラウンド2分29秒
主審:少白竜

両者のアグレッシブなパンチと蹴りの交錯が続く中、TAaaaCHANのパンチのヒットがやや上回った印象を受ける。最終第3ラウンドにはTAaaaCHANの左ヒジ打ちで岩橋伸太郎は額を切られてドクターチェックを受けるが続行許され、打ち合い激しくなるが、TAaaaCHANのパンチ連打で岩橋はノックダウン。立ち上がるもダメージを見たレフェリーがストップをかけた。

◆第5試合 ウェルター級3回戦

NJKFウェルター級5位.亜維二(=小林亜維二/新興ムエタイ/17歳/ 66.45kg)
8戦5勝(3KO)2敗1分
VS
YUYA(クロスポイント吉祥寺/32歳/ 66.55kg)11戦7勝(2KO)3敗1分
勝者:亜維二 / TKO 2ラウンド1分58秒
主審:多賀谷敏朗

蹴りから次第に激しいパンチの交錯が続き、YUYAのパンチで亜維二がグラつくも打ち合いが続き、亜維二の強打でYUYAは倒され、カウント中のレフェリーストップとなった。

◆第4試合 NJKFライト級次期挑戦者決定戦3回戦

3位.TAKUYA(K-CRONY/30歳/ 61.15kg)13戦5勝(1KO)7敗1分
      VS
4位.祖父江泰司(理心塾/25歳/ 61.25→61.2kg)8戦6勝(4KO)2敗
勝者:祖父江泰司 / 判定0-3
主審:児島真人
副審:多賀谷27-29. 宮沢26-30. 少白竜26-30

◆第3試合 女子(ミネルヴァ)49.5kg契約3回戦(2分制)

真美(Team ImmortaL/33歳/ 49.5kg)20戦15勝(3KO)5敗     
VS
美斬帝(=喜多村美紀/テツ/37歳/ 49.5kg)31戦14勝13敗4分
勝者:真美 / 判定2-0 (29-28. 29-29. 29-28)

(真美はS-1レディース世界ライトフライ級チャンピオン、美斬帝はミネルヴァ・ライトフライ級1位)

◆第2試合 フライ級3回戦

明夢(新興ムエタイ/21歳/ 50.65kg)9戦2勝5敗2分
      VS
永井雷智(VALLELY/15歳/ 50.75kg)3戦2勝(1KO)1分
引分け 0-1 (28-28. 28-29. 28-28)

◆プロ第1試合 57.0kg契約3回戦

藤井昴(キング/21歳/ 56.8kg)1戦1分
      VS
祖根亮麻(大和/ 26歳/ 56.7kg)6戦3勝(2KO)2敗1分
引分け 0-0 (29-29. 29-29. 29-29)

◆アマチュアジュニアキック第2試合 45kg級2回戦(2分制)

竹田奏音(TAKEDA/ 43.85kg)vs大澤透士(TRASH/ 44.55kg)
勝者:大澤透士(青) 判定0-3 (19-20. 19-20. 19-20)

◆アマチュアジュニアキック第1試合 35kg級2回戦(90秒制)

坂田銀牙(TAKEDA/ 34.5kg)vs河野獅童(クロスポイント大泉/ 31.65kg)
勝者:河野獅童(青) / 判定0-2 (19-19. 18-20. 19-20)

《取材戦記》

最近の後楽園ホールで開催のNJKFは西側(正確には南西)に赤コーナー、東側(正確には北東)に青コーナー設定でしたが、今回は後楽園ホール本来の定位置である、赤コーナーが東側、青コーナーが西側に戻った形でした。おそらくは東西対決の意味合いで東が東軍、西が西軍。当たり前の方角だが元々、赤コーナーが東側、それは日本列島東日本側であることが関連しているだろう。テレビ画面で言えば右側奥に赤コーナーが来るのはメインイベンターの顔が正面から見られる位置に。やっぱり後楽園ホールは右側(北東)側に赤コーナーがあるべきと思った次第でした。

東西対決がメインテーマとなった今回の興行。それでもメインイベントにかけ観衆が減っていくのは従来どおり。チーム対抗戦より個人戦。自分らの応援する選手の試合が終われば帰ってしまう傾向は拭えなかった。エース格、大田拓真を以てしてもこの状態。まあ終了が22時回っては終電の事情もあったかもしれません。

NJKFを本気でトップの団体にすると宣言している武田幸三さんの次なる策は何か。

セレモニーでは、過去NJKFで活躍した現・K-1ワールドグランプリ・スーパーライト級チャンピオンの大和哲也氏をリングで紹介し、大和のGRATINESSジムがNJKFに加盟したことを発表。更にKNOCKOUT代表の山口元気氏もリング上で紹介され、NJKFとの対抗戦の話も進めていた武田幸三氏の戦略は諸々あると考えられますが、今後の展開に注目が集まるでしょう。一方で「武田さん、NJKFでも引っ掻き回さなければいいですが!」といった頑張り過ぎの懸念の声があったのも事実。まず今年は11月10日興行の「NJKF祭り」までじっくり見て行きましょう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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◆「安全な地層処分」は不可能

地層処分は2000年に法律で定められたが、問題は地下埋め捨てで人間環境や生態系から隔離できるかどうかである。これについて専門家から強い反対の声が、上がった。

2023年10月30日、地質学など地球科学者300名が連名で「日本に適地はない」との声明を発表した。

日本列島ができてから4000万年、この地は世界有数の変動帯に位置する。この地殻変動の激しい地に、10万年もの間埋設物を安全に保持することができる地層は存在しない、あっても私たちには分からない。10万年経ってみて動かなかったと分かる場所があったとしても、それが今の時点では科学的に見通せないのである。

声明では「日本列島は複数のプレートが収束する火山・地震の活発な変動帯」と指摘し、すでに施設の立地場所を選定するなど日本よりも先行している北欧諸国などと同列に扱い、工学的な技術を使えば安全性が保証されるなどと決めつけるのは「論外」と批判している。

例えば活断層の位置づけだ。私たちが知ることができる活断層は、地震により地表面に何らかの痕跡を記したものだけである。大きな地震を起こした断層でも、地上まで達しなければ見えないので活断層とは認識できない。したがって、既知の断層近傍を除外しても何の意味もない。

火山についても同じである。10万年間、地層に貫入しないとする根拠はどこにあるのか、また、現在の火山火口から15キロ離れていれば安全との根拠はどこにあるのか。

変動帯である日本列島は、常に火山フロントが動いている。地下のマグマの挙動もすべてつかんでいるわけではないし、将来もできない。


◎[参考動画]放射性廃棄物の最終処分場 「活断層のある場所は避ける」など条件案を了承(2022年6月8日)

◆「地層処分」を白紙にし本当の議論を

地上での管理は困難であるとの前提で、人間環境から隔離する方針の下に地層処分を決めたが、隔離できる確証もないままに方法だけが議論されてきた。

今立ち戻るべき地点は、高レベル放射性廃棄物処分の方法をどうするのかではなく、原子力をどうするかだ。すでに地層処分どころか、使用済燃料を貯蔵するところがひっ迫している。

再処理工場では3400トンの使用済燃料プールがいっぱいになっている。各地の原発でもプールが数年でいっぱいになるところが出てくる。貯蔵容量の80%を超える原発が出現しており、「リラッキング」と称して限界までプールに押し込める危険な対策さえ行っている。

使用済燃料プールがいっぱいになると、新しい燃料を貯蔵するスペースがなくなるため、原発は稼働できなくなる。2023年8月、中国電力は関西電力と共に「中間貯蔵施設」として山口県上関町の上関原発建設予定地に隣接する敷地を貯蔵施設として打診してきた。建設に向けた調査を実施する意向を町に伝えたのである。

関西電力は、今年度中に福井県内の原発の使用済燃料を県外に搬出する先を明らかにしなければ、高浜1号機など40年を超える原発の運転継続を認めないとの福井県との約束があるため、再処理工場への搬出、中間貯蔵施設の立地、原発内での乾式貯蔵計画など、原発を運転するためにありとあらゆる手段を講じようとしている。

このような行為は、核のごみを増やすだけで、地域に対立と混乱をもたらし、解決がさらに困難になる。核燃料サイクル政策を中止し、様々な段階にある核のごみについて、どのように対応するのかを1つ1つ考えなければならない。

原発が動き続ける限り、際限なく核のごみは増え続ける。原発を止めること、再処理も止めることが第1に必要だ。脱原発が実現しても、すでに発生した使用済み核燃料をはじめ、再処理によって生じた高レベル放射性廃液やガラス固化体、それ以外の再処理廃棄物やTRU廃棄物など、核のごみの処理処分は残る。現在の原発もまた、すべて核のごみになるし、福島第一原発も当然含まれる。

それらについて「こうすれば良い」といったわかりやすく誰もが納得できる解決法はおそらくない。これまで電源立地を地方に押しつけ、電力エネルギーを消費してきた都市にも応分の責任を負ってもらわなければならないが、そのような議論はおそらく紛糾するだろう。

これら議論の紛糾、それぞれの主張を出し合うことで、本当の問題解決の糸口が見えてくるだろう。

この国では「国民的議論」は起きたことがない。いつも一部の専門家や政治家、官僚や行政が何事も決めて押しつけてきた。この構造を変えていかなければ、何も解決しない。そのことだけは確かである。(終わり)

◎山崎久隆 核のごみを巡る重大問題 日本で「地層処分」は不可能だ
〈1〉震災後も核燃料サイクルが残った
〈2〉再処理工場は稼働できない
〈3〉科学的根拠に乏しい経産省「科学的特性マップ」の異常さ
〈4〉放射性廃棄物「地層処分」を白紙にし、本当の議論を

本稿は『季節』2023年冬号掲載(2023年12月11日発売号)掲載の「核のごみを巡る重大問題 日本で『地層処分』は不可能だ」を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

『季節』2023年冬号

〈原発なき社会〉を求めて集う
不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2023年冬号

通巻『NO NUKES voice』Vol.38
紙の爆弾2024年1月増刊
2023年12月11日発行 770円(本体700円)

2024年の大転換〈脱原発〉が実る社会へ

《グラビア》
「東海第二原発の再稼働を許さない」11・18首都圏大集会(編集部)
福島浪江「請戸川河口テントひろば」への道(石上健二)

《インタビュー》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
必要なことは資本主義的生産様式の廃止
エネルギー過剰消費社会を総点検する

《インタビュー》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」と「311子ども甲状腺がん裁判」
法廷で明らかにされた「被ばく強制」 山下俊一証言のウソ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
【検証】日本の原子力政策 何が間違っているのか〈1〉
無責任な「原発回帰」が孕む過酷事故の危険性

《報告》木原省治(「原発ごめんだ ヒロシマ市民の会」代表)
瀬戸内の海に「核のゴミ」はいらない
関電、中電が山口・上関町に長年仕掛けてきたまやかし

《報告》山崎隆敏(元越前市議)
関電「使用済燃料対策ロードマップ」の嘘八百 ── 自縄自縛の負の連鎖 

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
反原発を闘う水戸喜世子は、徹底した反権力、反差別の人であった
[手記]原発と人権侵害が息絶える日まで
       
《インタビュー》堀江みゆき(京都訴訟原告)
なぜ国と東電に賠償を求めるのか
原発事故避難者として、私が本人尋問に立つ理由

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
原発賠償関西訴訟 提訴から10年
本人調書を一部公開 ── 法廷で私は何を訴えたか?

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈前編〉

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「核のゴミ」をめぐる根本問題 日本で「地層処分」は不可能だ

《報告》原田弘三(翻訳者)
「気候危機」論の起源を検証する

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
汚染水海洋放出に対する闘いとその展望

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
フクシマ放射能汚染水の海洋廃棄をめぐる2つの話題
映画になった仏アレバ社のテロリズムと『トリチウムの危険性探究』報告書

《報告》板坂 剛(作家・舞踊家)
再び ジャニーズよ永遠なれと叫ぶ!

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈22〉
甲山事件50年目を迎えるにあたり
誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈上〉

再稼働阻止全国ネットワーク
岸田原発推進に全国各地で反撃中!
沸騰水型の再稼働NO! 島根2号、女川2号、東海第二
《東海第二》小張佐恵子(福島応援プロジェクト茨城事務局長/とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち/「ひろば」共同代表)
《東京》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(命のネットワーク)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
《中国電力》高島美登里(上関の自然を守る会共同代表)
《川内原発》向原祥隆(川内原発二〇年延長を問う県民投票の会事務局長)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

書=龍一郎

龍一郎揮毫

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東アジア反日武装戦線は警察やマスコミが喧伝するような「極悪人」の集団だろうか。そのメンバーとして全国に指名手配され、長年全国の駅や交番の掲示板に「凶悪犯」のように顔写真を晒されていた桐島聡さん。彼を名乗る男性が神奈川県内の病院で1月29日亡くなったそうだ。報じられる顛末には不可思議が多い。報道を時系列で振り返えると以下のようである。

1月25日、桐島聡と見られる男が入院している旨の情報提供が警視庁になされ、警視庁公安部による男の特定作業が開始された。翌日、男が神奈川県鎌倉市の病院に偽名で入院しているところを警視庁公安部により身柄確保された。男は事情聴取に対して、事件の関係者しか知り得ない当時の状況などについて話したため、警視庁公安部は男が桐島である可能性が高いとしてDNA鑑定を進めた。

病院に入院していながら本人確認もあやふやで「身柄確保」とはどういう意味なのか、法律の素人のには理解しかねる。続いて、

桐島聡と見られる男のDNA型鑑定の結果、桐島の親族と「親族関係矛盾なし」

と判断されたそうである。この男性は1月29日に病院で亡くなった。ここまでが桐島さんを名乗った男性の出現から逝去についての報道だ。

ところで公安警察が発表した

桐島聡と見られる男のDNA型鑑定の結果、桐島の親族と「親族関係矛盾なし」

というあいまいな表現。これはおかしくはないか? 本人特定がほぼ間違いないレベルの現代DNA解析で、「桐島さん本人」だと公安警察が確認できれば、早期に「本人であると判明」と発表するだろう。

亡くなった男性が桐島さんであるとの確証は、DNA鑑定やその後男性居宅の家宅捜査でも得られていない、だから今日に至るも「親族関係と矛盾なし」との表現が訂正されていないのではないだろうか。

ひょっとする理由は分からないがまったくの別人が「自分は桐島だ」と名乗り病院で亡くなった可能性も排除は出来ない。もし、別人であれば当の桐島さんにとって迷惑であろうし、公安警察やマスコミの大失態である。根拠の薄い当局発表や情緒的なマスコミ報道とは異なる視点で、真実を考察する必要はないだろうか。

桐島さんなのか、別人なのかも判然としなかった騒動。殺人鬼のように報じられた桐島さん。桐島さんとされる男性を巡る報道群は、デジタル時代の情報処理速度と共振して、液晶画面からはほとんど消えつつある。長年街頭で指名手配されひどい目にあってきた桐島さん騒動における報道群の過誤(間違い)と、公安警察・マスコミが一体で、がなりたてた露骨な世論誘導には強烈な疑義を禁じ得ない。

桐島さんはたしかに「爆発物取締違反」容疑で1975年に警視庁から全国指名手配されている。でも桐島さんへの容疑は「殺人」ではない。「殺人鬼を見つけた!」如き報道は桐島さんへの「容疑が殺人ではない」のだからまず前提が誤りだ。

東アジア反日武装戦線が展開した一連の企業爆破事件について、時系列やグループ・個人の関係性をまったく知らず(あるいは知っているのに無視して)、すべてを三菱重工爆破事件(死者8人負傷者370名以上)に帰することにより「冷酷無比な爆弾魔」として意識付けようとする報道が現在も続いているが、三菱重工爆破を行ったのは東アジア反日武装戦線「狼」のメンバーである。桐島さんが東アジア反日武装戦線に加わったのは「狼」が三菱重工を爆破したあとだ。つまり桐島さんは、三菱重工爆破事件とはまったく無関係な人物である。

東アジア反日武装戦線を論じるのであれば、当時捜査にあたった公安警察OBを名乗る高齢者の回顧映像や、爆破事件被害者親族の声だけを聴くのでは本質はなにも理解されない。作戦敢行者たちが日本帝国主義の犯罪をみずから受け止め命がけで行動した理由、さらには爆弾を闘争手段として選択した背景、想定外の死傷者を多数出した三菱重工爆破事件のあとどのように煩悶し、それでも戦線からの撤退を選択しなかった決断、そして「狼」に続き「大地の牙」「さそり」が敢えて激流に加わった経緯くらいの基礎知識がないと、報道も感想も論評の域にすら到達しない。

東アジア反日武装戦線の問題意識は見当はずれだったのか? あるいは彼らの作戦から約半世紀を経た現在、彼らが提起した課題は少しでも克服されているのか?

本通信読者の中には上記につき、詳細にあるいは一定程度知識をお持ちの皆さんが多数であると信じるが、もしそうでないかたがおられたら是非『反日革命宣言』を一読されることをお勧めする。

古くは本コラムの掲載元鹿砦社、そして近い所では風塵社から『反日革命宣言』が復刊されている。まだお読みでないだ読者にはぜひ『反日革命宣言』(風塵社)をお読みいただくことをお勧めする(鹿砦社版『反日革命宣言』は在庫がないそうだ。風塵社版も品切れ間近と聞いた)。

『反日革命宣言』(鹿砦社1979年版)と『反日革命宣言』(風塵社2019年版)

▼鹿野健一 (しかの・けんいち)
1965年兵庫県西宮市生まれ。複数の企業と大学に勤務の後、現在はフリーライター。国際情勢・政治・教育・冤罪・原発などに関心を持つ。反原発季刊誌『季節』副編集長。単著『大暗黒時代の大学』(鹿砦社)。共著『オイこら!学校』(教育資料出版会)、『1970年端境期の時代』、『抵抗と絶望の狭間/1971年から連合赤軍へ』(鹿砦社)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

今、米欧で「もしトランプが大統領になったなら」が、「もしトラ」と縮められて、話題になっているらしい。トランプ旋風は、米国だけでなく、欧州でも大変だということだ。

実際、「バイデン大統領」と「トランプ大統領」とでは大違いだ。

そのトランプが本当に大統領になる可能性が出てきた。

新年になってからアイオワとニューハンプシャー、二つの州で共和党の大統領候補選出のための予備選挙が行われた。そこで、二度ともトランプが圧勝し、全米50州、48州の選挙を残して、早くもトランプの選出が確定的だと言われるまでになっている。

民主党の候補は、現職のバイデンで決まりだと言われる中、11月に予定される米大統領選が4年前と同じ、トランプ VS バイデンの争いになるのはほぼ確定的だと言われている。

77歳のトランプと80歳のバイデン、この前回と同じ二人の老人しか大統領候補がいないのか。そこから覇権大国、米国の黄昏を思わない人はいないのではないか。

◆トランプ人気の秘密 ── 見捨てられた人々の代弁者

それはともあれ、ここで考えてみる必要があるのは、トランプのことだ。

8年前、大統領に選出された時にも、歴代大統領には類例を見ない、型破りの大統領と言われたトランプが今度は、婦女暴行罪まで含めて、様々な罪と裁判まで抱えながら、そうなればなるほど逆に支持を集め、現職大統領バイデンを制して大統領に選出される可能性大だとまで言われている。

なぜそうなるのか。トランプ人気の秘密は何なのか考えてみたい。

それを知るためには、まずトランプを支持している人たちがなぜ支持するのか聞いてみることから始めるのがよいのではないか。

彼の支持者からもっともよく聞かれるのは、彼があんな金持ちなのに、少しも飾らず、彼らと同じように話し、彼らの気持ちを一番よく分かってくれると言うことだ。

言い換えれば、トランプが彼らアメリカ国民の、それもラストベルト地帯労働者など見捨てられた人々の代弁者だと言うことだ。

皆、トランプが大統領になるところに、自分たちの心、気持ちや要求を反映した政治の実現を見ているのではないか。

「偉大なアメリカ」「アメリカ・ファースト」など、トランプが掲げるもっとも基本的なスローガンにそれは象徴的に示されているように思う。事実、インタビュアーの質問に答えて、「あのスローガンがいい」と言う人々が大勢いた。

トランプの政策は、実際、アメリカを第一にし、アメリカ国民を第一にするというものが目に付く。移民、難民の米国への入国を制限。企業の海外進出に反対し、輸入品に対する関税を高くして、米国国内経済の振興を主張し、米国が世界の警察として海外でカネを使うことに反対する。

これらは、米国が世界第一の超大国としてドルや核で世界に君臨し、それによって権力を振るい、カネを儲けている一部特権層にとっては許し難いことだろう。

だから彼らは、国家機関、司法機関を動かし、メディアを動かし、それらと一体になって、トランプを異端とし、悪者にしながら、バイデンを勝たせようとする。

だが、それも今回はうまく行きそうにない。ウクライナ戦争や中東戦争など、勝ち目のない戦争、不正義の戦争にバイデンがカネを注ぐのに米国民は反対だ。

そこで、手がなくなった特権層も、前々回、8年前、キッシンジャーが「一度トランプにやらせてみたらどうか」と言ったように、もう一度トランプにやらせてみようと言うことになるかも知れない。

そうした中、「もしトラ」の声はこれからますます高まるのではないか。

◆「もしトラ」で、日本に問われているのは何か

そこで言えるのは、8年前と今とでは、米国が置かれた位置が大きく異なってきていると言うことだ。

今は、世界中が「ファースト」の時代だ。「ファースト」は、自国第一、自国の上に覇権が来るのに反対する。事実、ウクライナ戦争や中東戦争で米国に従う国は、日本などG7の国々くらいしか見当たらない。

この状況で「もしトラ」になったらどうなるか。本当に米覇権が崩壊する事態になるかも知れない。ならないという保証はどこにもない。なったらどうなるか。米欧の覇権側の人々の腰が定まらなくなるのも分かるというものだ。

「もしトラ」のこの時、米覇権から脱却するための闘いが日本においても、今こそ問われてきていいのではないだろうか。

と思っていたら、いるいる。「もしトラ」は日本にとっての大チャンス。今こそ、真に独立する時だと言う人々が出てきている。

ただ、その理由が問題だ。「もしトラ」の場合、対日軍事援助に消極的だ。だから、日本が独自に軍事力強化して独立だと言う人がいるようだが、それはどうだろうか。

軍事力の強化も真に日本を防衛するためのものならば、独立のためになるだろうが、昔のような侵略のための軍事力強化なら、対中対決戦の最前線に立たされるなど、米覇権のために利用されてしまうだけではないか。

「もしトラ」で、日本に問われているのは何か。それは、米国のファーストの下で生きるのを日本のファーストにするのではなく、米国のファーストの下で生きるのか否かを決定的な問題とし、米国のファーストから脱して生きるのを日本のファーストにすることではないだろうか。そうしてこそ、日本は米国の支配から脱し、真に独立することができると思う。

小西隆裕さん

◎ピョンヤンから感じる時代の風 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=105

▼小西隆裕(こにし・たかひろ)さん
1944年7月28日生。東京大学(医)入学。東京大学医学部共闘会議議長。共産同赤軍派。1970年によど号赤軍として渡朝。現在「かりの会」「アジアの内の日本の会」会員。HP「ようこそ、よど号日本人村」で情報発信中。

『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』(紙の爆弾 2021年12月号増刊)

『一九七〇年 端境期の時代』

広島県知事の湯崎英彦さんは、2024年2月13日開会した広島県議会に2024年度予算案を提出しました。

一般会計の規模は1兆957億円。8日の予算案発表に当たってのキャッチコピーは「広島の元気をブースト」です。

ご承知の通り、広島県は3年連続で人口流出全国ワーストワンです。その汚名を返上したいという思いを込めておられるのでしょう。問題は、中身がそれにふさわしいか、ということです。

◆ゴミ不法投棄を人工衛星で監視は良いが

今回、筆者が注目した項目の一つが、産業廃棄物対策です。2023年6月、県が三原市と竹原市の水源地のど真ん中に許可した三原本郷産廃処分場からついに汚染水が流出してしまいました。そして、広島地裁は7月、湯崎英彦知事による産廃処分場許可は判断過程に瑕疵があったとして許可取り消しを命じる判決を言い渡しています。湯崎知事はこの判決に控訴しました。しかし、そうはいっても、現に汚染水が出ているという事実があるわけです。なんらかの抜本的な対策を新年度予算で示してしかるべきです。

湯崎さんは2024年度予算案において「人工衛星で不法投棄を監視する」としました。確かに、山の中まで不法投棄の産廃を一々県庁職員がチェックにいくのは大変です。人工衛星で監視というのはグッドアイデアではあります。しかし、広島県の産廃行政の根本問題はそれでは解決しません。

◆問題は県「公認」産廃処分場の「ザル」状態

広島県の産廃行政の問題点の根本は「県が許可=公認した」産廃処分場が「ザル」状態だということです。

三原本郷産廃処分場はまさにその典型です。長野や群馬など遠方の産廃が今も白昼堂々と捨てられています。そして、昨夏のように県が検査に来るときは、検査対象の井戸水に水道水などを混ぜて汚染値を引き下げてしまえば、県は「安全」と判断してしまうわけです。

また、裁判所が産廃処分場の設置許可の取り消しを命じても、県はそれを控訴し、業者に処分場稼働=汚染水排出を続けさせています。まさに、県自身が、加害者となっています。

そもそも、この産廃処分場の所有者であるJAB協同組合は、かつて所有していた安佐南区の上安産廃処分場で水の汚染や危険盛り土の上への産廃処分場建設などの問題を起こしています。だが、上安の問題を本格的に明らかにしたのは当初は、県の調査ではありませんでした。三原本郷産廃処分場計画を知って不安に思った原告団共同代表の岡田和樹様ら、三原市民たちでした。県は、本来、自分自身でやるべきことを住民にさせていたのです。

◆東広島市でもまた、大型産廃処分場計画!

こうした中、今度は三原市の西隣の東広島市安芸津町にも大型産廃処分場が計画されています。安芸津町は大相撲・元関脇で横綱千代の富士や同・旭富士などから大量の金星を得たことで有名な安芸乃島関=高田川親方の出身地です。三原本郷産廃処分場を水源地とする竹原市の西隣にもあたります。その安芸津では、住民は産廃業者に対して土地を売らないことで対抗しようとしています。

しかし、業者もさるもの。会食を開くなどして地主の切り崩しに躍起になっています。こうした中で、三原本郷産廃処分場の問題を反省していない広島県の湯崎英彦知事を信用できるのでしょうか?信用しろと言われても信用する方がむしろおかしいでしょう。

◆産廃問題おろそかにしては「県産食材や広島料理のPR」も台無しに

湯崎英彦知事は、2024度予算案の中で、広島の食材や料理のPRにも力を入れる、としています。

それは結構なのですが、産廃行政がザルではそうした施策も台無しではないでしょうか?水が汚染されれば、農産物にも、広島の名産品であるカキを含む海産物にも、そしてお酒にも悪影響が出ます。

◆人口流出も加速する「産廃無策」

広島県内には、2011年の「3.11」以降、実は東京などからUターンしてこられて、農業やお酒やパンの製造などに乗り出すいわゆる30代、40代くらいの方が結構おられました。それにより、一時期、人口流出が下火になっていました。

「大学進学時や就職時には東京の有名大学や有名企業に一度は行ってみたい。だけど子育てはやっぱりのんびりした広島」というライフサイクルの方は結構おられます。だから、筆者は、実を言うと18歳や22歳での人口流出については比較的楽観していました。

しかし、全国から産廃が広島に集まり、汚染水も事実上ダダ漏れ、という状態では、それこそ、広島にUターンしてくる人も減ってしまいます。東京の環境汚染を懸念して広島に戻っても、今度は産廃汚染水ダダ漏れ、では帰ってくる意味がありません。

人口流出を騒ぐのであれば、産廃規制強化は急務です。別に口には出さなくても、産廃規制が緩すぎるということで広島を敬遠してしまう層はそれなりにおられます。広島に活力を取り戻すためにも他都道府県並みの産廃流入規制を求めます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

2月24日、国賠ネットワーク交流集会が東京・水道橋のたんぽぽ舎で開かれます。詳細は下記の案内をご参照ください。

この日は昨年、本社から『日本の冤罪』を出版された尾﨑美代子さんと、本通信にも執筆している鹿野健一(ペンネーム田所敏夫)さんが招かれ『日本の冤罪』について対談が行われます。ご興味のあるかたは是非お出かけくださいますようご案内いたします。ただし、会場の都合上残席はわずかで、先着順とのことです。

『日本の冤罪』出版に当たっては、昨年12月24日に大阪でも集会が行われ、同書に推薦文を寄せていただきた井戸謙一弁護士をはじめ、冤罪事件被害者のみなさんも集まり、大いに盛り上がりました。当日も尾崎さんと鹿野さんの対談が行われましたが時間の関係で10分ほどでした。今回は約1時間にわたる対談が予定されています。

第33回 国賠ネットワーク 交流集会
『日本の冤罪』を語る : 尾﨑美代子さん & 鹿野健一さん
2024年2月24日(土)13:30~17:00 ■スペースたんぽぽ(たんぽぽ舎)

◎国賠ネットワーク https://kokubai.net/

国賠ネットワーク さまざまな国賠裁判を結ぶネットワークは1989年に立ち上げられました。国賠裁判とは、国や自治体の公務員から不当な被害を蒙った人々が、その責任を追及し、謝罪や賠償を求める訴訟です。無実の罪で逮捕・勾留・起訴された冤罪被害者を中心に、国賠を闘う原告や支援グループの、穏やかな連携と支援交流を目指すネットワークです。

◆交流集会 年に一度、それぞれの国賠の当事者・支援者が集まって、互いに報告し、語り合い、情報や知恵を共有する全国的な交流集会です。①東住吉冤罪国賠、②星野獄中死国賠、③大垣警察市民監視国賠、④湖東病院事件・西山国賠、⑤よど号旅券発給拒否国賠&産経新聞損賠、など当事者から現状についての報告を予定しています。

◆特別対論 最新刊『日本の冤罪』の著者・尾﨑美代子さんに、フリーライター・鹿野健一さんがお話を伺います。尾﨑さんは足を使い、渦中の人に会って話を聞き現場に出向き、更には住み込んでその複雑さの中に身を置き考える。このように肌の感覚をとことん味わい、言葉で伝えようとする人は意外に少ない。集会に多くの諸兄姉が参加し、彼女の話に耳を傾けていただきたい。

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

凄いニュースなのに、大きなメディアではほとんど報道されない。既に死刑が執行された飯塚事件の再審請求審で、次々と死刑執行された男性が犯人でない可能性のある証拠が出ているのに。話題にならないとは?

32年前福岡県飯塚市で女児2人が失踪、翌日遺体が発見された飯塚事件、私はこの事件を詳しく見ていなかったが、今回改めて調べてみた。事件発生から2年後久間三千年さんが逮捕。久間さんは一貫して否認していたが、2006年最高裁で死刑が確定、そのわずか2年後2008年に死刑が執行された。

実は同じ年、飯塚事件で用いられたDNA鑑定と同じの手法で実施されていた足利事件のDNA鑑定が間違っているのではないかと問題になっていた。(実際足利事件の菅家さんは2009年4月にえん罪と判明した)。久間氏の死刑執行はそれが判明して1週間後だった。

2009年10月28日、久間氏の遺族は福岡地裁に第一次再審を請求。足利事件のDNA再鑑定を行った大学教授による鑑定書を新証拠として提出した。しかし2014年福岡地裁は再審請求を棄却、2018年福岡高裁も即時抗告を棄却し、最高裁も特別抗告を棄却した。

2021年7月9日、遺族は第二次再審を請求した。新たな証拠として、事件当日、後部座席に女児を乗せた車を目撃した男性Aさん(74歳)の証言が出された。Aさんは、2023年5月31日、非公開の証人尋問のあと、弁護団とともに実名・顔出しで会見に応じた。Aさんは、女児2人が失踪した日、女児を後部座席に乗せた白いワンボックスタイプの車を目撃したと証言した。運転していたのは、久間さんではない、30~40歳位、色白、5分刈の短髪、頬身の体形だったという(当時久間さんは50歳)。女児の一人は恨めしそうな今にも泣きそうな表情だったという(20年あと女児の写真を見たAさんはあの時の子だと確認する)。

実はAさんは、ニュースで女児2人が行方不明になったことを知り、すぐに警察に通報していた。2月26日か27日に事情を聴きにきた警察官に、Aさんが見た白い車と運転していた男の話をした。しかし、警察はAさんに「紺色のワンボックスカーではないか」と聞いたという。

3月2日、女児らの遺留品発見現場の近くで久間さんの車と特徴が似ている車を見たという男性Bさんが現れた。つまり、2月26日か27日にAさんに「紺色の車ではないか」と聞いた警察は、その証言者が出てきた3月2日前から犯人は紺色のワンボックスカーに乗る人物と目星をつけていたことになる。久間さんの車はそれと同種だった。Bさんの供述は3月9日以降「車種はトヨタや日産ではない」「後輪がダブルタイヤだった」「ガラスにフィルムを貼っていた」など、どんどん久間さんの車と細部が似ている供述にかわっていった。捜査員は、最初から久間さんを犯人ときめつけていたのだ(それには理由があるが、ここでは省く)

しかも、そのAさんは気になり、その後久間さんの初公判を傍聴した。前から2列目の席からだ。被告人席には、白い車に乗っていた男とは別人の久間さんがいて、驚いたという。

実は2月15日、再審請求審の三者協議でまたまた新たな証拠が出された。女児2人が失踪した日、通勤途中に登校中の女児2人を見たという、実質、被害者の最後の目撃者だった女性が、当時の証言を翻し、「(女児を)見たのは別の日で、その日は見ていないと伝えたが、捜査員に『いや見たんだ』と押し切られたという事実だ。証言を「翻す」というより、捜査員に見ていないと伝えても『いや見たんだ』と押し切られていたことを明らかにしたということだ。

これは実によくあることだ。京都俳優放火事件で無期懲役を下された平野義幸さんは、自宅の2階で火災が発生、前日から泊まりにきていた彼女が2階にいる。あれこれ消火活動を行った平野さんだが、表に出て周囲に助けを求める。一方、平野さんは何度も燃えさかる家に入り、彼女を助けようとする。

しかし、それ以上中に入ったら、平野さん自身が危ないと考えた近所の人たちが「このままではよし君(平野さん)が危ない」と皆で平野さんの背後から「膝カックン」して倒したりした。よくケンカするなどで、評判がそうそうよくなかった平野さんだが、近所の人たちは必死で平野さんを守ろうとした。そのことを警察に話したが、判決は平野さんが何もせず、彼女を見殺したかのような内容になっている。

あるいは、姫路の花田郵便局強盗事件で犯人とされたジュリアスさんは、ジュリアスさん所有の倉庫は、昼間鍵がかけられず、誰でも入れた状態だったのに、裁判ではジュリアスさんしか鍵を開けれなかった、ほかの人は入れなかった、だから倉庫内に盗んだ現金などを隠せたのはジュリアスさんしかいないとされた。のちに倉庫の貸主の女性が、「入口は開いてて、誰でも入れた」と証言している。

桜井昌司さんが「逆えん罪」と称した、西成の女医矢島祥子さんの不審死事件では、取り調べられた彼女の関係者の話を直接聞いたことがある。仕事を休んで警察にいくと、捜査員から「矢島さんは自殺したんだが……」云々で始まる調書を取られたという。知人女性は矢島さんの死が自殺とは思えないため、何度そう言われても否定していた。しかし、「矢島さんは自殺したんだが……」を認めないと取り調べが終わらない。彼女は何度も警察に呼ばれ、そのたび仕事を休まざるを得ない。仕方なく、最後はその調書にサインしたという。

それにしても、この冤罪事件はどう決着つけるのか? 久間さんはもう国に殺されている。

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

 

悠の入場シーン、雄叫びを上げて気合いを入れた入場

まだ新人でも、ここまで来る間に入門から多くが振り落とされる長い道程。
チャンピオン目指す悠は4勝目でランキング入り確定。

◎DUEL.29 / 2月4日(日)GENスポーツパレス18:00~19:28
主催:VALLELY / 認定:NJKF

◆第6試合 スーパーフライ級3回戦

悠(=吉仲悠/VALLELY/ 52.15kg)9戦4勝4敗1分
     VS
清水健人(白龍/ 51.8kg)6戦6敗
勝者:悠 / TKO 2ラウンド1分32秒
主審:椎名利一

下がり気味の清水健人にやや手を焼いた悠。第2ラウンドにパンチで牽制して攻勢を掛け、コーナーに追い込みパンチ連打で倒した。清水は立ち上がろうとするもカウント中にレフェリーストップされ終了。

悠は「ちょっとやり辛かったですけど、2ラウンド目に相手が前に出て来たので、そこでパンチの打ち合いに持って行って倒せたので良かったです!」と感想を述べてくれました。

VALLELY米田貴志会長は「清水にステップワーク使われて攻め難かったところはありましたけど、もっとガツンとインパクトある勢いで倒せればよかったですね。」と語った。

悠が前蹴りで牽制、距離感を掴みパンチに繋いでいく

インターバルで米田貴志会長のアドバイスを聞く悠

◆第5試合 72.3kg契約3回戦

風成(エス/ 71.15kg) 2戦1敗1NC
        VS
木戸翔太(テツジム関西/ 71.75kg)3戦2勝(1KO)1分 
勝者:木戸翔太 / TKO 1ラウンド2分14秒
主審:宮沢誠

蹴りからパンチのアグレッシブな展開から木戸翔太の強い右フックで風成がノックダウン。再開後も木戸がラッシュを掛け、再び右フックで崩れ落ちた風成。

すぐ立ち上がるもレフェリーストップと成り、あっけなく負けとなった風成は呆然とした表情も負けを受け止めリングを下りた。木戸翔太はテツジム関西から出場で今日が誕生日、41歳になった。

「オヤジも頑張れるんで、オヤジのアマチュアキック団体の強さ見せたいと思います!」とマイクでアピールした。

木戸翔太が右ストレートで威嚇、ノックアウトへ繋いでいく

マイクを持った木戸翔太、関西弁で元気に語った。今日誕生日でした

◆第4試合 63.0㎏契約3回戦

須貝孔喜(VALLELY/ 63.0kg)5戦2勝(1KO)3敗
        VS
関龍之亮(士道館植野/ 63.0kg)3戦2勝1敗 
勝者:関龍之亮 / 判定3-0
主審:児島真人          
副審:椎名26-30. 井上26-30. 宮沢26-30

パンチ打ち合いに繋がる至近距離の主導権争いが続き、第2ラウンドには関龍之亮がハイキックをヒットさせて徐々に攻勢を維持する流れ。

悠と同じVALLELYジムの須貝孔喜、インターバルで米田会長のアドバイスを聞く

終始打ち合いの間合いは続き、第3ラウンドには関が連打でノックダウンを奪うと須貝は立ち上がるも更に関が連打で追い、時間はほぼ無い終了手前に連打で2度目のノックダウンを奪う。

立ち上がったところで試合終了となるところが、ゴングを鳴らすタイミングが遅いが為、更に追撃を貰ってしまう須貝。打ち合いは須貝の逆転のチャンスもある流れで好ファイトとなった。

終盤に関龍之介が攻勢を掛け、右ストレートが須貝孔喜にヒット

ラウンドガールとツーショットは勝利者の特権、関龍之介のポーズ

◆第3試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級3回戦(2分制)

YURIKO・SHOBUKAI(尚武会/ 52.1kg)7戦4勝2敗1分
        VS
MIKU(K-CRONY/ 52.05kg)4戦2勝2敗
勝者:YURIKO・SHOBUKAI / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:椎名29-28. 児島30-28. 宮沢30-28

蹴り中心の攻防からパンチも加わっていく中、第2ラウンドに効果的なYURIKOの右ストレートヒットでMIKUがノックダウン。最終ラウンドはMIKUが次第に立て直すも差を縮めるに至らず終了。

終盤はMIKU(右)も盛り返したが、ノックダウン奪ったYURIKOが(左)が勝利

女子キックはYURIKOが判定勝利

◆第2試合 ライト級3回戦

渡部瞬弥(エス/ 61.05kg)8戦1勝6敗1分
      VS
属増壱(拳友会/ 60.95kg)1戦1分
引分け0-0 (29-29. 29-29. 29-29)

蹴りからパンチに繋ぐも効果的なヒットは無く、接近戦すれば首相撲からヒザ蹴りと鬩ぎ合う中、第2ラウンドに渡部瞬弥が取り、第3ラウンドに属増壱が取り返す三者同一採点の引分けとなった。

◆第1試合 スーパーバンタム級3回戦

古山和樹(エス/ 55.3kg)3戦1勝2敗
      VS
久住祐翔(白山道場/ 54.9kg)2戦2敗
勝者:古山和樹 / 判定3-0 (29-28. 30-28. 30-29)

第1ラウンド、久住祐翔のパンチで古山和樹が右眉尻をカットし、2度のドクターチェックを受けるが続行可能、手数で巻き返した古山和樹が判定勝利。

《取材戦記》

最終試合でTKO勝利した悠は今回が4勝目で、これでNJKFのランキング入りは確定するという。昭和時代も“4勝で5回戦昇格”というシステムはありましたが、層が厚いと即ランキング入り出来る訳ではなかったでしょう。

ランキング10位以内に入れない選手は、いわゆる“ノーランカー5回戦”でした。現在は団体乱立していて一団体だけでは人材不足でランキングも埋まらない現状。更に“5回戦昇格”という文言も使えないほど3回戦制が定着してしまっている現状である。

2003年10月25日、北海道札幌市出身の悠は本名が吉仲悠(よしなか・ゆう)。地元の佐藤友則が運営するGRABSジムに小学校3年生で入門し高校1年生でプロデビュー。2戦して高校卒業後上京。米田貴志氏が運営するVALLELYジムに移籍。佐藤友則氏と米田貴志氏の関係は共に小国ジム所属で2000年代の同時期に活躍した選手である。

悠は昨年9月28日のDUEL.28で徹平(ZERO)に判定負けの後、12月10日にはジャパンキックボクシング・イノベーション興行で、JKIランカーの亜々斗(井上道場)にパンチ連打で効果的に攻め判定勝利と調子を上げています。

悠の「今後NJKFフライ級チャンピオンになるので宜しくお願いします!」というアピールはリング上やインタビューで発言しているので、その自信で実現目指していくことでしょう。米田貴志会長も「先ずNJKFチャンピオンには成れると思います!」と不安は無さそうでした。

この団体のチャンピオンとなった場合の先からが真の日本チャンピオンへ真価を問われる存在となるので頑張って貰いたいものです。

過去にも述べていますが、正月は昭和時代なら豪華カードやタイトルマッチが揃った時代でした。現在は正月はコロナ禍の影響もあってかプロ興行も休む傾向があり、今年も静かな年明けでした。

その中で、最近は無名のイベントを追うこと多く、アマチュアやプロ新人戦の中からテーマを拾っていますが、ここにも埋もれた実力者が居る。負け込んでいても突然化ける選手も居る。そんな閃いたテーマから選手やイベントは、今後もあらゆる視点で追っていきますが、それなりに御注目ください。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

おばんです。ちょっと言わせてください。あのですね、大阪万博をこのまま強行すれば、東京五輪の時以上の過労死者や自殺者がでますよ。新国立競技場の現場で若い現場監督が自殺したではないですか? 現場監督は、大きな現場の全体を把握してないと勤まらない。店に来る職人さんが少し大きな現場に入ると、監督が良いか悪いか、よくわかると言います。今日ある場所でコンクリ打ちするからミキサー車が入るというのに、入る予定のゲート付近に、ほかの業者が資材を山積みしているなんてことがあるそうです。「何やってんだ!ミキサー車来てるぞ、早く片づけろ!」と怒鳴り声が飛ぶわけです。

これは福島第一原発の収束・廃炉作業の現場を知るなすびさん(被ばく労働ネットワーク)も言ってました。福一の現場ではそれこそ毎日多種多様な作業が行われています。ある工事を行う作業員が現場にいくと、別の作業をやっている人たちがいて、自分たちはそれが終わるまで、被ばくしながら待たなくてはならないとか……。

広い現場の全体を把握できる人間がいないということです。しかも万博の現場、なかで作業が遅れているのを見せたくないためか、周囲をぐるりを囲む大屋根が先にできましたが、そうすると、中の工事に資材を搬入するなどの作業がやりにくい、やりにくい。違いますか?

◆ゼネコンの人間は、コンクリ打ったり、鉄骨組んだりできません

あと、万博の建設現場に中に入るゲートが少ないですね。以前、大阪の堺市で大きな電気関係の工場現場があったのですが、誰も行きたがらない。何故かというと、現場へ入るゲートが一本しかないため、行き帰り、とくに早く帰りたい帰り道、ゲートが混んで混んでなかなか出れないらしい。職人さんはキツイ仕事終えて早く一杯やりたいので、現場から戻るのに何時間もかかる現場はいきたがらない。
 
あと、皆さん、万博は大手ゼネコンが請け負うから、優先的に仕事が進むはずと考えていませんか? ゼネコンの竹中、大林に勤める人間がとつぜんコンクリ打ったり、鉄骨組んだりできませんよ。現場で働くのは下請けの作業員、その人数は限られていますよ。その人たちを奪い合うわけですよ。

さっき言ったように、キツイ仕事終わったら早く帰りたい、いっぱい飲みたい、風呂浸かってゆっくり休みたいと思うのが普通でしょう。だって人間だもの……(相田みつお風)。

誰が、帰りに何時間もかかる現場に行きたいと思いますか? 例えば、釜ヶ崎で、手に専門職をもたず、穴掘りなど土工の仕事しかできない人でも、当然ですが、労働者としての「誇り」があります。

阿倍野ハルカスの現場に穴掘りの土工さんとして入った人でも(失礼な言い方ですが、この人たちがいないと現場は始まらない)、「ママ、あのハルカス造ったの、俺だぜ」と自慢するのです。

それが、造っても半年ほどで解体する万博の現場に、「おれ、すごいだろう」と自慢して入れる人はどれくらいいますか? それなら、「能登に行って仮設住宅作って、えらい喜ばれたわ」という現場の方がナンボやりがいがあることか?

だから万博の現場に人は集まりません。首に縄着けて引っ張っていくのなら話は別ですが……。それでも金借りた、昔親方に世話になったなどの理由で現場に行かざるを得ない人、めっちゃ大変ですわ。私だったら単価が多少安くても能登の片づけ作業、解体作業そして仮設住宅造りにいきますわ。

だって、人として、人のためになることをやりたいじゃないか(相田みつお風)。


◎[参考動画]【万博間に合う?】「手が足りない」「めっちゃ急かされる」建設作業員たちの本音 工期遅れで残業やむを得ない状況も…大阪・関西万博の会場建設の現状(MBS NEWS 2024/02/11)

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

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