輸入できても国産化はアメリカに阻止される日本の「無人戦闘機」導入計画

国はそれぞれ独自の事情を抱えており、国情に見合った軍備を整えている。たとえば、陸のないスイスに海軍は不要だ。北朝鮮の南下を恐れる韓国は陸軍を重視する。

日本は海から来る敵と、物資流入を確保するため「シーレーン防衛」を最大目的としている。仮想敵がシーレーンを寸断しようとした場合の最も有効な兵器は潜水艦である。艦上自衛隊の装備は潜水艦排除を重視している。

そのため対潜哨戒機は重要だ。水中の潜水艦を発見し、攻撃する事に特化した偵察機で、鉄で作られた潜水艦を探す磁気探査装置や、音響で位置を特定するソノブイを装備している。ソノブイは高性能のソナーを積んだ浮きで空中から海に投下して使い捨てにする。

以前、対潜哨戒機としてアメリカ製「P3C」を使用していたが、同機の旧式化にともない日本は「川崎P1対潜哨戒機」を独自開発した。一方アメリカでも旧式化は免れず、「ボーイングP8ポセイドン」を開発した。ただしポセイドンは従来型と違い複数のトリトンを空中で指揮運用する前提で設計されている。トリトンの武装は明確にされていないが、最低でも爆雷、対潜魚雷、対艦ミサイルのうえに在来型が搭載する程度の武装は装備して、トリトンだけでも一定の対潜攻撃能力を持つと考えられる。

日本はポセイドンを買う予定はない。なにしろ、「P1」の倍以上する高価な機体である。しかし、補助的にトリトンを運用するのは有効だろう。日本も無人機の研究はしているが、十分ではない。アメリカはここに商機を見つけたのだ。

一方、無人武装機と考えた場合、「その次」に目をやる必要がある。いまや、アメリカ空軍の攻撃機は無人化され、メーカーでもプレデターをジェット化した海軍型を提案している。

◆アメリカが阻止する日本の国産戦闘機開発

となると、いよいよ無人戦闘機である。現在、アメリカの最新鋭戦闘機は「F35」であり十数年の内に西側の戦闘機は「F35」が主流となるだろう。一方、「F35」は有人であるためどうしても飛行限界が存在する。地上の十分の一以下の気圧、氷点下50℃の低温から人間を守らなければならない。

アメリカが開発中なのが「無人攻撃機X47ペガサス」である。速力はマッハ1以下と戦闘機としては遅いが、それでもプレデターの三倍以上。ステルス性は優れ、航続時間に至っては10時間を超える。空対空ミサイルをもち戦闘機としても使用できる。陸軍と海軍の共同プロジェクトであるので空母上の運用が前提で、昨年、完全自律での離着艦の実験が成功した。

日本の技術レベルはまだ無人機を買う状態であるが、陸自は無人偵察ヘリを運用している。空自も開発中の「F3戦闘機」の無人化を計画している。F3が完成したらF35は一気に陳腐化してしまう。そうなる前にアメリカは日本の無人機市場の発展を押さえる、あるいはまたも国産戦闘機開発の阻止を狙っているのである。

「無人攻撃機X47ペガサス」写真はOVAL OFFICE(http://ovaloffice.jp/)より
「無人攻撃機X47ペガサス」写真はOVAL OFFICE(http://ovaloffice.jp/)より

▼青山智樹(作家、軍事評論家)1960年生まれ。作家、軍事評論家。著書「原潜伊六〇二浮上せり」「ストライクファイター」等多数。航空機自家用単発免許、銃砲刀剣類所持許可、保有。HP=小説家:青山智樹の仕事部屋

7日には気をつけろ!──炸裂!『紙の爆弾』!

東電はKDDI、規制委員会は日立が請け負う原発関連コールセンターの無責任

いったい事故の真相はどうなっているのだろうと気がかりで東電に電話をかけてみる。ネット上で東電案内窓口と示されている案内一般のフリーダイアルに電話を掛けると「申し訳ございません」、「この度は大変ご迷惑をおかけしました」と言葉と態度は平身低頭だが、肝心の内容には全く回答してくれないオペレーターが応対に出てくる。

これは2011年事故直後からしばらく続いた東電の「電話対応」体制だ。当時この電話対応を請け負っていたは「TEPCOコールアドバンス」でこの会社は名前が示す通り東電の子会社だ。マスコミや記者を相手にした「記者会見」でもまともな発表を行わない東電が個々の電話問い合わせに真っ当な回答をする道理はないのだが、遠隔地に住む人間としては毎日東電記者会見に通うわけにもいかないから時々、東電に電話をかけて情報収集の真似事と、対応がどう変化してゆくかを追っていた。

◆「正社員は誰も責任を取らず傷つかない」仕組みとしての東電コールセンター

ある時期から東電HP上では一般問い合わせのフリーダイアルがなくなり、賠償対象者のみにフリーダイアルが公開されている。試しにこの番号へかけて事故の内容などを質問すると別の電話番号を案内される。その番号は050からはじまる「ナビダイアル」と呼ばれる番号で、電話をかけた方が通話料金を負担するようになる。

まあ、こちらは質問をしたいので、番号が無料であろが、有料であろうが文句を言う筋合いはないのだが、問題はそこで出てくる人間の応対だ。前述の通り東電は当初(事故前は不明)「TEPCOコールアドバンス」から派遣された電話応対部隊を使っていたのだが、理由は分からないもののある時期にオペレーターの総入れ替えを行う。「TEPCOコールアドバンス」は撤退し、代わって「KDDIエボルバーコールアドバンス」社が電話応対業務にあたるようになる。「エボルバーコールアドバンス」とは何とも強い怪獣のような名前だが、業務自体が変わったわけではないのでこちらが電話をかけた際の応対にさしたる変化は見られない。

この体制を敢えて短い言葉で表現するとすれば「正社員は誰も責任を取らず傷つかない制度」と言えよう。

私を含め東電に電話を書ける人の中には質問や、怒りが煮えたぎっている人が多かったに違いない。それを受け止めるのは正社員ではなく子会社もしくは、別会社で専ら電話受け付けのみを担当する人だ。

その人々には何の権限がないことは言うまでもなく、また「貴重なご意見として承り、必ず上司に伝えておきます」と決して実現することのない慣用句を口にするが、あの電話は直接、東電社員や幹部が時には体験してみるべきだ。そうしない限りいつまでたっても東電正社員の傲慢さと責任感のなさが改めれれることはないだろう。

◆日立システムズが原子力安全規制委員会のコールセンター業務を請け負う

電話対応で、これまた東電以上にえげつないのが「原子力安全規制委員会」だ。「原子力に関するお問い合わせはこちら 03-5114-2190」とHPに電話番号が載っている。こちらは官庁なのでフリーダイアルでないのは当たり前だが、ここへ電話をかけても「絶対」と言ってよいほどに公務員へつないでくれることはない。ここもコールセンターなのだ。「あなたは公務員のですか?」との質問に「こちらはコールセンターです」と答えをはぐらかす回答をするので、こちら意地になり同じ質問を5分ほど続けたことがある。

意固地な女性のオペレータはこれでもか、これでもかと私が質問を投げかけても「こちらはコールセンターです」の一点張りで機械のように回答を続けた。「あなたの所属する会社はどこですか」との質問へも「私はコールセンターの人間です」としか答えなかった。「ややこしい質問へはすべて『私はコールセンターの人間です』と回答しなさい」とのマニュアルがあったのだろう。

その応対が数か月前から変わった。現在「原子力安全規制委員会」コールセンター業務を請け負っているのは「株式会社日立システムズ」だ。こちらは日立の子会社と言うには規模が大きく、資本金が190億円もある大会社だ。その「日立システムズ」から派遣された6、7人が「規制委員会」コールセンターの電話受付業務にあたっている。「どこの会社か」と聞けば正直に答えるし、以前よりも多少人間らしい対応にはなっている。

しかし、原子力安全規制委員会と日立である。

余りにも怪しい組み合わせではないか。オペレーター氏に聞くと「契約は入札で行われた」という。原子力安全規制委員会にアクセスする方法がこちない以上、オペレーター氏の答えを信用するほかない。

日立は福島第一原発原子炉の設計にかかわったていた。原発を売って儲け、爆発させてもまだ儲ける。

公平な入札で「規制委員会」の仕事を日立が落札したとすれば、両者の因縁は断ち切りがたく深いと言わねばならない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎橋下の手下=中原徹大阪府教育長のパワハラ騒動から関西ファシズムを撃て!
◎「福島の叫び」を要とした百家争鳴を!『NO NUKES Voice』第3号発売!
◎福島原発事故忘れまじ──この国で続いている原子力「無法状態」下の日常
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎日本の「新幹線」輸出で最初から破綻が運命づけられていた台湾高速鉄道
◎渡辺昇一の「朝日憎し」提訴原告数が「在特会」構成員数とほぼ一致

フクシマの真実を礎に百家争鳴を!『NO NUKES Voice』第3号!

 

《屁世滑稽新聞20》アベッチサンの鬼退治……の巻

屁世滑稽新聞(屁世27年3月5日)
屁世滑稽新聞(屁世27年3月5日)

アベッチサンの鬼退治……の巻

犬腰犬介アナ 「こんばんワ! イヌエッチケー“ニュースセンター9”。キャスターの犬腰犬介(いぬこし・けんすけ)です。」
犬飢ゆうひアナ 「同じくキャスターの犬飢ゆうひ(いぬうえ・ゆうひ)です。」
犬腰犬介アナ 「まずお約束の、いつものシュプレヒコールから始めましょう。……アベッチサン!万歳(マンセー)!」
犬飢ゆうひアナ 「アベッチサン!マンセー!」


犬腰犬介アナ 「最初のニュースです。……偉大なるイヌエッチケー会長さまであられる揉威斬人(もみい・かっと)将軍さまのご命令で、この番組では毎週『勝利の記録』コーナーを放送しております。」
犬飢ゆうひアナ 「『勝利の記録』は、前の週に放送された大本営の戦果発表や現地での実況録音などをまとめて、毎週月曜日のこの番組内で放送されており、国民戦意を高揚に貢献しております。」
犬腰犬介アナ 「本日の『勝利の記録』は、あの憎むべき鬼畜米英の首魁であるエゲレス王族の、ウィリアム王子を日本に呼びつけて、思いっきり放射能に汚染させ、さらに子供たちの“鬼畜一投一殺”ボール投げの標的にしたという、帝国臣民にとってはまことに痛快な快挙のご報告であります。」
犬飢ゆうひアナ 「これほどの快挙を実行しえたのは、まさに大将軍アベッチさまの威徳でありますワネ。」
犬腰犬介アナ 「ふたたび大将軍アベッチさまを讃えて万歳三唱いたしましょう!」
犬飢ゆうひアナ 「よっしゃ! アベッチサン!マンセー! マンセー! マンセー!」


犬腰犬介アナ 「では、きょうの『勝利の記録』です。」
犬飢ゆうひアナ 「ちょっとその前に……」
犬腰犬介アナ 「なんですか? 台本にないですけど?」
犬飢ゆうひアナ 「今回もあんたの手が邪魔ですけど……」
犬腰犬介アナ 「ケンチャナヨ~っ! 将軍さまからの御指示でないから今回も無視ね。……さて『勝利の記録』に行きましょう。八百田嘘記(やおた・うそき)記者に伝えていただきます。八百田さんどうぞ!」

★          ★          ★

八百田記者 「ハイ!八百田でんがな! ハイハイハイ! ちょうど……あっ! ちょうど今、今週の『勝利の記録』の“完パケ”が入りましたで~! ほな行こか~!」
犬腰犬介アナ 「……えっ? 完ハゲがどうしたって? ……えっ、ちがうの? ……えっ、なんだおい! 今までパッケージ作ってたのかよ、ホントにイヌエッイケーエンタプライズは能なしぞろいだな~おい! 定年退職したジジババばかり飼ってる利権企業だから、うちら神南本店の足ばかり引っぱりやがって!」
ディレクターの怒声カットせずに入る 「イヌスケこの馬鹿ヤロー! マイク入ってんだよ馬鹿! 会社の悪口いうな馬鹿!」
犬腰犬介アナ 「あっ! ……では今週の『勝利の記録』、ごらん下さい。(涙声)」

★          ★          ★

糸居九郎ナレーター 「ゴーゴーゴー、糸居九郎! 満州の新京(シンキン)・ハルビン股にかけ、京都放送、それでまたニッポン放送と、あっちこっちで苦労を積んできたニッポン初の本格DJ・糸居九郎がお送りする、ほとんどライブの戦争宣伝番組、『勝利の記録』っ! いってみよう! ゴーゴーゴー! ゴーズオン! (BGMは軍艦マーチ) ……さて今回はわれらが大将軍さま、アベッチサンが、ブリテン王子のウィリアムズを、われらが絶対防衛圏である本土に誘い込み、ボッコボコに叩きのめしたという痛快な戦いの報告であります! その報告に入るまえに、帝國(ていこく)臣民のリスナー諸君に一曲きいて頂こう! 鬼畜米英は、かように堕落した音曲(おんぎょく)に酔い痴れているから、わが帝國との戦争で負けるのである! その曲とは、ビートルズの『エイトデイズ・ア・ウィーク』、邦訳すれば“月月火水木金金”という英国の鬼畜どもの勤労歌なんだから、日英かくも真剣さが違うのかとビックリであります!」

英國の「ゴキブリ連中」などと自称する「The Beatles」なる不良どもが
連中の言葉で『月月火水木金金』を唄うと、かくもふざけた作品となる。
これは最早クラシツクのやうな洗練された音楽とは到底言へない。
かういふことだから英國は今回の世界大戦で大日本帝国に負ける運命にあるのだ。

糸居九郎ナレーター 「さて本題に戻りましょう。このたび、わが國(くに)と交戦中の“連合国”の一端をなす大英帝国の、なんとウィリアム王子がじきじきに、わが帝國を訪問したいと言ってきたのであります。ウィリアム王子は王立英國軍の兵士に志願した男であります。かの國ではこんなふうに貴族が兵隊に志願するのを“ノブレス・オブリージュ”と言うそうで、大昔に野蛮な戦いで勝ってそれで貴族になれたのだから、戦争がおきたら貴族の息子が兵役に就くのは当然だとかいう、なんともトチ狂った発想であります。そんなことしたら、せっかく築いた巨万の富を継いでくれる跡継ぎが戦死して居なくなってしまうのに、毛唐はそんなことすら思い至らないのであります。その点、わがニッポン帝国はエラい! 貴族皇族の皆さまもたしかに兵役にはお就きになるが、それは名目だけのもので、危険な前線には決して出ていかない。前線は、百姓とか、都会の魔窟で低賃金労働に甘んじている賃労働家庭の若者とか、世間じゃ使い物にならない大学生の青臭い若者とか、そういう連中に戦わせてきた。それがニッポン帝国の英知でありまして、この点は明治維新の時からカネ儲けの仕方を学んできたアメリカ合衆国の支配層の生活信条を、しっかりと踏襲しておるのであります。
さてここで、帝国臣民のリスナー諸君に一曲きいて頂きましょう! 鬼畜米英はかように堕落した音曲に酔い痴れているから、わが帝国との戦争で負けるのである! その曲とは、ランナウェイズの『チェリーボム』、邦訳すれば“同期の桜”という米国の鬼畜どもの同窓歌なのであるから、日米かくも真剣さが違うのかと驚嘆せざるを得ないのであります!」

米國の「脱走者ども」などと自称する「The Runaways」なる不良女子どもが
連中の言葉でいう『同期の桜』を唄うと、かくもふざけた作品となる。
これは最早クラシツクのやうな洗練された音楽とは到底言へない。
そもそも新興国のアメリカ合衆國にはクラシツクすら存在せぬのである。
かういふことだから米國は今回の世界大戦で大日本帝国に負ける運命にあるのだ。

糸居九郎ナレーター 「さて本題に戻りましょう。イギリス政府からウィリアム王子の訪日希望の連絡をうけた我らがアベッチサン政府は、アベッチサン大将軍じきじきにウィリアム王子と会見し、その場で『もし福島訪問を望むのなら、現地でピカを食え! その気がないのなら偽善の見世物などまっぴらだから日本に来なくてヨロシイ! イエスか? それともノーか?』と厳しい態度で腑抜けた王子に決断を迫ったのであります。 この真剣勝負のような会見は、まさに今からちょうど73年まえ、真珠湾奇襲の成功から3ヶ月たった昭和17年、すなわち1942年の2月15日に、帝国陸軍の山下奉文(ともゆき)大将が、シンガポール攻略に成功して宿敵連合軍の英國軍司令官・アーサー・パーシバル中将と会見を行ない、『イエスかノーか』と降伏を迫った逸話を彷彿(ほうふつ)とさせるのであります。」

日本を訪れたウヰリアム王子の一行に対して、
我らがアベツチサン大将軍は「福島に行くならピカを食え!
イエスかノオか!」と迫り、ちやうど今から七三年前の戦時下、
山下パアシバル会談で見せた日本の破竹の強さを、いま再び
英國に示したのであります。

糸居九郎ナレーター 「事前の会見でウィリアム王子にピカを食うことを確約させたアベッチサン大将軍さまは、その後、東京から福島までウィリアム王子の訪日団を徒歩で行進させたのであります。ウィリアム王子もこの試練によく耐えた! 敵ながらあっぱれであります。ここでまた一曲聴いていただきましょう、今度はトルコの軍楽隊の行進曲であります。イギリス王子も、楽器のひとつでも持参しておれば、悲惨な行進をせずに済んだでありましょうに……。こういうところに、おのおのの文明が育んできた文化の奥行きや深さの違いが現れるのであります。じゃあ曲いってみよう! ゴーゴーゴー! ゴーズオン!」


英国皇族の御一行も、このトルコの軍楽隊のやうに何か楽器のひとつでも
持っておれば、福島までの惨めな旅程を歩まずに済んだであろう。

アベツチサン大将軍さまの命令一下、徒歩で福島に向かう
英國ウヰリアム王子とその部下たち。王子らが履く粗悪な
英国製短靴はすぐに壊れて使い物にならなくなつたが、
「セカセカ歩け!」の叱咤を受けてなんとか福島に辿り着いた
英國皇族だつたのであります。

糸居九郎ナレーター 「さて、福島に到着したウィリアム王子ら御一行は、例によって幼い子供たちが遊んでいる場所を慰問したのであります。マスコミ報道に乗っけて庶民の安心やら賛同やらをとりつける“戦略的メディアイベント”の実施においては、子供とか動物のような“なごみキャラクター”を用いた見世物が絶対的に有効であり、必要なのであります。なにしろこれは、ナチスドイツがユダヤ人強制収容所を正当化するために利用した宣伝手法ですからねぇ。……そんなわけでアベッチサン大将軍さまとウィリアム王子は広告代理店の定石を踏まえて、チビッコたちが遊んでいるスポットを訪問したのでありますが、ここでハプニングがありました。……なんと、チビッコたちは、子供らに愛想よく接近したウィリアム王子を警戒して、その場にあったボールを投げつけたのであります。節分からほぼ一か月たった後のことではあったけど、福島の賢明なチビッコたちは、いみじくも鬼畜の親玉に、ボールを投げつけて撃退の意思を示したのであります。さすが日本の子供たち! あっぱれであります! しかもこの子供たちは、敵国イギリスの王子に、金魚の糞のようにくっついてヘラヘラとお愛想わらいをしていたアベッチサン大将軍さまにも、抗議のボールを投げつけたのでした。……独裁者の本性を、その場で直感的に見抜いてボールを投げつけて撃退した子供たちの感性の鋭さ! これこそが日本の宝であります。
……ここでまた一曲、聞いてもらいましょう! 大英帝国に乗っ取られて尻の毛まで抜かれてきたけれど、独立して独自の文化を育んでいるカリブ海の島国・ジャマイカのポップスター、ボブ・マーリーの大ヒット曲『アイ・ショット・ザ・シェリフ』です。直訳すると『オレが撃ったのは警官だよ』ってことです。……これは、ニッポンでいえば岡っ引きのような下っ端の警官を正当防衛で撃ち殺してしまったけれど『警察署長を射殺した』などと大げさにデッチ上げられて重罪にされた男が、我が身にふりかかった冤罪を訴えた歌であります。……でもまあ、お役人だというだけで無茶苦茶に権力を乱用する奴らには、鉛のボールでも撃ち込んでやったほうが世のためになるというのは、世界普遍の真理であり、小学校に上がるか上がらないかの幼児でさえ知っている自然の法理なのであります。……これを教えてくれたウィリアム王子の訪日は、まことに有益だったと言えましょう。……じゃあ曲いってみよう! ゴーゴーゴー! ゴーズオン!」

大英帝国の植民地だったジャマイカの、大衆歌謡の王子であった
ボブ・マーリーの『アイ・ショット・ザ・シェリフ』。自分を殺そうとした
警察の下っ端をやむなく成敗したけど、エライ人には手を出してないぞ、
と冤罪を主張する正義の歌であります。

第二次大戦時に獨逸のヒトラア閣下が宣伝相ゲツベルスに
作らせた宣伝映画のように、今回の英國皇族の福島訪問でも
我らがアベツチサン大将軍は幼気な子供たちが愉しく遊ぶ様子を
ウヰリアム王子らに見せつけたのであります。子供たちは
「鬼畜米英」の実物を目の前にして、手にした軟球を「鬼畜」
に投げつけて愛国心旺盛な闘志を自ら示したのであります。
更に子供の天才的嗅覚は邪悪な偽善者をも見事に嗅ぎつけて
ボオルを投げて排撃したのであります。

糸居九郎ナレーター 「アベッチサン大将軍さまは、ウィリアム王子が福島県訪問を終えた直後に、記者たちの前でこう語りました――『殿下の福島訪問は東北の被災者に勇気を与えていただいた。福島のおいしい食材を堪能(たんのう)していただきたい。風評被害を払拭(ふっしょく)する上で大きな力になる』。……これで明らかなように、アベッチサン大将軍さまは福島県の食材の放射能汚染という、もはや隠しようのない現実に、『風評被害』という奇妙な呼び名をつけて、それを払い拭(ぬぐ)うための道具として、英國の王子を利用したのでした。自国の恥ずべき現実をごまかすための“煙幕”やら“道化役”として、よその国家の皇族とか王子とかを利用した国が、これまでどこにあったでしょうか? アベッチサン大将軍さまは、あえて未曾有の蛮勇に踏み出し、それまで世界の歴史で類例のなかった“他国の皇族を汚名ぬぐいの雑巾(ぞうきん)”として使うという勇気ある行動を実行したのです。……なんと勇猛果敢な行為でありましょうか!」

鬼畜英國の皇族が這々(ほうほう)の体(てい)で退散した後、
我らがアベツチサン大将軍は今回の歓迎行事を勝利的に総括する
声明を発表したのであります。
それによれば「我が帝国の名誉を汚す風評被害を払拭するボロ雑巾として、
英國の王子を掃除の道具に使ってやつたワイ、あゝ愉快愉快!」という
痛快なものだつたのであります。我らが大将軍アベツチサン万歳!
神よアベツチサンに御加護を授けよ!

糸居九郎ナレーター 「……以上が本日の『勝利の記録』であります。英國のウィリアム王子をボロ雑巾のように利用したアベッチサン大将軍さまが、大英帝国を滅ぼす日はきっと遠からずやってくるでありましょう。だって一国の皇族をゾウキン扱いにしたのですからね。これほど痛快な外交があるでしょうか? ……ではリスナーの諸君、最後にウィリアム王子のおバアちゃんのことを唄ったビートルズの曲を聴いていただこう。……『女王様はかわいいお嬢ちゃんだぜ、めったにしゃべらないスケだけど。女王様はかわいい娘さ、毎日コロコロ気分が変わるけど。愛してるって言いたいとこだが、ワインをガブ飲みしなきゃ言えないな。女王様はかわいい娘、いつかオレのものにする、オレのものにするぞ』。……これ、ザ・ビートルズの『ハー・マジェスティー』です。彼らの最終アルバム『アビーロード』の、最後にポツンと張りつけられていた“しょうもない曲”ですよ。われらがニッポンであれば、こんな唄は不敬罪で登場しえなかったでありましょう。たとえ“不敬罪”という法律が廃止になっていても、死のぞこないのゾンビどもが死滅した法律を掲げて生者に嫌がらせをしているのが、われらが黄泉(よみ)の国・ニッポンなのですから。……まぁ、ゾンビどもは世の終わりが来なきゃ始末がつかんわけですし、困ったもんですワ。……じゃあ曲いってみよう! ゴーゴーゴー! ゴーズオン!」

★          ★          ★
八百田記者 「……ということで、今週の『勝利の記録』。おもろかったな! じゃあ犬腰キャスター、まとめ頼むで!」
犬腰犬介アナ 「バカヤロー! 今日もあと30秒で番組終了じゃねえか! 完パケが長すぎるだろ、イヌエッチケースペシャルじゃねえんだぞ!」
ディレクター(怒鳴り散らす声がそのまま番組に入る) 「犬介てめえキャスターのくせに何やってんだ! てめえやっぱし今日かぎりでクビだわ! 地方局に飛ばされて一生ローカルニュース読んでろバカ!」
犬飢ゆうひアナ 「きょうもニュースが一本しかお伝えできませんでしたが、そもそも数万人の職員を抱えているイヌエッチケーが日々カネをかけて製作しているニュースを、一時間のうちに何本も見たいのなら、受信料が月々数千円というのは安すぎます。テレビからもラジオからもインターネットからも、さらにありとあらゆる情報端末機器から、何重にも受信料をいただかなくては、とってもやる気になりません。視聴者の皆さまは、この時間帯に一本でも価値あるニュースを見れただけで、われわれを感謝せねばなりません。……皆さまのテレビ生活は受信料で支えられています。イヌエッチケー東京放送。……《ニュースセンター9》、明日もお楽しみに……」

 
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(この物語はフィクションであり登場人物その他はすべて架空のものです。
屁世滑稽新聞は無断引用・転載を大歓迎します。
ご使用の際は《屁世滑稽新聞(http://www.rokusaisha.com/wp/?p=6831)から引用》と明記して下さい。)

 

ジャンク化マクドの「疫病神」原田泳幸の経営手腕は「合理化=搾取と混乱」

ベネッセの会長兼社長で日本マクドナルドホールディングス並びに日本マクドナルドの取締役会長の原田泳幸が3月25日の定時株主総会後に辞任することを明らかにした。

◆従業員を使い倒す“ピープル・ビジネス”のどこが「お客様第一」か?

原田は2月20日、マクドナルドを辞任するにあたってこんなコメントを発表している。

「私のマクドナルドでの歩みは常に変革・改革の連続でしたが、マクドナルドは“ピープル・ビジネス”、常に人材を礎としビジネス基盤を強固にしてきたことで成長してきたものと確信しております。幾度のビジネスの危機も、『お客様第一』であり、目の前のお客様に誠心誠意対応させていただくことを肝に銘じてまいりました。『お客様第一』を徹底して追求していく事こそがお客様への価値向上につながり、企業を成長させる最も重要な事であると考えております。日本マクドナルドは真摯な気持ちでふたたびお客様の店舗体験の価値を高めることと私は確信しております。」

原田らしいコメントだと思う。原田の言う「“ピープル・ビジネス”」とは「人々のための仕事」ではなく「従業員や消費者を使い倒す」手法である。元からアルバイト中心で少数の正社員で構成されていたマクドナルドに更なる「合理化」=「搾取」と「競争」原理を持ち込み、自分の人脈の人間を多量に雇い入れ、その連中とも反りが合わなくなり追放し、内輪のゴタゴタが凋落に繋がって行った。「ビジネス基盤を強固にしてきたものと確信して」いるのは原田だけだろう。

「『お客様第一』を徹底して追及してゆく事こそがお客様への価値向上につながり」とはこれと正反対の方針を取る経営者の常套句で「お客様第一」を考えていたらあんな体に悪い商品を臆面もなく売ることなどできないはずだ。あれこれ言いつくろってもジャンクフードの王様、マクドナルドで利益を上げようとした経営者に「お客様第一」を語る資格などない。

◆外資を渡り歩く経営者にありがちな「自己利益と身分確保」優先主義

読者は意外に思われるだろうが私は原田と面識がある。もっとも私が原田と知り合ったのは彼が日本アップルの社長だった頃でまだ白髪も目立たなかった。

その数年後、ある企画で原田に協力を頼めないかと日本アップルに連絡をしたところ原田は既に社長ではなかった。電話に出た人間に転職先を聞いても答えないので調べるとなんとマクドナルドに移っていた。「マック」(アップル製PCの略称)から「マック」へと冗談のような転身だなぁと驚いた記憶がある。が、経営者が大企業を渡り歩くこと自体は珍しくもないので原田の手腕が買われたのだろう程度に考えてた。だがその後マクドナルド内ではかなりえげつない合理化により、内紛と言っていいほどの混乱が起きる。ジャンクフードの売り方よりも自身の利益や身分の確保に凌ぎを削る争いが起きて、一部フランチャイズ店からは訴訟も起こされる。

たぶん原田の運はこのあたりから下降線をたどっていたのだろう。

◆マクドナルド凋落はベネッセでも繰り返される

ベネッセで社長兼会長に就任するとニュースを聞いたときは「いくらなんでもそれはやりすぎだろう」と感じた。ベネッセは福武書店が「進研ゼミ」の商標と名乗っていた岡山に本社がある教育関連企業だ。長く株式を公開せず、社員持ち株を続けていたが株式公開と同時に高騰し、社員が皆「億万長者」になったという噂を持つ会社だ。模擬試験や通信教育から始めた事業は「幼児から取り込めば大学受験まで顧客にできる」と着眼し、「シマジロウ」という虎の縫いぐるみを中心に幼児向けのビデオ教材でも成功を収める。

「幼児から取り込めば大学受験まで顧客にできる」これどこかで聞いたフレーズに似てはいまいか。そうだ。日本マクドナルド初代社長藤田田は「親の舌をハンバーガーに馴染ませたら、子供も食べに連れてくる。徹底的に日本人の舌を変える」と言った。「味覚の強制破壊」とも言うべき手法に限りなく似ている。ベネッセの幼児教材は、ほとんど玩具なのだが研究し尽してあり幼児が喜ぶ材料を毎月送って来る。ビデオなどは幼児のツボをついているらしく、一度見せると「もう一回!」と幼児が何度も繰り返し見たがる光景を私は各所で何度も目にしている。

だから、先ごろ起きた情報流出事件のように膨大な顧客を抱えることに成功していたのだろう。漏えいした個人情報の数はベネッセによると、実に3504万件に上る。大雑把に言えば国民3人に1人の割合だ。情報の内容や区分はともかくこれだけの情報を保持するほどに事業が拡大していたことは驚きに値する。売り上げを見ても2014年3月末で4663億円に上っている。経営も多角化し同時に混乱も多角化している様子が想像される。

そこに現れたのが原田泳幸だ。原田のベネッセ社長兼会長就任は2014年6月21日だからまさにベネッセ社内は情報漏えいでテンヤワンヤの時期だったろう。原田がこの漏えい事件にかかわったわけでは全くないけども、ベネッセに移籍するにあたりこのような混乱の渦中に放り込まれるあたりで原田の運がとことん尽きていることが伺い知れる。

ベネッセは昔通りに進研ゼミの「赤ペン先生」と「模試」を丁寧に行っていれば良いものを、「幼児から取り込めば大学受験まで顧客にできる」などとよこしまな考えを起こしたことがそもそもの過ちだったのだ。そこへ原田の登場である。マクドナルド凋落がベネッセでも繰り返されるだろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎橋下の手下=中原徹大阪府教育長のパワハラ騒動から関西ファシズムを撃て!
◎日本の「新幹線」輸出で最初から破綻が運命づけられていた台湾高速鉄道
◎リクルートの「就活」支配──なぜ国は勧告指導しないのか?
◎渡辺昇一の「朝日憎し」提訴原告数が「在特会」構成員数とほぼ一致

「闘う在米心理学者」矢谷暢一郎の心情溢れる提言『日本人の日本人によるアメリカ人のための心理学━アメリカを訴えた日本人2』

 

誰もテレビを見ない時代が到来する?──テレビが売れない本当の理由

大手電機メーカーの友人と雑談したが「今、とにかくテレビが売れない」のだという。「テレビが売れない」ということは「誰もテレビを見なくなった」ことを意味する。

◆4Kテレビを必要と感じている人はどれくらいいるのか?

革新的といわれた4Kテレビが発売されるようになってもダメか。確実にテクノロジーは進歩している。まず技術としては現行のハイビジョンの横方向の画素数(2Kとは2000のこと)が2倍になる4K(フルハイビジョン[約207万画素]の4倍の約829万画素もの緻密な画素数で表示できるテレビのこと)のさらに4倍になる8K、というスーパーハイビジョンの映像技術自体は、すばらしい。ただ、それを必要と感じている人は果たしてどれくらいいるのだろうか。はなはだ疑問である。

たとえばこんな報道がある。少しは希望が見えてきたか?

ジーエフケーマーケティングサービスジャパン株式会社(東京:中野区)は、家電量販店における4Kテレビの販売動向を発表した。
【概要】
・2014年11月第2週の50インチ以上薄型テレビにおける4Kテレビの金額構成比は51%
・テレビ購入意向者の92%が4Kテレビを認知し、そのうち43%が4Kテレビの購入を検討
【家電量販店 4Kテレビ販売動向】
4Kテレビは2013年以降、メーカー各社が50インチ、60インチ台を中心に本格的に製品展開を開始し、2014年に入ると40インチ製品を投入するなどモデルラインアップを拡充させた。販売モデル数も2013年の13モデルから、2014年11月時点では既に45モデルと3.5倍に増えた。家電量販店店頭をみると、AV製品売り場では高単価製品である4Kテレビを前面に押し出している店舗が多くみられる。こうしたメーカー、量販店の訴求の結果、2014年11月第2週(11月3日~9日)における4Kテレビの販売金額構成比は24%、特に50インチ以上薄型テレビ内では51%と初めて50%を突破した(図1)。また販売数量構成比は、薄型テレビ全体に対しては6%、50インチ以上製品内では34%となった。? 2014年7月に実施した消費者調査によると、過去半年以内に4Kテレビを購入した消費者のうち、事前検討をせずに購入したと回答した割合は24%であった。4Kテレビの高精細な画質に惹かれてその場で購入を決断した消費者は少なくないと想定される。(「GFK」より引用

だが家電店スタッフは「いやいや、金持ちだけが4Kに興味があるのでしょう。販売店では4K時代なんて感じていません。すぐに売れなくなりますよ」とため息をつく。

◆40代以降しか雑誌も買わないし、テレビも観ない時代

このほど、昨年の雑誌の売り上げが前年比の4~5%ダウンだということで、「もはや雑誌は40代以降しか買わない」という分析が記事で出ていた。テレビなど、10年前から「40代以降しか観ない」と指摘されてきた。

たとえば、東芝は2012年にテレビ事業からの撤退をアナウンスした。東芝にとっては、12年3月期のテレビ事業は約500億円の赤字と経営の足を引っ張っており、コストのかかる国内生産はもはや維持できないと判断。ただし、海外での生産は継続し、台湾メーカーなどへの生産委託も増やす方向性を打ち出した。

「かつての計算機やファックスがすぐに流行遅れとなったように、テレビがもはや、時代遅れとなった感は否めないですよ」(東芝関係者)

「長い歴史のある深谷事業所(埼玉県深谷市)で(テレビの)生産をやめることには忸怩(じくじ)たる思いがある。しかし経営の重しとなっては(継続は)難しく、(生産終了の)判断をしなければならなかった」

東芝の佐々木則夫社長は当時、経営方針を説明した記者会見で、苦渋の決断だったことを強調している。国内最後のテレビ生産拠点だった深谷事業所はテレビの設計・開発とアフターサービスの拠点に衣替えとなった。

こうした背景には、韓国の電機メーカーが元気に満ちていたことがあげられる。
特にサムスンに関しては、韓国の政府を挙げて資金面でも経営環境面でもバックアップしている。

また、ソフトに目を移せば、「見逃し番組」は、今や各テレビ局ごとにコンテンツを販売しているが、テレビ局をまたいでダウンロードできるシステム構築が提案されている模様だ。

テレビにコマーシャルを流しても「まったく宣伝効果がない」と企業が考え始めたのも痛い。「とにかく値段が下がっている。15秒の枠を30万円で売った時間帯もありましたよ。今年に入ってからの話ですけど」(広告代理店社員)

◆視聴者のニーズがわかっていない作り手がテレビ凋落を加速化させる

僕は、テレビの凋落は「作り手が、視聴者のニーズをわかっていない」ことにつきると考える。

ブレイクしそうな芸人が出現したら、とにかく起用して、どこかでやったようなネタを平気でやらせて視聴率を稼ぐ。カリスマ予備校講師が売れたら、番組を持たせてみる。名門の入試問題をもとにしたクイズ番組が人気が出たら、みな一様に真似をする。

「そうした創意工夫なきコンテンツが、視聴者から見放されてしまったのでしょう。逆に今、70年代のテレビ番組のアーカイブが人気で、CSなんかでは視聴率を稼いでいるようですよ」(制作会社)

矢沢永吉が30歳のときにNHKの番組に出たときの映像が「ユーチューブ」にあがっていて、爆発的にカウントを集めていた。また、昔のドラマで「とんぼ」もアップされており、上位にランクされていた。

「こうして勝手にアップされた番組を無料で見れるのも原因でしょう。今、やたらとテレビ番組には『番組を投稿しないでください』とテロップが出るが、これも必死すぎて見ていて引くね。本当におもしろい番組を作れば、みんなネットやゲームをやめてテレビに戻ってくるが、もはやそうした気力は現場にはありませんよ」(放送作家)

そもそも、テレビは「報道」という点でも取材スピードではネットには勝てない。悲しいかな、テレビを誰も見ない時代が本当に到来しそうだ。

[伊東北斗]

◎《誤報ハンター01》芸能リポーターらが外しまくる「福山雅治」の結婚報道
◎小向美奈子逮捕は警察の協力要求を蹴った意趣返し?「後ろ盾」とも決別か?
◎秋吉久美子長男不審死の水面下で蠢く「タレント整形カルテ」流出騒動の闇
◎多様性に不寛容な日本が「外国人」を無原則に受け入れるとどうなるか?
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」

 

橋下の手下=中原徹大阪府教育長のパワハラ騒動から関西ファシズムを撃て!

上は総理安倍から下は市会議員、村会議員まであらゆる階層で「毒素」がばら撒かれ蔓延する何とも嫌な時代になってしまった。先日の予算委員会では安倍が民主党の質問者発言の際に「日教組!」「日教組は!」とヤジを飛ばし、委員長から注意されていた。

確かに昔の日教組には骨のある活動実績もあったけども「連合」に加盟してこれといって際立った存在でもなくなった日教組を未だに目の敵にしている安倍の本音が露わになった。時々街で見かける大音量で改造車から軍歌を流している街宣車に乗っている右翼の方々と安倍は同意見なのだ。

◆2次関数の曲線のようにエスカレートする安倍の暴言暴走

安倍の暴走振りは2次関数の曲線のように日に日にエスカレートしているように思えてならない。安倍は「絶対に」、「全く」、「完全に」という言葉を頻繁に使うようになってきた。「絶対に」はイスラム国に向けた敵愾心の中で吐露されていた「卑怯なテロは絶対に許さない」だ。同様に「全く」は日本人人質事件で対応に問題はなかったかとの質問に対する回答だ。この質問への回答の中で「対応に全く問題はなかった」と断言している。「完全に」は政府の姿勢を正当化する答弁の際にしばしば登場する。

前回総理を勤めていた時、安倍の発言は今に比べればまだ慎重だった。やっていたことは「教育基本法」の改悪だったり、防衛庁の防衛省への格上げだったり今同様悪業の限りを尽くしていたのだけれども、言い回しはもっと迂遠(遠回し)で、今のように傲慢ではなかった。衆参両院で公明を入れれば絶対多数を維持しファシズムの下支えが盤石だからだろうか、もうこの男には日本語文法や原則的な憲法論が通用しなくなってきている。内心独裁者気取りだろう。

◆「パワハラ認定」中原徹=大阪府教育長は卑怯者「維新」の代表格

一方、厚顔無恥と屁理屈では安倍と双璧の大阪市長橋下はどうやらとうとう「弾切れ」に陥ったようだ。橋下が「改革」の名の下に行った「暴政」が次々に綻びを見せている。

橋下の手下で許せない人間の一人に大阪府教育長の中原徹がいる。奴は府知事時代の橋下によって大阪府立和泉高等学校の校長に民間出身、歴代最年少で就任した。中原は弁護士資格を持ち橋下とは大学時代からの友人だ。これだけで賢明な読者には怪しさが伝わるだろう。

和泉高校で中原が行った功績と言えば何と言っても行事の際に教員が「君が代」を歌っているかどうか「口の動き」をチェックさせたことだ。当時の大阪府教育委員長ですら「そこまでやらなくても」とコメントするなど多くの批判を浴びた中原だが、橋下はその行為に「素晴らしいマネージメントだ」と太鼓判を押した。戦前の特高警察、現在の公安警察並の行為を校長が行うことのどこが「素晴らしいマネージメント」だというのか。

また中原は「平和教育」と称して、生徒を自衛隊へ連れて行き、実質的な体験入隊に近いことまでさせていた。新聞が疑問も呈さずにあたかも新しい試みのように中原の「平和教育」を掲載していたので、電話取材を何度も試みたが中原はついに電話には出てこなかった。公立高校の校長のくせに卑怯な取材拒否だった。

橋下は調子に乗ると止まらない。手下の松井大阪知事を使って、あろうことか中原を校長から大阪府の教育長に引き上げた(2013年4月)。そして中原は当然のように事件を起こした。中原が「パワハラ」を行っていたことが2月20日認定されたのだ。立川さおり教育委員と教育委員会事務局の職員4人に対し、パワハラに当たる発言を行ったことが明らかになった。認定された「パワハラ」は3件だそうだがこれは「真っ黒」が3件と見るべきで、「グレー」な言動は数限りなくあったことだろう。中原は立川教育委員に対して「誰のおかげで教育委員でいられるのか。罷免要求出します」と発言したそうだ。天に唾吐くとはこのことではないか。「関西ファシズム」台風の目、橋下がいるからこそ、中原は民間出身校長に就任することができ、身分不相応な教育長にまで上り詰めている。橋下がいなければ中原が高校の校長や教育長に就任するような異常事態は起こりえなかった。

◆立地も建築も欠陥だらけの「咲州」府庁機能移転という「維新」幻想

カジノ設置候補地として横浜と大阪が選定されたそうだ。でもそんなことはもう橋下の追い風にはならないだろう。関西以外の読者の皆さんは現在の大阪府庁がどこに位置しているがご存知だろうか。橋下の当初の構想通り進んでいれば、そして東日本大震災が起こっていなければ、今頃、府庁機能は全て住之江区南港北にある「咲州」(さきしま)庁舎に移っていたはずだ。

現在大阪府庁の機能は大阪市中央区大手前にある旧来からの府庁舎と咲州庁舎に分かれている。旧庁舎は老朽化が進んでいるので建て替えか移転を模索していたが、橋下が知事時代に目を付けたのが旧「大阪ワールドトレードセンター」として建築され、財政破たんした大阪湾至近の咲州物件だった。地上55階、地下3階建てのこのビルはバブルの遺産ともいうべき無残な廃墟寸前だった。大阪市が一部を借り切りなんとか最終破綻を食い止めていたところに知事である橋下が「府が買い取る」と名乗りを上げた。もっとも当初は議会に反対されたり紆余曲折があったのだが、最終的に大阪府が買い取ることになった。

しかしだ、このビルがある場所は埋立地だから、海抜ゼロメートル(ひょっとすると海抜マイナス地帯かもしれない)だろう。ちょっとした高波、いわんや津波が来た際に機能しなくなる場所であることは素人にも自明だった。複数研究者の想定によれば南海、東南海地震による最大津波は内陸6キロ以上に及び大阪駅周辺も水没するとされている。なのに、海沿の孤立が確実な場所に庁舎を移転してどうするのだ。職員や知事はボートで庁舎へ行き来するのか。

更に立地だけでなくこのビルはとんでもない「欠陥建築」だということが判明した。東日本大震災時、大阪では震度3の揺れを観測している。日本で震度3と言えば驚きはするけども被害の出るような揺れではないはずだ。ところが咲洲庁舎では天井の落下や床の亀裂など360箇所が損傷、防火戸の破損、エレベーター全26基が緊急停止し、うち4基に男性5人が5時間近く閉じこめられ、エレベーターを支えるワイヤロープが絡まる、地震発生24時間後の12日夜の時点でも8基が復旧しないなどあきらかな「欠陥建築」であることが露呈したのだ。こんな被害が出た場所は関西でここだけだろう。

もう多言は要すまい。そんな場所、そんな建物に災害の時には対策の指揮を執るべき役所をおいているのが橋下を中心とする「維新」勢力だ。これでもあなたはまだ「維新」幻想を抱き続けるだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

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◎福島原発事故忘れまじ──この国で続いている原子力「無法状態」下の日常
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フクシマの真実を礎に百家争鳴を!『NO NUKES Voice』第3号!

 

《誤報ハンター01》芸能リポーターらが外しまくる「福山雅治」の結婚報道

どうやら週刊誌やスポーツ新聞、ネットニュースというものは、どうにも現実とはほど遠い「誤報」をしても許されるものらしい。そして、たいがい外した誤報は「検証」されない。しかし、私は執拗に「なぜ記者が外し、ガセとなったのか」をいやらしくも検証してみたい。私のもとには昨年も大きな見出しで「今、振り返れば誤報となっている」週刊誌やスポーツ新聞やネットニュースのプリントが山となって積まれているが、ターゲットは無数にある。まずは、芸能リポーターらが必ず外す「福山雅治結婚」の誤報について検証する。

◆「本当のことを隠すために、誤った情報を平気で流す」アミューズ

まず、福山雅治が所属する事務所、アミューズの特異な体質として「本当のことを隠すために、誤った情報を平気で流す」ことがあげられる。こうした「あえて違う情報を流す」ことを業界用語では「煙幕」とか「誘導弾」などと呼ぶが、とにかくアミューズはあえて事実とちがう情報を流す誘導が多い。

ネット番組の「芸能番リターンズ」では、昨年の8月、松本佳子という芸能記者が「福山と吹石一恵が年内(2014年内)にも結婚する」と断定的に話していたが、これこそが煙幕であり、毒牙である。福山は写真週刊誌にも吹石との関係が暴かれていたが、これも誘導で、本当に隠したいのは、二十代の一般人の女性だ。

もっとも一般人の女性と福山の関係を知っている、もしくは掴んでいるとされるのが、日刊スポーツの芸能記者だ。

「福山は、家庭をかえりみなかった父親の記憶がトラウマになっており、結婚そのものをしない可能性がある」とする報道もある。

これもまた、誤報である。

「福山は、昨年の夏ごろから、結婚のタイミングについて、芸能界の『大物』にこっそり相談しています。結婚するからには、事務所もタイミングについては了承しないといけませんし、福山が計画している『海外移住』をどうするかという話ともリンクしてきます」(芸能ジャーナリスト)

前々から、福山は「海外に拠点を移して、音楽活動したい」と事務所や側近に相談を繰り返していた。こうした中で、「すわ、結婚して海外移住か」と浮き足立つのはよくわかる。そうなるのは、芸能記者の勇み足だ。

「何ヶ月くらいか知らないが、実際に吹石と福山が交際していたのは事実。だがこのあと、吹石は、アミューズに頼まれて福山の本命を隠すための『スケープゴート』にされた。つまり、吹石にマスコミの目が向いている間は、『本命の相手』を隠せるというわけです」(同)

◆芸風とはいえ、芸能番としては痛すぎる松本佳子記者

なぜ、そうまでして、アミューズは記者に「煙幕」を張るのか。

「それは、結婚して人気が急落するのは困るからです。今や福山のコンサートやCDの売り上げは、サザンオールスターズと並んでアミューズのドル箱です。試算では、結婚すると売り上げが4割近く減ると見る音楽業者もいますよ」(同)

かくして、前出の通り、松本佳子記者が「煙幕」に引っかかることになる。

そんな福山には、低迷するNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で、坂本龍馬役のオファーが来ていると報道があった。視聴率が13%前後で低迷している同大河ドラマのカンフル剤としてはうってつけだが、これは断ったようだ。

「2013年に『龍馬伝』で坂本龍馬として主演しているからNHKとしては安全策だろうが、福山としては、海外移住の段取り…つまり英語会話だとか、海外の音楽家にコネをつけていくとか、根回しをしておいたほうがいい仕事が山となっており、とてもドラマどころじゃない。その証拠に長年やってきたラジオの仕事をことわったほどです。そうした『人生設計』のひとつとして、結婚があるのかもしれませんが、結婚が先にあって、海外移住を考えるようなことはありません。そうした意味で、芸能記者たちが推測で話すのは危険なのです」(同)

前出の松本佳子記者は、「SMAPのメンバーがプロデューサーと乱交した」「上原多香子が芸人と公衆の面前でセックスした」などと奇想天外なネタをネット番組で話すことで知られるキャラだが、こうした奇想天外なネタを話すのも人気のうちだとされてきた。だが、「煙幕」に引っかかるとは、記者としては痛すぎる。

「まあ、そうした煙幕にやすやすと引っかかってしまったことで、『あの番組には出るか』となった芸能記者も多いはずです。福山と吹石の結婚の話は、たとえば歌舞伎町のホストでも耳に入っているほど、アミューズが広げた『煙幕情報』ですからね」(音楽関係者)

そうした中、ついに知り合いの週刊誌記者は、福山のお相手の一般人女性の住所にたどり着き、毎日のように張り込んでいる。

「もうすぐ誌面を楽しみにしておいてください。必ず、福山とその相手の2ショットを押さえてみせます」と記者は言う。

だが福山は記者を振り切るのに、同じ車種を用意してダミーとして走らせたり、カースタントばりに記者の車を「まく」ことには天才的にうまいことでも知られる。

「まあ、二十代から記者には追いかけられて慣れていますからね。ですが、絶対に気を抜いて2ショットになるタイミングはあります」(前出記者)とのこと。アミューズに「福山が結婚するのは本当か。するとすれば相手は誰か」と聞いてみたが、「担当者が不在」としている。

そんなわけで、福山の相手としてタレントや歯科衛生士などを追跡しているマスコミらは、「誤報」を今後も連発するだろう。外したネタを自慢げにひけらかすことなかれ。ウシシシシシ。(伊東北斗=芸能ライター)

◎小向美奈子逮捕は警察の協力要求を蹴った意趣返し?「後ろ盾」とも決別か?

◎秋吉久美子長男不審死の水面下で蠢く「タレント整形カルテ」流出騒動の闇

◎《脱法芸能》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?

◎《格闘技“裏”通信》意外にもギャル層が激増、キックボクシング大会

◎《屁世滑稽新聞》淀長の映画専科・『猿の惑政』……の巻

より深層へ!『NO NUKES Voice』渾身の第3号!2月25日発売!

 

《屁世滑稽新聞19》皇居を核最終処分場にする話……の巻

屁世滑稽新聞(屁世27年2月28日)

皇居を核最終処分場にする話……の巻

 

犬腰犬介アナ 「こんばんワ! イヌエッチケー“ニュースセンター9”。キャスターの犬腰犬介(いぬこし・けんすけ)です。」
犬飢ゆうひアナ 「同じくキャスターの犬飢ゆうひ(いぬうえ・ゆうひ)です。」
犬腰犬介アナ 「まずお約束の、いつものシュプレヒコールから始めましょう。……アベッチサン!万歳(マンセー)!」
犬飢ゆうひアナ 「アベッチサン!マンセー!」


犬腰犬介アナ 「では最初のニュースです。」
犬飢ゆうひアナ 「ちょっとその前に……」
犬腰犬介アナ 「なんですか? 台本にないですけど?」
犬飢ゆうひアナ 「あんたの手が邪魔です。」
犬腰犬介アナ 「ケンチャナヨ! 将軍さまからの御指示でないから無視します。……さて最初のニュースです。いぬうえキャスター、お願いします。」
犬飢ゆうひアナ 「……ハイ、特報です! 偉大なるアベッチさまのご指示で経務省に発足した、総理大臣さまの私的諮問機関《核廃棄物最終処分場検討会》の初会合が開かれ、皇居の地下ふかくに最終処分場を設置する案が、全会一致で決まりました。」
犬腰犬介アナ 「それはアッパレ! さすが偉大なるアベッチさまですね。ではこの喜ばしきニュースを、経務省担当の長谷川記者から伝えてもらいます。長谷川さん、おねがいします。」

つねに国民の幸福を願って善政をおこなう
われら「キノコぐも栽培強国」の偉大な政治指導者アベッチさま

★          ★          ★

長谷川記者 「はい、昨年まで経営委員だった経務省担当の長谷川無知子記者で~す。同僚だった八百田嘘記(やおた・うそき)さんも、いま経務所でがんばっておりますよ~。……さて経務省からの特報ですよ~。総理大臣様の私的諮問機関《核廃棄物最終処分場検討会》の初会合が開かれ、皇居の地下ふかくに最終処分場を設置する案が、全会一致で決まりました~。」
犬腰犬介アナ 「それ、さっき私がいったママじゃん……」
長谷川記者 「アベッチ将軍さまからそれ以上のご指示を頂いてないので、残念ですが私個人がレポートすることはできないのよ。そんなことをすれば秘密保護法違反になってしまいますもん……。だもんで、ここは《検討会》の議事録を棒読みするのみでお許しい下さいナ。」
犬腰犬介アナ 「アベッチ将軍さまのご意向なら……ケンチャナヨ!」
長谷川記者 「ではこれから《検討会》議事録の棒読みにて、現場レポートに代(か)えさせて頂きます。……なおこの議事録は、下記でダウンロードできるようにしておきましたので、インターネットをご利用のかたは各自でお読みください。

(議事録入手先: http://www.rokusaisha.com/pdf/核廃棄物最終処分場検討会第1回会合議事録.pdf

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
核廃棄物最終処分場検討会
第1回会合・議事録
(屁生27年2月吉日)

経務省エネルギー局長 「本日は皆さん、ご多忙のところをご出席いただき、ありがとうございます。《核廃棄物最終処分場検討会》の第1回を開催いたします。開催に先立ちまして、偉大なる総理大臣アベッチ将軍さまを讃(たた)えて、皆さまとともに万歳三唱を行ないます。皆さまご起立ください。」
(全員その場で起立)
経務省エネルギー局長 「偉大なるアベッチ将軍さまの威徳を讃えて! マンセー! マンセー! マンセー!」
(全員その場でマンセー三唱)
経務省エネルギー局長 「では議事に入ります。本日は初回から核心に入りますが、高レベル核廃棄物の最終処分地をどこに設置するか、本省にて長年の調査検討をしてまいりました結果、東京都千代田区千代田1の1の1、郵便番号で申せば“100の8111”、すなわち皇居の地下に設置するのが最も適切だな~、という結論に至りましたので、ご報告申し上げる次第であります。

かような結論に至りました理由を、関連省庁および各界有識者のかたがたからご報告いただき、この構想を煮つめていきたいな~、と……このように考えておる次第です。ではまず文部科学省からご報告ねがいます。」

文部科学省・学術振興局長 「モンカ省といたしましては、高レベル核廃棄物の永久保管施設の設置にさいして最も懸念しておりますのは、たとえば原子力発電の結果生じる半減期の長い『長寿命核種』のネプツニウムや、アメリシウムや、キュリウムのように、半減期が数万年に及ぶものもございますし、原子力発電にともなう代表的な放射性核種といたしましてはプルトニウム239の場合はおよそ2万4000年、ウラン238の場合はおよそ44億6800万年の半減期を有しておるわけでございます。ウラン235は半減期が7億380万年ほどでございますが、これは原子爆弾に転用できるので、廃棄物としての保管はまったく必要ない、むしろこっそり使ってしまえ、というのが政府の共通認識でございます。……で、核廃棄物の扱いについてでございますが、かように人類の想像をはるかに超えた長期間にわたって保管するとなりますと、はたして現在の日本語で『立ち入り禁止』と表示しても、未来の日本人にそれが理解できるか、はなはだ不安なのでございます。」
神社本庁・宗務局長 「しかし、日本人のこころは万葉集の時代から不変でありますし、言霊(ことだま)は時代によってたやすく変わるわけじゃないですから、モンカ省の指摘は杞憂(きゆう)じゃございませんか? 考えすぎ、心配しすぎですよ! 日本国民の魂を信用しなさい!」
文科省・学術振興局長いとはかなうものし給(たま)ふこそ、あはれにうしろめたけれ……
神社本庁・宗務局長 「おいモンカ省の高級官僚! いくらオマエが東大出身で、オレが蝗学館大学しか出てないとしても、こっちの業界じゃ蝗学館こそが神官養成のトップエリート大学なんだから、テメエの受験知識をひけらかしても意味ねえんだよ、イケズ野郎! そんな高校古文をここで出してくるなよ! 意味がわからねえことを言って、人を煙に巻くんじゃねえよ、木っ端役人がっ!」
文科省・学術振興局長 「あのぉ……、いま申し上げたセリフは、『源氏物語』の『若紫』に出てくる、あまりにも有名な一節なんすけどネェ……。《いとはかなうものし給(たま)ふこそ、あはれにうしろめたけれ》って、『とても幼なくていらっしゃるのが、どうしようもなく悲しく先が気がかりです』っていう意味で、『源氏物語』ってちょうど1000年まえに書かれたものなんすけどネェ……。たった1000年ですよ。なのに《日本人のコトダマ》とかおっしゃっている神社本庁の局長さんが、これを理解できない……。これってアンタのことを言った文章なんだけどねえ……。まあ、そういうことですわ。」
神社本庁・宗務局長 「インチキ万能細胞で小便くさいおネエちゃんにコロリとだまされたモンカ省の白痴はすっこんでろ! 高校古文を引き合いに出すなよ! 高校時代のオレはワルガキで、神社の賽銭(さいせん)をかっぱらってゲーセンで遊んでたんだから、古文なんてわかるわけネエだろ! 受験知識を出すのは反則だぞこの野郎! 日本人のコトダマは永久に不滅なんだよ! たとえ古文がわからなくてもなっ!」
文科省・学術振興局長 「……というわけで、鳥居のダンナが思わぬ暴発事故を起こしたわけですが、マァ、これは無視するとして、たった1000年まえの日本語さえ通用しない現実において、10万年後の日本人に『高レベル放射性廃棄物の保管地域!立ち入り禁止!』と標識を示しても、その時代からすれば“太古の昔”である屁世現代の日本語なんかわかるわけないですから、さ~てどうすりゃイイのかとアレコレ思案いたしたわけでございます。このあたりの事情につきまして、日本を代表する国語学者の金玉一腫彦センセイから、補足説明をしていただきます。
国語学者・金玉一腫彦 「国語学者の金玉一でございます。いま局長さんからご説明いただきましたように、千年とか万年のオーダーで、未来の日本人に理解できるメッセージを記す方法は、まず無いといってよいのでございます。」
神社本庁・宗務局長 「だ~けど~、日本民族の言霊は永遠不滅なのだから、10万年後の日本国民に、現代の国語を理解させる方法はあるはずです。それを考えるのが国語学者のあんたの仕事じゃないですか!」
金玉一腫彦 「唯一あるとすれば、日本国民が用いている現時点の国語を、古典ラテン語のように、ここで無理矢理ホルマリン漬けにしてしまうことでしょうね。」
神社本庁・宗務局長 「ラテン語といえばカトリックの総本山バチカンが今でも使っていますね。現代日本語をラテン語みたいにできれば素晴らしい! 未来永劫(えいごう)にいまの日本語が、歴史と地域をこえて普遍的に使われるようになるんですね! それは名案だ! ……で、どうすれば実現できますか?」
金玉一腫彦 「日本も、古代ローマ帝国と同じことになれば、現代日本語を、ローマ帝国の言語だった古典ラテン語のような境遇に置くことができるんじゃないでしょうか。」
経務省エネルギー局長 「つまり古代ローマ帝国のように贅沢(せいたく)をしたあげくに滅亡すればいいんですね……。そりゃ簡単ですわ。」
神社本庁・宗務局長 「いや。あんたみたいな高給取りは、いまの日本が経済の絶頂にあるみたいな錯覚もしてるでしょうけど、もはや日本経済は最盛期をすぎて思秋期ですからねえ。経務省の高給取りは知らんだろうけど、最近じゃ日本の神社で大盤振る舞いしてるのは中国人の観光客ですぜ。賽銭箱を開ければ中国のお札ばかりなんだから! もう『贅沢(ぜいたく)をしたあげく』ってのは望んでも手に入らぬ昔の話……、いま可能なのは、貧乏なままどん底まで落ちて滅亡するのみ……」
経務省エネルギー局長 「あんた、そんなことアベノミックスの黒魔術で日本経済復活を企てているアベッチサンの耳に入ったら、家族が住んでるマンションごと“倒壊事故”が起きて呪い殺されますよ。」
神社本庁・宗務局長 「ヤバイっ! いまの私の発言は議事録からカットしておいてね。」
金玉一腫彦 「……マアとにかく、あれこれ検討はしたんですが、言語的手段であれ、イラストを用いたサインであれ、数万年後の人類に『危険!立ち入り禁止!』というメッセージを伝える手段はあらへんことがわかったんですワ。」
経務省エネルギー局長 「金玉一センセイ、数万年後に人類が生存してる可能性なんてほとんどないんですから、そんな面倒なこと、考えるだけヤボですよ。あんた政府にこづかいもらってお使いしてるだけなんだから、テキトーなことを答弁してりゃイイんです。まじめに仕事するだけムダなんすから。(笑)」
金玉一腫彦 「経務省トップのお役人からそう言われちゃ、あれこれ考えて損した感じがしますが……マァとにかく思案のすえに出たベストの結論は、超危険物質の永久保管場ならば、皇居に併設するほかない……ということです。なぜなら、ここが日本であるかぎり、日本という国が続くかぎりは、天皇陛下が千代に八千代に、サザレ~石が~、巨岩(いわお)にな~りて~、コケが生(む)すまで、ずぅ~っと皇居にお住まいになられるはずだからであります。どんなに世の中が変わってしまったとしても、天皇陛下がいらっしゃるかぎりは、少なくとも天皇陛下だけは、まともな日本語をお使いになられることでしょう。ですから、たとえば3000世代先の未来に人類が生存していたとして、日本という国がまだ存在していたとするなら、そこには依然として、その時代の天皇が御座(おわ)しまして、大昔の、つまり屁世の現代の日本語なども理解できる状態が維持されていると考えてよいでしょう。その時代には日本国の一般庶民は遺伝的に劣化してサル以下の畜獣になっているかもしれません。栄養失調や放射能汚染で脳みそがピーナッツなみに萎縮しているなんてことも、じゅうぶんにありえます。そういうことを考えたら、たとえば東北とか北海道とかの僻地に核のゴミの永久処分場なんて作るのは大変に危険です。無知なケダモノ人間が墓あばきをする危険性はたぶんにあります。だからこそ、もっとも高貴で安全な天皇陛下のお住まいに、そうした保管施設を併設せねばならないのです。……これが最も理にかなった処置なのです。」
経務省エネルギー局長 「日本を代表する国語学者、金玉一センセイの、大変にわかりやすいご説明、ありがとうございました。ところで高レベル核廃棄物の永久保管場をつくるとすれば、地震対策は必須となるわけでございます。そこで、つぎは気象庁から、永久処分場を皇居に併設するメリットを説明していただきます。」

★          ★          ★

気象庁・地震局長 「ご指名をいただきました、気象庁の地震局でございます。究極の危険物質であるプルトニウムその他の高レベル放射性廃棄物の永久保管場を、東京都千代田区の皇居の地下に設置するという構想につきましては、関東ローム層である東京の地下にそうしたものを置くことについて懸念を抱くかたもいらっしゃるかと思いますので、むしろ非常に有意義であるということを、本庁の地震対策会議の議長であられる地震学者の田所雄介博士からご説明いただきます。」
地震学者・田所雄介 「田所でございます。じつは私、先日来、日本が沈没しつつあることを示す地球物理学的な兆候を観測しておりまして、その分析を大至急せにゃならんのに、こういう馬鹿げた会合に引っぱりだされて大変に迷惑しております。……おい君たち! ニッポン列島が沈没したら、核廃棄物の処理なんて意味ないんだぞっ!」
経務省エネルギー局長 「先生っ! それ初耳ですけど、ホントなんですか?」
田所雄介 「……あっ! いっけねえ! うっかりしゃべっちゃった。……皆さん、今のはわたしの寝言です。忘れてください。(笑)」
経務省エネルギー局長 「田所センセイは物騒な夢を見てたんですね(笑)。お願いしてあった最終処分場の件を説明してくださいよ。」
田所雄介 「ご存じのように東京23区のほぼ南半分は、近世まで海岸であり、埋め立てで作られた地域であります。皇居がある千代田区も、そこから遠くない場所に存在しています。つまり東京自体が、すでに地質学的にみれば地震の物理的ダメージを非常に受けやすい地盤構造の上に作られた都市なのであります。江戸時代だけでなく、時代がうつって大正の関東大震災の頃になってからも、東京周辺で多発する地震の原因として“なまず”を想定する民間信仰がありましたが、これは地質学的な脆弱性を考えればそれ相応の合理性を有した民間信仰だったのであります。

江戸時代から日本では「地面に下に潜んでいる
大ナマズが暴れて地震が起きる」と信じられてきた。


もちろん現在では、地震の原因はナマズでないことは誰もがご存じでありましょう。ところで民間伝承においては、ナマズが地震を起こすと考えられていたわけですが、それと正反対の“土地を安定させる地震除け”だと考えられていたのが要石(かなめいし)なのであります。

茨城県・鹿島神宮と、千葉県・香取神宮にある「要石」は
それぞれ大ナマズの頭と尾をおさえこんで、地震を抑止
していると信じられてきた。

現代に生きる我々は、地震の原因がナマズでないことも、要石が地震を抑止しているわけでないことも、もはや周知の事実でありますが、しかしたとえば、不安定な東京都心の地盤に、大量に超高比重の重金属を埋設すれば、たとえ大地震が起きても液状化を抑止できるであろうことは容易に予測できるのであります。いま現在の予測では、千代田区内の皇居から東の地域は、大地震が起きれば大部分が液状化すると考えられているわけですが、皇居の地下に広範囲にわたって大規模に核廃棄物の重金属を、すなわちウランやプルトニウムを世界じゅうから引き取って保管すれば、それは巨大な“要石”の役目を果たすでしょうから、大地震でこの地域がいたずらに大揺れしたり液状化で地盤構造がめちゃくちゃになることを抑止できるでしょう。そうした理由で、もしこれからも東京を日本の首都にしておきたいのなら、そして首都東京を大地震の衝撃から守りたいのなら、皇居の地下深くに大量の劣化ウランやプルトニウムを敷きつめるしか、首都の防衛策はないのであります。」
経務省エネルギー局長 「大変に説得力のあるお話しをいただき、ありがとうござました。田所先生、これであなたのお仕事は片付きましたから、日本沈没の研究にお戻りくださいませ。」
田所雄介 「さっきも言ったけど、もし遠からず日本列島が沈没することになったら、あんたらの構想は海の藻屑(もくず)になって終わるぞ。……マァその時は、俺も海中で骸骨(がいこつ)になってるだろうけどな、ガッハッハ!」(田所博士、そう言い残して退席。)

★          ★          ★

経務省エネルギー局長 「田所先生が急用でお帰りになられたので、つぎは大蔵省財務政策局からご意見をいただきます。」
大蔵省・財務政策局長 「大蔵省といたしましては、皇室が核廃棄物永久保管場の経営を担うことによる財政健全化のメリットを、なによりも強調したいと思います。これにつきましては今世紀の初めから自罠党政府の財政担当大臣などをお務めになられてきた竹下屁臓センセイにご説明いただきます。」
大蔵省顧問・竹下屁臓 「テレビ南京の『ワールドビジネスサテライト』でおなじみの竹下屁臓でございます。わたしが小舅政権の大蔵大臣時代に全身全霊をかけて取り組んだのは、財政から無駄なぜい肉をそぎ落とす作業でした。国家存続にとって必要のない国民福祉を削減し、生涯雇用で社畜を丸抱えして、まるで社会福祉施設のようになっていた日本の労働市場を、派遣労働者が中心のパート雇用制度へと大改造して、人材派遣ビジネスを活性化してきたわけであります。おかげさまで私が経営してる人足手配会社も大繁盛ですわ、エッヘッヘ。……とはいえ、まだまだニッポンは財政的な無駄をたくさん抱えています。これから必要なのは、中央政府および地方自治体政府をすべて民間企業に委託し、警察・消防および軍隊も民間企業に委託することです。日本の青年がフランスの外人部隊やイスラム国の戦闘部隊に入隊して世界で活躍していますが、それは自衛隊の民営移管を視野に入れて考えると、とても素晴らしい快挙でありますネ。こうして海外のお雇い軍隊で経験をつんだ青年たちこそが、これからの民営化時代の日本軍を担っていくのでありますから……。」
経務省エネルギー局長 「竹下屁臓センセイ……。それと今回の話がどうつながるんですか?」
竹下屁臓 「……オッと忘れるとこだった。……さて、私が大蔵大臣などを務めて政府にご奉公していたときは、政府の無駄なぜい肉をかなり削ることができたと思いますが、最後の聖域にはついに手をつけることができませんでした。経務省局長さん、それって何だと思いますか?」
経務省エネルギー局長 「大奥のことでしょ? 永田町にある酒池肉林の……。あたしは話に聞いただけで、いまだご相伴にあずかったことはネエですが……」
竹下屁臓 「少女買春の地下組織につきましては警視庁の所轄ですから私の知ったことではありません。大奥ではなく、最大の無駄は、国家財源で飼っている“国民の象徴”であります。」
経務省エネルギー局長 「竹下センセイ、それはタブーだっ! 言っちゃいけねえ!」
竹下屁臓 「聞きたくないなら耳栓をしておればよい。」
経務省エネルギー局長 「ヘイっ! おい次長、タンポンもってこい! ……ハイ、先生。耳栓つめました。あとはご勝手に。」
竹下屁臓 「では話を続けます。……現行憲法で『日本国家および国民の象徴』と定められた、ヤンゴトなきお方とそのご一族には、莫大な国家財源が投入されております。もっともこれは、ご皇族の存在意義とご公務を考えれば、正当な負担であろうと思うのですが、それにしてもこの財源を大ナタで切り落としたい、と私はつねづね考えておりました。」
大蔵省・財務政策局長 「先生! それは大蔵省でもタブーですよ。皇族予算については黙っていて下さい。それ以上語ると我々がヤバイ!」
竹下屁臓 「だったら耳栓してなさい。」
大蔵省・財務政策局長 「 おい次長、アンネタンポンもってこい! ……ハイ、先生。耳栓つめました。あとはご勝手に。」
竹下屁臓 「私の提案はしごく単純です。皇族の運営も民営化すればよい。つまり皇族もビジネスを行なって、独自に稼げば、政府が維持費を負担する必要はなくなる。」
大蔵省・財務政策局長 「どんなビジネスですか? 天皇陛下とかのキャラクターまんじゅうを作って売るとか?」
竹下屁臓 「なんだアンタ、聞いてたのかよ(笑)。キャラクター商品よりも付加価値が高いものがいい。米国CIAがマネーローンダリングのために行なってきた秘密ビジネスなんかが参考になります。たとえばコカインや大麻の栽培と精製とか……」
大蔵省・財務政策局長 「竹下先生、そりゃマズイわ。麻薬規制はうちの仕事ですぜ。あんた我々が天皇にワッパをかけることを望んでるの?」
竹下屁臓 「いやいや、現状では日本で大麻やコカインのビジネスをするのは無理ですからなあ。……あと付加価値が高いビジネスとしてはカジノとか売春なんてのもあるけど。」
大蔵省・財務政策局長 「あんた、どういう境遇で育ってきたの? 犯罪の百貨店みたいなところで育ったの?」
竹下屁臓 「うるせえよ! どんな境遇で生まれ育っても憲法じゃ“法の下の平等”って決まってんだろ! 憲法を守れよ木っ端(こっぱ)役人が!」
経務省エネルギー局長 「あのね、竹下センセイ……。それと今回の話がどうつながるの?」
竹下屁臓 「……オッと、ま~た忘れるとこだった。……つまり結論から申せば、皇族の皆さまにおかれましては、皇居に全世界から核廃棄物を受け入れるという一種の廃品回収業を行なっていただき、それで得られるはずの莫大な収益で、国庫からの財源注入を必要としない皇室財政の自立に努めていただきたい。」
大蔵省・財務政策局長 「なるほど……。皇族の皆さまに、究極の廃品回収業で頑張っていただき、経済的自立を成し遂げてもらうというわけですね。それは素晴らしい! もうすぐ2700年に達せんとする皇族の歴史において、ビジネスで経済的自立を実現するというのは初めてのことです。まさに画期的! 素晴らしい! さすが世界に冠たる経済学者の竹下先生ですね! ……だけど本当に、核のゴミの引き受けだけで皇族の経済的自立は果たされるのでしょうか?」
竹下屁臓 「私の試算では、全世界から核のゴミを引き受ければ皇室は経済的自立をはるかに上回る利益を得られるはずです。こうして得た収益の一部は、日本政府に貸してもよいし、外国に融資してもよいでしょう。皇室が経済的に富裕になるわけですから、バチカン市国のように日本国内で独立国家となることだって可能でしょう。」
大蔵省・財務政策局長 「それは素晴らしいアイデアだ! 三島由紀夫も天国で感涙にむせんでいるに違いありません。」
経務省エネルギー局長「皇室が核のゴミで廃品回収ビジネスをするというのなら、私にもアイデアがあります。恩寵タバコで国民に愛されている天皇のご紋章、すなわち菊花紋章を、『放射能危険』のハザードマークにアレンジしてみてはどうでしょうか。菊花紋章がついた廃棄物ドラムカンは、もうそれだけで格段に付加価値がつきますから、世界じゅうのマニアの連中に高く売りつけることができるはずです。」

核廃棄物をつめたドラム缶に表示される「放射能危険」の
ハザードマークを天皇陛下の菊花のご紋章にアレンジすれば、
このドラム缶はプレミア付きで世界のマニアたちに売れるはず……?

警視庁・警備局長 「ビジネスの話なら、われわれ警察も興味がありますよ。皇居に高レベル核廃棄物の永久保管施設をつくるとなれば、当然、警備も厳重にせねばなりません。過去の『2.26事件』や、天皇の終戦詔勅(しょうちょく)の前夜、すなわち昭和20年8月14日に起きた『皇居クーデタ未遂事件』で周知のように、皇居の警備を軍隊にまかせるわけには行きません。軍の連中はアタマに血がのぼると何をしでかすか、わかったもんじゃない! 全く信用できません。」
防衛省・企画調整局長 「オイ警棒野郎! きさま、オマワリの分際でわが国軍を侮辱するのか? つぎに有事があったら、きさまなんぞ真っ先に重営倉にぶちこんでやるからな! そもそも、な~にが『皇居クーデタ未遂事件』だよ! 昭和23年の6月末日まで、陛下のお住まい処は『宮城』と呼ばれておったのだ。同年のナナ月イッピからであるぞ、『皇居』と呼び習わすようになったのは。……これだから地方警察の下級公務員はダメなんだよ!」
警視庁・警備局長 「バカモノ!忍者部隊月光は富士山の裾野で忍者ゴッコでもやってろ! おまえら六本木族の出る幕はないわ。宮城の警察業務はミヤギ県警がちゃんとやっておるワイ! われら大東京の警視庁は、東北の警察業務なんて所轄外なんだよ、この用なし国家公務員野郎が! ……まあとにかく、われら警視庁としては、皇居に核廃棄保管施設をつくることになれば、多量の武装警察官を張りつけて核物質泥棒などを徹底的に抑止しするのでアリマス!」
経務省エネルギー局長 「皇居の内外にビッシリと警官を張りつける必要がありますな。」
警視庁・警備局長 「そのとおり。概算では皇居内だけでも5000人ほど、武装警官を配置します。」
経務省エネルギー局長 「いくらなんでも多すぎやしませんか?」
警視庁・警備局長 「いやいや。人件費は皇室に負担してもらえばよい。なにせ核物質の預かり賃をガッポリ稼いでくれるんですから。我々としては“自宅警備員”の連中、つまり職業技能をもたぬ“ひきこもり”のような青年たちを大量に雇い入れて、皇居の警備に張りつけます。これは雇用対策にもなるし、ニッポン警察の凄さを世界に宣伝することで、世界じゅうに我らが警官隊を売りつけることも視野に入れております。」
大蔵省顧問・竹下屁臓 「なるほど、警察業務も民営移管するという世界的動向を、ちゃんと視野にいれてのビジネスプランですね。あっぱれな構想ですね。」

皇居に核廃棄物の永久保管所を作れば、皇居内は数千人の
警官隊で守られることになる。写真は皇居・東御苑の大手門
付近を警備する武装警官隊。

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経務省エネルギー局長 「最後にもう一点。皇居に核廃棄物の永久保管施設を設置すると、よそでは期待できないスピリチュアルな利点があります。これにつきまして、精神世界にお詳しい粗野綾子センセイにご説明いただきます。」
粗野綾子委員 「みなさま、粗野綾子でございます。みなさまご存じのように、わたしはカトリック巨魁に所属している迷える子羊でありますが、中学校で教わる二次方程式なんてぜんぜんわかんないし、そんなもん教えられても人生でなんの役にも立たないから学校で教えるのをやめさせろ、と夫の三裏邪宗門に言いつけて、文科省の教育課程審議会で“二次方程式の解の公式”をブッつぶした武勇伝をもっておりまして……」
神社本庁・宗務局長 「なんだオイ! 伴天連のバアさんが自分の馬鹿ぶりを自慢したり、偉いダンナを動かして日本の教育を破壊して白痴化の推進に成功しましたなんてドヤ顔で吹聴してやがるぜ。おい経務省のエラい人! こんな痴呆老人に発言させるんじゃねえよ! こんな婆さんにだって日当払ってんだろ。いつから経務省は痴呆老人の介護施設になったんだよ。」
経務省エネルギー局長 「そ…、粗野センセイ! いくら文学者でも、ワケのわからないシュールな自己紹介はかんべん願います。日本の学童を白痴化したとか、そういうテロ自慢のお話しが、今回の皇居への核廃棄物保管場の設置構想と、どう関係するんですか? ひょっとしてアンタ、なんでもブチ壊して喜んでるだけのテロリストなんじゃないの? 警視庁さん、この人アヤシイから監視してくださいね。」
粗野綾子委員 「あんたら! わたしに失礼を働いたら天罰が下るわよ。キリストは言いました。『右頬をぶたれたらピストルでそいつを撃て』と……。これが皆さんご存じの、新約聖書のハイライトでもある“戦場の垂訓”なのですよ! わたしにとって、神のことばは絶対です。わたしを脅かすなら、ピストルで天罰を喰らわしますから、そのおつもりでいらっしゃいませ!」
警視庁・警備局長 「現認しました。テロリストとして監視しなきゃなりませんな……」
経務省エネルギー局長 「粗野センセイ、恫喝(どうかつ)はもうそれくらいで、よろしいでしょ? あなたはこの会合で何を発表したかったんですか? あなたが常々、自己主張しておられたカトリック信者だというお立場から、皇居への核廃棄物永久処分場の併設をなぜ絶賛しうるのか、それを説明していただけませんか?」
粗野綾子委員 「わたしは80歳をすぎて、ますます精神世界に近づいております。今はそうねえ……一日の22時間くらいは俗世を離れて夢うつつの神様世界で遊んでおりますわよオホホホホホ! 今この瞬間も、あんたがた俗世の下衆(げす)には、私の美しい肉体しか見えていないでしょうが、それは下界の仮の姿であって、脳のほうは“あの世”で美酒に酔いしれておりますのよ。」
警視庁・警備局長 「“美しい肉体”などどこにも見えませんが……。この人は詐欺師ですか? うちの生活安全課にも監視を命じなきゃならんのか……」
経務省エネルギー局長 「おまわりさん、バアさんがちゃんとこう言ってますぜ。『脳のほうは“あの世”で美酒に酔いしれておる』と……。まあ、ヨイヨイになってるってことでしょうな、まともに相手にしなさんな。」
粗野綾子委員 「いまや日常の大部分を、俗世を超越した精神世界に住むようになったワタクシが、この歳になって確信しておりますことは、“祈り”のパワーです。この世の中では、なんでも祈れば願望が実現するのです。わたしもお祈りのパワーでボートレースではガバガバ儲けさせていただきました。」
警視庁・警備局長 「競艇で八百長レースを主催してきた……ということでしょうかね。うちの暴対班も動員しなきゃならないのかなぁ。とんでもない組織犯罪に付き合うことになりそうだわい。」
経務省エネルギー局長「粗野センセイ、あんたの競艇賭博の自慢話はどうでもいから、はやく皇居に核廃棄物処分場を併設する話に行ってほしいんですが……」
粗野綾子委員 「あんたら異教の蛮族どもは、わたしの垂訓の意味さえ理解できないケダモノなのね! そんなことだからアメリカ様に原爆を落とされて地獄の業火で焼かれたのよ。あんたら異教徒は学習能力がない蝦夷(エミシ)、土蜘蛛、豚犬なんだから、ホントに軽蔑するしかないわね!」
警視庁・警備局長 「でましたヘイトスピーチ! これは警視庁の手には負えないので国連機関の手に委ねるしかありまへん!」
経務省エネルギー局長 「……で、粗野センセイ、皇居に核ゴミ埋設施設の話はどこに行ったんですか?」
粗野綾子委員 「えっ? そんな話するんでしたっけ? わたしが事前に聞いていたのは侵腸社から出版される新刊の宣伝ってことだったけど……」
警視庁・警備局長 「バアさん、そんなことで政府から日当もらってたんじゃ、官費の不正受給ってことで現行犯逮捕ですぜ。……おい次長、いまワッパ持ってっか? 逮捕状もらってこい!」
粗野綾子委員 「……おっとっと! 今わたくし精神世界から戻ってまいりました。これまでの戯(ざ)れ言は、今のわたくしとは全然関係のない邪悪な別人格によるものですから無視して下さいね。あれは認知症患者にありがちなつまらない症状ですから、お忘れくださいませ! ここからわたくし、正気ですから。」
警視庁・警備局長 「おい次長、逮捕状とる必要なくなったぞ。会議続行だ。」
神社本庁・宗務局長 「なんだコイツ? 『エクソシスト』に出てくる“悪魔に憑かれた女”そのものじゃないか。伴天連の世界はややこしいわ。その点、神道はせいぜいキツネ憑きくらいで、こんなひどくないからラクだわ。」
粗野綾子委員 「まず選ばれし正統カトリック教徒の模範とも申すべきわたくしから見れば、核技術とニッポンの皇族は共通点があるのです。」
経務省エネルギー局長 「……はて? 駄洒落で話をおとして逃げる気かこいつ?……」
粗野綾子委員 「いやいや、笑点じゃないからそういう展開にはしません。結論から申しますと、どっちも日本の生命線というべき、至高の存在だということです。」
神社本庁・宗務局長 「たしかにそれは否定できませんな。」
粗野綾子委員 「三種の神器とはなにか?」

経務省エネルギー局長 「カー、クーラー、カラーテレビですね。うちの所轄だわそれ。」
警視庁・警備局長 「それは昭和元禄時代の“3C”って奴でしょ。あんたも古いねえ(笑)。三種の神器とは……森昌子、桜田淳子、山口百恵にキマってるでしょ。とりわけ顔立ちからいえば桜田淳子は名器だって、五味康祐センセイの『女体の秘奥は顔で分かる』に書いてありましたぞ。」
神社本庁・宗務局長 「あんたそれホントですか?」
警視庁・警備局長 「美人を逮捕したときは取調室で丸裸にして、机のうえでしゃがませて、穴という穴をぜんぶ詳しく調べますから、五味センセイの女体占いはかなりの的中することが実証ずみです。人気女優・愛染京子の実況検分のときは、小生自身、ずいぶん感心して、奮い立ったムスコをなだめるのに苦労したものでした……」
粗野綾子委員 「慶良間(けらま)ケラケラ、阿嘉(あっか)んべ~! 座間味(ザマ~み)やがれ、ま渡嘉敷(とかしき~)!」
警視庁・警備局長 「うわっ! 悪魔つきのバアさんが泡を吹いてなんか叫んでるぞ! おい神主! 悪魔ばらいしろ!」
神社本庁・宗務局長 「無理ですよ~! こちとら伴天連じゃないからねぇ……。バアさん、あんた何を叫んでるの?」
粗野綾子委員 「あたしが考案した“滅びの呪文”よ! ロクでもないこと言ってる奴らは天罰が当たって滅びりゃイイんだわ!」
警視庁・警備局長 「あんたそれ立派な脅迫ですよ。……おい次長! ワッパ持ってきたか? あと逮捕状もらってこい!」
粗野綾子委員 「……あらエッサッサっと! 今ふたたびわたくし、精神世界から戻ってまいりました。呪文みたいのは私のなかの悪魔が叫んだものですから無視して下さいね。……ここからわたくし、正気ですから。」
警視庁・警備局長 「おい次長、ま~た逮捕状とる必要なくなったぞ。ふたたび会議続行だ。」

★          ★          ★

粗野綾子委員 「どこまで話しましたっけ?」
経務省エネルギー局長 「三種の神器で愛染は名器。」
粗野綾子委員 「うしろ半分は関係ない! ……で、神器の話でしたね。そう神器。……天皇陛下は“陛下”という呼び名でいみじくも表しているように、天上の神様のお使いとして地上に御座(おわ)します存在でありまして、ご存じのとおり“鏡”と、“剣”と、“勾玉(まがたま)”がその三種の神器です。これらのアイテムは、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の命令をうけた天上の若い神様・邇邇芸命(ニニギのミコト)が、葦原中国(アシハラのナカつクニ)すなわちニッポンを統治するために高天原(タカマがハラ)に降り立った際に、天照大御神からもらって地上に持ち込んだ“統治のための魔法の道具”だったわけです。」
警視庁・警備局長 「えっ? そんなファンタジー初めて聞いたわ。『指輪物語』……ですか? それともジブリの新作アニメ?」
神社本庁・宗務局長 「バカヤロー! これだから低学歴は困るわ! おまえ義務教育でニッポン神話を習わなかったのか? 天孫降臨の神話なんて基本中の基本だぞ!」
警視庁・警備局長 「うるせぇよ、賽銭ドロボー。蝗学館を出たくらいで威張るんじゃねえよ!」
経務省エネルギー局長 「諸君! 地上10センチレベルの昆虫世界の学歴争いはやめたまえ! 粗野センセイの話をさえぎるな! ……ところで先生、アマテラスオオミカミってのは誰のことで、高天原ってのはどこにあるんですか?」
粗野綾子委員 「あんた日本人のくせにそんなことも知らないの? アーマーテラスのオオカミってのはマッカーサー元帥のことで、高天原ってのは厚木航空基地なのは常識でしょ? あんた東大出たくせにそんなことも知らないんだ。(笑)」
経務省エネルギー局長 「お言葉ですが受験科目は日本史じゃなくて倫理社会でしたから……」
粗野綾子委員 「なんだ倫社か(笑)。ゆとり受験生のハシリね。うちの亭主が文科省の審議会で実現しようとしていた“期待される人間像”ってのが、あんたみたいな“ゆとり”だったのよ。ここで出会えてよかったわ(笑)。……で、三種の神器の話に戻りますが、このように神器の正体は、サルかヒトかも判然としない類人猿やら蛮族だとか、ありとあらゆるモノノケが跋扈(ばっこ)する地上の世界、つまり神世の天上世界からみれば最底辺の地獄に派兵されたニニギノミコトが、そうした“言うことをきかないケダモノ”どもを成敗するための兵器だったと言えるわけです。現代の核技術に目をむけてみますと、三種の神器はなんといっても原子爆弾・水素爆弾・中性子爆弾ですわね。アメリカのマッカーサーだって、こういう核爆弾のおかげで日本に天孫降臨して、アーマーテラスのオオカミとして君臨できたわけですもの。」
経務省エネルギー局長 「核兵器が現代の神器として大切だということはわかりました。……けれど、だからといって皇居に核廃棄物の永久ゴミ捨て場を作るというのは、どういう理屈なのですか?」
神社本庁・宗務局長 「おい、バアさん! あんた天皇陛下が“人間原爆”だって言いたいのか? たしかに帝国海軍は“人間魚雷”を使ったけど、ここはイスラム国じゃないんだから天皇陛下のお腹に原爆をくくりつけて特攻するなんて、想像すらできないことだぞ! 文学者のあんたは淫らな想像力で、天皇陛下を特攻兵器にするつもりか? 世が世なら不敬罪だぞ、このバテレン野郎!」
粗野綾子委員 「これだから神道はダメなのよ。八百万もの有象無象の『神』とやらを拝んでいるから、こういうロクでもない奴が神官を名乗るようになるのね。神道にいま必要なのは神さまをリストラすることだわ。最終的には唯一神、ヤハヴェさまだけを残して、あとはぜんぶクビにすべきです。」
竹下屁臓 「おっしゃるとおり。シントー業界は無駄が多すぎる。船頭が多すぎて船が先に進まない。思いきって神さまをどんどんリストラすべきですな。うちの会社をご指名くだされば、不要な顔ぶれはバッタバッタと首切りにしますから、どうぞご用命を。」
神社本庁・宗務局長 「屁臓さん、あんた首切りばかりしてると天罰くらうぞ。」
経務省エネルギー局長 「ま~た話が紛糾しましたワイ。宗教がらみだとすぐ紛糾する。こんな調子だと宗教法人税を徹底強化しなくちゃなりませんな。宗教団体って心の平成のために存在するんでしょ? なのに内ゲバばかりしてるんなら破防法を適用せにゃなりませんな。」
警視庁・警備局長 「破防法ですか……。永田町番外地とか言われている窓際族部落の公安調査庁が、能なしのせいで我々の仕事ばかり増やしてくれるから、ハボーホーって言葉さえ耳にしたくないですけど。(苦笑)」
粗野綾子委員 「あんたたち小役人どもは、わたくしの話の腰を折るのが仕事なんですね。それで俸給をもらってんだから、税金ドロボーって言われても仕方ないわね。」
経務省エネルギー局長 「こりゃ一本とられましたな。どうぞ珍説をお続けくださいませ。(苦笑)」
粗野綾子委員 「もう、おバアちゃん眠くなっちゃったから、結論を言いますわね。……天皇皇后両陛下のおつとめは、日々、平和をお祈りすることですわね。祈り屋さんなんですから、どうせ祈ってもらうんなら、自分たちのお住まいの地下に保管された大量の核のゴミが、どうか安寧のまま千代に八千代に、さざれ石が大岩になってコケが生えるまで、ずっと未来永劫、つつがなく保管されますようにと、毎日毎日、お祈りしていただくのがベストだと思うのです。……ねえ皆さん、そんなにまめにお祈りしてる人がほかに日本にいますか? 天皇陛下はお祈りのプロなんですから、ここは核のゴミの永久の安寧を、陛下のお祈りに託すのが最善の策だと思うのですよ。」
神社本庁・宗務局長 「粗野センセイ、おコトバですが、神に祈るのという仕事なら、われわれ神官だってプロフェッショナルですよ! さらにいえばイスラム教徒なんて一日に5回も神に祈ってます。あんた、そんなことも知らないの?」
粗野綾子委員 「だったら出雲大社とか伊勢神宮の地下に、核廃棄物の永久保管場を作るべきだ……と、そういう理屈になりますわね。」
社本庁・宗務局長 「……えっ? やっぱり天皇さまの祈りのパワーにはかないませんわ。皇居……皇居に決定ですな。」
経務省エネルギー局長 「会場貸し出しのタイムリミットが来ましたので、ここで検討会を終了いたします。……なんせこの部屋、つぎは結婚式の控え室になるんで、我々はやく退出しなきゃならないもんで……。ハイ!きょうの結論。 皇居の地下に高レベル核廃棄物の永久保管施設を設置することにいたします。そして天皇皇后両陛下には、毎日、廃棄物の永久の安寧をお祈りしていただきます。……皆さま長時間のご検討、ありがとうございました。お帰りはタクシーを用意しておりますので、受付にてタクシーチケットをご用命くださいませ。」

(ここで会議終了)
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★          ★          ★

長谷川記者 「……ということで、議事録を棒読みすることになってしまいましたが……」
犬腰犬介アナ 「バカヤロー! あと10秒で番組終了じゃねえか! 全文読んでどうすんだ、ラジオ第2放送の『朗読の時間』じゃねえんだぞ!」
ディレクター(怒鳴り散らす声がそのまま番組に入る) 「犬介てめえキャスターのくせに何やってんだ! てめえ今日かぎりでクビだ! 地方局に飛ばされて一生ローカルニュース読んでろバカ!」
犬飢ゆうひアナ 「きょうはニュースが一本しかお伝えできませんでしたが、最後に、先ほどの検討会でも大活躍だった粗野センセイのご尊顔をごらんください。《ニュースセンター9》、明日もお楽しみに……」

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(この物語はフィクションであり登場人物その他はすべて架空のものです。
屁世滑稽新聞は無断引用・転載を大歓迎します。
ご使用の際は《屁世滑稽新聞(http://www.rokusaisha.com/wp/?p=6757)から引用》と明記して下さい。)

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セガサミー会長宅銃撃事件で囁かれる安倍自民「カジノ利権」日米闇社会抗争

板橋区双葉町にある、セガサミー・ホールディングス会長兼社長の里見浩宅(写真)が銃撃を受けたのが1月14日の朝8時30分頃のこと。中板橋駅を降りて、商店街を抜けて、歩いて10分。双葉町の現場に行ってみると、まるで要塞のような威風堂々とした構えの邸宅が目に入る。

里見浩=セガサミー・ホールディングス会長兼社長宅

報道によると、「夜中に『ドン』という音がした」と、警備員から警視庁板橋署に通報があったという。里見会長宅周辺からは銃弾や薬莢(やっきょう)が見つかっており、署が発砲事件として調べているようだ。けが人はいなかった。

署によると、警備員は「午前3時半ごろに発砲音のような音を聞いた」と説明している。「朝になって銃弾のようなものを見つけた」との通報を受けて駆けつけた署員が調べたところ、門の照明1個が割れ、近くに薬莢1個や未使用の銃弾3発が落ちていたという。これまでに里見会長から脅迫などの相談が寄せられたことはなかった、と署は説明している。

◆お台場カジノ建設はなぜユニバーサルからセガサミー主導に変わったのか?

それにしても里見宅はどうして銃撃されたのだろうか。まことしやかに流れている「噂」としては、多くが推測だ。

「日本のお台場にカジノ建設がされる場合、遊技事業会社の中で、自民党にも近く、終始リードしていたのは、ユニバーサル・エンターテインメント(旧アルゼ)だったが、里見会長の娘・有紀恵さん(32)がこのほど、カジノ建設に前向きな安倍首相に近い男と結婚。この男は、経済産業省のキャリア官僚である鈴木隼人氏(36)で、先の衆議院選挙で比例区当選した。

披露宴には里見会長の肝いりで、安倍総理に加え総理経験者2人を含む多数の政治家が集まったのです。 こうしたことも手伝ったのか、カジノ建設は、セガサミー主導へと変わっていったのです」

その意趣返しで裏社会系の住人に銃撃されたと永田町のベテラン秘書が言う。だが、里見治会長は、どんなにおいしい利権の話が転がっていても、まったくヤクザとの交際の話は出てこない。

「里見会長は裏社会の輩をよせつけませんでした。出るパーティも慎重に選んでいて、『どんなメンバーが来るのか』と前もって秘書に調べさせていたほどです」(セガサミー関係者)

◆カジノ法案廃案の打撃からセガサミーと米サンズ社との間に亀裂が生じた?

そもそも、「機を見るに敏」な会長は、早くから日本にカジノが建設される場合、食い込むべく、早くから動いていた。昨年、韓国・仁川にカジノ建設を行ったがこれも日本でカジノ事業を行うときの試金石にすぎないとも言われている。

セガサミーは、韓国カジノ最大手パラダイスグループと合弁で建設した韓国初の統合型リゾート「パラダイスシティ」は、同国最大の外国人専用カジノや五つ星ホテル、韓流体験プラザなどが入り、2017年上半期にオープンする計画だ。

仁川国際空港に近接する約20万3千平方メートルの敷地に第1期の総事業費として1兆3千億ウォン(約1400億円)を投じている。航空便で1時間半圏内に集中する中国の大都市の旅行客を誘致するほか、国内客の来場も見込んでいる。

総額100億ドルに及ぶ「ライバルが太刀打ちできない」(里見氏)規模の投資方針を打ち出し、手つかずの巨大カジノ市場の日本でいち早く主導権を握ろうという思惑は、裏社会にも早くから浸透していた。すでに自民党議員らに積極的に売り込みを図っていた里見氏だが、昨年の秋に、いったんカジノ法案は廃案になり、棚あげになった。

「そこで、もっとも打撃を受けていたのが、セガサミーはもちろんだが、セガサミーに出資していたアメリカのサンズ社でしょう。もちろん、セガサミー本社も大打撃を受けた。当然、セガサミーの里見会長としては、安倍首相に『どういうことですか』と詰め寄ることになる。そのお詫びとして、娘の夫の鈴木隼人氏を、先の衆議院選挙でたいした実績もないのに、比例区の25番目にして、当選圏内に据えたのです」(週刊誌政治担当記者)

だから、見方としては(これは推測だが)サンズ社と手を組んだ闇の社会の「何者か」が意趣返しで銃弾をぶちこんだと見るのが正しい。

◆セガサミーの業績悪化はカジノ構想頓挫の余波?

セガサミーは、カジノ構想がすべったショックが響いたか、かなりの赤字のようだ。希望退職者を300名、募っている。

ZUUオンライン」では以下のように伝える。

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2月12日、セガサミーホールディングスが2015年3月期第三四半期決算を発表した。売上高2,675億円(前年同期比12.0%減)、営業利益162億円(同65.1%減)、経常利益162億円(同67.0%減)、当期純利益△0.2億円となった。

同時に2015年3月期通期の業績予想を修正、売上高3,525億円(前年同期比6.7%減)、営業利益160億円(同58.5%減)、経常利益150億円(同63.0%減)、当期純利益△130億円とした。パッケージゲームの不振のほか、デジタルゲーム分野において、新作タイトルの投入時期を戦略的 に来期に変更したことなどが影響した。特別損失には、構造改革費用を含め、150億円程度見込まれている。

アミューズメント機器事業において、パチスロ遊技機が、型式試験方法の運用が変更されたことに伴い、市場全体で新タイトルの販売数が減少したことから、前年同期を下回って推移、一方、パチンコ遊技機の新台入替は比較的堅調に推移、329億円(同4.3%増)、営業利益は4億円(同2億円の赤字)となった。コンシューマ事業では、オンラインRPG『ファンタシースターオンライン2』や、『ぷよぷよ!!クエスト』、『チェインクロニクル~絆の新大陸~』等の主力タイトルの他、『アンジュ・ヴィエルジュ~第2風紀委員ガールズバトル~』、『サカつくシュート!』等の既存タイトルが好調に推移したが、パッケージゲーム分野、玩具販売事業が低調に推移したほか、広告宣伝費等が増加し、売上高は827億円(同13.5%増)、営業利益は22億円(同17.3%減)となった。アミューズメント施設事業も営業損失5億円を計上する等足を引っ張っている。

同日発表された構造改革には不採算・低採算事業の整理・縮小、希望退職者300名の募集が盛り込まれている。募集人数通りの希望退職者を前提とすると、グループ全体の人件費は今期見込みと比較して年間 28 億円程度の削減効果となる。

さらにグループ内組織再編も発表、昨年10月に発表していた遊技機事業、エンタテインメントコンテンツ事業、 リゾート事業の3事業グループへの再編の一部が決定した。
(「ZUUオンライン」より引用)
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なるほど、カジノ利権を漁りたい一心で、与党にすり寄っていくわけだ。セガサミーよ、そうはうまくいかないぜ。さて、里見宅では、「周辺をうろつく黒い雨合羽の男」が目立ち始めたという。晴れているのに、雨合羽を脱がない不気味な男。まだまだ「カジノ利権とセガサミー」から目が離せない。

[ハイセーヤスダ]

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福島原発事故忘れまじ──この国で続いている原子力「無法状態」下の日常

原子力規制委員会(田中俊一委員長)は2月12日、関西電力高浜3、4号機について、新規制基準を満たすと認める「審査書」を正式決定し、安全対策の基本方針についての関電の申請を許可した。既に「安全審査」が許可され再稼働一番手になるのではないかと警戒されていた川内原発よりも先に高浜原発が再稼働される懸念も出てきた。

忘れてならないのは「規制委員会」の審査が通ったからといって「安全」が担保されたわけでは全くないことだ。これは田中委員長自らが認めている。政府は再稼働の可否を「規制委員会」に委ねると言い、「規制委員会」は「最終的には政治決断だ」と言う。どちらも責任は取らない。責任を取れる道理がないから「押し付け合い」という茶番を選択するしかない(『No Nukes Voice』第2号参照)。

◆「当社は今『会社』としての体を成しておりません」と答えた事故直後の東電社員

まだ原子力規制委員会が「原子力保安院」と名乗っていた2011年に日本原電敦賀原発で、燃料のペレットが損傷して放射性物質が大気に漏れだすという事故があった。私は保安院敦賀事務所へ電話取材(抗議)を行い当時の所長遠藤氏をはじめ所員の方々と話をした。私は福島事故に見られるように制御できない技術を使うべきではないと主張し「原子炉即時停止ではなく即時廃炉にしてください」とお願いした。「廃炉ですか!」驚いた声を挙げた遠藤所長は典型的な官僚からはほど遠く、自身の知識で回答できない時は電話を保留にして資料を探しに行ったり、正直に「それは知りません」と回答されたり、姿勢は誠実な方であった。私との会話に1時間以上費やすことも珍しくなかった。

私は放出されたとする放射性物質の量が如何に危険なものであるかを指摘し、ベクレルとキューリーの換算方法などをお伝えした。遠藤所長はベクレルとキューリーの換算や、被爆による人体への影響や致死量もご存知なかったのでこちらからお話した。「そんなに危険なんですか、これから福島ではどのくらいの被害が出るのでしょうか?」との逆質問まで受ける始末。遠藤所長とは忌憚のない話が出来たけれども、彼は原発の安全を司る経済産業省の職員でありその辺の市民とは違うのだから、もう少し知識を備えてほしいと伝えた。「勉強します」と言っていた遠藤所長、最近取材して分かったのだが、私との電話での会話が影響したわけではないだろうが、直後に定年を待たずに退職されていた。

原子力保安院敦賀事務所の中には地元出身の方もいて遠藤所長が不在の際にはしばしば言葉を交わした「端的にこのお仕事(原子力保安院)お好きですか」と問うと「原発が無くなればこの仕事は不要ですから他の仕事をします」との回答が返ってきたこともあった。

それほどに危機意識と緊張感、もっと言えば恐怖が日常を支配していた。その感覚は至極真っ当だった。当時から危機を感じなかった関係者や、マスコミの報道に真実を隠蔽されたとはいえ、何も変わらぬ日常を安穏と送っていた方々の神経こそが愚鈍であったというべきだ。

事故直後、東京電力の社員は電話取材に「当社は今『会社』としての体を成しておりません!」と答えていた。株価は一時1円になった。

◆人類が初めて遭遇した事故の最中に私たちはいまも暮らし続けている

だが、総体としてこの国は、2011年3月11日以降の緊張感をもう忘れてしまっている。日本全滅が大げさではない危機だったあの時期を意識的・無意識的に忘却しようとしている。明白な自滅行為だ。70年前の太平洋戦争や50年程前の東京オリンピックの話をしているわけではない。現在も収束せずに進行しているわずか4年前の「福島第一原発メルトダウンと4機の原発爆発」という人類が初めて遭遇した事故の中を我々は毎日暮らしていることを再度くどいようだが認識しなおすべきだ。

再稼働議論にあたり周辺自治体の中には「避難計画が示されていない」等との疑問を呈する首長がいるが、何をとぼけたことを言っているのかと呆れるしかない。「避難」と言えばいつかは返って来られる印象を受けるが原発事故による「避難」は完全な片道切符だ。二度とその場所へは戻れない。土地が喪失するのと同義であるのに「避難計画」や「安定ヨウ素剤の準備」など全く無意味ではないか。なぜこんな簡単なことが福島で事実によって示されているのに理解できないのか。

はっきりしていることは、福島の被災者の方々を国も東電も購おうとはしていない、そして「誰も何の責任をとらない」ということだ。

国には「死刑」という「合法殺人」や「放射線による緩慢な殺人」が許される。電力会社はいかに健康被害を住民に与え、「死」を強要しても刑事罰に問われることはない。原子力に関する限りこの国は実質的に「無法状態」なのだ。

当時は頼りないことこの上ないと腹が立ったけれども、政治判断で「浜岡原発」を中部電力に止めさせた菅直人が今では立派に思える。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎円安からデフォルト──税金引上げ、年金引下げ、社保切り捨ての後の総崩れ
◎安倍「国富喪失」解散──アベノミクス失策の責任を問う選挙へ
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」

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