福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか ── 《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判〈2〉 大今 歩

《2》被曝と小児甲状腺がん多発に関係はないのか

 
高野徹・緑川早苗・大津留晶・菊池誠・児玉一八著『福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか』(あけび書房 2021年)

本書では「放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」をはじめ、多くの専門機関は福島県の子どもたちに見つかった甲状腺がんは放射線によるものではないと判断している。すなわち「甲状腺がんの多発見はスクリーニングが原因であり、過剰診断が起こってしまった」と述べる(児玉一八「原発事故と甲状腺」)。

小児甲状腺がんは100万人に1人~2人とされるのに福島では先行検査(2011年~2013年)で116人、本格検査2巡目(2014年~2015年)で71人もの患者が見つかった。ところが、2016年、先行検査について検討委は「甲状腺がんが通常の数十倍のオーダーで多い」ことを認めながら、「先行検査を終えて、これまでに発見された甲状腺がんについては(中略)、放射線の影響とは考えにくい」と評価した。

そして、2017年11月本格調査について評価部会は、外部被曝線量を線引きして4地域に分けて「避難区域の13市町村(10万人当たり49.2人)→中通り(同25.5人)→浜通り(同19.6人)→会津地方(15.5人)」の順で甲状腺がん発見率が高いことを認めた。

ところが、鈴木元評価部会長は「年齢や検査時期などを調整する必要がある」などと地域別の分析を投げ出してしまう(白石・同前)。外部被曝線量が多い地域ほど甲状腺がん発見率が高いことを覆い隠すためとしか考えられない。

そこで鈴木らが頼ったのがUNSCEARが公表した推計甲状腺吸収線量のデータである。これに基づいて2019年2月に提出された中間報告は「20ミリグレイ(=シーベルト)以下のグループに対して20~25ミリグレイは悪性率が高いと認める」ものの、「25~30ミリグレイ及び30ミリグレイ以上は高いけれども有意ではない」から、現時点において「本格検査で発見された甲状腺がんと放射線被曝との関連は認められない」とした。

ところが、その後驚くべき事実が発覚した。4月8日に開催された検討委後の記者会見で、雑誌『科学』(岩波書店)の編集長が計算違いを指摘すると、鈴木氏は「入力ミスがあったという指摘は受け止める」とあっさり誤りを認めたのである。
 
訂正されたUNSCEARの数値を用いても被曝被と悪性率の関係は明らかである。20ミリグレイ以下に対して20~25ミリグレイは2・42倍、25~30ミリグレイは1.34倍、30ミリグレイ以上では1.21倍となっている。20ミリグレイぐらい以上を合わせるとそれ以下に対して1.69倍となっている。有意な差があるのである。(牧野淳一郎『科学』2019年5月号)。

そして当日の検討委でも、「なぜ当初の4地区で解析できないのか」(成井香苗委員)など再解析を迫る意見が相次いだ。しかし同年6月公表された「甲状腺本格検査結果に対する部会まとめ」は何の変更もなく事実を覆い隠した。

このように福島県内では小児甲状腺がんが全国に比べて数十倍のオーダーで高く発生している。しかも福島県内の4地区を比較すると、外部被曝線量の多い地域ほど甲状腺がん発見率が高い。UNSCEARの数値を用いても被曝と悪性率の関係は明らかである。にもかかわらず、本格検査について検討委は「現時点では被曝との関係は認められない」という結論を変えようとしない。

高野らが関わった検討委の被曝と甲状腺がんは関係ないとする主張には大いに疑問が残る。(つづく)

本稿は『季節』2022年秋号(2022年9月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全3回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

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福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか ── 《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判〈1〉 大今 歩

◆はじめに 甲状腺全摘4人、片側切除2人……

2022年1月27日、小泉純一郎、細川護熙、菅直人、鳩山由紀夫、村山富市の5人の元首相はEU(欧州連合)の欧州委員会が「(『脱炭素』のため)原発を環境に配慮した投資先」のリストに加えようとしている動きに対して、福島原発事故によって「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」などを理由にこれに反対する書簡を送った。

この書簡に対して政府、自民党、福島県は5人の元首相に抗議・避難の文書を出した。例えば、山口壮環境相(当時)は、「福島県の子どもに放射線による健康被害が生じているという誤った差別や偏見を助長することが懸念されます」と指摘した(佐藤和雄『金曜日』2022年2月18日号)。小泉らの書簡は「風評被害を助長する」というのである。

書簡と同日(1月27日)、17歳~28歳の男女6人が福島原発事故のため、甲状腺がんに罹ったとして東電に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。訴えによると、原告のうち、2人は甲状腺の片側を切除。4人は再発によって甲状腺を全摘した(2022年1月28日付朝日新聞)。

5月26日、東京地裁で第1回口頭弁論が開かれ、原告が意見陳述を行った。原告Aさんは「この裁判を通じて、甲状腺がん患者に対する補償が実現することを願います」と締めくくった(松本徳子『人民新聞』2022年6月20日)。

小児甲状腺がんは通常100万人に1~2人程度の割合で見つかる稀少ながんである。ところが、人口約200万人の福島県では事故後、今日まで約300人に発見された。小児甲状腺がんは「風評(うわさ)」ではなく、福島の子どもたちを襲う現実に他ならない。原発事故を起こした国や東電の責任が問われねばならない。

「風評被害」の根拠は「過剰診断論」である。精密な検査により、治療の必要のないがんを多数見つけているため患者数が多いというものである。本書では5人の著者が「過剰診断」が福島の子どもたちに「被害」を及ぼしているとして、福島県による甲状腺検査の中止を求めている。本書の主張である「過剰診断論」について検討したい。

◆福島県における小児甲状腺がん検査

1986年、ソ連チェルノブイリ原発事故後、周辺地域の住民に小児甲状腺がんが多発した。IAEA(国際原子力機関)など国際機関とウクライナ、ロシア政府は事故と小児甲状腺がんとの関連を認めた。

これを受けて、2011年の福島原発事故後、福島県は事故当時18歳以下であった県民約38万人を対象に2年ごとの甲状腺検査を開始した。昨年からは5巡目の調査に入った。前述のようにこの調査によって約300人が甲状腺がんと診断されたのである。

◆本書の概要 「過剰診断論」「検査縮小論」の主張者・高野徹を中心に

 
高野徹・緑川早苗・大津留晶・菊池誠・児玉一八著『福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか』(あけび書房 2021年)

本書の主著者である高野徹は大阪大学講師で2017年11月、福島県民健康調査検討委員会(以下、検討委)及びその甲状腺検査評価部会(以下、評価部会)のメンバーとなった。高野を推薦した日本甲状腺学会は、かつて検討委の座長であった山下俊一が理事長を務めていた。山下は事故直後に福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任し、「100ミリシーベルトまでなら全く心配はいりません」などの放言で知られる「被爆安全神話」の主唱者である。

高野徹は以後、評価部会や検討委において繰り返し「過剰診断論」や「検査縮小論」を強く主張してきた。

本書では高野を始め、緑川早苗(宮城学院女子大学教授)や大津留晶(長崎大学客員教授)など検討委のメンバーが「過剰診断論」を唱える。まず、本書の大きな流れを示したい。

①福島原発事故はチェルノブイリ原発事故に比べてヨウ素131の放出量は10分の1程度である。

②事故による被曝とがん多発の因果関係は考えにくいのに「過剰診断」によって小児甲状腺がんが多数見つかっている。

③小児甲状腺がんの性質は大人しく悪性化しないのに、がんと診断されて、子どもは進学・就職・結婚のハンディを持つため、検査は中止すべきである。
 次に順を追って「過剰診断論」について検討したい。

《1》福島原発事故によるヨウ素131の被曝量はチェルノブイリ事故に比べて低かったのか
 
本書は「福島第一原発事故によるヨウ素131の大気放出量はチェルノブイリ原発事故の放出量と比較して約10分の1程度であった」として「事故で放出された放射性物質によって健康影響が出ると考えられる量の放射線被曝はしていない」(児玉一八「はじめに」)とする。

しかし、初期被曝のデータは極めて少ない。2011年3月20日以降、国は甲状腺の被曝量の計測を実施したが、1080人というわずかな人数を計測したものに過ぎなかった。しかも限定的な検査は意図的なものだった可能性が高い(榊原崇仁『福島が沈黙した日』集英社新書)。

また「健康被害が出ると考えられる量の放射線被曝はしていない」のか。甲状腺がんが多く見つかっているベラルーシ・ゴメリの事故後1年間の平均実効線量は3.65ミリシーベルトだった(UNSCEAR報告書2008年版)。これに対し、福島事故のデータをまとめた同20年報告書によると、福島市の平均実効線量は5.3ミリシーベルト。郡山市は5.0ミリシーベルトだった(白石草『週刊金曜日』2021年3月26日号)。このようにゴメリよりも福島市や郡山市の方が線量が高いのである。健康影響が出ないと断定することに大いに疑問がある。(つづく)

本稿は『季節』2022年秋号(2022年9月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全3回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

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日本もパレスチナ国家承認に反対 ガザ停戦阻む米欧大国と日本の「論理」(広岡裕児)/災害や感染症を利用し地方自治を破壊 地方自治法“戦前回帰”の大改悪(足立昌勝)『紙の爆弾』8・9月合併号の注目記事 

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは8・9月合併号(7月5日刊行)の注目記事2本の一部を紹介します。

◆日本もパレスチナ国家承認に反対 ガザ停戦阻む米欧大国と日本の「論理」
 取材・文◎広岡裕児(ジャーナリスト)

 
 

 アメリカ停戦提案の裏で進む虐殺

アメリカのバイデン大統領が5月31日、ガザ停戦提案をした。まず6週間戦闘休止してイスラエル軍はガザの人口密集地から撤退し、100人ほどのパレスチナ人囚人を解放、ハマスは女性や高齢者・負傷者などの人質を解放し、死亡した人質の遺体を引き渡す。この間に両陣営が交渉し、イスラエル軍はガザから撤退して、残りの人質は解放され、「恒久的な停戦」をする、というものだ。

6月10日には、国連の安全保障理事会でこの停戦案をイスラエルとハマスの双方に合意し実行するよう求める決議が採択された。

バイデン大統領は、この提案はイスラエル側から出されたと言う。だが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「戦争を終わらせるための条件は変わっていない。すなわち、ハマスの軍事機構と統治能力の破壊、人質の解放、そしてガザ地区がもはやイスラエルに脅威を与えないという保証である」と断言し恒久的停戦を拒否する。

エジプトでこの提案についての交渉が行なわれている間にも、イスラエルは、ガザの住民たちの逃げ場となっているラファへの攻撃を粛々と進めている。ナチス・ドイツのように強制による移送はせず、パレスチナ難民たちに指定した「安全な場所」への移動を勧告している。それを聞かない人が残って死んでも、それは自由意思によるものであるから、イスラエルの責任ではないということだ。

そうこうするうちにハマスから人質4人を解放したと大宣伝である。この作戦でパレスチナ人はその50倍の犠牲を出したが、イスラエルの現政権を批判すると反ユダヤ主義のレッテルを貼られてしまうフランスなどのメディアでは、パレスチナ人の犠牲についてはほとんど触れられていない。ネタニヤフ首相は免責特権がなくなると汚職裁判が待っているから、絶対に政権を手放すことはできない。

政権は、パレスチナ人がこの世に存在すること自体を否定する極右との連立で保たれている。だから、戦争を続けるしかない。極右が離反しても中道が連立にのってくるという説もあるが、与党のリクードも極右に傾斜していることを忘れている。

 国家承認と国連加盟
 
このバイデン提案の10日前、5月22日。スペイン・アイルランド・ノルウェーはパレスチナを国家として承認すると発表。「パレスチナが自決権、自治、領土保全、安全を含む主権国家のすべての権利を保持し、主張できるべきであるという我々の見解の表明である」とアイルランドのサイモン・ハリス首相は説明した。

アイルランドは、バイデン大統領の母方の祖先をはじめ、大量移民した人々が受けた貧困と差別、英国との厳しい独立戦争の過去を持つ。パレスチナ人の情況を肌で感じる立場だ。

スペインのペドロ・サンチェス首相は、「今こそ言葉から行動に移り、苦しんでいる何百万人もの無辜のパレスチナ人に、我々は彼らと共にあり希望があることを伝える時だ」と述べた。

ノルウェーは、EU(欧州連合)加盟はしていないが、シェンゲン協定(欧州諸国間での出入国審査の廃止協定)には加盟しており、EUとも緊密な関係を持っている。ヨーナス=ガール・ストーレ首相は、「パレスチナ国家は中東和平を達成するための前提条件だ」とした。

続いて6月4日、新たにEU加盟国のスロベニアがパレスチナ承認をした。「この承認が、イスラエルとパレスチナ双方の穏健派勢力を強化し、パレスチナ自治政府の改革を促すことで、中東和平交渉に新たな弾みをつけることを願っている」と、ロベルト・ゴロブ首相は述べる。国会では、党首がイスラエルのネタニヤフ首相と親しい保守系野党スロベニア民主党が反対、同党が投票をボイコットするなか、全議席数90中52票の賛成で採択された。

これで、パレスチナ国家を承認した国は国連加盟国146とバチカンの計147カ国となる。

このさらに1月ほど前の4月18日、国連安保理でパレスチナ国家の国連加盟が討議されたが、アメリカの拒否権行使で否決された。現在、安保理には非常任理事国として日本、韓国も入っているが、これには両国とも賛成していた。英国とスイスが棄権で、反対したのはアメリカだけだった。

フランスのレゼコー紙(2024年4月19日付)は「パレスチナ人の夢は中断した」と言う。イスラエルが嫌悪するこの提案を潰すことによってアメリカは「ガザでの戦争の真っ只中に、国連に正式加盟するという希望を断ち切った」のだ。

パレスチナ自治政府は直ちに、投票の結果は、アラブ地域を「奈落の底の瀬戸際」に追いやる「あからさまな侵略だ。この間にもパレスチナの無辜の人々は、イスラエルの行動の代償、正義、自由、平和の遅れの代償を、自分たちの命と子どもたちの命で払い続けることになることを忘れてはならない」と声明を発表した。

5月10日の国連総会では、全加盟国の4分の3にあたる143カ国がパレスチナの国連加盟を支持する決議に賛成した。だが、安保理の承認がなければまったく効力はない。

なぜ今パレスチナ国家承認なのか? 歴史を振り返ってみたい。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ne5195e4a6348

◆災害や感染症を利用し地方自治を破壊 地方自治法“戦前回帰”の大改悪 
 取材・文◎足立昌勝(救援連絡センター代表/関東学院大学名誉教授)

 
 

「地方自治法改正法案」が、自民・公明・維新などの賛成多数で6月19日に成立した。

今改正の目玉である国の地方自治体への指示権を認めてしまうと、大日本帝国憲法における天皇主権の下で、すべての権限が天皇に属し、地方自治の観念すら存在しなかった時代へと逆行してしまう。

地方自治は、戦後改革の一環として1947年に制定された地方自治法で、国の指示に服しない権限が、地方に認められたことに由来する。

特に、2000年の地方分権改革で、国と地方との関係は“対等”と位置づけられた。そのうえで地方自治法は、地方が担う「自治事務」についての国の関与を「必要な最小限度」とし、「地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならない」と規定した。国民の生命や身体、財産の保護のため緊急の対応が必要な場合を除き、国は地方自治体に指示することはできない(245条の3第6項)。

結論的に言えば、今回の地方自治法改正による国の地方自治体への指示権の承認は、戦後改革で確立された地方自治制度を根本から揺り動かすものであり、国と地方の間に“主従関係”を認めていた戦前への回帰そのものだ。

 国の地方への指示を認める地方自治法改正

今回の改正は、現行の地方自治を否定し、国による地方自治体への関与を強めようとするものである。そのため、地方自治を認め、国と地方自治体との関係についての一般原則を定めた章とは別に、新たに章を起こし、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と普通地方公共団体との関係等の特例」を規定した。

この章は「特例」とあるように、従来の国と地方自治体との関係を超えた特別なものとして位置づけられている。

この特例で規定された具体的な内容は、次のとおりである。

想定されている事態は、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」である。具体的には大規模な災害、感染症のまん延その他、その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態だという。

そのような「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」が発生し、または発生するおそれがある場合には、国は、以下のような四類型の措置をとることができるとされた。

① 国による地方公共団体への資料又は意見の提出の求め
② 事務処理の調整の指示
③ 生命等の保護の措置に関する指示
④ 地方自治体相互間の応援又は職員派遣に係る国の役割

特に、重大な権限を行使することになる③生命等の保護の措置に関する指示については、特別な要件と手続きを定めている。

その要件として、まず「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」の規模および態様、その事態に係る地域の状況その他の当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に関する状況を勘案することが必要であるとした。

さらに、他の法律によって「生命等の措置に関する指示」ができる場合でないときに限るとされている。他の法律で具体的指示が定められているときは、それを行なわなければならない。

指示を行使するための手続きは、閣議決定で行なうという。

これらを簡略にまとめると、国民の安全に重大な影響があり、生命等の保護に特に必要で、個別法が想定しない事態であり、行使は必要最低限、ということになる。
ここで想定されている事態とは、具体的にはどのようなものだろうか。「大規模な災害、感染症のまん延」が例示されているが、それらは個別法ですでに対応されている。ならば、「その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」とは何なのか。

この規定の契機となったのは2020年2月、横浜港に寄港した大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号での新型コロナ集団感染だという。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n3595ff254e40

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年8・9月合併号

『紙の爆弾』2024年 8・9月合併号

科学者は誰も信じていない CO2温暖化説の嘘ともたらされる被害 広瀬隆
植草一秀解説 米国債を売れば50兆円利益と円安是正 米官業「日本政府支配」
災害や感染症を利用し地方自治を破壊 地方自治法“戦前回帰”の大改悪 足立昌勝
WHOの公衆衛生全体主義を許すな!「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会 高橋清隆
本当にワクチンを打つべきなのか? ウィルス「不存在」をめぐる科学的議論 神山徹
学歴詐称・事前運動疑惑、裏金自民援護 東京都知事選で露呈した小池都政の正体 横田一
フィリピン元大統領報道次官が訴える日比米安全保障の罠と日本との連帯 木村三浩
モディ政治の光と影 グローバル・サウスの盟主・インドの実相 浜田和幸
日本もパレスチナ国家承認を拒否 ガザ停戦を阻む米欧大国と日本の「論理」 広岡裕児
重信房子さんに聞く世界と日本の学生運動が証明するパレスチナ抵抗の正当性 浅野健一
政権交代に向け見極めるべきもの いま日本政治の転換を迫る負と正の力 小西隆裕
「岸田続投だけはありえない」「裏金国会」がもたらした自民党内の暗闘 山田厚俊
「社会貢献活動」法人設立の目的 ジュリー前社長が離さないジャニーズ最大利権
被害額は昨年から倍増 オンライン詐欺の実態と“野放し”の理由 片岡亮
世界史の終わりとハードボールド・ワンダラランド 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 特別編 西成女医変死事件 尾﨑美代子

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
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本当にワクチンを打つべきなのか? ウィルス「不存在」をめぐる科学的議論(神山徹)/日本の冤罪《特別編》西成女医変死事件 大阪・釜ヶ崎に集う人々が真相を追う〝逆冤罪事件〞(尾﨑美代子)『紙の爆弾』8・9月合併号の注目記事

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは8・9月合併号(7月5日刊行)の注目記事2本の一部を紹介します。

◆本当にワクチンを打つべきなのか? ウィルス「不存在」をめぐる科学的議論
 取材・文◎神山 徹(医療ジャーナリスト)

 
 

接種開始から約3年で、過去の全てのワクチン(約45年間)の被害件数の1.5倍という空前の健康被害を生んだ新型コロナワクチン(mRNAワクチン)について、接種中止を求める声が、日増しに高まっている。

ただし、それ以外のワクチンについては、出生直後から何種類もの接種が、変わらず推奨され続けている。本稿ではそれらを含めたワクチン全体について、立ち止まって考えてみたい。

そもそも、ワクチン接種が推奨されるために、不可欠な要件が二つある。一つは、対象となる病原性ウィルスが存在すること。二つ目は、そのウィルスに対応する「獲得免疫」が存在することである。

当然のようでも、この二つが存在しなくては、病気の原因となるウィルスの感染を予防するためのワクチン接種を推奨することはできない。

まず、病原性ウィルスの存在を証明するためには、ウィルスを「分離」して、「同定」(一つの物質と決定すること)して、その病原体の感染性、病原性を証明しなくてはならない。

獲得免疫を証明するためには、病原体の抗原(免疫応答を引き起こす物質)に特異的に抗体(抗原を体外へ排出するタンパク質)が結合して、その後の感染を予防することを証明しなくてはならない。

しかし、本当にこれら不可欠な事柄が証明されているのかを見た時、実は大きな〝壁〞が存在しているのだ。

「コッホの四原則」を満たすウィルスは証明されていない

ある病原体が特定の病気の原因である、すなわち病原性を持つ病原体であることを証明する〝黄金律〝と認識されているのが「コッホの四原則」である。その四原則を次に示す。

① 最初に、特定の症状を呈した人から常に検出されること(検出)

たとえば天然痘であれば、他の水疱と明確に区別できる水疱から天然痘ウィルスが必ず検出できること。

② 次に、その特定の患者からはほぼ純粋な状態で分離できること(分離同定)

天然痘の水疱から、ほぼウィルスだけの純粋な状態で分離できること。

③ その病原体の純粋な培養を、感受性のある動物・人に接種すると、同じ特定の症状を示す疾患が現れること(感染実験)

純粋な天然痘ウィルスだけを接種した人に、再び天然痘に特徴のある水疱が現れること。

④ ③により同じ特定の症状を表した動物・人から再び純粋培養の形でその菌・ウィルスが検出できること(検出)

接種して発症した人の天然痘に特徴のある水疱から、天然痘ウィルスが検出できること。

理にかなった、誰しもが納得する原則ではないだろうか。ドイツの医師ロベルト・コッホは1876年、この原則を用いて炭疽菌による病気が感染症であると証明したと報告されている。

しかし、他の多くの疾患、特にウィルスが原因と教えられる感染症が、この原則に正確に従って証明されたことは、実は、ほぼない。コッホ自身が行なった、この四原則に従って炭疽菌が病原体であることを証明したという実験についても、詳細が検証できないためいくつかの疑問が残るのだが、この四原則は現在も論理的であり、科学的であると認められている。

病原体が外から体内に侵入し、増殖することが病気の原因であるとする病原体病因説の父と評されるのが、同じくドイツのルドルフ・ルートヴィヒ・カール・ウィルヒョー博士である。だが、彼は晩年(1902年)、「私がもし人生をやり直すことができるなら、細菌が病気の原因ではなく、病気の組織という本来の生息する場所を求めてそこにやってきていることを証明するために一生を捧げる」と言ったと伝えられている。細菌やウィルスが病気の原因ではないことに気付いたウィルヒョー博士の後悔の発言だ。

彼の言葉は別の言い方をすれば、「ゴミに集まるハエはゴミの原因ではない」ということである。すなわち、病気の組織に増えてくる細菌やウィルスは病気の原因ではなく、結果であるという意味だ。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n430218a6f1d4

◆日本の冤罪《特別編》西成女医変死事件 大阪・釜ヶ崎に集う人々が真相を追う〝逆冤罪事件〞
 取材・文◎尾﨑美代子(大阪西成「集い処はな」店主)

 
 

2009年11月16日未明、大阪・木津川河口の千本松渡船場で釣りをしていた男性2人が、女性の遺体を引き上げた。女性は14日早朝、同区内の診療所から行方不明になっていた矢島祥子(さちこ)さん(当時34歳)で、釜ヶ崎の日雇労働者や生活保護者、野宿者らに「さっちゃん先生」と呼ばれ親しまれていた女医だった。

西成署は遺体発見からまもなく祥子さんの死を、過労を理由とする自死と断定していたが、遺族は遺体の状況などから殺害ではと疑った。しかし、その後も関係者の間では祥子さん自死説が強まっていく。

そんな時、釜ヶ崎に通い事件を知った桜井昌司さん(布川事件冤罪被害者・2023年逝去)は、これを「逆冤罪事件」と呼び始めた。

 あの日、矢島祥子さんに何があったのか?

行方不明になる前日の11月13日、祥子さんが最後の患者を診終えたのは19時45分頃のことだった。20時過ぎにB看護師が、22時頃にA所長と職員Cさんが診療所を退出。Cさんによれば、祥子さんは奥の部屋のパソコンで作業をしていたという。

その後、23時18分から37分の間に祥子さんが退出・入室していることが、彼女名義の警備会社のセキュリティカードの履歴から判明している。日をまたいだ14日の4時15分頃に電子カルテがバックアップされ、同16分に退出が記録されている。

最後にカードを使用した際、誤作動が生じてアラームが鳴り始め、警備会社が祥子さんに電話をかけていた。それまでも祥子さんは誤作動が生じると、自ら警備会社に連絡したり、警備会社からの電話に出ていた。しかし、その日、祥子さんが電話に出ることはなかった。そのため警備会社が緊急出動してアラームを止めたが、診療所には誰もおらず、すでに30分が経過していたため、問題なしと報告されている。

同じ頃、祥子さんの携帯電話から、翌日会う約束だった友人Xさんに予定をキャンセルするメールが送られていた。のちに、実際のメールの着信時刻と、Xさんが遺族と診療所へ報告した時刻が違っていたため、遺族が正確な時刻を確認したいとXさんに申し出た。しかし、携帯が壊れたとの理由で確認は出来なかった。

14日の朝10時過ぎ、出勤しない祥子さんを心配して、看護師Dさんが徒歩10分ほどの祥子さんの自宅を訪ねた。祥子さんは不在で、施錠されていなかったため中を覗くと、室内は整然としていたという。

その後も職員らが何度か祥子さんの携帯に連絡をいれたものの繋がらず、13時10分過ぎに、A所長とD看護師が再び祥子さんの部屋を訪ねたが変わりはなかった。

翌15日になっても祥子さんが出勤しなかったため、彼女の身に何かあったのではと危惧し、A所長らが西成署に相談する。その際、捜索願は親族から提出する必要があるといわれたのを受けて、A所長は初めて群馬の実家に電話をかけた。

両親は地元の警察署に捜索願を出し、次男の洋さんを大阪へ向かわせた。洋さんは西成に到着後、診療所でA所長と面談し、その後ホテルで警察の連絡を待ちながら、16日の深夜には長男の敏さんに電話で報告を行なった。

敏さんの携帯に再び洋さんからの連絡が入ったのは、それから一時間ほどだった。その時の心境を敏さんはこう振り返る。

「洋との電話を切り、少し横になっていたら電話が鳴った。いつでもとれるように着信音を最大にしていたんです。もう嫌な予感しかありませんでした」

電話は祥子さんらしき遺体が見つかったことを知らせるものだった。

事態を伝えた洋さんは、西成署に向かい霊安室で遺体と対面した。昼前には両親と敏さんも西成署に到着。その際、祥子さんの首に赤黒い傷(圧迫痕)があるのを敏さんが見つけ、医師である母・晶子さんに告げた。

一方、祥子さんの遺体を司法解剖した大阪市立大学(当時)の結果報告を受けた西成署は、死因を「溺死」とし、「自殺の可能性が高い」と遺族に説明した。

16日夜、釜ヶ崎の「社会福祉法人聖フランシスコ会ふるさとの家」で「お別れの会」が催された。敬虔なクリスチャンだった祥子さんがミサに通っていた場所で、彼女を知る多くの人が集まった。その場にいた多くが祥子さんの死を自死と認識し、それを遺族に告げる人までいた。

西成署が「自死の可能性が高い」と判断した背景には、のちに祥子さんの交際相手と名乗り出た元患者の男性Yさん(当時62歳)のもとに、祥子さんから届いた絵葉書の存在がある。消印は祥子さんが失踪した14日。そこには「出会えたことを心から感謝します。釜のおじさんたちのために元気で長生きしてください」と書かれていた。晶子さんによれば、祥子さんは友人や患者さんに、よくそのような絵葉書を書いて渡していたという。

しかし遺族は、祥子さんの自死説に到底納得いかなかった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ncb596cd6fef7

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年8・9月合併号

『紙の爆弾』2024年 8・9月合併号

科学者は誰も信じていない CO2温暖化説の嘘ともたらされる被害 広瀬隆
植草一秀解説 米国債を売れば50兆円利益と円安是正 米官業「日本政府支配」
災害や感染症を利用し地方自治を破壊 地方自治法“戦前回帰”の大改悪 足立昌勝
WHOの公衆衛生全体主義を許すな!「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会 高橋清隆
本当にワクチンを打つべきなのか? ウィルス「不存在」をめぐる科学的議論 神山徹
学歴詐称・事前運動疑惑、裏金自民援護 東京都知事選で露呈した小池都政の正体 横田一
フィリピン元大統領報道次官が訴える日比米安全保障の罠と日本との連帯 木村三浩
モディ政治の光と影 グローバル・サウスの盟主・インドの実相 浜田和幸
日本もパレスチナ国家承認を拒否 ガザ停戦を阻む米欧大国と日本の「論理」 広岡裕児
重信房子さんに聞く世界と日本の学生運動が証明するパレスチナ抵抗の正当性 浅野健一
政権交代に向け見極めるべきもの いま日本政治の転換を迫る負と正の力 小西隆裕
「岸田続投だけはありえない」「裏金国会」がもたらした自民党内の暗闘 山田厚俊
「社会貢献活動」法人設立の目的 ジュリー前社長が離さないジャニーズ最大利権
被害額は昨年から倍増 オンライン詐欺の実態と“野放し”の理由 片岡亮
世界史の終わりとハードボールド・ワンダラランド 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 特別編 西成女医変死事件 尾﨑美代子

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
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米国債を売れば50兆円利益と円安是正 「米官業日本政府支配」(植草一秀)/まともな科学者は誰も信じていない CO2温暖化説の嘘ともたらされる被害(広瀬隆)『紙の爆弾』8・9月合併号の注目記事

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは8・9月合併号(7月5日刊行)の注目記事2本の一部を紹介します。

◆米国債を売れば50兆円利益と円安是正 植草一秀解説「米官業日本政府支配」
 構成・文責◎編集部

 
 

 つくられた中国漁船衝突事件

最初に振り返るのは、2010年9月7日に尖閣諸島近海で起きた中国漁船衝突事件です。海上保安庁が中国漁船の船長らを違法操業として取り締まり逮捕。これをきっかけに日本で中国脅威論が一気に高まっていきます。

この事件はなぜ起きたのか? 日本と中国の間にはもともと「棚上げ合意」がありました。たとえば、読売新聞1979年5月31日付の社説には、「尖閣諸島の領有権問題は1972年の国交正常化の時も、昨年夏の日中平和友好条約の調印の際にも問題になったが、いわゆる『触れないでおこう』方式で処理されてきた。つまり、日中双方とも領土主権を主張し、現実に論争が存在することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つことで日中政府間の了解がついた。(中略)約束した以上は、これを遵守するのが筋道である」とあります。

これに基づいて日中漁業協定(2000年6月1日発効)が結ばれ、尖閣諸島がある北緯27度以南の水域には新たな規制措置を導入しないことになりました。現実的には、両国は自国漁船のみを取り締まり、相手国漁船の問題は外交ルートで注意喚起を行なうとしていました。

ところが2010年6月8日、菅直人内閣が発足初日に「尖閣諸島に関する我が国の立場は、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないというものである」と閣議決定して、「棚上げ合意」を一方的に破棄したのです。

これに基づき、国土交通省は尖閣海域の漁船取り締まり基準を、日中漁業協定から国内法に転換。そして、冒頭の事件が起きます。すなわち、従来であれば漁船を追い払うだけだったのが、この日の海上保安庁巡視船は一隻の中国漁船を接触するほど追い上げ、あげく漁船と他の巡視船がぶつかり、さらに3時間も追い回した末に漁船と乗組員を確保し船長を逮捕した。要するに日本が作り出した事件だったのです。

では、この事件の主演・企画者は誰か? それを示す事実経過がウィキリークスで暴露されており、当時の国交大臣・前原誠司氏だったことが明らかになりました。鳩山由紀夫内閣の2010年2月2日、カート・キャンベル国務次官補(当時)が来日しました。彼は小沢一郎氏と面会し、ソウルを訪問した後、米国政府に「日本での重視を、鳩山・小沢ラインではなく菅・岡田ラインに変える」旨を報告しました。

この報告をする前に、キャンベル氏は前原氏と面会していました。前原氏は「小沢さんは相手によって話の内容を変えるから注意した方がいい」とキャンベル氏に進言。さらに彼は、「このまま行くと沖縄県知事選で伊波洋一候補が勝ってしまうかもしれない」とも米国側に警告しています。

その後、キャンベル氏の報告通りに、鳩山氏と小沢氏は政権の中枢から外されて、菅直人氏と岡田克也氏を中心とする菅内閣が同年6月に組閣されました。また11月の沖縄知事選では伊波氏ではなく現職の仲井眞弘多氏が再選されています。

 ウクライナ戦争と台湾有事

この中国漁船衝突事件の経緯は、実はウクライナとロシアが戦争に至る経緯と、非常によく似ています。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nfc528fb7024e

◆まともな科学者は誰も信じていない CO2温暖化説の嘘ともたらされる被害
 語り◎広瀬 隆(作家)

 
 

「脱炭素」を掲げながら原発を推進する自公政権は明らかな「悪」だ。しかし、原発廃絶を訴えながら、二酸化炭素(CO2)の削減も強調する環境活動家らの主張にも、心から納得できない読者は少なくないのではないか。現に、メガソーラーや風力発電施設がもたらす環境破壊が大きな問題となっている。

7月号で、リニア新幹線の目的が原発復活であることを明快に暴いた作家・広瀬隆氏が「CO2地球温暖化説」の嘘を解説する。広瀬氏のユーチューブ動画「気候変動の宇宙物理学」シリーズ(https://youtu.be/JSD2PyaOEmw)には、本稿で掲載しきれなかった多くの「証拠」図版が掲載されている。あわせてご覧いただきたい。(構成・文責/編集部)

 「CO2地球温暖化説」はこうして始まった

私は早稲田大学で学んだ後、企業で半導体材料などの研究開発に従事しました。日本で高度経済成長が始まった1970年代は、公害の時代でもあり、水俣病、イタイイタイ病などに加え薬害問題が発生しました。そこで私は退職し、公害問題と医学に取り組む道を選びました。特に力を入れたのが放射線被曝の危険性です。

原子力を止めるために重要なのは、被曝の危険性を知るとともに、原子力を廃絶後、どんな方法で電力供給を行なうか、つまりエネルギー問題です。

私はそこで、2つのテーマに突き当たりました。ひとつは地震と原発の危険な関係で、私は地質学者の生越忠(おごせすなお)先生に師事して本格的に地震学を学びました。

もうひとつが気候変動問題でした。原発に反対する人の中にも「CO2気候変動論」を真に受けている人が大勢いたからです。重要なエネルギー問題に通じるので、社会に正しく伝えなければいけません。30年以上の研究の過程で、『二酸化炭素温暖化説の崩壊』(集英社新書)『地球温暖化説はSF小説だった』(八月書館)などを出版しましたが、今回、ここでも話を始めます。

まず、皆さんにお尋ねします。地球の気温を変動させている要因とは何でしょうか? 人間が排出する二酸化炭素(CO2)だと多くの人が信じているようですが、本当でしょうか? 実は、自然界の変化が地球誕生以来の気温変化を支配してきたのであり、CO2とは無関係だと考える科学者の方が、圧倒的に多数派なのです。

私たち人類は太古の昔から、気候を司るのは太陽と月だと考え、それらの動きを観察しながら暦を作ってきました。自然界への敬意をもとに、様々な自然現象や天変地異が起きても、それは太陽が支配する出来事だと考えて、生きてきたわけです。
ところが今から100年ほど前、スウェーデンのアレニウスという物理学者が、そうではなく、大気中の温室効果(グリーンハウス・エフェクト)ガスが地球の気温を上昇させる。つまり、CO2によって気温が上昇するという「仮説」を報告しました。

これにより大混乱が始まりました。1988年、国連に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が設立され、その「仮説」をあたかも真実であるかのように大々的に宣伝し始めたからです。結果として現在、人々の多くが、主に工業界が排出するCO2によって気温上昇が起きているという「仮説」を妄信しています。

この「温室効果」とは何か。地球には毎日、太陽光と紫外線が降り注ぎます。それを地球が反射して赤外線が放たれます。この赤外線で熱が宇宙に放出されるメカニズムがあります。ところが、上空のCO2やメタン(CH4)などの温室効果ガスが放出を遮って、熱を大気中に閉じ込めてしまい、地球全体がビニールハウスのように温まってしまうというのが、アレニウスの言い分です。

こうして温室効果ガスが気温を支配するとの説は、本当なのでしょうか?

それを考えるにあたり、まず私たちは、CO2と気温が本当に関係しているのかを確認しなければいけません。

 地球の気温の変化を追ってみる

では本論に入ります。もしCO2が気温上昇を推進するならば、それが自然界から出ようと、工場や自動車から排出されようと、大気中のCO2の変動と気温の変動が、あらゆる期間において一致していなければいけません。これが科学的な出発点です。

ところが、結論をいえば、長期的にも中期的にも短期的にも、CO2と気温の変化は一致していません。

まず長期的とは、6億年~1億年前。古生代~中生代を指します。古生代は地球上に原始的な魚類や昆虫が出現した時期です。次の中生代は恐竜が全盛したジュラ紀の時代です。

アメリカの科学雑誌『ジャーナルサイエンス』に掲載された「ジオカーブ3」というグラフをもとに作ったのが下の[図1]です。気温の線とCO2濃度の線に、どういう関係があるでしょうか。CO2が増えたら気温が上がっていますか? 上がっていません。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n907ca9003b68

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「格差」を読む:中川淳一郎
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学歴詐称・事前運動疑惑・裏金自民援護 東京都知事選で露呈した小池都政の正体(横田一)/WHOの公衆衛生全体主義を許すな!「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会(高橋清隆)『紙の爆弾』8・9月合併号の注目記事

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは8・9月合併号(7月5日刊行)の注目記事2本の一部を紹介します。

◆学歴詐称・事前運動疑惑・裏金自民援護 東京都知事選で露呈した小池都政の正体
 取材・文◎横田一(ゲリラジャーナリスト)

 
 

東京都知事選(7月7日投開票)が6月20日に告示され、三選を目指す小池百合子知事と蓮舫前参院議員の実質的な一騎打ちとなったが、戦う姿勢は対照的。「反自民党・非小池都政」を掲げて神宮外苑再開発を争点とする“攻め”の蓮舫氏に対して、小池氏は出馬会見も開かずに第一声の街頭演説さえ行なわない“逃げ”に徹した。

19日、翌日(告示日)の小池氏の予定が明らかになると、報道関係者に驚きが広がった。10時半に新宿区の選挙事務所で出発式をするだけで、街頭演説はなし。「現職知事として公務に取り組みながらの活動になります」とも強調していた。現職の第一声を有権者が聞くことができないという前代未聞のスタートとなったのだ。

一方、挑戦者の蓮舫氏は11時過ぎから中野駅前で第一声。応援弁士には立憲民主党の枝野幸男前代表、辻元清美代表代行、長妻昭政調会長がそろい踏みする通常のスタイルで臨んだ。初日から有力2候補の違いが際立った。

小池氏の出馬表明も前代未聞だった。蓮舫氏の電撃的出馬表明(5月27日)で後れを取った小池氏が6月12日、都議会本会議で三選出馬表明をした後、囲み取材に応じたが、学歴詐称関連質問がテレビ朝日の島田直樹記者に遮られて質疑応答が打ち切られるという異例の事態となった。

誰もが蓮舫氏と同様、「小池氏も出馬会見を開いて質疑応答をするに違いない」と思っていたのに、代表質問だけの短時間の囲み取材で終わらせてしまったのだ。

歴史に残る珍問答が行なわれたのは12日14時半すぎ。本会議終了後に都議会各派への挨拶を終えた小池知事が本庁舎との連絡通路に現れると、囲み取材に入る前に小池氏は立ち並ぶテレビカメラを指差して「いまリアル(生中継)でやっているのはどこ?」と聞いてカメラ目線をまず確認。

続いて幹事社(代表質問役)の島田記者が政策発表の時期などについて連続質問した後、フリーの佐藤章氏が「昨日、お世話になられた朝堂院大覚(ちょうどういんだいかく)さんが……」と学歴詐称問題について質問し始めたとたん、再び島田記者が「すいません、代表(質問)で。知事、まずお願いします」と割り込んで佐藤氏の質問権を奪取。そして「いつも勝負服のカラーで緑色の服を着られるが、本日はそういった服を着られていませんが、何か服に対する思いは?」と聞いたのだ。

すると、小池知事は笑顔を浮かべながら「今は公務をしっかりしておりますので、それはそれでメリハリをつけた対応をしていきたいと思っています」と答えて突然、囲み取材を打ち切り、立ち去り始めたのである。すぐに記者団から抗議の声が上がる中、追いかけながら私は「カイロ大卒と書くのか。自民党の支援を受けるのか。確認団体(方式での支援)、萩生田(光一都連会長)さんと相談したのですか」などと声を張り上げたが、小池氏は一瞬視線を向けただけで、無言のまま立ち去った。

この後、現場では質問を遮った島田記者に抗議が殺到。「口裏を合わせて代表(質問をする記者)だけ質問させようとしていたのではないか」「もう一回、囲み取材をやり直して下さい。テレ朝で質問を独占したのだから」などと問い質し、再度の囲み取材開催を迫った。これに対して島田記者は「私ももっと質問できるものだと思っていた。幹事社と相談する」と回答。

そこで「今すぐ知事と交渉して、ここに連れて来てください。滅茶苦茶な会見をした責任をとってください」と囲み取材の再設定を要望したが、実現することはなかった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nc52321500d83

◆WHOの公衆衛生全体主義を許すな!「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会
 取材・文◎高橋清隆(反ジャーナリスト)

 
 

世界保健機関(WHO)総会で「パンデミック条約」と国際保健規則(IHR)改定案の採決を目前に控えた5月31日、両案などに反対する「WHOから命をまもる国民運動大決起集会」が東京の日比谷公園で開かれ、2万人が気勢を上げた。野外音楽堂では近代史研究家の林千勝氏ら8人が基調講演した後、池田利恵日野市議の音頭で出陣。「WHOの公衆衛生全体主義を許すな」などとシュプレヒコールを上げながら、銀座までデモ行進した。

しかし、IHR改定案は詐欺的手法で採択され、パンデミック条約は交渉期限が延長された。これが目指すのは〝世界統一政府〞である。覚醒した国民がどれだけ増えるかが問われている。

 林・柳澤両氏ら識者が不服従を誓う

集会の主催は「WHOから命をまもる国民運動」と「一般社団法人ワールドカウンシルフォーヘルスジャパン」(WCHJ)。デモ行進の起点は厚生労働省前、終点近くにはレプリコンワクチン(mRNAワクチン)の製造元となるMeiji Seikaファルマがある。

はじめに「WHOから命をまもる国民運動」共同代表でもある林氏が開会宣言。「われわれは全体主義を排除する。自由と勇気を胸に、世界の人々と手をつなぎ、日本を取り戻す。5月31日を新たな日本の独立記念日としようではありませんか」と呼び掛けた。
 
WCHJ代表で医師の柳澤厚生氏は、「WHOが何をしたかといえば、日本政府を操ってワクチンを打ち、多くの被害者を作ってきた。皆がだまされた。国の言うことに間違いはないと思った」と指摘。新型コロナワクチンの副反応による死亡者が、従来のインフルエンザワクチン死亡者の100倍以上であることを挙げ、「今、僕はこのワクチンを医者として打つことはできない」と訴えた。

「国民運動」共同代表でノンフィクション作家の河添恵子氏は開口一番、「政府、WHO、厚労省全て悪魔だと考えてください」と問い掛けた。「私たちは不服従を貫きます」と宣言すると、大きな拍手を浴びた。「今、生きるか死ぬかの闘い。ユースレスイーター(無駄飯食い)はワクチンで死んでもらうというのが、彼らの考え。その手足となっているのが日本政府。絶対許してはなりません」と続けた。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nbfb6eaa264cd

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『紙の爆弾』2024年8・9月合併号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

今月号で特集した「二酸化炭素温暖化犯人説の嘘」。これ自体は、ほとんどの科学者が「嘘」だと認識しており、関連書籍もすでに多数出ています。なかでも広瀬隆氏の本誌解説は、裏付けとなる歴史的・科学的証拠とともに、私たちが考えるうえで必要な要素を、短い紙幅でまとめたものですが、最も重要なポイントのひとつが、「それでもなぜ、多くの人がいまだ嘘を信じているのか」です。

その点において本誌記事で注目すべきは、広瀬氏の解説が、環境破壊や公害を止めるための訴えだということです。さらに、この嘘は、日本を支えてきた中小企業の優秀な労働者を追い詰めていることも指摘しています。

※本誌記事でも一部を引用した広瀬氏の講演資料パンフレット(オールカラー・六四頁)が「地球温暖化は嘘」が一部500円(送料無料)で入手可能です。郵便振替で口座名「広瀬隆文庫」口座番号00160-8-588281。注文部数と住所、氏名等を明記。

グレタさんの活躍で、「脱炭素」において、岸田首相やグローバル企業と“リベラル”で、言っていることが同じになりました。それはリベラルの勝利なのか。ここにもSDGsの罠があります。

また、こちらも今月号で特集したインドでは、生体認証・国民監視IDシステム「アドハー」は、日本のNECの技術を基盤にしているそうで、各国の注目と称賛を集めています。そのわりに日本のマイナンバーはあの体たらくなのは、あえてのことかと疑問視しています。記事では浜田和幸氏が、インドの内情とともに、BRICSの現状、報じられない世界勢力図についても解説しています。

前号の《後編》として、政治経済学者の植草一秀氏が、自民党・民主党に限らず、日本のほとんどの歴代政権が米国の支配をあえて受け入れてきた歴史を明らかにしました。それは戦争だけでなく、消費税増税・法人税減税にもはっきりとつながっています。今の日本を考えるうえで、大前提となる情報です。

前出・広瀬氏も「第一歩を間違えれば、その後は全てが誤り」と述べています。まさに「必読」です。なお、「日本のウクライナ化」ということは、各所で言及されていますが、これは日本が「巻き込まれる」のではなく、「自ら突っ込んで行っている」ということを、認識する必要があります。すでに10年以上前から、その動きが始まっていることも、植草氏は指摘しています。

MV「コロンブス」の炎上騒動。文化的な生活を営む類人猿の家にズカズカと乗り込み、満足すると崩壊したバベルの塔(「猿の惑星」の自由の女神像)に“気づかず”去っていく、というのが大まかな流れで、歌詞とあわせて意図した表現だったのだろうし、言いたいことはわからなくもありません。

それより気になるのは、本人たちがほとんど説明もせず映像を取り下げたこと。表現を読みとってもらえない絶望よりも、炎上は織り込み済みで、「やっぱり何も見ていないじゃないか」という嘲笑のように、私には見えます。もっとも、そこにはバックのコカ・コーラ社の存在もあると思われ、炎上させた側も含めて、一連の経緯に今の時代の軽薄さを感じます。

今月号では、いわゆるポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)を利用したコンサルティング・ビジネスについても解説。あわせてお読みください。

ほか、「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会レポートとパンデ条約の現況、ウィルスの「存在」と「不存在」を問う科学界の議論、パレスチナ国家承認をめぐる各国の立場と、日本でも勃興しつつある反戦学生運動、さらに小池百合子・東京都知事の分析は、都知事選を終えても記憶すべき保存版です。

全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いいたします。

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フィリピン元大統領報道次官が訴える日比米安全保障の罠と日本との連帯 木村三浩
モディ政治の光と影 グローバル・サウスの盟主・インドの実相 浜田和幸
日本もパレスチナ国家承認を拒否 ガザ停戦を阻む米欧大国と日本の「論理」 広岡裕児
重信房子さんに聞く世界と日本の学生運動が証明するパレスチナ抵抗の正当性 浅野健一
政権交代に向け見極めるべきもの いま日本政治の転換を迫る負と正の力 小西隆裕
「岸田続投だけはありえない」「裏金国会」がもたらした自民党内の暗闘 山田厚俊
「社会貢献活動」法人設立の目的 ジュリー前社長が離さないジャニーズ最大利権
被害額は昨年から倍増 オンライン詐欺の実態と“野放し”の理由 片岡亮
世界史の終わりとハードボールド・ワンダラランド 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 特別編 西成女医変死事件 尾﨑美代子

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
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本格化する国家総動員体制 進む民間施設の日米軍事拠点化(浅野健一)/日本の冤罪〈51〉大川原化工機事件 経済安保法成立とともに起きた公安警察の暴走(山村勇気)『紙の爆弾』7月号の注目記事

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは7月号の注目記事2本の一部を紹介します。

◆本格化する国家総動員体制 進む民間施設の日米軍事拠点化 
 取材・文◎浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

 
 

安倍晋三元首相より危険な対米隷従の軍国主義者・岸田文雄首相は今年4月1日の関係閣僚会議で、有事の際の自衛隊や海上保安庁による使用に備えて整備する「特定利用空港・港湾」に、北海道や沖縄など7道県の計16カ所を選び、今年度に整備を始めると決めた。国民保護や戦闘機の離着陸訓練の拠点とするため滑走路延長や港の岸壁整備を促進する。初年度は予算計370億円を充てる。

国家安全保障戦略など軍事三文書(2022年12月16日閣議決定)に記した「公共インフラ整備・機能強化」に基づくもので、文書には「有事の際の展開などを目的とした円滑な利用・配備」という記述がある。整備費は2023年度から5年間で総額約43兆円を投じる軍事費とは別枠で、24年度以降、国交省予算に計上する。

政府は「自衛隊・海上保安庁とインフラ管理者は、国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合又は航空機や艦船の安全を確保する上で緊急性が高い場合(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態を除く)であって、当該施設を利用する合理的な必要があると認められるときには、民生利用に配慮しつつ、緊密に連携しながら、自衛隊・海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める」と説明している。

しかし実態は、対中侵略戦争と第二次朝鮮戦争を企む米国の「拡大抑止」戦略に沿って、自衛隊などが有事に使用することを前提に国が改修や整備をする「国家総動員体制」作りの一環だ。指定されたのは那覇空港・宮崎空港・長崎空港・福江空港(五島つばき空港)・北九州空港の5空港と、石垣港・博多港・高知港・須崎港・宿毛(すくも)湾港・高松港・室蘭港・釧路港・留萌(るもい)港・苫小牧港・石狩湾新港の11の港。

南西諸島防衛を想定して九州・沖縄が半数近い7カ所に上った。自衛隊部隊が多数配置されている北海道では5港が選ばれた。これまで目立った軍事要塞化がなかった四国でも4港が指定され、物資補給に活用される見通しだ。

林芳正官房長官は4月1日の記者会見で、「抑止力や対処力を高め、日本への攻撃の可能性を低下させ、国民の安全につながる」と述べた。

 県民に知らされなかった高松港の軍事利用指定

私は香川県高松市生まれで、高校を卒業するまで暮らした。高松港は1988年に瀬戸大橋が完成するまで宇高連絡船が就航していた四国の海の玄関口で、本州や離島との海上交通の要衝として経済・物流の中心を担ってきた。

なぜ高松港が軍事拠点に選ばれたのか不思議だった。5月14・15日、高松で県の担当部局・県議・市民団体を取材した。

香川県民が高松港の軍事拠点指定の動きを知ったのは昨年11月だった。四国新聞(岸田派・三代目世襲の平井卓也衆院議員一族が所有)が同20日、県管理の高松港が「特定重要拠点空港・港湾」(昨年12月18日の関係閣僚会議で「特定利用空港・港湾」と言い換え)の候補地になっていると報道した。

国土交通省出身の池田豊人香川県知事は県民や県議会の意見も聞かず、11月20日の定例記者会見で「制度の内容を確認し、できる協力はしていきたい」と表明。池田知事はこの会見で、10月23日、内閣府・国交省・防衛省の担当者が香川県を訪問し、指定候補とするという説明があったと明らかにした。知事部局は国から打診があったことを4週間も隠していたのだ。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n6fd38a7e22b8

◆日本の冤罪〈51〉大川原化工機事件 経済安保法成立とともに起きた公安警察の暴走
 取材・文◎山村勇気(フリーライター)

 
 

「無罪」と「無実」は似て異なる

「逮捕したことは国賠法上、違法である」──。軍事転用が可能な機器を国に無許可で輸出したとして、警視庁公安部が2020年3月11日に大川原化工機(横浜市)の社長ら3人を逮捕した事件について、東京地裁は昨年12月27日、逮捕は違法だったとの判決を下した。

この裁判は、無実の罪を晴らすために大川原化工機が国と東京都を相手取って起こした国賠訴訟だ。起訴についても判決は「必要な捜査を尽くすことなく行われた」と指弾し、約1億6200万円の損害賠償の支払いを国と都に命じた。ところが、今年1月、国と都はこの判決を不服として控訴した。恥の上塗りというほかない。

「無罪」と「無実」は、似ているが異なるものだ。「無罪」とは、法的には罪に問えないということ。たとえ真犯人であっても、それを証明することができなければ「無罪」となる。一方、「無実」とは、そもそも犯人ではないということ。したがって必然的に罪には問えない。

事件の取材をしていると、ときどき無罪判決の裁判に出会う。そんなとき、現場の捜査員が「無罪だけど無実じゃないんだ」と言って悔しがる姿も目にしてきた。しかし「大川原化工機事件」は、無実の市民を捜査機関が意図的に犯罪者に仕立て上げた冤罪事件だった。

同社社長ら3人は、外為法違反の罪で逮捕・起訴されたが、実は、その後に刑事裁判は行なわれなかった。裁判が始まる前に検察が起訴を取り消したためだ。そもそも無実の人を起訴してしまったことに気づいたのだ(被疑者死亡などにより、やむを得ず公訴棄却になることはあるが、起訴の「取り消し」は極めて珍しい)。

しかし、取り消せば済む問題ではない。「ごめん」で許される話ではないのだが、警察も検察も起訴を取り消したことで謝罪すらしていない。

だからこそ大川原正明社長は「せめて謝ってほしい」との思いで、国と都を提訴し、国賠訴訟として裁判で争ってきた。そして今般、判決で捜査の違法性を認められたのだから、警察と検察は速やかに謝罪し、再発防止に努めるべきなのだ。

今回の国賠訴訟の判決をもう少し詳しく見てみると、特に警察について、必要な捜査を尽くさなかったのみならず、「偽計を用いた取り調べ」をし、「原告を欺罔(ぎもう)して供述調書に署名指印させた」(判決文)ことも認定している。

ここまでくると、もはや警察による犯罪行為である。そこで大川原化工機は、国賠訴訟とは別に、取り調べを担当した捜査員2人を警視庁捜査二課に虚偽有印公文書作成・同行使の罪で刑事告発もしている。

判決でここまで踏み込まれているのだから、国と都が控訴したことはどう考えても悪手である。今後、判決が確定するまで(高裁まで争うのか、最高裁まで争うのかわからないがいずれの場合も年単位で時間を費やす)、警視庁と東京地検を批判する報道は出続けるだろう。そのたびに警視庁と東京地検のレピュテーション(信用)は棄損され続ける。これまた恥の上塗りだ。真面目に働くほかの多くの捜査員にとって迷惑極まりない。

繰り返すが、警察と検察がとるべき最善の策は、今回の判決を真摯に受け止め謝罪し、再発防止策を打ち出すことだ。過ちを認めなければ真の再発防止策も打てないではないか。この期に及んでも警察と検察は、捜査に携わった者の名誉や立場を守ろうとしているとしか思えない。いかにして警視庁が冤罪事件を作り上げていったか、本稿でそれを振り返る。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nc6cff37b407f

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新型コロナ襲来以来苦闘する鹿砦社を今こそ、支援しよう! 尾﨑美代子

数年前、鹿砦社の松岡代表に勧められ、同社の『紙の爆弾』の「日本の冤罪」シリーズを始めるということで執筆させてもらうことになり、多くの冤罪事件を取材し、記事にまとめてきた。その18本の記事を、昨年11月一冊の本『日本の冤罪』にまとめて頂いた。本を読まれたいろんな方から手紙やメールなどを頂いていたが、先日鹿砦社に届いた読者カードを見せてもらい、ふと思った。私の書いた文章は誰かの心に響いているのだろうか……。

私自身にもたくさんの心響かせてもらった文章がある。小説、論文もあれば、Twitter(現在のⅩ)のわずか140字の文章もある。道に迷って前に進めずにいるとき、ふと取り出してそれを読み直す。そこから何か力をもらい前に進めるような気がしてくるのだ。同じように、私の書いた文章が誰かの心に響き、その人を前に動かせるようになったら、とても嬉しいと思っている。

そう願いながら、鹿砦社のタブーなき月刊誌『紙の爆弾』、書店販売雑誌としては国内唯一の反原発誌『季節』、「デジタル鹿砦社通信」などで原稿を書いている。私にはもっともっと書きたい題材がある。反原発問題では、声を大きく上げられない人たちの訴えを今後取り上げていきたいと考えている。

例えば、がん治療中のため本人への取材が困難だが、3・11後関東から大阪に移住し、現在、大阪市から住居の追い出し攻撃にあっている女性がいる。日々の生活が困難ななか、一度だけ知人の車に乗せてもらい、私の店にきてくれた。わずか数分だけだったが、彼女と話すことができた。その裁判も7月に結審を迎える。早急に記事をかき、多くの人に知ってもらいたい。

西成労働福祉センター周辺からの野宿者強制排除問題についてもぜひ、多くの方に知ってもらいたい。20数年前、この町に来た時にはバリバリ働いていた労働者の半分はもうなくなっただろう。

残っている人は高齢化し、町も変貌を遂げている。しかし、かつてと変わらないものがあるのではないか。それはガチの「釜ヶ崎人情」。装った釜ヶ崎らしさ、労働者の町らしさではなく、あるいはそれらしさから掠め取った上澄みではなく、ガチの「釜ヶ崎人情」、それを私は書き残していきたい。

そして取材して記事にしたい冤罪事件がまだ山ほどある。だから、ぜひ鹿砦社を存続させてほしい。どこにも誰にも忖度せずに 真実を追求できる表現の場はそうそうないのではないか? その証拠に鹿砦社は、関西で起きたM君リンチ事件に関して裁判の支援のみならず、関連本を6冊も出版してきた。

裁判には私も支援して関わってきたが、当初驚いたのは、関西で反差別、反権力を闘う人たちがほとんどいなかったことだ。考えたら当然かもしれない。M君にリンチを加えた人たち及び彼らを擁護してきた人たちは、それまでカウンターと称した反差別、反権力の闘いを果敢に闘ってきた人たちだからだ。そういう人たちは、反差別、反権力を訴え、闘う人たちが絶対に差別的なことをしないとでもいうのだろうか。皆さん、それほど立派な方々なのだろうか? 誰にでも間違いはある。問題はそれを自覚し、自らを糺していくことだ。

間違ったこと、非難されるべきことは、自身で自覚できることもあるが、他人から指摘され自覚できることもある。なぜ、それが叶わないのか?「忖度」という言葉しか思いつかない。確かにともに闘ってきた仲間を批判するのは、その後の関係性などを考えると面倒だ。できれば「スルー」したい。でも松岡さんが常々いうように、私も「私に悪いこと、間違ったことがあったら、ぜひ指摘してほしい」と思う。批判することイコール決別ではないのだ。私は、死ぬ間際まで「尾﨑さん、それ間違ってますよ」と指摘して頂きたい。

ここ数年、M君リンチ事件とその関連裁判が続くなか、常日頃、いろんな問題を討議しあう仲間とも、このリンチ事件はほとんど討議することはなかった。たまに話題になっても「ああ、なんか聞いたことあるわ。でももう済んだことでしょう」と言われたり「仲間うちのいざこざだろう」といわれたこともあった。

そんなこともあり、とにかく私もこの件で一回文章を書かなければと思っていた。それはリンチ関連本に掲載されている。読まれてない方もぜひ手に取って読んで頂きたい。様々な文章を書かせてもらったが、そのなかで、自分の好きな文章を選ぶとしたら、これは3本の指に入ります。

そんな記事が書けたのも、一切忖度なしの鹿砦社の表現の場があったからだ。

出版界はただでさえ構造不況業種だが、新型コロナ襲来以来、書店、取次会社(卸店)、そして多くの出版社が苦しんでいる。残念ながら鹿砦社もこれに巻き込まれ苦闘している。多くの方々が鹿砦社の支援に動いておられる。最寄りの書店で発売中の『紙の爆弾』を買い求め、その巻末に記載されている支援方法で、みなさんのできる範囲で支援いただきたい。この鹿砦社の存続のために、ぜひご協力をお願いしたい。

※               ※               ※

■『紙の爆弾』次号は、8月・9月合併号として7月6日発売となっております。ご購読お願いいたします。なお、8月発売号は諸事情でお休みさせていただくことになりました。

また、『季節』創刊10周年記念号(夏・秋合併号)は8月5日発売で、目下急ピッチで編集作業が進行中です。こちらもご予約お願いいたします。(松岡)

※               ※               ※

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

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尾﨑美代子著『日本の冤罪』

送電線と人脈でつながる「原発とリニア」リニア新幹線の目的は原発の復活だ!(広瀬 隆)/ウクライナとガザで実行中の「最新戦術」の正体 イスラエルAIは民間人をいかに殺すのか(青柳貞一郎)『紙の爆弾』7月号の注目記事

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは7月号の注目記事2本の一部を紹介します。

◆送電線と人脈でつながる「原発とリニア」 リニア新幹線の目的は原発の復活だ!
 ◎広瀬 隆(作家)

 
 

「リニア新幹線の超危険プロジェクト」と銘打った作家・広瀬隆氏の全6回のユーチューブ動画から、今月号では、リニアと原発の一体性を明かした「⑥電力消費激増と原発再稼働(最終回)」を編集し、紹介する。本誌6月号では⑤の電磁波問題を採り上げたが、そこでも広瀬氏が強調していたとおり、最も重要なことは、「リニアが開業延期されても、JR東海の失敗と断念を待っていてはいけない。今すぐ工事をやめさせ、自然破壊を止める」ということだ。動画にはより詳細なデータが満載なので、あわせてご覧いただきたい。(構成・文責/編集部)

 3・11直後の火事場泥棒

リニアをめぐる不条理に枚挙の暇はありません。まず、そもそも計画の進め方が不条理でした。リニア中央新幹線計画の公式の最終答申が出されたのは2011年4月21日です。この日の1カ月ほど前、3月11日に東日本大震災が起こり、東京電力福島第一原発の原子炉が次々と爆発しました。日本破局の大惨事の最中です。
 
そのどさくさに紛れて計画を審議する国土交通省交通政策審議会の中央新幹線小委員会(委員長=家田均東京大学教授)は最終答申案をまとめ、「南アルプスルート」「超電導リニア方式」でのリニア中央新幹線の建設を明記・公表したのです。

もちろん、リニアのプロジェクトは以前からあって、宮崎県では実験線を敷設しています。その際、JR東海は何と言ってこれを進めてきたか?「東海道新幹線の東京―大阪間の輸送能力が限界に近い。バイパス(迂回路)としてリニア中央新幹線を敷設する必要がある」と表明したのです。

自動車ならばバイパス道路は必要ですが、鉄道のバイパスなど、全世界でも例がありません。JR東海はそんな非常識なことを公言したのです。しかもJR東海は御用学者の東大教授たちを連れてきて答申案をまとめながら、国交省鉄道局によるパブリックコメント、いわゆる世論の意見公募を求めました。その結果が2011年5月12日に報告されたのですが、当時は東日本大震災から2カ月後で、「JR東海が言うように中央新幹線を早期に整備すべきだ」を支持した人はわずか106人。対して「リニアに反対、または計画を中止、または再検討とすべき」という人は648人と、パブコメの97%がリニア建設に反対しました。ところが5月26日には整備計画が決定され、営業および建設主体にJR東海が指名されました。

続いて6月7日にはJR東海が中間駅の候補地案を公表して、勝手に話を進めていきます。震災と原発事故の大惨事で日本中があたふたしているその間にJR東海はリニア建設を決定した。まさに火事場泥棒です。

JR東海と行政が住民に初めて説明会を開いたのは計画発表から2年が経った2013年5月。住民にとっては寝耳に水でした。
 
そもそも国交省が環境アセスメント(環境影響評価)なしに計画を決めること自体が、国の法律に違反しています。なぜこんな無理が通るかというと、JR東海が裏で地元の利権者を懐柔したからです。なにしろ巨大なトンネル工事ですから、事業者や建設業者は儲かります。

でも、本当に地元に多大な利益があるのか? 中間駅の建設費5900億円は地元負担が前提です。しかも、リニアの多くの乗客は東京と名古屋の大都市間を迅速に往復するのが多数派ですから、中間駅で降りる客などほとんどいない。つまり中間駅にはほとんど利益をもたらしません。

リニア新幹線は時速500キロという高速走行が売りです。だから、可能な限りまっすぐトンネルを掘るという工事です。しかし、これは自然界から見れば無謀です。しかも、路線の8割がトンネルで外の景色はほとんど見えない。誰がそんな不愉快な鉄道に乗りたいですか? 電磁波まで浴びせられる列車にまともな人は乗りません。

このままではまずいということで、リニア建設に反対する人たちは2016年5月に「ストップ・リニア!訴訟団」を結成しました。そして、「国交省の認可は行政庁の裁量権の範囲を超えている。住民無視の国法違反だ」として行政訴訟を起こしています。

ちなみに2010年12月、中国の新幹線走行実験では、日本の川崎重工業製の従来の新幹線車両をベースにした「和諧号」が、486キロという驚異的な時速を記録しました。リニアの最高時速は500キロの予定ですが、日本企業がつくった「和諧号」が時速486キロを出した時点で、高速鉄道がリニアでなければならない理由・動機はとうの昔に吹き飛びました。

 岐阜県では東濃ウラン鉱山の悪夢再び

岐阜県では、寝ていた子が叩き起こされるような事件が起こっています。

同県内の停車予定駅である中津川には東濃(とうのう)ウラン鉱山(閉山措置中)があります。2003年4月、この近くの可児市の東海環状自動車道トンネル掘削土の処分場から流れ出た酸性汚染水によって、木曽川水系の一級河川である久々利川の水系で、マスやアマゴといった魚が約1000匹も死ぬという事件が起こりました。

この一帯は瑞浪市と御嵩町と土岐市にまたがって東濃ウラン鉱床が分布しています。東濃のウランは岡山県の人形峠と並んで原子力産業にとって最も重要な鉱床です。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n71fc4fb5a95f

◆ウクライナとガザで実行中の「最新戦術」の正体 イスラエルAIは民間人をいかに殺すのか
 取材・文◎青柳貞一郎(医師・軍事ジャーナリスト)

 
 

 ウクライナ代理戦争の総力戦

軍事や戦術はリアリズムに基づいており、大手メディアが作り上げた物語(ナラティブ)に沿って、ウクライナ戦争やイスラエルのガザ侵攻を一方的な善悪の物語で論ずると、ロシアの優勢やイスラエルの失敗が「悪の勝利」でしか語られなくなってしまいます。

本来紛争には双方に言い分(正義)があり、武力を伴う戦争は外交の一手段にすぎません。客観的な事実の積み上げで双方が譲歩できる終結(off ramp strategy=出口戦略)を探ることが、国際政治の基本なのです。

これから論じる内容を理解するうえで、共有したい前提があります。それは約60年前のベトナム戦争が、米欧西側陣営と当時のソ連を中心とする社会主義陣営の代理戦争であったのと同様、今回のウクライナ戦争は同じ資本主義を標榜する米欧を中心とする「グローバリズム陣営」と、ロシア・中国・BRICS諸国など「グローバルサウス」と呼ばれる「多極主義陣営」の代理戦争であるという認識です。

両者の線引きは、ウクライナ戦争が開始された時にロシアに対する経済制裁に加わった国とそうでない国で分けられるとみて差し支えないでしょう。そして、戦争自体は西側諸国全体の経済と、ロシア及びロシアに協力する国々全体の経済をバックにした総力戦(対称戦争)となっています。

NATO(北大西洋条約機構)諸国は東西冷戦終了後、主な戦力を自分たちの兵力・経済力よりも弱い国や武装勢力(テロ組織)に向け(いわゆる「非対称戦」)、軍の態様もそれに適合するよう変化させてきました。ロシア軍も実はアフガン戦争、チェチェン紛争、シリア内戦への介入を経て大規模な総力戦から非対称戦に改めてきたといえます。

しかしウクライナでは、それとは勝手が異なる結果になりました。

 激変した戦術・用兵思想

2022年2月24日、ウクライナからの独立を主張するドネツク・ルガンスク両共和国の保全、ウクライナの非軍事化・非ナチ化を目標とした、ロシアが「特別軍事作戦(SMO)」と呼ぶ侵攻が開始されました。

しばらくの間は、ウクライナとロシア両軍の戦闘団単位の大きな戦闘が行なわれることはなく、戦術としてはロシアが大兵力を用い、ウクライナは小規模兵力単位でゲリラ戦的な戦いを挑む非対称戦であったといえます。

ロシアの犠牲が最も大きかった時期はこの緒戦であり、ウクライナに供与された西側諸国の精巧な武器でロシアの戦闘車両が次々と破壊されました。

双方の犠牲が多大になり、核を用いた大戦争への発展も危惧された開戦1カ月後の3月末、トルコやイスラエルの仲介で休戦合意がまとめられてロシア・ウクライナ双方が合意に達します。しかし、当時のウクライナ軍の善戦に加え、今後の経済制裁などの総合効果で「勝利」を期待した米欧諸国は、一度成立した和平合意を潰しました。

しかも、ロシアが首都キエフ近郊から撤退した後に発見された多数の市民の遺体を「ロシアによる虐殺」として「ロシア悪玉説」を叫び、徹底抗戦が主導されます。

ロシアは一度撤退した後、東部・南部戦線を構築しなおし、9月には予備役の部分動員をかけて兵力増強を図ります。この時期からロシアは戦時経済体制に移行し、非対称戦から総力戦として、経済も24時間体制で砲弾や軍備生産に切り替え、戦術も変更されていきます。

以下に、この2年間で変化・確認された戦術・用兵思想の例を挙げます。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n301e7bc5aa8d

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年7月号

『紙の爆弾』2024年 7月号

植草一秀が暴くニッポン戦争経済体制
大企業優遇と庶民搾取の先に待つもの
「食料・農業・農村基本法」改悪「食料自給率」を捨てた農水省の愚 高野孟
感染症対策を口実にした「新型インフル対策行動計画」という新たな言論統制 高橋清隆
ウクライナとガザで実行中の「最新戦術」の正体 イスラエルAIは民間人をいかに殺すのか 青柳貞一郎
国会答弁もアメリカ製AI利用に マイクロソフトに乗っ取られた日本政府のAI構想 浜田和幸
送電線と人脈でつながる「原発とリニア」 リニア新幹線の目的は原発の復活だ! 広瀬隆
静岡県知事選で「リニア問題」は本当に問われたのか 横田一
自衛隊指揮権を米軍に委譲 日米一体化きわまる中で“日本人”を問い直す 木村三浩
公職選挙法に浮上した「別の問題」“裏金沈没”自民党の悪あがき 山田厚俊
“憲法軽視”は政府与党だけではない 憲法違反の法律がつくられる理由 足立昌勝
本格化する国家総動員体制 進む民間施設の日米軍事拠点化 浅野健一
米国覇権の終わりに日米同盟を考える「いまトラ」と岸田自公政権の大罪 小西隆裕
山根明前会長が去っても変わらない日本ボクシング連盟で起きている新たな内紛 片岡亮
続・失言バカ政治家の傾向と対策 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪50 大川原化工機事件 山村勇気

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