「人為的CO2温暖化説」こそが「現代の阿片」── 《書評》斎藤幸平『人新世の「資本論」』批判〈後編〉「人為的CO2温暖化説」こそが経済成長を進める原動力ではないか 大今 歩

◆パリ協定は再エネ・原発推進が目的

パリ協定やIPCCの提言の最大の問題点は、科学的根拠に乏しい「人為的CO2温暖化説」(以下「CO2説」)に基いてCO2を排出しないクリーンエネルギーとして再エネ発電と共に原発を推奨していることである。パリ協定は2015年に原発大国であるフランスで開催されたCOP21で採択された。

 
斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社新書)

その閉幕にあわせてオランド仏大統領とオバマ米大統領が会談。オバマ氏は化石燃料に頼った経済発展を「汚れた段階」と指摘し、CO2を排出しない「クリーンエネルギー」として再エネや原子力の分野で各国の投資を求めた。(2015年2月1日付『京都新聞』夕刊)

(1)再エネ発電について

まず再エネ発電について斎藤は「グリーン・ニューディールのような政策による国土改造の大型投資は不可欠である。当然、太陽光発電や電気自動車にどんどん切り替えていく必要がある。」(P95)と述べる。このようにSDGsに群がる独占資本を批判しながらも斎藤は太陽光発電や電気自動車の必要性を強調する。

しかし太陽光発電の主力であるメガソーラーは広大な緑の大地を壊す。また家庭用の太陽光パネルはほとんど中国産で安い石炭火力発電の電力で製造されている。太陽光発電はCO2排出を中国などに付け回しているにすぎない。(近藤邦明・前掲)。

また斎藤は、原油のエネルギー収支比は1単位から十単位を得るのに、太陽光は1単位の投資で2.5単位~4.3単位ほどしか得られない。しかし生産力が低下する中で、「労働の中身を、充実した、魅力的なものに変えていくことが重要だというマルクスの主張が再評価されないといけない」と述べる(P305~306)。

しかし太陽光発電のエネルギー効率の低さは石油や石炭などエネルギーの浪費であり、資源枯渇を早めるという意味しかない。資源枯渇を防ぐためには太陽光発電を進めるのではなく、電力に依存する生活を見直し、天然ガス、石油、石炭などの使用を減らして経済成長をマイナスにするしかないのである。そのことは、今後人口減少が著しい日本では十分可能である。

(2)電気自動車について

電気自動車は確かに走行中はCO2を出さないかもしれないが、電力需要の増加をもたらし、発電電力量を現在以上に増やさねばならない。現に昨年12月、政府の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で資源エネルギー庁は2050年の発電電力量について約1.3~1.5兆kwhと推測した。これは2018年の発電電力量より約3~5割多い水準である(橘川武郎『災後日本の電力業』)。そして「CO2削減」を口実にした補助金を目当てに自動車産業が群がっている。

斎藤は「グリーン・ニューディールが本当に目指すべきは破局に繋がる経済成長ではなく、経済のスケールダウンとスローダウンなのである」(P95)と述べるが、電気自動車は脱成長と正反対のものに他ならない。

(3)原発について

IPCCは原発について「成熟した温室効果ガスを出さないベースロード電源」として推奨する。これに対して斎藤は原発を「閉鎖的技術」の代表として「(原発)はセキュリティ上の問題から、一般の人々から隔離され、その情報も秘密裏に管理されなくてはならない。そのことが隠蔽体質に繋がり重大な事故を招いてしまう」(P227)と述べるが、IPCCの見解に対する反論や原発廃絶の緊急性についての言及はない。

一方、斎藤はスウェーデンのグレタ・トゥーンベリをたたえる。彼女は15歳のとき、COP24(2018年)で世界各国の政治家たちに対して「あなたたちが科学に耳を傾けないのはこれまでの暮らしを続けられる解決策しか興味がないからです。」だから「システムそのものを変えるべきだ。」と演説を締めくくった(P40)。

確かに経済成長を止めない限り、環境破壊や資源枯渇は止まらない。しかし、グレタは斎藤と同じくパリ協定やその根拠であるIPCCの報告書を否定しているわけではない。それらが「科学」であるとして、その忠実な履行(「脱炭素」)を政治家たちに求めているのである。

グレタはCO2の排出を抑えるためにガソリン車でなく電気自動車、飛行機でなく電車で移動する。そうすれば、これまで以上に電力が必要である。しかし、CO2の排出を抑えるためには火力発電は止めなければならない。だから、グレタはフェイスブックで原発について「個人的には反対」としつつも条件付きで「解決策の1つにはなり得る」としていた。そしてグレタの活動が活発になるのに合わせて国際原子力機関(IAEA)は原発再評価を進めようとした(真山仁「温暖化問題」2020年6月16日『朝日新聞』)。このようにグレタは原発推進を目論む資本の広告塔にされてしまった。

しかし、原発こそが最大の環境破壊である。2014年大飯原発の差止めを求めた元裁判官・樋口英明は「原発問題は間違いなく我が国で最も重要な問題であり、原発事故が起きればすべては水泡に帰すからである。止めるのは論理の帰結。地球温暖化どころの話ではない」(2021年3月7日、大阪での講演のレジュメ)と述べる。

原発が日常的に出す放射能はCO2よりも圧倒的に恐ろしい。しかも使用済み核燃料の処分方法は決まっていない。何よりも事故が起きれば福島第一原発事故のように周辺の住民は被ばくし、故郷を追われる。そして地震列島・日本では次の原発事故が迫っている(2021年2月13日にも震度6強の地震が東北地方を襲い、福島第一原発1、3号機の格納容器の水位は下がったままだ)。

前掲の樋口は「原発を徐々に減らすという考えは一見穏当そうだが、次の地震の発生場所がわからない以上、この考えをとることはできない」(2019年3月15日『週刊金曜日』)と述べる。原発は今すぐ廃絶せねばならない。

グレタをたたえる斎藤はグレタと同じく「CO2説」を「科学」であると信じるからこそ運転中にはCO2を排出しない原発の即時廃絶を主張しないのであると思われる。原発は斎藤のいう「脱成長コミュニズム」にもっとも反する存在である。原発の即時廃絶こそが現在の日本で最も緊急かつ肝要な課題である。

◆おわりに ── 「人為的CO2温暖化説」こそが経済成長を進める原動力である

本書にはマルクスといえば、これまで生産力至上主義者と考える傾向が強かったが、晩年の彼の思想から「脱成長コミュニズム」を読みとる新しい視点がある。そしてSDGsが「経済成長の持続であり、環境破壊や資源枯渇を救わない」との主張には共感できる。

しかし斎藤は、「CO2説」に基く「気候危機」を疑わない。科学的根拠に乏しい「CO2説」は、再エネ発電や原発によって発電電力量を増やして電気自動車やAI化などによる経済成長を進める原動力である。

「CO2説」は斎藤が述べる脱成長コミュニズムにも反する。斎藤は脱成長コミュニズムは晩年のマルクスが「生産力至上主義」や「ヨーロッパ中心主義」を否定して生まれたとする。しかし「CO2説」を唱えるパリ協定は再エネ発電や原発推進による経済成長を目指すものであり、「生産力至上主義」に基くものであることは明らかである。

また、パリ協定はCO2削減を義務づけることでヨーロッパの先進国がその技術的アドバンテージにより後発工業国によって奪われたシェアを奪還することにその目的がある(近藤邦明『検証温暖化』)。このように「CO2説」は「ヨーロッパ中心主義」に立つものである。

斎藤が「脱成長」を主張するのであれば、国連や日本政府・独占資本が進めるSDGsの根拠とされる「CO2説」こそが原発や再エネ発電、EVやAI化推進による環境破壊の根本原因であることを理解すべきであった。

「CO2説」を「信仰」するマスメディアにより「気候危機」が煽られ、官民を挙げた「脱炭素」に向けた取組みが推奨されている。学校などでもSDGsの理念が環境に優しく明るい未来を作ると、多くの若者が活動しているが、原発廃絶こそが現在の日本で最も緊急かつ肝要な課題であることから目をそらされている。

パリ協定やIPCCの「CO2説」は見事にその目的を達成していると言わざるを得ない。「CO2説」を全く疑わない本書はパリ協定やIPCCの提言を補完する。斎藤の言葉を借りれば、「人為的CO2温暖化説」こそが現代版「大衆の阿片」なのである。(本文中敬称略)

◎大今歩「人為的CO2温暖化説」こそが「現代の阿片」──《書評》斎藤幸平『人新世の「資本論」』批判」
〈前編〉「人為的CO2温暖化説」は「気候危機」の科学的根拠になりうるか
〈後編〉「人為的CO2温暖化説」こそが経済成長を進める原動力ではないか

本稿は『NO NUKES voice』(現・季節)29号(2021年9月9日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全2回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

国会答弁もアメリカ製AI利用に マイクロソフトに乗っ取られた日本政府のAI構想(浜田和幸)/“憲法軽視”は政府与党だけではない 憲法違反の法律がつくられる理由(足立昌勝)『紙の爆弾』最新号の注目記事

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◆国会答弁もアメリカ製AI利用に マイクロソフトに乗っ取られた日本政府のAI構想
取材・文◎浜田和幸(国際政治経済学者)

 
 

今年4月、アメリカのIT大手マイクロソフトは生成AIの需要拡大に向け、今後2年間で29億ドル(約4400億円)を日本に投資すると発表。生成AIに不可欠なデータセンターを増強し、研究拠点も新設するとの内容で、過去最大規模になる見込みです。

最先端の「GPU」と呼ばれるAI向け半導体を導入するともいいます。また、東京都内に研究拠点を新設し、AIやロボット工学の研究を通じて生産性の向上など日本社会が直面する諸課題の解決にも取り組む姿勢を打ち出しました。AI技術者の育成にも乗り出し、非正規雇用や女性を含めたいわゆる「学び直し」や、AIの開発者を対象にした研修プログラムを実施し、今後3年間で300万人のスキルアップを支援するとのこと。

加えて、日本政府との間でサイバー攻撃などのセキュリティ対策でも連携を強化すると発表。こうした新たな日本市場への参入強化策は、マイクロソフトのブラッド・スミス副会長兼社長が、4月10日から米ワシントンを訪問していた岸田文雄首相と面談し、直接提示したものです。

これに対し、岸田首相は日本への新規投資に謝意を示し、「デジタルインフラを持つグローバル企業との連携は日本の産業全体にとって重要極まりなく、引き続きの協力に期待する」と応じました。

 マイクロソフト頼みとなった日本政府のAI構想
 
実は、これまでもマイクロソフトは日本政府のAI政策を事前に把握し、「Azure OpenAI Service」など、先手必勝で対日投資を進めてきています。

注目すべきは、スミス社長が大の親日家であること。いわく、
「日本は巨大な技術基盤を持っているが、高齢化が進み、人口も減少している。今こそAIの力を活用する時だ。日本の未来にとって不可欠な投資になると信じている。日本ではAIの導入が急速に進んでいるものの、スキルの格差が非常に大きい。日本でより広く求められているスキルを提供できれば、日本のさらなる飛躍に貢献できる」

電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、日本国内における生成AIに関するサービスなどの需要は2030年には1兆7700億円と予想され、2023年比では15倍に拡大する可能性を秘めているといいます。マイクロソフトに限らず、アマゾン・ウェブサービスやグーグルなども日本への進出と投資を加速させています。

とはいえ、重要なのは経済安全保障の観点から、日本発のデータがあくまで日本国内で安全に処理・活用されること。つまり、他国の技術に頼ることなく日本独自のもので対応する姿勢を保つことに尽きます。そのため、経済産業省では中国やロシアからの不正アクセスを防止する意味でも、サイバーセキュリティ対策に力点を置く政策に舵を切りました。

マイクロソフトはその流れを先読みし、対日売り込みを巧みに進めています。齋藤健経産大臣も同社が日本政府の国家安全保障戦略に基づき、高度なクラウドおよびAIセキュリティサービスの分野で協力して対応するとの方針を高く評価し、「日本のAIを含むデジタル産業の促進により大きく貢献してほしい」と期待感を高めているほどなのです。

というのも、スミス社長はこれまで自民党の甘利明前幹事長、平井卓也元デジタル相、河野太郎前デジタル相らと面談を重ねており、マイクロソフトが出資している「チャットGPT」のオープンAIとの連携すら政府に提案してきているからです。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nf65a7a3e55e9#4118e36a-996b-4658-bfa6-82b8c3700aa7

◆“憲法軽視”は政府与党だけではない 憲法違反の法律がつくられる理由
 取材・文◎足立昌勝(救援連絡センター代表/関東学院大学名誉教授)

 
 

 岸田訪米の「成果」と統合作戦司令部の設置

4月に訪米した岸田文雄首相は、11日、アメリカのバイデン大統領およびフィリピンのマルコス大統領と初の日米比首脳会談に臨み、安全保障上の幅広い協力と経済協力で合意した。

すでにアメリカは、東アジアにおける中国の影響力に対抗するために必要な多国間枠組みを形成している。すなわち、①日米韓軍事同盟 ②日米豪印の戦略対話の枠組みであるクアッド(QUAD) ③米英豪の安全保障の枠組みであるオーカス(AUKUS)だ。これらに加え、日米比の軍事的協力枠組みが形成されたことになる。
 
これにより、極東アジア・東アジア・南アジアにおけるロシア・中国および朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に対する包囲網がより強化された。
 
会談での合意事項は、「鉄道や港湾、半導体サプライチェーン(供給網)への投資加速」「重要鉱物資源のサプライチェーン強靭化」「民生用原子力の能力構築に関するパートナーシップ拡大」などの経済協力関連が多くを占めるものの、「南シナ海での中国の危険かつ攻撃的行動について深刻な懸念を表明」「自衛隊と米比海軍との共同訓練を実施」という軍事的要素が含まれている。

会談後の共同声明では、南シナ海で中国が「危険かつ攻撃的な行動」を進めているとして「深刻な懸念」を表明。南シナ海における「埋立て地形の軍事化及び不法な海洋権益に関する主張」を懸念し、「海上保安機関及び海上民兵船舶の危険で威圧的な使用」の試みに断固反対するとした。

そのうえで、今後1年以内に3カ国の海上保安機関は相互運用性を向上し、海洋安全および保安を推進するため、インド太平洋において3カ国間海上合同訓練などを実施。さらに「日比米海洋協議」の開始を宣言した。

また岸田内閣は、3月26日には、日英伊で共同開発した次期戦闘機について、第三国への輸出を承認する閣議決定を行なった。これを受けて防衛装備移転三原則の運用指針が改正され、“歯止め”として対象を次期戦闘機に限り、輸出先を日本が防衛装備品の輸出などに関する協定を結んでいる国に限定し、戦闘が行なわれている国には輸出しないとした。

しかし、この決定は武力による侵略をも可能とする戦闘機の輸出である。それが憲法9条に合致するか否かの国会での検討を経ずに、閣議決定で済ませてしまった。それが鮮明にするのが、この内閣の持つ憲法軽視の姿勢だ。

5月10日、参議院本会議は、陸海空自衛隊の部隊運用を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を設ける防衛省設置法改正法案を可決・成立させた。与党と立憲民主党、日本維新の会などが賛成し、反対したのは共産党とれいわ新選組だけ。これにより、本年度末に東京・市ヶ谷にある防衛省内に240人規模で発足するという。

これらの大事な決定も、与党協議だけで国民の声を代表する国会での審議が行なわれなかった。国民主権の無視である。

ここまで来ても、憲法九条の枠内にとどまっていると“解釈”するつもりなのか。

アメリカの尖兵となって、仮想敵国包囲網の形成を目指す岸田内閣や自公政権の下、ここまで来てしまった自衛隊は、もはや自衛ではなく戦争を行なうための軍隊である。外国の意志に従い、状況に応じてどこにでも展開させられることを認めざるを得ないだろう。

それは、岸田内閣や自公政権の望みでもあるのだろう。望んでいないのであれば、国会での十分な審議=熟議を求めればよいはずだ。しかし、彼らにそれはできない。国民を納得させるだけの熟議に耐えられないからだ。

防衛省は「保持できる自衛力」について、相変わらず「自衛のための必要最小限度のものでなければならない」と繰り返す。その具体的な限度は、国際情勢や軍事技術の水準、その他の諸条件により変わりうる相対的な面があり、毎年度の予算などの審議を通じて国民の代表者である国会において判断されるという。

しかし、九条そのものの議論はなされない。判例で確定されていることを根拠に、政府の勝手な主張のみが述べられるだけであり、「言葉の解釈」とすら言える代物ではない。

防衛省の主張する「予算などの審議」を通じての国会審議とは、国民の意思が反映されるものではなく、政府の主張そのものである。詭弁を弄し、逃げの一手で国会審議を避ける自公政権。それこそが国会軽視であり、憲法無視であることを忘れてはならない。

 憲法違反が濃厚な法案

毎年開催される通常国会には、数多くの法案が上程される。そのうち一番多いのは、内閣から提出される「閣法」であろう。

内閣には、法の番人としての「法制局」があり、法案は内容を含め、その妥当性が審議されている。そこでは当然のように、法案が憲法に合致するか否かも検討されているのであろう。

ところが、上程された法案の中には、憲法に抵触するおそれが強いものも存在する。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n672e3912c471

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感染症対策を口実にした「新型インフル対策行動計画」という新たな言論統制(高橋清隆)/静岡県知事選で「リニア問題」は本当に問われたのか(横田一)『紙の爆弾』最新号の注目記事

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◆感染症対策を口実にした「新型インフル対策行動計画」という新たな言論統制
 取材・文◎高橋清隆

 
 

感染症対策を口実に、我々の言論が監視・弾圧されるおそれがある。
 
岸田文雄内閣が6月に閣議決定を目指す「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(以下「行動計画」)改定案には、国が「科学的知見に基づく」一元的な情報発信を行なうだけでなく、偽・誤情報のモニタリングやSNS事業者に対策を要請できる内容が盛り込まれている。

新型コロナワクチン接種推進のため、内閣府が人気ユーチューバーに3200万円を支出していたことが発覚したばかり。同行動計画の偽情報対策の中身と背景を探る。

 コロナを受けた改定案パブコメに19万件
 
ゴールデンウィークのさなか、内閣官房の実施する意見募集(パブリックコメント)への応募を呼び掛ける投稿がX(旧ツイッター)上に盛んに飛び交った。「行動計画」改定案に言論統制を思わせる記述があるからだ。近現代史研究家の林千勝氏らがこれを問題視し、応募を提唱。5月3日には中部日本放送(CBC)が日本新聞協会加盟社で唯一報道し、にわかに知られるところとなった。

募集期間は行政手続法で30日以上と定められているが、なぜか2週間。しかも、予定の立て込んでいる人が多いゴールデンウィーク中にぶつけてきた。投稿フォームの不具合や計画書の疑問点について電話で聞こうとしても、休日のため「本日の業務は終了しました」のアナウンスが流れるだけ。それでも締め切りの5月7日18時までに、約19万件の応募があった。

「行動計画」は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づくもので、2013年に策定された。感染症危機が発生した場合にはこれを参考に基本的対処方針が策定される。新型コロナ騒動を受けて、岸田文雄内閣が7年ぶりの抜本的改定を目指す。

今回の「行動計画」改定案は、223ページに倍増。対策項目も6から13になり、船長や機長に乗船・搭乗の拒否権限を与えることや、「プレパンデミックワクチン」の開発・生産要請、火葬体制の整備まで盛り込まれている。

概要として「平時の準備の充実」「対策項目の拡充と横断的視点の設定」「幅広い感染症と柔軟かつ機動的対策」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「実効性確保のための取組」の5点を挙げ、具体的な取り組みを「準備期」「初動期」「対応期」の3つの期間に分けて記述している。

 政府の「偽・誤情報対策」その1 ── また税金で広報?

13項目のうち「④情報提供・共有、リスクコミュニケーション」には、準備期の対応として「偽・誤情報に関する啓発」がある。

〈国は、感染症危機下において、偽・誤情報の流布、さらにSNS等によって増幅されるインフォデミックの問題が生じ得ることから、AI(人工知能)技術の進展・普及状況等も踏まえつつ、国民等のメディアや情報に関するリテラシーの向上が図られるように、各種媒体を活用した偽・誤情報に関する啓発を行う。(総務省、文部科学省、厚生労働省、関係省庁)〉

この章には「各種媒体を利用し」「利用可能なあらゆる情報媒体を整備・活用し」など、さまざまなメディアを駆使する旨がうたわれている。ここで連想するのが、有名人を活用したテレビやインターネットなどでのなりふり構わないワクチン広報だ。サッカー日本代表の森保一監督や歌手のさだまさしらの誠実そうなせりふが繰り返しお茶の間に流れた。

内閣府から3200万円がユーチューバーに流れていたことは冒頭に触れた。人気ユーチューバーのはじめしゃちょーは河野太郎ワクチン担当相(当時)をインタビューし、「アメリカで2億回打ってるんですけど、ワクチンで死んでる人は1人もいない」との発言が広く流布された。こちらの方が偽情報ではないか。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n78971adb9bf2

◆静岡県知事選で「リニア問題」は本当に問われたのか
 取材・文◎横田 一

 
 

勝平太前知事の辞職に伴う静岡県知事選(5月9日告示・26日投開票)は、JR東海が県内でトンネル工事を始めようとしているリニア問題が最大の争点だった。3年前は「大井川の水と南アルプスの環境を守る」と訴えた川勝氏が自民支援の岩井茂樹・元参院議員に約30万票の差をつけて圧勝、3選を果たした後もJR東海や国交省と対峙し、トンネル工事を認めてこなかった。しかし4月3日に突然辞意を表明したことで、新知事が川勝路線を引き継ぐのか否かが注目されることになった。与野党激突の構図にもなった県知事選挙の結果は立憲民主と国民民主が推薦する鈴木康友・前浜松市長が、自民党が推薦する元副知事の大村慎一氏を破って初当選。岸田政権にさらなる打撃を与えることになったのだ。

 取り返しがつかないのは、失言ではなく
 トンネル工事による「水枯れ」

川勝知事の辞意表明は、メディアの“言葉狩り”が発端だった。新人職員への訓示で「県庁というのは別の言葉で言うとシンクタンクです。毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり物を作ったりとかと違って、基本的に皆さんは頭脳・知性の高い方たち」と述べた部分だけを切り取り、「職業差別とも捉えられかねない」と報じたことが引き金だったからだ。

一週間後の4月10日に辞職届を提出した川勝知事は、同日の定例会見でこう反論した。「職業差別というのは悪なのです。人を弾劾することができる言葉です」

「区別と差別とは違う。ジャーナリストの仕事と私の仕事は違います。どちらが上か下かというのはない。『そういう意味で申し上げた』といっても『職業差別だと捉えられかねない』というふうに報道されたとたん、『職業差別』という言葉をもって、特に第一次産業に対する差別だと広がった。しかも農水大臣までが強い憤りを感じられるということで本当に驚いた」

そこで会見終了後、川勝知事を追いかけて「デッチ上げ報道に屈するのか」と声かけ質問をしたが、エレベーターに乗り込んだ川勝知事は無言のままだった。

メディアによる川勝知事への集中砲火に対応すべく、「リニア新幹線を考える静岡県民ネットワーク」共同代表の林克氏は昨年7月から「川勝平太がんばれキャンペーン」を始めており、今回の辞職をこう残念がっていた。

「川勝さんは本当に、地場の農業の振興に奮闘してきた方だと思う。ただ非常にサービス精神が旺盛で、目の前の人を持ち上げるために、いろいろな比喩を使ったのかというふうに思う」

「農家の水不足、トンネル工事で大量の水が出てしまうおそれを川勝知事はちゃんとわかっている。かつて丹那盆地は非常に豊かな水田だった。丹那トンネル(後述)を掘ったら水が抜けてしまって、そこで田んぼが出来なくなってしまった経緯があった」

目の前にいる新人職員へのリップサービスで川勝知事は誤解を招く失言をしたものの、大井川流域の農家のために奮闘してきた姿こそ実態に違いない。静岡県で再出馬を求める署名活動が行なわれたのは、このためだ。

そんな川勝知事と共通点を持つのが、子ども関連予算を2倍以上にして10年連続人口増を達成した前明石市長の泉房穂氏だ。両者とも、失言はするものの住民のために奮闘し、言葉狩りをするメディアの標的になった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n1642ec6bab0f

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続・失言バカ政治家の傾向と対策 佐藤雅彦
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「人為的CO2温暖化説」こそが「現代の阿片」──《書評》斎藤幸平『人新世の「資本論」』批判〈前編〉「人為的CO2温暖化説」は「気候危機」の科学的根拠になりうるか 大今 歩

◆はじめに──「挙国一致」の目標と化した「脱炭素」
 
斎藤幸平の『人新世の「資本論」』(集英社新書)がベストセラーとなっている。斎藤は化学者のパワル・クルッツェンにならって人間の活動が地球の表面を覆いつくした時代として現代を「人新世(じんしんせい)」と名付ける。「人新世」では、とりわけ大気中の人為的CO2の増大による温暖化が気候危機をもたらしているとして警鐘をならす。そして晩年のマルクスの思想を「脱成長コミュニズム」と読みとり、危機からの脱出口とする。

 
斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社新書)

最近、斎藤のように「人為的CO2温暖化説」による「気候危機」への対応として、「脱炭素」が「挙国一致」の目標となっている。昨年10月には菅義偉首相が所信表明演説で、CO2など温質効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすると宣言した。これをうけて11月衆参両議院が全会一致で「気候非常事態宣言」を採択。「1日も早い脱炭素社会の実現をめざす」とした。

そして、CO2を多く発生させるとされる石炭火力発電の建設中止を求める市民運動が拡がる一方で、政府や電力会社は運転中はCO2を発生しないとされる原発再稼働や新型小型原発開発を推進する。

また、環境破壊の著しいメガソーラーや風力発電の拡大が待望されている。「人為的CO2温暖化説」やそれによる「気候危機」は正しいのか、また、それににもとづく対策は「脱成長コミュニズム」と言えるのか。原発廃絶との関連から本書を読み解きたい。

◆SDGsは独占資本のビジネスチャンス

国連はSDGs(持続可能な開発目標)としてクリーンなエネルギーや気候変動対策を掲げ2030年までの達成をめざす。これに対して斎藤幸平はSDGsは現代版「大衆のアヘン」であると批判して「政府や企業がSDGsの行動指針をいくつかなぞったところで気候変動はとめられないのだ。SDGsはアリバイ作りのようなものであり、目下の危機から目を背けさせる効果しかない」(P4)と述べる。

SDGsが経済成長の持続であり、環境危機を救わないとの斎藤の主張には共感できる。連日、日経新聞などに掲載されるSDGs推進の記事をみると、まさにCO2削減を口実にしたビジネスチャンスとして資本が歓迎していることは明白である。政府や独占資本はSDGsが儲かるものだからそれを推進するのである。

SDGsはもともと「気候危機」を止めるためではなく「目下の危機」を利用して独占資本の利益を拡大することを目的に推進されている。

◆「人為的CO2温暖化説」に科学的根拠はあるか

斎藤はSDGsを批判するが、SDGsの根拠である「人為的CO2温暖化説」(以下、「CO2説」)を十分に検討することもなく、「気候危機」への対策を求める。「CO2説」はパリ協定(国連気候変動枠組条約第21回国際条約会議=COP21で採択)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の提言である。

しかし「CO2説」は「科学的根拠が薄弱なまま政治的に引き回されている」(小出裕章『隠される原子力核の真実』)。まずCO2はそれ自体としては人類に有害ではないし、植物にとってはむしろその成長を促す物質であることを押さえておきたい。確かに19世紀後半以降、温暖化の傾向はみられる(150年間で1度程度の上昇)が、地球はこれまで寒冷化と温暖化を繰り返してきた。

斎藤は「二酸化炭素濃度が南極でも400PPMを超えてしまった。これは400万年ぶりのことで400万年前の『鮮新世(せんしんせい)』の平均気温は現在よりも2~3度高かった」(P5)とのべる。400万年前は人類が存在いたかどうかも疑わしいので、もちろん「CO2説」とは無関係である。

斎藤の指摘は地球の歴史で気温の高いときにCO2の濃度も高いという事実にすぎない。温暖化により海洋に溶けていたCO2が大気中に放出される結果、CO2が増大するのである。「CO2説」は原因と結果を取り違えている(近藤邦明『温暖化の虚像』電子書籍)

◆「人為的CO2温暖化説」と「気候危機」に関係はない

斎藤は「CO2説」の結果、気候変動により近年の自然災害が起こっているとするが、「CO2説」が成り立たない以上、気候危機とは無関係である。そして近年自然災害が増大しているかについても十分な検証が必要である。

例えば、斎藤は、温暖化により「台風の巨大化は一層進む」(P21)と述べるが、池田清彦は「気象庁のデータを全部調べてみたが、日本では台風の数は傾向として徐々に減っているし、大きさも小さくなっているし、被害総額も昔の方がうんと大きかった」(池田清彦『環境問題の嘘 令和版』)と述べる。斎藤はデータに基いて「気候危機」を論ずるべきであった。(つづく)
 
本稿は『NO NUKES voice』(現・季節)29号(2021年9月9日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全2回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

政治経済学者・植草一秀が暴くニッポン戦争経済体制 大企業優遇と庶民搾取の先に待つもの 『紙の爆弾』最新号の注目記事

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。

記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは7月号の注目記事の一部を紹介します。

植草一秀が暴くニッポン戦争経済体制
大企業優遇と庶民搾取の先に待つもの

本誌5月号で昨年来の急激な円安、物価高、そして株高が示す日本の実態を解き明かした政治経済学者・植草一秀氏に、岸田文雄自公政権の経済政策が指し示す近未来について、再び話を聞いた。(構成・文責/編集部)

 
 

◆実質賃金が低下し続ける根本的原因

まず、大幅な円安と株高が毎日のように取り沙汰された2024年上半期の日本経済を振り返ってみましょう。5月16日に今年1~3月期(第1四半期)のGDP(国内総生産)統計が発表され、前期比で0.5%、年率で2.0%のマイナス成長となりました。

コロナ・パンデミックで落ち込んだGDPが、ようやくその前の水準を回復したのが昨年4~6月(562.6兆円)。しかし、続く7~9月から再び落ち込み前期比マイナス0.9%(558.0兆円)。10~12月期はゼロ成長で、今年1~3月期は再びマイナス0.5%です。

米国では、四半期で2度連続マイナス成長になると「景気後退」と表現します。ですから日本経済は、「昨年後半から景気後退の局面に移行している」と言って差し支えない状態です。

特に問題なのが国内需要で、昨年第2四半期の4~6月以降、マイナス0.6%、マイナス0.7%、マイナス0.2%、マイナス0.2%と、4四半期連続でマイナス成長が続いています。株価が上がったことで好調なイメージがあっても、実態は非常に悪いのです。

さらに物価の指標(GDPデフレーター)では、昨年度はプラス4.1%と、物価が激しく上昇しています。

こうした中で、実質賃金指数の伸び率は、今年3月がマイナス2.5%。2022年4月から24カ月連続のマイナスです。これは統計比較ができるようになってからの最長記録です。

3年前の2021年5月の実質賃金はプラス3.1%で、同年秋(10月4日)に岸田文雄政権が発足して以降、実質賃金指数はつるべ落としのようにマイナスが続いているわけです。

その大きな要因は、インフレの進行です。

5月号で指摘したことですが、1995年以降の28年間で5回だけ実質賃金が小幅に増えたことがあります。この5回は全て、物価が下がった年でした。日本において実質賃金を左右するのは物価であり、一部企業で賃上げがあっても、インフレにより物価がそれ以上に上がれば、差し引きで計算される実質賃金は減り続けていきます。
ならば、岸田首相が叫ぶべきは「賃上げ」ではなく、「インフレ抑止」であることは明白です。

日銀が「デフレからの脱却」を目指し2%のインフレターゲットを導入したのが2013年1月。そして、特にこの2~3年、インフレ率は日銀の目標値を大きく超えて4%も上昇しました。ある意味で、今の状況は日銀が目論んだ姿です。そもそもインフレ誘導の淵源をたどると、企業の賃金コストを減らすために提案された政策なのです。

現在の状況で賃上げを行なった会社のほとんどが大企業です。中小・零細企業は賃上げができないので、物価上昇分だけまるまる賃金が減少します。より一層、大企業とその他で格差が拡大しているわけです。

一方、株価を見ると、今年は日経平均が史上最高値を更新。4月22日に4万1087円を記録して、次は5万円突破が視野に入ります。

このように株価が大幅上昇した背景として、3つの要因を挙げることができます。

第1は、株価の指標から見て相対的に日本の株が割安だということ。日本企業の株の利回りは6~7%で、国債の利回り(1%)に比べると高い。利回りが高いということは、価格が安いということです。

第2は企業収益が拡大していること。日経平均採用銘柄の225社で、今年3月期の利益が予想ベースで前年比11%増。また、「マザーズ銘柄」「グロース企業」と呼ばれる新興成長企業でも、2024年3月期で56%増益という状況にあります。

第3は円安で、外国の資金が日本企業株式の取得に向かっています。

これらからわかることは、上昇する株価が反映しているのはあくまで企業利益だということです。政治の世界では株価上昇=景気好調の宣伝が盛んになされますが、株価と景気は別物で、企業収益を反映する株価は上昇していますが、冒頭で見たとおり、経済全体は超低迷が続いているのです。

経済が生み出した果実(=利益)は労働と資本に分配されます。資本の取り分が増えるほど、株価は上がります。しかし、実質労働賃金が減少し続けているように、労働者の取り分がどんどん減っています。株価の上昇は経済の好調さを示すものではなく、労働者が踏みつけにされていることの表れだと考えていいでしょう。

◆小泉内閣から始まった売国政策

アベノミクスの3つの柱は、「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」でした。この3つのうちの核心は成長戦略です。

しかし、誰のための成長かということが重要で、真相は「大資本の利益の成長戦略」であり、「労働者の不利益の成長戦略」だったのです。結局、「大資本が栄えて民が滅ぶ」という流れが生み出されてきたことがわかります。

またアベノミクスの成長戦略には、後述する法人税減税や、経済特区という新たな利権も含まれます。ほかにも農業や医療の自由化、労働規制の撤廃というように、大資本の利益を拡張させるための様々な規制改革が次々に遂行されてきたのです。
このことは、安倍内閣が国民を騙してTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を推進したことにも表れています。安倍晋三氏が率いた自民党は2012年末の総選挙で「TPP断固反対」と大書きしたポスターを貼りめぐらせましたが、政権奪取した選挙から3カ月も経たぬタイミングでTPP交渉参加を決め、発効に向けて突進しました。
その流れの元は、2001年に発足した小泉純一郎内閣にあります。新自由主義経済政策の旗を掲げた小泉内閣の規制改革で最も象徴的なのが、派遣労働の範囲拡大でした。

この小泉政権で政権中枢に加わった竹中平蔵氏(元経財相・金融相・総務相)は、2003年に政府によるりそな銀行乗っ取りを主導した後に郵政民営化担当相に横滑りし、2005年~06年に郵政民営化を強行しました。

彼らの裏にいたのは米国です。竹中氏は法人税減税を主張し始めた張本人の一人ですが、これは米国の巨大資本が日本で払う税金を減らすためにやらせた側面が強いのです。

後述しますが、米国を中心に、いわゆる「ワンワールド」や「ニューワールドオーダー(新世界秩序)」といった、グローバル資本による世界市場統一に向けての大きな運動が進められています。その一環として、市場原理主義を日本に埋め込み、巨大資本の利益を極大化する戦略が2001年以降に始動し、現在に至ってもどんどん拡大されています。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n9b222db7a856

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年7月号
『紙の爆弾』2024年 7月号植草一秀が暴くニッポン戦争経済体制
大企業優遇と庶民搾取の先に待つもの
「食料・農業・農村基本法」改悪「食料自給率」を捨てた農水省の愚 高野孟
感染症対策を口実にした「新型インフル対策行動計画」という新たな言論統制 高橋清隆
ウクライナとガザで実行中の「最新戦術」の正体 イスラエルAIは民間人をいかに殺すのか 青柳貞一郎
国会答弁もアメリカ製AI利用に マイクロソフトに乗っ取られた日本政府のAI構想 浜田和幸
送電線と人脈でつながる「原発とリニア」 リニア新幹線の目的は原発の復活だ! 広瀬隆
静岡県知事選で「リニア問題」は本当に問われたのか 横田一
自衛隊指揮権を米軍に委譲 日米一体化きわまる中で“日本人”を問い直す 木村三浩
公職選挙法に浮上した「別の問題」“裏金沈没”自民党の悪あがき 山田厚俊
“憲法軽視”は政府与党だけではない 憲法違反の法律がつくられる理由 足立昌勝
本格化する国家総動員体制 進む民間施設の日米軍事拠点化 浅野健一
米国覇権の終わりに日米同盟を考える「いまトラ」と岸田自公政権の大罪 小西隆裕
山根明前会長が去っても変わらない日本ボクシング連盟で起きている新たな内紛 片岡亮
続・失言バカ政治家の傾向と対策 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪50 大川原化工機事件 山村勇気連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
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まけへんで!! 今月の西宮冷蔵◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
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『紙の爆弾』2024年7月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

5月号に続いての登場となった政治経済学者の植草一秀氏は、本誌や著書『資本主義の断末魔』(ビジネス社)で「WPS」に警鐘を鳴らしています。すでに巨大企業や権力者への資本の集中は行きすぎるまでに進み、資本主義そのものが破綻に向かっている現在、展開されている「断末魔のビジネスモデル」を指し、その筆頭が「W=War(戦争)」。今月号は目次に目を通していただければわかる通り、またタイトルに銘打っていないものでも、「戦争」につながる話題が多くを占めました。残りの「P」「S」については、本誌や著書をお読みください。

その中でも特に、民間施設(港湾・空港)の軍事拠点化には、最大限に注目する必要を感じています。生活の中に戦闘機や軍艦が現れてもそれが日常であり、人々が“映える”とばかりSNSにアップする時代がそこまで来ています。「今からでも止めなければならない」ということは、あらゆる問題において強調すべきことです。

国会での審議を経ずに、様々なことが決定されています。また国会で審議されても、憲法違反の法律が成立しています。法律や政策に限らず、JR東海が乗客の利便性どころか自社の経営すらかなぐり捨てて進めるリニア新幹線や、カジノのための大阪・関西万博がそうであるように、その計画が経済的・科学的・論理的に破綻しているとしても、止まる理由にはなりません。

なおリニアについては、その首謀者だったJR東海の葛西敬之元名誉会長や、昵懇だった安倍晋三元首相が2年前に相次いで亡くなっても、なぜ計画見直しとならないのか。その背景に、今月号で迫っています。

6月号では半導体工場によるPFAS汚染をはじめ「健康被害」を特集。そこで採り上げた小林製薬の「紅麹」問題は、コロナワクチンによる健康被害が注目されるようになった中、免疫づくりに有効な発酵食品の危機として捉える見方が少なからずあります。

続いて、猶予期間が五月末で終了した改正食品衛生法も、食と健康の危機につながる問題です。漬物を販売するのに専用の調理場など基準が厳格化、農家や飲食店の“手作り”が食べられなくなるものです。工場でロボットにより製造された食品しか口にできなくなる、そんな時代の到来も想起してしまいます。

「食料危機」という言葉は、すでに一般化。今国会で可決・成立が目指されている「食料・農業・農村基本法」改正案では「食料安全保障」なる怪しげな言葉まで使用されています。本誌記事で執筆者の高野孟氏が、「食料をめぐる本源的な問題」について、重要な指摘をしています。

7月号ではスポーツ界の話題も採り上げました。この事例に限らず、目立って問題のある人物が放逐された後にどうなるかというのは、注視する必要があると思っています。また米国マイクロソフト頼みの日本政府「デジタル・ニッポン」構想の危険性、ワクチン強制接種と政府宣伝以外の情報を統制する「新型インフルエンザ等政府行動計画」、大川原加工機冤罪事件と経済安保法の密接関係など、必読のレポートを満載してお届けします。

全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年7月号

『紙の爆弾』2024年 7月号

植草一秀が暴くニッポン戦争経済体制 大企業優遇と庶民搾取の先に待つもの
「食料・農業・農村基本法」改悪「食料自給率」を捨てた農水省の愚 高野孟
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ウクライナとガザで実行中の「最新戦術」の正体 イスラエルAIは民間人をいかに殺すのか 青柳貞一郎
国会答弁もアメリカ製AI利用に マイクロソフトに乗っ取られた日本政府のAI構想 浜田和幸
送電線と人脈でつながる「原発とリニア」 リニア新幹線の目的は原発の復活だ! 広瀬隆
静岡県知事選で「リニア問題」は本当に問われたのか 横田一
自衛隊指揮権を米軍に委譲 日米一体化きわまる中で“日本人”を問い直す 木村三浩
公職選挙法に浮上した「別の問題」“裏金沈没”自民党の悪あがき 山田厚俊
“憲法軽視”は政府与党だけではない 憲法違反の法律がつくられる理由 足立昌勝
本格化する国家総動員体制 進む民間施設の日米軍事拠点化 浅野健一
米国覇権の終わりに日米同盟を考える「いまトラ」と岸田自公政権の大罪 小西隆裕
山根明前会長が去っても変わらない日本ボクシング連盟で起きている新たな内紛 片岡亮
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シリーズ日本の冤罪50 大川原化工機事件 山村勇気

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『紙の爆弾』注目記事 「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質/日本の冤罪 北方事件 たった一人の支援者が明かす「連続殺人事件」の深層

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ここでは6月号の注目記事2本の一部を紹介します。

◆「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
 取材・文◎片岡 亮(ジャーナリスト)

 
 

2021年11月のある日、名古屋市の中心部に位置する高級ホテルのロビー。シャンデリアに照らされた大理石の床を歩いていたイベントプロデューサーを名乗る40代後半の男が、待ち合わせした女性に見せたのは、当時就任したばかりの岸田文雄首相とのツーショットだった。

高価そうなスーツや腕時計を身に着けた派手な外見とは裏腹に、男の詳しい経歴は不明で、インターネットにも会社名や本人の名前は見つからない。今どき特異な人物だが、自信に満ちた態度でバッグから何枚もの写真を取り出しながら、首相のみならず、今上天皇や著名な実業家、芸能タレントなどとの親交を自慢した。

「ビジネスは信用が大事ですよ。僕はホームページを作ったり、フェイスブックに写真を載せたりといった薄っぺらいことはしません。でも、首相が会ってくれるのは、僕自身に信用があるからです」

誰に対しても同じセリフを口にしているのだろう。そんな男が売り込んだのは、自らが開発に関わったという仮想通貨Lだ。

「今は、価値はありません。でも、この通貨が未来を切り拓くカギです。ほかの通貨とは別次元で、革命的な技術があります。私たちは先駆者で、社会に革命を起こす存在となります。ただの投資なら、こうして一人ひとりと会ったりしません。未来を一緒に作る仲間を集めているからです」

女性は男とのやりとりを録音しており、こうしたセリフが残っていた。

その二カ月後、60円でスタートした仮想通貨Lは、翌月に516円になり、40万円分を買った女性は300万円以上で換金できた。しかし、その後は価値が下落。0.2円前後を推移するまでになり、仮想通貨全体の7割を占める「一年以内の短命」のひとつになったと思われた。

しかし、今年1月31日から少し値動きが見られた。利益を得られるほどではないが、購入者が出てきたのである。同時に、先の男が肩書きを「芸能プロ社長」に変え、再びLを勧め歩くようになった。

3月、男が主催者となって愛知県内で行なわれたショーイベントは、かなり奇妙なものだった。ろくに告知もされないまま、まったく無名のラップグループや歌手が、まるで人気アーティストのように紹介されて歌やダンスを披露。MC役の男性は「盛り上がってますかぁ!」と叫び、出演者の交代の合間には、職業不詳の高齢の男女集団がマイク前に並んでコーナー紹介をしていた。

およそ900名収容の会場の7割ほどを埋めた客層は、とても音楽や演出にマッチしない中高年が主体。いかにも慣れない様子で手拍子しつつ、MCの誘導に素直に従って立ち上がったり、両手を挙げたりしていた。実は彼らこそ、無料招待された仮想通貨Lの購入者たちだった。

つまり、イベント自体は収益を得るためのものではないということだ。イベントを手伝った関係者はこう言った。

「本業である仮想通貨の収益の節税対策らしいです。グレーゾーンな収益なので、マネーロンダリングにしているそうですよ。タレントに高いギャラを払ったことにしたり、チケットが全部売れたことにしたりしています」

刷られてもいないチケットは額面が1枚5万円。900人で満員としたなら4500万円となる。

そして、仮想通貨Lの問題は、その売り文句にある。男は「将来、カジノが合法化される時に、オンラインカジノでもLを使って遊べるようにするので何百倍もの価値を持つ。それまで静かに黙って持っておいてほしい」と購入者に説明していたのだ。

2016年にIR(統合型リゾート)推進法、いわゆる「カジノ法」が成立し、国家事業となった。だからこそ、首相との写真も営業の武器になったわけだ。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n883499cc6a7f

◆日本の冤罪〈50〉北方事件 たった一人の支援者が明かす「連続殺人事件」の深層
 取材・文◎片岡 健(ジャーナリスト)

 
 

1980年代に佐賀県で起きた「北方(きたがた)事件」は、3人の女性を殺害した嫌疑をかけられた男性が裁判で検察に死刑を求刑されながら、無罪が確定した重大な冤罪事件だ。公判では、警察のとんでもない違法捜査も判明している。

だが、重大性のわりに、冤罪事件としてはあまり有名ではなく、「犯人が捕まっていない未解決事件」として語られることが多い。無罪が確定した男性が公の場で冤罪被害の経験をほとんど語ってこなかったためだ。

この特異な冤罪事件について、「警察は面子のため、無実の人を死刑台に送ろうとしたのです。本当に恐ろしいことです」と証言する人がいる。

事件の舞台となった北方町(現・武雄市)で町議を7期務めた田崎以公夫さん(92歳)だ。田崎さんは男性の「たった一人の支援者」として奔走し、男性を冤罪から救った人で、事件の一部始終を知る人でもある。

今回は田崎さんの証言に基づき、「北方事件」の顛末を紹介したい。この事件の深層を知れば、世の中には、まだ知られていない酷い冤罪があることを改めて実感していただけると思う。

 時効成立直前の「劇的な逮捕」だったが……

佐賀県の中央部に位置する旧北方町は、人口が1万人に満たない小さな町だった。ここであっと驚く大事件が起きたのは35年ほど前に遡る。

「林に白い服を来た女性の死体が捨てられているのですが……」

1989年1月27日夕方、そんな110番通報をしたのは佐賀県内の夫婦だった。夫婦は、JR佐世保線北方駅から2キロ余りの山道脇で仏壇に供える花を摘んでいた際、北方町内の雑木林に横たわる女性の遺体を見つけたのだった。

所轄の佐賀県警大町署(現・白石署)の捜査員たちが現地に臨場すると、事案は想像よりはるかに重大だった。雑木林から女性の遺体が、ほかにも2体見つかったのだ。連続殺人事件とみた佐賀県警は、ただちに大町署に150人態勢の捜査本部を設置した。

そして翌々日までに3人の被害者は全員、失踪していた近隣の女性だと判明したが、ある奇妙な共通点があった。

①藤瀬澄子さん 武雄町(現・武雄市)の料亭従業員。87年7月8日(水)の夜に同僚との外食後に失踪。失踪時48歳。

②中島清美さん 北方町の主婦。88年12月7日(水)夜にミニバレーの練習に出かけ失踪。失踪時50歳。

③吉野タツ代さん 北方町の会社員。89年1月25日(水)夜に自宅から外出後に失踪。失踪時37歳。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nb6176caaa94c

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

『紙の爆弾』2024年 6月号

岸田訪米の能天気は害悪だ!アメリカが狙うアジアの一兆ドル海洋資源
次期戦闘機の第三国輸出解禁 日本を「兵器産業国家」にする公明・創価学会の“貢献”
【特集】隠蔽される「健康被害」

TSMCが熊本の水を殺す半導体工場のPFAS汚染
がんを引き起こし脳の働きを阻害する遺伝子組換え食品によるこれだけの危険
小林製薬「紅麹問題」で少なくとも言えること
開業延期」ではなく「計画中止」を リニア新幹線「電磁波と白血病」
「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子 暴かれた“女帝”の虚像
裏金事件でも自民党で“岸田降ろし”が起きない理由
「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
一水会50年は、対米自立実現の橋頭堡である
事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
“制裁ありき”の駄文判決 岡口基一判事弾劾裁判「多数決で罷免」の異常
ジュリー前社長が手放さないジャニーズファンクラブ巨額の行方
失言バカ政治家の傾向と対策
改憲派2社以外も“軍拡肯定”2025年度中学教科書 防衛省の広報誌化
シリーズ 日本の冤罪50 北方事件

連載
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SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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『紙の爆弾』最新記事がnoteで読める! 小池百合子暴かれた”女帝”の虚像/日本を「兵器産業国家」にする創価学会・公明党/日本版DBS法案の違憲性

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ここでは6月号の注目記事3本の一部を紹介します。

◆「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子暴かれた”女帝”の虚像
 取材・文◎横田 一(ジャーナリスト)

 
 

女性初の総理大臣への道が再び見えてきた瞬間、学歴詐称疑惑を報じた“文春砲”が直撃、知事三選すら危うくなった――。目まぐるしく展開する“小池劇場”が再び開幕していた。

過去最低の内閣支持率にあえぐ岸田文雄首相と入れ替わるかのように、小池百合子都知事のメディア露出度が急増。国会議員でもないのに上川陽子・外務大臣と並ぶ「女性初の総理大臣候補」と持ち上げられ、電撃辞任して衆院東京15区補選(4月28日投開票)に出馬が取り沙汰されるなど、国政復帰の可能性も囁かれた。

「絵空事ではなさそうだ」と印象づける朝日新聞の記事が出たのが3月12日。八王子市長選(1月21日投開票)から間もない夜に自民党都連会長の萩生田光一氏と小池知事が会食し、「小池氏に対し、今夏の都知事選で3選を目指す場合は支援、また古巣の自民党に復党を望めば、後押しする考えも示したという」という関係者のコメントを報じたのだ。

八王子市が選挙区(衆院東京24区)の萩生田氏が小池知事に感謝したくなる心情は、市長選を取材した記者ならすぐにわかる。本来なら陣頭指揮をとる役割を担っている地元選出の衆院議員で、しかも自民党幹部なのに、裏金事件で表に出ることを控えざるを得なかったからだ。

今回の市長選は三期務めた現職から新人への継承という一戦にもかかわらず、萩生田氏は候補者と街宣車に乗ることは一度もなく、室内に支援者を集め支持をひっそりと訴えるだけだった。

ただし高市早苗大臣を応援弁士として呼んだ1月16日の個人演説会では、冒頭で挨拶。東京地検に対してこんな“勝利宣言”を発していた。

「ワイドショーを観ていると、だんだん私が(裏金事件の)真ん中にいる(聴衆から笑い)。『大丈夫か』と街の中で皆が話していたのだろうと思いますが、そういう問題ではなくて、『修正をきちんとする』ということになっておりますので、東京地検に連れて行かれることはございません」

それでも世間の批判を気にしてか、街頭演説で同じような訴えを堂々とすることはなかった。

そうした萩生田氏の代役を務めたのが小池知事だった。投開票日の2日前に現地入り、街宣車上で自公推薦の新人・初宿和夫候補と並んで支持を呼びかけた。世論調査では、元都民ファ都議の滝田泰彦候補(立民・共産・社民などが支持)にリードを許していたが、最終盤で初宿氏の逆転勝利を呼び込む原動力となったのだ。

政治とカネの問題で逆風にさらされる自民党に小池知事が助け舟を出したのは、八王子市長選だけではなかった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n9e7d84b5819b

◆自創協力で次期戦闘機の第三国輸出解禁へ 日本を「兵器産業国家」にする創価学会・公明党
 取材・文◎柿田睦夫(ジャーナリスト)

 
 

「私どもは、池田先生のご遺訓・ご指導を命に刻み……日々、前進してまいりたい」

昨年11月18日、この四半世紀にわたる「自公政権」の生みの親でもある池田大作・創価学会名誉会長死去を公表するにあたり、原田稔同会長が談話を発表してそう述べた。

池田氏は創価学会名誉会長、SGI(創価学会インタナショナル)会長であるだけでなく、「本会の永遠の師匠」(会憲・会則第三条)という存在である。その「遺訓」は「命に刻む」ほど重いものなのだ。

池田氏の主張の中心に、常に据えられていたのが「平和」だった。実際、その説話や著書(とされるもの)には「平和」の語が頻繁に登場する。創価学会員にとって「精神の正史」である小説『新・人間革命』(聖教新聞社)の冒頭には、こうある。

「平和ほど、尊きものはない。平和ほど、幸福なものはない」

さらに、「核兵器および一切の軍備を地球上から消滅させ、一切の戦争を廃絶する」とも書いている。

池田氏は核兵器だけでなく、一切の軍備を消滅させることこそが「平和」なのだと説く。創価学会と公明党は、この「池田遺訓」にどう向き合ってきたのか――。

開会中の通常国会で、「防衛装備移転3原則」をめぐる重要な政策変更があった。日英伊3国が共同開発する次期戦闘機の第三国輸出解禁である。「兵器産業国家」への始動というべきものだ。これを、国会決議抜きに自公両党の“密室会議”で決めた。

ちなみに「防衛装備」とは「武器」のことで、「移転」とは「輸出」のこと。安倍晋三自公政権がそう言い換えた。安倍氏が得意とした目くらましの手法である。

かつてこの国には「武器輸出三原則」があり、武器の輸出は原則全面禁止だった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n97b6256833da

◆事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
 取材・文◎足立昌勝(救援連絡センター代表)

 
 

対象事業者に従業員らの性犯罪歴の確認を義務づける「日本版DBS」法案について自民党内の意見がまとまらず、国会提出が遅れていたものの、3月19日に閣議決定されて、衆議院に送付された(5月9日に衆議院で審議入り)。昨年9月5日に有識者会議からの報告書がまとめられても、自民党内の異論百出により成案化が遅れていたのである(1月号を参照)。

法案の正式名称は、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案」というが、内容から判断すれば、職業選択の自由を定めた日本国憲法に違反する「特定性犯罪者排除法案」といっても過言ではない。

 日本版DBS法案の仕組み

性暴力が児童に与える影響が多大なものであることは、異論のないところである。そこで政府は、教員や教育・保育従事者等が特定性犯罪を過去に行なった事実があるか否かに関する情報を、国が学校設置者や当該教育保育事業者等に提供する仕組みを設け、それらの者を教育現場等から排除することを目指し、法案を作成した。

まず法案では、教育や保育等を提供する事業者は、子どもとの関係において、

①児童を指導するなど非対称の力関係があるなかで支配的・優越的立場に立つ支配性
②時間単位のものを含めて児童と生活をともにするなどして児童に対し継続的に密接な人間関係を持つ継続性
③親等の監視が届かない状況の下で預かり養護等をするものであり他者の目に触れにくい状況を作り出すことが容易である閉鎖性

という三要件を持ち、その現場では性犯罪や性暴力が発生する基盤があるとされる。

この三要件により、法案における事業・業務の範囲が定められた。自民党の要望を受け入れて、範囲を大幅に拡張した形だ。子どもたちが通う稽古事、習字教室や将棋教室は、すべてこれに含まれるものと思われる。

これらの事業において、業務従事者による児童への性犯罪・性暴力を防止しなければならないのは当然だ。しかし、その防止義務を事業者に課すことには、明らかに無理がある。国民の相互監視の一形態といえるのではないか。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ndd097058ed36

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

『紙の爆弾』2024年 6月号

岸田訪米の能天気は害悪だ!アメリカが狙うアジアの一兆ドル海洋資源
次期戦闘機の第三国輸出解禁 日本を「兵器産業国家」にする公明・創価学会の“貢献”
【特集】隠蔽される「健康被害」

TSMCが熊本の水を殺す半導体工場のPFAS汚染
がんを引き起こし脳の働きを阻害する遺伝子組換え食品によるこれだけの危険
小林製薬「紅麹問題」で少なくとも言えること
開業延期」ではなく「計画中止」を リニア新幹線「電磁波と白血病」
「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子 暴かれた“女帝”の虚像
裏金事件でも自民党で“岸田降ろし”が起きない理由
「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
一水会50年は、対米自立実現の橋頭堡である
事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
“制裁ありき”の駄文判決 岡口基一判事弾劾裁判「多数決で罷免」の異常
ジュリー前社長が手放さないジャニーズファンクラブ巨額の行方
失言バカ政治家の傾向と対策
改憲派2社以外も“軍拡肯定”2025年度中学教科書 防衛省の広報誌化
シリーズ 日本の冤罪50 北方事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
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北陸・能登の志賀原発が「玄関あけたらすぐ建屋」の理由 『珠洲原発・阻止への歩み』著者の北野進さんたちが闘い続ける志賀原発・廃炉への道 尾﨑美代子

◆原発推進派と反対派が共有する「ふるさとをどうするか」問題

先日取材した石川県珠洲市の元県議、元市議の北野進さんの著書『珠洲原発・阻止への歩み 選挙を闘いぬいて』を読み始めた。

取材中、北野さんは何度か「えっとあれは何だったかな」と書類を探そうとしていたが、私は時間がもったいないので「いいですよ、あとで本を読んで確認しますから」と言っていた。本には、住民運動と並行して、市長選、知事選、県議などの選挙を闘い続け、ついに原発建設を凍結に追い込んだ29年間の歴史がたっぷりと書かれていた。

北野進さんと著書『珠洲原発阻止へのあゆみ―選挙を闘いぬいて』(七つ森書館 2005年)

珠洲市は原発建設を凍結に追い込んだ2013年の翌年、市政60年をむかえ、記念事業として作成された「珠洲市勢要覧2004」の中の「珠洲市の歩み」には珠洲原発建設問題の記述は一切ないのだという。いくら敗北したとはいえ、それはないだろうよ、と考え、北野さんは闘いの歴史を、推進派の動きもなるべく忠実にして、この本を書かれたという。

北野さんのお話で感動したのは、原発建設を凍結に追い込んだのち、反対運動を闘った仲間らと「勝った!勝った!」と言わないようにしようと話し合ったということだ。

原発賛成あるいは推進してきた人たちにもいろんな思いがある。原発建設を心から望んで推進していたのは、それで稼げる一部の人たちだ。多くの人たちは年々過疎化が進む「おらがふるさと」をどうにかしたいとの思いから「原発ばなし」に乗っていった。

原発以外で過疎化を防ぐ手立てがあれば、そっちを必死で進めるだろう。川口勉監督のドキュメンタリー映画「彼らの原発」(2017年製作)で美浜町の方が最後につぶやいた、原発がだめというのなら「ほかのものをもってきてくれ」という言葉が忘れられないが、それと同じ。

これからは一緒に故郷を良くしていこうと手を組まなければならないからだ。北野さんはこう言った。

「当時推進派と反対派のわだかまりは、孫の代まで残るかと心配されてましたが、その後信じられないくらい早い段階でなくなっていきました。」

これには感動した。

珠洲原発の建設予定地だった地区。今年元日の能登半島大地震で地盤が北野さんが指差すあたりまで隆起した

◆「玄関あけたらすぐ建屋」の志賀原発を止める裁判に注目を!

あと、志賀原発建設までの闘いのお話も伺った。「珠洲原発は止めれたが志賀原発はなぜ建設されたの?」という人もいるが、志賀原発反対運動も非常に熾烈に闘われてきた。その結果、超危険な志賀原発ができた。

志賀原発の危険性は活断層などもあるが、志賀原発が、海→道路→志賀原発の玄関、そして「玄関あけたらすぐ建屋」の極狭物件になっていることも超危険ではないか。

イラストで説明すると、北陸電力はまずA、B地区の用地を買収しようとしたが、B地区の土地所有者の強い抵抗で買収出来なかった。そのため、予定地をA、C地区に変更したが、C地区の土地所有者の強い抵抗で買収出来なかった。そこで北陸電力は「狭くてもA地区に原発建ててやる」と「ゆっくり不動産」もビックリの極狭物件を建てた。

 
全国でも異例の県道のそばに建設された志賀原発。かつては1、2号機の姿を県道からしっかり確認することができた。今は防潮堤の上に頭を出すだけとなった(北野さんのブログより)https://blog.goo.ne.jp/11kitano22/e/621fdd4f882be0bc4367acb9ec3986de

「テロリストの皆さん、いらっしゃい」みたいな門構え。「志賀原発は県道からすぐ原発がみえるんです。テロ対策なんかできませんよね。そういうところは全国にないですよ」(北野さん)。

ふつうは「Cゲートから不審者侵入」「ピーピーピー」と屈強な警備員がさすまた持ってすっとんでくるが、その時すでにテロリストは建屋の玄関をタッチしましたけど……みたいな。確かに建設当時はテロ問題に喧しくなかったんだろうが。

そう、この志賀原発を廃炉への裁判、原告団長は北野さんだ! 裁判の行方に注目していこう!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

『季節』2024年春号 表紙は関西電力が珠洲原発の立地可能性調査を予定していた区域にある高屋漁港の状況。1月1日の地震後、2メートルほどの隆起を指し示す北野進さん

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年春号(NO NUKES voice 改題)

能登大震災と13年後の福島 地震列島に原発は不適切

《グラビア》能登半島地震・被災と原発(写真=北野 進

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 能登半島地震から学ぶべきこと

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 地雷原の上で踊る日本

《報告》井戸謙一(弁護士・元裁判官)
 能登半島地震が原発問題に与えた衝撃

《報告》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 珠洲・志賀の原発反対運動の足跡を辿る

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 「大地動乱」と原発の危険な関係

《講演》後藤秀典(ジャーナリスト)
 最高裁と原子力ムラの人脈癒着

《報告》山田 真(小児科医)
 国による健康調査を求めて

《報告》竹沢尚一郎(国立民族学博物館名誉教授)
 原発事故避難者の精神的苦痛の大きさ

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表
 命を守る方法は国任せにしない

《報告》大泉実成(作家)
 理不尽で残酷な東海村JCO臨界事故を語り継ぐ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
《検証》日本の原子力政策 何が間違っているのか《2》廃炉はどのような道を模索すべきか

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
すべての被災者の人権と尊厳が守られますように

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈後編〉

《報告》漆原牧久(脱被ばく実現ネット ボランティア)
「愛も結婚も出産も、自分には縁のないもの」311子ども甲状腺がん裁判第八回口頭弁論期日報告

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
本当に原発は大丈夫なのか

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
日本轟沈!! 砂上の“老核”が液状化で沈むとき……

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
松本人志はやっぱり宇宙人だったのか?

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈23〉
甲山事件五〇年目を迎えるにあたり誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈中〉

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
能登半島地震と日本の原発事故リスク 稼働中の原発は即時廃止を!
《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(志賀原発に反対する「命のネットワーク」)
《六ヶ所村》中道雅史(「原発なくそう!核燃いらない!あおもり金曜日行動」実行委員会代表)
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
《東海第二》久保清隆(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
《地方自治》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)

《反原発川柳》乱 鬼龍

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

『紙の爆弾』最新記事がnoteで読める! アメリカが狙うアジアの1兆ドル海洋資源/TSMCが熊本の水を殺す 半導体工場がもたらすPFAS汚染

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。

記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号お得)。

ここでは6月号の注目記事2本の一部を紹介します。

◆岸田訪米の能天気は害悪だ! アメリカが狙うアジアの1兆ドル海洋資源
 取材・文◎浜田和幸(国際政治経済学者、元参議院議員)

 
 

 岸田「忖度演説」をよそに米中駆け引きの新展開

4月に国賓待遇で訪米した岸田文雄首相は同11日、米議会上下両院合同会議において「未来に向けて~我々のグローバルパートナーシップ~」と題して演説を行ないました。この演説はロナルド・レーガン元大統領のスピーチライターからのアドバイスを基に、国際秩序維持への米国の貢献を讃えつつ、民主・共和両党の分断を助長しないように配慮したもの。

岸田首相は幼少期にニューヨークの公立小学校に通った当時の思い出に触れながら、日本と米国が「最も親しいトモダチとして、世界の未来を創造する責任を分担して果たしていきたい」と訴えました。これまでの米国の指導力を称賛し、引き続き米国が国際問題で中心的役割を果たすように呼び掛けたものです。

とはいえ、これでは岸田カラーが印象に残らないどころか、「アメリカ頼み」の感はぬぐえません。11月の大統領選挙を念頭に、米国内の分裂や分断にはあえて目を向けないようにし、日米両国がAI・量子・半導体・バイオテクノロジー・グリーンエネルギーなど次世代を切り開く最新技術の発展において協力する可能性に焦点を当てることに腐心しただけでした。

注視すべきは、こうした分野で米国は中国との連携にも関心を寄せているということです。

というのも、同じ頃に中国を訪問していたイエレン財務長官は「中国と米国で世界を2分すればいい」との大胆な提案を繰り広げていました。日本はあくまで「捨て駒」としか見なされてはいないのです。

バイデン大統領は岸田首相や「ボンボン」の愛称で知られるフィリピンのマルコス・ジュニア大統領をワシントンに招き、中国包囲網の形成に力を注ぐ姿勢を見せてはいました。とはいえ、アメリカの本音はあくまで自国の産業最優先。中国の脅威をことさらに煽ることで、米国製の武器を日本やフィリピンに大量に売りつけることにあることは疑いの余地がありません。

日本では関心を呼びませんでしたが、ワシントンでの日米比3カ国首脳会談の直前には、アメリカのレモンド商務長官一行がフィリピンの首都マニラを訪問し、同国周辺の海洋資源開発のためのファンドを立ち上げることを明らかにしています。

実は、フィリピン沖合の天然ガスや石油などの資源には、中国も日本も前々から大きな関心を寄せてきました。アメリカ政府はこうした資源を中国や日本の資金と技術で開発し、自国のエネルギー企業の利権に直結するように働きかけているのです。

しかし残念ながら、岸田首相にとっては、フィリピンの資源を巡るアメリカと中国の駆け引きは関心外の模様で、情報収集のアンテナが向けられていないことが歴然としました。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nda41dedeaeff

◆TSMCが熊本の水を殺す 半導体工場がもたらすPFAS汚染 
 取材・文◎本誌編集部(【特集】隠蔽される「健康被害」より)

 
 

 なぜ半導体工場はアジアに集中するのか

コンピュータやスマートフォン、家電から車まで、多岐に渡る製品に必要な「産業のコメ」と呼ばれる半導体が、世界で深刻な供給不足に陥っているといわれてすでに久しい。

そうした状況下、「世界最大のファウンドリ(半導体委託製造メーカー)」であるTSMC(台湾積体電路製造)が熊本県菊陽町に進出し、第1工場が竣工。2月24日に開催された開所式には齋藤健経済産業大臣や蒲島郁夫熊本県知事(当時)らが出席した。隣接地には2027年の稼働開始を目指し、第2工場の建設も決定されている。

地元では新駅や高速鉄道建設も計画され、「食堂のパートの時給が3000円」「3000万円の庭付き一戸建てが6000万円に爆上がり」といった景気のいい報道が続き、「空前の半導体バブル」ともてはやされている。

ただし、冷静になって考えれば、いくつかの大きな疑問がわく。

まず、半導体製造が、それほど重要で雇用を生み出し、利益をもたらす産業であるなら、なぜ欧米ではなく中国・台湾・韓国、そして日本に集中するのか、ということだ。

国・地域別に見た場合、半導体の生産能力は、トップの台湾が21.6%、韓国が20.9%、日本が16.0%、中国が13.9%(IC Insights、19年)。実に72%をこれらアジアの国・地域が占めている。米国は12.8%でも、欧州は全体で5.8%にすぎない。欧州は1990年代、世界の半導体産業の44%を占めていたとされる。米国も同時期は37%だった。

半導体製造の主要地は、なぜアジアに移動したのか。その大きな原因が、半導体工場に勤務する労働者を襲った健康被害だといわれる。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n474afde43b23

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