昨年もキックボクシング界の出来事は細かく見れば沢山ありました。しかし世間一般の方々に心響かせるニュースは、毎年のことながら少なかったと言えるでしょう。

そんな一年間、キックボクシング業界関係者、ファンの中では比較的インパクトあった話題をここだけの独断と偏見で纏めてみました。

◆重森陽太、本場ラジャダムナン王座初挑戦も奪取成らず

今年2月19日に、ラジャダムナンスタジアム・ライト級王座挑戦した重森陽太(伊原稲城=当時)、チャンピオンのジョーム・パランチャイに判定負けで王座奪取成らず。ポイントは僅差であっても、相手に優る駆引きの差は大きいムエタイの壁でした。

その翌月、新日本キックボクシング協会から伊原稲城ジムの脱退があり、重森陽太は脱退した稲城ジムからの離脱で、個人でもフリーとなりました。その後は主に「KNOCK OUT」に出場しており、今後の彼自身のビッグイベントに注目されます。

殿堂ムエタイ王座奪取成らなかった重森陽太(2023.2.19)

◆吉成名高はラジャダムナン王座二階級制覇と現地で初防衛

 

7月に殿堂王座二階級制覇した吉成名高(2023.11.26)

吉成名高が11月26日に1年ぶり2度目のジャパンキックボクシング協会KICK Insist出場。1年前と比べ、新たな実績が上積みされていました。

2018年12月9日のラジャダムナンスタジアム・ミニフライ級に続き、2019年4月14日にルンピニースタジアム同級王座をも奪取には、二大スタジアム同時制覇は初と言われた当時の快挙の後、昨年は7月9日にラジャダムナンスタジアム・フライ級王座奪取し、殿堂王座の二階級制覇は外国人として初快挙。

8月12日には本場スタジアムでKO初防衛と更なる快挙を達成。2001年1月8日生まれの吉成名高の今後は三階級制覇や日本でのムエタイの浸透、メジャー化を目指しています。その表れが今年の防衛戦や井上尚弥並みの複数階級への挑戦でしょう(“名高エイワスポーツジム”がリングネームですが、世間一般に伝わり易いように、ここでは本名にしてあります)。

◆武田幸三の新天地

昨年1月29日はジャパンキックボクシング協会の興行で、いつもの武田幸三氏の気合いが入るYashioジム主催の「CHALLENGER」興行でしたが、5月14日に予定されていた「CHALLENGER」興行は中止となっていました。

しかし、9月10日にはNJKFアマチュア部門の「EXPLOSION.38」に於いて、武田幸三氏が登場。ベストファイトに送られる「武田幸三賞」が復活していました。すでに察する情報はありましたが、10月に入って武田幸三氏はニュージャパンキックボクシング連盟にTAKEDAジムとして移籍加盟。その存在感は健在。

11月12日のニュージャパンキックボクシング連盟興行「NJKF 2023.5th」は「CHALLENGER」興行復活となって武田幸三氏にNJKFが乗っ取られたような興行の変わりようでした。2024年は2月11日から「本気でトップ狙って本気でトップの団体にしようと思っています。」と語った武田幸三氏主催の興行が続きます。

新天地で活動開始した武田幸三氏(2023.11.12)

◆“新団体”全日本キックボクシング協会誕生

2月19日の重森陽太が挑戦したラジャダムナン王座の興行後、伊原稲城ジムが脱退したことはすでに述べたとおりですが、「新団体を立ち上げる!」と言っていた栗芝貴会長。当初はフリーのプロモーターとしての活動かと思いましたが、実際に団体として8月に全日本キックボクシング協会を設立されました。

12月17日には稲城ジムでアマチュア大会を開催。すでに稲城、SQUARE-UP、JTクラブ、バンゲリングベイ、ウィラサクレック、MONKEY-MAGICといった知名度有るジムを含めた20軒のジム加盟が発表されていて、3月16日(日)には後楽園ホールで設立記念興行が開催されます。

この団体名は昭和40年代の創生期に、老舗の日本キックボクシング協会(TBS系)に対抗する形で存在した全日本キックボクシング協会(日本テレビ系、東京12チャンネル系)や、1987年(昭和62年)に復興する形で始まった全日本キックボクシング連盟とも直接的な関係は無い新団体となります。この名称、使えるのかなと思いましたが、引き継いだ人物がいないことや商標登録されていなければ問題無いと考えられます。

比較的歴史の浅いジムが多いことから新時代の展開が見られると考えられますが、どんな歴史を作り上げるか、設立興行から今後の運命が掛かるでしょう。

新生全日本キックボクシング協会発動

◆老舗を継承する新日本キックボクシング協会の今後

 

江幡塁が復活宣言(2023.10.15)

2019年の分裂とコロナ禍明けに稲城ジムが脱退し、5月に日本ライト級チャンピオン、髙橋亨汰(伊原)がジムと協会脱退。勝次(藤本)は先に発表済ながら10月15日の試合を最後に脱退しTEPPENジムに移籍。メインイベンタークラスが次々脱退が続く中、フリーとなった重森陽太が7月に新日本キックボクシング協会のリングで御挨拶に立ちました。

「今後の進路を迷っていた時に、伊原会長から『お前はキックボクシングを続けなさい。今迄頑張って来たのだから、お前の好きなようにやりなさい。』と激励の言葉を頂き、背中を押されました。」と語っていましたが、伊原信一代表の“去る者は追わず”、激励の言葉を掛けて送り出す姿には粋な計らいの印象が浮かびます。髙橋亨汰や勝次、栗芝貴氏にも同じ計らいだったと言えるでしょう。

ただ、これで新日本キックボクシング協会が、散々噂された崩壊へ繋がるとは思えません。立て直しへの兆しが10月15日興行で復活宣言した江幡塁の存在で、「僕は今後、新日本キックボクシング協会代表のもとで、選手育成を行なっていきたいと思っています。」

「新日本キックボクシング協会から世界を獲れるような強さ、そして自覚を持った選手を輩出していけるように力を尽くしていきます!」という言葉から読めて来るものが今年の興行に表れて来るでしょう。

◆東京町田金子ジム閉鎖とこの年引退した選手

前身は1972年(昭和47年)に創設された萩原ジムで、後にジムを引き継いだ金子修会長でしたが、その後は1987年の全日本キック復興の頃からチャンピオンが育ち、存在感も増していったかと思います。一昨年の千葉ジム閉鎖に続く、歴史あるジムの閉鎖は時代の流れ、世代交代を強く感じます。

東京町田金子ジムが閉鎖、金子修会長に花束贈呈(2023.4.16)

更にこの年、引退テンカウントゴングを聴いたのは2月11日の「NO KICK NO LIFE」興行で森井洋介、喜入衆、緑川創、4月15日のNKBでの笹谷淳、10月8日のジャパンキックボクシング協会での内田雅之がいました(確認出来る範囲まで)。

皆、長らくの現役に完全燃焼した姿。緑川創は目黒イズムを継承するかのように、その時戦える最強の相手、海人と対戦。完膚なきまで打たれ続け散った緑川創でした。内田雅之も体調の影響でラストファイトは王座決定戦での睦雅戦となりましたが、ボロボロになるまで5回戦を戦い抜いての完全燃焼でした。

完膚なきまで倒された緑川創に内山高志氏より労いの花束贈呈(2023.2.11)

森井洋介の引退テンカウントゴング、身体の故障でセレモニーのみだったが完全燃焼の現役生活だった(2023.2.11)

◆プロに繋がるアマチュアの存在感

アマチュアではWBCムエタイジュニアリーグ全国大会の存在も将来に繋がり、世界大会は2年に一度の開催として第2回が今年2月2日~5日、タイ・バンコクのルンピニースタジアムでの開催予定で、これがプロに繋がるステップとして注目が集まるでしょう。まずは2月の世界大会に注目です。

WBCムエタイジュニアリーグ全国大会から世界大会へ舞台は整った(2023.11.5)

◆ガルーダ・テツ東京進出のその後

テツジムが目標だった6人目チャンピオン誕生には繋がっていませんが、NKBでのタイトルマッチが停滞している中では無理があったでしょう。12月16日に棚橋賢二郎を破ったばかりの勇志は今年、フェザー級王座争奪トーナメントに出場予定でチャンピオン有力候補。一昨年から続く、日本列島テツジム計画は着々と進行中でしょう。

思い付くままの回顧録でしたが、今年も幾つも新たな展開が見られるでしょう。それが世間一般の人に少しでもインパクトを与えるなら、吉成名高が目指す日本でのムエタイメジャー化、武田幸三氏の言う「自己主張がしっかり出来る人間、目標が明確な人間、本気でキックボクシングに命を懸けている人間が勝ち残るリングへ」という意識向上へ、キックボクサーを大舞台に立たせる計画へ繋がることでしょう。

また今年の一年を振り返った際、業界の前進・飛躍が見られることに期待致します。

日本列島テツジム計画中のガルーダ・テツ会長とデビュー戦を終えた期待の新星・中山航輔(2023.12.16)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

昨年末に勃発した自民党の裏金疑獄は、安倍晋三内閣の閣議決定で定年延長された黒川弘務・東京高検検事長が検事総長に就いていれば、東京地検は動けなかったものと思われます。それを阻止したのは文春砲の“賭け麻雀”でした。

安倍元首相は国会で「私は何度も告発されたが立件されることは一度もなかった」と豪語。その自信の裏には“根拠”があったことがわかります。だとすれば、安倍独裁のさらなる検証の必要性も、あらためて浮かび上がってくるところです。さらにいえば、元NHK記者の岩田明子氏による「安倍元首相が派閥会長当時に対応を指示していた」との“スクープ”も、自民党・検察・メディアの関係から読み解くべきです。

安倍元首相暗殺事件はすでに一昨年。これをきっかけに旧統一教会と自民党の癒着が「マスメディアの沈黙」から解き放たれたなかで、自民党と公明党の連立にも大きな影響をもたらしたことを、本誌記事で明かしています。この暗殺事件から、裏金疑獄による安倍派、ひいては自民党の“崩壊”が、一連の“流れ”の上にあることは間違いありません。

「大阪・関西万博」をてこに導入に向け加速する「ライドシェア」。十年前、安倍晋三首相も乗り気だった米ウーバー参入が「規制の壁」により失敗したのはよく知られるところ。当時と今で何が違うのかは不明で、むしろ「ウーバーイーツ」でさまざまな問題が顕在化してきました。

本誌記事でも述べられているとおり、ライドシェアで考えるべきは利便性ではなく労働環境全体にもたらす影響です。当たり前に働き、当たり前に生きるというのが、すでに困難な社会。一攫千金を狙うホストが女性たちを搾取、そのホストたちも搾取されている、という状況の背景にあるのはそれではないか、うわべだけ規制しても無意味では、との思いはぬぐえません。だとすれば、「失われた三十年」は「奪われた三十年」といえるかもしれません。

一方で、それまで地道に積み重ねてきた議論を無視し、欧米から借りてきた価値観を日本社会に塗り込めるようなことが、あちらこちらで行なわれています。それに対抗するものが「多様な言論」であるはずですが、出版予定の翻訳本を発売中止としたKADOKAWAの判断には、疑問を呈さざるをえません。同書に投げかけられた批判の内容こそ、重要な議論の対象であったことは、論を俟ちません。言論・出版そのものの現代的意義こそが問われているのだといえます。

さらに、今月号で特に注目すべき記事が「イスラエル閣僚が語ったパレスチナ侵攻の目的と思想」。イスラエルの財務大臣兼国防省内大臣が、パレスチナ差別を堂々と語るその内容を、レポートしています。昨年12月号では、イスラエルによる侵攻が宗教戦争ではないこと、1月号ではその裏にある利権の存在を指摘しました。それらとともに、イスラエルがパレスチナで何をしようとしているのかを、明らかにするものです。

ほか、「ゲノム編集食品」の危険性に関する専門家による解説や、宝塚歌劇団の闇など今月号ももりだくさんの内容をお届けします。「紙の爆弾」は全国書店で発売中です。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年2月号

『紙の爆弾』2024年2月号

すでにバイデンを見限った習近平「米中対立」の真実と真相
岸田総裁は党解散届を総務相に今すぐ出せ!
自民党裏金疑獄事件でも「マスメディアの沈黙」
“裏金総辞職”で麻生太郎が復権財務省が主導するポスト岸田シナリオ
KADOKAWA出版中止事件の背景 少女たちの乳房切除を止められるのか?
米オスプレイ墜落で再び見えた「日本の屈辱」
「“パレスチナ人”というものは存在しない」
イスラエル閣僚が語った“パレスチナ侵攻”の目的と思想
非米か親米か、決断の時 “自民党崩壊”の先に米国の策略
繰り返される「政治資金不記載」「選挙違反」政治家はなぜ法を守らないのか
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脳も免疫系も破壊する危険だらけの「ゲノム編集」
「ジャニーズの次はAKB48」終わらない“性加害問題”と芸能界メディア癒着
ジェンヌ自殺事件を招いた宝塚歌劇団の闇の最奥
相次ぐ“巨大教団ドン”の死去
池田大作の死で「宗教と政治」は変わるのか
アベババと約100人の盗賊
シリーズ 日本の冤罪46 奄美大島女性殺人事件
連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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◆どうなる解散総選挙

岸田内閣支持率の低下が止まらない。毎日新聞では、同社世論調査の1947年以来最低という16%を記録した。 それでも、岸田首相の口からは「解散総選挙」の5文字は出てこない。

元々、この5文字は、昨年末のテレビ出演で、岸田首相自身の口から出てきたものだ。以来、今年初から、一年間、当のご本人により事ある毎にちらつかされ続けてきた。

ところが、物価高騰による生活苦の深まり、それに対する無策の上の増税など、岸田政権への信頼が揺らぎ急落する中、それに追い打ちをかけるように法務、財務、文科、三副大臣の不祥事とそれが元での辞任、自民党各派閥のパーティー券、「裏金」問題、等々が重なり、解散総選挙の来年への先送りを首相自ら口にした矢先でのこの歯止めの利かない支持率続落、どん底だ。

進退窮まった岸田首相がどう出てくるか。「支持率ゼロまでやめないつもりか」など、ヤジが飛び交う中、その出方に注目が集まっている。

◆開陳された泉房穂「政権交代戦略」

そうした中、今、日本政界で急速に脚光を浴びてきているのが「泉房穂」。前明石市長である同氏の言動が時期適切、とにかく面白い。

「政権交代は一瞬でできる。こんなことを言えば、〈泉どうしたんか〉と言われそうやけど、皆できないと思いこんでいるだけ」。

これは、「週刊FLASH」12月12日号に載った彼自身の発言だ。

そこで提起された「政権交代戦略」は迫力満点、大いに説得力がある。

まず、政権交代のための基本戦術を全国289ある小選挙区で野党候補を一つに結束し、与野党一騎打ちに持ち込んで勝つことに置く。

そのために野党の一本化が必要だが、それは、政権交代のリアリティがあれば十分可能だ。言い換えれば、権力奪取の可能性があれば、幾らでも連立できると言うことだ。

その上で、重複立候補は禁止する。同じ選挙区で候補者がかち合った場合は、予備選挙をして統一候補を決める。

今日、「生活を何とかしてくれ」という国民の声がいつにも増して高まっている中、野党の一本化を実現する上で何より重要なのは、「救民」の旗を掲げ、「救民内閣」実現を目標に、それに向けた流れをつくることだ。これができれば、小選挙区での「一本化」はあっと言う間に進み、次の総選挙一発で与野党逆転、政権交代は十分可能になる。

「解散総選挙」をめぐり、岸田政権の出方が問われ、日本政界が大揺れに揺れている今、週刊誌に開陳された泉房穂氏の「政権交代戦略」。これまで自分自身の明石市長選をはじめ、数々の首長選、一騎打ちで勝利を重ねてきている同氏だけに、大いに注目に値するのではないだろうか。

この泉氏の問題提起にどう対するか。野党ばかりでなく、日本政界全体の鼎の軽重が問われているのではないかと思う。

◆「解散総選挙」の意味と「政界再編」

岸田首相が今年、一年を通して持ち出してきた「解散総選挙」には、様々な意味が込められていたと思う。

一つは、「米中新冷戦」の最前線を日本が担うための核やデジタル、等々、「日米統合」と連関する、軍事、経済など各分野での政策、施策を野党の反対、抵抗を最大限避け、スムーズに成立させるため、「解散総選挙」をちらつかせて、その矛先をかわしたということだ。

その上で、もう一つ、実はこちらの方が本命だったと思われることとして、米国は本当に岸田政権に解散総選挙を望んでいたのではないかということがある。

一昨年の総選挙大勝利により、今は、「黄金の三年」、岸田政権は向こう三年間、選挙をする必要がない。その上、この一年、当初より岸田政権への支持率は下降線を辿っていた。そこでの「解散総選挙」は、岸田政権にとって、マイナスにはなってもプラスにはならない。それがなぜ今、「解散総選挙」なのか。

求めているのは、米国くらいしか考えられない。では、その目的は何か。なんのための「解散総選挙」なのか。

そこで想定されるのは、「政界再編」だ。

今日、「米中新冷戦」の最前線を日本に担わせるため、進行する「日米統合」。そこにあって、最も立ち後れているのが政治の統合だ。

日本を「日米統合」の「新冷戦体制」に「改革」するため、自民党は一丸となっていない。その内部は、親米改革派と非米保守派に分かれており、そこには国家主義、親中派などが混在している。これでは、日本が対中対決戦をその最前線で担うことなど到底できない。

そこで狙われているのが「解散総選挙」による自民党大惨敗であり、それを契機とする自民党の親米改革と非米保守、国家主義、親中などへの分裂、与野党の垣根を超えた親米改革派の大結集、「政界再編」といった青写真なのではないか。

この間進行するパーティー券、「裏金」問題などで東京地検特捜部による攻撃が比較的国家主義的、あるいは親中的な要素、傾向が濃く、党内影響力も強い安倍派や二階派へ集中されたのは、そのことを示唆しているのではないだろうか。

◆激動の新年日本政治

新年日本政治の展望はどうか。

それは、今、世界に広がる「大動乱」、非米VS親米の世界史的攻防と無縁ではあり得ない。

「米中新冷戦」とウクライナ戦争、そしてハマス・イスラエル戦争と「三正面作戦」に直面させられ、それに覇権国家としてまともに対処できない姿を全世界に晒した米覇権が新年、その世界史的終焉を全世界の前に刻印するようになるのはほぼ疑いの余地のない事実だ。

そうした中、米国の日本における策動はどうなるか。すべてを放棄し、米国に撤退するのか、それとも、その真逆に、従来の戦略をより悪辣に強行してくるのか。答えは明確だ。後者以外にあり得ないと思う。それが米覇権回復の死活的環となる対日戦略に他ならないからだ。

この対中対決戦に向けた「日米統合」にあっても焦眉の問題、「解散総選挙」「政界再編」をめぐる闘いは決定的だ。これがどうなるかですべてが決まる。

そのために、親米改革派の大結集による「新冷戦政治体制」の構築を許すのか、それとも非米保守派、国家主義、親中派、そして何より、広範な国民の大団結に基づく新しい日本政治の実現を勝ち取るのかが切実に問われていると思う。

この闘いにあって、泉房穂氏が提起した「政権交代戦略」は、極めて示唆的なのではないだろうか。自民党惨敗が目に見えている解散総選挙にあって、「救民内閣」実現を掲げながら、与野党の良心的部分を結集し、国民に直接訴える選挙がこれまでになかった結果を生み出すことは十分に予測可能なのではないだろうか。

小西隆裕さん

◎ピョンヤンから感じる時代の風 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=105

▼小西隆裕(こにし・たかひろ)さん
1944年7月28日生。東京大学(医)入学。東京大学医学部共闘会議議長。共産同赤軍派。1970年によど号赤軍として渡朝。現在「かりの会」「アジアの内の日本の会」会員。HP「ようこそ、よど号日本人村」で情報発信中。

『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』(紙の爆弾 2021年12月号増刊)

『一九七〇年 端境期の時代』

拝啓 柿沢未途先輩

わたしは、1988年麻布学園入学、1994年3月卒業の佐藤周一と申します。突然お手紙を差し上げるご無礼をお許しください。

わたしは、柿沢先輩とは88年度の一年間はありますが、麻布学園でご一緒させていただいたことになります。東京大学には、1995年3月ご卒業の先輩とは入れ違いで入学しました。

どこかでは、学園内のすれ違っていたはずです。当時、中一のわたしからすれば、高三の先輩ははるかに上の存在に見えました。

わたしは、大学卒業後は、自分が生まれた街・福山のある広島県に戻り、広島県庁で2000年から11年近く奉職したあと、現在は介護福祉士として働きながら政治活動をしております。

直近の目標は、2025年11月の広島県知事選挙において、暴走する湯崎英彦現知事を打倒し、知事や県教育長ら腐敗しきった「エライ人」たちから県民の手に広島を取り戻し、庶民の暮らしと広島・瀬戸内の水や食べ物を守る「ヒロシマ庶民革命」を成功させることです。平和都市にふさわしい、デモクラシーを広島に再生させることです。

 

筆者が東京地検に逮捕され東京拘置所内に拘留されている柿沢未途代議士宛に送った手紙の封筒

◆これまでの残念な柿沢先輩の行動

そんな中、先輩が東京地検特捜部に逮捕されたという報道に接し、非常に残念な思いです。

被疑者・被告人はすべからく推定無罪である。法学部ご出身の柿沢先輩に経済学部出身のわたしが申し上げるのは釈迦に説法というものでしょう。そのことを大前提としても、これまで先輩がされたことは極めて残念です。

昔のことになりますが、柿沢先輩は、2008年に現職の民主党の都議でありながら、酒気帯び運転で自損事故を起こされましたね。民主党を離党して都議を辞職もされました。だが、翌2009年、先輩はみんなの党に移られ、衆院選にご当選されました。有権者の判断と言えばそれまでですが、酒気帯び運転の翌年すぐに政界に復帰される先輩の感覚をわたしは疑いました。

「そんな感覚の柿沢先輩が、また大きな失敗をされるのではないか? 麻布学園出身者の恥をさらすのではないか?」

そのようにひそかに危惧をしておりました。

◆成功体験が生んだ慢心と転落

だが、その後、柿沢先輩は、みんなの党→維新→民進党と移動され、元の鞘に戻ったと思ったら、希望の党騒動に便乗されました。そして、2021年には自民党へ移籍されました。長年、非自民の国会議員ということで支持してくれた有権者をバカにした行動ではないでしょうか?それでも、先輩は当選された。

しかし、これらの「成功体験」が、今にして思えば、先輩にとっての不幸だったのではないでしょうか?

「多少、法を踏み外そうが、有権者をバカにした行動を取ろうが、有権者は俺を選んでくれる。」

そのように先輩は、慢心されていたのではありますまいか?

そして、柿沢先輩は、2023年、ついに転落の道を歩まれることになりました。2023年4月執行の江東区長選挙で、先輩は木村弥生前区長を応援されました。

だが、木村前区長が柿沢先輩のアドバイスで選挙期間中に有料のYouTube広告の動画を出したのはアウトです。

有料の広告は「選挙期間中」はアウトであり、選挙期間以外の「政治活動」としてならセーフです。

その程度のことも先輩が押さえておられなかったのは残念です。

◆河井事件と柿沢先輩の事件の対比

そして、その江東区長選挙で先輩は、区議らにお金を配ったり配ろうとしたりされたそうではありませんか?

広島では参院選広島2019で河井案里さんの当選を図って夫の克行さんがお金をばらまくという事件を起こしました。先輩はこの河井事件のことはご存じですよね?

皮肉にも、それぞれの事件発覚時に先輩は法務副大臣、克行さんは法務大臣でした。

案里さん、克行さんはそれぞれ、逮捕・起訴され、案里さんは、執行猶予付きの有罪判決を受け入れて当選無効になり、克行さんは実刑判決で2023年11月29日まで刑務所におられました。

この事件では、お金をもらった側の広島県内の地方議員らも、検察審査会により「起訴相当」議決がされ、多くの議員が起訴されました。

広島市議(当時)が「克行だけを悪者にしたい」「先生には議員を続けてほしい」という趣旨の検察の供述誘導を受けていました。このことについては、最高検が不適切な取り調べだったと認定しています。

そして、検察審査会の起訴相当議決後の裁判では、誘導を受けて買収の意図を認めていたことで、多くの議員が有罪判決を受けています。

ただ、わたしは、個人的には、野球で言えばこれら河井克行さんからお金をもらった側への「有罪」は「疑わしきは罰せず」に反すると感じています。野球で言えば、「本塁でのクロスプレーで、キャッチャーが生還しようとする走者に追いタッチした形」ではないかと思います。

だが、そもそも、国会議員が地方議員にお金を配ることそのものは、政治資金規正法上の寄付という形なら禁止されていません。そのために金配りが常態化していたことが問題だとわたしは考えています。国会議員が地方議員にお金を配ってしまえば、地方議員は自治体の住民の代表として国にモノを言いづらくなってしまいます。国会議員による地方議員へのお金配りを禁止する法律をつくるべきです。

◆庶民の苦労が分かる人を議会から排除する現行選挙制度

また、そもそも、選挙にお金をかけすぎる。そのことが問題です。一度当選した人は、それでお金儲けし、お金をまたかけて地盤を強化する。そういう構図で、議会の構成が固定化し、庶民・労働者の苦労が分かる人がほとんどいなくなった。それが日本の政治の閉塞状況の背景にあるのではないでしょうか?

翻って、諸外国の中には、選管主催でガチバトルでの公開討論会を開催してそれを見て有権者が判断する文化が定着しているところもあります。こうなれば、お金をあまりかけない選挙運動になります。

実は、日本でも昔は選管主催の実質的な公開討論会があったのに、今はやらなくなってしまいました。結果として、有権者もYouTube広告などを参考にするようになってしまった。

そうではなくて、きちんと政治家同士の討論を聞いて有権者が決めるようにすればいいのです。

◆河井事件でお金をもらった側と比べても明らかすぎる「アウト」

さて、柿沢先輩。2023年4月の江東区長選挙に話を戻します。先輩がお金を配ったのは、ほとんど江東区長選挙の最中であり、「区議選の陣中見舞い」という言い訳は通用しないでしょう。
 
河井事件でお金をもらった側の場合は、お金をもらったこと自体は褒められた話ではないし、とくに検察側の供述誘導に乗っかってしまった方については、河井克行さんだけ沈めて自分は助かろうという意図も感じてしまいます。それでも、疑わしきは被告人の利益に、と考えれば本来は有罪にするのは難しいはずです。ただ、日本の裁判所はほとんど、検察の主張を基本的に追認しますので、上記のように有罪判決ばかりになっています。

しかし、柿沢先輩がされたことは、もはや、外野手からの返球を捕手=検察が持っていて、本塁へやってくる走者=柿沢先輩を完全に待ち構えている状況です。

柿沢先輩の場合は、河井事件のお金をもらった側の議員の方々と比べてもあまりにも明らかすぎるアウトです。こんなことをなぜ先輩はしてしまったのか?これまでの経緯から、すっかり慢心をされたのではないか?

◆「選挙に受かるためなら何でもあり」から卒業を

柿沢先輩。今度は酒気帯び運転のときのように、すぐ政界復帰、というわけにはいきますまい。5年の公民権停止は免れません。選挙で受かるためにはなんでもあり。そんな人生から距離を置いて、庶民・労働者の苦労をしっかりと経験されたらいかがですか?

例えば、わたしが働いている介護現場では、低賃金、それによる人手不足から、職員の多くが60代はおろか70代以上の高齢者という状況です。外国人も、結局給料の高い東京へ流出しています。これらの惨状は、先輩が自民党に移籍される2021年までは、野党の立場で対抗してこられたはずの、自民党の政治によるものです。

そもそも、今の公職選挙法は戦前の治安維持法の延長で、複雑怪奇で、庶民の参加が難しい仕組みになっています。その結果として、お金がある人、先輩のようにお父様からの地盤を引き継がれた人が有利になる。そして政治が硬直化していく。こうした状況に日本はあります。

こうした選挙制度の改正をしつつ、庶民の苦労にこたえる政治にしていかなければ、日本の崩壊・滅亡は待ったなしです。

先輩が反省をされたうえで、わたしが主張する「庶民革命」の方向性に賛同されるなら、先輩の再出発を後輩としてささやかながら応援させていただく可能性もあるでしょう。さもなければ、先輩もわたしの主張する「庶民革命」 により打倒されることになるでしょう。

最後になりますが、真冬の拘置所は御身にこたえると思います。

どうか、ご自愛ください。

麻布学園 1994年卒業 佐藤周一

敬具

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

◆公務員の服務宣誓に日本国憲法尊重は当然と思っていたが……

「宣誓書 私は、ここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、且つ、擁護することを固く誓います。
 私は、地方自治の本旨を体するとともに、公務を民主的且つ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として誠実且つ公正に職務を執行することを固く誓います。」

画像は、筆者が2000年4月1日に広島県庁に入庁した時、サインした宣誓書です。

国家公務員でも、地方自治体でも、警察官でも、日本国憲法を尊重し、且つ、擁護する、ということは必ず書かれています。これは、日本国憲法99条や15条の2に基づいています。

左の広島県警察の場合、「不偏不党」「公正中立」としているのは、あくまで建前ですが、第二次世界大戦前、時の与党が、警察の幹部を自党の支持者で固めて、野党の選挙運動を妨害したことが、政党不信、そして軍部への期待、そして軍国主義へとつながったことへの反省をもとにしています。

例えば立憲政友会の田中義一内閣は、日本共産党への弾圧に加え、保守野党の立憲民政党の選挙運動への干渉も行いました。ただ、自民党長期政権のもと、木原誠二代議士の妻の元夫の怪死事件での疑惑など、自民党に忖度する警察になってしまっているのが現実ではありますが、建前は不偏不党ということです。

ともかく、憲法をまもるということが、いの一番に条例で定められている。これが、どこの自治体でも警察でも常識である。筆者はそう思い込んでいました。

◆「憲法抜き宣誓書」の広島市役所

ところが、です。その常識が通用しない自治体が一個ありました。それは、なんと驚くべきことに筆者が住んでいる広島市。平和都市とされている広島市です。

広島市の職員の服務の宣誓に関する条例」を拝読すると、宣誓書の様式自体は任命権者に委任しています。

そして、中森辰一市議によると、驚くべきことに、広島の宣誓書には憲法の「け」の字もないということです。

新規に採用された公務員は、国家公務員も地方公務員もすべて、初めて公務の職務に就く前に、かならず「服務の宣誓」というものを行います。この「服務の宣誓」の宣言文に日本国憲法を守ることを、きちんと入れる必要があると思うのですが、広島市では、政令指定都市になった機会に、それまで入れていた憲法遵守の言葉を、「国際平和文化都市の職員として」との言葉と入れ替えてしまいました。それ以降ずっと憲法遵守の言葉がないままになっています。

憲法遵守の言葉を入れるべきだとただすと、市当局は、国際平和文化都市の職員であることは、憲法を守る職員であるということだから憲法遵守の言葉は必要ないという趣旨の理由を述べて、決して憲法遵守の言葉を入れることを検討するとは答えませんでした。

中森議員は、日本共産党の議員の中でもG7広島サミットには「期待しない」というスタンスをはっきりさせていた方です。同党の女性県議二人が「評価する」、「期待する」というスタンスなのとは対照的です。

それにしても、「憲法抜き」宣誓書を広島市が新人職員にサインさせていたのには、びっくり仰天です。

憲法擁護義務というのは、公務員としての基本中の基本です。新人の時にサインする含む宣誓書にそれが含まれていない。広島市が政令市になったのは、1980年です。それのとき、大卒で入庁した職員は65歳で、定年延長や再任用になっていたとしても退職しています。憲法擁護義務を入庁時にサインした人は、国からの出向組を除けばいない、ということです。

◆荒木・平岡・秋葉時代には「憲法抜き」弊害は表に出なかったが……

このことは、荒木市長(任、1975-1991)、平岡市長(任、1991-1999)、秋葉市長(任、1999-2011)のときには、あまり問題にならなかったかもしれません。というのは、荒木さんは旧社会党右派系労組幹部出身、平岡さんはジャーナリストから地元経済界出身、秋葉さんは社会党代議士出身ということで、それぞれ、平和への思いは熱いものがあったと思います。

しかし、問題は、中央官僚出身で、自民党推薦の松井さんが市長になった2011年以降です。既報の通り、松井市長は、新人職員や新人課長研修で現行憲法と反する「臣民」などの言葉を使う「教育勅語」を使用していました。 

もし、多くの職員が憲法擁護義務を、もっと意識していたら「市長、臣民とか言う言葉を使う教育勅語はまずいのではありませんか?」という幹部職員も出てきたはずです。真正面からでなくとも、市長のプライドを傷つけないような言い方を工夫してやめさせる、という動きが部下から出てくるでしょう。

しかし、松井市長が、開き直った上で、今後も使い続けるということは、強く反対するような幹部職員もいない、ということです。もし、いれば、さすがの松井市長も渋々であっても「誤解を招くので」とかなんとか取り繕って来年からは教育勅語は使わない、という可能性が高いでしょう。

ともかく、「憲法の精神に真っ向から反して恥じない」人が市長になった場合に、「憲法抜き」の服務宣誓書の弊害が明らかになってくるわけです。

別の言い方をすれば、「教育勅語騒動」は、松井市長の個人的な資質だけではなく、憲法抜きの宣誓書で入庁した職員ばかりで構成される広島市役所の全体的な体質の問題でもあるのです。

◆「平和都市」などと威張っている場合じゃない! まずは公務員に憲法遵守義務徹底を!

松井市政は、市民の意見を聴かずに、中央図書館を、緑豊かな中央公園から、駅前の繁華街のデパートの上部に移動させる、学童保育は有料化を強行するも、学童保育の指導員の待遇改善は不十分で欠員だらけ、子育て支援は全国や県内の他自治体におくれを取るなどの問題だらけです。平和行政の面でも、G7サミット後に、市民の意見を聴かずに、原爆投下を反省していない米国政府を相手方とする平和記念公園とパールハーバーの姉妹協定を結ぶなどしています。

その根底には、市長の資質とともに、市長のやることを疑問に思わない幹部職員が多いということ、そして、それは長年の「憲法抜き」宣誓書によって起きているということです。

広島は、いまや、軍拡を突き進む岸田総理を衆議院議員として送り出した、という意味でも全国の皆様にご迷惑をおかけしています。

広島市役所の「憲法抜き」体質は、長年にわたって、市民にも悪影響を及ぼしているのではないでしょうか?

筆者は、2000年に広島に県庁入庁のためにUターンして以来、いろいろな点で「広島は、平和、平和という割には、デモクラシーが遅れているなあ」というもやもや感をこの街に抱いていました。

そのもやもや感の「震源地」の一つが今回、明らかになりました。

国際平和文化都市などと、威張る前に、まずは基本中の基本、憲法尊重義務を市長以下、公務員が徹底すること。そこからではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

テツジムからは東京2名、大阪4名、岡山1名合わせて3勝3敗1分。勇志が棚橋賢二郎破る飛躍の圧勝。

◎野獣シリーズ FINAL(Vol.7) / 12月16日(土)後楽園ホール17:30~21:08
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第14試合 59.0kg契約 5回戦

NKBライト級1位.棚橋賢二郎(拳心館/1987.11.2新潟県出身/ 58.65kg)
23戦11勝(7KO)11敗1分
        VS
NKBフェザー級3位.勇志(テツジム大阪/2000.4.28大阪府出身/ 58.8kg)
12戦9勝(4KO)2敗1分
勝者:勇志 / TKO 3ラウンド 13秒
主審:前田仁

NKBフェザー級トーナメントに繋がる試合である。

「棚橋は攻撃力あるがディフェンスに難あり」と言われていた前評判。

スピードあるサウスポーの勇志がパンチで先手を打って出た後、強い左ミドルキックが棚橋のボディーにズバッとヒット。更にパンチからの左ミドルキックは完全に主導権を奪った勇志。左ヒジ打ちから右フックでノックダウンを奪う。

更に勇志のパンチ連打から左ハイキックでインパクトを与え、縺れ合った中、勇志の左フックで2度目のノックダウンを奪う。

第2ラウンド、棚橋も巻き返しに掛かるが勇志の勢いを止められず、再び勇志が強い左ミドルキックでインパクトを与え、左ローキックでノックダウンを奪う。更にローキックでダメージを与えて棚橋が前かがみになったところで右ローキックから左ストレートでスタンディングダウンを奪う。

勇志の鋭い左ミドルキックが棚橋賢二郎のボディーに度々ヒット、インパクトを与えた

第3ラウンド、勇志がローキックで攻め、棚橋がパンチで出て組み付いたところで首相撲の形からヒザ蹴り連打した勇志。棚橋陣営からタオルが投げ込まれたが、レフェリーの背後で、勇志陣営のセコンドが相手陣営のタオル投入を訴えたか、レフェリーの独自の判断か、試合を止めレフェリーストップとなった。

勇志は「今日の試合は完璧でしょう。全部倒せる技を身に着けていたので、相手の攻撃も全部見えていて、貰っても怖くなかったですね。」と応えた。

勢いに乗った勇志がパンチ、ヒザ、ヒジ、飛び蹴りも見せた

◆第13試合 62.0kg契約 5回戦

横山典雄(元・聖域統一60kg級C/不死鳥道場/1986.5.13新潟県出身/ 60.8kg)
9戦7勝(4KO)2敗
        VS
NKBライト級5位.蘭賀大介(ケーアクティブ/1995.2.9岩手県出身/ 61.95kg)
8戦5勝2敗(3KO)1NC
勝者:横山典雄 / 判定3-0
主審:高谷秀幸
副審:笹谷49-46. 亀川50-46. 前田49-47

初回、蘭賀大介がローキックから前蹴り、ハイキックなど蹴りからパンチでやや攻め手が多いも終了間際にやや強い横山の右ストレートを貰ってしまう。

第2ラウンドも蘭賀大介がローキックからパンチの流れも終盤、横山の右ストレートで蘭賀はノックダウン喫するがラウンド終了。ダメージは無いが、横山が主導権を奪った。

第3ラウンド、攻防激しくなるがローキック中心に高い蹴りも牽制。パンチの攻防が増えて行くが第4ラウンド、激しくなるパンチの打ち合いで、やや蘭賀が盛り返し連打で追うが、両者とも精魂尽き果てた表情。これが5回戦で見られる本来の姿。

激しくなった打ち合いの横山典雄と蘭賀大介

最終第5ラウンドも蹴りからパンチへ繋げ、打ち合いはやや蘭賀が持ち返したかと見えたが、横山のヒットも目立って互角。互角に蹴りとパンチの交錯が続いて終了。

打ち合ったダメージがやや心配な両者の脳への影響も、蘭賀大介はしっかり試合展開を覚えていて、「1ラウンドは蹴りを当てて、2ラウンドも蹴りを当てていたんですけど、右のパンチ貰ってダウンして、3ラウンドぐらいから蹴りが当たらなくなってパンチで行ったらあんな感じになちゃっいました。」と振り返った。

横山典雄の右ストレートで蘭賀大介がノックダウンを喫する

◆第12試合 60.0kg契約 3回戦

NKBフェザー級4位.矢吹翔太(team BRAVE FIST/1986.8.2沖縄県出身/ 59.65kg)
16戦10勝3敗3分
        VS
KEIGO(BIG MOOSE/1984.4.10千葉県出身/ 59.95kg)
22戦7勝9敗6分
引分け 1-0
主審: 鈴木義和       
副審:加賀見30-30. 笹谷30-30. 前田30-29

前回対戦した2月は矢吹翔太の首相撲からのヒザ蹴りがやや上回って判定勝利ながら、大差は付かない噛み合わなかった試合で、「組むんだったら倒しに行け!」と、ヒザで倒すか絶対打ち合うことが条件の試合と言われていた。下手な試合したら暫く試合組まれなくなる脅しもある中、前回より両者積極的だったが決め手を欠く展開の引分け。矢吹翔太がもっと圧倒していかねば合格点は難しいだろう。

打ち合うことが条件。しかしインパクトあるヒットは少なかった

いきなり飛んだ半澤信也、気が抜けない得意技を持っている

◆第11試合 フェザー級 3回戦

半澤信也(team arco iris/1981.4.28長野県出身/ 57.05kg) 29戦11勝(4KO)14敗4分
         VS
堀井幸輝(ケーアクティブ/1996.11.7福岡県出身/ 56.75kg) 4戦2勝1敗1分
勝者:半澤信也 / 判定3-0
主審:亀川明史
副審:前田30-29. 高谷30-29. 鈴木30-29

初回、ローキックからパンチ中心の攻防。動きはあるがヒットにインパクトが無く差は出ない流れ。第2ラウンドに半澤信也のいきなりの飛びヒザ蹴り。半澤にはこれがあるから油断ならないがヒットせず。手数優った半澤信也がやや優勢維持し、各ラウンド、僅差の振り分けながら半澤信也が勝利を導いた。

◆第10試合 54.0kg契約 3回戦

牧野亮佑 -無所属-(1990.07.24栃木県出身/ 53.95kg) 10戦5勝5敗
        VS
シャーク・ハタ(テツジム東京/1987.10.20大阪府出身/ 53.4kg) 9戦4勝4敗1分
勝者:牧野亮佑 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:前田30-26. 加賀見30-28. 高谷30-28

初回から牧野亮佑のサウスポーからの左ハイキック、パンチ、先手の攻めがインパクトを与える。

第3ラウンドにシャーク・ハタの右ストレート打ち終わりに合わせて牧野が左ストレート打ち込むとクリーンヒットし、シャーク・ハタがノックダウンを喫する。時間は少なく逆転狙ったシャーク・ハタは巻き返せず終了。

牧野亮佑の左ストレートを、うっかり貰ったシャーク・ハタがノックダウン

ちさと(右)が何度も当てたヒジ打ちでコウキの左目辺りが腫れ上がっていった

◆第9試合 62.5kg契約 3回戦

NJKFスーパーフェザー級8位.コウキ・バーテックス
(VERTEX/1997.9.20栃木県出身/ 62.3kg) 11戦4勝6敗1分
        VS
ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 62.25kg)
38戦7勝(2KO)28敗3分
勝者:ちさとkiss Me!! / TKO 2ラウンド1分37秒
主審:亀川明史

初回、蹴りからパンチの静かな攻防も組み合いに移り、ちさとのヒジ打ちがコウキの左目上辺りをヒット。更に密着したまま身体を預けて転ばし、打ち合いたいコウキだが、ちさとの組み付きに手を焼く。更に打ちこむヒジ打ちをしつこく続けたちさと。一旦離れても更に組み合ってヒジ打ち。コウキの左目瞼から眉上まで腫れ上がる。

第2ラウンドも、ちさとは組み合いコウキのコブにヒジ打ち叩き込む。コブは腫れが酷くなってドクターの勧告を受け入れたレフェリーストップとなった。ちさとのヒジ打ちは切りに行くヒットではなく、ゴツゴツ当てるヒジ打ちで、コウキの目が塞がりかけた為のストップとなった。

◆第8試合 55.0kg契約 3回戦

香村一吹(渡邉/2007.2.22東京都出身/ 54.7kg) 3戦3勝(1KO)
        VS
兵庫志門(テツジム大阪/1996.4.14兵庫県出身/ 54.65kg) 12戦4勝(1KO)6敗2分
勝者:香村一吹 / TKO 3ラウンド35秒
主審:加賀見淳

渡邊ジムとして期待の16歳高校生キックボクサー。パンチからローキック、時折ハイキックを放つ香村一吹。戦歴で上回る兵庫志門が圧倒するかと思われた初回は香村が勇敢に攻め、迎え撃った兵庫志門。互角の展開だが、香村の善戦が目立つ。次第に兵庫志門が勢い付いてきた感はあるが、香村は蹴られたら蹴り返し互角を保つ。
第3ラウンドに香村が蹴りから組み合うタイミングで右ヒジ打ちをヒット。左眉上を切った兵庫志門。パンチからヒザ蹴りに出て行くがドクターチャックが入り、そのままドクターの勧告を受け入れレフェリーストップとなった。香村は3連勝。渡邉ジムでは来年も頼もしい存在となるだろう。

香村一吹が積極的に攻める、地味ながらしっかり技を持っている

◆第7試合 54.0kg契約 3回戦

幸太(八王子FSG/1998.3.19山形県出身/ 53.85kg) 6戦1勝5敗
         VS
滑飛レオン(テツジム岡山/2004.12.23岡山県出身/ 53.8kg) 6戦4勝(3KO)1敗1分
勝者:滑飛レオン / KO 1ラウンド51秒 / 3ノックダウン
主審:笹谷淳

◆第6試合 ライト級 3回戦

須藤誇太郎(フジマ/2001.8.12神奈川県出身/ 61.1kg) 6戦4勝(1KO)1敗1分
        VS
龍志(テツジム大阪/1995.12.12大阪府出身/ 60.6kg) 4戦1勝3敗
勝者:須藤誇太郎 / 判定3-0
主審:高谷秀幸
副審:鈴木30-25. 前田30-25. 笹谷29-26

◆第5試合 ライト級 3回戦

辻健太郎(TOKYO KICK WORKS/1984.3.13東京都出身/ 61.05kg) 4戦2勝(1KO)2分
        VS
津田宗弥(クロスポイント吉祥寺/1980.1.8神奈川県出身/ 60.95kg) 2戦1勝1敗
勝者:辻健太郎 / 判定3-0
主審:加賀見淳
副審:亀川30-29. 前田30-29. 笹谷30-28

◆第4試合 女子51.5kg契約 3回戦(2分制)

RUI・JANJIRA(JANJIRA/2000.11.5東京都出身/ 51.1kg) 3戦1勝2敗
        VS
足立麻衣子(ワンサイド/1996.4.4長野県出身/ 51.45kg) 4戦4敗
勝者:RUI・JANJIRA / 判定3-0
主審:鈴木義和        
副審:前田30-26. 亀川30-26. 高谷30-26

◆第3試合 ウェルター級 3回戦

安田学登(TEAM Aimhigh/1995.9.14群馬県出身/ 66.45kg) 8戦1勝7敗
        VS
健吾(BIG MOOSE/1993.10.10千葉県出身/ 66.35kg) 3戦2勝1敗
勝者:健吾 / 判定1-2
主審:笹谷淳
副審:前田30-29. 亀川29-30. 加賀見29-30

◆第2試合 ミドル級 3回戦

TOMO JANJIRA(JANJIRA/1992.1.12京都府出身/ 72.5kg) 3戦2敗1分
        VS
木戸翔太(テツジム大阪/1983.2.4大阪府出身/ 71.95 kg) 2戦1勝1分
引分け 1-0
主審:高谷秀幸
副審:鈴木30-29. 亀川29-29. 笹谷30-30

◆第1試合 58.0kg契約 3回戦

岡部惇(アント/1993.10.20岡山県出身/ 57.9kg)1戦1敗
        VS
中山航輔(テツジム東京/2002.10.13香川県出身/ 57.6kg)1戦1勝
勝者:中山航輔 / 判定0-3
主審:前田仁
副審:鈴木26-30. 笹谷28-30. 加賀見28-30

イッセイ会長と勇志、応援旗を掲げたトレーナーと勝利のポーズ

《取材戦記》

ガルーダ・テツ会長は「テツジム7名は良いところも悪いところもあったが、皆よく大阪も岡山も頑張ってくれた。中山航輔はデビュー戦ながら粘ってノックダウン奪うし良かったな」といきなり振った質問にも応えてくれました。練習で厳しく、試合前も険しい表情だが、試合終われば優しいコメントに移るのは毎度のことかな。
棚橋賢二郎を破った勇志はフェザー級王座争奪トーナメントに出場予定でチャンピオン有力候補でしょう。更に棚橋賢二郎とのタイトル(たぶんライト級)を懸けたリマッチも視野に入れている模様。NKBでの世代交代も進んでいるなと感じる勇志の存在である。

テツジム大阪の兵庫志門にヒジ打ちで勝利した香村一吹は2月のデビュー戦と6月の第2戦目も判定勝利だが、ノックダウン奪っての勝利で、今回はヒジ打ちTKO。何か秘策持ってるな香村は。「これが当たれば絶対勝てる」といった技があれば強い。次戦は更なる上位と対戦になるだろうが、来年の注目株である。

2024年の日本キックボクシング連盟興行は、「冠鷲シリーズ」として、
2月17日(土)後楽園ホール
4月20日(土)後楽園ホール
6月29日(土)後楽園ホール
7月28日(日)大阪176BOX、NKジム・テツジム2部制興行
8月10日(土)新潟万代島多目的広場大かま、拳心館興行
10月19日(土)後楽園ホール
12月14日(土)後楽園ホール
以上が予定されています。

「冠鷲」は何と読むのか。うっかり読めなかった私。日本では沖縄地方に少数生息し、特別天然記念物となっている“カンムリワシ”。昭和時代だったら読めたのに。字が読めたかより具志堅用高氏のキャッチフレーズだったから読めただけでしたけど。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

◆三里塚で52年ぶりの強制執行

52年ぶりに、三里塚(成田空港周辺)で強制執行があった。来年で開港から45年、空港反対運動が連綿とつづいてきたことに、愕いた人たちも多いことだろう。

反対運動は83年に反対同盟が分裂し、その後も再分裂や部落単位の移転など、反対運動のスタンスも変化した。絶対反対から騒音問題の条件闘争まで、獲得目標も分化している。

とはいえ、80年代に政府が空港建設過程の強引さを一部の反対同盟(熱田派)に謝罪し、「空港建設に強制的な手段は用いない」という和解協議は、反対運動全体の成果として準用されるべきであろう。

日本の国際空港は、国際基準の第一種だけで4つ(羽田・関西・中部・成田)ある。仙台・佐賀・福岡も運営会社は「国際空港」であり、国際路線をもっている空港は18もある。羽田に代わる国際空港(ハブ空港)として期待された成田空港は、旅客数では羽田の半分となってしまっている。

今後も反対運動が止むことはないと思われるが、そうであれば地域との共生や農業活性化と観光旅行を結びつけるなどの、新しい資源活用がもとめられるのではないか。いまも三里塚・芝山の山林と農地は美しい。

生きている三里塚闘争 52年ぶりの強制収用(2023年2月18日)

◆工藤会館跡地を「希望のまち」に

工藤會幹部の裁判方針(控訴審)に変化があった。死刑判決を受けた野村総裁を庇うように、田上会長が自分の判断で犯行を指示した、と教唆犯として罪をかぶろうというものだ。本人たちの言葉を引用して、その方針変更を確認しておこう。

野村被告と田上被告は一審の弁護士を全員解任し、公判方針も変えている。田上被告が「自分が野村に相談することなく、独断で事件の犯行を指示した」と、つまり野村悟の死刑判決を回避するために、罪をかぶることを宣言したのである。

主張を変えた契機は「弁護士から被害者のこと、私の指示で長い懲役に行った(組員の)ことに向き合うことが本当ではないかと言われました。もう本当のことを話そうと思って、決めました」であると述べた(9月27日・控訴審の田上被告人質問)。

そのうえで、「(被害者に)本当に悪かったと思います」と謝罪し、獄死は覚悟していると述べた。

野村被告は「襲撃の指示もしていないし、事前に襲撃する報告も受けていない」と、改めて事件への関与を否定した。

当初、弁護団のなかでも「無罪は確実」とされてきた。共同謀議の具体的な証拠・証言がなく、工藤會の親分子分の絶対的な関係から、推論して指示があったに違いない。あるいは子分が慮る関係が、共同謀議とみなせるというものだった。

一般社会に当てはめると、社員の犯罪はすべて指揮関係にある上長の責任、ひいては社長の責任とする論理の飛躍は明らかなが、それが昨今の暴力団裁判なのである。

田上会長が「獄死は覚悟している」と述べているとおり、この裁判で無罪が得られることはなく、出獄(保釈)も無理であろう。かつて、溝下秀男総裁時代に取材した者として、ある意味で歴史的な判例となるこの裁判を見守っていきたい。

《工藤會レポート》最高幹部裁判の方針変更 工藤会館跡地を「希望のまち」に(2023年10月11日 )

◆鹿砦社の広告(『人権と利権』)の掲載を『週刊金曜日』が拒否

デジタル鹿砦社通信で、筆者が編集長を務めていた『情況』誌の紹介をさせていただいた(謝)。さて、その中で強調したかったのは、広告掲載でした。すなわち、鹿砦社の広告(『人権と利権』)の掲載を『週刊金曜日』が拒否したことについて、掲載拒否が結果として差別につながると指摘しました。その核心部を、すこし長くなりますが、引用しておきます。

『情況』は鹿砦社様の広告を表3(巻末)に定期掲載しています。『週刊金曜日』が当該者(団体)の抗議で、鹿砦社の広告を拒否した契機となった『人権と利権』も掲載しています。当然のことです。ご出稿いただいていることに、あらためて感謝するものです。

明らかに差別や人権侵害を目的とした刊行物でないかぎり、その表現や主張に、結果として差別的な内容・人権侵害的な内容が含まれていたとしても、誌上で批判・反批判をするべきです。そこにこそ、イデオロギー闘争としての「反差別」「人権擁護」が成立すると考えるからです。

したがって、今回の『週刊金曜日』の措置は、ファシストの焚書行為に相当するものと、わたしは考えます。『人権と利権』は運動内部に存在する「利権」を暴き出し、健全な反差別運動の発展をめざす視点から編集されていると、一読してわかるものです。

内容に誤りがあり、あるいは不十分であると考えるならば、批判の論攷を書けば良いのであって、人の眼に触れさせないのは矛盾の隠ぺい、自由な批判を抑圧するものにほかなりません。

反差別運動の基本は、現代社会が資本主義の景気循環において相対的過剰人口を生み出し、そこにレイシズムの歴史的ファクター(差別意識)が結合することで、差別を再生産する社会であること。この基本認識があれば、差別を排除するのではなく俎上にあげて、分析・批判することを通じて、差別意識を変革していくことが求められるのです。

差別は個人・組織が起こすものですが、差別社会にこそ原因があることを忘れるならば、差別者のキャンセル、排除によって変革を放棄し、結果的に差別を温存することになります。すなわち『週刊金曜日』の今回の措置(広告拒否)こそが、差別を温存・助長するものにほかならないのです。

《書評》変革のための総合誌『情況』2023年夏号 新しい論壇誌のスタイルへ 鹿砦社の広告への反応にもご注目(2023年8月30日)
 
◆重信母娘を「テロリスト」と呼んだ駐日イスラエル大使

ウクライナ戦争が継続する中で、またひとつ苛烈な戦争が拡大した。パレスチナ紛争における、イスラエル軍のガザ侵攻である。

イスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使が、「報道1930」(TBS)にジャーナリストの重信メイ氏が出演したことを問題視したことについて、パレスチナ紛争を筆者なりに解説した。

重信母娘を「テロリスト」と呼ぶイスラエルの侵略者 ── ウクライナ戦争と比べてみれば、侵略者の傲岸な様相がわかる(2023年10月24日)

ウクライナ戦争と比較してみれば、わかりやすく読み解けるはずだ。イスラエルは軍隊の力で入植地を拡大し、膨大なパレスチナ人が「難民」として郷土から追い出されているのが、パレスチナ紛争の歴史であり実態である。

重信房子は当初はボランティアとして、のちにはPFLPを支援する義勇兵(日本赤軍)としてパレスチナで活動した。これをウクライナに当てはめてみると、ウクライナ軍に参加、あるいは提携しているポーランドやロシア(反プーチン)の義勇兵と同じである、いま、プーチンはこれらの義勇兵たちを「テロリスト」と呼ぶ。イスラエル駐日大使の「テロリスト」呼ばわりは、まさにプーチンと同じなのである。

記事ではあまり問題にしなかったが、「『殺人者やテロリストの一族に発言の場を与えるべきではない』(駐日大使)というのであれば、犯罪者の子供は許さないの(犯罪者差別)と同じである。目下、重信房子の『パレスチナ解放闘争全史』を編集中。

重信房子『はたちの時代』編集後記 ── 読書子への感謝に代えて(2023年8月12日)

◆最後に

ウクライナ戦争もパレスチナ戦争も、いっこうに先行きが見えない。国内では自民党各派閥(とくに安倍派)のパーティー券キックバック問題が浮上してきた。自民党は総裁選を控えて、いっそう混乱することだろうが、再生力のある党でもある。来年も熱い一年になるであろう。みなさま、よいお年を。(完)

◎横山茂彦-2023年を顧みる〈全3回〉
〈1〉ウクライナ戦争の現実に、世界史を目撃する
〈2〉過激なまでに右派シフトしても自民党支持者に不人気だった岸田政権
〈3〉ウクライナ戦争もパレスチナ戦争もこの国も、いっこうに先行きが見えない

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年冬号

2023年は広島でも「交通」が大きく問われる1年となりました。全国的にもバスや地方私鉄の運転手が不足して減便せざるを得ない、他方で、JR各社は各地で採算が合わないということでローカル線廃線へ前のめりになりました。筆者の住む広島県内でも衝撃的な事件がありました。

 

写真をご覧ください。筆者がよく街頭演説をさせていただくJR可部線古市橋駅の窓口が9月30日に営業終了をしてしまいました。

これまでも農村部にはよく「無人駅」があり、切符を駅前のタバコ屋さんで買うとか、そういう「牧歌的」な光景があったのは皆様もご存じと思います。もっとも、最近では、大概、バスと同じ感じで、一両編成の前の運転手さんの横にある運賃箱に運賃を入れて降車する方式になっています。

しかし、古市橋駅は、一応、120万都市広島でももっとも人口が多い安佐南区役所の最寄り駅です。また、住宅も駅周辺に密集しており、広島駅方面など都心部に通勤する方も多くおられます。

朝、この場所で筆者が演説する前を、降車して安佐南区役所方面に向かわれる方、乗車のために駅に入って行かれる方でごった返します。それなのに「窓口を廃止する」というのです。ぶったまげてしまいました。

それにこの駅はしばしば、車いす利用の障害者の通勤客の方も利用されます。以前は駅員(といっても、関連会社・JR西日本中国交通サービスへの業務委託ですが)の方が乗降時の介助をされていたのです。今は、車掌さんがされているようです。それにしても大変です。当事者は当事者で手間が増えるでしょう。「移動の権利」という意味でも問題が多い、窓口閉鎖です。

JR可部線古市橋駅前で早朝演説をする筆者

◆利用者数が多いのに窓口閉鎖とは……

そして、券売機で購入できない切符を買いたい人は、『みどりの券売機プラス』または『みどりの券売機』が設置してある『下祗園駅や大町駅などに行ってください』ということです。

古市橋駅は、一日平均乗降者数は1600人程度で推移しています。それなりに人通りも多いこの場所で窓口廃止とは、衝撃です。

◆無人に便乗する不正乗車誘発も

そして、乗客の中には無人に便乗して不正をする不届き者も出てくるのではないか?と心配です。無人駅への不正乗車をする例はJR九州でも報告されています。隣駅までの低額の切符を買って、その上で、例えば古市橋駅で降りる、というパターンです。

もちろん、不正乗車は犯罪行為です。絶対にしてはいけません。防犯カメラも設置されており、AIなどで常習的に怪しい人物は一定程度洗い出されます。しかし、『単発』で不正乗車をする人が出ることは十分考えられます。

そして、問題は、現在は真面目に料金を払っている利用者も、不正乗車をする人が事実上野放しになっているのを見てだんだんバカバカしくなり、モラルが低下することです。

ましてや、一時期と比べても経済的に困っている人も多い中です。これだけ、乗降人数が多いところですと、確率が低くても、そういうことをやる人の絶対数は増えてくるのではないでしょうか。

◆芸備線存廃問題で地域協議会発足

さて、今年は、ついに、芸備線存廃問題で地域協議会が発足しました。11月29日までに沿線自治体全てが参加。地域協議会の設置の根拠となる法律が施行されて以降、全国でも初めての例です。

地域協議会が設置された場合、例えば、上下分離方式で国や自治体がお金を出すというやり方も採用される可能性はあります。この方式は設備(下)を国や自治体が保有し、運営(上)を事業者が行うというものです。日本国内では東北新幹線の開通に伴って並行路線の東北本線の運営を行っている『青い森鉄道』が挙げられます。

しかし、現時点では、JR西日本は、芸備線の備後落合―新見については、廃止してバス路線などへの転換を図る気満々だというのが、地元で伝え聞かれる噂です。

◆JRがコスト削減をするのは民間企業として当然

しかし、冷静に考えるとJRは民間企業です。コスト削減は当たり前です。1987年に国鉄が分割民営化された際、政府(当時の総理大臣=中曽根康弘さん、運輸大臣=橋本龍太郎さん、いずれも故人)は「路線のネットワークは維持する」と啖呵を切りました。

しかし、現実に民営化され、上場もされれば、企業には利益の最大化が求められます。余計なコストを削減しなければ、それこそ、株主から株主代表訴訟を起こされたり、最悪の場合は背任の被疑事実で警察・検察に告発されたりしかねません。

古市橋駅が不便になるのも、芸備線の一部区間が廃止になるのも、それこそ、JRを分割民営化したその時点で運命づけられていたと言わざるを得ません。

JR北海道などはもっと悲惨です。北海道新幹線ができるのは良いが、そのかわり、函館本線の長万部小樽間が廃止になる可能性が高いという。というか、北海道は、名寄本線とか、本線と付く路線も廃止されまくっています。路線図はネットワークどころか、枯れ木のようなありさまです。東京近郊や東海道新幹線など儲かる路線と、過疎地の路線を切り離したらそうなるのはわかりきったことです。

だが、残念ながら、JR分割民営化を強行した中曽根さんは、衆参同日選挙1986で空前絶後の圧勝をしました。当時は、日本が今よりははるかに経済的には栄えていた時代ということもあり、新自由主義を多数の国民が支持してしまったということです。そのころのつけをいまの日本人が払っているとも言えます。

◆高齢者の通勤や物流2024年問題で高まるモーダルシフトの重要性

今、高齢者に対して池袋暴走事件も契機に運転免許返納を促す動きが加速しています。他方で、70代でも多くの人が働いている実情もあります(それが良いか悪いかは別問題ですが)。こうした中で、通勤手段として、公共交通を確保する重要性はかつてなく高まっています。

また、2024年は物流問題の2024年問題があります。政府はトラック運転手不足に備え、トラックから鉄道貨物へのモーダルシフト打ち出しています。国土交通省も補助金などを出してはいます。

企業側に補助金を出すのは良いのですが、もう一歩踏み込んで、鉄道が維持というよりも現状以上の利便性向上をしれないと絵に描いた餅になってしまのではないでしょうか? 一定程度以上の利便性を確保すれば、モーダルシフトも進むのではないでしょうか?

例えば、それこそ、中国自動車道・広島自動車道等の並行路線的な意味合いで貨物や荷物を芸備線で運ぶということも必要になるでしょう。

いまほど、高齢化が進んでおらず、今よりはるかに日本経済が栄えていた1987年。その頃は「公共交通を確保しなくてもクルマがあるから大丈夫」という感覚が政治家にも官僚にも有権者にも強かったのは事実です。若い労働力も今より豊富であり、トラック運転手不足など考えられなかった時代です。

しかし時代は変わった。「モーダルシフト」への議論を、熱量をもって総理も知事も呼びかけるべきです。

◆「移動の権利」を守るには「上下分離方式」や「公有化」しかない

そもそも、居住及び移転の自由を定めた日本国憲法22条や生存権を定めた日本国憲法25条から、移動の権利は保証されなければならない。

しかし、鉄道にしても、民間企業が運営している以上、割に合わないことはできない。となれば、やはり、「上下分離方式」、さらに踏み込んで「公有化」などで公共交通を維持するしかないのではないでしょうか?

電車やバスの運転手なども、それこそ一般職公務員なみの待遇を保証するにもそれしかないのではないでしょうか?古市橋駅のような駅に人が配置できるようにするにもそうするしかありあません。
 
◆広島空港の利用増には必死だが、鉄道維持への「熱量」は感じられぬ湯崎県知事

しかし、肝心かなめの湯崎英彦・広島県知事は、それこそ、三原市にある広島空港(民営化済み)の利用増加をどう図るか?これには必死です。この12月からは県の西部の宮島口(廿日市市)やジアウトレット広島(広島市佐伯区)やアルパーク(同西区)と広島空港を結ぶ乗り合いハイエースの実証実験を開始しています。

しかし、広島空港を盛んにするということは、一歩間違えれば飛行機の東京便と並行路線である新幹線を運行するJR西日本に喧嘩を売るということになります。そして、湯崎知事自体、芸備線問題ではJR西日本に対して一定程度のクレームはつけてガス抜きは図ると予想されるものの、おそらく金を出すというところまではいきそうな雰囲気ではありません。

他方で、湯崎さんは、JR西日本から病院の土地を巨額の県費を通じて買い取るなどしています。ただ、その動きが芸備線の存続につながるかと言えばそれはないでしょう。

◆公共交通・物流をどうするべきかの国民的・県民的議論を

やはり、今必要なのは、県内の公共交通や物流をどうするべきかの国民的・県民的な議論を経た合意形成ではないでしょうか? 合意形成をしたうえで、果断な国費・県費の投入は厭うべきではないと考えます。

しかし、今のままだと、国土交通省が「個別事例に中途半端な補助金を出しておしまい」、ということになりかねません。それでは、多くの個人や企業が「蚊帳の外」になってしまい、主体的に動く気にならない。そして、国費・県費を無駄遣いして終わり、になりかねません。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

12月24日に大阪大国町のピースクラブで「冤罪と司法を考える集い」を開催しまして、80人を超える参加者で大盛況でした。

最初、スイング マサさんが企画していたものに、ピースクラブさんが「ママ(私)の日本の冤罪出版記念パーティーも兼ねればと言ってください、合体して「冤罪と司法を考える集い」と」させて頂きました。

とくに冤罪犠牲者の方、家族の方の訴えをお聞きしたいと考えていたところ、関西近縁から4つの事件の関係者が来て下さることになりました。

私としては、集会、講演会などやる際、2時間でまず終わらすということを鉄則にしてますので、そうなると井戸弁護士のお話も30分程度に短縮しなくてはなりません。井戸弁護士は快く承諾して頂き、しかもぴったり30分で貴重なお話をしていただきました

一応ここでは10分の質疑応答時間を取っていましたが、それがまた、質問が殺到。確かに全部お答えして頂けたら良いのですが、わたくし、なぜかちゃんと2時間でまず終わらせたいとの思いがあり、質問を全部受けることはできませんでした。申し訳ありません。

その後。4つの事件の関係者にアピールしていただきました。皆さんには「申し訳ないですが、5分程度」とお願いしておりましたが、そうはいきませんよね。大勢の方の前で訴えたいことはやまほどありますよね。なので、ここは途中で止めることはしませんでした。

なので……おのずと最後とまとめる尾﨑と鹿野さんのトークがメッチャ中途半端に早く4時までに終えることとなりました。結構打ち合わせしていたのですが(汗と涙)。仕方ないですね。でもしっかり今日の会が、一応「日本の冤罪」の出版記念の思いもあるということで、私も思いっきり、頂いた花束などテーブルに置いてので、今日持っていった20冊は完売させていただきました。ありがとうございいます。

鹿野健一さん(右)と筆者(ぴのさん撮影)

なお、今日の会の様子はxの「たぬき御前」さんがツイキャスで発信してくれているほか、MBS様が深夜(?)の放送で一部放映するそうです。ぜひご覧ください。

本日、昔からの知り合いの中には「ママ、お祝いに飲みに行こうか」と誘ってくださる方もおられるのですが、とにかく大きな催しが終わったら一人で飲みたい、暗い私。

今、今日の会のオープニングで演奏してもらったスイング マサさんの演奏を何度も何度も聞いて、ちょっと涙がちょちょぎれていいる。(竹内さん、ありがとう)。

マサさん、進行の松尾さん、手伝ってくださった皆様、ピースクラブの皆さま、ありがとう。


◎[参考動画]冤罪と司法を考える集い(大国町ピースクラブ)/たぬき御膳のたぬキャス(2023.12.24)

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

 

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

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