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◆鈴木宣弘東大大学院教授が語る「食料安全保障」日本の農と食を潰す洗脳を解く
 構成・文責◎本誌編集部

 

 

「紙の爆弾」4月号で残留農薬・人工肉の問題や、食料・農業・農村基本法改悪について解説した鈴木宣弘東大大学院教授が5月21日に横浜市で行なった講演「大人が学び考えよう『食の安全保障をどう守るか』」(豈プロジェクト主催)の内容を編集部でまとめた。現在のコメ価格高騰の〝真犯人?と、事態が示す真の危険性も見えてくる。(本誌編集部)

 米国と経産省の思惑が一致

まず、日本の食料安全保障の問題から始めたいと思います。低すぎる食料自給率は、なぜそうなったのか。一番の理由はアメリカとの関係です。

アメリカでは戦後、膨大な農産物が余りました。それをどこで処理するか、日本が処分場の役割を果たすことになりました。米(コメ)以外の農産物の関税が実質的に撤廃させられ、アメリカの農産物がどんどん日本に入ってきた。日本の麦や大豆、トウモロコシの生産は壊滅しました。

それでも、アメリカにとって都合が悪いことが1つありました。それは日本人の主食が米だということです。アメリカの小麦が胃袋に入れられない。そこで回し者の学者も使われて「米を食べると頭が悪くなる」という内容の本(林髞著『頭脳才能をひきだす処方箋』光文社カッパブックス/1958年刊。著者は慶應義塾大学医学部生理学教授)が出て、大ベストセラーになりました。このような洗脳政策で、私たちはアメリカの食料への依存症にどんどん冒されました。

日本国内の勢力もこれをうまく活用しました。経済産業省(旧通産省)が中心の経済政策です。経産省と農林水産省は犬猿の仲。農水は私が15年勤めた省ですか、まだ人がいい。対して経産省は優秀な者は多いが、ずる賢くて手が早い(これは褒め言葉です)。

賢い経産省は「アメリカを喜ばせばいい」と考えた。だから食料の輸入関税の撤廃を進めた。その代わりに日本は自動車などを輸出して、そのお金で食料を安く買えばよいと考えた。そして、これを「食料安全保障」と呼び、その流れを強めてきました。

もう1つの問題は、財務省(旧大蔵省)です。彼らは税金の取り立てばかりやっていますが、それを国民のために使っているのか? 1970年時、当時の農林省の予算は1兆円近くありました。その規模は防衛予算の2倍ほど。それが50年以上経った現在、農業予算2兆円に対して防衛予算は10兆円規模に膨れ上がっています。

ちなみに再生エネルギーの買い取りで、事業者に支払われている金額が4.2兆円。これだけで農水省予算の2倍です。

軍事と食料とエネルギーは「国家存立の三本柱」といわれるものの、命を一番に守る大事な要かなめは食料です。その食料の予算だけがどんどん減らされてきた。これでは、農業が苦しめられ、輸入が増えて自給率が低下するという流れは止められません。

 食料は安全保障の基本

そうした中で、私が「クワトロショック」と呼んでいる4つのショック、すなわち①コロナ・ショック②中国の爆買い③異常気象の通常化④紛争リスクの高まり、が起き、食料とその生産資材が海外から調達しにくい世界的危機が続いています。

食料は武器です。ロシアやベラルーシはもう日本に農産物を売ってくれません。世界の穀倉地帯であるウクライナの土地は破壊されました。

一番深刻なのは、食料の囲い込みです。インドのように麦や米の生産において世界で1、2位を争う輸出国が、自国民を守るために輸出を止めた。今や世界の30カ国ほどが食料の輸出を止めています。これで大変になってきたのが日本の農業です。まず、餌と穀物が十分に手に入らない。酪農畜産農家は餌の価格が2倍に上がったためにどんどん倒産しています。

もっと深刻な問題は化学肥料です。肥料の原料を日本はほぼ100%輸入に頼ってきました。それが当たり前だと思っていた。ところが今では中国もロシアも売ってくれずお手上げです。これで日本の慣行農業が重大な岐路に立たされています。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n5945473386a3

◆「政教分離」をかなぐり捨てる創価学会 公明党・山口那津男代表〝一転〞退任の真相
 取材・文◎大山友樹

 

 

 5月まで「続投」を明言していた

公明党は9月28日の党大会で代表の交代を発表した。2009年9月から15年もの長きにわたって代表を務めた山口那津男参院議員が退任し、石井啓一幹事長(衆院議員・元国土交通相)が新代表に就任した。

退任の理由は「世代交代」。党大会に先立つ9月10日、山口氏は国会内で記者会見し、「公明党は定年制を設けて党の活力を維持してきたが、私はその例外として代表を継続してきた。その間、中堅・若手の人材も育ち、新しい陣容を整える状況が来たと認識した。今、国内外とも政治の世界で世代交代の波が押し寄せているようにも感じる。70歳を超えた私としては、次の世代にバトンを譲るべきだと決断した」(公明新聞9月11日付)と述べた。

もっとも今年5月にBS11の番組に出演した際、山口氏は自らの進退について「代表任期が9月で満了した後の対応に関し、『無責任に放り投げることは考えていない』と述べ、続投する可能性を示唆した。自民党の政治資金規正法違反事件を受けた与党への逆風を念頭に、『党勢維持にしっかり道筋をつけるのが責任だ』」(読売新聞オンライン5月31日付)と続投の意思を示していた。

にもかかわらず急遽、退任へと変節したのは、岸田前首相の総裁選不出馬宣言を受けて自民党がお得意の看板の掛け替えで新総裁を選出し、「刷新」「世代交代」を大義名分に衆院の解散総選挙に突入する一方、公明党が古い看板のままで総選挙を戦うのは印象が悪く、選挙戦術上不都合と組織母体である創価学会が判断したからにほかならない。

自民党が旧統一教会問題や裏金事件など、安倍晋三元首相の“負の遺産”を糊塗するために「刷新」を掲げて選挙戦に臨むにもかかわらず、公明党は「桜を見る会」で安倍首相とともに杯を挙げる姿を幾度もニュース映像で流されている山口代表が看板では、あまりにもきまりが悪いということだろう。「自民党は新総裁を選ぶやすぐに衆院の解散総選挙に打って出るだろう。その日程は最短で10月27日投票といわれている。この選挙日程は昨年11月15日に死去した池田大作創価学会三代会長の一周忌、公明党創立60周年の節目と重なっている。そんな大事な時期の衆院選、しかも組織の求心力の要だった絶対的カリスマの池田氏を失って初めて挑む国政選挙に、創価学会は負けるわけにはいかない。

まさに乾坤一擲を賭けてのぞむ衆院選に、オールドネームの山口代表のまま戦ったのでは展望は開けない。ここは厳しい政治状況だが、世代交代の波に乗る形で新代表を押し立て、危機感を煽って組織の全力を挙げて中央突破を図るしかないと創価学会も腹を括ったのだろう」(創価学会問題に詳しいジャーナリストの段勲氏)

 アベ・スガ・キシダ追従、公明党の「平和・清潔・福祉」を地に落とした十余年

振り返れば2009年8月の衆院選での自公惨敗による民主党への政権交代と、大田昭宏代表(当時)の小選挙区落選という事態を受けて、参院議員でありながら緊急避難的に代表に選任されたのが山口氏だった。

その15年に及ぶ代表期間の大半は、2012年末に政権に返り咲いた第二次安倍政権(二次~四次)との二人三脚であり、さらに菅・岸田と続いた自公政権では、格差と分断の拡大、平和憲法と議会制民主主義の破壊、そしてアメリカの属国化に拍車がかかった。その意味では、公明党における山口時代とは、「平和・清潔・福祉」を金看板とした公明党の政治理念を地に落とし、存在意義を自ら破壊した「暗愚の10余年」だったといえるのではないか。

退任に言及した9月10日の記者会見において山口代表は、「公明党らしさは、立党精神にある。民主政治の基本として掲げているものであり、議員の政治姿勢、政党のあり方、政策の方向の根底にある。これからもしっかりと守っていきたい」と語るとともに、今後の政治課題として、「大きな政策目標の柱は『大衆福祉』」「もう一つは『世界平和』だ」と、「福祉」と「平和」の重要性を訴えているが、これはもうブラックジョークとしか言いようがない。

特に山口代表は、公明党創立者の池田氏が示した「大衆とともに」との結党理念の順守・励行を口にしているが、その池田氏が主張した核兵器廃絶や憲法九条の護持、脱原発や軍事費の削減に尽力することはなかった。むしろ池田氏が自らのライフワークとする小説『人間革命』を沖縄で書き始めたことが象徴する、戦火に苦しんだ沖縄を「平和の楽土に」との池田氏の強い思い、ことに「沖縄には核も基地もいらない」との池田氏の再三の叫びを無視して、米軍海兵隊の辺野古新基地の建設を公明党の歴代の国土交通大臣が推進してきたことは、党創立者の意志に反する自家撞着でしかない。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n8d06e59f0a54

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年11月号

『紙の爆弾』2024年 11月号
A5判 130ページ 定価700円(税込み)
【特集】いま政治が問うべきこと
鈴木宣弘東大大学院教授が語る「食料安全保障」 日本の農と食を潰す洗脳を解く
国民を騙して導入し、人と国を弱体化させる消費税を廃止せよ 
川内博史・原口一博(立憲民主党衆院議員)
米国植民地からの脱却が東アジアの平和をつくる 
鳩山友紀夫(元首相)・末松義規(立憲民主党衆院議員)

河野太郎「マイナ保険証」の愚行 米アマゾンに売られる日本の「情報主権」 高野孟
巨大製薬企業は日本人を狙っている! 明らかになった子宮頸がんワクチンの危険性 神山徹
ウクライナ化するフィリピン 米中対立と「アジア有事」の現在地 浜田和幸
日本人が知らされない“極東”の隆盛 ロシア「東方経済フォーラム」で見た世界の現実 木村三浩
自民党総裁選「憲法改正」争点化の姑息 自民憲法改正案は「改憲」とはいえない 足立昌勝
告発者潰しにも維新議員が関与 兵庫パワハラ知事を生んだ維新の無責任と凋落 横田一
「政教分離」をかなぐり捨てる創価学会 公明党・山口那津男代表“一転”退任の真相 大山友樹
総裁選とは何だったのか 衆院解散・総選挙とその後の自民党 山田厚俊
プロボクシングに見た躍進するサウジアラビア 片岡亮
ジャニーズとNHK、そして大阪・関西万博 本誌芸能取材班
統一教会のオカルト洗脳で「脳死」させられたニッポン 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 53 茨城上申書殺人事件 片岡健

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
【新連載】「ニッポン崩壊」の近現代史:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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60年安保闘争時の東大医学部自治会委員長が、聴診器一本とかんじきで、
半世紀余り地域医療に飛び込んだ著者の自伝的感動のノンフィクション!
在宅医療のパイオニアとして未来に挑戦する!

この一冊からは昭和・平成・令和を生きた
現役の医師である87歳の筆者の静かなる叫びが聞こえてくる。
日本のみならず世界中が不安定な今、戦争・政治・教育・家族・老い、
そして医療とさまざまな角度から導いてくれる、心を打つ、道しるべである。
安藤和津(エッセイスト)推薦

『アルプス少年 医を拓く』黒岩卓夫=著

『アルプス少年 医を拓く』
黒岩卓夫=著
 
A5判 ソフトカバー装280ページ(+カラーグラビア8ページ) 
定価2200円(税込み) 10月15日発売

《目次》
序 章  若栗峰
第一章  滿洲開拓団・棄民
第二章  ソ連(ロシア)侵略と難民
第三章  ハルビンから帰国
第四章  山猿ランプ少年
第五章  松本深志高校から東大合格(理Ⅱ)
第六章  Z旗を掲げて覚悟の医学部へ
第七章  北大路秩子 異次元の女子学生
第八章  六〇年安保闘争
第九章  結婚への脅迫状
第十章  聴診器一本とかんじきで
第十一章 健康やまとぴあ
第十二章 萌気会と桐鈴会の誕生
第十三章 「ゆきぐに大和総合病院」から「魚沼基幹病院」へ
第十四章 在宅医療を語ろう
第十五章 地域共生と「おふたりさま」
第十六章 医療と宗教を考える会
第十七章 ふるさと高地と「半農半医」
第十八章 柄澤和子先生の文化革命
第十九章 萌気会三〇周年――三代黒岩巌志の抱負――
第二十章 茨の道に赤い薔薇を
後 記  革命とは何か

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活気あった頃の新日本キックボクシング協会らしさが出たレジェンド登場。

脳腫瘍の手術を経て、再起を目指していた江幡塁はドクター勧告により再起は断念。潔く引退の道を選び、試合に向ける程のトレーニング量と減量を課して引退セレモニーに臨んだ。

エキシビジョンマッチに登場した深津飛成と泰史も激しい攻防で、レジェンド達が会場を盛り上げた。

ダブルメインイベントと位置付けられた総合格闘技Mixed Martial Arts(MMA)は無名の外国人による1ラウンド決着。江幡塁の引退セレモニーの後で、前座の消化試合のような観衆少ない中、盛り上がりに欠けていた。

日本のメインイベンター、瀬戸口勝也は、前回7月7日にジョニー・オリベイラに判定勝利している辰樹に倒される完敗。

ジョニー・オリベイラは匠に判定負け。瀬戸口と二人揃って新日本キックボクシング協会の牙城を守れなかった。

◎TITANS NEOS 35 / 10月6日(日)後楽園ホール 17:15~21:36
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

◆第13試合 120.0kg契約3回戦(MMAルール)

ビジュ・ロイク(フランス/ 115.0kg)vsマヌエル・ロデリゲス(スペイン/ 116.0kg)
勝者:ビジュ・ロイク / KO 1ラウンド 1分8秒 /
主審:宮沢誠

ビジュ・ロイクが寝技でマヌエル・ロドリゲスの左腕を極めたところでマヌエルがタップ、棄権し一本勝ち。

◆第12試合 68.0kg契約3回戦(MMAルール)

タフイキ・ダミエン(フランス/ 67.45kg)
        VS
モハメド・アマホウド(モロッコ/ 70.0kg/2.0kgオーバー/開催に影響無し)
勝者:モハメド・アマホウド / TKO 1ラウンド 2分48秒 /
主審:小池秀信

立ち技から寝技に移り、モハメド・アマホウドが体勢上になり、タフイキ・ダミエンがうつ伏せになるとパンチ連打でレフェリーストップ。

モハメド・アマホウドがタフイキ・ダミエンに馬乗りになって連打していく

◆江幡塁引退セレモニー

江幡塁は公式試合もエキシビジョンマッチも行なえない為、師匠の伊原信一氏とのミット蹴りの披露を2分制の2ラウンドを行なった。これが現役最後のミット蹴りだけに完全燃焼する一層の気合いが入った蹴り連打となった。

江幡塁の現役最後のミット蹴り、受けるのは師匠の伊原信一会長

セレモニーに参列した関係者からの花束、記念品、御祝儀等の贈呈に、江幡塁にパンチの指導した内山高志(元・WBA世界スーパーフェザー級Champ)さんも御登壇。

引退セレモニーで御挨拶の江幡塁。堂々たる語り口も伊原信一氏直伝だろう

江幡塁の御挨拶は、「最後に師匠である会長に、選手として最後のトレーニングをして貰って最高の選手生活を締め括ることができます。僕の引退式にこんなに沢山の人が観に来てくださり、こんな最高の景色が見れて僕は幸せ者です。応援に来てくださった皆様、本当に有難うございます。」と語り、昨年2月の脳腫瘍を患ってからの想い、手術は成功し、腫瘍は良性であったことからの復帰を目指した日々、那須川天心に敗れた後のこと等、最後に「会長の下で選手を育成し、協会の発展に努めていきます。」と7分に渡る熱い語り口で締め括り、テンカウントゴングに送られリングを去った。リングに上がる前はファンに導かれる入場で泣き顔でリングに向かったが、リングを下りる際は爽やかな表情でファンに囲まれての去り際だった。

テンカウントゴング後。WKBAとKNOCK OUTのベルトを持って最後のアピール

◆第11試合 59.0kg契約3回戦

日本フェザー級チャンピオン.瀬戸口勝也(横須賀太賀/ 58.8kg)44戦31勝(14KO)10敗3分
        VS
IOCインターコンチネンタル・フェザー級チャンピオン.辰樹(Y’ZD/ 59.0kg)
16戦7勝(3KO)6敗3分
勝者:辰樹 / TKO 1ラウンド 2分22秒 / 2度目のノックダウンでレフェリーストップ
主審:椎名利一

瀬戸口勝也が強打で仕留めるか、その距離に持ち込もうとする中、辰樹のハイキックを貰ってその蹴り足を掴んで離さなかったところを辰樹の左フックを浴びてノックダウン。迂闊なパンチを貰ってしまったが、再開後、再び連打を浴びてノックダウンとなったところでレフェリーストップとなってしまった。

辰樹は前回、スーパーフェザー級チャンピオンのジョニー・オリベイラ、今回はフェザー級チャンピオンに勝利したことで「WKBAの世界タイトルに挑戦させてください。」と勝利後のマイクアピールだった。

辰樹のハイキックを喰らってしまう瀬戸口勝也、倒れないがこの後、悪夢となる

二度目のノックダウンとなった辰樹の連打を喰らって前のめりに倒れた瀬戸口勝也

◆第10試合 59.0kg契約3回戦

日本スーパーフェザー級チャンピオン.ジョニー・オリベイラ(トーエル/58.85kg)
64戦16勝(1KO)30敗18分
        VS
匠(KING/ 58.75kg)7戦5勝(2KO)1敗1分
勝者:匠 / 判定0-2
主審:勝本剛司
副審:少白竜29-30. 宮沢29-29. 中山28-29

ベテラン対新鋭の攻防。テクニックでは匠が上回るか。負けない展開に導く駆引きはジョニー・オリベイラと言える中、匠のカーフキックでジョニー・オリベイラのバランスが崩れるも、パンチからクリンチへ持ち込むジョニー・オリベイラだったが、差が出難い中での匠の蹴りがやや攻勢となったか、匠が僅差判定勝利を導いた。

匠のローキック、カーフキックに苦戦したジョニー・オリベイラ

◆エキシビションマッチ 3回戦(2分制)

深津飛成(元・日本フライ級、バンタム級Champ/伊原)
        EX
泰史(元・日本フライ級Champ/伊原)

近年のエキシビジョンマッチとしては長めのラウンド、計6分間となった。昔のエキシビジョンマッチ並みの長さである。

泰史は遠慮ない蹴りを深津飛成に蹴り込む。深津も互角に蹴り合う展開を見せた。第1ラウンド終わると、深津が青コーナーまで、泰史に何か言いに行っていたが、エキシビジョン終了後、「2ラウンド目はレガース外すつもりでやったけど、泰史の蹴りが痛過ぎて、レガース着けたままやってくれって言った!」という笑いを誘うマイクによるコメント。

第3ラウンド終了間近では、深津飛成の右フックで泰史からノックダウンを奪う見せ場を作った。

泰史は引退を発表していたが、深津は先輩命令で「引退試合やれよ!」と檄を飛ばし、泰史は引退試合を行なうことを宣言した。 

エキシビジョンマッチながら深津飛成の右フックで泰史がノックダウン

◆第9試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級王座決定戦3回戦

5位.鈴木咲耶(チーム鈴桜)4戦3勝1敗
      VS
1位.NA☆NA(元・Champ/エスジム川崎)22戦14勝6敗2分
勝者:NA☆NA / 判定0-3 /
主審:中山宏美
副審:椎名29-30. 少白竜28-29. 宮沢29-30

ワンデートーナメントでの王座決定戦は望ましくは無いが、これもローカルタイトルとしての近年の流れ。鈴木咲耶は長身を活かした蹴りとパンチにNANAは徐々に距離を詰めて、パンチや首相撲に持ち込む。その圧力に鈴木はリズムを狂わされていく。両者の蹴りパンチとも攻勢維持には至らない展開もNANAがパンチで圧して行き僅差判定勝利で王座奪還となった。

長身、鈴木咲耶の距離を潰してパンチで攻めたNANA。圧力が優った

 

王座返り咲きのNANA、ミネルヴァ・バンタム級王座新設を要望した

◆第8試合 64.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級2位.佐々木勝海(エスジム日吉/ 63.85kg)11戦8勝(2KO)1敗2分
        VS
梅沢遼太郎(白山道場/ 63.4kg)8戦3勝(1KO)1敗4分
引分け 1-0
主審:少白竜
副審:椎名29-29. 中山29-28. 宮沢29-29

パンチから組み合う首相撲の展開が多いが決定打に繋がらない両者。スタミナ削り合いは差が付かない結果となった。

◆第7試合 53.0kg契約3回戦 愁斗(Bombo Freely)欠場、井原俊平代打出場

井原俊平(ワイルドシーサーゴザ/ 52.85kg)11戦3勝6敗2分
        VS
大久保貴宏(京都野口/ 52.95kg)5戦4勝1敗
勝者:井原俊平 / 判定2-0
主審:勝本剛司
副審:椎名30-29. 中山30-28. 宮沢29-29

◆第6試合 女子(ミネルヴァ)48.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・アトム級チャンピオン.Nao(AX/ 47.35kg)8戦6勝(2KO)1敗1分
        VS
坂本梨香(BELLWOOD FIGHT/ 47.8kg)4戦1勝2敗1分
引分け 1-0
主審:少白竜
副審:椎名29-29. 中山30-29. 勝本29-29

離れた距離では坂本梨香のパンチと蹴りのペースも、組み合えばNaoのヒザ蹴りが巻き返すも差が付かない結果となる。

◆第5試合 女子(ミネルヴァ)54.0kg契約3回戦(2分制)

松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/ 53.7kg)5戦3勝2敗
        VS
MIO LaReyna(TEAM REY DE REYES/ 53.85kg)3戦3敗
勝者:松藤麻衣 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-28)

◆第4試合 アマチュア49.0kg契約2回戦(2分制)

原龍之介(伊原越谷)vs堀内遥輝(TAKEDA)
勝者:原龍之介 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-18)

◆第3試合 アマチュア 33.0kg契約2回戦(2分制)

渋谷剛(伊原越谷)vs石井利空(TAKEDA)
引分け 1-0 (20-19. 19-19. 19-19)

◆第2試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級王座争奪4人制トーナメント(1day)

3位.YURIKO SHOBUKAI(尚武会/ 51.9kg)12戦5勝5敗2分
        VS
1位.NA☆NA(元・Champ/エスジム川崎/ 51.9kg)21戦13勝6敗2分
勝者:NA☆NA / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:椎名28-29. 少白竜28-30. 宮沢28-30

多彩に攻め合う両者、NANAのパンチとヒザ蹴りで僅差のポイントを奪ったNANAが判定勝利。

◆第1試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級王座争奪4人制トーナメント(1day)

5位.鈴木咲耶(チーム鈴桜/ 51.35kg)3戦3勝(1KO)
        VS
ミネルヴァ・ライトフライ級チャンピオン.Yuka☆(SHINE沖縄/ 51.85kg)
14戦6勝6敗2分
勝者:鈴木咲耶 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:椎名30-28. 少白竜30-29. 宮沢30-28

長身を活かした鈴木咲耶の蹴りとパンチ、組み合ってもヒザ蹴りの攻勢で判定勝利。

《取材戦記》

最後の現役選手としてリングに立った江幡塁は公開ミット蹴りについて、
「疲れました。本当は1分1ラウンドだったんですけど、あの場でいきなり2分2ラウンドになって想定外でした。でも試合に向ける程の練習して来たので、5ラウンド戦えるぐらいの体力着けて来ました。疲れましたけど体力はあるので充実したミット打ちでした。」と語った。

相手は攻めて来ないのでダメージの心配は無いが、連続で蹴るので観る側の想像以上に疲れることだろう。

公開されている前日動画では、「公式試合もエキシビジョンマッチも出来ませんが、自分に課した1年間の挑戦でした。」という最後のリングに向け、試合をやるつもりで減量して58.0kgに標準を絞って練習し、試合には出ないけれど前日計量では自分も計量するつもりで、計量の前日(10月4日)には60.1kg。サウナスーツ着て走って59.1kg。半身浴して58.8kg。前日計量時(10月5日14時)には目標の58.0kgに達し、試合に向けた懐かしい感情だったという。

堂々と会長のミット蹴りに臨める充実した気合いで当日、後楽園ホール入り。引退セレモニーでは予定どおりのミット蹴り(パンチ、ヒジ打ちも含む)。セレモニーでは多くの支援してくれて来た関係者に囲まれ、ここまでの想いを語る御挨拶を残してテンカウントゴングに臨めた。

この江幡塁の引退セレモニーがこの日のメインイベントの存在感でした。最近はセミファイナルより以前に行われる、アンダーカード的引退式が多く、江幡塁も実質メインイベント前に行なう似た位置付けでしたが、メインイベントクラスのMMA試合が霞んでしまうほど、観衆は江幡塁への応援で、引退式が終わると会場を後にする姿が多かったようです。

深津飛成と泰史のエキシビジョンマッチも存在感があり、深津飛成のマイクアピールも「俺も経営苦しいタイ料理屋を頑張るから、キミも、あなたも、お前も、一生懸命頑張ろう。」と観衆を指さし、頑張っていない者が聞けば心にグッとくるトークが熱かった。深津の威圧的命令で泰史も引退試合を行なうことに話が進み、旧エース格たちの存在が輝いた興行でした。

この日のメインイベントクラス最終2試合のMMAルール試合は今回限りという話もあるようですが、実際に今後も続けることは難しいでしょう。キックボクシングの興行でMMAの試合がダメという意味ではなく、リングマットの硬さの問題です。
後楽園ホールのリングでのキックボクシング試合は、常駐のボクシング用リングを使用しますが、投げ技の有る総合格闘技系は、ボクシングリングは硬過ぎて不向きでしょう。

実際、修斗などの試合では後楽園ホールでも、分厚い体操用のマットを敷いた上にキャンバスを覆う布マット(色付き、スポンサー名入り、競技団体名入り)を敷きます(過去に見た限りでは)。

キックボクシング試合がMMA試合用に合わせる手段もありますが、修斗同様にそのマットを運ぶ運搬設営に時間と経費が掛かることも懸念されるでしょう。その柔らかいマットではフットワークに影響も出る恐れもあります。最近はジムでの床も柔らかいジョイントマットが敷かれているので、慣れから大きな影響は無いかもしれませんが、昔は木の床やコンクリートの上での練習はタイでは当たり前でしたし、ラジャダムナンスタジアムのマットも日本以上に硬かったものです。という話より、キックボクシングは競技性を重視し、今後も立ち技打撃競技として興行を行なっていくでしょう。

新日本キックボクシング協会次回興行は2025年3月12日(日)に後楽園ホールに於いてMAGNUM.61が開催予定となっています。

瀬戸口勝也を倒した辰樹がWKBAの世界タイトルに挑戦をアピールしましたが、そんな路線も在り得る2025年です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年11月号

読売新聞社会部(大阪)が、情報提供を呼び掛けている。インターネット上の「あなたの情報が社会を動かします」というキャッチフレーズに続いて、次のように社会部への内部告発を奨励している。

「不正が行われている」「おかしい」「被害にあっている」こうした情報が、重大な問題を報道するきっかけになります。読売新聞は情報提供や内部告発をもとに取材します。具体的な情報をお持ちの方はお寄せください。情報提供者の秘密は必ず守ります。

この機会に全国の新聞販売店は、「押し紙」の実態を内部告発すべきではないか。読売社会部が「押し紙」を調査して報道する可能性はほとんどないが、同社のジャーナリズムがどの程度のレベルなのかを知るための指標になる。

◆年間932億円の不正販売収入を生み出す「押し紙」

数年前、わたしはNHKに対して「押し紙」に関する資料を提起しようとしたことがある。結論を先に言えば、この時は門前払いされた。NHKの職員は、資料の受け取りを拒否したのである。その理由は、NHKには部署が多いので、たとえ資料を受取っても行方が分からなくなる可能性があるというものだった。(電話での会話)

他の大メディアに「押し紙」の資料を提供しても、取材対象にはならない公算が強い。「押し紙」問題を報道することが、自分たちの小市民としての経済基盤を崩壊させかねない懸念があるからだ。

しかし、「押し紙」問題は、新聞ジャーナリズムを考える上で最も根本的な着目的である。と、いうのも「押し紙」が生み出す不正な販売収入の額が尋常ではないからだ。この汚点に、公正取引委員会や警察などの公権力が着目すれば、「押し紙」の摘発をほのめかすだけで、暗黙裡に新聞の紙面内容に介入することが可能になる。わたしの試算ででは、新聞業界全体で年間932億円の不正な販売収入が発生している。これは過少に試算した数字である。

試算の詳細については、『新聞と公権力の暗部』(鹿砦社)に詳しいが、概要は次の通りである。2021年度の全国の朝刊発行部数は約2590万部だった。このうちの20%にあたる518万部が「押し紙」と仮定する。また、新聞1部の「押し紙」代金を月額1500円をと仮定する。「押し紙」による販売収入は、次の計算式で導きだせる。

518万部×1500円×12カ月=年間932億円

新聞は「朝刊単独版」と「朝夕セット版」の2種類があるが、誇張を避けるために、すべての新聞が価格がより安い「朝刊単独版」として計算した。

それにもかかわらず「押し紙」による販売収入は、932億円になるのだ。この数字がいかに異常かは、たとえば次のデータと比較すると分かりやすい。

(1)統一教会の霊感商法による被害額は、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、35年間で1237億円である。年間に換算するとたった3億5000万円程度である。

マスコミは、鈴木エイト氏の後追い取材のかたちで、霊感商法の問題を大きく取り上げた。しかし、それよりも被害が深刻なのは、「押し紙」代金の取り立てである。

(2)しんぶん赤旗(2020年9月15日)によると、自民党から電通に支出された広告費は、19年間で100億円超である。年間に換算すると5000万円強である。この広告費は、倫理的な問題を孕んでいるが、不法行為ではない。これに対して「押し紙」による販売収入は、不法行為である。しかし、しんぶん赤旗もこの問題は避けている。暴露した場合の「反共攻撃」が予測されるからではないか。あるいは新聞記者の生活を守ることを優先するからではないか。

「押し紙」が生み出す不正収入が莫大な額であるからこそ、公権力によるメディアコントロールの温床になり得るのだ。公権力の側も、この点を熟知しているから、「押し紙」問題は黙認しているのだ。裁判所は、サラ金の武富士にはメスを入れても、新聞社に対しては、メスを入れない。

実はこのような構図は、戦前・戦中にも存在した。政府が新聞用紙の配給の権限を握ることで、新聞社を大本営の広報部に変質させていった歴史がある。かつては新聞用紙の配給制度がメディアコントロールの装置として機能し、戦後は「押し紙」制度が公権力による世論誘導の装置として定着したのである。この点を認識することなしに、日本の新聞ジャーナリズムの本質を捉えることはできない。

◆新聞ジャーナリズムの衰退を生み出す「押し紙」

新聞ジャーナリズムの衰退について考える時、大別して2つの視点がある。ひとつは精神的なもの(記者魂の欠落や勉強不足)にその原因を求める論法である。もうひとつは物質的なもの(記者クラブ制度、税制の優遇措置、「押し紙」問題など)にその原因を求める論法である。哲学上の言葉を使うと、観念論の論法と唯物論の論法の違いということになる。

前者の典型としては、「望月記者と共に歩む会」である。このグループは、それぞれの記者が東京新聞の望月記者のような積極性を発揮すれば、ジャーナリズムはよくなるという考えのようだ。新聞ジャーナリズムに対する手厳しい批判は、わたしが調べた限りでは、1960年代には始まっているが、現在まで、その評論の大半が観念論に基づいたものである。結果、ほとんど何も変わっていない。

これに対して後者の例としては、既に述べたように、記者クラブ制度、税制の優遇措置、「押し紙」問題などがある。これらの中で最も問題なのは「押し紙」である。と、いうのも「押し紙」問題は、不正な金銭がらみで、しかもその金額が尋常ではないからだ。

◆販売店主の自殺者などを生み出す「押し紙」

新聞社による「押し紙」代金の回収は、販売店主の自殺者などを引き起している。かつてサラリーマン金融や商工ローンの取り立てが大きな問題になったことがあるが、その比ではない。しかも、問題の中心にいるのが、「社会の木鐸」である新聞社であることに、大きな問題がある。

出版社も、そのほとんどが「押し紙」問題を扱わない。新聞の書評欄から、自社の書籍が締め出されると、大きな打撃を受けるからだ。

読売新聞社会部(大阪)は、内部告発を奨励することで、そのジャーナリズム性をPRしているようだが、こうした戦略を読者はどう考えるだろうか?

 

本稿は『メディア黒書』(2024年09月27日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉『新聞と公権力の暗部 「押し紙」問題とメディアコントロール』(鹿砦社)

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◆官僚支配・憲法無視・米国追従「能動的サイバー防御」とは何か
 取材・文◎足立昌勝

 

 

「有識者会議」の有名無実

政府は6月7日、国の重要インフラへのサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス=ACD)」導入に向けた有識者会議(「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議」)の初会合を首相官邸で開いた。岸田文雄首相(当時。以下同)は「我が国のサイバー対応能力の向上は、ますます急を要する課題だ」と強調し、早期に関連法案を取りまとめるよう河野太郎デジタル相に指示した。

以上が、マスコミが報道した内容である。しかし後述するように、有識者会議では「能動的サイバー防御」という言葉は用いられず、「アクセス・無害化措置」という言葉に置き換えている。マスコミはそのことに触れないが、そこにこそ、政府・官僚の国民をだます姑息な手段を見ることができる。

会議では、次の3つのテーマについての分科会が設置された。①官民連携(官民の情報共有・民間支援)②通信情報の利用③アクセス・無害化措置(攻撃者のサーバー等の無害化)。これらの分科会では、最初に事務局である内閣官房サイバー安全保障体制整備準備室から「御議論いただきたい事項」が提示された。

このことは、非常に重大である。有識者会議は、専門家が各自の知識に基づき実質的な議論をするべき場所だが、実際は建前にすぎず、事務局(官僚)の構想によって動かされているからだ。

そもそも、有識者会議には17名の委員のほかに、政府側からも岸田首相・河野デジタル相・石川昭政デジタル副大臣に加え〝お付きの者?として、大臣と副大臣の官房副長官、国家安全保障局長、3名の内閣官房副長官補と内閣審議官が参加している。また、分科会には事務局であるサイバー安全保障体制整備準備室から室長を含め6名の幹部が出席し、議論をリードしていることがうかがえる。

その第1回会議で政府から提示された資料では、「現行制度上の課題」として、2022年12月に閣議決定された「国家安全保障戦略」に依拠する形で、今後の方向性を次の3点にまとめている。

①官民連携の強化⇒高度な侵入・潜伏能力に対抗するため、政府の司令塔機能、情報収集・提供機能の強化が不可欠。整理が必要な法令の例:サイバーセキュリティ基本法、各種業法

②通信情報の活用⇒悪用が疑われるサーバー等の検知には、「通信の秘密」を最大限に尊重しつつも、通信情報の活用が不可欠。整理が必要な法令の例:憲法21条(通信の秘密)

③アクセス・無害化措置⇒重大なサイバー攻撃の未然防止・拡大防止を図るためには、政府に侵入・無害化の権限を付与することが不可欠。整理が必要な法令の例:不正アクセス禁止法

これら3点を実現・促進するため、強力な情報収集・分析・対処調整機能を有する新たな司令塔組織を設置することが必要だと結論付けた。

ここで注意しなければならない点こそ、「能動的サイバー防御」の言葉が消え、「アクセス・無害化措置」に変更されていることだ。なぜこれらの用語変更をしたのかは、何の説明もないので不明だが、うがった見方をすれば「能動的サイバー防御」という言葉の持つイメージが非常に攻撃的であり、相手方サーバーに積極的に侵入し、攻撃力を消失させるという行為が、専守防衛を国是とする政府の立場から果たして許されるのかについての懸念が各方面から指摘されていたからではないか。
同様の言い換えは、「電話盗聴」を「通信傍受」、「監視カメラ」を「防犯カメラ」に換えて、盗聴や監視という本質を隠蔽し、国民を手なずけようとする官僚の常とう手段である。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n3be6409e9d19

◆シリーズ日本の冤罪〈52〉プレサンス元社長事件 
「村木事件」と同じ過ちを繰り返した大阪地検特捜部
 取材・文◎尾﨑美代子

 

 

2019年12月16日、大阪地検特捜部は、東証一部上場企業(当時)の総合デベロッパー「株式会社プレサンスコーポレーション」社長だった山岸忍氏を業務上横領容疑で逮捕した。山岸氏は、日本史上最多の保釈条件を付けた6回目の保釈請求が通るまで248日間勾留され、多くの財産と、我が子のように育ててきた会社を奪われた。しかし、その後の刑事裁判で山岸氏には無罪判決が下された(検察が控訴しなかったため無罪が確定)。

大阪地検特捜部(以下、特捜部)は2009年、村木事件で当時の厚生労働省局長・村木厚子氏を逮捕するも、裁判で無罪が確定した。しかもこの件で特捜部は、担当検事や上司らが証拠隠滅罪・犯人隠避罪で逮捕され有罪判決を受けるという一大不祥事を起こしている。

プレサンス事件で再び同じ過ちを犯した特捜部は、今回、特捜検事が特別公務員暴行陵虐罪で刑事裁判にかけられる事態となった。事件の詳細を山岸氏の“最強弁護団”の1人・西愛礼(にし・よしゆき)弁護士に取材した(以下、山岸氏と検察官以外の個人名は仮名)。

 山岸氏はなぜ逮捕されたのか

山岸氏の逮捕は、プレサンスが土地売買を手掛けた学校法人明浄学院(当時。本部・大阪市。以下、学院)の元理事長・佐橋由美子氏が、2019年12月に業務上横領で逮捕されたことがきっかけだった。佐橋氏は、2016年4月の理事長就任以前から学校経営に並々ならぬ関心を持ち、いくつもの学校法人に狙いをつけており、学院はその1つだった。

2015年頃、山岸氏に学院の校地買収の案件が持ち込まれる。同案件を進めたのは山岸氏の部下の小森氏だったが、案件が進展しないなか、校地売却による学院の郊外への移転費用、移転先での新校舎の建設費用、退任する理事長の退職金などまとまった資金を、山岸氏の個人資産から貸し付けてほしいと依頼してきた。

当時のプレサンスは急成長を遂げ、3年先までの土地も確保していたため、無理してまで校地を手に入れる必要はなかった。しかし、貸付先が学校法人であること、部下の小森氏や間に入る不動産会社社長・山本氏への信用などから貸し付けを決めた。

その際、佐橋氏については事前の調査でコンプライアンス上の問題点があったため、山岸氏は理事長が別の人物であることを確認したうえで学院への18億円の貸し付けを決めている。

そして2016年3月、山岸氏は山本氏との間で「金銭消費賃借契約書」を交わし、2回にわたって山本氏の会社に送金した。18億円は、そこから学院に送金される予定だった。しかし、その後、佐橋氏によって、佐橋氏のダミー会社や退任する理事長などの手に渡っていた。佐橋氏が小森氏、山本氏を巧みに騙し、学院の経営権掌握に費やしたのだ。

小森氏と山本氏は、当初の計画の変更を余儀なくされるも、その事実を山岸氏に伝えてしまうと激怒され、案件が潰れてしまうことなどを恐れ報告しなかった。最終的に学院の校地を売却したお金で山岸氏への返済ができればよいと考えていた。

ところが、その後、学院と移転先の自治体との交渉が決裂したため、学院は元の校地の半分をプレサンスに売却し、半分に新校舎を再建することとした。プレサンスは土地購入の手付金として21億円を学院に支払ったが、佐橋氏はそのお金を私的に流用(横領)し、山岸氏に借りた18億円の返済に使った。

こうして山岸氏には18億円が返済されたが、山岸氏は全て学院とのやり取りだと認識しており、まさかそこに佐橋氏が関わっているとは全く知らずにいたのである。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nad61e515d221

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年11月号

『紙の爆弾』2024年 11月号

【特集】いま政治が問うべきこと
鈴木宣弘東大大学院教授が語る「食料安全保障」 日本の農と食を潰す洗脳を解く
国民を騙して導入し、人と国を弱体化させる消費税を廃止せよ 
川内博史・原口一博(立憲民主党衆院議員)
米国植民地からの脱却が東アジアの平和をつくる 
鳩山友紀夫(元首相)・末松義規(立憲民主党衆院議員)

河野太郎「マイナ保険証」の愚行 米アマゾンに売られる日本の「情報主権」 高野孟
巨大製薬企業は日本人を狙っている! 明らかになった子宮頸がんワクチンの危険性 神山徹
ウクライナ化するフィリピン 米中対立と「アジア有事」の現在地 浜田和幸
日本人が知らされない“極東”の隆盛 ロシア「東方経済フォーラム」で見た世界の現実 木村三浩
自民党総裁選「憲法改正」争点化の姑息 自民憲法改正案は「改憲」とはいえない 足立昌勝
告発者潰しにも維新議員が関与 兵庫パワハラ知事を生んだ維新の無責任と凋落 横田一
「政教分離」をかなぐり捨てる創価学会 公明党・山口那津男代表“一転”退任の真相 大山友樹
総裁選とは何だったのか 衆院解散・総選挙とその後の自民党 山田厚俊
プロボクシングに見た躍進するサウジアラビア 片岡亮
ジャニーズとNHK、そして大阪・関西万博 本誌芸能取材班
統一教会のオカルト洗脳で「脳死」させられたニッポン 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 53 茨城上申書殺人事件 片岡健

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
【新連載】「ニッポン崩壊」の近現代史:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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AfD(「ドイツのための選択肢」)がドイツ州議会の第一党になった。与党三党の合計を上回ったのだ。それで大騒ぎになった。「危機の時代の大躍進」、ナチスの復活だと言うことだ。


◎[参考動画]ドイツ 旧東ドイツの州議会選挙で極右政党AfDが第一党に(TBS NEWS DIG 2024年9月2日)

しかし、本当にナチスの復活なのか。

確かにAfDは、ドイツ民族主義だ。それに、反移民であるのも、ナチスの反ユダヤを彷彿させるところがある。

だが、AfDには、ナチスと決定的に違うところがある。それは、AfDには「覇権」「侵略」がないということだ。

ナチスは、米英覇権に対抗する独覇権を目指した。だから、ナチスが引き起こした第二次大戦は、覇権をめぐる米英との覇権争奪戦だったと言うことができる。

だが、「覇権」「侵略」を目指していないAfDの米英との抗争は、覇権抗争だとは言えない。覇権抗争と言うより、反覇権、脱覇権の闘いだと言えるのではないか。

AfDだけではない。今日、「自国第一主義」を掲げる組織や国を「極右」と言い、ナチス、ファシズムと同一視する傾向がメディア、政界では一般的だが、皆間違っていると思う。

なぜなら、現時代は、覇権の時代ではなく、反覇権、脱覇権の時代だからだ。

反覇権、脱覇権の時代の「自国第一主義」は、「極右」、「ファシズム」ではない。米覇権と闘う反覇権、脱覇権の進歩勢力だ。

米覇権の側にいる世界のメディア、政界が「自国第一主義」を「極右」と言い、「ファシズム」と言って排撃するのは、そのためではないだろうか。

脱覇権の時代である今日、国と民族を掲げ、米覇権と闘う勢力こそがもっとも進歩的で革命的な勢力だと言うことができる。

今日、米欧、そして日本のメディア、政界が「自国第一主義」を「極右」「ファシズム」だと排撃し、大騒ぎしているのは、まさにそのためではないだろうか。

小西隆裕さん

◎ピョンヤンから感じる時代の風 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=105

▼小西隆裕(こにし・たかひろ)さん
1944年7月28日生。東京大学(医)入学。東京大学医学部共闘会議議長。共産同赤軍派。1970年によど号赤軍として渡朝。現在「かりの会」「アジアの内の日本の会」会員。HP「ようこそ、よど号日本人村」で情報発信中。

『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』(紙の爆弾 2021年12月号増刊)

『一九七〇年 端境期の時代』

広島県教委の平川理恵前教育長(在任、2018年4月~2024年3月)らによる官製談合事件で、住民らの告発を受けて捜査していた広島地検は8月、平川被疑者を証拠不十分として不起訴処分にする一方、直接事務を担当していた当時の課長を略式起訴し、課長は50万円の罰金を納付しました。

この事件は、平川氏の故郷の京都が本部で平川氏と親交のあった『NPO法人パンゲア』のために平川氏が事実上、県費で仕事を作ってあげた、というものです。2022年8月、「文春砲」ですっぱ抜かれました。

確かに、直接的に平川氏が指示した証拠はないものの、平川氏のために仕事をつくって当たり前、と言う状況が当時の県教委にはありました。

◆市民団体の不服申し立ては当然

当然、10月1日、市民団体「県教委官製談合疑惑をただす市民の会」は、「平川氏が教育長でなければ事件は起きなかった」として、検察審査会に不服申し立てを行いました。検察審査会が二度【起訴相当】の議決を行えば、平川氏は「強制起訴」されます。

だいたい、「大阪城を造ったのは誰か?」と問われて「大工さん」と答える人はまずいないでしょう。「豊臣秀吉」と答えるのが普通です。では「パンゲアのために仕事を作ってあげたのは誰か?」と問われれば「平川さん」と答えるのが普通でしょう。その普通が通用しないのが広島県警であり、広島地検です。真面目にやっていただきたい。

◆持ち上げる東京マスコミ、反省のない平川氏

 

2024年9月30日配信『AERA』

一方で、解せないのは、教育長退任後の平川氏を東京のマスコミが持ち上げまくっていることです。

例えば『AERA』は「平川理恵さんが語る広島の「タイムマシンで未来見る」教育改革 米・ビジネスハイスクール視察や不登校支援センター設置も」で、平川氏の自慢話を一方的に垂れ流しています。

官製談合事件についてこの記事の中で平川氏は「見方の問題だと思います。(最終出勤日の)3月29日の前日に250人が送別会を開いてくれました。教育関係者に限るということで、現場の先生や教育委員会の方が来てくれました。いろんな見方があると思います。でも私はこの来てくれた250人の皆さんが答えだと思っています」とまったく反省がありません。

上司の送別会ですから、少々上司が嫌な奴でも参加するのは、当然でしょうに。筆者も県庁時代、嫌な上司がいなかったと言えばうそになります。それでも職場の送別会には参加しました。当たり前のことです。その上司だって、「俺のためにみんな来てくれた」とは思っていないでしょう。

同記事のヤフー版のコメントでは「いろいろな改革に取り組んだのは良いかもしれない。だが、広島の教育で何か良くなったものはあるのだろうか。あまり良い話を聞かない。現場の意見を聞かなすぎたんじゃないか」など『AERA』と平川氏への批判が噴出していますが当然です。

おそらく、一部の東京のマスコミを主導するインテリの方々には以下のようなステレオタイプな考え方があるのではないか?

「腐った田舎者に、東京の進歩的な女性がいじめられている」

実際に、筆者も東京で大学卒業まで過ごしたのでわかるのですが、思想的に左翼だから共産党、社会党に投票していたわけではなく「自民党は田舎臭くてダサいから共産党、社会党」程度の考え方の方も結構おられました。そういう方や、そういう方々をマーケットとするマスコミが、石丸伸二さんとかが出てくると「田舎の老害をぶっ叩く」「田舎の老害にいじめられた若者」イメージで持ち上げてしまい、結果として石丸さんが都知事選挙で160万票も取ってしまう(それも、野党系から票を奪う形で)のはわかる気がします。

しかし、平川氏がやったことは所詮は「広島の公教育の米国化」です。米国の公教育も決して褒められたものではないでしょう。例えば、米国大統領選挙もついこの間まではトランプvsバイデンなどという不毛な対決構図でした。こんなことになるのも、米国の教育がもたらした米国の有権者の意識の問題もかなり大きいのではないか?日本も大概だが、有権者としての教育に米国も失敗していると言わざるを得ません。その米国に倣った教育改革をこれ以上広島でされたらさらにひどいことになりかねなかった。
 
◆任命責任重大な湯崎知事、「法令違反は改革の副作用」と開き直り

そして大問題なのは平川氏を任命した湯崎英彦知事です。広島県内にも女性の校長先生などいらっしゃいます。あるいは教育で全国でも有名な広島大学にも女性の教授は当然おられます。社会教育で活躍している医師や弁護士などいくらでも優秀な人材はいます。「女性教育長」が平川氏である必要はどこにもなかったのです。

そんな平川氏は散々、広島の教育をかき回した挙句、刑事責任は部下に押し付け、東京で好き放題、自慢話。そしてそもそも、こんな方を「一本釣り」で任命した湯崎知事の責任は重大です。その湯崎知事は、2024年2月、「法令違反は改革の副作用」などといって、公然と法令違反を是認しています。こんな知事でいいのでしょうか?!

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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福岡・佐賀押し紙弁護団は、10月1日、毎日新聞の元店主Aさんが大阪地裁へ提起した「押し紙」裁判の訴状(3月20日付け)を公開した。

それによると請求額は、1億3823万円。その内訳は、預託金返還請求金が623万円で、販売店経営譲渡代金が1033万円、それに「押し紙」の仕入れ代金が1億2167万円である。

訴状の全文(P01-P02)

訴状の全文(P03-P04)

訴状の全文(P05-P06)

◎訴状の全文(下記からダウンロード可能)
http://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2024/10/MDK241001.doc

預託金とは、広義の保証金のことである。身近な例としては、不動産賃貸の敷金の類いである。新聞販売店を開業するに際して、新しい店主は新聞社に預託金を預ける。Aさんの場合は623万円だった。

経営譲渡代金というのは、販売店を廃業して後継者に営業権を譲渡する際に、前任店主が受け取ることが出来る営業譲渡金のことである。新聞部数に連動して金額が異なる。Aさんのケースでは、1033万円だった。

しかし、Aさんは預託金も経営譲渡代金も受け取ることが出来なった。毎日新聞社が「押し紙」によるAさんの未払い金額から、これらの金額を相殺したからである。

今回、提起された「押し紙」裁判のひとつの特徴は、販売店に搬入する新聞の部数の決定方法である。訴状によると、「新聞販売店の注文は、FAXやメール等により行われるのが普通であるが」、Aさんの場合は、担当員の訪店時に部数の増減を報告するだけで、販売店に搬入する新聞の部数は毎日新聞社が決定していた。注文方法そのものが、前近代的なものだった。

ちなみに大半の新聞社は、販売店に送付する新聞代金の請求書に、「新聞部数を注文する際は、購読部数に予備紙等を加えたものを超えないでください」という注意書きを記している。毎日新聞社の場合も例外ではなかった。

しかし、逆説的に見ると、この注意書きは新聞社が俗に言う「積み紙」をも禁止していることを意味する。言葉を替えると、販売店に搬入される新聞の部数のうち、販売店経営に真に必要な部数(実配部数+予備紙)を超えた部数は、違法な部数である。独禁法の新聞特殊指定に抵触する。

メディア黒書は、今後、Aさんの「押し紙」裁判を報じていく。

本稿は『メディア黒書』(2024年10月2日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
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黒薮哲哉『新聞と公権力の暗部 「押し紙」問題とメディアコントロール』(鹿砦社)

“よりまし”で選ばれた石破茂新首相は、それまでの発言をひるがえして10月27日の総選挙を決定。自民党総裁選がメディア全面協力の事前運動であったことを、まったく隠すことはしません。その総裁選では、自民党のトップを決める選挙にすぎないにもかかわらず、明らかに総選挙に向けた政策アピールが繰り広げられました。それだけならまだしも、姑息にも「憲法改正」を紛れ込ませたことに、私たちは最大の警戒を払うべきでしょう。これらの経緯をふまえつつ、総選挙の動向をみなければなりません。

一方で、野田佳彦元首相を新代表に据えた立憲民主党が、議論をあるべき方向に導けるのか。それもまた、大いに疑問といわざるをえません。そこで本誌では、いま本当に問うべき論点を、「農と食」「消費税」「アジアの平和」と大きく3つに分けて解説。それぞれのテーマから、「グローバル企業の日本(人)への侵食」「mRNA・レプリコンワクチン薬害」「格差社会と大企業による中抜き」などへも議論を深めています。

さらに「日航123便事故と日米謀略」をはじめ、「ニッポン崩壊」といえる現在の苦境になぜ至ったのか、そのターニングポイントに迫るシリーズ連載もスタートしました。

こちらも代表が交代した公明党。山口那津男代表の15年間は、アベ・スガ・キシダの二人三脚を見事走りきった形です。昨年に死去した創価学会・池田大作名誉会長が提唱した「核兵器廃絶」「憲法九条の保持」「脱原発」「軍事費削減」などからは、すでに池田氏の存命中から遠く離れ、安保法制、武器輸出三原則のなし崩し、敵基地攻撃能力容認、原発再稼働といった自民党の政策を大いに支えました。今後、石破政権が加速させるであろう憲法改正についても、森友事件で安倍晋三元首相を国交相としてフォローし続けた石井啓一新代表の創価学会が後押しすることは間違いありません。

レバノンでヒズボラのメンバーが持っていた「ポケベル」「トランシーバー」が爆発。イスラエルの諜報機関・モサドが爆弾を仕掛けたとみられ、世界を震撼させました。その経緯はまだ判明していないものの、「やろうと思えばできる」ということだと思っています。あとは、人間がそれをどのように行なうか、というだけ。イスラエルのAIを駆使した戦術について考察した本誌七月号の青柳貞一郎氏のレポートが参考になります。同レポートではAIによる大雑把な攻撃対象の位置特定・選別で、その家族や周囲の民間人が犠牲になることも容認される、と指摘しています。

今月号で川内博史衆院議員の、「台湾有事」を決めるのは政府だとの指摘は重要です。それに向けた準備として、煽動や刷り込みが着々と進められています。経済が全てでなくとも、一水会・木村三浩代表が報告したような「世界の現実」が、落ち着いて物事を考えるきっかけになればと思っています。神山徹氏の「健康はワクチンや薬でつくるものではない」との指摘も同様に、私たちが取り戻すべき“当たり前”といえます。

ほか11月号では、レプリコンワクチンにとどまらない「ワクチン」そのものの問題、米アマゾンに丸投げされた「政府・国民情報」、“兵庫パワハラ知事”を生んだ維新の今後、日本が蚊帳の外に置かれた“極東地域”の発展など、本誌でしか読めない情報が満載です。全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年11月号

『紙の爆弾』2024年 11月号
A5判 130ページ 定価700円(税込み)
【特集】いま政治が問うべきこと
鈴木宣弘東大大学院教授が語る「食料安全保障」 日本の農と食を潰す洗脳を解く
国民を騙して導入し、人と国を弱体化させる消費税を廃止せよ 
川内博史・原口一博(立憲民主党衆院議員)
米国植民地からの脱却が東アジアの平和をつくる 
鳩山友紀夫(元首相)・末松義規(立憲民主党衆院議員)

河野太郎「マイナ保険証」の愚行 米アマゾンに売られる日本の「情報主権」 高野孟
巨大製薬企業は日本人を狙っている! 明らかになった子宮頸がんワクチンの危険性 神山徹
ウクライナ化するフィリピン 米中対立と「アジア有事」の現在地 浜田和幸
日本人が知らされない“極東”の隆盛 ロシア「東方経済フォーラム」で見た世界の現実 木村三浩
自民党総裁選「憲法改正」争点化の姑息 自民憲法改正案は「改憲」とはいえない 足立昌勝
告発者潰しにも維新議員が関与 兵庫パワハラ知事を生んだ維新の無責任と凋落 横田一
「政教分離」をかなぐり捨てる創価学会 公明党・山口那津男代表“一転”退任の真相 大山友樹
総裁選とは何だったのか 衆院解散・総選挙とその後の自民党 山田厚俊
プロボクシングに見た躍進するサウジアラビア 片岡亮
ジャニーズとNHK、そして大阪・関西万博 本誌芸能取材班
統一教会のオカルト洗脳で「脳死」させられたニッポン 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 53 茨城上申書殺人事件 片岡健

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
【新連載】「ニッポン崩壊」の近現代史:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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二人の新チャンピオン、初戦の運命は……?
初メインイベンター、西原茉生はわずか24秒で圧勝のインパクト。
セミファイナルの政斗はムエタイの壁に跳ね返される試練の敗戦。

◎KICK Insist.20 / 9月29日(日)新宿FACE17:30~19:37
主催:VICTORY SPIRITS、ビクトリージム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

◆第8試合 スーパーフライ級3回戦   

JKAフライ級チャンピオン.西原茉生(治政館/2003.6.27埼玉県出身/52.0kg)
14戦9勝(4KO)4敗1分
        VS
WMC日本フライ級チャンピオン.キリョウ・シリラックムエタイ(シリラックムエタイ/茨城県出身/ 52.38→52.35→52.3→52.25kg/90グラムオーバー計量失格)
9戦3勝(2KO)4敗2分
勝者:西原茉生 / TKO 1ラウンド 24秒
主審:小林利典

「やっとメインイベントで試合が出来る。必ず自分がこの興行を盛り上げるという気持ちになりました!」という主催者発表のコメントがあった新チャンピオン西原茉生。

開始早々、両者のわずか1~2発のローキックの交錯から、西原茉生の左の三日月蹴りが的確にキリョウのレバーに突き刺すようにヒットするとわずかな間をおいて蹲って悶絶するキリョウはカウント中にレフェリーに止められる衝撃の幕切れとなった。

言われてみれば確かに肝臓にヒットしている西原茉生の三日月蹴り

わずか24秒のTKO勝利となった西原茉生

盛り上げる前に終わってしまった感があるが、見事な三日月蹴りは完全クリーンヒットでわずか24秒での勝利は見事でした。

西原茉生は勝利のリング上では「僕はまだまだこんなもんじゃないんで、ジャパンキック(協会)のチャンピオンは滅茶苦茶強いんで皆、本当に期待してください。次はもっと強い選手と戦っていくので、僕の応援とチーム治政館の応援を宜しくお願いします。」とマイクアピール。

ファンに囲まれたロビーでの記念撮影の場で話を聞くと、
「メインらしくチャンピオンらしく締められたんじゃないかと思います。」

もうちょっと観たかったという声には「そうですね。でもあれは試合前からすごい狙ってた三日月蹴りで、もう作戦ピッタリ嵌ったなって思います。」

次の目標については「特に何も決まってないですけど、RISEさんに出たいですね。それ以外にもKNOCK OUTとか盛り上がっているんで、いろいろな団体にチャンピオンとして出たいなと思います。」とファンに囲まれ、乗りに乗ったハイテンションで語ってくれました。年間MVPの候補にも上がって来そうな西原茉生は今後もメインイベンターとして登場するか期待が高まります。

西原茉生の勝利を祝うチーム治政館

◆第7試合 67.0kg契約3回戦  

JKAウェルター級チャンピオン.政斗(=黒澤政斗/治政館/1992.7.17東京都出身/ 66.9kg)
34戦18勝(5KO)13敗3分
      VS
ピラポン・ノーナクシン(タイ・サラブリー出身/ 66.35kg)67戦42勝20敗5分
勝者:ピラポン・ノーナクシン / TKO 3ラウンド 2分53秒
主審:宮沢誠

先手を打ってアグレッシブに蹴って出る政斗に対し、落ち着いた表情で鋭く重い蹴りを返して来るピラポン。徐々に距離感が狂わされていく政斗。ピラポンの蹴り易い位置は続き、第2ラウンドにはピラポンの左フックで軽いノックダウンを喫し、第3ラウンド1分過ぎには左ヒジ打ちで額を斬られるが、続行するも更に左ヒジ打ちを受けた様子が窺え、終了間際には流血が酷くなり、すぐさまレフェリーストップが掛かった。

ピラポンのウェイトの乗った左ハイキック、試練の政人

再三のピラポンの左ヒジ打ちで側頭部から流血する政人

試合後、宮沢誠レフェリーは「血がピューッと噴き出ていた!」と言い、即座にストップした様子。

政斗は控室で、「全部のタイミングで相手が上でしたね。僕ももっとタイミングを上手くなるようにと、その自分から出るところとかももうちょっと誤魔化して入れたら、もうちょっと流れが変わったのかもと思います。取り敢えず今回は相手の方が強かったというそれだけです。あとは地道に積み上げてまた勝てるように頑張ります!」
と残念な空気が漂う控室にも元気に滑舌よくハキハキと応えてくれました。

諦めない政人のパンチ、逆側だが、血が噴き出ている

 

山内ユウ、まだ攻勢ではないが、次第に距離感タイミングを掴んだか

◆第6試合 ウェルター級3回戦

JKAウェルター級4位.山内ユウ(ROCK ON/神奈川県出身/ 66.4kg)10戦5勝(3KO)5敗
     VS
後藤啓太(拳心館/新潟県出身/ 66.65kg)5戦4勝(2KO)1敗
 勝者:山内ユウ / TKO 1ラウンド 1分22秒
主審:中山宏美

後藤啓太の重さとスピードある多彩な蹴りが山内ユウをコーナーに追い詰め圧倒しつつある中、ロープ際の接近戦で山内の右フックが炸裂すると、後藤は膝から崩れ仰向けに倒れ込んでしまった。山内の鮮やかな逆転劇だった。

山内ユウはリング上でマイクを持っても泣き顔で直ぐ声には出来ず、
「普通に仕事してるとこんな応援されること無いからマジでメッチャ気持ちいいです。後藤選手マジ警戒心強くて、本当ああいう不器用な試合しか出来ないですけど、これからも一生懸命頑張るんで応援宜しくお願いします。」
と感動の結果でリングを下りた。

後藤啓太側セコンドの木村充利氏は、「後藤啓太の油断でしたね。攻めていたんだけど、これで勝つかって時にパンチ貰っちゃったんで、もう油断の一言で、勝ってる試合を落としてしまったんで勿体無かったですね。」
という残念さを語っていました。

相当嬉しかったか、耐え切れなかった山内ユウの涙

◆第5試合 ウェルター級3回戦

JKAウェルター級5位.我謝真人(E.D.O/神奈川県出身/ 66.6kg)14戦3勝(1KO)9敗2分
     VS
健吾(BIGMOOSE/千葉県出身/ 66.15kg)5戦3勝(1KO)1敗1分
引分け 0-0
主審:児島真人
副審:宮沢28-28. 小林28-28. 中山28-28

蹴りの距離から接近戦、互いに組み合うシーンが増えると健吾のヒジ打ちが繰り出されて行く。第2ラウンドには我謝の右ローキックで健吾から軽いノックダウンを奪うが、今度は健吾のヒジ打ちで我謝が左眼尻を斬られる。最終ラウンドも接近戦で我武者羅の打ち合いが続くが、打ち合いながら健吾のヒジ打ちで我謝は圧され気味に進み、ジャッジ三者とも差が付かない結果に落ち着いた。

我謝真人と健吾の打ち合いの中、健吾のヒジ打ちが我謝を襲う

◆第4試合 フェザー級3回戦

石川智崇(KICK BOX/神奈川県出身/ 56.85kg)6戦3勝2敗1分
      VS
松岡優太(チームタイガーホーク/宮城県出身/ 56.95kg)3戦2勝1分
勝者:松岡優太 / 判定0-3 (28-30. 29-30. 29-30)

蹴り中心の攻防は松岡優太の的確差が優っていく中、セコンドの「もっと蹴れ!」の声にはなかなか蹴って行かない松岡だったが僅差判定勝利となった。ただ、ジャッジ三者が揃ったラウンドは無く、もっと蹴って出れば明確な差となっただろう。

松岡優太の左ハイキックが石川智崇の鼻頭を掠める

◆第3試合 ライト級3回戦

菊地拓人(市原/千葉県出身/ 61.1kg)6戦4勝(2KO)2敗
     VS
石井隆浩(尚武会/東京都出身/ 59.8kg)2戦2敗
勝者:菊地拓人 / KO 1ラウンド 2分56秒

◆第2試合 バンタム級3回戦 

紫希士(Formed/福岡県出身/ 53.3kg)3戦3勝
      VS
九龍悠誠(誠真/神奈川県出身/ 53.55→53.52kg)4戦1勝(1KO)3敗
勝者:紫希士 / 判定3-0 (30-28. 30-29. 30-28)

◆第1試合 ミドル級3回戦

白井大也(市原/千葉県出身/ 72.8→72.75→72.5kg)4戦2勝(1KO)2分
        VS
ソムプラユン・ヒロキ(DANGER/茨城県出身/ 71.85kg)7戦2勝5敗
勝者:白井大也 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-29)

《取材戦記》

キリョウは前日計量であと90グラムというところで諦めた流れ。すでにフラフラの状態で、プロモーターの八木沼氏も更なる減量は勧めなかった。命が大事。より無理を課すことはせず、体調回復に努めさせました。丸一日あったリカバリーの時間で体調回復はしたものの、弱点となるボディーへの減量の影響は脆くも浮き出てしまった試合でした。

三日月蹴りとは格闘技界では有名な蹴りで、ミドルキックと前蹴りの中間域という意味と、相手の右脇腹にある肝臓に、左足の親指の付け根の中足を当てるというピンポイントを狙った蹴り言われます。

近年はカーフキックという注目され始めた蹴りがあり、ともに蹴りに行く側の足も当たり所が悪いと自らダメージを負う恐れがあるも、ヒットすれば効果的な蹴りとなるようです。

最近、キックボクシングにおいては“回し蹴り”という言い方が少なくなった気がします。ハイキック、ミドルキック、ローキックが主で、空手では上段回し蹴り、中段回し蹴り、下段回し蹴りと言うかと思いますが、元々空手から引用した技をキックボクシング創生期から使って来たのでしょう。時代の流れで踵落とし、カーフキック、三日月蹴りへ移り流行って来ました。

というこの日の興行とは関係無い方向へズレましたが、西原茉生の三日月蹴りから脱線話となりました。

次回ジャパンキックボクシング協会興行は11月17日(日)、後楽園ホールに於いてKICK Insist 21が開催されます。フェザー級王座戴冠した皆川裕哉の初防衛戦が予定されています。目黒の伝統“防衛してこそ真のチャンピオン”を越えて数度防衛を視野に頑張る皆川裕哉の試合捌きに注目です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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