《格闘技“裏”通信03》不良達の登竜門「THE OUTSIDER」は凄まじ過ぎる興奮

3月21日、午後3時から開催されたアマチュア、セミプロによる総合格闘技大会「THE OUTSIDER vol.34」 に行ってきた。場所はディファ有明。格闘技としては初めて25試合すべてを見たが、数年前に、知人にビデオで見せられたときよりも数段、キックも締め技もパンチも技術的にはあがっていて、驚いた。

◆「不良の大会」から「鯉が滝を登って竜になる登竜門」へ

この「THE OUTSIDER」は、格闘技団体として立ち上がった頃「不良がやりなおす再生の場所」として多くのファンや識者が捉えていた。だが、今の「THE OUTSIDER」は、主宰している前田日明氏がいみじくも語っているように「プロ選手と比べても遜色がなく、ただの不良の大会ではなく、鯉が滝を登って竜になる登竜門であり、誇りをもてる場所」となった。

ボクシングやキックボクシング、または空手の試合をさんざん見てみた僕にとっては、やはり注目するのはディフェンスだ。「戦う弁護士」こと堀鉄平を破った佐野哲也や、ランボルギーニ・ヨシノリなどの防御力は目を見張った。

ルールを解説すれば、1ラウンド3分間の2ラウンド、噛みつきや後ろからの殴打、チョーク攻撃、ひじ打ち、指つかみ、あるいはロープを掴んでの攻撃など。おおよそノックアウトかテクニカルノックアウト、または締め技によるギブアップで決着がつく。

残念ながら、ディファ有明の会場で大会が開催されることに、地元の自治会からは疑問符がついているようだ。理由は、タバコの投げ捨てや路上駐車、違法駐車が多く、クレームが多数、入っているからだという。心ある人たちはぜひともそうした行為をやめてほしいと思う。また、会場での心ないヤジも興ざめだ。具体的には書かないが、必死に戦う選手への暴言はやめていただきたい。

試合終了後の記念ショット

◆格闘技イベントの運営資金調達は「クラウドファイティング」へ向かうか?

前田日明氏は大会のパンフレットにこう書いている。

『今年、「THE OUTSIDER」は大きな岐路に立たされている。一昨年の大阪で起きた事件をきっかけに、コンプライアンス上の問題でスポンサーの撤退が相次ぎ、会場使用が困難になるという問題が発生しているのだ。THE OUTSIDERはアマチュアの大会ながらプロと同じ演出・設営をすることに意義がある。そのため他のアマチュアの大会と比べて、どうしても運営費が必要になる。当初、東京と大阪で交互に大会を行って年間12大会、そのチケット売り上げと協賛金を中心にイベントや事務局を運営していく計画を立てていたのだが、大阪での事件を機にそれが難しい状況になった。これからTHE OUTSIDERを応援していただける企業を一つでも増やしていかなくてはならない。』

今、格闘技はニコニコ動画やUストリームなどでも配信でき、女子プロレスなどは、そちらから収益が出るビジネスモデルが立ち上がっている。もはやチケット代で収益を組み立てるのは古いのだ。この大会もそうした「クラウドファイティング」の方向に向かっていくだろう。

試合後の総評で、前田氏がこう語る。

――来年度4月から今後の展望は?

「今アプリでね、アウトサイダーアプリってやっていつでも昔のやつみれるとか、そういうふうに移行するのか考えてますね。いずれにしても今までの運営の仕方自体が、結構あれあれあれっていうところで追いかけられるような形でやってたんで、一回腰据えて色んなもんが誤差になるので、ピンチといえばピンチに見えるかもですが、新たに今のiPhoneのアプリだとか、動画配信も参入するとか、考えながら、スポンサーがなんだって色んな事あって、自分知らなかったんですけどネットに事業計画を出して一般の出資を募って一口いくらで、そんなんでなんかうん千万稼ぐ人もいるとか。そういうのもあるんだっていうね。クラウド?クラウドファンディング。クラウドファンディングでやってもいいんですよ、その中でアウトサイダーやってもいいし。いろんな方法で、なんか昔ながらのスポンサー集めるっていうか、更生事業なんでその名目でスポンサー集めてかかるお金をチケットの収入で回していきながらどうのこうのという時代ではないんでしょうね。ちょっとね、色々考えますよ」(『THE OUTSIDER』ホームページより)

ひとつだけ苦言を。『THE OUTSIDER』で楽勝だとしてもプロのリングはそう甘くない。ここで勝ってきた選手がプロのリングで苦戦しているのもまた現実だ。

ぜひとも、選手たちにはレベルアップをめざし、ひたすらに鍛錬していただきたいものだ。つけ加えると、ラウンドガールのレベルはかなり高い。これもまた、興奮ものだと、お伝えしておこう。

20試合以降の試合結果はhttp://battle-news.com/?p=6916の通り。
次回の大会「THE OUTSIDER 第35戦」は、5月17日、ディファ有明で15時開催予定。詳細はリングス公式サイトにて。

[youtube]The Outsider Promotion
[facbook]株式会社リングス

(伊東北斗)

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売り子に視界を遮られ、肝心なプレイを見逃す東京ドームのキャバクラ化

プロ野球が開幕した。3月28日、14時開始のプロ野球「巨人―横浜DeNA」 戦を、東京ドームの「内野アルプス」席で初めて見た。かなり急角度に作られた観客席は、まさに登山している途中のような席だ。3塁側だったが、内野を見下ろす感覚で、文字通り「下界で野球をやっているなあ」という感覚だ。ただし、球場全体が見渡せて、ひじょうに気持ちがいい。

東京ドーム「内野アルプス」席は球場全体が見渡せて、気持ちがいいのだが……

それにしても腹がたつのが、ビールやソフトドリンクの売り子たちが目の前の通路を横切ると、プレイが瞬間的にせよ、見れなくなる点だ。横切られると、選手たちが視界に入らなくなる。

カウントしていたが、平均すれば30秒に一度「ビールいかがでしょうか」「ワインクーラーいかがでしょうか」「アイスのモナカはいかがでしょうか」とやられる。

もちろん、ドーム球場の売り子たちは雑誌でグラビアが組まれるほどかわいいコぞろいで、とくにビールの売り子は、ほかのドリンクを売る子とは明らかに質がちがう。かわいいコ選抜で「芸能界への登竜門」とも言われる。まあ実際は大学生や専門学校生など18~22歳がほとんどだ。

売り子たちは確かにかわいいコぞろいだが……
売り子たちは確かにかわいいコぞろいだが……

◆スタンドはまるで売り子と会話をするキャバクラ

試合は、開幕第2戦で、私がお気に入りの横浜DeNAの山口俊投手が投げているというのに、売り子のせいで何度もボールを見失った。「抑え」で挫折し、「先発」へと再転向した苦労人の山口のボールは150KM近いスピードに乗り、凝視しないと玉筋がわからない。それなのに、売り子のせいでしばしばボールを見失う。

スタンドは、まるで売り子と会話をするキャバクラのごとく
スタンドは、まるで売り子と会話をするキャバクラのごとく

頭に来ることに、このスタンドは、まるで売り子と会話をするキャバクラのごとくなっていて、「大学生? 何曜日に来ているの? 今日は何時まで?」とお気に入りのギャルからしか買わない客もいるから「おまえら、何しに来ているのか」と問い詰めたくなる。

7回裏をすぎて、私はついに頭にきてスタッフに「おい、プレイ中はせめてビールの売り子に通路を通るのをやめさせろ」と怒鳴っていた。売り子のせいでロペスのホームランを見失ったのだ。もっと言えば、巨人の阿部のフェンス直撃の二累打も見逃した。

「えーと、売り子にはなるべく通路で立ち止まらないようにと指導しているのですが」とスタッフは弁解する。

もちろん、球場で酒を飲むなとは言わない。かわいい売り子を目当てに球場に来ているというのも、男としてわからなくはない。神宮球場では、「美しすぎるビールの売り子」としてアイドル顔負けに人気を集める子もいた。だが、「ボールの動きが追跡できない」という観戦環境は、もはや論外だ。

ひるがえって、先日、後楽園ホールで観たボクシングでは、視界に運営スタッフが入ってきたので「リングが見えないからどいてくれないか」と申し入れると、すぐにしゃがんでくれた。

「興業でのサービス」とは何だろう。かわいいコを集めて、これでもか、これでもかとドリンクを売りつけていくことだろうか。ちなみにハイボールが800円だったが、これも値段の根拠がわからない。もしも球場に足を運んでほしいなら、500円で売るべきである。ちなみにコーラは260円だ。

◆打線陣に30億円を浪費する金満野球の巨人にあきれてファンをやめた

さて、ドームの試合は巨人のポレダ投手が打ち込まれ、巨人が大負けした。私は、かつて巨人を応援していたが、もはや昨年から応援していない。金満野球にあきれたのだ。

今年のメンバーを見ても、ここ4年ほどと変わっていない。阿部が捕手からファーストに転向し、いまだに高橋由伸、坂本、長野、亀井だ。くわえて、セカンドが弱点と分析するや、西武から片岡をとり、中日から井端を移籍させた。相変わらず金で勝利を買おうとしている怠慢な姿勢がみてとれる。

今、野球は「走る」というスタイルに戻りつつある。楽天のデーブ大久保監督は、「走る野球」を明確に打ち出している。走ることを忘れ、ひたすら長打を待つ巨人の野球がどう終戦を迎えるか楽しみにしたいところだ。

はっきりいって、打線で30億円も使って優勝できなければ恥知らずである。ちなみに西武ライオンズは10億円も使っていない。

◆球場の選手もスタッフも「プロ」と呼べる仕事をしてくれよ!

さて話をプロ野球観戦に戻す。久しぶりに球場に言ったが、鳴り物が少なくてホッとした。メジャーリーグでは、打球音を楽しむために、鳴り物などもってのほか。選手の応援歌を繰り返して歌うなど、 せっかくの「野球音」が聞こえずに台無しである。

こうしてみると、自分は野球よりも、本場アメリカの「ベースボール」のほうが好みだということに気がつく。なによりもボールが動くスピードが段違いだし、選手の配置も戦略も理論だっている。ファンだって野球を知っているし、選手をリスペクトしていてブーイングはするものの、個人攻撃的なヤジはしない。

あいかわらず、日本の優秀な選手は海外へと流れているが、「どうして日本のプロ野球に残ってもらえないか」をNPBのみならず、すべての野球関係者は考えてみるべきであろう。

「野球をチームでなく、注目の選手で追跡する」タイプの私は、今年は日本ハムの大谷や、メジャーリーグから帰ってきた「ストライクしか投げない男」黒田や、実はまだ現役を続けている、今後、5年で日本でただひとり200勝を達成しそうな西武の西口、はたまたソフトバンクからヤクルトに移籍した成瀬などに注目している。

果たして、球場のスタッフも選手も「プロ」と呼べる仕事をぜひ見せていただきたくない。少なくとも私たちは、決して安くないチケットを購入して観戦に行くのだから。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

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《格闘技“裏”通信02》夢の一戦「パッキャオVSメイウェザー」実現の舞台裏

全てのプロスポーツの中でもっとも稼ぎの大きいメガファイトが実現する。

5月2日、プロボクシングのドリームマッチ、フロイド・メイウェザー(米国)対マニー・パッキャオ(フィリピン)がラスベガスで行われる。試合は両者が持つ合計3つのベルトが賭けられるWBA、WBC、WBO世界ウェルター級王座統一戦だ。発表記者会見は3月11日、ロサンゼルスで行なわれた。約700人のメディアが集まり、スポーツ専門局のESPNが生中継。47戦無敗の5階級制覇メイウェザーと、激闘が人気の6階級制覇パッキャオの試合は5年以上も前からファンの求めるドリームカードだった。

しかし、全米でスポーツ高額所得の上位にランクされる2人の対戦は、ギャラや条件の主張が行き違い、なかなか実現しないままだった。

「プロレスの猪木と馬場じゃないですが、このまま試合は実現しないままというのが大半の見方で、今年になって開催に動き出しても、多くの関係者が『どうせまた噂だろう』と疑心暗鬼だったほど」

そう語るのはボクシングの人気ブログ「拳論!」の執筆者で格闘技ジャーナリストでもある片岡亮氏。なぜそれが今になって実現したのか聞いてみた。

◆ボクシングのスーパーマッチ実現の条件はテレビ局とプロモーターの合意

「ボクシングのスーパーマッチはすべてに共通することですが、金と放送局が揃うのが条件でした。テレビ局とプロモーターが合意の上で選手サイドにどれだけ良い条件を示せるか。大きな金額を示せても、両選手が取り分を争って決着がつかないこともあります。今回は本人たちの意向を除くと、一番のネックがテレビ局で、両選手が2大ケーブル局『HBO』と『ショータイム』にそれぞれ契約があることでした。でも、それが同時放映という異例の決着になったんです。日本でいえばTBSとフジテレビが同じタイトルマッチを同時に中継するようなものです」(片岡氏)

ただ、この試合の実現が遅すぎたのではないかという声もある。

「本来は5年前に実現すべき話だったもの。パッキャオは最近、実力に陰りが見えてKO負けの失態もありました。メイウェザーも過去の高額ファイトマネーを更新するような魅力的相手が見当たらない状況で、試合内容も無難に逃げ切るようなものが目立ちます。期待感が薄れかけていて、互いにこのビッグファイトを高い価値で実現させるなら賞味期限切れギリギリの現在だったということでしょう」(同)

ボクシングファンにとっては待ちに待った一戦ではあるが、待ち焦がれただけに時期が遅かった感は拭えないわけだ。それでも世界最高峰の実力を持つ両者、どちらが勝つのかという議論は世界中で巻き起こっている。

片岡氏は「驚異のスピードとディフェンステクニックで相手にパンチを当てさせないメイウェザーを、アグレッシブなパッキャオが追う展開が予想される」と分析する。

「早くも海外の賭けサイトではオッズが出て、1.3-3.5でメイウェザー優勢となっています。これはメイウェザーが安全運転に徹するなら崩すのは容易ではないという見方でしょう。でも、本当にそのとおりになると試合内容に見せ場の少ない期待外れの内容で世紀の凡戦だとブーイングが集まる可能性もあります」(片岡氏)

◆収益は総額500億円以上──ボクシング史上最高セールスになるのは確実

この試合はボクシング史上最高のセールスを記録するともいわれている。テレビ中継の有料放送契約は、過去メイウェザーがオスカー・デラホーヤと対戦した240万件が最高だが「今回はそれを軽く上回るという予測がある」と片岡氏。

「約1万6千席が用意された観戦チケットは定価こそあるものの、大半は一般人の手に渡らずプレミアがついて最後列でも日本円で45万円というプラチナペーパー化。総額500億円以上の収益が見込まれています。両者のファイトマネーは総額250億円と伝えられるので、おおよそ半分を持っていく形になりますね。うちメイウェザーが6割を得ることで合意。両雄はボクシング界で最も稼ぐトップ2選手で、昨年のアスリート長者番付は1位がメイウェザーの1億500万ドル(約124億円)。これは2位のクリスティアーノ・ロナウド(サッカー)の8千万ドル(約94億円)を大きく上回り、パッキャオは11位で約4千万ドル(約47億円)でしたが当然、今年は2人が上位独占するでしょう。このビジネスが成功すれば、しばらくは業界全体が活気づく副産物も期待されます」

マイク・タイソン以来の盛り上がりを見せるだけに、たしかに45万円でチケットが返ると言われたら、思わず支払ってしまいそうだ。ただ、これだけのタイトルマッチを日本国内では地上波放送する動きは全くない。

このあたりテレビ関係者に聞くと「それはそうですよ。ただでさえボクシングは数字がとれないので、外国人同士ではなお期待はできない」という答えが返ってきた。

◆グローバルな視点が欠けすぎている日本のボクシング・カルチャー

プロボクシングは最近、大晦日の中継が恒例になるなど盛り上がっているように見えるのだが「あれは紅白に対抗するのに最低限の一定数が見込めるコンテンツとして重宝されているもので、15%以上を期待するものではない」という。

昨年末のボクシング中継は12月30日、金メダリスト村田諒太を筆頭とするフジテレビの中継が7~8%台。日テレのさんま御殿やTBSの日本レコード大賞に敗北した。かろうじてテレ東の海外旅番組を超えた程度だった。大晦日もTBSがバラエティ番組の枠内で放送も3~9%台で2ケタに届かず。喜んだのは5.6%でも過去最高というテレ東のみだ。

「ボクシングは試合が思惑通りに終わってくれないし、世紀の一戦と打ったのに、凡戦となる試合だって山のようにあってギャンブル性が高い」とテレビ関係者。

海外では「世紀の一戦」でも国内ではマイナースポーツ扱いのまま。一方で自国選手の試合なら、対戦相手に弱い相手を連れてきてもゴールデンタイムで流すのが日本。グローバルな視点がないことから「本物」のボクシングが日本の視聴者に届けられることはないのか。

(鈴木雅久)

◎《格闘技“裏”通信01》意外にもギャル層が激増、キックボクシング大会
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《格闘技“裏”通信01》意外にもギャル層が激増、キックボクシング大会

2月11日、大田区総合体育館で開催されたRIKIX主催の「NO KICK NO LIFE」イベントではシュートボクシングの人気選手、RENA(及川道場)やK1で実績があるアンディ・サワー(オランダ)やノブハヤシ(ドージョーチャクリキジャパン)も参戦、おおいに盛り上がりを見せたが、意外にも「20代、10代後半のギャル世代」が多々見られた。

「ダイエットでキックボクシングをしていてはまってしまい毎回、見に来ています」という二十代OLは、都内のジムに通うこと3ヶ月。ウエストは5.5センチも細くなったようだ。ジムに通っていると思われるギャルは、それぞれジム名が入ったTシャツを着ているからとてもわかりやすい。もしくは大会のスローガンである「NO KICK NO LIFE」と銘打たれたTシャツを着ている。

「火をつけたのは、May J.だと思いますよ。かなりウエストが絞れますから。昨年の1月ごろからかなり女のコの問い合わせが多くなりました」(都内ジムスタッフ)

写真はRENA選手(撮影・堀田春樹)RIKIX主催の「NO KICK NO LIFE」より。

◆キックボクシングをレッスンに取り入れる芸能プロダクションも

地下アイドルを抱える芸能プロダクションもキックボクシングをレッスンに取り入れているところが増えてきた。

「要するに、歌って踊るときに、体を一瞬、止める場面がある。体のバランスが悪いと崩れていくことになる。それを避けるためにトレーニングとしてキックボクシングの元選手に教えに来てもらっています」(芸能スクール関係者)

大田区総合体育館の西側には、いかにもジムに招待されたようなギャルの一連が十数人陣取っており、選手の下の名前を連呼していた。

もっともギャルの声援を集めていたのは、イケメン選手の宮元啓介(橋本道場)。惜しくも判定で一戸総太(ウィラサクレック三ノ輪)に敗れたが、打たれるたびにギャルから悲鳴があがる始末だ。

案外、女性にも人気があるのはRENA(及川道場)で、エリー・ エクストゥム(スウェーデン)をまったく寄せ付けず。2ラウンドでノックアウトパンチを浴びせるRENA(及川道場)に「いけいけRENA!」と割れんばかりの声援を集めていた。また試合終了後もギャルたちが記念撮影を希望しに殺到。「強い女へのあこがれ」の視線は、彼女の鍛えた二の腕と太ももに注がれていた。

◆ボクササイズ興隆の背景

ちなみに、僕は1月から市民体育館が主宰している「ボクササイズ」教室に通っているが、応募者が2.5倍もあり、あいかわらず「ボクササイズ」は大人気だ。なにしろ10代から50代まで幅広く応募してきている。記憶するかぎり、ボクササイズのブームを始めに作ったのは、輪島功一であると思う。さらに体系化して、スポーツ医学を背景に、トレーナーを育成、「ボクシングでエクササイズ」をビジネスとして成功させたのは、じつは協栄ジムだ。

僕が教わっているレッスンも、提携は協栄ジムとなっている。
ボクササイズは、両足を広げて、連続でパンチをくり広げることで、有酸素運動となるハードワークだ。ダッキングといって、よける動作も入ってくるから、「ワンツー、右ストレート、左アッパー、はい、よけて左ストレート、ワンツー」などコーチが自らも動きながら声をだす。ちょっとした「振りつけ」だ。かなりきつく、終わると体重が3、4キロはざらに減っている。ちなみに「キックボクシング」はこれに加えて蹴りが入るから、中年にとっては、つぎの日には身体が張って会社に行きにくくなっているはずだ。

ボクササイズ歴1年の主婦が言う。
「腹筋が割れそうです。ボクササイズを始めてからというもの、早く寝て早く起きれるようになりました」

知り合いの女性カメラマンも、ボクササイズで10キロ落としているし、タレントの中川翔子もボクササイズでダイエットに成功しているようだ。

このところ、気の利いた市民体育館、もしくは行政機関が主体で、ボクササイズのレッスンをしている市町村が増えてきているので、探してみるのもいいかもしれない。なにしろ、一回につきおよそ500円程度で教えてもらえるのだから、お得なのではないだろうか。[ハイセーヤスダ]

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アギーレ解任前から密かに後任候補を探していた日本サッカー協会の本末転倒

ハビエル・アギーレ前監督の解任による影響は大きい。就任からわずか半年、八百長疑惑による契約解除は日本サッカー協会(JFA)の任命責任も問われている。

協会は2月2日、ハビエル・アギーレ前監督の代理人弁護士から、スペインのバレンシア予審裁判所が八百長疑惑に関する検察側の告発を受理したという事実を確認。これをもって前監督に契約の解除を申し入れた。当時メキシコにいたアギーレ前監督はその場で了承したという。

◆「密命」を受けたサッカー記者たちが後任探しに奔走

しかし、後任探しはこの解任前から始まっていた。この決定が近いことは関係者なら察知していたが、事前に表立って動けないでいたため、忙しくしていたのは一部のサッカー記者だ。

「協会に近い存在の一部サッカー記者たちが、非公式に密命を帯びた形で奔走していた」とスポーツ紙の記者。

「アギーレ前監督の二の舞は踏めないということで、次の監督候補となっているルイス・フェリペ・スコラーリ(ブラジル)やドラガン・ストイコビッチ(セルビア)、グレゴリオ・マンサーノ(スペイン)、ホセ・アントニオ・カマーチョ(スペイン)らの現在の状況や契約相場、そしてゴシップの有無を協会に頼まれて探っていたんです。特に協会が知りたがっていたのは監督候補の私生活で、マフィアとのつながりがある噂はないか、『飲む、打つ、買う』といった部分にだらしないところがあるのかどうか、潔癖さ優先で一応の身体検査をしていたんです」(スポーツ紙記者)

中でも「レッドスター会長時代に選手移籍に乗じて不正に金を得た」というウワサのストイコビッチについては有力候補として詳しく情報を集めようとしていたという。
「ある記者は仕事でもないのにセルビアに出入りしていたほど」(同)

◆アギーレ解任の決め手となったのはスポンサー企業からの不快感

そこで実際に『密命』を受けたと話すサッカー記者A氏を直撃してみた。A氏は「誰の周辺を探っているかは言えない」としながらも、匿名を条件にこう打ち明けた。

「こういうのは記者であっても易々と情報が集まるものでもないので、海外の記者や関係者に金を渡して協力してもらってます。こっちはただの橋渡しみたいなもんです」

記者はあくまで協会の意向に沿ってやっていることだと言いたげだった。4年契約で2億円もの契約金をかけながら無駄になった今回の事例とあって、経費を使ってでも慎重に動いていることが分かる。

「報酬? それは言えませんが、基本給と日当。信頼関係でやっていることなので成功報酬とかはないですよ。ただ、金よりも協会に恩を売れることの方が大きいです。ワールドカップがらみの“おいしい情報”を独占入手できたりもしますから、そっちがメリット」(A氏)

一方、選手たちの間でアギーレ前監督の損失は大きいという話もある。

「バカのひとつ覚えのように数の論理で勝つというフォーメーション優先のサッカーを捨て、個の力で突破してフィールドを縦横無尽に使う新スタイルを打ち出したばかりだった。その戦術が理解され始めた矢先だったので、ぎりぎりアジア杯まで指揮をとらせたという部分もあった」とA氏。

最終的に解任を決めたのは協会と億単位で契約するスポンサー企業からの不快感だった。八百長騒動については広告代理店が大相撲の例を持ち出し企業へのマイナス試算を提示。これを受けた企業側が協会に早期解任を求めていた。中には昨年中の解任を要求したところもあったと聞く。

「選手間ではアジア杯でいい試合を見せれば日本代表の価値が上がり、相応の優秀な監督が後任になるという思惑もあった」(A氏)

一方で後任に色気を見せる人間からはアジアチームに関心が低くとも『ホンダ、カガワには注目している』などといかにも用意してきたようなおべんちゃらを言い出す『自称、日本びいき』の監督候補も増えているという話だ。そういうところもA氏の情報収集の範疇のうちだという。

◆失敗の本質は「欲しがる金を出せるか出せないか」で判断するJFAの姿勢

非公式とはいえ、恥も外聞もなく記者に探偵ごっこをやらせる協会は身体検査に「想像以上の費用を投じている」ともいわれるが、A氏によると「大きな壁がある」とする。

「協会は、各監督をバックアップする各国の大物関係者の接待など根回しがないことです。こういうのは交渉をスムーズにさせることなので、他国ではもっと積極的にやっていることですが、日本ではロビー活動が苦手なんです。相手がほしがる金を出せるか出せないか、というのが、いつも日本側のやり方ですが、実際には金額だけではないものだって武器になるんですよ。私のような記者を使うこと自体、海外とのやり取りが弱い証拠」(A氏)

本来、協会がやるべきなのは、監督候補の身辺調査ではなく、日本のサッカーの方向性を具現化してくれる、論理的な日本の指導者を育てるべきだったという声は多い。そもそも著名な外国人監督を大金出して呼べばいいという姿勢が今回の失敗につながったようにも思える。成績が悪ければあっさり詰め腹を切らせるというマネーだけがつながりのアプローチはJリーグから踏襲してきた悪い慣例かもしれない。[ハイセーヤスダ]

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