《廿日市女子高生殺害事件裁判傍聴記01》普段はまじめで堅物だった殺人犯

「持っていたナイフで刺した時、聡美さんは『え、なんで?』という表情をしました。自分は『なんで、こーなったんか』という感情が爆発し、『クソ』『クソ』と言いながら、何回も聡美さんを刺しました。私は、人を刺したことを認められず、聡美さんのせいにしようとしたのです」

2004年10月に広島県廿日市市(はつかいちし)で発生し、13年半も未解決だった「廿日市女子高生殺害事件」。一昨年4月に検挙された鹿嶋学(37)は、3月に広島地裁であった裁判員裁判の被告人質問で、犯行を克明に語った。

事件が未解決の頃、警察が情報を集めるために作成したポスター。ニキビの跡などは本物の鹿嶋と似ている

上は黒い長袖のTシャツ、下は黒いジャージという室内着のようないで立ち。頭髪は坊主刈りにしているが、年齢のわりに白いものが目立つ。大きなマスクをつけているため、顔は目より上しか見えないが、見た目はどこにでもいそうな普通の男だった。

事件当日、当時21歳だった鹿嶋は「女子高生をレイプしたい」と思いつつ、ターゲットを探して原付で走り回っていた。そんな時、路上で見かけた被害者の高校2年生・北口聡美さん(当時17)が家に入っていくのを見かけたのだという。

そこで鹿島は聡美さん宅に侵入し、部屋でくつろいでいた聡美さんにナイフを向け、「脱げ」と迫った。しかし、聡美さんが逃げ出そうとしたため、冒頭の証言のような凶行に及んだのだ。そして──。

「最後は、『これで終わらせよう』と思い、首を切りました」

鹿嶋はこうして聡美さんを殺害すると、聡美さんの悲鳴を聞いて駆けつけた祖母のミチヨさん(同72)も刺し、瀕死の重傷を負わせた。さらに聡美さんの小学生の妹も追いかけ回したが、捕まえられず、現場を立ち去ったのだった。

事件後、精神的ショックも大きかったミチヨさんは「解離性健忘」に陥り、事件のことが思い出せない状態に。幼かった妹は、事件を忘れたいと思いつつ、「犯人を見たのは自分だけだから……」と犯人の顔を忘れないように努め、長年に渡って辛い記憶に囚われ続けたという。

◆勤務先の社長「殺人犯だとは、今でも信じられない」

鹿嶋の裁判員裁判が行なわれた広島地裁

さて、このように鹿嶋の口から明かされた犯行は、弁明の余地がない凶悪な犯行だというほかない。公判で意見陳述した聡美さんの両親はともに死刑を望む思いを明かしたが、それも当然過ぎるほど当然だ。しかし一方で、検察官が公判で朗読した調書によると、鹿嶋が逮捕前に勤めていた山口県宇部市にある土木会社の社長は鹿嶋の人物像について、こんな供述をしていたという。

「鹿嶋は無口で、おとなしい人間でした。人付き合いも苦手だと思います。たばこも吸いませんし、酒も誘わないと飲みません。そして酒を飲んでもまったく変わらず、無口なままでした。ただ、仕事はまじめで、私にとっては信頼でき、憎めない、かわいいやつでした。鹿嶋が殺人犯だとは、今でも信じられません」

事件発生から13年半の年月が過ぎた頃、鹿嶋がこの事件の犯人だと判明したきっかけは、別件の傷害事件だった。鹿島が会社の部下である同僚男性の尻を蹴り、警察に任意で調べられたという事件だ。この際、事件発生当時に聡美さん宅で採取されていたDNA型と指紋が鹿嶋のものと一致すると判明したのだ。

だが、社長はこの別件の傷害事件についても、鹿嶋を擁護するようなことを供述していた。

「鹿嶋は気性も穏やかで、暴力をふるったりする人間ではありません。蹴られた部下のほうが先輩の鹿嶋に対して失礼な態度をとったのが原因だと思います」

つまり、普段の鹿嶋を知る人からすると、鹿嶋が殺人犯だということを信じがたいばかりか、鹿嶋が人に暴力をふるうというのも大変意外なことであるらしい。さらに社長は、鹿嶋のこんな一面を証言していた。

「鹿嶋は、私が知る限り、友人はKくんという人だけで、職場に仲が良かった人間は過去にも今にもいません。趣味はゲームだそうで、休みの日は『家でゲームをしている』と聞いたことがあります。女性の交際については、『無い』と思います。鹿嶋はとにかく女っけがなく、私たちが仕事の時に女性の話や風俗の話をしていても、『僕はいいです』と言って、まったくのってきませんでした」

女性と疎遠で、友だちもほとんどおらず、ゲームが趣味。しかし、無口でありながらも仕事は真面目で、上司からは信頼されていた。そんな男がなぜ、21歳だったあの日、見ず知らずの女子高生をレイプしようなどと思い立ち、生命まで奪ったのか。そもそも、事件を起こすまでの鹿嶋の21年間はどんな人生だったのか。それらのことも鹿嶋は法廷で詳細に語っている──。(次回につづく)

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長く未解決だった広島県廿日市市の女子高生殺害事件は、一昨年検挙された犯人の鹿嶋学が今年3月18日、広島地裁の裁判員裁判で無期懲役判決を受け、ようやく一区切りついた感がある。ただ、この事件に関しては、裁判で明らかになりながら世間に知られないままになっている事実も少なくない。筆者が全5回の公判を傍聴して知った事件の深層をこの場で改めて報告する。

【廿日市女子高生殺害事件】

2004年10月5日、広島県廿日市市で両親らと暮らしいていた県立廿日市高校の2年生・北口聡美さん(当時17)が自宅で刺殺され、祖母のミチヨさん(同72)も刺されて重傷を負った事件。事件は長く未解決だったが、2018年4月、同僚に対する傷害事件の容疑で山口県警の捜査対象となっていた山口県宇部市の土木会社社員・鹿嶋学(当時35)のDNA型と指紋が現場で採取されていたものと一致すると判明。同13日、鹿嶋は殺人容疑で逮捕され、今年3月18日、広島地裁の裁判員裁判で無期懲役判決を受けた。

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▼片岡健(かたおか けん)
全国各地で新旧様々な事件を取材している。原作を手がけた『マンガ「獄中面会物語」』【分冊版】第9話・西口宗宏編(画・塚原洋一/笠倉出版社)が配信中。

7日発売!月刊『紙の爆弾』2020年8月号【特集第4弾】「新型コロナ危機」と安倍失政 河合夫妻逮捕も“他人のせい”安倍晋三が退陣する日
「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)

大阪府警のS(スパイ)だった森山さんはなぜ、大阪府警本部に車で突っ込んだのか? 本日9日(木)13時半より大阪地裁で第2回口頭弁論! 事件から26年を経て、国と大阪府を提訴した森山光博さんの法廷闘争 尾崎美代子

今から26年前の1994年、12月17日午前7時55分、大阪府警本部に一台の乗用車が突入し、運転していた男性が現行犯逮捕された。男性は東警察署で取り調べをうけたのち二度にわたり精神鑑定をうけ、その後大阪府立中宮病院の閉鎖病棟に放り込まれた。

1994年12月17日付け産経新聞
1994年12月18日付け大阪新聞

私がその男性・森山光博さん(現在62歳)を知ったのは、事件から2年後の1996年、大阪市内千日前の派出所に、ホームレスの男性が放火した事件がきっかけだった。放火した男性・冨村順一さんは裁判で、南警察署が倒れたホームレス仲間を放置し見殺しにしたことに抗議し、ガソリンを撒き火をつけ、火中に自ら座りこみ、自殺するつもりだったと証言した。

冨村さんといえば、沖縄県出身の活動家、著述家で、天皇制反対を訴え「東京タワー事件」などを起こした人物だ。私は、彼が難波の高島屋前でシェパード犬2匹を引き連れ、自身の書籍を販売していた時に出会った。冨村さん逮捕を知った私は、彼が懇意にしていた沖縄出身のスナックのママや常連客らと救援会を作り、裁判の支援を始めた。その裁判の過程で知り合った人物が森山さんで、彼は冨村さんに紹介され、大阪府警のスパイ(協力者)として活動していたと話していた。

◆森山さんをスパイに仕立てた府警本部の大山、山下刑事

森山さんは思想的には保守系だったが、当時街頭で宣伝活動をする冨村氏にあこがれ、自らも街頭宣伝したいと考えるようになったという。1989年5月頃から難波駅前で冨村さんの隣で街宣を始めた森山さんは、冨村さんに大阪府警本部の井上を紹介され、後に井上から大山、山下刑事を紹介された。年かさの大山が40代半ば、山下が森山さんと同じ30代半ばだったため、その後の連絡は山下が担当することになった。

2人からたびたび飲食の接待をうけるようになったころ、森山さんは大山に「我々警察が『正義』と思うか、それとも爆弾闘争をも辞さない極左が『正義』と思うか?」と聞かれたり、「勉強しろ」と左翼関連の書物を貸与されるなどした。

その後「勉強のために」と称して反天皇制や三里塚の集会に参加することを勧められた。もちろん彼らの目的は内部の様子を探ることだ。事後の打ち合わせで小さな切手ほどの顔写真を見せられ、「集会でこの人物がいたかどうか?」などと質問されることがあったが、会場で周囲を見回し顔を覚えておくことなど到底無理だった。また集会の受付では必ず名前、住所を記帳し、団体の郵便物が届くようにと指示されるが、そういう集団に住所などを知られる不安を常に感じていた。

またこの頃、失業中だった森山さんは、山下から茨木市にある松下電器の下請け工場を紹介されたが、慣れない作業で長くは続かなかった。その後もときどき飲食など接待され、山下とは関係が続いていった。彼らに受けた接待の中で、一番高額だったのは、山下と行ったキタのピンクサロンであった。

◆協力者を捨て駒のように扱う大阪府警

ある日、森山さんは山下からある集会への参加を頼まれた。「一般に広く参加をよびかけた市民集会だ」と言われたが、実際は会場も狭く、少人数の閉鎖的な集会で、森山さんは「これでは、自分が何者かと疑われるのではないか?」と恐怖を覚え、大山、山下にそのことを電話で抗議した。2人に呼び出され話し合った喫茶店で、森山さんは2人に警察手帳の提示を求めたところ、大山も山下も偽名であったことが判明した。「自分は本名を名乗っているのに、最初から偽名とわかっていたら、協力などしないのに…」。森山さんの不満や不審が次第に募っていった。しかし、2人に「いざというときには、我々が全力で助ける。君は我々警察をしてくれれば良いし、信用できない筈もないだろう」と説き伏せられ、関係が続いた。

ある日、山下に泉南地区のゴルフ場に誘われてプレイしてきた帰り、ある集会への参加を依頼された。しかし、そこはかなり過激な団体だったため、森山さんは断った。その後山下らとのホットラインで使っていた電話に、関係を断ち切る旨の電話を何度かするが、適当にあしらわれることが増えたため、いよいよ関係をやめなければと考えるようになった。

森山さんは、山下の依頼で入会した左翼団体の会費の建て替え分を精算して欲しい旨を簡易書留で送ったところ、山下に呼び出され、金を精算したあと、こう言われた。「もりちゃん、このことは一生胸の内にしもうといてや(しまっておいてや)。口外したらもりちゃん自身に危険が及ばんとも限らへんからな……」。恫喝とも取れる言葉に森山さんは何も言わず、黙って別れた。

警察との関係が続いていた突入事件(1994年12月17日)の2年ほど前、会社勤めをしていた頃の森山光博さん

◆26年ぶりの訴え

その後、森山さんが個人的に活動する中で警察に通報される騒ぎがあった。森山さんはそこで刑事に自分は大阪府警のスパイを行なっていたことなどを話した。「口外したらもりちゃん自身に危険が及ぶとも限らへんからな」。山下の言葉が思い出され、不安になった森山さんは、再び府警本部に電話し、身分の保証などを訴えたが、取り合ってもらえなかった。そして森山さんは、一層のこと「事件」を起こし、逮捕され、裁判で全てを明らかにしようと考えるに至った。それが冒頭の「事件」を起こした理由である。

しかし、大阪府警は、事故を起こした森山さんを「精神異常者扱い」し、精神病院へ送り込んだのである。森山さんは、この処遇について、昨年12月、26年ぶりに国と大阪府に対して国家賠償請求と措置入院の無効を求めて提訴した。具体的に何を訴えているか、森山さんにお聞きした。

森山光博さん近影

「大阪府警本部の正面玄関奥に乗用車に乗ったまま進入した私は、建造物侵入と損壊の罪で現行犯逮捕されました。ところが裁判で全てを明らかにしようと考えていた私は、その刑事裁判を受ける権利を否定され精神病院に送られてしまいました。 事件は26年前のことなので、時効などの規定により、国家賠償請求は認められないと承知の上で、少なくとも措置入院(精神病院への強制入院)の処分の無効の確認判決だけは勝ち取りたいと、昨年12月16日に本人訴訟で訴状を大阪地裁に提出し受理されました。
 被告の国と大阪府は、原告の主張する事実関係や、提示した証拠能力を積極的に争う姿勢は示さず、予想通り国家賠償請求権の時効などによる消滅を主張し、措置入院の処分の無効についても、措置は解除されているのだから、たとえその経歴が残っても、訴える理由がないと主張しています。
 裁判の情勢は芳しくありませんが、私が訴えたいのは、警察は一般人を、危険を伴うスパイとして利用するだけ利用し、必要なくなるとすっぱり切り捨てる組織であること、それを主張するために「事件」を起こした私を「精神異常者」として精神病院に送り込み、私の刑事裁判を受ける権利を奪ったことが許せないということです」。

筆者はほかに、石川県警のスパイをさせられた男性が、その後覚せい剤使用の罪をでっちあげられ逮捕された件について、えん罪であると主張して起こした裁判を支援してきた。一市民を捨て駒のように利用して行う警察の違法な捜査などが許せないからだ。引き続き、この裁判の行方に注目していきたい。

◎第2回口頭弁論期日 7月9日(木)午後13時30分~ 大阪地裁806法廷

▼尾崎美代子(おざき みよこ)

新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

月刊『紙の爆弾』2020年8月号【特集第4弾】「新型コロナ危機」と安倍失政 河合夫妻逮捕も“他人のせい”安倍晋三が退陣する日
〈原発なき社会〉をもとめて 『NO NUKES voice』Vol.24 総力特集 原発・コロナ禍 日本の転機

【カウンター大学院生リンチ事件(別称「しばき隊リンチ事件」)検証のための覚書15】 リンチ被害者M君を村八分にした「エル金は友達」祭りの首謀者・朴敏用が「あらい商店」再開! 再びしばき隊/カウンターの根城構築か?  鹿砦社代表 松岡利康

私の会社・鹿砦社が、ここ7、8年広告を出している月刊『新聞うずみ火』(代表・矢野宏)7月号が届き、ざっと開いてみて驚きました。別掲の通りですが、ここに見開き2ページに渡りインタビュー記事が掲載されている「あらい商店」と、この経営者・朴敏用(パク・ミニョン。日本名・新井俊秀)は、私たちが被害者救済・支援と真相究明に携わってきた「カウンター大学院生リンチ事件」に深く関わっているからです。

『うずみ火』ともあろうものが、あろうことかリンチ事件に深く関わっている者を大きく採り上げるとは……『うずみ火』代表・矢野宏には質問書も送り、リンチ本5冊も発行の都度送ってきました。私たちがこのリンチ事件の被害者M君救済・支援と真相究明に携わってきたことを知らないわけはありません。矢野さん、そうではないですか?

『うずみ火』については別途記述いたしますが、元読売新聞大阪社会部出身の黒田清(故人)が始めた「黒田ジャーナル」の流れを汲み、創刊は『紙の爆弾』と同じ2005年。その創設メンバーの一人、西谷文和が、神戸拘置所に勾留中の私に面会に訪れ、この記事が『新聞うずみ火』創刊号に掲載されました。西谷とは、彼がまだ大阪・吹田市の公務員で、その労組の雑誌に寄稿して以来面識がありました。この恩義もあり、鹿砦社が再起して以来、長年広告を出してきました(『うずみ火』に毎月有料広告を出しているのは鹿砦社のみ)。だからといって内容に口出ししたこともありませんし、くだんのリンチ事件に多少なりとも関わっている者(コリアNGOセンター理事・金光敏ら)が登場しても、これを詰ったこともありません。しかしあらい商店・朴敏用の場合は違います。「『うずみ火』も遂にしばき隊化したのか」との感が否めません。

矢野さん、なんだよ、このインタビュー記事は!? あなたも「反差別」とか「人権」とか言うのなら、朴敏用が首謀者となってリンチ被害者M君に行った村八分行為「エル金は友達」祭りの事実をきちんと踏まえた上でインタビューを行い記事を書くべきではなかったのか? 村八分が差別行為だということは分かっていますよね? 冒頭に記したように、『うずみ火』には、リンチ本は発行の都度送っていますしリンチ本の広告も出していて、知らないわけはないでしょう。知らないなどとは言わせません。朴敏用について耳触りの良い内容の一方で、度し難い村八分行為を黙過しているのなら偏頗な内容と断じざるをえません。

『新聞うずみ火』2020年7月号

◆リンチ事件に至る道程は「あらい商店」から始まった!

私たちが「カウンター大学院生リンチ事件」と呼び、一般に「しばき隊リンチ事件」といわれる集団暴力事件は、かつて「十三(じゅうそう)ベース事件」と呼ばれていました。これは、リンチの舞台が、大阪・十三のホルモン料理屋「あらい商店」で行われたと噂されていたことから発しています。

その後、この事件の全貌が私たちの真相究明の中で明るみに出るに従い、リンチが大阪最大の飲食店街「北新地」で行われていたことが明らかになり「十三ベース事件」は死語になっていきました。

しかし、このリンチ事件は、2014年12月16日、この日は李信恵が「保守速報」らネトウヨを訴えた民事訴訟の弁論の日で、これが終了し、李信恵ら5人はまず「あらい商店」から始め5軒目の北新地のワインバーに至るまで泥酔するほど飲み歩いています。リンチ事件は、日付が変わった17日深夜に起きました。

泥酔した李信恵らはM君を呼び出し激しいリンチを加えたのです。一説には、リンチの謀議をあらい商店で行ったと言った人もいました。リンチ事件はあらい商店で起きたのではありませんが、李信恵ら5人は、このあらい商店から飲み歩きに出発したのです。

また、あらい商店は、カウンター/しばき隊のメンバーらがたむろする根城になっていたことは自他共に認めるものです。有田芳生参議院議員は、なぜかリンチ事件の翌日に訪れています。このことはじめ、有田議員には、四国の自動車販売会社社長・合田夏樹脅迫事件への関与など聞きたいことが山ほどありますが、頑なに取材を拒否していますので確認は今のところできていません。国会議員たる公人は、合田脅迫事件に自らの宣伝カーが使われたという疑惑や、「反差別」運動の中心メンバー5人が行った集団リンチ事件について説明責任があるというのは当然です。私の言っていることは間違っていますか? 有田は「鹿砦社には答えない」と言っていますが、じゃあ鹿砦社以外の者がたずねたら答えるのか? どうですか?

あらい商店の経営者・朴敏用は、カウンター/しばき隊の中心メンバーと言ってよく、娘もかのSEALDs KANSAIの活動家で、名を出してメディアにも登場しています。あらい商店の屋号は、日本名の「新井(あらい)」から名づけているものと思われますが、朴みずから言っているように客を選び、客のほとんどはカウンター/しばき隊界隈の人間だったようで、いきおい一般の客は寄せ付けなかった、あるいは寄り付かなかったのではないでしょうか。あらい商店は、有田議員ら“上客”を常連としつつも3年半ほど前に潰れましたが、このことが要因になっているものと考えられます。

あらい商店閉鎖後、朴は、ある焼肉屋に就職しますが、これもみずから言っていますが厨房でタバコを吸っていて先輩に叱られたということで、勤務態度には疑問符が付くようです。このたびのコロナによる休業で解雇されたということですが、そんな勤務態度だと経営者としては渡りに船だったのかもしれません。

◆朴敏用が主唱した「エル金は友達」祭りとは?

朴敏用について、どうしても忘れられないのは、2015年5月初頭の「エル金は友達」祭りです。これは、朴敏用が主唱しカウンター/しばき隊関係者ぐるみで行ったもので、リンチの実行犯・エル金こと金良平は友達と多人数で発信することで、被害者M君に対し「お前の味方は誰もいない」と見せつけ、M君を村八分にするという陰湿極まる「ネットリンチ」「セカンドリンチ」でした。

M君いわく、「これだけ多くの人物らが自分一人に対し悪意を向けているのか……」と精神的にかなり参ったというものです。かつての仲間だった多くが「エル金は友達」祭りに加担し、M君は「あいつも」「こいつも」と仲間外れされ追い詰められていったそうです。この時期ITOKENこと伊藤健一郎(当時大学院生)が悪名高い「説明テンプレ」をカウンター/しばき隊関係者に送り共有し、M君を悪者にでっち上げる口裏合わせの済んだ後のことですから、「エル金は友達」祭りの参加者相互にM君に対する悪意が共有されていたと考えて間違いないでしょう。

「エル金は友達」祭りに加担した者はかなり多数にわたりますが、なかには、例によって中沢けい、金明秀らの名もありました。

朴が、「エル金は友達」祭りを主唱し、エル金やリンチ加害者らを応援しても、店の売上に貢献し経営を応援してくれる仲間はいなかったのか、旧あらい商店は2016年10月末日に閉店となります。有田芳生や中沢けい、伊藤大介ら高額所得者は金銭的応援はしなかったのでしょうか? 「エル金は友達」ならぬ「あらい商店は友達」なら、閉店するかどうかの正念場にはポンと50万円、100万円出して助けてやれよ。

リンチ被害者M君を村八分にした「エル金は友達」祭り。これに参加した者の人権感覚を問う!
同上
同上

◆「あらい商店」再開後は以前の言動を反省し、特に衛生面には留意してください! 

旧「あらい商店」厨房内でふざける朴敏用(左)と野間易通(右)。朴の後ろに吸い殻山盛りの灰皿が見える

朴は解雇後、キムチの製造・販売(通販)に乗り出し、遂に物件の契約も済ませ店舗の再開に漕ぎ着けようとしているということで慶賀の至りです。早速、西岡研介や中沢けいらがエールを送っています。まだオープンしていませんが、再開後は、以前の反省から、客を選んだり仕事中に厨房でタバコを吸ったりせずに広く愛される店になってほしいものです(以前のあらい商店の写真を見ると、調理台の上に吸い殻が山盛りになった灰皿が無造作に置かれているのが確認できますが、これも飲食店としては大いに問題があると言わざるを得ず、新店舗では、こうしたことも改善してくれるものと期待します)。

ところで、キムチの製造・販売(通販)ですが、値段は高くはありませんか? 相場よりちょっと高いんじゃないかとの声も聞かれますが、従前からの競合業者に割って入るには、まず値段が問題、高いと勝てません。いやいやオレには有田先生や中沢先生ら高くても買ってくれる人がいっぱいいる……とか思っているのかな? 有田先生、中沢先生、大量注文お願いしますね。

読者は目敏い! 吸い殻山盛りの灰皿を拡大しツイート

また、「食品衛生法」とか、こちらはクリアしているのでしょうか? キムチは、自宅の台所で製造して自家用とするのは問題ないとして、素朴な疑問ですが、対外的に販売用に製造するのには保健所の許可など要らないのでしょうか? 

「食品衛生法」は、かなり厳しく、対外的に販売用に家庭の台所で製造することはできないとされていて、「住居部分と完全に区画された専用の製造施設、販売施設が必要です」と定められていますし、また「容器包装に入れられた加工食品は正しく表示しなければ販売できません」と記されています。「正しく表示」していますか?

当初からあらい商店の通販サイトを見ていると、そうしたことは明示してありませんし、そんなことなど眼中になく製造と販売(通販)を始めたように思われますが、問題ないのでしょうか? 問題ないのならいいんですが、くれぐれも衛生面には留意し(作業中にタバコなど吸ったらいけません!)、食中毒とか出さないように頼みますよ。

あっ、それから、再開前にすでに仲間内で齟齬も発生しているようです(別掲画像参照)。なにか新生「あらい商店」の近未来を予兆させる齟齬です。商売人、特に飲食関係なら、もっと鷹揚に対応してほしいものです。(続く。本文中敬称略)

新生「あらい商店」の近未来を予兆させる齟齬

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

明日にも起訴? 河井克行・元法務大臣と河井案里・元参議院議員の〈政治とカネ〉 要は安倍総理が主導した〈官邸と党本部の犯罪〉ではないのか? 横山茂彦

◆安倍総理の名でカネを配っていた河井夫妻は7月8日に起訴される見通し

マスコミ報道によると、河井案里容疑者が選挙スタッフに、少なくとも200万円の違法な報酬を支払っていたことが明らかになった(捜査関係者情報)。

これによって、案里容疑者の公職選挙法違反は決定的になった。広島選挙区の自治体首長への「陣中見舞い」など、名目不明の「買収」とは異なり、原則無報酬の運動員に報酬をあたえる、直接的な違法行為であるからだ。

とくに河井克行容疑者においては、法務大臣として公選法を熟知していながらの確信的な犯行である。悪質極まりないというべきであろう。この結果、河井案里容疑者と河井克行容疑者は、7月8日に起訴される見通しだ。

◆主導したのは安倍総理ではないのか?

そもそも自民党総裁としての安倍総理の参院広島選挙区へのテコ入れ自体、みずからに批判的な(安倍総理のことを「過去の人」と発言)溝手顕正氏を追い落とすことにあった。名目的には2議席獲得を掲げながら、案里容疑者に1億5,000万円もの軍資金(政党助成金=血税である)を投入し、溝手顕正氏陣営の有力者を狙い撃ち的に買収するという、まことに不格好かつ強引な手口であった。その結果、割を食ったのは自民党広島県連および溝手氏である(下記の選挙結果)。

当選 森本真治 無所属 現 329,792票 32.31% 立憲・国民・社民・連合推薦
当選 河井案里 自民党 新 295,871票 28.99% 公明推薦
落選 溝手顕正 自民党 現 270,183票 26.47% 公明推薦

その実態も明らかになっている。

「現金を受け取った自民党の地方議員らが、克行容疑者の妻案里容疑者(46)の推薦はがきを用意するなどの支援に動いていたことが3日、関係者への取材で分かった」(中国新聞、7月4日)という、カネで裏切りを強要するものだった。

まさに党本部と官邸の思惑どおり、安倍一強・党本部支配が貫徹され、総理に逆らう者は血祭りにあげられるという個人独裁制を党内外にアピールしたのである。
だがそれは、総理官邸(および党本部)の犯罪でもある可能性が高いのだ。現金を受け取った北広島町の宮本裕之町議会議長は「しんぶん赤旗」の取材にこう答えている。

「受け取ってはいけない金と思ったが、安倍総理の名前を出して強引に渡され、返せなかった。後悔している」(7月5日付)

府中町の繁政秀子町議も「『安倍さんから』と30万円入った封筒を渡された」「『もらえない』と拒否したが、安倍総理の名前を聞いて断りきれなかった」(前出)と証言している。まさに、総理の名による買収だったのだ。


◎[参考動画]「安倍さんから」河井夫妻“買収”めぐり証言続々と(ANNnews 2020年6月25日)

◆買収目的公布罪の立件も視野に

共産党の志位和夫委員長は、安倍総理に「買収目的公布罪」の疑いが浮上したとしている。いや、安倍総理の犯罪を指摘するのは、ひとり共産党だけではない。元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士も、河井夫妻に現金を供与した自民党関係者に「買収目的交付罪」が適用される可能性に言及している。

郷原氏は「それ(買収)が行われることを認識し、目的を持って金銭の交付をする行為は交付罪になる」と説明し、「交付を決定した人」が罪に問われる可能性を指摘した(立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党の「実態解明チーム」の会合で。6月24日)

その「買収目的交付罪」の条文を挙げておこう。

「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。」(公選法221条1号)

「第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。」
(公選法221条5号)

「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」(公選法第十六章 罰則【買収及び利害誘導罪】)

そしてこの犯罪の構成要件をみたす、重要な事実関係も明らかになっているのだ。すなわち、このときの選挙で安倍総理の秘書団が、河井陣営を支援するために広島入りしている事実である。

安倍秘書団は河井陣営の先頭に立って、溝手顕正氏陣営の有力者の切り崩しに奔走したとされている。また、河井陣営の運動員を引き連れて企業回りをしては、安倍総理の名を出して強引に面会をもとめたという。


◎[参考動画]検察は“ルビコン川”を渡った!河井前法相事件、今後の展開は?(郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#19 2020年6月23日)

◆カネの動きは明白である

参院選前に党本部から計1億5,000万円が送金されていたのは、すでに動かない事実である。検察はこの1億5,000万円の一部が違法報酬の原資になった可能性があるとみて調べているという。

そもそも河井容疑者の自己資金(歳費4,200万円)と自民党から交付された選挙資金(1億5,000万円)に、区別がつくものなのだろうか。検察がいまこの区別をつけようとしているのは、自民党本部および官邸にその責を及ばせようとしているからにほかならない。

森友・加計疑惑、そして桜を見る会における公選法違反疑惑、そして河井選挙買収事件においても、安倍総理(総裁)の関与が疑われている。そうであるがゆえに、安倍総理は賭博常習者の黒川弘務の定年延長を押し通し、検事総長に押し上げることでみずからへの訴追を回避しようと画策したのである。もはや安倍総理の逃げ道は、巷間噂されている今秋の解散総選挙による訴追逃れしかないのかもしれない。


◎[参考動画]2020年6月30日 野党合同国対ヒアリング「河井買収事件実態解明チームヒアリング」(原口一博 2020年6月30日)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)

編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。医科学系の著書・共著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)『ホントに効くのかアガリスク』(鹿砦社)『走って直すガン』(徳間書店)『新ガン治療のウソと10年寿命を長くする本当の癌治療』(双葉社)『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)など。

本日発売!月刊『紙の爆弾』2020年8月号【特集第4弾】「新型コロナ危機」と安倍失政 河合夫妻逮捕も“他人のせい”安倍晋三が退陣する日

《NO NUKES voice》再び福島を汚染させるな! 地元で高まる「海洋放出反対」の声 大詰めを迎えた福島第一原発事故現場の汚染水処分問題 尾崎美代子

福島第一原発で増え続ける汚染水の処分問題が大詰めを迎えている。福島第一原発事故で破損した原子炉を冷却することで発生する放射性物質を含む汚染水は、1日約150~170トンで増え続けるため、敷地内の貯蔵タンクも、2022年夏頃には満杯になると予測されている。

経産省は、2013年から汚染水の処分方法について、希釈して濃度を下げて海に放出、水蒸気にして大気に放出、地下深くに埋設などの五つの方法について技術的な検討をはじめていた。今年1月31日、経産省資源エネルギー庁の「多核種除去設備など処理水の取り扱いに関する小委員会」は、海洋放出と大気放出の2案について「前例がある」ことを理由に前向きに進めるとした案をとりまとめ、2月10日「より確実に処分できる」として海洋放出を具体的に提言した報告書を公表した。

◆西尾正道氏が指摘するALPS処理汚染水の危険性

汚染水について経産省は、放射性セシウムや放射性ストロンチウムなど62種類については「多核種除去設備」(ALPS)でほぼ除去され、トリチウムのみが残存するとしてきた。さらに「自然界にも存在し、全国の原発で40年以上排出されているが健康への影響は確認されていない」「トリチウムはエネルギーが低く人体影響はない」と安全性を強調してきた。

しかし、北海道がんセンター名誉院長・西尾正道氏からは、低濃度でも人間のリンパ球に染色体異常をきたすこと、原発の下流域に小児白血病やダウン症、新生児死亡などの増加していること、トリチウム放出量が多い加圧水型原子炉の玄海原発(佐賀県)や泊原発(北海道)の周辺地域で、稼働後白血病やがんでの死亡率が高まったことなどが報告されている。

しかも2018年9月には、処理後に残存するのはトリチウムだけではなく、ストロンチウム90、セシウム137、ヨウ素129などが基準値を超え、保管量の7割に残っていることも明らかにされた。海洋放出する際には二次処理を行い希釈するというが、薄めたとしても、トリチウム始めほかの62核種が、世界規模の環境汚染、そして漁業などへ「実害」をもたらすことは必至である。

◆地元で高まる「海洋放出反対」の声

政府は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全国で自粛が続く中、今夏にも処分方法を決定したいがため、4月6、13日、5月11日、6月30日に限られた団体・関係者のみを集めて意見聴取会を強行した。

この中で、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会は2案に対して明確に反対を表明し、その他の関係機関や自治体首長からは、もっと多くの県民に説明をして意見を聞くべき、必ず起きる新たな風評被害に対する具体策を提示するべきとの発言が大半を占めた。

処分方法を提言した報告書に対して、福島県内59の市町村議会の中から反対の声があがり、6月25日時点で会津若松、いわき市、喜多方市、相馬、郡山市、三春町など19市町村議会が、国に対する「海洋放出反対」「風評対策要望」などの意見書を可決した(ほかに継続審議が1市)。

また漁業関係者では、全国漁業協同組合連合会が6月23日の通常総会で「海洋放出に断固反対する特別決議」を全会一致で採択、コロナ禍の感染拡大防止の自粛活動が進むなかで、一部の関係者が一方的に議論を進めていることに対して「強い不信と憤りを禁じ得ない」と怒りを表明した。さらに26日福島県漁連も「海洋放出に断固反対する」とする特別決議を全会一致で承認した。

6月23日の福島県議会開会日に、福島県議会にも反対の意見書提出を請願した時のスタンディングの様子(大河原さきさん提供)

◆三春町在住・大河原さきさんに聞く汚染水問題

汚染水の海洋放出について、何が問題かを、福島県三春町在住で「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会・三春」の大河原さきさんにお話を伺った。

── 汚染水問題で福島県内では次々と議会で反対決議などがあがっています。具体的には「海洋放出反対」から「風評対策要望」などと、地域によって温度差などがあるようですが?

三春町議会に提出された汚染水の海洋放出に反対する意見書

大河原 地域の温度差ではなく、町村部は住民の意見を反映しやすく、反対や長期保管を求める意見書となったのは町村議会が多いです。陳情や請願を行った団体は「海洋放出反対」の意見書を求めていたと思いますが、市部の議会は自民党議員が過半数を占めるため、「反対」や「陸上保管」などを引っ込めて、自民党案の「風評対策の拡充要望」を加えるなど、苦渋の駆け引きとなったところもあり、意見書提出が否決されるより、可決されることを選んだ結果です。

── 実際は福島だけではなく、日本全体、そして地球規模で論議される必要があると考えますが?

大河原 その通りです。福島県は原発事故の被害県であり、県民は被ばくや避難を余儀なくされました。また第一次産業でなりたっていた県ですが、農畜産物、海産物の市場価格は下落したままです。福島原発で発電された電力はすべて関東地方に消費されているのに、事故による放射性廃棄物である汚染水処分が、福島県の問題であるかのようにされているのは間違いです。これは原発を推進してきた日本政府が責任を取らなければならない問題です。

また原発稼働が続く限り、今後各地で起こりうる問題として、日本全体で考えなければならないと思います。今回の意見聴取会のように、政府が指名した団体だけではなく、またパブコメのように一方的に意見を書いて送るものでもなく、意見を述べたい人が誰でも述べられる公開の場をつくるべきです。原発事故によって既に大量の放射性物質を海に流してきた日本に対し、国際的な批判もある中で、海外からの意見を聞く場も公開で設けるべきです。

6月23日の福島県議会開会日に、福島県議会にも反対の意見書提出を請願した時のスタンディングの様子(大河原さきさん提供)

── 政府はこのコロナ禍でも意見会を強行するなど、処分方法決定をかなり焦っていると思えますが、何故だとお考えでしょうか?

大河原 国内外で海洋放出に安泰する人々がコロナ禍で動けず、全国的、国際的な問題になる前に、すべての関心がコロナに向いているこの機会に、「海洋放出」という、一番安価で簡単な方法を、急いで決定したかったのだと思います。それに対しては、国連人権理事会の特別報告者も、6月9日に「処理水の海洋放出に関するいかなる決定も、新型コロナウイルスの感染拡大がひと段落するまで控えるよう求める声明を発表して、釘を刺したほどです。

◆「日本政府と東電は、陸上での長期保管の用地確保のための努力をせず、漁業者を犠牲にする形で海洋放出しようとしています」(大河原さん)

── 最後に、汚染水問題で全国の皆さんに訴えたいことをお聞かせください。

大河原 原発事故によって発生した汚染水問題は、福島県の問題でなく日本全体の問題です。日本政府と東電は、陸上での長期保管の用地確保のための努力をせず、漁業者を犠牲にする形で海洋放出しようとしています。

これを食い止めるための1つの方法として、皆さんがお住いの地方自治体議会からも、海洋放出に反対する意見書を国に提出するために、9月議会に陳情や請願をしていただけませんか? 県外からの意見書が沢山出てくることで、福島県だけの問題ではないということが具体的になると思います。

4月20日に国連人権理事会の特別報告者から、汚染水の海洋放出に関する申し入れがありましたが、日本政府からの回答がなく、前述したように、6月9日、特別報告者から生命が出され、政府は6月12日に(あわてて)回答を発表しました。

回答に「7月15日までの書面での意見募集(パブリックコメント)を行っている」と書いてあり、6月15日が締め切りだったのに、経産省のホームページにも6月12日急に1カ月延長したことが掲載されました。「市民の意見を聞いている」とやってる感を見せるためだったようです。ともあれ、全国からの海洋放出反対のパブコメをたくさん経産省に寄せてください。

経産省ウェブサイト「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場 及び 書面による御意見の募集について」
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/takakushu_iken/index.html

▼尾崎美代子(おざき みよこ)

新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

〈原発なき社会〉をもとめて 『NO NUKES voice』Vol.24 総力特集 原発・コロナ禍 日本の転機

『NO NUKES voice』Vol.24
紙の爆弾2020年7月号増刊 好評発売中
定価680円(本体618円+税)A5判/148ページ

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総力特集 原発・コロナ禍 日本の転機
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[表紙とグラビア]「鎮魂 死者が裁く」呪殺祈祷僧団四十七士〈JKS47〉
(写真=原田卓馬さん

[報告]菅 直人さん(元内閣総理大臣/衆議院議員)
原子力とコロナと人類の運命

[報告]孫崎 享さん(元外務省国際情報局長/東アジア共同体研究所所長)
この国の未来は当面ない

[報告]田中良紹さん(ジャーナリスト/元TBS記者)
コロナ禍が生み出す新しい世界

[報告]鵜飼 哲さん(一橋大学名誉教授)
汚染と感染と東京五輪   

[報告]米山隆一さん(前新潟県知事/弁護士/医師)
新型コロナ対策における政府・国民の対応を考える

[報告]おしどりマコさん(芸人/記者)
コロナ禍は「世界一斉民主主義テスト」

[報告]小野俊一さん(医師/小野出来田内科医院院長)
新型コロナ肺炎は現代版バベルの塔だ

[報告]布施幸彦さん(医師/ふくしま共同診療所院長)
コロナ禍が被災地福島に与えた影響

[報告]佐藤幸子さん(特定非営利活動法人「青いそら」代表)
食を通じた子どもたちの健康が第一

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「原発事故避難」これまでと現在〈8〉
新型コロナウイルス流行と原発事故発生後の相似について

[報告]鈴木博喜さん(ジャーナリスト/『民の声新聞』発行人)
コロナ禍で忘れ去られる福島

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとは何か〈19〉
翼賛プロパガンダの失墜と泥沼の東京五輪

[インタビュー]渡邊 孝さん(福井県高浜町議会議員)
(聞き手=尾崎美代子さん
関電原発マネー不正還流事件の真相究明のために
故・森山元助役が遺したメモを公にして欲しい

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
僕らは、そして君たちはどうたち向かうか

[報告]平宮康広さん(元技術者)
僕が原発の解体と埋設に反対する理由

[報告]板坂 剛さん(作家・舞踊家)
《対談後記》四方田犬彦への(公開)書簡

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
令和「新型コロナ」戦疫下を生きる

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈8〉
東京オリンピックを失って考えること

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
コロナ禍で自粛しても萎縮しない反原発運動、原発やめよう
《全国》柳田 真さん(再稼働阻止全国ネットワーク・たんぽぽ舎)
《六ヶ所村》山田清彦さん(核燃サイクル阻止一万人訴訟原告団事務局長)
《東北電力・女川原発》日野正美さん(女川原発の避難計画を考える会)
《福島》黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)
《東海第二》大石光伸さん(東海第二原発運転差止訴訟原告団)
《東電》武笠紀子さん(反原発自治体議員・市民連盟 共同代表)
《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
《関電包囲》木原壯林さん(若狭の原発を考える会)
《鹿児島》向原祥隆さん(反原発・かごしまネット代表)
《福島》けしば誠一さん(反原発自治体議員・市民連盟/杉並区議会議員)
《読書案内》天野恵一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)

私たちは唯一の脱原発雑誌『NO NUKES voice』を応援しています!

《深層検証》大物宮司「怪死」事件 神社本庁と神道政治連盟の闇 横山茂彦

5月20日に発表された宮司の死について、ここでは「怪死」としておこう。殺人など事件性のある「怪死」という意味ではない。おもて向きの発表が「病死」でありながら「自殺」が疑われているからだ。そしてじつは、そこにこそ宮司の死の真の原因が顕われているからである。

というのも、このかん神社本庁の実態を報じてきた「ダイヤモンド」(6月12日付/編集部・宮原啓彰)によれば宮司の死を、
「神社本庁は『存じていない』とし、岩手県神社庁は『心筋梗塞による病死と聞いている』とダイヤモンド編集部の取材に答えた。」
「だが、複数の神社本庁や岩手県神社庁、盛岡八幡宮の各関係者によれば自殺だったという。直前には、盛岡八幡宮の宮司を休職、神社本庁や神政連にも辞表を提出しており、覚悟の上での自死だったのではないかと見られている。」
としているのだ。もしも「自死」だとしたら、その原因は何なのだろうか?

 
岩手県神社庁長・盛岡八幡宮宮司だった藤原隆麿氏の訃報(2020年5月20日付中外日報)

「怪死」したのは藤原隆麿氏(岩手県神社庁長・盛岡八幡宮宮司・66歳)である。肩書のとおり岩手県神社界のトップであるとともに、藤原氏は全国7万9000社の神社を統括する神社本庁の理事、そして憲法改正を推進する神道政治連盟の総務会長なのだ。まさに大物宮司の謎多き「怪死」である。

だが、これを詳報した「ダイヤモンド」によれば、前出の宮司職の休職も、神社本庁や神政連への辞表にも、有力な動機がある。藤原氏を刑事告訴する動きがあったというのだ。したがって自殺である可能性が高い。

神社本庁といえば、不動産売買(職員用宿舎の売却)をめぐって、執行部(田中恆清総長・小野崇之総務部長=当時)の背任疑惑があり、内部告発が行なわれている。その告発者への処分も行われている。

◆三角不倫疑惑

藤原氏を刑事告訴する動きとは、それでは何だったのだろうか。その動きが明らかになるのは、3月に暴露されたスキャンダルにさかのぼる。

そのスキャンダルとは、神社本庁の秘書部長兼渉外部長の小間澤肇氏(57歳)とその部下の女性職員(51歳)の不倫疑惑である。ふたりは新宿歌舞伎町のラブホテルから出てきたところを、張り込んでいた取材陣に活写されたのだ。ふたりは焼き肉屋で飲食ののち、ラブホテルに2時間滞在したという。計画的な取材であることから、内部からのリークによるものであるのは明白だ。(2020年3月16日付『週刊ポスト)

そしてじつは、「怪死」した藤原氏を刑事告訴しようとしていたのは、ほかならぬこの不倫疑惑のある女性職員なのだ。藤原氏から何らかの被害を受けた彼女は、小間澤氏にラブホテルで「相談していた」というのだ。なぜ焼き肉屋で「相談」は終わらなかったのだろうか。三角不倫を想像させるが、それはともかく、事件の概要を整理してみよう。

藤原氏→何らかの犯行?→女性職員→相談?(焼き肉屋・ラブホテル)→刑事告訴の準備?→藤原氏→怪死(病気か自殺) という構造なのだ。

藤原氏と女性職員のあいだに何があったのかは、もはやわからない。だがたとえば、元テレビ局の記者で自称ジャーナリストによる昏睡レイプ事件が、民事では有罪になっても刑事では立件もされない現実を考えると、相応の事実があったのだろう。事実無根として戦う余地がなかったのだと考えられる。その意味では、藤原氏は神職者らしく恥を生きることを拒否して、帰幽(逝去の神道用語)されたのかもしれない。

不倫がいけないとか、神職でありながらけしからんとかの道徳者視点で批判をするつもりはない。しかるに、神社本庁およびその政治団体である神道政治連盟は、夫婦別姓に対して「家族崩壊」につながる。あるいは「不倫の温床になる」と批判をくり広げてきたはずだ。その意味では、死に値する事態だったのかもしれない。

 
ラブホテルから出て来る小間澤肇氏と部下の女性職員(2020年3月2日付地球倫理:Global Ethics)

◆その利権と内部抗争

そして問題なのは、小間澤氏が神社本庁不動産不正取引疑惑を告発した元総合研究部長の稲貴夫氏を懲戒免職処分に、同じく財政部長の瀬尾芳也氏を降格処分にした責任者であることだ。このことからラブホテルの一件(リーク)は、おそらく反執行部側の人物によるものであろうと考えられるのだ。不倫疑惑事件の背後に、明らかな内部抗争がみてとれる。

じっさいに、稲氏と瀬尾氏が処分無効等を求めて東京地裁へ提訴したさいに、小間澤氏は「処分は妥当」とする神社本庁側に立って陳述書を提出しているのだ。そうすると、今回の事件(ラブホスキャンダル・藤原氏の怪死)は、三角不倫と思われる三人のうごきをつかんだ反執行部派がリークした上に、執行部の重鎮でもある藤原氏を刑事告発するうごきがあったと考えるべきであろう。

ここで、上述した神社本庁不動産不正取引疑惑を解説しておこう。疑惑が露見したのは、2015年のことである。全国の神社から選出される評議員会において、神社本庁所有の「百合丘職舎」の売却が承認された。売却先はディンプルインターナショナルという不動産会社で、その額は1億8400万円であった。ところが、ディンプルは百合丘職舎を転売し、最終的には3億円をこえる物件として大手ハウスメーカーの所有となったのだ。

転売した売却益はどこへ行ったのか? いや、それよりも問題となったのは、基本財産目録に記された百合丘職舎は、簿価ベースで土地建物合わせ7億5616万円だったのだ。この一件をめぐって、背任との内部告発が行なわれ、告発者が処分されたのは前述のとおりだ。

民間の財団である神社本庁が憲法改正を掲げ、日本会議など右翼団体に大きな位置を占めているのは、一般にも知られるところだ。あるいは日本遺族会の一部とともに、天皇の靖国参拝を求めている。きわめて政治性の強い組織であるいっぽう、じつに穢れた利権抗争をその内部にはらんでいることが鮮明になってきた。継続して、神社本庁および神道政治連盟の実態を明らかにしていきたい。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)

編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。医科学系の著書・共著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)『ホントに効くのかアガリスク』(鹿砦社)『走って直すガン』(徳間書店)『新ガン治療のウソと10年寿命を長くする本当の癌治療』(双葉社)『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)など。

月刊『紙の爆弾』2020年7月号【特集第3弾】「新型コロナ危機」と安倍失政

【カウンター大学院生リンチ事件(別称「しばき隊リンチ事件」)検証のための覚書14】 闘いはまだ終わってはいない!(12) 平気で嘘をつく人たち(5) ~ 香山リカの場合 鹿砦社代表 松岡利康

私は、このかん標記の「カウンター大学院生リンチ事件(別称「しばき隊リンチ事件」)」の検証と総括作業に取り掛かっています。このブレーンストーミングを兼ねて、くだんのリンチ関連本5冊や「デジタル鹿砦社通信」の記事などを読み直し、資料を整理してきました。この作業の一端として4月からこの連載をやって来ました。

誰が撮ったか、ネットに出回る香山リカの雄姿!怖い!

今「平気で嘘をつく人たち」について記述していますが、やはり忘れてならないのが香山リカでしょう。彼女が鹿砦社に対して行った誹謗中傷ツイートはひときわ多いです。

本来なら名誉毀損で提訴するところ、今のところは対李信恵、対藤井正美との訴訟に集中するためにペンディングにしていますが、決して諦めたわけではありません。

「売られた喧嘩は買う!」「挑発には乗る!」を信条としてきた「棺桶に片足を突っ込んだ爺さん」(by藤井正美)としては、このままでは終われません。ここでは、香山のツイートを幾つか挙げてコメントしておくに留めます。

「ガチャ切り」されたとの大ウソ!

◆鹿砦社取材班が電話を「ガチャ切り」した!?

香山には、他のリンチ隠蔽に関わったと推認される者らと同様、質問書を送っています。当初は、自宅住所が把握できませんでしたので大学宛に郵送し回答がないので、彼女が業務委託している事務所に電話しました。ところが、「ガチャ切り」されたなどとの事務所の者の言葉か、香山自身が盛った言葉かわかりませんが、そうツイートしています。

しかし、これはウソです! 取材者は「ガチャ切り」などしていませんし、終始慇懃丁寧に対応しました。これは音声データがありますので、香山のツイートがウソだとわかります。

だってそうでしょう、相手が録音しているかもしれないのに「ガチャ切り」などするわけがありません。取材者は鹿砦社本社から電話しましたが、この場に私もいて聞いていましたので間違いありません。あまりに稚拙なウソです。

◆質問書を「どこに送付したか、ちょっと書いてみては?」というから素直に書いてみましたが……

次は、鹿砦社のツイッターアカウントが一時止められ有名になりましたが、質問書を「どこに送付したか、ちょっと書いてみては?」というから、素直に応じ送った住所を答えました。この頃には、各方面からの情報提供もあり自宅住所も把握でき直撃取材するかと思っていたところでした。

ところが香山は、自らの挑発に私たちが率直に対応したことに慌てふためき、神原元弁護士に連絡し助けを求めたのでした。香山先生、あなたが「どこに送付したか、ちょっと書いてみては?」と言ったんじゃなかったんですか!? 

[左]「どこに送付したかちょっと書いてみては?」というから書いてみました。[右]慌てふためいて守護神・神原元弁護士に事態収拾を依頼

◆鹿砦社が裁判を起こし「小口ビジネスモデルに活路を見出した」という大ウソを捏造した香山の「責任は重い」!

「小口ビジネスモデルに活路を見出した」?

さらに香山は、創業50年にわたり一貫として出版社としての矜持を堅持して出版活動を継続してきた鹿砦社に対し、あろうことか、「『裁判を起こす→支援者からカンパで費用を集める→本を出して支援者に買わせる』という小口ビジネスモデルに活路を見出したのだろうか」などと倒錯した記述をしています。

「カンパで費用を集める」? 「本を出して支援者に買わせる」? M君裁判は、あえて鹿砦社は費用は出さず、広く心ある皆様からのカンパで賄いましたが、そのカンパを鹿砦社が流用し、これで本を出したことは断じてありません。会計報告を出さず資金の行方に疑問譜が付く「李信恵さんの裁判を支援する会」と違い、M君裁判支援会では、弁護士が管理し、皆様方の前に収支を報告しています。

作った5冊の本の費用は鹿砦社が出しカンパ金は1円も使ってはいません。また、本は、広く関心のあるみなさんには任意で買っていただきましたが、(半)強制的に「支援者に買わせる」ことなどしてはいません。むしろ、取材や支援会運営に協力してくれた者には献本しました。さらに鹿砦社 vs 李信恵/藤井正美訴訟の費用は、M君訴訟へのカンパは1円も流用せず、全て鹿砦社自身の資金で遂行しています。

「小口ビジネスモデル」? いい加減なことを言わないでください。香山による、このツイートは鹿砦社に対する度し難い名誉毀損です。

◆私たちに「しつこく嫌がらせをされ続けている」とウソを公言している香山の「責任は重い」!

「お金取り尽くしたらそれで終わり」? 失礼なことを言わないでください!

香山の“毒舌”は続く──「その後しつこく嫌がらせされ続けている。私だけではない。今日、高裁でそれは『リンチ』ですらなかったと確定した。鹿砦社の責任は重い。」

私たちにいつ、どのような「嫌がらせされ続けている」のでしょうか? 具体的に明らかにしていただきたいものです。私たちは、あくまでも取材の範囲内でのアプローチであると認識していて「嫌がらせ」などやったことはありません。このかん特ダネを連発している「文春砲」の足元にも及びません。

裁判所は、判決文のどこに「『リンチですらなかった」と書いていますか? リンチがあったからこそエル金こと金良平らに罰金(刑事)や賠償金(民事)を課したのではないですか? リンチ被害者M君のリンチ直後の写真をしかと見よ! リンチの最中の音声データを聴け! 凄絶な殴る音を聴いて、香山先生、どう感じますか?

「鹿砦社の責任は重い」だって?── 私たちは(少なくとも私は)出版社(者)としての「責任」から、このリンチ事件の被害者救済/支援と真相究明に乗り出しました。これはリンチという現実に直面した時に、一人の血の通った人間として、また出版人の末席を汚す者として、私(たち)の選択は正しかったと今でも思っています。みなさん、そうではないですか? 私の言っていることは間違っていますか?

香山こそ、リンチ事件の隠蔽に加担し、逆に私たちの真相究明の作業に茶々を入れたり、「小口ビジネスモデル」など、ありもしないことを公言したりし、私たちを誹謗中傷し名誉を毀損しました。その「責任は重い」と断じざるを得ません。

「しつこく嫌がらせされ続けてる」というウソをつく香山先生の「責任は重い」!

◆高橋直輝こと添田充啓の死についても香山らの「責任は重い」!

同志・安田浩一と(沖縄にて取材班撮影)

最後にもう一言。高橋直輝こと添田充啓が、死因不明で亡くなり2年が経ちました。香山先生、三回忌はされましたか?

高橋(添田)は、執行猶予中で沖縄に、まさに“鉄砲玉”として送られ逮捕、勾留されました。精神的に追い詰められていたとも耳にしましたが、事実はどうなのでしょうか? 

高橋(添田)の死因が、彼を精神的に追い詰めたことにあるのならば、香山やしばき隊界隈の者らの「責任は重い」と言わざるをえません。

香山は精神科医として、精神的に病んだとされる高橋(添田)に親身になって寄り添うべきではなかったのか、この意味でも香山の「責任は重い」と言わざるをえません。(本文中敬称略)

この連載は今後も続きます。次回は、最近明らかになった“あること”に対し怒りを持って糾弾します。

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

《河井夫妻事件》反権力がウリの識者たちが「検察の応援団」と化す中、検察捜査への疑念を表明したのが橋下徹氏や堀江貴文氏だという現実 片岡 健

「安倍政権の敵=すべて正義」という思考回路になっているのだろうか。いま話題の国会議員夫妻、河井克行氏(57)と案里氏(46)の公選法違反(買収)事件に関し、普段は「反権力」をウリにする識者たちが繰り広げる発言を見ていると、そう思わざるをえない。

これまでの報道などを見る限り、河井夫妻が地元広島で大勢の地方政治家たちに金を渡していたことや、昨年7月の参院選の際に官邸から河井陣営に1億5000万円の資金が渡っていたことは事実で間違いないだろう。ただ、河合夫妻は「買収」目的で金を渡したことは否定し、無罪を主張している。であれば、無罪推定の原則に従い、夫妻の主張の信ぴょう性も慎重に検討されるべきだろう。

しかし、「反権力」がウリの識者たちのメディアやSNSでの発言を見ていると、河井夫妻を有罪と決めつけたうえ、検察の捜査が政権中枢に及ぶことを期待する意見に終始しており、「検察の応援団」と化している趣だ。しかも、彼らの発言内容を見ていると、自分で独自に取材などはしておらず、報道の情報に依拠して発言しているのは明白だ。

彼らは普段、「権力は暴走する」だとか、「権力は監視しないといけない」だとか、「現場に足を運ぶのが取材の鉄則だ」などと言っておきながら、自己矛盾を感じないのだろうか。

筆者自身、安倍首相のことは好きではないし、無罪推定の原則を絶対視しているわけでもない。しかし、普段は「反権力」をウリにする識者らがこの事件に関し、事実関係をないがしろにし、「検察の応援団」となって盛り上がっている様子には、正直げんなりしてしまう。

有罪視報道を繰り広げるマスコミ

◆事実を見極める目を曇らせるものとは……

検察捜査への疑念を表明した橋下氏と堀江氏のツイッターでのやりとり

この事件に関する著名人の発言をチェックしてみると、普段は「反権力」などと声高に言わない人たちのほうが、むしろ「権力監視」や「無罪推定」といった原理原則に沿った発言をしていることがわかる。たとえば、元大阪府知事の橋下徹氏だったり、実業家の堀江貴文氏だったりだ。

スポーツ報知の記事(http://ur2.link/UqHa)によると、橋下氏は報道番組に出演した際、金を受け取った政治家たちが河井夫妻側の意図について「選挙買収目的でした」と検察の有罪立証に資する証言をし、立件されずに済んでいることを問題視。堀江氏もこのスポーツ報知の(グノシーで配信された)記事に、ツイッターで反応し、橋下氏とやりとりする中で、「正式に司法取引してないんですか、、普通にすればいいのに」(http://ur2.link/oZWJ)などとツイートしている。要するに2人は、暗に検察が違法な司法取引をやっている疑いを指摘しているわけだ。

そして橋下氏は結論的に、金を受け取った地元広島の地方政治家たちの証言の信用性に疑問を投げかけたうえ、「有罪心証報道が先行し過ぎ」(http://ur2.link/THKi)と述べている。刑事事件や事件報道の見方として、きわめて的確な意見で、まったくケチのつけようがない。

翻ってみると、橋下氏や堀江氏は普段、「反権力」をウリにする識者たちから批判的されることが多い人たちだ。そういう人たちがこの事件の検察捜査への疑念を表明する一方で、普段は「反権力」をウリにする識者たちが報道の情報に依拠して「検察の応援団」に化している現実を目の当たりにすると、「歪んだ党派性」は事実を見極める目を曇らせるのだということを再認識させられる。

▼片岡健(かたおか けん)
全国各地で新旧様々な事件を取材している。原作を手がけた『マンガ「獄中面会物語」』【分冊版】第11話・筒井郷太編(画・塚原洋一/笠倉出版社)が配信中。

月刊『紙の爆弾』2020年7月号【特集第3弾】「新型コロナ危機」と安倍失政
「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)

《NO NUKES voice》特定重大事故等対処施設(特重)問題を解く 女川2号機再稼働に難題 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)[特別寄稿]

◆「特重」問題とは何か

「特定重大事故等対処施設」略称「特重」。現在稼動している原発も「新規制基準適合性審査」の審査書が決定し再稼働準備中の東海第二や柏崎刈羽6、7号機、女川原発2号機も、どこも完成していない。これが完成しない限り、本来は原発を動かすことは出来ないはずだった。

「特重」は既存の原発とは別棟として建てられる。そこには原発の中央制御室を代替できる設備として、原子炉を直接コントロールできる制御盤等がある緊急時制御室、送電線からではなく自立的に発電できる発電設備、格納容器に水を送るスプレイポンプ、溶融した炉心を冷却する水を送るポンプ、そしてこれらの水源(淡水タンク、枯渇する場合は海から取水)を設置する。これが「特重」の主な役目だ。

「特重」とは、いかなる考え方から出てきたのか。

「『特定』重大事故等対処施設」とは、重大事故が起きている状況下でさらに『特定』のシナリオに乗って拡大することを防止するために対策することであり「特定重大事故等対処施設」として準備するよう法令上(原子炉等規制法第43条)で義務づけた。「テロ対策」のみをするような設備ではない。

新規制基準では「重大事故対策」が必須であり、それをさらに超えるシナリオ、予測困難な事態を想定しなければならない。そのことから「重大事故」の発展として「特定重大事故」がある。テロ対策はその中の1つに過ぎない。

現在重大事故になり得るものとして想定されているのは「地震」「津波」に加え、「火山噴火」「竜巻」「大規模火災」「内部溢水」などがある。

これらが発生し、原子炉冷却用のシステムが使えなくなり、外部電源はもちろん非常用電源も全て失って、炉心溶融へと進行し福島第一原発事故への道を辿る恐れが高まった場合に、代替冷却、拡散防止対策を実行できるように「特重」が設けられる。

なお、「テロ対策」としても機能させるかの法令上の記載、国や事業者の説明があり、マスコミでもそのように記載しているが、特重を対テロ施設、設備として活用できる証拠は何処にも示されていない。国や事業者は「テロ対策施設、設備は相手(テロリスト?)に手の内を晒すわけにはいかないから「秘密」などともっともらしいことを言うが、これは説明責任を回避するための方便に過ぎない。

特重については、規制委が2015年11月13日に出した文書に考え方が書かれている。

「特重施設等は、発電用原子炉施設について、本体施設等(特重施設等以外の施設及び設備をいう)によって重大事故等対策に必要な機能を満たした上で、その信頼性向上のためのバックアップ対策として求められるものである。」現状の重大事故対策では不足しているので、重大事故時においても大量の放射能を格納容器の外に出さないなどの規制基準を満たす「信頼性向上」のために求められている。

更田豊志委員長は「施設が完成し、実際に使えることがきちんと示せて初めてOKとなる」としているが、私たちに具体的な実証をしないまま理解を求められても認めるわけにはいかない。

「対テロ施設」が必要な状況ならば、テロ攻撃を受けるリスクのあるものを作るべきではない。現実に航空機の故意による衝突による攻撃があり得ると想定しているのであれば、そのような攻撃を受けた場合は「特重」があろうとなかろうと、結果に大きな違いはない。なぜならば「特重」の機能を使う想定をしているケースでは、炉心が溶融し、建屋にも大きな損傷が発生して格納容器から大量の放射性物質が拡散し続ける中、放水砲で大量の水を掛けてチリをたたき落とすことを「最終防衛」としている。この程度で大量放出を本気で止められると信じる人はいない。

大規模な土木工事を実施し、1000億円以上(川内原発は2基分で2420億円)もの費用を掛けても、福島第一原発事故を超える事故にならないような対策をすることはできない。ましてテロ対策としての特重では、攻撃内容、規模などが想定不可能なので、その実効性についての評価も不可能だ。

◎[参考資料]原子力規制委員会が2015年11月13日に出した特重に関する文書

◆全原発へのフィルタ・ベント設置

 新規制基準では「フィルタ・ベント」設置が全原発で要求されている。格納容器から配管を出して高圧になった蒸気を外へ抜く装置だ。原発サイトによっては、これを「特重」に分類するか、一般の重大事故等対処設備に分類するか違いがある。東海第二や柏崎刈羽原発の場合は、これを一般の重大事故等対処設備に分類しており、再稼働するときには必須なので新規制基準適合性審査前に工事を行っている。

◎[参考図版]柏崎刈羽原発のフィルタベント設備概念図(東京電力)
 
◎[参考図版]高浜発電所1、2号機の特定重大事故等対処施設について(関西電力)

一方、PWR(加圧水型炉)の9原子炉(大飯・高浜・玄海・川内・伊方など)の場合、「フィルタ・ベント」装置は「特重」に分類されているので完成するのは特重設置と同時で良いとされる。

「フィルタ・ベント」を再稼働後で良いとする理由は、炉心溶融が発生し放射性物質や水素ガスが充満するような状況で、格納容器が危機的な場合でも、BWRよりもPWRの格納容器の体積が大きく破壊されにくいとしているからだ。しかし事故の進行具合で、いくらでも変わり得るところである。大きな格納容器のPWRの場合はBWRよりも耐圧(格納容器が圧力に耐える力)が低いという問題もあり「フィルタ・ベント」を後回しに出来る理由にも疑問がある。

フィルタ・ベントには原発の設計思想と運用上の問題もある。ベントは福島第一原発にもあった。しかしこれは3号機では使用できたと見られるが、2号機では使用できなかったと考えられている。そのため2号機の格納容器は破壊され、放射性物質が大量に放出されている。

福島第一原発のベント装置は後から排気筒に配管を伸ばして取り付けたもので、電源がなくなると使用できなくなり、さらにバルブ開放は人が格納容器直ぐそばに行かなければならなかった。このため大量被曝覚悟の作業になってしまった。その反省でベント装置を独立して設置し、制御室からの遠隔操作で作動可能としている。

しかし本来は最後の砦として密封し続けるべき格納容器に予め穴を開けるような行為には問題がある。また、ベント装置の間には水槽があり、一端水の中を気体が通過することで放射性物質を取り除き排気するが、ここで大きく除去できるのは水に溶けやすいヨウ素や水で冷やされれば固体になるセシウムなど。希ガスのクリプトン、キセノンは全量放出される。それが敷地内空間に滞留した場合、空間線量が急速に高くなり作業員が被曝して活動できなくなる恐れがある。また、ベント装置自体が地震などで損傷を受けて破壊されれば、格納容器に穴を開けたことと同様の事態になりかねない。

こういったことにならない運用を問うても、規制委も事業者も「テロ対策設備」を理由にまともな回答はしない。実効性が証明されない設備を信じることなどできない。

◆特重施設全般の問題点

「特重」には格納容器スプレイ・圧力容器注水・格納容器の真下のペデスタル注水という3つの注水ラインがあるとされる。そこに水源から特重に設置されたポンプを使って水を入れる。

建屋は100m以上離れた場所にあり、特重施設との間の洞道を介して注水する。特重と原子炉建屋を離したのは、航空機が意図的にぶつかってくるような場合を想定しているからだという。これで特重施設が生き残るから重大な炉心溶融に陥ったとしても原子炉建屋に注水できる、というのだ。

新しい注水ラインを100mも引き延ばしたため、複雑な問題が発生する。まず、圧力容器への注水ラインを何処に取り付けるのかだ。既に圧力容器には通常の給水ラインに加え、非常用や水位計など様々な配管が繋がっている。

新たに圧力容器に取り付けるような改造工事は構造上不可能。従って既存の給水ラインに繋がる配管のどれかに接続するしかない。その配管が破断するなど機能を失っていれば、このラインも機能しない。信頼性はその程度である。

次に、圧力容器の他にもペデスタル(格納容器下部)への注水も行う想定だが、切り替えがどのように行われるのかを含め、運用が明確ではない。圧力容器は沸騰水型軽水炉で70気圧、加圧水型軽水炉で130気圧もあるので、高圧注入でないと入らないが、ペデルタルは数気圧から10気圧程度で入るだろう。どちらに何時注水するかの判断は難しい。

さらに、ペデスタル注水は別の問題も引き起こす。それは水蒸気爆発。最大2800度の溶融燃料を冷やすために水を張ると、落下した時に水蒸気爆発を引き起こさないか。事業者も国も何度も延期している。直近の計画では、2020年度末(2021年3月末)までに対策を完了するとしていた。

東北電力によると、女川2再稼働に必要な改修工事計画を規制委との協議を踏まえ、見直したという。その結果、工事全体の計画が遅れ、2022年度中(2023年3月期)まで後ろ送りとなった。

原因について日本経済新聞は5月4日の記事で次のように指摘している。

「2月に原子力規制委員会の安全審査に合格した後に精査したところ、重機などを置く場所などが同時並行では確保できないことが分かった。それぞれの工事を順番に行うことで再稼働が当初見込みより最短で2年遅れる。東北電の見通しの甘さが問われそうだ」。

東北電力は、2013年12月に規制委に対し女川2号(82.5万kW沸騰水型軽水炉)の新規制基準適合性審査を申請し、規制委は新基準に適合する対策がされていると判断した。審査書が決定され、再稼働への道が開かれた。今後は、対策工事の完了と地元自否定するが、これも「絶対に起きない」という保証はない。結局「背に腹は替えられない」とばかりに設計したとしか思えない。

欧州の新型加圧水型軽水炉「EPR」では、直接水で冷却せず回りを水で冷却できる「コアキャッチャー」という溶融燃料の回収装置を組み込んでいる。

これならば水蒸気爆発を極力抑制できると思われる。

◆女川原発2号機の工事に遅れ

2020年2月26日に規制委が原子炉等規制法に基づく新規制基準適合性審査の審査書を決定した女川原発2号機(以下、女川2)について、東北電力は4月30日、安全対策工事完了が予定より2年遅れ、2023年3月になると発表した。

東北電力は女川2の耐震補強や津波から発電所を守るための高さ29m、長さ800mの防潮堤建設などで約3400億円の対策費を見込んでいる。同社は当初、この工事を2017年4月までに完了させる予定だったが治体の住民との合意が必要となっている。しかし安全対策工事は進んでいない。被災原発として反対の声は強い。再稼働へのハードルは極めて高い。

女川原発は東日本大震災で被災した原発だ。揺れと共に耐震壁にも1130箇所にも上る重大な損傷を受け、さらに1号機のタービン建屋では地震直後に大規模火災(高エネルギー・アーク放電火災)が発生、鎮火まで半日を要し冷温停止にも支障を来した。

外部電源や非常用ディーゼル発電機が遮断や破壊されていたら福島第一原発事故と同様の事態になっていた可能性は高く、そうなったら津波で避難していた地元住民を多数巻き込んで大惨事になっていたと思われる。

たまたま津波よりも高い位置に設置されていたとはいえ、それ以上の津波が来ない保証もなく、過酷事故も偶然回避できただけの、結果オーライといえる。

しかしながら、その検証も十分されないまま再稼働へと突き進む姿は異常だ。

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)さん

たんぽぽ舎共同代表。1959年富山県生まれ。湾岸戦争時、米英軍が使った劣化ウラン弾による健康被害や劣化ウラン廃絶の運動に参加。福島第一原発事故に対し、全原発の停止と廃炉、原子力からの撤退を求める活動に参加。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。著書(共著)は『隠して核武装する日本』(影書房 2007年/増補新版 2013年)、『福島原発多重人災 東電の責任を問う』(日本評論社 2012年)、『原発を再稼働させてはいけない4つの理由』(合同出版 2012年)、『核時代の神話と虚像』(明石書店 2015年)等多数。

6月11日発売開始!〈原発なき社会〉をもとめて 『NO NUKES voice』Vol.24 総力特集 原発・コロナ禍 日本の転機

『NO NUKES voice』Vol.24
紙の爆弾2020年7月号増刊
2020年6月11日発行
定価680円(本体618円+税)A5判/148ページ

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総力特集 原発・コロナ禍 日本の転機
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[表紙とグラビア]「鎮魂 死者が裁く」呪殺祈祷僧団四十七士〈JKS47〉
(写真=原田卓馬さん

[報告]菅 直人さん(元内閣総理大臣/衆議院議員)
原子力とコロナと人類の運命

[報告]孫崎 享さん(元外務省国際情報局長/東アジア共同体研究所所長)
この国の未来は当面ない

[報告]田中良紹さん(ジャーナリスト/元TBS記者)
コロナ禍が生み出す新しい世界

[報告]鵜飼 哲さん(一橋大学名誉教授)
汚染と感染と東京五輪   

[報告]米山隆一さん(前新潟県知事/弁護士/医師)
新型コロナ対策における政府・国民の対応を考える

[報告]おしどりマコさん(芸人/記者)
コロナ禍は「世界一斉民主主義テスト」

[報告]小野俊一さん(医師/小野出来田内科医院院長)
新型コロナ肺炎は現代版バベルの塔だ

[報告]布施幸彦さん(医師/ふくしま共同診療所院長)
コロナ禍が被災地福島に与えた影響

[報告]佐藤幸子さん(特定非営利活動法人「青いそら」代表)
食を通じた子どもたちの健康が第一

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「原発事故避難」これまでと現在〈8〉
新型コロナウイルス流行と原発事故発生後の相似について

[報告]鈴木博喜さん(ジャーナリスト/『民の声新聞』発行人)
コロナ禍で忘れ去られる福島

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとは何か〈19〉
翼賛プロパガンダの失墜と泥沼の東京五輪

[インタビュー]渡邊 孝さん(福井県高浜町議会議員)
(聞き手=尾崎美代子さん
関電原発マネー不正還流事件の真相究明のために
故・森山元助役が遺したメモを公にして欲しい

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
僕らは、そして君たちはどうたち向かうか

[報告]平宮康広さん(元技術者)
僕が原発の解体と埋設に反対する理由

[報告]板坂 剛さん(作家・舞踊家)
《対談後記》四方田犬彦への(公開)書簡

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
令和「新型コロナ」戦疫下を生きる

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈8〉
東京オリンピックを失って考えること

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
コロナ禍で自粛しても萎縮しない反原発運動、原発やめよう
《全国》柳田 真さん(再稼働阻止全国ネットワーク・たんぽぽ舎)
《六ヶ所村》山田清彦さん(核燃サイクル阻止一万人訴訟原告団事務局長)
《東北電力・女川原発》日野正美さん(女川原発の避難計画を考える会)
《福島》黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)
《東海第二》大石光伸さん(東海第二原発運転差止訴訟原告団)
《東電》武笠紀子さん(反原発自治体議員・市民連盟 共同代表)
《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
《関電包囲》木原壯林さん(若狭の原発を考える会)
《鹿児島》向原祥隆さん(反原発・かごしまネット代表)
《福島》けしば誠一さん(反原発自治体議員・市民連盟/杉並区議会議員)
《読書案内》天野恵一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)

私たちは唯一の脱原発雑誌『NO NUKES voice』を応援しています!

給付金給付率が全国最下位の大阪市! 松井市長は仕事しろ! 産まれたばかりの赤ちゃんも貰える「特別定額給付金」を、長年働いてきた野宿者、住民票のない人が貰えないのは理不尽すぎる! 尾崎美代子(大阪・西成「集い処はな」店主)

◆住民票は給付金支給の条件ではない

6月17日、釜ヶ崎地域合同労組、釜ヶ崎公民権運動、人民委員会らは、大阪市の松井市長、特別定額給付金を担当する市民局に対し、すべての野宿者、住民票をもたない人にも給付金を渡すようにと、新たな要望書を提出した。

毎月、月末に開かれる「センターつぶすな!」のデモ

前回提出した要望書の回答で、大阪市は相変わらず『給付金の支給にあたっては、住民基本台帳に登録されていることが必要である』としている。

給付金は、新型コロナウイルス感染拡大の防止に伴う自粛要請などで経済活動が停滞するなか、「簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計へ支援を行う」(実施要領)として、国から唯一出された支援策であり、その権利は全ての人にある。「住民基本台帳に登録」は給付の条件ではなく、給付方法として便宜的に利用されたものでしかない。現にDV被害者や無戸籍者らは、実際に居住している自治体で給付できる特例措置が取られている。「あまねくすべての人々に」というならば、野宿者、ネットカフェ難民など住民票がない、もてない人たちにも同様の特例措置が取られるべきだ。

国の「給付金実施要領」にも、「記録がなくても、それに準ずるものとして市区町村が認めるものを含む」とある。また5月20日の国会で、共産党の清水ただし衆院議員が「住民登録ができないという路上生活者の方々を、どう給付金からこぼれ落ちないように支えていくのか、支援していくのかっていうのは喫緊の課題です」と質問したところ、総務省の斎藤洋明政務官は「現に居住している市区町村と認めていただけるように、必要な支援が行われるように、総務省としても取り組んでまいりたい」と回答している。

さらに、そうした国会のやりとりも紹介したMBSの情報番組ミント(5月26日放送)の番組の最後に、人権問題などに詳しい南和幸弁護士(大阪弁護士会)がこうコメントしている。

「給付金について、ホームレスの人だから受け取る権利がないというのは間違いです。ホームレスに人にも受け取る権利がある。住民票のあるなしは、権利のあるなしの問題ではなく、どのように受け取るかの手続きの問題でしかない。それについて、この住民登録があるないだけで、権利があるなしかのように取り扱うのは間違いで、総務省は形式的な答弁だけではなく、実際ホームレス状態にある人に、どのように今回の給付金だけではなく、補償などを行き渡らせていくかという抜本的な問題を突きつけられていると思う」。


◎[参考動画]仕事も住民票もないホームレスたちに“10万円”は届くのか…「西成・あいりん地区」で弁当配り見守る女性の活動(2020年5月26日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

◆住民票を持てない人を大量に生んだのは行政の無策
 

コロナで炊き出しが止まっため始めたお弁当作り、炊き出しが再開したため個数は減ったが、日曜日以外は毎日続けられている

日雇い労働者が多く住む釜ヶ崎では、ドヤ(簡易宿泊所)に住む人、ドヤと飯場を行き来する人など居住形態はさまざまだが、かつてはどんなに長く同じドヤに住んでも住民票が置けなかった。しかし労働者は仕事に必要な免状や白手帳(日雇い雇用保険)を取得するため、住民票が必要になる。そこで大阪市や西成警察は、釜ヶ崎地域合同労組などが入る「釜ヶ崎解放会館」などに住民票を置けばいいと労働者に勧めてきた。解放会館には最高時、5000人もの労働者が住民票を置いていた。ところが2007年、大阪市は2088人の住民票を突然強制削除してきた。しかもその後も放置したままだ。そうした大阪市の無策こそが、現在も大勢の野宿者に住民票のない状態を強いていることを忘れてはならない。

また大阪市は、公園などから野宿者を閉め出す行政代執行などを行う際には、朝、昼、晩かまわず野宿者のテントを訪れ、ネチネチと長時間、公園から出るよう「説得」にあたってきた。昨年閉鎖された「あいりん総合センター」の周辺に野宿する人たちを、裁判に訴え追い出すため、大阪府と市は、野宿者のもとを訪れ執拗に名前などを聞き出し「債務者」に特定してきた。野宿者を追い出すときには必死で本人確認するくせに、給付金支給の際には「住民票ないから渡せない」とは、そんな勝手は断固許さん。
 
◆「給付実施要領」から逸脱する住民票の有無

総務省の6・17「通達」でも、「住民票の確認」が給付の条件から外されず、ネックになったままだ。これは「あまねくすべての人びとに」の論理から逸脱する行為ではないのか。国と大阪市は、いつまでも住民票の有無に固執せず、住民票をとれない人達への様々な給付方法を駆使していくべきだ。例えば、市民局は、野宿者らに住民登録されれば給付金の給付対象となることを「周知を図る」と回答しているが、周知するその場で野宿者の名前、本籍地などの確認作業を行えばいい。

国と大阪市は住民登録にこだわる理由について「二重払い」を防ぐためという。しかしこれは、わずか1.5%の生活保護の不正受給率を取り上げ、生活保護バッシングに躍起になる連中の発想と同じで、野宿者、住民票を持てない人は「犯罪を起こす人」という極めて差別的な発想が根底にある。実際の「不正受給」の内容は、子どものバイト代を申告しなかった、働いた日数を2日ごまかしたレベルのものが多い。本来厳正に取り締まるべきは、それよりはるかに膨大な金額を不正に集める「囲い屋」など貧困ビジネスの連中の方だ。実際、今回の給付金でも彼らは、あの手この手で労働者からむしり取ろうとしているぞ。

ここに住む野宿者は、どうにか田舎から戸籍謄本を取り寄せることが出来そうだと話した

◆松井市長はまじめに仕事をしろ!

大阪市の給付金給付率は、現在わずか3.1%で全国最下位だ。都構想実現のために大阪副都市推進局には府市あわせ80人以上もの職員を配置するくせに、給付金担当の市民局には18名しか配置していない。先日の交渉で「18名の職員はどこにいるか?」と尋ねたら「非公開です」と回答された。市民から逃げ回るようなコロナ対策では、全国最下位になるのも当然だ。松井市長に至っては「今回をきっかけにぜひ、ホームレスから脱却してもらいたい」という始末。何を寝ぼけたことを言っているのか? 今回の給付金は「ホームレス脱却」のためのものではないぞ。もちろんこれを契機に住民票をとり生活保護を受けるのは個人の自由だ。しかし生活保護を受けたくない人、様々な理由で住民票を取ることを拒む人に、住民票の取得を強要することなどあってはならない。

松井市長には、総務省「給付金実施要領」を一から読み直してから出直してもらいたい。不必要、しかも市火災条例違反の疑いを指摘される山積みの雨合羽で市役所を埋め尽くし、その整理で職員を疲弊させたうえに、給付金でさらに職員を追い込むようなことはするな!

一方で、「納税しない人間に給付金支給するな」などと的外れな批判をする人もいる。今回の給付金はオギャーと産まれた赤ちゃんにも払われることを知らないのだろうか。納税していない赤ちゃんも産まれてすぐに「コロナ禍」に放り込まれるのだから、支給されて当然だが、ならば長年、建設現場など社会の末端でこき使われ、働けなくなったらポイと捨てられ、あげく野宿に追い込まれた人が、住民票がないだけの理由で支給対象から外されるなんて理不尽すぎるだろう。

第2、第3のコロナ禍が吹き荒れたあと、膨大な数の人々が野宿状態に追いやられるのは想像に難くないが、今回の給付金支給を、住民票をもたない、もてない人たちにどこまで行き渡せることが出来るかの闘いは、コロナ後の社会をどう作っていくかの問題にもつながるだろう。全国の皆さんにご注目頂きたい!

▼尾崎美代子(おざき みよこ)

新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

月刊『紙の爆弾』2020年7月号【特集第3弾】「新型コロナ危機」と安倍失政
〈原発なき社会〉をもとめて 『NO NUKES voice』Vol.24 総力特集 原発・コロナ禍 日本の転機