『紙の爆弾』2024年3月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

医師や専門家を中心に昨年設立された「ワクチン問題研究会」が1月11日に開いた会見を取材しました。会見では明快かつ具体的に、いわゆるmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンについて警鐘を鳴らしています。本誌レポートはさらに噛み砕いた解説を試みたものです。現在もコロナウイルスについて、“第10波”や新たな変異株「JN.1」は感染力が強い、といった報道がなされています。しかし会見で村上康文理事(東京理科大学名誉教授)は、「コロナはリスクが非常に低かったと私は思っています。亡くなった人にPCR検査をして、陽性であればコロナによる死としている」と指摘。また新規陽性者とワクチン接種に関する厚生労働省のデータでは、ほとんどの年齢層でワクチン接種者の方が陽性率が高かったという事実が示されています。

厚労省の予防接種健康被害救済制度に基づく申請受理数は1万90件で、認定件数は5965件、うち死者数は423件(1月26日)。約3000件は未審査のため、審査されたうち85%以上が認定されています。もちろんこれは氷山の一角であり、本誌で何度も指摘しているとおり、日本以外の世界中で追加接種はストップしています。感染を防げず危険だと厚労省が認めるワクチンの接種がなぜ続けられているのか。そしてコロナワクチンを「成功」であるとして、mRNAワクチンは、がんやインフルエンザへの応用が目指されています。もはや問題は「コロナワクチン」ではありません。その危険性を解説した本誌レポートは、すべての人々に読んでいただきたい内容です。

自民党裏金事件を契機として解散した安倍派について、本誌に寄稿した政治評論家の本澤二郎氏は「検察と官邸の国民を欺く策略」と指摘。本澤氏は1月8日に自宅が火災に見舞われた故・田中角栄元首相との関係を起点に“安倍・清和会”とは何かに迫ります。裏金事件では、その役割を果たさない検察組織にも、追及を向けるべきです。

能登半島で起きた地震被害に対する岸田政権の対応の遅さが、東日本大震災・熊本地震における発生直後の復旧スピードと比較され、「岸田政権は菅(直人)政権、安倍政権以下」との指摘がなされています。これに対し、地形の条件が加味されていないといった反論がなされているものの、そうであればこそ、愛媛県の伊方原発をはじめ「半島の原発」の巨大リスクが注目されるところです。ただし、「半島」を加味しても今回の対応は遅すぎるようです。

国の意向を大学運営に直接反映させる国立大学法人法改悪。「稼げる大学」というと、以前は企業に好都合な人材を輩出するイメージだったと思うのですが、すでに大学自体、それも国立大学が稼ぐことを考えるような事態です。大学教員・学生らが猛反発する中、日経新聞昨年12月18日付記事は「稼げる大学はだめなのか 科学研究に『楽園』なく」。高学歴層の多くがこの問題に無関心なのはいったいなぜなのか。自分たちが取り組んだ「学問」が国や企業に売られてしまうことになぜ危機感を持たないのかが疑問です。

その他今月号では、前号に続き「ゲノム編集食品」の危険性を専門家の意見をふまえレポート。1月の台湾総統選や、アメリカ大統領選についても、他メディアで報じられない事実をお伝えしています。全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

『紙の爆弾』2024年3月号

電通・靖国・笹川財団・CIA 安倍派とは何か
「首相は自分のことしか考えていない」岸田派解散の舞台裏
躍進するロバート・ケネディ・ジュニア アメリカ大統領選挙の実相
民進党勝利で改めて問う 米国仕込みの虚構の台湾有事
東京五輪は東日本復興を遅らせた 能登半島地震でも維新「万博固執」の大愚
「司法の偏向」で形骸化する「三権分立」辺野古代執行訴訟が孕む三つの大問題
重信房子氏が語るパレスチナ・ハマース「決起」の理由
3回接種で特定のがんが多発 ワクチン問題研究会が明かす「メッセンジャーRNA」の真実
企業が学問・教育を崩壊させる第二の日本学術会議問題 国立大学法人法改正
権力による教育内容への管理統制強化 加速する「教育デジタル化」の陥穽
問われる「こども家庭庁」委員の関与「ベビーライフ事件」と国際養子縁組の闇
高GABAトマト、マッスル・マダイ、ウイルス耐性ブタ……「ゲノム編集」は生態系も人類も損壊する
「松本人志」「旧ジャニーズ」で見えた変わらぬ大手メディアの忖度体質
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2023年の重大ニュースTop25
シリーズ 日本の冤罪47 鶴見事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTMNC4ZD/

「イエロージャーナリズム」のどこが悪い!? 鹿砦社代表 松岡利康

昨年3月7日の”黒船”襲来(つまり英公共放送BBCによるドキュメント放映)以来、わが国の芸能界のみならず社会全体が震撼させられている。言うまでもなく、これまでわが国芸能界を支配してきたジャニーズ帝国の崩壊である。これはその後、宝塚歌劇団の若き劇団員の自死、さらにダウンタウン松本による「性上納」問題へと拡がった。どれもまだ現在進行形で終わりが見えない。

 
『ジャニーズ帝国 60年の興亡』鹿砦社編集部=編

1995年、ジャニーズ事務所による理不尽な出版差し止めによって惹起されたスキャンダル暴露攻勢を始めた際には、まさかここまで来るとは想像だにしなかった。かつてベルリンの壁崩壊が東欧の民主化、そうして巨大なソ連崩壊へと繋がったことを想起する。何度も繰り返して言ってきたが、蟻が象を倒すこともありえ、また針の一穴がダムを崩壊させることもありえるということだ。

四半世紀余りも前からジャニー喜多川による未成年性虐待(当時の言葉で言えば「ホモ・セクハラ」)やジャニーズ事務所による理不尽な芸能界支配を批判、告発してきたわれわれとしては、やはりその〈集大成〉、あるいは〈総決算〉を行う必要がある。

しばらくは事態の推移を眺め、マスメディアからの取材協力要請に協力しつつも、途中からそれに違和感を覚え、『文春』よりも以前から立て続けにスキャンダル暴露に務めてきた立場は、これだけでも自負できることで、今夏から急遽集大成的な書籍をまとめる作業に集中した。

私は長年の不摂生が祟り目の疾患で編集実務が十分にできなくなり編集者としては役立たずになっているが、そうも言ってはおれず執念でことに当たった。

そうして世に送ったのが『ジャニーズ帝国60年の興亡』だ。A5判、2段組み、320ページの大部の本になった。東京新聞紙上で斉藤美奈子さんが「労作」と正当に評価してくれた。他にも幾つか正当に評価してくれた記事を見た。

『東京新聞』2023年11月22日付け

ところで、鹿砦社に対して斉藤美奈子さんにしても栗原裕一郎氏にしても「イエロージャーナリズム」といったイメージで見てきたようだ。2人ともみずからそう言っている。「イエロージャーナリズム」の対極に立派な本来の「ジャーナリズム」なるものがあるのかわからないが、立派な本来の「ジャーナリズム」がこれまでジャニー喜多川による未成年性虐待を放置し隠蔽してきたことに比べればマシだと思う。

また、栗原氏は「小出版社の孤独な奮闘が見直されることにもなった」と評価する一方で、「夥しく出版されたジャニーズ関連本にも怪しげなものが多い」とも詰る。これらジャニーズ関連本、とりわけスキャンダル系、告発系のものには直接私がすべてにわたり精魂込めて編集に関わったので、一冊たりとも「怪しげなもの」はないと自認する。

『週刊読書人』2024年1月5日号

思い返せば、ジャニーズ関連本にも、パチスロ界の雄・アルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)に対する本(4点)でも、さらに大学院生リンチ事件(しばき隊リンチ事件)に対する本(6点)でも、力を抜いたものはなく、生来鈍愚な田舎者である私は精魂込めて「奮闘」した。

その〈返り血〉は、決して小さくはなかった。逮捕・勾留(192日)もされ有罪判決も受けた(このことにより新規の銀行口座も作れなくなった。複数の金融機関を提訴し争ったがすべて敗訴)し巨額な賠償金も支払った。賠償金含め訴訟費用は1億円を越す。安全圏から、あれこれ講釈を垂れるのではなく、みずからが当事者となり身銭を切って「奮闘」してからものを言って欲しいものだ。

鹿砦社のアルゼ告発書籍

いわゆる「イエロージャーナリズム」には「イエロージャーナリズム」の意地がある。元々「芸能人にはプライバシーはない」とする私(たち)にとって、芸能人のプライバシーを時に侵害するのもやむをえない。芸能人たる者、みずからそういう職業を選んだのだから──。

最近、同世代の死が相次いでいる。齢72、もうわれわれの時代ではない。『ジャニーズ帝国60年の興亡』は、私の拙い出版人生の〈集大成〉の一つである。

今、まことしやかで、きれいな言論が増え、「怪しげな」「イエロージャーナリズム」はほとんど見当たらなくなった。そうした中で「孤独な奮闘」をするのもおつなものだ。われながら特異な出版人生だったな(苦笑)。

(松岡利康)

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

『紙の爆弾』2024年2月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

昨年末に勃発した自民党の裏金疑獄は、安倍晋三内閣の閣議決定で定年延長された黒川弘務・東京高検検事長が検事総長に就いていれば、東京地検は動けなかったものと思われます。それを阻止したのは文春砲の“賭け麻雀”でした。

安倍元首相は国会で「私は何度も告発されたが立件されることは一度もなかった」と豪語。その自信の裏には“根拠”があったことがわかります。だとすれば、安倍独裁のさらなる検証の必要性も、あらためて浮かび上がってくるところです。さらにいえば、元NHK記者の岩田明子氏による「安倍元首相が派閥会長当時に対応を指示していた」との“スクープ”も、自民党・検察・メディアの関係から読み解くべきです。

安倍元首相暗殺事件はすでに一昨年。これをきっかけに旧統一教会と自民党の癒着が「マスメディアの沈黙」から解き放たれたなかで、自民党と公明党の連立にも大きな影響をもたらしたことを、本誌記事で明かしています。この暗殺事件から、裏金疑獄による安倍派、ひいては自民党の“崩壊”が、一連の“流れ”の上にあることは間違いありません。

「大阪・関西万博」をてこに導入に向け加速する「ライドシェア」。十年前、安倍晋三首相も乗り気だった米ウーバー参入が「規制の壁」により失敗したのはよく知られるところ。当時と今で何が違うのかは不明で、むしろ「ウーバーイーツ」でさまざまな問題が顕在化してきました。

本誌記事でも述べられているとおり、ライドシェアで考えるべきは利便性ではなく労働環境全体にもたらす影響です。当たり前に働き、当たり前に生きるというのが、すでに困難な社会。一攫千金を狙うホストが女性たちを搾取、そのホストたちも搾取されている、という状況の背景にあるのはそれではないか、うわべだけ規制しても無意味では、との思いはぬぐえません。だとすれば、「失われた三十年」は「奪われた三十年」といえるかもしれません。

一方で、それまで地道に積み重ねてきた議論を無視し、欧米から借りてきた価値観を日本社会に塗り込めるようなことが、あちらこちらで行なわれています。それに対抗するものが「多様な言論」であるはずですが、出版予定の翻訳本を発売中止としたKADOKAWAの判断には、疑問を呈さざるをえません。同書に投げかけられた批判の内容こそ、重要な議論の対象であったことは、論を俟ちません。言論・出版そのものの現代的意義こそが問われているのだといえます。

さらに、今月号で特に注目すべき記事が「イスラエル閣僚が語ったパレスチナ侵攻の目的と思想」。イスラエルの財務大臣兼国防省内大臣が、パレスチナ差別を堂々と語るその内容を、レポートしています。昨年12月号では、イスラエルによる侵攻が宗教戦争ではないこと、1月号ではその裏にある利権の存在を指摘しました。それらとともに、イスラエルがパレスチナで何をしようとしているのかを、明らかにするものです。

ほか、「ゲノム編集食品」の危険性に関する専門家による解説や、宝塚歌劇団の闇など今月号ももりだくさんの内容をお届けします。「紙の爆弾」は全国書店で発売中です。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年2月号

『紙の爆弾』2024年2月号

すでにバイデンを見限った習近平「米中対立」の真実と真相
岸田総裁は党解散届を総務相に今すぐ出せ!
自民党裏金疑獄事件でも「マスメディアの沈黙」
“裏金総辞職”で麻生太郎が復権財務省が主導するポスト岸田シナリオ
KADOKAWA出版中止事件の背景 少女たちの乳房切除を止められるのか?
米オスプレイ墜落で再び見えた「日本の屈辱」
「“パレスチナ人”というものは存在しない」
イスラエル閣僚が語った“パレスチナ侵攻”の目的と思想
非米か親米か、決断の時 “自民党崩壊”の先に米国の策略
繰り返される「政治資金不記載」「選挙違反」政治家はなぜ法を守らないのか
加速するフードテック・ビジネス
脳も免疫系も破壊する危険だらけの「ゲノム編集」
「ジャニーズの次はAKB48」終わらない“性加害問題”と芸能界メディア癒着
ジェンヌ自殺事件を招いた宝塚歌劇団の闇の最奥
相次ぐ“巨大教団ドン”の死去
池田大作の死で「宗教と政治」は変わるのか
アベババと約100人の盗賊
シリーズ 日本の冤罪46 奄美大島女性殺人事件
連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

梓加依・著『広島の追憶』が神戸新聞12月16日朝刊で紹介されました! 鹿砦社代表 松岡利康

梓加依・著『広島の追憶』が神戸新聞12月16日朝刊で紹介されました。

2023年12月16日付け神戸新聞朝刊

著者とは長い付き合いで、その最初の書『豊かさの扉の向こう側』を出版し著者を世に送り出したのが鹿砦社でした。

まだ20世紀、1990年代初めのことでした。最も鹿砦社らしい(?)本です。

ウクライナ、パレスチナの戦火に心が痛む昨今、大人にも子どもにも一緒に読んでいただきたい書です。

(松岡利康)

【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

《BOOK REVIEW》『紙の爆弾』1月号の注目記事 イスラエルのガザ侵攻の背景に、エネルギー利権! 横山茂彦

いつも論評できる範囲でレビューを書いています。

『紙の爆弾』1月号のスクープというか、解説記事で、思わず「おおっ! そうだったのか」となったのが、浜田和幸氏の「ガザはなぜ狙われるのか イスラエル暴虐の隠された”真相”」でした。

今回のガザ侵攻で、日本人の大半は、第一次大戦後のイギリスによる二枚舌外交(アラブの独立とイスラエル建国)を知り、紛争の根深さに嘆息したはずです。しかし、侵攻の背景に、石油・天然ガスの権益確保があったとまでは、まだ報じられていなかった。

その前にひとつ、ネタニヤフ政権の思惑として、ハマスの壁越え攻撃があるのを知っていた(情報機関モサド)というのがあります。まず先制させておいて侵攻する、というのがシナリオだったのは明らかです。ただし、1000人以上が犠牲になり、200人を超える人質は想定外だったのではないでしょうか。

おそらくイスラエルの計画は、ハマスを壊滅させる過程で、徹底的にパレスチナ人を南に避難させ、シナイ半島(エジプト領)まで追いやる。

そしてそこにパレスチナ国家を独立させ、ヨルダン川西岸のパレスチナ人、レバノンほかに難民としているパレスチナ人も、そこに集約する。これで75年もの長きにわたる「パレスチナ紛争」を最終的に解決する、というものです。じつはネタニヤフの第一次政権(96年~)のときに、この案は浮上していました。

◆パレスチナ解放闘争の消滅か イスラエルの消滅か

ただし、シナイ半島の割譲にはエジプトが反対しているので、すんなりと行くわけではありません。浜田さんのレポートでは、モサドが事前に「パレスチナ住民を残らずエジプトに移住させること」が最終ゴールとして明記されているとのことです。

記事では、このほど亡くなったキッシンジャーの「予言」にも触れられています。それによると「イスラエル滅亡」のキーワードは「カネ」だという。浜田レポートは、さすがに元参院議員で国際経済学者らしい政策提言もあり、読んで得する内容です。

◆万博・カジノで崩壊する維新

これまた見出しで惹く、横田一氏のレポートです。世界最大級の木造建築物がウリの大阪万博ですが、釘をつかわない伝統工法というのは、どうやらウソらしい。いやそれよりも、そもそもあの木造リングは、万博後に転用できるものなのでしょうか。

東京オリンピックの競技場建設もそうでしたが、財政規律がなさすぎます。予算内に収まらないのであれば、工事を縮小するとか、見積もりをつくった人間が自腹で補填するとか、ちゃんと責任をとれよというのが、国民の実感ではないでしょうか。プロ意識がなさすぎます。

そこで、横田さんは吉村知事に訊いてみた。「クラウドファンディングを検討してみたらどうか」と。吉村知事の回答は開き直りとすり替えでした。そして維新の化けの皮がはがれたのでした。

そもそも酒の席で始まったのが、大阪万博だった(松井一郎が安倍晋三にお酌しながら提案)というのには驚かされました。まさに最高権力者にすり寄って、寄生虫のように利権に群がる、維新政治の終りが始まったというべきでしょう。

◆ドミノ崩壊する岸田政権

もう大変ですね、岸田文雄さん。支持率が20%台の前半と危険水域におちいり、安倍派を切らざるをえない政権危機です。総選挙に打って出る専権事項も、いまやれば大敗が目に見えています。いや、その前に岸田おろしに遭うでしょう。

山田厚俊氏のレポートは、まさに崩壊過程にはいった岸田政権、およびポスト岸田の女性議員たちを論評したものです。政局では久しぶりに小泉進次郎がポスト岸田に浮上しているとか。山田さんも自民党の下野を提案するひとり。なかなかおもしろくなってきました。

◆「週刊金曜日」創刊30周年に、弁護士の腕章をした警備が……

『紙の爆弾』1月号の増刊で脱原発季刊雑誌『季節』2023年冬号に、久しぶりに板坂剛のレポートが掲載されました。さすがに作家さんの文章はよみやすく、感性にあふれた躍動感があります。というのも、それが「週刊金曜日」の創刊30周年記念集会の現場レポートを含んでいるからです。

「週刊金曜日」のような雑誌にはありがちな、読者や批評者の異見を封じるために、質問を封じる文章がプログラムに印刷され、その中には「司会進行の妨げになる行為は、ご遠慮いただきますようお願いします」とあったそうです。

そして物理的にも、弁護士と書かれた腕章をした男が、不気味なオーラを発しながら立っていたというのです。

じつは筆者も「週刊金曜日」とは因縁浅からぬ仲で、かの『買ってはいけない』が200万部の大ヒットをしたときに、批判本『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房=40万部)を出版し、それが機縁で当時の松尾編集長から取材の仕事を仰せつかったものです。

その頃は、週刊金曜日主催の集会といえば、会場が満席(つねに1000~2000)でした。ところが、板坂さんのレポートでは、一ツ橋ホールの会場(定員802人)の席が半分も埋まっていなかったようです。

『買ってはいけない』で得られたファンド(推定10億円)が枯渇し、社員が賃下げに応じるだとか、事務所移転を余儀なくされるとか、昨今は芳しい話が聴けません。鹿砦社の広告を不掲載(裏返しの原論封じ)については、すでに批判しましたが、腐っても鯛の心意気で、頑張ってほしいものです。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年冬号

《書評》松永平太著『笑って、食べて、愛されて 南房総、在宅看取り奮闘記』〈4〉それぞれの専門性や活動によって切り拓く未来 小林蓮実

前回、「無色透明のごちゃまぜケア」と記した。これは、松永氏いわく、「医療と介護と福祉、地域が一体となって、みんなでそこに暮らしているお年寄りを支えるという意味」とのこと。そして、その先にある最期のために必要といわれているのがACP(Advance Care Planning)と呼ばれるもので、「人生会議」「終活」ともいわれる。

そのために松永氏が施設に入っている人や容態の急変があり得る高齢者に確認する1つ目のことが、人生の最期を過ごしたい場所だ。そして2つ目が、心臓マッサージや人工呼吸器、ECMO(エクモ)などによる治療を望むかどうか。3つ目が、経管栄養法を望むかどうかだという。

 
松永平太『笑って、食べて、愛されて 南房総、在宅看取り奮闘記』(幻冬舎)

◆最高の最期の迎え方

その場合、わたしなら動けなくなる直前までは自宅、動けなくなる直前に田畑を手がけている農地の向こうにある山の奥深くに移動し、最期を迎えたい。経管栄養法はもちろん、無理のある治療も受けたくない。このようなことは誰か、特に医師に伝えておかなければ実現しないだろう。普通は伝えておいても実現しないかもしれない。そもそも山の中で死なせてもらうことは難しそうだが。

松永氏は、高齢者本人の意思を最大限にくみ取ろうとする。これは、医師にとっても本人にとっても家族にとっても重要だが、困難が伴うものだろう。また一般的に家族などには、できるだけ生命を維持してほしいと感じがちなので、本当に難しい問題だ。ただし松永氏がいうには老衰の場合には点滴などの医療介入をしなければ苦しまないとのことなので、これは広く知られるとよいだろう。

また、松永氏は、「QOLを上げてQOD(Quality of death)を求める」という。現在では家で最期を迎えることが珍しいものになってしまったが、本人・家族に「家で看取る・看取られる覚悟」があれば可能だと述べる。また、子どもが都会に暮らしていても、最期は家族全員を呼び出すそうだ。

「最後の1週間で親孝行をほどよく楽しみながらやり切って、思い出に囲まれたなかで親を看取る、これができれば最高」「地域医療とは、優しく地域へ突き返すことでもあります」と松永氏はいう。

◆日々の活動から生まれる幸福感

ただし、国連の「World Happiness Report 2023」によれば、幸福度ランキング1位はフィンランド、2位はデンマーク、3位はアイスランド、4位はイスラエル、5位はオランダとなっている。日本は47位だ。

また、内閣府による2023年版の「高齢社会白書」によれば、「総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は29.0%。65~74歳人口は1,687万人、総人口に占める割合は13.5%。75歳以上人口は1,936万人、総人口に占める割合は15.5%で、65~74歳人口を上回っている」という。

それでは、どうすれば、地域の高齢者やわたしたちは、幸福感を抱いて暮らしていけるのだろうか。社会をよりよく変えていくことは必要だ。そのいっぽうで、足もとの生活を誰もが「笑って、食べて、愛されて」生きていけるものに変えていくことも、とても大切なこと。できるかぎり人の役に立つことは、人から求められることにも結びつく。助け合い、刺激し合える、つながっていけるシステムを確立することも重要だ。

そのようななか、松永医院のある千葉県南房総市千倉町平舘では、コミュニティ集会所にて「区民の茶の間」という活動が行われ、市の支援を受けながらYouTubeチャンネルを運営したり、「チャンネルの会」を結成して区民の一部が参加費を支払いながら山の整備を行ったり、子ども会や青年会も参加して田植えや稲刈りのイベントも開催している。

さまざまな活動が評価され、「区民の茶の間」は厚生労働省のスマート・ライフ・プロジェクトが運営する2018年の「第7回健康寿命をのばそう!アワード」にて、厚生労働省老健局長 団体部門 優良賞を受賞。

また、公益財団法人 日本国際交流センター主催の「アジア健康長寿イノベーション賞2022」では、南房総市千倉町平舘区、千葉大学医学部附属病院患者支援部、松永医院、富浦エコミューゼ研究会(千葉県)の「高齢者が主役!受け継ぐ地域の活力」という活動が最優秀事例の1つに選ばれた。アジア健康長寿イノベーション賞」においては、都内で授賞式が開催された後日、受賞者を中心とする訪問団が平舘区を訪れ、歓迎会に参加し、地域の農地などもまわったのだ。

受賞は決して重要ではなく、ゴールでもないが、地域の多くの人がそこに参加しているという実績が評価されたものだろう。

◆地域の魅力を未来に引き継ぐための、100年後、500年後からの逆算

個人的には、松永氏が口にするような、医療を産業として捉えることには反対だが、医療や介護の制度を持続可能なものとするため、必要なことは多々あるだろう。彼は「100年経っても生き残っている地域にしなければならない」というが、先日、大山千枚田保存会の20年記念イベントに参加した際にも、後継者問題は待ったなしという全国に広がる問題に触れずに進行されることはなかった。松永醫院では今後、看護小規模多機能サービスの施設開業の計画もあるそうだ。

今後、地方にとって必要なことは、やはり地域の魅力を守りながら経済とは別の文脈で可能性を拡大するような移住者を増加させること。そして、家制度の外側に、ゆるやかで心地よいつながりからなる助け合いのコミュニティを育むことが大切であるように思う。

わたしは農地を次々と引き継いでいるので、それを「農暮らし寺子屋 コモンズ名戸川原(地域にある田園エリアの名)」という形で発展させることを計画しようとしている。また、地域からのリクエストのあった八百屋、配食サービスを実現するため、キッチンカー事業の開業も予定しているのだ。そこで、移住や暮らし、パソコンや国語・日本語の悩みを解決するための駆け込み寺としても機能させることを考えている。

とりあえず、都会から訪れる会員さんの滞在先として隣の行政区の空き家を管理し、地域の人とも交流してもらっている。また、支援のサービスを手がけたい移住希望の若い夫妻、反対に2人の支援が必要な子どもを育てる移住希望のシングルマザーなどの支援も継続中。個人的に重視していることは、助け合いシステムの確立だ。それが未来の自分を救うことにもつながるだろう。

特に、Uターンや移住者は、あえて地域を世界一大切にしたい場所と考えて移り住んでいる。そのなかには、さまざまな活動に携わる仲間も多くいるのだ。その1人ひとりがそれぞれの専門性も生かしつつ、地域の高齢者も、将来の自分たちも心地よく暮らし、自然な形でここを去ることができるよう、わたしたちがつながってできることは、いろいろあるはずだ。

個人的に内房エリアのオリーブ栽培にも時々、参加しているのだが、オリーブも樹齢500年の木が世界に多くあるという。わたしも500年後の未来に地域の魅力を引き継いでいけるよう、そこから逆算した活動を重ね、日々を送りたいと常々考えている。(完)

◎地域医療の最先端モデルに学ぶ ──《書評》松永平太著『笑って、食べて、愛されて 南房総、在宅看取り奮闘記』

〈1〉笑顔で自分らしく生き、自宅で人生の最期を迎えるための地域医療
〈2〉命を輝かせ、独りぼっちにさせないための施設と取り組み
〈3〉看護師の言葉から辿る実践の「奇跡」
〈4〉それぞれの専門性や活動によって切り拓く未来

▼小林 蓮実(こばやし・はすみ)
1972年生まれ。フリーライター。現在、自然農に近い畑、不耕起栽培から多年草化を目指す田んぼを手がける。また、食と農の問題に関し、継続的に調査中。月刊誌『紙の爆弾』12月号に、「放射線育種米から誕生した『あきたこまちR』が開く 食と農業の悲劇的な最終幕」寄稿。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

『季節』2023年冬号刊行にあたって ── 闇の深い時代に、本誌はあえて闇の深淵に足を踏み入れ、光明を発掘します 季節編集委員会

人間の歴史は、海岸に打ち寄せる波のように、行きつ戻りつするしかないのでしょうか。科学技術は進歩一途如き様相を呈していますが、技術の進歩を産み出す人間の思想や行動が、進歩を遂げているようには到底思えません。むしろ私たちが目にしてきた二十世紀後半から二十一世紀前半の世界は、 総体ではないにせよ人間の「退行」を示してはいないでしょうか。

自然科学により、完全に解明された 「絶対的な毒性」が明らかな放射性物質に、人間は可能な限りそれらに近づかず、環境へ漏れ出たならば可能な限り局所に封じ込め、それでも制御できないのであれば避難をする。1986年ソ連ではチェルノブイリ原発事故が起きたあと、その原則は(完全ではないにせよ)履行されました。

他方2011年に日本で起きてしまった福島第一原発爆発事故の後、日本政府は被ばくから国民を守ることを放棄し、被ばくを強要する政策に終始した感があります。今日では「福島第一原発事故などなかったことにしよう」との隠蔽政策に全力を注いでいます。

「東京五輪」は、東北の復興を謳い文句に使い誘致されました。「五輪と復興に何の関係があるのか」本来招致活動が起こった時点で国民は疑問を強く持つべきでしたが、政府・マスコミ・経済界一丸となっての東京五輪はCovid-19の爆発的感染拡大により一年延期されたものの、ご記憶の通り強行開催されました。

そして 「汚染水」 はいつのまにか 「処理水」と呼び変えられています。異常以外のなにものでもありません。

福島第一原発事故後の「被ばく」強要は、明確な意図に起因しているのではないか、との疑問。その明確な証拠がついに明かされました。事故後「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」に着任し、福島県民を欺く役割を果たした山下俊一を井戸謙一弁護士が法廷で証人として尋問したのです。その結果極めて重要かつ驚くべき数々の事実が明らかになりました。今号の井戸弁護士へのインタビューは必見です。日本の商業新聞・雑誌の中でこの事実を採り上げるのは本誌だけでしょう。

昨年のロシアによるウクライナ侵攻に続き今年はイスラエルによるパレスチナ侵略・大虐殺が進行しています。いずれも歴史の文脈を直視することなしには理解しえず、また分析のできない戦争です。そして戦争には常に偽りの扇動や報道が旗頭の役割を担います。

原発を基軸に時代や世界を凝視すると根源に巣食う文明の病があぶり出されます。2023年は益々文明の病が顕在化した年であったようです。世界も日本国内も相変わらず「脱炭素」との虚言に踊り、日本ではGX法(原発推進法)まで成立してしまいました。闇の深い時代に、本誌はあえて闇の深淵に足を踏み入れ、光明を発掘します。

2023年12月 季節編集委員会

『季節』2023年冬号

〈原発なき社会〉を求めて集う
不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2023年冬号

通巻『NO NUKES voice』Vol.38
紙の爆弾2024年1月増刊
2023年12月11日発行 770円(本体700円)

2024年の大転換〈脱原発〉が実る社会へ

《グラビア》
「東海第二原発の再稼働を許さない」11・18首都圏大集会(編集部)
福島浪江「請戸川河口テントひろば」への道(石上健二)

《インタビュー》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
必要なことは資本主義的生産様式の廃止
エネルギー過剰消費社会を総点検する

《インタビュー》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」と「311子ども甲状腺がん裁判」
法廷で明らかにされた「被ばく強制」 山下俊一証言のウソ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
【検証】日本の原子力政策 何が間違っているのか〈1〉
無責任な「原発回帰」が孕む過酷事故の危険性

《報告》木原省治(「原発ごめんだ ヒロシマ市民の会」代表)
瀬戸内の海に「核のゴミ」はいらない
関電、中電が山口・上関町に長年仕掛けてきたまやかし

《報告》山崎隆敏(元越前市議)
関電「使用済燃料対策ロードマップ」の嘘八百 ── 自縄自縛の負の連鎖 

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
反原発を闘う水戸喜世子は、徹底した反権力、反差別の人であった
[手記]原発と人権侵害が息絶える日まで
       
《インタビュー》堀江みゆき(京都訴訟原告)
なぜ国と東電に賠償を求めるのか
原発事故避難者として、私が本人尋問に立つ理由

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
原発賠償関西訴訟 提訴から10年
本人調書を一部公開 ── 法廷で私は何を訴えたか?

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈前編〉

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「核のゴミ」をめぐる根本問題 日本で「地層処分」は不可能だ

《報告》原田弘三(翻訳者)
「気候危機」論の起源を検証する

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
汚染水海洋放出に対する闘いとその展望

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
フクシマ放射能汚染水の海洋廃棄をめぐる2つの話題
映画になった仏アレバ社のテロリズムと『トリチウムの危険性探究』報告書

《報告》板坂 剛(作家・舞踊家)
再び ジャニーズよ永遠なれと叫ぶ!

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈22〉
甲山事件50年目を迎えるにあたり
誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈上〉

再稼働阻止全国ネットワーク
岸田原発推進に全国各地で反撃中!
沸騰水型の再稼働NO! 島根2号、女川2号、東海第二
《東海第二》小張佐恵子(福島応援プロジェクト茨城事務局長/とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち/「ひろば」共同代表)
《東京》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(命のネットワーク)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
《中国電力》高島美登里(上関の自然を守る会共同代表)
《川内原発》向原祥隆(川内原発二〇年延長を問う県民投票の会事務局長)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

書=龍一郎

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

『紙の爆弾』2024年1月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

パレスチナ・ガザで続くイスラエルの暴虐。11月下旬に一時停戦するも、12月1日にはイスラエル軍の攻撃が再開し、死傷者を増やし続けています。前号(12月号)では「中東戦争」と1993年のオスロ合意、およびイスラエルによる合意無視の経緯を振り返った上で、これが宗教紛争ではないことを指摘しました。そして1月号では、なぜか報じられない、ガザに眠る「利権」の存在を明かしました。これを狙うのはイスラエルだけでなく、大国や多国籍企業も、裏側で争奪戦に関与しています。

こうして“真相”に具体的に迫っていくことこそ、反戦を求めるにあたり重要だと考えています。一刻も早い停戦が求められるロシア・ウクライナ戦争においても、2022年10月にトルコで両国間の停戦に向けた非公開協議が行なわれていたものの、米国の横槍が入り進展を阻止されたこと、また同年9月のロシアの海底パイプライン「ノルドストリーム」爆破事件にウクライナ軍幹部が関与していた可能性など、裏側の事実が次々と明らかになっています。23年2月には、マイダン革命の仕掛人のひとり、ビクトリア・ヌーランド国務次官が「戦争目的はクリミア半島の奪回とロシアのレジーム・チェンジ」と発言。ロ・ウの戦争が米国主導であることを堂々と述べました。ほかにもさまざまな“真実”を、本誌今月号で詳述しています。

12月号で札幌五輪について解説した本間龍氏は、札幌五輪招致断念の背景に東京五輪の失敗を指摘。一方で本間氏は、ジャーナリスト・今井一氏とのユーチューブ「一月万冊」で、大阪・関西万博の開催費用爆上がりの背景に、東京五輪の成功体験があると喝破しています。正しい判断をした札幌五輪と、誤った道を驀進する万博。東京五輪は市民にとって失敗、政治家にとって成功だったということでしょう。万博とカジノが、維新の化けの皮と次々とはがしています。11月27日には、政府が350億円の「大屋根」を含めた2350億円の会場整備費とは別に「日本館」など837億円を国費負担することが明らかに。3度めの上振れで総額3187億円は、まるで金を使わないと損だと言わんばかりです。際限なく予算が増額されるのは、やはり東京五輪の成功体験からです。

11月18日にその死が発表された、池田大作・創価学会名誉会長。実際に死去したのは3日前の15日。創価学会第2代会長・戸田城聖氏のときには12万人の学会員を集めた通夜・告別式後に火葬したのに対し、今回は「家族葬」で、死から3日後の火葬。池田氏の死はかねてから“Xデー”といわれ、死亡説も流れてきただけに、大きな違和感を持たれています。その背景と、池田氏の“罪過”にも、今月号でレポートしています。

2022年の旧統一教会、2023年のジャニーズ・宝塚と、これまで見過ごされてきた重大な問題に焦点が当たることは良いことでも、報道がそれ一色になることへの危惧も、同時に感じています。その裏で、やはり議論がされない重要問題も多数あります。今月号のWHO(世界保健機構)が狙う「パンデミック条約」や日本版DBSの危険性がまさにそれで、本誌として今後も問題提起を続けていきたいと思います。今月号も、ご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

12月7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年1月号

『紙の爆弾』2024年1月号
ガザはなぜ狙われるのか イスラエル暴虐の隠された“真相”
【条文解説】国家の主権を奪うWHOの医療独裁「パンデミック条約」「IHR改定」の危険な中身
なぜ「ただちに火葬」されたのか 創価学会・池田大作という「虚像」を暴く
「大阪・関西万博」予算倍増でも強行 万博・カジノで維新は自滅する
本誌に届いた“告発” ジャニーズとフジテレビの「主従関係」
5派閥に政治資金規正法違反の疑いも “ドミノ崩壊”する岸田政権と自民党
新藤義孝大臣の“買収”疑惑で注目 政界に横行する公金「コンパニオン宴会」
米欧の国際プロパガンダを超克する「クリミア友人会議」
これが「敵基地攻撃能力」の現実だ 米国が迫る「核共有」と自衛隊“核”武装化
ウクライナ戦争を仕掛けたネオコン勢力の正体
“子どもへの性犯罪者”の情報公開「日本版DBS」が暗示する未来
政権と最高裁が圧殺した「もの言う裁判官」岡口基一判事を罷免訴追した「弾劾裁判」の異常
イスラエルという「ナチオニズム国家」
静岡県沼津市「駐車場」「タケノコ」問題の真実を明かす
シリーズ 日本の冤罪45 波崎事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

ジャニーズとタカラヅカ 最近出版した2冊の書籍が話題沸騰です。28年間の私たちの出版活動がようやく日の目を見ました! 鹿砦社代表 松岡利康

本年はわが国芸能界にとって激動の一年でした。ご承知のように、長年芸能界に君臨してきたジャニーズとタカラヅカに激震が走り屋台骨から大きく揺れています。

ご承知の方もおありかと思いますが、私たちは1995年以来28年間に渡りジャニーズとタカラヅカの問題に対して小なりと雖も真正面から立ち向かってきました。

私たちの小さな声も掻き消されるか、と思っていた矢先、ジャニーズは英国公共放送BBCによるドキュメント、タカラヅカはイジメで追い詰められた劇団員の自殺によって、両方とも解体的危機を迎えています。ここは徹底的に膿を出し切らないといけません。

28年という長年の取材と出版活動によって培ってきた鹿砦社の書籍2点を緊急出版いたしました。28年という重みは、これまで長年ジャニーズやタカラヅカの問題を放置、隠蔽しながら、軽々しく発言するマスメディアとは一味違うものと自負いたします。ご購読のほど、よろしくお願いいたします!

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[復刻新版]ドキュメント タカラヅカいじめ裁判 ── 乙女の花園の今

山下教介=著 B6判、カバー装、200ページ 定価1650円(税込み

遂に死者が出た!「清く 正しく 美しく」の〝秘密の花園〟でささやかれてきたいじめ ── このたび起きた歌劇団員飛び降り自殺の源流はいじめ裁判にあった!

本書で、かつて起きたいじめ裁判を追及、警鐘を鳴らした。本書が今ふたたび注目されている中で、これ以上の悲劇が起きないようにとの願いを込めて緊急に復刻出版する!

旧版は2010年発行、今回の「復刻新版」では、当事者の元音楽学校生徒がタカラヅカを離れた後、突然AV販売発表(直前に取り止め)、ヘアヌード写真集発売を行い私たちを驚かせた「その後の顛末」を加えた。 11月16日発売!

山下教介著『[復刻新版]ドキュメント タカラヅカいじめ裁判 ── 乙女の花園の今』

 

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ジャニーズ帝国60年の興亡
 
鹿砦社編集部=編 A5判、320ページ、カバー装  定価1980円(税込み)

少年愛の館、遂に崩壊! ジャニーズ問題追及28年の執念、遂に実る!

本年(2023年)3月7日、英公共放送BBCが、わが国だけでなく全世界に放映した故ジャニー喜多川による未成年性虐待のドキュメント映像が話題を呼び、これをきっかけに、ジャニーズ問題が報じられない日はない。

本書は28年に及ぶ対ジャニーズ問題取材と出版活動の〈集大成〉としてジャニーズ60年の詳細な歴史をあますところなく記述し、これ一冊でジャニーズの歴史がすべて解るようにした。今では貴重な資料も復刻・掲載、ジャニーズの60年の出来事を直近まで詳細に記載し、鹿砦社にしかできない、類書なき渾身の書! 10月23日発売!

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)
【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
[資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

『東京新聞』11月22日付け記事です。ご一読ください

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

《新刊案内》矢谷暢一郎著『ヤタニ・ケース アメリカに渡ったヴェトナム反戦活動家』をお届けするにあたって 鹿砦社代表 松岡利康

このたび小社では矢谷暢一郎・著『ヤタニ・ケース アメリカに渡ったヴェトナム反戦活動家』を上梓いたしました。

矢谷さんは、尊敬する大学の先輩ですが、学生運動華やかりし時代のリーダーでした。その後、仲間の死、運動の解体、闘病を経、再起を期して夫婦で渡米 ── 70年代も終わりに近づいていました。

しかし、ある日突然に、オランダでの学会からの帰途、ケネディ空港で突然逮捕されます。事件から40年近く経ち、その顛末と総括とは?

矢谷さんは、1年がかりで執筆に取り掛かられました。気持ち溢れ過ぎ、この勢いが筆致に表れています。

ぜひともご一読いただき、忌憚のないご批評、ご意見などお寄せいただければ幸いです。

(松岡利康)

▼著者紹介 矢谷暢一郎(やたに・ちょういちろう)1946年生まれ。島根県隠岐の島出身。1960年代後半、同志社大学在学中、同大学友会委員長、京都府学連委員長としてヴェトナム反戦運動を指揮。1年半の病気療養などのため同大中退。77年渡米、ユタ州立大学で学士号、オレゴン州立大学で修士号、ニューヨーク州立大学で博士号を取得。85年以降、ニューヨーク州立大学等で教鞭を執る。86年、オランダでの学会の帰途、ケネディ空港で突然逮捕、44日間拘留、「ブラック・リスト抹消訴訟」として米国を訴え、いわゆる「ヤタニ・ケース」として全米を人権・反差別の嵐に巻き込んだ。
11月20日発売

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000736
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315312/