「非経済的」で「非人道的」な原発に真っ当な憤激を!『NO NUKES voice』第9号

◆「もんじゅ」も福島も国民負担──いつまでもなにを眠たいこと言うとんねん!

福井県小浜市明通寺の中嶌哲演住職。滲む憤りや悲しみの情感に、胸が痛む(2016年7月伊方にて大宮浩平撮影)

「管理上の相次ぐミスで停止中の高速増殖原型炉『もんじゅ』(福井県敦賀市)について、現行計画に基づいて今後10年間運転する場合、国費約6000億円の追加支出が必要になると政府が試算していることが8月28日、分かった。既に約1兆2000億円をつぎ込みながら稼働実績がほとんどなく、政府は菅義偉官房長官の下のチームで、廃炉も選択肢に含めて今後のあり方を慎重に検討している」そうだ。

また、「東京電力福島第1原発事故で掛かる除染や廃炉、損害賠償などの費用のうち、国民の負担額が2015年度末までに4兆2660億円を超えたことが8月28日、分かった。日本の人口で割ると、1人3万3000円余り。東電は政府にさらなる支援を求めており、今後も拡大する見通しだ」らしい。

ちょっときつめの関西弁で表現すれば、「いつまでもなにを眠たいこと言うとんねん!」とでも唾棄されるだろうこのようなニュースを前に、私たち『NO NUKES voice』編集部は改めて、原発が避けがたく有する「非経済性」のみならず「非人道性」に憤激を抑えることができない。

“原発いらない福島の女たち”の黒田節子さん(2016年7月伊方にて大宮浩平撮影)

◆正邪、善悪、犯人と被害者がひっくり返った現状が許せるか?

福島の事故現地に住む、あるいは避難した人びとが、相応に救済されるのであれば「1人3万3000円余り」の税金投入に異議を唱える気はない。でも全くそのようにはならず、被害者は切り捨て、復旧作業に携わる労働者からは多重請負による苛烈な搾取。

そしてあろうことか、事故を起こした東京電力が「黒字」を計上し、社員には高額なボーナスまで支給されている。どういうことなんだ。正邪、善悪、犯人と被害者がまるっきりひっくり返ったこの状態をあたかも、当然の図を見るように眺める為政者や東京電力の眼差しが、奇異でならない、許せないのだ。

座り込みを続ける斉間淳子さん。亡夫・斉間満さんは“原発の来た町”の著者として知られる(2016年7月伊方にて大宮浩平撮影)

◆権利や命は闘い取るもの、「果報は寝て待て」では勝てはしない

事故が起きて原発の危険性が認識されたと思ったら「世界一厳しい規制基準」で「福島原発の汚染水は完全に湾内でコントロールされており、健康被害は、過去も、現在も、未来も起こらない」と言い放った、あの安倍首相の歴史的とも言える仰天演説は歴史によって裁かれることになるのだろうか。

いや、そんな時代を黙して待っている訳にはいかない。権利や命は闘い取るものであり、「果報は寝て待て」では勝てはしない。

◆「被曝を無視する(反)脱原発運動は、認識が不十分である」

『NO NUKES voice』第9号の特集は「いのちの闘い 再稼働・裁判・被曝の最前線」だ。私は多くの識者を取材する中で学んだことがある。それは「被曝を無視する(反)脱原発運動は、認識が不十分である」ということだ。本号でも小野俊一医師や井戸謙一弁護士、アイリーン・美緒子・スミスさんや全国の運動報告で指摘されている通りだ。

そこで冒頭の報道である。東電は4兆2660億円の国から(つまり我々の税金から)援助を得ておいて、「まだ足らない、もっとよこせ」と言っている。一民間企業である東電がなぜ倒産しないのか。健康被害の調査や対応にしっかり体制を整えているか。民間の例外的な診療所を覗いては皆無じゃないか。140人を超える若者が甲状腺癌手術を受けても「放射能との関係はありません」と。これが政府であり福島県の正式な声明だ。

日本で唯一稼働中の原発に運転差し止め判決を出した裁判官だった井戸謙一弁護士

◆多数の人々を殺し、追い込み、住む場を奪った東電が存続できる社会は公正か?

たとえば鹿砦社が資金繰りに困ったら国は無担保で金を「援助」してくれるだろうか。そんなことはありえないじゃないか。だから中小企業の経営者は月末、年度末に資金繰りに奔走するのだ。なぜ東電だけ特別扱いなのだ。多数の人を殺し、生活苦に追い込み、住む場所を奪った東電がどうして「特別扱い」を享受できるのだろう。私にはさっぱり理屈が解らない。

が、そのからくりを理解する鍵は『NO NUKES voice』第9号に織り込まれている。結構なページ数なので全てをお読みいただくのは少々骨が折れるかもしれないが、読者の皆さんには「ああなるほど」と首肯して頂けるに違いない。

まず知らなければ判断のしようもないし、自分の意見を持つことも出来ない。その一助になればと本誌を世に送り出した。私たちは何度も何度も同じことを伝え続けなければならないだろう。それほど簡単に世が激変するものではないことを知っている。先人たちも後ろ指をさされながら、多くの人びとに無視されながらも論を曲げず、数え切れないほど同じ話を繰り返してきた。その精神に真摯に学ぼうと思う。是非お手に取ってお読み頂きたい。

マイクを握る“伊方の家”の八木健彦さん。伊方反原発の中心的人物だ(2016年7月伊方にて大宮浩平撮影)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。


◎『NO NUKES voice』第9号・主な内容◎
《グラビア》
〈緊急報告〉最高裁が上告棄却! 経産省前「脱原発」テントひろばを守れ!
福島のすがた──双葉町・2016年夏の景色 飛田晋秀さん(福島在住写真家)
原発のある町と抗いの声たち 現場至上視点(3)大宮浩平さん(写真家)

《報告》持久戦を闘うテントから
三上治さん(経産省前テントひろばスタッフ)
《インタビュー》毎日の「分岐点」が勝負──脱原発への長年の歩み
アイリーン・美緒子・スミスさん(グリーン・アクション代表)
《インタビュー》脱原発の戦いに負けはない せめぎ合いに勝てる市民の力の結集を!
菅直人さん(衆議院議員、元内閣総理大臣)
《インタビュー》復活する原子力推進勢力 この国のかたち
吉岡斉さん(九州大学教授、原子力市民委員会座長)

特集:いのちの闘い―再稼働・裁判・被曝の最前線

《インタビュー》稼働中原発に停止命令を出した唯一の裁判官 弁護士に転身しても大活躍
井戸謙一さん(弁護士)
《インタビュー》帰れない福島──帰還の無理、被曝の有理
飛田晋秀さん(福島在住写真家)
《インタビュー》ウソがどれほどばらまかれても被曝の事実は変わらない
小野俊一さん(医師、元東電社員)
《報告》原発作業とヤクザたち──手配師たちに聞く山口組分裂後の福島
渋谷三七十さん(ライター)
《報告》「原発の来た町」伊方で再稼働に抗する人たち──現場至上視点撮影後記
大宮浩平さん(写真家)
《報告》三宅洋平に〝感じた〟──参院選断想
板坂剛さん(作家・舞踊家)
《報告》みたび反原連に問う!
松岡利康(本誌発行人)
《報告》私たちそれぞれが考え抜いた選択を尊重し、認めてほしいと訴えます
武石和美さん(原発避難者)
《報告》原発プロパガンダとは何か?(第7回) プロパガンダ発展期としての八〇年代と福島民報
本間龍さん(元博報堂社員、作家)
《報告》反原発に向けた想いを次世代に継いでいきたい(8)
どう考えても、今のこの国はおかしいでしょう?
納谷正基さん(『高校生進路情報番組ラジオ・キャンパス』パーソナリティ)
《報告》原発映画のマスターピース 『一〇〇〇〇〇年後の安全』と『希望の国』
小林俊之さん(ジャーナリスト)
《提案》うたの広場 「ヘイ! 九条」
佐藤雅彦さん(翻訳家)
《提案》デモ楽――デモを楽しくするプロジェクト
佐藤雅彦さん(ジャーナリスト)
《報告》再稼働阻止全国ネットワーク 
原発再稼働を遅らせてきた世論と原発反対運動五年余 
熊本大地震の脅威+中央構造線が動いた+南海トラフ地震も心配

  『NO NUKES voice』第9号 8月29日発売! 特集〈いのちの闘い〉再稼働・裁判・被曝の最前線

《冤死の淵で》平沢貞通氏(帝銀事件) 支援者への手紙から浮かび上がる実像

外部との交流を厳しく制限され、獄中生活の実相が世間にほとんど知られていない死刑囚たち。その中には、実際には無実の者も少なくない。冤罪死刑囚8人が冤死の淵で書き綴った貴重な文書を紹介する。3人目は、帝銀事件の平沢貞通氏(享年95)。

◆まるで少年のように

1948年1月に東京都豊島区の帝国銀行椎名町支店で行員ら12人が毒殺され、現金や小切手が盗まれた帝銀事件は、日本を代表する冤罪事件として語り継がれてきた。この事件の容疑で死刑確定したテンペラ画家の平沢貞通氏は、獄中で40年も無実を訴え続けた末に1987年5月、95歳で無念の獄死を遂げたが、現在も遺族が雪冤を目指し、東京高裁に第20次再請求中である。

私は6月10日付けの当欄で、そんな平沢氏を30年に渡り支援した石井敏夫氏という男性が4月に81歳で亡くなったことを報告した。平沢氏が生前、獄中で数多くの絵画を描いていたのは有名な話だが、そのために画材を差入れし続けていたのが、宇都宮市で洋品店を営んでいた石井さんだった。石井さんは全国各地で平沢氏の個展も開催するなどしており、平沢氏にとっては、まさに生きるための支えのような存在だった。

平沢氏が生前、石井氏に出した手紙を見ると、そのことはよくわかる。たとえば、次の手紙は、石井氏が平沢氏に対し、初めて画材の差し入れを申し出た際、平沢氏から届いた返事の手紙である。

〈御手紙によりますと、画紙を御差入れ下さいます由で恐れ入ります。厚く御礼申上げます。御厚情御親切に御甘えいたしまして申上げますが、実は今御茶の水駅下車、神田スルガ台下、交差点の文房堂発売のドローイングブロック(美濃判位の大きさの白画用紙、二、三十枚綴り〉が使いきって了って困っておりますので、若しもこれが御入れ賜わり得ましたら何よりの喜びで御座居ますが……
「厚かましい」と御怒りなく御許し下さいませ。乍末筆 御尊父様にもよろしく!!〉

この手紙が出された年月日は不明だが、平沢氏は当時60代になっていたという。それでいながら、まるで少年のように石井氏からの画材差し入れの申し入れを喜んでいる様子が窺える。

◆獄中でも芸術を追及

平沢氏は満足のいく絵が描けると、てらいなく無邪気に喜び、次のように手紙で石井氏に報告していた。

〈お慶び下さい!! 見事成功!! 観山師ならずとも、恩師大観先生でも「とうとうやったな!! よし良し……」と必ず御歓び、御褒め下さることと思う成功で、未だ日本画家では何人も、唯一人も出来なかったことをやってのけたのです!!(・・・略・・・)この向うへ《進入して行く運動的表現=即山派の屋根が向うへ突き進んで雲の中へ入って行く姿》が、日本画家のデッサンでは描けないのです。そこは大観師も「洋画の良い領分」として認めていられたのです。(・・・略・・・)出来ましたらすぐ電報で御知らせいたしますから、面会宅下げで御受取りに来て頂きたく御願い申上げます〉

「観山師」とは下村観山、「大観先生」とは横山大観のことで、いずれも日本画の大家だ。平沢氏は横山大観の弟子だった。それにしても、この喜びようを見ると、平沢氏にとって、絵を描くことが何よりの生きがいだったことがわかる。そして、その生きがいをもたらしていたのが石井氏だったのだ。

平沢氏が獄中で綴った「書き残しの記」

◆遺筆となった年賀状

しかし80代になった頃から、さすがの平沢氏も高齢には勝てず、次第に体を弱らせていく。

〈一九七四年七月二日払暁、眩暈を起こし倒れ、寝床に入いり、脈搏を測かりました。《「ヒー・フー・三ツ」と数へ、「四ツ」目に結滞》のくり返しなのです。寝ずの番の先生が気付かれて、医務に電話して下さって、医師先生二人御来診下さって、注射して下さいました。(・・・略・・・)この現襲せる病状から診ますと、いつ心臓麻痺が来るか不明ですので、平素から気になっておりました小生無き後を御願申上げておきたいと存じます〉

平沢氏がこのような書き出しで始まる「書き残しの記」なる文章を書いたのは、82歳になっていた1974年のこと。心臓麻痺の発作を起こして倒れたことを報告すると共に死後のことについて、関係者たちに様々なお願いをした事実上の「遺書」だった。

平沢氏が晩年に拘禁されていた宮城刑務所仙台拘置支所

さらに時は流れて80年代になると、90歳を超えた平沢氏の老衰は進み、右目の視力はほとんど失われ、絵も描けなくなり、ずっと床についている状態となった。そして1987年の正月、次のような年賀状が届いたのが、平沢氏から石井氏のもとに届いた最後の手紙になった。

〈謹賀新年 六十二年 元旦 八王子市三ノ二六ノ一 子安町 平沢貞通〉

もはや、この程度の文字しか書けないほど平沢氏は弱り切っていたのである。この年賀状が石井氏のもとに届いた約4カ月後、平沢氏は危篤状態となり、それから約1カ月は持ちこたえたが、5月10日午前8時45分、ついに息を引き取った。そして養子縁組していた平沢武彦氏が用意していたマンションに引き取られ、平沢氏は逮捕されてから実に39年ぶりに畳のある部屋で休むことができたのである。

今年4月に亡くなられた石井氏は、生前の平沢氏を支えたのみならず、この歴史的冤罪を後世に語り継ぐうえでも重要な役割を果たされたと私は思っている。

※書籍「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)では、ここでは紹介し切れなかった平沢氏の遺筆や生前に描いていた絵画が多数紹介されている。

【冤死】
1 動詞 ぬれぎぬを着せられて死ぬ。不当な仕打ちを受けて死ぬ。
2 動詞+結果補語 ひどいぬれぎぬを着せる、ひどい仕打ちをする。
(白水社中国語辞典より)

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

 「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
 タブーなきスキャンダル・マガジン『紙の爆弾』!
 衝撃出版!在庫僅少!『ヘイトと暴力の連鎖』!

《冤死の淵で》竹内景助氏(三鷹事件)  獄中で書き残した虚偽自白への道程

外部との交流を厳しく制限され、獄中生活の実相が世間にほとんど知られていない死刑囚たち。その中には、実際には無実の者も少なくない。冤罪死刑囚8人が冤死の淵で書き綴った貴重な文書を紹介する。2人目は、三鷹事件の竹内景助氏(享年45)。

◆脳腫瘍で獄死

国鉄三鷹駅構内で無人電車が暴走して商店街に突っ込み、6人が死亡、20人が負傷する惨事になったのは、1949年7月15日の夜だった。捜査当局は当初から、人員整理に反対する労働組合などの犯行と断定。そんな思い込みに満ちた捜査の結果、9人の共産党員と事件前日に解雇を通達された非共産党員の竹内景助氏が実行犯として起訴されるに至った。そして裁判では、共産党員9人は無罪とされた一方、当初容疑を認めた竹内氏が単独犯だったと認定され、1955年に最高裁で死刑判決が確定する――。

竹内氏は獄中で自ら膨大な「再審理由補足書」も執筆した。支援する会のHPより購入できる

これが下山事件、松川事件と共に国鉄三大ミステリー事件と呼ばれる三鷹事件のあらましだ。竹内氏はその後、再審請求をするが、雪冤を果たせないままに1967年、脳腫瘍のために45歳の若さで獄死したのだった。

私が編集を手掛けた書籍「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(鹿砦社)でも、「三鷹事件再審を支援する会」世話人の大石進氏がこの事件について、内実に鋭く迫った渾身の原稿を寄稿してくれている。その文中で紹介された竹内氏の遺筆では、虚偽の自白に陥るまでの取り調べの過程が実に生々しく綴られている。

◆恫喝と脅迫を駆使した取り調べ

〈岡光警部はいきなり「やい、この野郎、あんなでかい事故を起しやがって、ひどい奴だ、もう駄目だぞ、観念して謝れ、さあ神妙に白状して詫びろ」と頭から怒鳴りつけられました〉
〈八月十日夜頃から平山検事の調べ句調が、俄然脅迫めいて来まして(・・・略・・・)「検察庁で検挙し起訴した事件で無罪となったなんてことは先づ無いんだ(・・・略・・・)証拠は毎日集っているんだ(・・・略・・・)裁判は自白しなくても証拠で認定されるのだ。君達がやったと云ふ証拠がいくらでもあるよ。君を見たと云ふ証人も、既に裁判官に証言しているし。」と云ひ(・・・略・・・)元気に反対する気も薄らいで来ました〉

このような恫喝と脅迫を駆使した取り調べに対し、次第に気力を奪われていった竹内氏。そんな状態の中、次のような悪辣な攻撃もうけたという。

〈「事故後丁度一と月目だね、今頃丁度此の人達が、こんな死に方をしたんだ、此の写真を見給へ、死んだ人をどう思ふかね。」と云って、惨鼻な死体写真を二十枚以上も、私の目の前に突き出しました〉

こんなおぞましい取り調べの中、竹内氏はついにこんな心境に陥っていく。

〈検事が喋った誘導や暗示によって、私の知識の中には、いつでもウソの自白をすることが出来る状態になりました。そして一っそウソでも自白して、どうせ有罪にされるなら情状を酌んで貰って軽くして貰おうかな、といふ考へが頭を掠めるようになりました。〉

「三鷹事件再審を支援する会」のHPでは再審の動向が適時報告されている

◆義憤と感激に涙して・・・

以下、ついに竹内が虚偽の自白に陥る場面である。竹内氏は悩みに悩んだ末、一緒に検挙された共産党員らを助けるため、自分1人で罪を被ることを決意したのだが、そんな考えから虚偽自白に陥った複雑な心情が克明に記されている。

〈私は生涯の断を決する為に苦悶しました(・・・略・・・)罪なくして罪を負ふのかと考いると、我乍ら自分が哀れにもなりました(・・・略・・・)そして「あの事件は私がやったのです。一人でやったのです。之から真実を申しますから、飯田さん達、他の諸君を直ぐ釈放して下さい。」と高い処から飛び降りるような心地して、悲憤と感激に涙して喋りました〉

この竹内氏の手記は、有名な刑事弁護士で、竹内の弁護人も務めた布施辰治氏宛てに書かれたものである。そして実を言うと、大石氏は、この布施辰治氏のお孫さんである。そういう背景もあり、前掲書「絶望の牢獄で無実を叫ぶ」で大石氏が寄稿してくれた原稿は時代背景、関係者の人間模様まで克明に再現された貴重な読み物になっている。

なお、2011年に竹内氏のご遺族らが東京高裁に再審請求し、現在も再審請求審が続いている。

【冤死】
1 動詞 ぬれぎぬを着せられて死ぬ。不当な仕打ちを受けて死ぬ。
2 動詞+結果補語 ひどいぬれぎぬを着せる、ひどい仕打ちをする。
(白水社中国語辞典より)

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

 「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
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《冤死の淵で》久間三千年氏(飯塚事件) 処刑直前に綴った再審無罪への確信

外部との交流を厳しく制限され、獄中生活の実相が世間にほとんど知られていない死刑囚たち。その中には、実際には無実の者も少なくない。冤罪死刑囚8人が冤死の淵で書き綴った貴重な文書を紹介する。1人目は、2008年に福岡拘置所で処刑された飯塚事件の久間三千年氏(享年70)。

久間氏に対する死刑の執行後、拘置所長や担当検察官による死体検視の結果などが報告された文書

◆再審請求を準備中に処刑

〈私にとっての十四年は、単純に十四年という数字ではない。社会から完全に隔離され孤独のなかで人間としての権利と無実という真実を奪われてきた時間である〉

これは2008年の夏、死刑廃止を目指す市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」が死刑囚105人にアンケート調査を行った際、久間三千年氏が所定の用紙に「今、一番訴えたいこと」として綴ったメッセージの一節だ。

当時、福岡拘置所に拘禁されていた久間氏は70歳。1992年に福岡県飯塚市で小1の女児2人が殺害された通称「飯塚事件」の容疑者として検挙され、死刑判決を受けながら、一貫して無実を訴えていた。

A4サイズの用紙の裏面に小さい文字でびっしりと、無実の自分を死刑囚へと貶めた警察や裁判所に対する批判、憤りを切々と綴った文章は気圧されるような迫力だ。その中でも、とりわけ強く私の胸に迫ってきたのは、次の一節だった。

〈真実は必ず再審にて、この暗闇を照らすであろうことを信じて疑わない。真実は無実であり、これはなんら揺らぐことはない〉

読んでおわかりの通り、再審で無罪を勝ち取ることへの強い意欲と自信が窺える文章だ。しかし、久間氏は生きているうちに再審無罪を実現できなかった。このメッセージを書いてから3カ月も経たない2008年10月28日、死刑を執行されたためである。久間氏は当時、再審請求を準備中だった。

絞首台に上がらされる時、目隠しをされ、首に縄をかけられる時、久間氏の恐怖、絶望感はいかばかりだったろうか。

久間氏が処刑された福岡拘置所

◆警察が証拠を捏造した

久間氏の裁判で有罪の決め手になったDNA型鑑定は、足利事件のDNA型鑑定と同様に90年代前半、まだ技術が拙かった警察庁科警研が行ったものであることは有名だ。それが久間氏の冤罪説を世間に広めている一番の要因だが、実際にはDNA型鑑定のみならず、目撃証言や血痕鑑定などその他の有罪証拠も疑わしいものばかりだった。

実を言うと、久間氏本人もそのことは強く訴えていた。再び冒頭のアンケート用紙から該当部分を紹介しよう。

〈事件について、さまざま経過があって、警察が証拠を捏造して逮捕したあの時から14年の月日が流れた〉

〈あの時とは・・警察が座席シートの裏側から血痕を発見したという平成六年四月を指す。ここで注目すべきは、平成四年九月二九日にルミノール検査をした筈の警察がシートの裏側に付着していたという血痕を平成六年四月まで発見できなかったのも不自然なら、その部位のシート表面から、ルミノール反応が全く出ていないのは、全く説明不能という外はない〉

久間氏が事件当時に乗っていた車の座席から血痕が検出された件については、確定死刑判決でも有罪の根拠の1つに挙げられている。しかし実際には、発見経緯の不自然さから「警察の捏造」が疑われている。久間氏本人もそう考えていたのである。

久間氏の処刑後、遺族が申し立てた再審請求は福岡地裁に退けられたが、現在は福岡高裁で即時抗告審が続いている。その過程では、不正捜査を疑わせる事実も新たに次々浮き彫りになっている。一日も早く久間氏の雪冤が果たされることを私は願っている。

※書籍「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)では、本文中で紹介した久間氏の遺筆の全文が紹介されている。

【冤死】
1 動詞 ぬれぎぬを着せられて死ぬ。不当な仕打ちを受けて死ぬ。
2 動詞+結果補語 ひどいぬれぎぬを着せる、ひどい仕打ちをする。
(白水社中国語辞典より)

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

 「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
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原発推進インチキ・メディアを斬る!《3》外交評論家=金子熊夫の能天気

JR東海傘下の『WEDGE(ウェッジ)』は原発推進団体からよほど金が流れているのか、摩訶不思議な雑誌だ。外交評論家の金子熊夫の原稿で、タイトルは「日印原子力協定は日本の非核主義と両立する」という脱力するようなものだ。

驚くべきことに「日本とインドの原子力協定を後押しする」というコンセプトのもとで、以下の残念な内容が展開されている。つまり金子は「インドが核実験をする」ということと、「日本が原発技術をインドに提供する」ことは別物だと言いたいのだ。

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外交評論家の金子熊夫

 2015年12月半ばに訪印した安倍晋三首相とナレンドラ・モディ印首相との間で、日印の民生用原子力協定を可能にするための二国間原子力協力に関する「原則合意」が成立した。長年この協定の重要性を唱えてきた者として、大変喜ばしいことである。しかし、日本国内では対印協力に対する懸念が繰り返し報道されてきた。世論への配慮からか、政府の締結に向けての歩みは決して早くない。日印原子力協定は、原子力の問題ではない。日本の安全保障、アジア全体の安全保障という、もっとも大きな文脈で捉えられるべき問題であり、細かい技術論で大局的な政治判断が損なわれることがあってはならない。残念ながら、日本人はインドに対する理解が浅い。日本が唯一の戦争被爆国としての立場ばかりを主張するなら、愛想を尽かすのはインドの方だ。日印の協定交渉は、民主党政権時代に始まってから間もなく6年になるが、この間もっとも双方が対立してきたのは、核実験再開時の扱いだった。日本国内では、インドが核実験を行ったら、直ちに対印協力を停止することを協定に明記すべきとの意見が根強い。(中略)
 日本としては、今回安倍首相がニューデリーでの首脳会談で、はっきり「インドが核実験を再び行った場合には、日本からの協力を停止する」と伝えているのであるから、これで十分ではないか。日印協定案を国会が承認する歳に衆参両院が付帯決議を採択して日本の立場を宣明するのも一案だろう。そもそも、インドが核実験を行った場合にどう対応するかというようなことは、協定や条約には本質的になじまない。そのような場合には何よりも必要なのは、日印両国政府が急遽協議することだ。協定や条約の運用について締約国同士が随時緊密に協議することは当然のことで、そのことを原子力協定に明記しておけばよく、それで十分だと筆者は考える。(『WEDGE』2016年4月号)
◎金子熊夫の略歴紹介HP http://www.eeecom.org/old/KKprofile.htm

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おいおい、金子よ! 正気か? 同じことを広島の原爆ドーム前で拡声器を使って真顔で言えるのか。インドが核実験を行う場合、その原子力のメカニズムは、日本からの原発技術供与と関係ないと誰が言えるのか。原発技術と核実験が密接に関係しているのは、小学生でももはや知っている事実である。

(渋谷三七十)

衝撃出版!在庫僅少!『紙の爆弾』増刊『ヘイトと暴力の連鎖』!
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『NO NUKES voice』08号【特集】分断される福島──権利のための闘争
「世に倦む日日」田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』

映画「ダーク・プレイス」はなぜかくも難解なのか?

映画「ダーク・プレイス」を見た。この原作は、ギリアン・フリンという才能あふれる作家でデビュー作の『KIZU―傷―』は、英国推理作家協会が主宰するCWA賞で2つのダガー賞を受賞、40週間以上もニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに選ばれた。この映画の原作となる「冥暗」は、ニューヨーカー誌の〝批評的選書〟ウィークエンド誌の「この夏で一番の本」、パブリッシャーズ・ウィークリー誌の〝2009年最高の本〟シカゴ・トリビューン紙の「おすすめのフィクション」などに選ばれている。そして続く「ゴーン・ガール」が世界的にヒットする。なんと世界で1500万部も売れているのだ。手元の文庫は、すでに7刷を突破している。

そんなわけで、この「ダーク・プレイス」は、過去に一家惨殺をされて生き残った少女、リビー・デイが、成長し、もはや同情から慈善家たちから寄付がもらえなくなり,弁護士から「働くべきだ」と指摘されるところから物語は始まる。このとき「殺人クラブ」という、謎解きが趣味の集団が賞金を出すから「新犯人捜し」に協力してほしいと頼まれる。

事件当時、『悪魔教』に染まっていた兄が犯人として逮捕されるが、実は事実を掘り起こしていくと、自分が思ってもいない犯人象が浮かび上がってくるのだ。これは、主人公のリビー、兄、リビーの母親という3つの観点から描かれているので、いささかわかりにくい。

そこで、私の小説のほうの師匠、若桜木虔氏がリリースした最新書籍「ミステリー小説を書くコツと裏ワザ」(青春出版社)をもとに分析してみる。この映画はじつにわかりにくかった。原因は何か? それは、回想シーンを使いすぎたからだと僕は想う。

若桜木氏はこう綴る。

「どうしても画期的な冒頭が思いつけない、という理由で、その物語の中でもっとも劇的なシーンを冒頭に持ってくる手法がある。第27回横溝正史ミステリ大賞受賞作『首挽村の殺人』(大村友貴)や、第37回メフィスト賞受賞作の『パラダイス・クローズド』(汀こるもの)のような構成で、つまり同一シーンが作中の肝心な箇所と、冒頭と、二度と亘って出てくることになる。はっきり言って、この手法には賛成できない。物語の時系列が狂うからである。ミステリーに限らず、エンターテインメントでは回想やカットバックを可能な限り避け、エピソードを出来事の順番通りに並べる〝時系列厳守〟が鉄則なのだ。それは、なぜか。時系列に頓着しない,物語が過去と現在をいったりきたりするような作品でも、頭が混乱しないでストーリー展開を追える読者もいないわけではない。だが、頭が混乱して前後関係が把握できなくなる読者も、確実に存在する。また、時系列が狂った作品が大嫌いな選考委員も、一部には存在する。最終選考で時系列の狂いを扱き下ろされて受賞し損なった実例も、いくつかある。そもそも、ミステリーを含むエンターテインメント系の作品は『楽しみのために読む』のであって、知恵を絞って悪戦苦闘しながら読む、という性質のものではない。」

そうなのだ。この映画はたしかに頭を絞らないとなかなか時系列の流れに追いつかない。ただし主演のシャーリーズ・セロンはこの映画のプロデュースも兼務しているが、いい演技をしているし、暗闇をうまく使ったジル・パケ・ブランネール監督(脚本兼任)もなかなかいい演技を引きだしている。難解なパズルを楽しみたい諸兄には、ぜひおすすめしたい映画だ。

◎若桜木虔小説講座 http://prosakka.main.jp/kouza/

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

 7日発売!タブーなきスキャンダル・マガジン『紙の爆弾』!
「世に倦む日日」田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』

原発推進インチキ・メディアを斬る!《2》澤昭裕の遺言

あいかわらず無反省の経団連御用達マガジン 『WEDGE(ウェッジ)』3月号に国際環境経済研究所前所長の澤昭裕が病床から書いたというコラムであり、遺稿となった「戦略なき脱原発へ漂流する日本の未来を憂う」を斬ってみる。澤の言論は、あくまで「原発推進」を軸にして進む。澤は原子力事業を一社か二社かに再編した上で、火力や水力も含む包括的合併を提唱する。

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 東芝や日立といった原子力メーカーが進めてきたような、海外電力事業者との連携を契機とした再編も選択肢の一つだ。電力会社と例えば米国電力事業者との間でアライアンスが実現すれば、安全保障上の連携効果も高まる上、閉鎖的な我が国の原発オペレーション能力を海外に効果的に発信していく契機ともなる。若手技術者が「直営技術力」を高めていく絶好の機会ともなろう。(中略)
 海外事業者とファンドを組成して国内の原発資産を購入していくことも考えられるし、先に上記のような「原子力地域連合」を作り、ファンドが出資することも一案だ。こうした再編を進めた場合、特に経営規模の小さい会社にとっては、投資体力や技術人材プールの充実、発電ポートフォリオ拡大による不稼働リスク分散等の効果が期待できる。ただし、原子力の場合、既に地理的な分散やアウトソースが進んでおり、「重複・過剰設備の廃棄による効率化」や「研究開発や人件費等の固定費縮減」までは期待できない。
 また、「全電源停止」が生じリスク分散の意味はない、したがって、「再編はリスクの大きな電源の寄せ集めになる」との指摘もある。また、電力事業の歴史的経緯を考えると、他業種の再編事例をそのまま当てはめることは現実的とは言えない。各社は「政府及び他社に対する経営の自主・独立性」に強い自負を持ち、「地元密着で建設・稼働を進めてきた実績」をレゾンデトールとしてきた。今は苦境にあるとはいえ、送配電の「地域密着の安定収益基盤」を有していることもあり、従来の路線を変えてまで再編に踏み切るほどの危機感を持つ会社は未だ多くはないのではないか。このように各社・単独の能力・体力では状況の打開が難しいことが明らかな一方で、すぐに事業再編が進む地合いも整っていない。「事業者間協力」のあり方としては、会社再編に限らず様々なバリエーションを想定する必要があるし、協力の促進に向けては、漸新的・現実的なアプローチが必要であろう。(戦略なき脱原発へ漂流する日本の未来を憂う『WEDGE』2016年3月号
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故人が病床で書いた遺稿にケチをつけるのはやや気が引けるが、それでも間違いは間違いである。「原発推進のための電力事業の大同団結」などクソ喰らえである。もしも包括的に事業を統合するなら「脱原発のための電力再編」であるべきなのは、当然だ。

真剣に電力のありかたについて考え、病床で新しい電力事業のスタイルについて書いたことは認めよう。しかし澤よ、天国で今一度、電力について考えていただきたい。

(渋谷三七十)

タブーなきスキャンダル・マガジン『紙の爆弾』!
『NO NUKES voice』08号【特集】分断される福島──権利のための闘争
「世に倦む日日」田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』

ベースボールマガジン社池田社長、斎藤佑樹選手に法外な「利益供与」の謎

最低でも800万円を超えるポルシェのマカンを斎藤佑樹(北海道日本ハムファイターズ)にプレゼントしたベースボールマガジン社の池田哲雄社長の『わけがわからない利益供与』に社員たちが憤慨。続々と転職活動をしている社員が増えている。中堅出版社の総務が小さい声で語る。

「具体的には言えないが、今月は、社員12人が履歴書を送ってきました。まあ経営悪化でリストラがあいつぐ中で、社長だけが年収3千万円をキープして、社員たちの給与は下がる一方。そんな中で斎藤選手を社長が優遇したわけで『やってられねえ』という雰囲気が社内に充満しているのは確かです」(ベースボールマガジン社社員)

そもそも、ベースボールマガジン社は経費に渋いことで知られる。
「外注ライターとの打ち合わせは、ほとんど社内ですし、とにかく経費を抑えろと編集は教わる。入社して最初に上司に言われた言葉が『飯は吉野家か松屋の牛丼にしておかねーと給料じゃ貯金がたまらないぞ』ですからね」(同)

さらにせこい話もある。
「2011年3月に破産手続きが終了した日本スポーツ出版社では、『週刊ゴング』で取材したときのジャイアント馬場やアントニオ猪木など貴重な写真8千枚を破産管財人から80万円で購入。これも管財人が提示した100万という提示を何回も値切る交渉をして競り落としたものです」(同)

今年1月に水道橋の本社ビルを売却、日本橋に移ったときも「野球選手のブロマイドをまとめて高く売りつける交渉にきた」と神保町の老舗書店。

そんなケチな出版社だが、「池田社長の周辺に聞くと、斎藤は見切って、今度は同じ北海道日本ハムの大谷翔平を会社で囲い込もうとしている。確かに、大谷を出せば売上げはよくなるだろうが、今度はマスコミには見えない形で接待するだろう。懲りない人たちだね」(同)

「食えない」と逃げ出す社員たちをよそに、もしかしたら大谷と池田社長の豪勢な話が近く聞けそうだ。

(伊東北斗)

芸能界の闇を暴く震撼の書!『芸能界薬物汚染』(鹿砦社薬物問題研究会編)
 在庫僅少!『紙の爆弾』増刊『ヘイトと暴力の連鎖』!

『ヘイトと暴力の連鎖』の基層にある在日韓国朝鮮人への差別構造の歴史

差別問題への考察と取り組みには長い歴史がある。容易に明快な回答の出ない難問なのだ。江戸時代以前から続く被差別部落の人々への差別、15年戦争によって日本に併合された朝鮮半島から強制徴用され、また自分の意志で日本や当時の満州へ渡った朝鮮人への差別。大東亜共栄圏を掲げ白人支配に対するアジアの独立を掲げた大戦時、日本のプロパガンダは、植民地の人びとに希望を与える一定の効果があったが、全く通用しない地域もあった。

第二世界大戦の歴史を紐解くと、その原因が満州国を立ち上げた関東軍の歴史を無視することは出来ない。傀儡国ではあっても一応「国家」の体をとった満州国内と内地では第二次大戦開戦後にも生活ぶりに大きな差があったことはあまり知られていない。

内地で憲兵隊が強化され、治安維持法による検挙が吹き荒れている東条内閣時代に、「贅沢は敵だ」のスローガンの元、あらゆる物資が軍事優先にまわされ、日々の食料も大方が配給制となっていた時代に、満州の首都新京では「鰻屋」や「カフェ」が依然繁盛していて、内地から出張に出かけた人々は、その余裕のある暮らしぶりに内地での生活を儚んだという記録が多数残っている。

まどろっこしい第二次大戦時代の話などを枕に持ってきたのには事情がある。実は『ヘイトと暴力の連鎖』には1つ重大な誤植がある。3章【対談】高島章さん(弁護士)×田中宏和さん(ブログ「世に倦む日日」主宰)「しばき隊・SEALDs現象の病巣を斬る!」の中で司会者の発言が一か所誤植されている。

同書38頁、
「拉致問題を考える時に、少なくとも一九七〇年ぐらいまでは遡る視点を欠くことは出来ないのではないかと思いますが如何でしょうか」とある(これは取りも直さず本書をご購入いただかなければ訳の分からない問題である。よってこの不可思議を解明するためにも早期にご購入いただく事を再度お願いするものだ)。

しかし原稿段階では、「拉致問題を考える時に、少なくとも一九一〇年ぐらいまでは遡る視点を欠くことは出来ないのではないかと思いますが如何でしょうか」であった。ここは重要な点であるので明確にしておきたい。

1910年は日本が当時の大韓帝国との間で日韓併合条約を締結した年だ。その背景には大韓帝国政権内の分派闘争や日本が要人を暗殺したりと、複雑な背景があった。しかし結果的にこの年を境に朝鮮半島は日本の支配下になった。その中で所謂「従軍慰安婦問題」や「創氏改名」(朝鮮半島に住む人々の氏名を日本式の名前に変えさえる)や、強制連行などが発生した。前述の通り、当時の朝鮮半島からは日本や、満州に意識的に渡った人もいたし、徴用された人もいた。

当時、朝鮮半島は一つの国で現在の様に分断国家ではなかった。今38度線で休戦協定が成立し、一応の停戦状態になっているが、どうして38度線が分断国家の分かれ目にされたのか。それはかつての関東軍が38度線の北を管轄し、大本営が38度線の南を管轄していたことに由来する。

朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の間では1950年に激烈な朝鮮戦争が起こり、第二次大戦で敗戦した日本は「朝鮮特需」に沸いた。朝鮮半島の戦争、かつての植民地の戦争でまたしても経済復興を遂げるきっかけを掴んだのだ。同一民族による内戦、不幸極まりない惨劇の上に日本の戦後復興があったことは忘れてはならない。

その様な視点から私たちは差別の問題を考える。勿論街頭で「朝鮮人死ね」などと叫ぶ人間は恥ずかしい限りだ。そのような人たちの行動を私たちは決して認めない。しかし悲しいことに「朝鮮人死ね」とがなり立てていた在特会に在日韓国朝鮮人の人びとが少なからず属していたのは、悲劇というしかない。

私たちはそこに表層で現れる言葉による差別だけではなく、もっともっと深刻な差別構造と在日韓国朝鮮人の方々の苦悩を想像しなければならないと考える。と同時に在日韓国朝鮮人の方々だって個性や嗜好は様々で、「敢えてそんなカテゴリーでくくってから自分を見てほしくない」と言う人もいる。なるほどと思う。

しばき隊と言われる彼らが本気で差別問題に取り組んでいたのであれば「ヘイト」や「シットイン」という敢えてカタカナを用いる必要もない言葉を使う必要があったか。「差別」や「座り込み」ではどうして具合が悪いのか。「ANTI-FA」とアンチファシズムを標榜しているつもりかもしれないけれども、そんな連中が機動隊と懇ろな関係を誇示し、少しでも意見の異なる人達の逮捕を警察に懇願したりするだろうか。彼らの使う言葉、行動、獲得目標が極めて薄い表層的にしか感じられて仕方がない。街頭から「ヘイトスピーチ」が無くなるのは結構だが、そうなれば本質的な「差別解消」に繋がるだろうか。私は訝る。

差別の問題はそれほど簡単に答えを出せるものではない。だから多くの先人が何十年もその課題に向き合い悩んできたし、議論も重ねてきた。冒頭満州国の例を出したが、満州国は言わずもがな日本の傀儡国家だった。その中で認められる言論や政治的自由は、日本国監視の元許される範囲のものに限られていた。植民地や傀儡国家とはそういうものだ。

しばき隊の主張に接するたびに、あたかも私たちは「傀儡国家内」の言論に封じ込められているのではないかとの思いを強くする。

私たちは今日流のファッショナブルでありながら、真の攻撃目法を外した運動や行動ではなく、根深い差別の根絶や戦争に反対する。彼らは「軽すぎないか」、という思いをついぞ解消することは出来なかった。『ヘイトと暴力の連鎖』はそのような思想で世に出された書物であることを付け加えておきたい。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

ヘイトと暴力の連鎖 反原連‐SEALDs‐しばき隊‐カウンター

鹿砦社特別取材班=編著
A5判/104ページ ブックレット 紙の爆弾2016年7月号増刊
定価540円(税込) 7月14日発売!

国会議員、著名作家、ジャーナリスト、学者らを巻き込んで
隠蔽された集団リンチ事件の知られざる真相を追及!
リベラル左翼勢力がもてはやす反原連‐SEALDs‐しばき隊‐カウンターの
恐るべき実態を明らかにする!

【主な内容】
1 SEALDs奥田愛基君への手紙
[インタビュー]ろくでなし子(美術家・漫画家)
  「逮捕」も「ぱよちん騒動」も笑いで吹き飛ばせ!
[対談]高島章(弁護士)×田中宏和(ツイッター&ブログ「世に倦む日日」主宰)
しばき隊・SEALDs現象の病巣を斬る!
4 社会運動の中の獅子身中の虫 反原連‐SEALDs‐しばき隊‐カウンター
5 反差別運動内で発生した深刻なリンチ事件の真相はこれだ!
6 急展開した「しばき隊リンチ事件」の真相究明
7 有田芳生参院議員の宣伝カーに乗ったしばき隊員に襲撃された市民
[特別寄稿]合田夏樹(愛媛県四国中央市在住 自称しばき隊研究家)
8 有田芳生参院議員の「集団リンチ事件」隠蔽関与の疑惑

7月14日衝撃緊急出版!『ヘイトと暴力の連鎖』(『紙の爆弾』増刊)

 7月14日衝撃緊急出版!『紙の爆弾』増刊『ヘイトと暴力の連鎖』!
 「世に倦む日日」田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』
 タブーなきスキャンダル・マガジン『紙の爆弾』8月号!

アマゾンで予約在庫切れの『ヘイトと暴力の連鎖』本日書店で衝撃発売開始!

いよいよ本日14日、『ヘイトと暴力の連鎖』が書店に並ぶ。発売を前にアマゾンには予約が殺到し、13日現在、在庫なしの状態だ。アマゾンには昨日追加搬入したのにまたしてもの完売。お蔭さまで大変な注目を頂いている『ヘイトと暴力の連鎖』について、今日はさらに詳しくご紹介しよう。

◆しばき隊によるリンチ事件──彼らの犯した民事上の責任はこれから白日の下に晒されてゆく

「十三ベース事件」とネット上で呼ばれた、しばき隊によるリンチ事件の詳細が余すところなく収められていることは12日に田所氏が紹介した通りだ。そして、偶然ながら被害者のM君がツイッター上で李信恵氏をはじめ、5人を相手取り大阪地裁に損害賠償請求の提訴を行ったことを12日明らかにした。本書内でも詳述しているが、加害者たちは事件後一旦「謝罪の意」を明らかにするが、直ぐにそれを反故にしてしまった。

そしてあろうことか、加害者は「事件は無かった」、「デマに惑わされるな」などとまで発言するようになる。人間として失格だ。

誰にでも過ちはある。私だって大小の過ちを犯してきたし、中には未だに悔やんでも消すことの出来ない大きな間違いもある。それは死ぬまで自分が背負いながら、日々生きて行かねばならない業として受け入れている。私の心を離れないのは、ある事件に対峙した時の判断間違いである。ところがM君リンチ犯どもの心の中にはそのような「負い目」は全くないようだ。私は加害者について、ここでこれ以上の言及を避ける。しかしながら、大阪地裁で彼らの犯した民事上の責任はこれから白日の下に晒されてゆくことになるだろう。

◆合田夏樹さんへの威圧行為と有田芳生議員の選挙カー

「十三ベース事件」のような物理的暴力は回避できたものの、一市民の職場と自宅にまで押しかけて威圧を行うという行為が、やはりしばき隊により行われていた。被害者は合田夏樹さん。合田さんはかねてより、しばき隊によるリンチ事件被害者のM君を支持することをツイッターで明らかにしており、意見の異なる人びとともツイッター上での議論を交わしていた。またどんな人であれ「約束をしてから来てくれたら会う」とも明言していたそうだ。

合田さんはご自身も述べている通り保守的な考えの持ち主だ。しかし、「民主主義」と「言論の自由」は断固守らなければならないとのお考えの持ち主でもある。まかり間違っても差別をまき散らす連中や、ましてや在特会の構成員ではない。

ところが、先日の参議院選挙で再選を果たした、民進党の有田芳生議員が選挙公示前に行っていた宣伝活動中の選挙カーによる「襲撃事件」に見舞われているのだ。前代未聞の現役国会議員の選挙カーによる個人の職場、自宅への襲撃については、じっくりと解析がなされているので同書をご覧頂きたい。

え? あの人が? あの良心的な○○さんがこの様なことに加担し、あるいは隠蔽に奔走していたのかと読者には落胆の覚悟もして頂いた方がよい。それほどに「しばき隊」を巡る人間模様は広範であり、侮りがたい力を保持している。

◆さっそくネットで湧き出てきたしばき隊構成メンバーによる「罵声」

7月11日に本ブログで『ヘイトと暴力の連鎖』の紹介記事が掲載され始めてから、同書取材班のトップ記者である田所敏夫氏やM君へのネット上での「罵声」が散見されるようになった。いずれもしばき隊の構成メンバーによるもので、彼らの意図は当該人物たちをツイッター上に「引きずり出す」ことを目的にしている。残念ながら田所氏はツイッターのアカウントを持たないようだし、M君もそんな陽動作戦に動じる気配はない。

ここで加害者に加担する悪質な攻撃を行っている人物たちを明らかにすることは、簡単だ。だが、M君はこれから法廷で加害者の責任を問うのであるから、私が軽率な言及をすることは控える。

紙の爆弾増刊号『ヘイトと暴力の連鎖』はここ数日で完売してしまうかもしれない。読み物的要素があると同時に事件資料としても貴重な記録となるはずだ。真実を知りたい人たちは急いでご購入を!

(佐野 宇)

ヘイトと暴力の連鎖 反原連‐SEALDs‐しばき隊‐カウンター

鹿砦社特別取材班=編著
A5判/104ページ ブックレット 紙の爆弾2016年7月号増刊
定価540円(税込) 7月14日発売!

国会議員、著名作家、ジャーナリスト、学者らを巻き込んで
隠蔽された集団リンチ事件の知られざる真相を追及!
リベラル左翼勢力がもてはやす反原連‐SEALDs‐しばき隊‐カウンターの
恐るべき実態を明らかにする!

【主な内容】
1 SEALDs奥田愛基君への手紙
[インタビュー]ろくでなし子(美術家・漫画家)
  「逮捕」も「ぱよちん騒動」も笑いで吹き飛ばせ!
[対談]高島章(弁護士)×田中宏和(ツイッター&ブログ「世に倦む日日」主宰)
しばき隊・SEALDs現象の病巣を斬る!
4 社会運動の中の獅子身中の虫 反原連‐SEALDs‐しばき隊‐カウンター
5 反差別運動内で発生した深刻なリンチ事件の真相はこれだ!
6 急展開した「しばき隊リンチ事件」の真相究明
7 有田芳生参院議員の宣伝カーに乗ったしばき隊員に襲撃された市民
[特別寄稿]合田夏樹(愛媛県四国中央市在住 自称しばき隊研究家)
8 有田芳生参院議員の「集団リンチ事件」隠蔽関与の疑惑

衝撃緊急出版!『ヘイトと暴力の連鎖』(『紙の爆弾』増刊)

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 「世に倦む日日」田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』
 タブーなきスキャンダル・マガジン『紙の爆弾』8月号!