産業革新投資機構 取締役の辞任表明について(2018年12月10日)

産業革新投資機構(JIC)の田中正明社長が辞表を提出し、9人の取締役全員が辞職したのは12月10日のことである。クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)との統合が背景にあったという。このクールジャパン機構は、日本アニメの海外配信事業の中止など、出資事業の失敗が相次いで赤字続きの問題プロジェクトである。

◆95%が税金である官民ファンド(JIC)で、億単位の報酬

事業運営の以前に、われわれ国民には、やや奇怪な感じのする事態だった。この騒動の発端は、経済産業省が提示した報酬1億数千万円が、マスコミ報道で国民の疑義を呈したことによるものだ。95%が税金である官民ファンド(JIC)で、億単位の報酬は「ちょっとおかしいだろう」と、誰しも思う。

 

2018年12月7日付け毎日新聞

JICの事業はビジネスへの投資という博打にも似た業務である。だとしたら、出来高報酬というのが正論ではないのか。最初から報酬を約束した側にも、それに乗ったほうにも責任がある。問題は税金を軽々しく使う、官僚と金融関係者たちの金銭感覚のなさである。

経産省の発想が甘いとか、ゾンビ事業の救済(クールジャパン機構など)で失政を糊塗しているとかの指摘よりも、いわばプロジェクトへの投資を主柱とするマネーゲームの機構(JIC)に、われわれはNOを突きつけたい気分だ。田中社長以下の面々にも言いたい。そもそも「取締役の誰一人として、お金のためにここに来ていない。報酬が1円でも、ここに来ていたと思う」のならば、辞表を出す前にみずから高額報酬を返上するのが筋ではないか。1500万円だと、家族が恥ずかしがるような高級取りだった方々なのだから、報酬1円に耐えられるだけの蓄財もあるはずだ。

◆しょせんは、税金の無駄づかい──官僚と金融屋のビジネス感覚のなさこそが根本原因

官民ファンドの失敗については、本欄でも「安倍政権のマネーゲームの失敗」として報じてきた。そもそも官民ファンドなるものは、アベノミクスの三つの矢のうち、決め手とされる成長戦略、つまり投資部門である。地域活性化や企業の海外展開の支援、ベンチャー企業の支援を官民の投資で行なう「第2の財布」とも呼ばれてきた。それが無駄遣いや損益の発生で、再編成しなければならなくなっていたのだ。辞表を出した田中社長の産業革新投資機構(JIC)が1兆2483億円の損益(ようするに赤字)、地域経済活性化支援機構が3433億円の損益。以下、14すべてのファンドが赤字なのである。

主な官民ファンド(Wikipediaより)

金融アナリストのなかには、構造的な無理があると指摘する人もいる。
「日本の官民ファンドを、中東諸国やロシアのような資源大国の政府系ファンド」と同列に論じる人もいますが、これこれは大きな間違いである」

要するに、商品が違うという指摘である。
「クウェートやサウジアラビアのように、石油や天然ガスで稼いだ莫大な資金を原資に国の将来に備えて大事に運用しようとす場合、資金の余剰が前提なのだ。ところが、日本の官民ファンドは公的資金、血税を運用資金しにている。産業革新投資機構(JIC)も出資金3000億円のほぼ100%が政府出資だ。さらに1兆8000億円は政府保証付きで民間から借金することができることになっている。つまり国民の血税に、さらに民間からの借金をつぎ込んでバクチをやっているのと同じだ。その存在自体が悪すぎる」

そう。そもそもみずからが起業するわけでもなく、単に金融業の経験から成長ベンチャーを見極める。いや、それ以前に政府ベンチャー(国策プロジェクト)の破綻を糊塗するために資金が振り当てられてきたのだ。

田中社長らの造反に理があるとすれば、経産省の方針に反発したものだが、事業それ自体が国策なのだから、そこから自由に。たとえば民間ベンチャーの有力株を見出すといった、ほんらい想定されていたところまでは展開できなかった。その理由は、原資が税金だからなのだ。政府の保証付きの資金調達からはじまり、政府の失政を糊塗する。さらには、天下り的な人事で税金をかっさらっていく。もうやめて欲しい。その予算を国民の社会福祉にまわして欲しい。損をこれ以上膨らませないうちに。

◎株式会社産業革新投資機構 取締役の辞任表明について(2018年12月10日 プレスリリースPDF)

◎株式会社産業革新投資機構 社長辞任会見(2018年12月10日 プレスリリースPDF)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

月刊『紙の爆弾』2019年1月号!玉城デニー沖縄県知事訪米取材ほか

横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

秋篠宮家の眞子さまの婚約をめぐって、秋篠宮殿下から踏み込んだ言葉が述べられたのは、かなり深刻な事態として国民に受け止められた。皇太子以上に皇室のあり方に意見を述べる秋篠宮らしく、国民が納得するような説明がないかぎり納采の儀は行なえないと明言した。紀子さまは「長女のことを案じている」という主旨に終始した。

じつは、宮家の団欒の中でも触れられないのが、眞子さまの「婚約」問題なんだという(皇室記者)。婚約相手の小室圭氏とその母親(佳代さん)が、交際相手の男性から「提供」された439万円を「返還」しない問題である。そもそもこの事実がマスコミをにぎわすまで、国民は小室氏に父親がいないことも知らなされなかった。いわく「海の王子」「湘南の皇子」と、その爽やかな素顔をほめたたえる記事ばかりだったではないか。その出発点こそが、問題にされるべきであろう。

◆危機感を抱く天皇家と宮内庁

さわやかなロイヤルカップルの誕生に、国民をあげて慶賀の空気が支配していたところ、お盆をひっくり返すようなスキャンダルが暴露された。そこからはもう、小室バッシングが女性誌もふくめて繰り広げられた。マスコミの無責任なバッシングはともかく、じつは宮内省および皇室(天皇・皇后両陛下)にとっても、看過できない背景がこの騒動を大きくしているのだ。

11月23日に行なわれた「新嘗祭」には、高円宮家の長女である絢子さんと結婚した、守谷慧氏の姿があった。絢子さんが皇族から離脱しても、天皇家の親族であることにはかわりない。したがって、皇室のもっとも重要な祭儀である新嘗祭(年に一度、米をはじめとする収穫物を神嘉殿に奉納する)にも、総理大臣や三権の長とともに出席できる。かりに小室氏が眞子さまと結婚すれば、平民である総理や三権の長、あるいは宮内庁長官よりも上位の席で、この新嘗祭に参加することになるのだ。

◆会話がない秋篠宮家

秋篠宮ご夫妻の記者会見において、わざわざ宮内庁記者クラブが眞子さま問題で質問を準備したのも、秋篠宮家のなかで眞子さまの婚約問題で会話がないからだという。ふつうの会話はあるものの、小室氏の話題になると口を閉ざすという。眞子さまと会話ができないご夫妻の気持ちを、記者たちが忖度した会見だというのだ(皇室ジャーナリスト)。紀子さまの「長女を案じている」という発言も、まさに眞子さまとの断絶を率直に表明したものにほかならない。

小室家は父親の死後、自宅のローンこそ終わっていたものの、佳代さんの収入だけでは圭氏の大学(ICU)進学もままならない経済状態だった。そこで付き合いのあった男性に10回ほどにわたって439万円の進学資金を提供してもらったのが真相だ。その後、男性は「わたしはバンクカードではない」と憤り、返済をせまったという。一時は結婚の約束を交わしていたが、それもこの「金銭トラブル」のなかで解消された。ようするに、佳代さんとしてはカネヅルに過ぎなかったのだろう。しかし借用書のない貸し金であれば贈与とみなされ、佳代さんに返済の義務はない。

◆借金王子でもいいではないか

いっぽう小室氏は、周囲に「ご夫妻はいくら話しても、ぼくの話をわかっていない」と話しているという。両家は「言葉が通じない」状態だというのだ。金銭トラブルのほかにも、小室氏が仕事上の会食の席に、眞子さまを同席させたという報道もある(女性セブン)。

留学先のフォーダム大学ロースクールは、年間の学費は700万円ほどとされるが、小室氏には授業料免除の奨学金が付与されている。ニューヨーク州の弁護士試験に合格させるためのマンツーマン指導も行われているという。そうした待遇が受けられるのは、同大学がホームページに「プリンセスのフィアンセ」と記したからだ(宮内庁の抗議により削除)。

プリンセスと付き合うことで堂々と役得の味を占め、皇室を危機に陥らせようとしている剛胆さを、われわれは小室氏のさわやかな容貌から読みとることは難しい。しかし彼が眞子さまの心を射止めているのは、疑いのない事実のようだ。貧乏王子でも、欲得にまみれた外戚夫人でもいい。皇籍離脱にさいしての1億5000万円あまりの結婚一時金を、国民が納得しないというのならば、そんなシステムをやめてしまえばいい。宮様、学生時代からの自由恋愛で結婚した秋篠宮家において、皇室改革の火の手を上げるのはいかが。


◎[参考動画]秋篠宮さま 眞子さま小室さんに「それ相応の対応」(ANNnewsCH 18/11/30)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

月刊『紙の爆弾』2019年1月号!玉城デニー沖縄県知事訪米取材ほか

板坂剛と日大芸術学部OBの会=編『思い出そう! 一九六八年を!! 山本義隆と秋田明大の今と昔……』

横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

給与をもらいながら、就業時間中に本来の業務と全く関係のないネット検索(被告藤井正美氏は「ネットパトロール」と称していた)に勤しんだり、ツイッターや私的メールに時間を割く。あるいは気に入らない相手を見つけては、攻撃的言辞を浴びせる。さらには給与をもらっている会社の社長を罵倒、侮辱する内容をSNSに書き込む。

このような行為を「就業時間中」(就業時間でなくとも)されたら、会社はたまったものではない。加えて、そんな肩書を命じられてもいないのに「鹿砦社法務の藤井です」などと自称し企業や団体対して、鹿砦社の名を名乗り“恫喝”もしくは“恫喝まがい”の行為を行われたら、経営者は黙っていられるであろうか。

◆藤井正美氏はなぜ神原元弁護士を代理人に選んだのか

藤井正美氏には、本年10月5日に「通告書」を送付したところ、早速10月10日に、本人ではなく神原元弁護士から返答がFAXで鹿砦社の代理人へ送られてきた。鹿砦社は代理人の弁護士を通じ「通告書」を送付したが、その代理人に対しても不適切な文言が用いられた「FAX通信」。神原弁護士の常套手段である。

それでも、である。「棺桶に片足を突っ込んだ爺さん(藤井氏の松岡評)」松岡は、「誠意をもって話をしに来たら和解の余地はあった」と振り返る。松岡の性格を知る藤井正美氏は、どうして“最悪”の選択をしてしまったのか、全く理解できない。

言うまでもなく神原元弁護士は、しばき隊関連の係争になると、必ずと言ってよいほど顔が出てくる。「M君リンチ事件」裁判しかり、鹿砦社の対李信恵裁判しかり。それこそ鹿砦社に「私怨」があるのかどうか知らないけれども、鹿砦社に対しては、法廷外でも香山リカ、秋山理央、五野井郁夫氏らの代理人に就任している。

◆裁判初回期日は2019年1月18日午前10時!

15万人以上日本には弁護士がいるが、その中からわざわざ神原元弁護士を選任した藤井正美氏の行為が、われわれにどのような感情を抱かせるのか、藤井正美氏は想像しなかったのだろうか。2度にわたる「通告書」、2度目のそれに返答がなかったので、鹿砦社はやむなく、藤井正美氏を相手取り3千万円の損害賠償請求の民事裁判を提起した。そして、その初回期日がついに決定した。2019年1月18日午前10時からである。

このことは藤井正美氏に訴状が送達されたことを意味する。残念だ。解雇に同意し「謝罪文」をPCで作成するふりをしながら、就業時間中に手を染めた〈悪行〉や〈不都合なデータ〉消去にいそしむも、その後、消去したつもりのデータが復元され〈悪行〉が露見した過去を、どうして藤井正美氏は思い出さなかったのか。この期に至ってまだ鹿砦社を舐めているのか。

鹿砦社並びに取材班は、藤井正美氏が代理人に神原元弁護士を選任し、2度目の「通告書」にも無回答であった態度を〈鹿砦社への戦闘宣言〉と受け取る。売られた喧嘩は買わねばならない。しかしわれわれも、毎度同様の戦術で留まっているいるわけにはゆかない。これまで鹿砦社が原告、被告となる係争では、社の顧問弁護士である大川伸郎弁護士にすべてをお願いしてきたが、物理的にこなし切れなくなったため、今回は新たな助っ人にご登場いただくことになった。

真にリベラルで、裁判官としても闘ってきた歴戦のつわものだ。あえてここではその方の名前は明かさない(興味がおありの方は1月18日法廷へお越しいただきたい)。

◆2019年は〈ファシズムの補完装置〉「しばき隊」残党との闘いで火蓋が切られる

“ルビコン河”を渡らずとも、解決の糸口を示したのに、最悪(これ以上ないピンポイントの)選択をした藤井正美氏。相応の覚悟ありと受け止めた。言論戦において今後鹿砦社並びに取材班は藤井正美氏に、一切の遠慮をしない。

2019年の年頭は〈ファシズムの補完装置〉である「しばき隊」残党との闘いで火蓋が切られる。鹿砦社は2019年、より原則的に、反戦争・反差別・反ファシズム戦線を戦い抜くことを宣言する。その端緒としてこの事件は小さいかもしれないが、似非リベラル・似非左翼には、きっちり因果応報の定理を理解させなければならない。

引き続き読者諸氏のご注目を!

(鹿砦社特別取材班)

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12月12日14時から大阪地裁で鹿砦社が李信恵氏を訴えた訴訟(第1訴訟)の本人尋問があった。本来であれば原告、被告双方の尋問が行われるはずなのだが、被告側代理人は、前回期日で尋問に同意していたにもかかわらず、李信恵氏側が裁判所に証人申請をしなかったために、この日は、鹿砦社代表・松岡利康だけの尋問となった。いささか肩透かしの感がした。原告側は松岡利康鹿砦社代表と大川伸郎弁護士が出廷し、被告側は上瀧弘子弁護士が出廷した。傍聴席には約10名が姿を見せたが、李信恵氏界隈の人間は誰もいなかった。

14時定刻に開廷後、原告側が新たな証拠を提出しようとしたところ、裁判官からその理由が尋ねられ、被告側弁護人・上瀧弘子弁護士は採用に「不同意」の意思を示したため、いったん裁判官(合議体なので3名)が合議に入った。約4分後に法廷に戻った裁判官は「合議したが、関連性が全くないとは思われないので採用する」と裁判長は述べた。

次いで、松岡が宣誓をしたうえで、松岡の尋問に移った。大川弁護士の質問が始まった。

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大川 甲11号証を示します。この陳述書はご自身が作成されたものに間違いはありませんか。

松岡 はい。

大川 この陳述書に沿ってお聞きします。この訴訟で問題にされている、被告の一連の発言について、どのように感じていますか。

松岡 「酷い」の一言です。私は長く会社を経営してきて、社員や取引先の皆さんに助けられここまでやってきました。それをこういう形で、侮辱、毀損されると本当にやりきれない気持ちです。

大川 原告がどのような会社であるのか、ここに書いてある通りですね。付け加えることはありますか。

松岡 特にないですが、来年で創業から50周年になります。私は3代目の社長ですが長くやってきたのに、「クソ鹿砦社」と激しい言葉で名誉を毀損をされました。

証拠資料として提出しようとして裁判の冒頭で裁判所と応酬した資料(『真実と暴力の隠蔽』より)

大川 問題になっている被告の一連の発言によって、原告の会社、従業員の皆さんにどのような影響がありましたか。

松岡 従業員は7名ですが、みな動揺しています。取引先は大きいところからライターさんまで月に100社ほどの支払いがあります。

大川 あなたご自身について。被告から中核派や革マル派と関係があるような発言がありますが、この点何かありますか。

松岡 私は学費値上げに反対して学生運動に参加しました。しかし私はノンセクト・無党派でやっていました。当時どこにでもいたような一活動家にすぎません。ましてや中核派や革マル派、ちょうど私が学生のころから殺し合いが始まりましたが、このように「中核派か革マル派か」という言い方をされると、本当にやりきれない気持ちです。

大川 今回訴訟を提起されましたが、その理由を簡単に教えてもらえますか。

松岡 当社のみならず、いろいろな方々に李信恵さんは酷い言葉を投げかけていました。私はとにかく(酷い発信を)やめさせないといけないと考え、あえて提訴しました。

大川 被告に対して何か求めたいこと、はありますか。

松岡 被告は「差別に反対する」、あるいは「人権を守る」とし、マスコミでも報道される中で、やはり(私たちの主張に)きちっと反論してほしいですね。きょう来られています上瀧先生と一緒に『黙らない女たち』とのタイトルの本が出ていますが、「黙らない」じゃなくちゃんと出廷して、反論なり意見を言ってほしかったし、ご本人の陳述書も出ていません。きちっと本人の意見を言ってほしかったです。

大川 もしこの訴訟を提起しなかったら御社としてはどうなっていたのか?

松岡 さすがに提訴したことにより激しい意見はやみましたが、提訴しなかったらおそらくそのままだったと思います。それから多くの取引先、デザイナーさんたちも心配しておられました。

大川 御社の取材方法に問題があることはありませんか。

松岡 それはないと思います。今マスコミの取材はもっと熾烈ですから。

大川 ご自身は被告の各種発言について、信用性がないとおっしゃっておられますが、その根拠はありますか。

松岡 ダイレクトに「クソ」と言われているわけですから、何をかいわんやです。

(裁判官と若干のやり取り)

大川 甲15号証の2ページ目、「とある裁判の日に早く裁判所に到着した被告が、男性に付きまとわれた」と。それがあなたご自身であるとツイッターで述べていますが。

松岡 そういう事実はありません。喫茶店で会っていないですから。

(裁判官から意見)

大川 あなたはそれ以外被告に嫌がらせをした、付きまといをしたそんなことを匂わせることを何かしていませんか。

松岡 していません。

大川 今回被告がかかわっている暴行事件にかかわっておられますね。これは何か理由がおありですか。

上瀧 異議です。被告が暴行事件にかかわっている事実はありません。

大川 被告は刑事処分では不起訴となっていますが、この事件に会社としてかかわっておられますね。

松岡 大学院生が酷い暴行を受けたにもかかわらず、相手にされなかったので相談に来ました。僕も血の通った人間ですから、最初は半信半疑だったんですが、話を聞いて取材班を結成して事実を取材して、真相究明に尽くしました。

大川 乙9号証の部落解放同盟山口県連合会、書記長の方の陳述書があります。これについて原告として何かご意見はありますか。

松岡 どういう理由でこういう「証拠」みたいなものを出してきたのか、わかりませんけど、私及び私の周辺のものが、集会を妨害した事実はまったくありません。いわゆる印象操作というのか。裁判所に「原告は悪い」とイメージ付けをしようとしているのではないかと思います。事実でないことを「証拠資料」で出すのは、本当におかしな話ですね。さっきの「喫茶店で付きまとわれた」もそうですけど。理解できません。

(裁判官から意見、「損害だけについて聞くように」)

大川 最後付け加えたいことはありますか。

松岡 李信恵さんは出廷しない、陳述書さえ出さないのではなく、きちっとした主張をしていただきたい。それからこんな汚い言葉を使うのはやめていただきたいし、代理人の上瀧先生も指導をしてほしいです。私の裁判がそのパイオニアというか先陣になればと思います。

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以上で大川弁護士の質問が終了し、上瀧弁護士の質問に移った。

上瀧 乙2号証の6ページ目です。「リンチ事件をめぐる関連人物の反応」ていう。

裁判官 下のページ数で言うと何ページですか。

上瀧 下のページ数で言うと167ページ。これは原告の文章ですか。「リンチ事件をめぐる関連人物の反応」というのは原告の文章でしょうか。

松岡 全部が私の文章ではないです。

上瀧 読み上げます。167頁の下の段最初から「確かに私は学生時代の1970年代前半新左翼系の学生運動にかかわっていましたが、卒業後は『極左』の活動はやめている」と書いておられますがこれは原告の文章ですか。

松岡 そうですね。

裁判官 原告は会社なんですけど、原告代表者のという意味ですか。

上瀧 そうですね。原告代表者のということです。

裁判官 では私のほうから聞きますけど、あなたの文章ですけども、そうですということでいいですか。

松岡 それは取材班全員で書きましたが、その部分は私が書きました。

上瀧 ここで「極左」と書いてありますがそれは間違いありませんか。

松岡 それは神原弁護士が殊更「極左」「極左」と言うから、そう書いたわけです。

上瀧 以上です。

法廷画家・桜真澄さんが描いた尋問の様子

上瀧弁護士の質問は1つだけであった。再度大川弁護士が質問した。

大川 上瀧先生が示された「新左翼系のノンセクトの学生運動にかかわった」とありますが「新左翼系ノンセクトの学生運動」とはなんなんですか。

松岡 当時学費値上げが問題になっており、その時にセクトには入っていないと。

大川 学費値上げ反対運動にかかわっていたということですね。

松岡 そうですね。主には。沖縄が返還前でしたのでそれにも関わっていましたけど。なぜ私がしつこくかかわったといえば、私は母子家庭です。学費が上がることは許せないと思い、それが動機です。

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その後裁判官からいくつか質問がなされたが、質問の趣旨が松岡に伝わっていなかった(松岡が理解していなかった)かのようなやり取りで、本質的な質疑ではないので以下は割愛する。

この日で長きにわたった「鹿砦社対李信恵裁判」その①(第1訴訟。その②は李信恵が原告になり鹿砦社を提訴している訴訟。第2訴訟)は結審し、判決は来年2月13日、13:10から同法廷で言い渡されることになった。

この裁判は本来本年中頃に判決が出ていてもおかしくはない進行をしていたが、被告側が終盤になり突如「反訴」の意思を表明し、その後それを取り下げ別訴(第2訴訟)を起こしたことから、係争が長引いた経緯がある。その割には松岡が繰り返し述べていたように、肝心の李信恵氏本人は証人として出廷しないし、陳述書も提出しない。「逃げた!」と言われても仕方ないだろう。まったくこの事件と関係のない部落解放同盟山口支部の書記長が陳述書を出す、という不可思議な展開を経てきた。

そしてこの日上瀧弁護士の松岡への質問はわずか1問だけであった(前回期日で上瀧弁護士は李信恵を証人請求するかのごとき発言をし、神原弁護士に「いらんことは言うな。黙っておけ」と叱責でもされたのであろうか)。被告側の非常に消極的な姿勢が印象的であった。

裁判所の常識は、必ずしも一般社会の常識と同じではない。よって予断は許されないものの、この日の尋問までに原告である鹿砦社は、書面による主張は尽くしたので、あとは判決を待つばかりだ。2019・2・13にご注目を!

(鹿砦社特別取材班)

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現在発売中の『紙の爆弾』1月号の中に、ジャーナリスト山口正紀氏による、〈がん患者の“命綱”を断ち切る暴挙 滋賀医大病院 前立腺がん「小線源講座」廃止工作〉が掲載されている。滋賀医大では前立腺がんの患者に、小線源治療を用いて治療する岡本圭成医師が、ハイリスクの前立腺患者にも、もともとがんの転移がなければ、施術後ほとん再発をしない、極めて卓越した実績を上げる治療を行っている。

ところが、滋賀医大は岡本医師の治療を来年(2019年)6月で打ち切り、12月には岡本医師を滋賀医大から“追放”することを宣言している。どうして、極めて卓越した治療実績を持つ岡本医師を“追放”しようとしているのか? その理由と背景は『紙の爆弾』1月号の山口氏のレポートを是非お読みいただきい。

チラシ配り、著名活動に立ち上がった患者会のメンバー

他方、既に岡本医師の治療を受けた患者さんたちで構成される「滋賀医科大学 小線源治療患者会」のメンバーは滋賀医大の地元や東京、名古屋、京都、大阪、奈良など全国各地で「岡本医師による治療の継続」を求めるチラシ配りや署名活動に、自主的に立ち上がった。

というのは、岡本医師に治療を受けた患者さんたちは全国から滋賀医大にやってきており、北海道から沖縄にまで患者さんが散らばっているからだ。現在岡本医師の診断を受けている患者さんの7割以上は県外からの患者さんだという。

患者のAさんは兵庫県在住だが、これまで何度も滋賀医大最寄り駅であるJR瀬田駅にチラシ配りに出向いている。わざわざ瀬田駅でのチラシ配り、署名活動に参加するために長野県から駆け付ける患者さんもいる。名古屋でチラシ配り、署名活動を行っているBさんは「治療実績が優秀な岡本先生の治療を、多くの方に受けて頂きたいと思います。名古屋にも患者さんはたくさんおり、来年の6月以降治療が受けられるかどうかわからない方もいます。『人の命』がかかっているのに、それを切り捨てようとする滋賀医大の姿勢は許せません」と語る。

草津駅前での署名活動

ちなみにBさんはこれまでチラシ配りや署名活動の経験は一切ないそうだ。「患者会」のメンバーは滋賀医大で起こっていることの本質を少しでも伝えたいと、全力で奮闘しているが朝日新聞など一部を除いてマスメディアの扱いは決して大きくない。

そして、ついに滋賀医大で、「さらに深刻な事態が発生した」、と患者会のメンバーから連絡が入った。法廷で係争中の案件につき、ここではこれ以上詳しく触れないが、「人の命」にかかわる深刻な問題が滋賀医大では、さらに進行している。

あまり知られていないが前立腺がんは、男性であれば肺がんや胃がんと同様の確率で発症する病だ。誰にとっても他人事ではない。しかし治療の方法がある。治療できる医師がいる。そうであればどうして患者を救うために、その術式の普及を促進しないのだろうか。逆に難治性の患者でもほとんど再発させない、実績を持つ岡本医師をどうして排除しようとするのか?滋賀医大は「命」にかかわるこの問題に、正面から回答する義務があろう。

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

月刊『紙の爆弾』2019年1月号!がん患者の“命綱”を断ち切る暴挙 滋賀医大病院 前立腺がん「小線源講座」廃止工作

12月12日(水)14:00から大阪地裁第13民事部で、鹿砦社が李信恵氏を訴えた訴訟(第1訴訟)の尋問が行われる。前回期日(10月31日)に裁判所と原告(鹿砦社)‐被告(李信恵氏)双方が納得し、いよいよ原告‐被告本人の尋問が行われるはずであったが、その後被告の李信恵氏は、「出廷をしない」と、本人ではなく、神原元弁護士がツイッターで発信。どうやら12日の法廷にも李信恵氏は姿を見せないようである。

それならそれで、前回期日に出廷した上瀧浩子弁護士は「被告の証人尋問は申請しない」と明言しておくべきだったろう。いったんは裁判官の判断のもと原告‐被告双方が本人尋問に応じると回答し期日も決めたのであるから、李信恵氏の不出廷は〈敵前逃亡〉のそしりを逃れることはできまい。そして、どうやら12日神原元弁護士に他の裁判の予定がある、といった噂もあり、被告側弁護士として神原弁護士が登場するか否かも見どころである。

したがって、12日の裁判では原告鹿砦社代表・松岡利康だけの証人調べとなるが、いよいよこの裁判も佳境に差し掛かかった。お時間の許す方は是非、傍聴にお越しいただけるよう取材班からも呼び掛ける。

「鹿砦社はクソ」「クソ鹿砦社」との誹謗中傷について、被告側準備書面では「論評」と主張したが、李信恵氏本人の口から説明してほしかったところだ。

ところで先日別掲(下記)の文書が大阪弁護士会所属の弁護士に送付されてきた。

12月22日大阪弁護士会主催で開催されるパネルディスカッションの案内文書。李信恵氏がパネリストとして参加する

12月22日大阪弁護士会主催で開催されるパネルディスカッションに、李信恵氏がパネラーとして参加するというのである。おいおい、ちょっと待ってくれ! 取材班は先日、本通信で香山リカ氏の講演が、わずか6通の通報(脅し)で中止にとなった件について、「開催すべきであった」とする意見を申し述べた。しかし、香山氏のケースと今回のケースは事情が大きく異なる。

まず、前述のとおり李信恵氏は、「名誉毀損による損害賠償請求」の被告として、地元大阪地裁で、被告として鹿砦社と係争関係にある人物であることである。争いの内容が「表現」と無関係な、交通事故や、過払い金の払い戻しなどであれば、関係なかろうが、李信恵氏のプロフィールには「元在特会会長及び保守速報に対する民事訴訟を提起して第一審・第二審で勝訴」との紹介文がある。その通りである。李信恵氏はここで紹介されている通りに勝訴していることは間違いない。

だが、「クソ鹿砦社」、「鹿砦社クソ」と散々ツイッターに書き込んだ件で、李信恵氏は「被告」として係争中の身なのである。争いの内容は「表現」についてであり、李信恵氏が過去、鹿砦社、取材班、M君らに対して発信した膨大な誹謗中傷や虚偽は、言論人として許されるものではないと取材班は確信している。そんな李信恵氏を、こともあろうに大阪弁護士会の会長名でパネルディスカッションに招く。これはどう考えてもアンフェアだ。係争中の民事事件に地元の弁護士会が、ある種「こちらの味方に付く」と正当性を与えたかの印象を付与していると感じられても仕方がないだろう。

そこで、6日鹿砦社は以下の内容の質問を大阪弁護士会竹岡登美男会長に送付した。

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2018年12月6日 
大阪弁護士会
会長 竹岡登美男 様

貴会主催《『反』差別 連続企画 第1回 今、問われる人種差別禁止法
―沖縄・部落・在日コリアンへの差別の実態を踏まえて―》
についてのお尋ね

兵庫県西宮市甲子園八番町2-1-301 
株式会社鹿砦社(ろくさいしゃ) 
代表取締役 松岡利康 
電話0798(49)5302 

               
謹啓 師走に入り何かと慌ただしくなってまいりましたが、貴会ますますご隆盛のことと心よりお慶び申し上げます。

 さて、貴会所属弁護士より標記のような勉強会(資料添付)が予定されていると聞きました。

 パネリストとして参加予定の方の中に、李信恵氏のお名前があります。小社は、李信恵氏にSNS上で執拗に誹謗中傷を受け発信が止まらなかったため、やむなく李信恵氏を被告として名誉毀損等による損害賠償請求訴訟を大阪地方裁判所(以下大阪地裁と略記します)に提訴し、争っている最中です(大阪地裁第13民事部 平成29年ワ第9470)。今月12日には原告代表者である私の尋問が行われ(李信恵氏は尋問を拒否しました)、この係争自体は、これで結審を迎え年度内の判決になるものと想像いたします。

 他方李信恵氏側は、本年3月頃、上記訴訟がほぼ結審直前になり「反訴したい」旨の意向を突如表明しましたが、裁判所は同一訴訟内での反訴は認めず、別訴を小社を被告として起こしてきており、こちらも大阪地裁で係争中です(大阪地裁第24民事部 平成30年ワ第4499号)。

 つまり、李信恵氏は、被告、原告(提訴の順番からこのように記します)として、現在大阪地裁において、2件の訴訟を係争中の身であり、その争いの内容は「名誉毀損」です。特に後者訴訟にあっては、損害賠償と共に出版物の販売差し止めを求めており、憲法21条に謳われる「表現の自由」「言論・出版の自由」の見地から極めて重大です。

 参考までに李信恵氏が関わったとされる大学院生リンチ事件(常識的に見て、リンチの現場に居て関わっていないとは言えないでしょう)についての出版物2点を同封させていただきますので、ぜひご一覧(特にリンチ直後の大学院生の顔写真を)、またリンチの最中の音声データ(CD)をご視聴になり、ご検討ください。くだんの勉強会のご案内に「人権」という言葉がありましたが、リンチ被害者の「人権」はどうなるのでしょうか? 会長のご意見をぜひお聞かせください。いや、一人の人間として――。

「人権」を大事にされる貴会、特に呼びかけ人に名がある会長におかれましては、李信恵氏がこのような状態であることをご存知でパネリストと決定なさったのでしょうか(あるいはご存知なかったのでしょうか)。ぜひお聞かせください。貴会の最高責任者である「会長」として――。

 足元大阪地裁で大阪弁護士会所属の弁護士も代理人に就任し(李信恵氏側の代理人は京都弁護士会、神奈川弁護士会所属)、係争中の民事訴訟が進行している中、大阪弁護士会が、係争中の片一方の当事者を、係争の内容と関係のある「表現」や「差別」や「人権」についての勉強会のパネリストに選ばれることは、李信恵氏から「クソ鹿砦社」「鹿砦社はクソ」などと再三再四誹謗中傷を受けた小社としては、公平な人選であるとは考えられません。

 もちろん、係争中であろうと、発言や発信は認められるべき基本的な権利であると小社も認識いたしますが、今回はまさに「表現」についての訴訟が、他ならぬ大阪地裁で係争中に、大阪弁護士会が主催して、係争の片一方の当事者を招くという、例外的なケースであると考えます。小社の代理人弁護士はじめ複数の弁護士や元裁判官の方々にお聞きしても首を傾げられましたので、私が申し上げていることは、決して特異な意見ではないと思いますがいかがでしょうか?

 大阪弁護士会が、李信恵氏の過去の訴訟について、評価の認識をされていることは分からないではありませんが、リンチや暴力事件に関与したという疑いや問題を現在李信恵氏は問われています。その訴訟が進行中に(それも2件も)大阪弁護士が(それも会長名で)李信恵氏を「差別や「人権」や「表現」が話題となる勉強会のバネラーにお招きになる行為は、原告である(別訴では被告)小社のみならず第三者が常識的、客観的に見ても「大阪弁護士会は李信恵氏を支持している」と映ります。

 上記申し上げた件をご賢察頂き12月14日(金)までに書面にてご回答いただきますようお願い申し上げます。
 
 まずは要件にて失礼いたします。 

敬白 

               

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送付文書の中でも言及しているが、「係争中であるから発言を控えろ・発信をするな」とわれわれは主張しているのではない。「言論の自由」の観点から係争についての発言・発信は認められるべきである、と取材班は認識している。それでも「例外」はあるだろう。

ズバリ「例外」に該当するのが今回のケースである。大阪弁護士会は、果たして本係争の事実認識していたのか、あるいは知らなかった(その可能性は十分にあろう)のか。もし、係争があることを知っていたのであれば「どうして、あえて李信恵氏を登用したのか」、この点に疑問を感じるのは、まったく不自然ではないはずだ。12日の法廷並びに大阪弁護士会からの回答にご注目頂きたい。

いささか引用が長くなり長文になってしまったので、以下手短に報告するが、M君に対するリンチの際の音声がYou Tubeにアップされているが、これがなんと視聴者7万人を越えたのである。声なき多くの方々が関心を持っておられる証左である。これだけの動かぬ証拠がありながら「リンチはなかった」などとは小学生でも言わないだろう。裁判所がどのような判決を出そうが、〈真実は一つ〉だ。あらためて視聴いただきたい。

(鹿砦社特別取材班)

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平均寿命が延び、高齢の親御さんやご親戚家族の健康について、悩みを抱える方が多いのではないでしょうか。私自身、予期もせず元気で健康、快活だった母の言動に異変を感じたのは数年前のことでした。そして以降だんだんと認知症の症状が見受けられるようになりました。今も独り暮らしを続ける89歳の母、民江さん。母にまつわる様々な出来事と娘の思いを一人語りでお伝えしてゆきます。同じような困難を抱えている方々に伝わりますように。

◆同級生(89歳)のいとことランチの約束をして

前回は、民江さんが慣れた場所で初めて道に迷った時のことをお伝えしました。あれは、本人にとってもショックだったと思いますし、家族にとっても認知症の進行と怖さを実感た出来事でした。今回は、それから3か月後に起きた騒動です。

これまで二度の迷子騒動を経験した私は、民江さんが電車で外出することに対して、それなりに注意を払っていました。それは、「約束したら私にも必ず教えてね」とお願いし、約束の日時と場所に無理がないかをチェックし、当日朝にもう一度確認するというものです。とは言っても、そもそも申告自体があてになるものではありません。案の定「今日は○○ちゃんと12時に会うのよ」とか「今日約束してたけど、体調が悪いらしくて延期したわ」など、約束していたことを当日の朝に初めて知ることがよくありました。

それは昨年4月のことです。同級生(つまり89歳)のいとことランチの約束をしていると言うので、数少ない友人と楽しい時間が過ごせるといいなという思いで、快く送り出すことにしました。約束の場所と時間から、何時に家を出て、どういう経路で行くのかを確認し、「気を付けてね。何かあったら電話してね」と言いました。

数時間後、行き慣れた場所でしたし、約束の時間もとっくに過ぎたので、ホッとしてお茶でも飲もうと思ったところに電話がかかってきました。民江さんの携帯電話からの着信です。でも、声は男性です。「お母さんが倒れていらっしゃったので救急車を呼ぼうかと声を掛けたんですが、娘に電話をしてくださいとおっしゃるので」と。

聞いていた場所とは全く違いますが、とにかく迎えに行かなくてはなりません。どんなに急いでも40分はかかりますが、その方は付き添って待っていてくださるそうです。お言葉に甘えて、私はまず待ち合わせ相手の娘さんに電話で状況を説明し、そちらの対応をお任せした後、急いで車を走らせました。到着すると、歩道の木陰に喫茶店で借りた椅子に座った民江さんと、寄り添ってお話をしてくださっているご夫婦の姿がありました。

よかった。そして、本当にありがとうございました。お二人は散歩の途中だったそうで、「もう少しお散歩の続きをしますから、どうぞ気にしないで」と笑顔で手を振って去っていかれました。過去二回もそうでしたが、またしても親切な方に助けていただいたわけです。

さて民江さんの様子はというと「私はいとこのせいで行き倒れた!」と怒っています。いとこの希望で約束の場所を変更したことが原因だと言います。その場所が久し振りだったこともあると思いますが、見当違いの方向へ1キロぐらい、民江さんの足なら電車を降りて1時間ぐらい歩いたようです。助けてくださった方への感謝の気持ちよりも、いとこへの恨みと空腹感で荒れています。

私は、なぜ変更したことを教えてくれなかったのかと苛立ちながら、とにかく民江さんの気持ちを鎮めようと、適当なお店を探してお腹を満たし、プラス思考の話題へ誘導しますが、なかなか機嫌は直りません。今回は特にダメージが大きかったようです。早く休ませて、明日になることを願うしかありませんでした。

◆穏やかに接してあげたいが

このようなことが起こると、民江さん自身とても混乱し、恐怖を感じたでしょう。それを思えば、私もなるべく穏やかに接してあげなくてはいけません。なるべく穏やかに接してあげなくてはいけないことはわかっています。が、現実は辛い。この時の民江さんの言動をもう少し詳しくお話しします。

急いで駆けつけた私に何も言わないどころか、助けていただき一時間も付き合ってくださった方に対しても、私が促してやっと軽くお礼を言いうことができました。
車に乗せると後部座席から「信号青よ!」と大きな声。しかもそれは横の信号を見て言っているのですから、本当はまだ赤なのに、私に指図をしてきます。途中、路上に車を止めて駅のトイレを借りて走って戻った私に「ソフトクリーム買って来てくれたんじゃなかったの?」と言い、「食べたいの?」と聞くと、「買って来て」と横柄な態度です。

その後も、駐車場のある店に入ろうと探しながら走っているのに「お腹がすいた」「どこでもいいから早くお店に入ってよ」と繰り返します。「場所を変えてくれと言ったいとこが悪い」「いとこのせいで私は行き倒れた」「もういとことは会わない」と、いつまでも怖い顔をして怒っています。

こんなに悪態をつかれても、娘の私は黙って聞いていなくてはいけません。認知症の人に怒っても本人を混乱させて状態を悪化させるだけ。母は認知症。だから怒ってはいけない。怒ったら、あとでもっと自分を責めることになる。わかっていても辛いものです。

▼赤木 夏(あかぎ・なつ)[文とイラスト]
89歳の母を持つ地方在住の50代主婦。数年前から母親の異変に気付く

月刊『紙の爆弾』2019年1月号!玉城デニー沖縄県知事訪米取材ほか

昨年6月に東名高速で起きた、あおり運転事故をおぼえておられるだろうか。サービスエリアの進入路のはみ出し駐車を注意されたトラブルから、高速道路の追い越し車線で停車させて、うしろから来たトラックが衝突。停車させられたクルマの夫婦が死亡した事件である。車内にいた娘たちはケガで済んだものの、幼くして両親をうしなったのだ。そして、あおり運転をしたI被告(26歳)は、自分のせいではないとうそぶいているようだ。

その裁判が、12月3日に初回公判をむかえた。


◎[参考動画]現実に追いつかぬ法律……あおり運転事件で苦悩の捜査(ANNnewsCH 2018/12/03公開)

◆「罪刑法定主義」で無罪を主張

裁判の冒頭、被告側は「罪刑法定主義」が履行されることを訴え、無罪を主張した。注意されたことにハラを立て、被害者一家のクルマを追いまわした挙げ句、高速道路上で停車させて事故を招いた人物が、自分の行為は直接の原因ではないから無罪だというのだ。このニュース報道に接して、憤りに耐えられない方も多いのではないだろうか。今回は道路交通法に新設された「危険運転致死傷罪」の不備もさることながら、殺人罪適用に踏みきらなかった検察の及び腰を問題にしなければならない。

「危険運転致死傷罪」(懲役20年以下の実刑)は博多で起きた、福岡市職員による酔っ払い運転による死傷事故をうけて施行されたものだ。それまでの酔払い運転事故では、刑事罰がほとんど問えない現状から、あわただしく法制化されたものだ。ところがこの「危険運転致死傷罪」は、運転中の行為を取り締まるものであって、本件のように停車したあとの行為では要件が適用されないのである。今回、I被告側が「無罪」を主張しているのも、停車中の行為にまで法の規定がおよばないからにほかならない。

◆逮捕監禁罪で補強するも、拡大解釈が甚だしすぎる

すでに横浜地方裁判所の担当裁判官は、裁判の事前整理(論点を明確にする)において、「危険運転致死傷罪」の適用は無理との判断をしめしている。これは条文上、じゅうぶんに予測されていた判断である。そこで検察は「逮捕監禁罪」を適用することで、逮捕監禁によって生じた致死傷の罰則(懲役20年以下の実刑)を補強的に訴因に入れたのだった。

ところが、これにも無理がある。高速道路上に「逮捕・監禁」と、事件の態様はちがうのだ。被害者はI被告に胸ぐらをつかまれて、クルマから引きずり出された(訴状)のだ。クルマに監禁されたのならともかく、東名高速道路に「監禁した」とはどんな犯行の態様をもって犯罪の構成要件にできるのか。

◆検察の無能が問題だ

この2つの訴因について「答案に2つの解答を書いて、0点になる可能性もある」と云うのは八代英輝(TBSのひるおびコメンテーター)である。むしろ「未必の故意」の殺人罪を適用したほうが、法の適用性にとってはマシだと云う。

わたしも賛成である。誰がどう見ても、あおり運転の挙げ句に進路を妨害し、高速道路の追い越し車線上にクルマを止めさせたI被告に事件の全責任があるのは明白である。直接、事故を起こしたのが後続のトラックであったとしても、むしろトラック運転手は被害者であろう。2つの罪名が認められず、暴行罪だけの判決になった場合、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金である。死刑をはじめとする重刑をよしとする立場ではないが、これではあまりにも均衡を欠いた裁判になってしまう。検察は殺人罪を適用をするべきだった。

事実、I被告は「なめてんのか、殺すぞ」と殺意を口にしている。「高速道路に放り出すぞ」とも脅している。高速道路に放り出すことで、相手が死ぬかもしれないと認識していたのである。無能な検察官はこの意味がよくわからないのであろう。死んでもかまわないと、I被告は被害者をクルマから引きずり出したのである。したがって、殺人罪の要件は成立する。おびただしい冤罪事件、冤罪で獄死まで強要している日本の司法が、事実関係を争わない被告の言い逃れを許そうとしているのだ。

おそらく担当検事はクルマに乗ったことがないか、高速道路で追い越し車線を利用したことがないのであろう。筆者は自動車を手放し、自転車を愛用するようになって10年ほどになるが、高速道路ほど無用なものはないと思っている。それはクルマの利便性を否定したいのではない。利便性や快適性の裏側に、人間が無軌道(道路)上を毎秒27メートル(時速100キロ)で走行するという、とてつもなく無理なシステムがあるからだ。近年は若者がクルマに乗らない(必要としない)ことから、年間の交通事故死傷者も減っている(死者1万人から数千人に)が、膨大な死傷者を生み出す構造は変っていない。だからこそ、自動運転システムの実用が急がれているのだ。

裁判は来週にも判決を迎える。今回は裁判員裁判であり、裁判長の法的な指導に裁判員が異議を唱えられないとしたら、制度そのものの問題点も浮上してくることになるだろう。裁判のゆくえに注目したい。


◎[参考動画]東名の夫婦死亡事故 遺族の思い 6月5日で1年(SBSnews6 2018/06/04公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

板坂剛と日大芸術学部OBの会=編『思い出そう! 一九六八年を!! 山本義隆と秋田明大の今と昔……』

横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

アメリカンフットボール西日本代表に勝ち残った関西学院大学アメフト部「ファイターズ」。他方一見評価に値しそうな回答を出しながら、「調査委員会」は100日経過しても発足せず! 関西学院大学の本質はいかに!?

関西学院大学アメフト部「ファイターズ」は12月2日、立命館大学に勝利をおさめ、甲子園ボールへの出場が決まった。

金明秀(キム・ミョンス)関西学院大学社会学部教授が2016年5月19日、ツイッター上でM君に向けて行った書き込み

一方、金明秀社会学部教授の暴行事件に関しての団交で交わされた約束にそって、回答締切期限の9月22日付けで関西学院大学から、暴行の被害者A先生が所属する「新世紀ユニオン」に回答があった。

ユニオン側から提出を要請した就業規則などの6種の規定の文面と、「調査委員会には大阪弁護士会所属の弁護士が就任する旨」が伝えられた。新世紀ユニオンの角野委員長は、団交の際に調査委員会に第三者を入れることを要請したのに対して、第三者のみで構成される調査委員会の発足が回答されたことに対して、われわれも前向きに評価していた。

しかし「調査委員会には大阪弁護士会所属の弁護士が就任する旨」の回答から100日経っても何の音沙汰もない。新世紀ユニオンは大阪弁護士会に以下の質問を送っている。

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 当ユニオンは組合員であり、学校法人関西学院大学の教授でもある(A)氏への一方的な暴力と、その和解後に加害者の金明秀教授のデマで、まるで被害者が加害者であるかの扱いを受けてきた事案で、当ユニオンは関西学院大学の管理責任を問い、団体交渉を本年8月2日に行い、大学側から調査委員会を作るとの回答を受けました(中略)。

 すでに関西学院大学が当ユニオンに調査委員会の設置を約束してから約3カ月が過ぎており、当ユニオンは関西学院大学側の不誠実な対応に深い疑念を持つに至りました。このような経緯から、貴弁護士会に以下の諸点について質問する次第であります。

(1) 関学側からの依頼はいつ行われたか?
(2) 調査委員会発足はいつなのか?
(3) なぜ1ヶ月も時間がかかるのか?
(4) 委員会の調査が終わるのはいつか?
(5) 委員会に当ユニオンの要望は届いているか?
(6) 調査委員会のメンバーは誰と誰か?

 以上の点について書面にて回答を求めるものです。本状送達後1週間以内に回答をお願いいたします。

 関東の大学はパワハラ事案で、1週間で第三者委員会を作っているのに、なぜ関西学院大学は調査委員会を3カ月経っても発足させることが出来ないのか?
これが当方の疑問であるので、ご多忙も顧みず質問する次第であります。
よろしくお願いいたします。以上 
                             2018年(平成30年)11月12日

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これにさきだつ新世紀ユニオンからの質問に対する大阪弁護士会からの回答が次の通りだ。

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大阪弁護士会
                              会長 竹岡 富美男

質問書について(回答)

 貴ユニオンからの平成30年11月1日付け「質問書」記載事項につき回答します。

 学校法人関西学院からの第三者委員会推薦依頼については、当会内の所定手続きに付し、鋭意対応しております。

 なお、推薦依頼に対する回答については、依頼のあった学校法人関西学院宛てに致しますのでご了承ください。

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設置が、大学側から約束され、組合は「そこに第三者を入れるよう」要望し受け入れられた。回答期限の9月22日、大学側からは「調査委員会には大阪弁護士会所属の弁護士が就任する旨」の連絡が組合にあった。第三者を入れるばかりでなく、弁護士により構成される「第三者委員会」の設置を組合は前向きに評価し、推移を見守った。

ところがいつまで経っても「第三者委員会」の選任連絡がない。大阪弁護士会に問い合わせたところ、「鋭意対応しております。なお、推薦依頼に対する回答については、依頼のあった学校法人関西学院宛てに致しますのでご了承ください」との回答である。要するに「調査委員会の設置を関西学院大学は大阪弁護士会に依頼した。大阪弁護士会は『鋭意対応している』がまだ、調査委員会選任は行われていない(本稿執筆時点)」と理解するしかないだろう。

このやり取りは、複雑なだけに本質を言極めにくい。日大のように尊大な態度をとったり、職員が記者会見で暴言に近い言葉を吐いたりはしない。そこがかえって悪質だといえよう。関西学院大学は大阪弁護士会に調査委員会の選任を依頼したが、そこに「期限」は明示されていなかったのであろう。ここがポイントだ。大阪弁護士会は関西学院大学に対しての回答の義務はあろうが、依頼者ではない組合へ回答する法的な義務は曖昧にされている(道義的にはもちろん回答の義務はあるだろう)。それを計算に入れてのことか否かは判然としないが、関西学院大学は組合ならびに被害者A先生に「いや、大阪弁護士会に依頼したのですが、調査委員会を設置してくれませんから」と逃げ道ができる。
 

金明秀(キム・ミョンス)関西学院大学社会学部教授が被害者と交わした「和解書」

同上

鹿砦社より関学への「適切な対応」を求めるツイッター

同様の暴力事件で関西学院大学ファイターズは社会からその対応を称賛された。一方学内では同僚教員による暴力行為の解決に、まともに取り組んでいない。この対比を無視するわけにはいかない。関西学院大学は学内外に対して「誠実」な大学であるのか、そうではないのか。瀬戸際でその真の姿が問われている。

われわれ取材班の一部には、「関学がそうやすやすとわれわれが望むような形で本件に真摯に取り組むだろうか?」と懸念する者もいたが、われわれも甘かったのかもしれない。

まもなく入試の季節がやって来る。関西学院大学は受験生に対しても、本件暴力事件への取り組みを明らかにすべきだろう。もし真摯に取り組まないのならば、自浄能力がないと判断し、われわれの力で真相を世に明らかにするしかない。

◎[参考資料]新世紀ユニオン委員長のブログ
http://shinseikiunion.blog104.fc2.com/blog-entry-2726.html#comment6825

◎[関連記事]
○金明秀教授暴行問題について関西学院大学から新世紀ユニオンへ調査委員会設置などの回答 鹿砦社はさらなる激烈な戦術選択を宣言!(2018年10月5日)
○【緊急報告!】8・2金明秀暴行&不正問題で関西学院大学と被害者A先生が加盟する「新世紀ユニオン」との団交行われる!(2018年8月4日)
○暴力教授にはしかるべき対処を! 関西学院大学からの回答を批判する!(2018年7月18日)
○【金明秀教授暴力事件続報!】関西学院大学に質問状送付!(2018年7月4日)
○2018年上半期、鹿砦社が投下する最大の爆弾!「関西カウンター」の理論的支柱・金明秀関西学院大学教授の隠された暴力事件を弾劾する! (2018年6月29日)
○検証「みれぱ」としばき隊、カウンター〈1〉金明秀関学大教授と林範夫弁護士(2018年4月28日)
 

(鹿砦社特別取材班)

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7日発売!月刊『紙の爆弾』2019年1月号!玉城デニー沖縄県知事訪米取材ほか

かつて鈴木宗男が辻元清美に「疑惑の総合商社」と呼ばれたことがある。ご両人ともに逮捕・拘留されたのだから、この手の泥仕合は国民にとっても国会にとっても「生産性」がないのは明らかだ。国会審議の邪魔になるのだからこそ、いますぐにも辞めて欲しい。ほかならぬ片山センセイのことである。


◎[参考動画]片山さつき疑惑:逢坂誠二・立憲11/21衆院・内閣委(article9 18/11/21公開)

◆裁判は始まったが、疑惑は増すばかりだ

片山さつき内閣府特命担当大臣(地方創生担当)が原告の名誉毀損裁判は、12月3日に初公判がひらかれた。原告が真面目に裁判をやるつもりなら、次々と明らかになってくる疑惑が活字化された件についても、訴状に補充してさらなる訴訟を提起しなければならない。

10月18日に「週刊文春」で国税100万円口利き疑惑に加えて、政治資金の収支報告書の訂正は40ヶ所以上、総額は500万円にのぼっているからだ。自身が支部長を務める自民党支部の使途不明金疑惑、および支部の南村元「私設秘書」名義物件への賃料支出。さらには著書の名前入り看板掲示、有料カレンダーの配布による公職選挙法違反の疑義と、疑惑は枚挙にいとまがない。

そしてここにきて、政治資金の私的流用疑惑まで持ち上がっているのだ。

 

片山さつき『日本経済を衰退から救う真実の議論』(2010年3月かんき出版)

◆政治資金の私的流用疑惑

すなわち「週刊文春」12月6日発売号によると、片山大臣の政治資金管理団体「山桜会」の収支報告書に「消耗品代」および「お土産用袋代」名目で3万円強の支出があるのだが、その領収書が「きぐるみアザラシバスボール」(入浴剤)10個、「開運だるま貯金箱」5個、「ヒアルロン酸ウェットティッシュ」など28パックだというのだ。およそ政治活動とは関係のない、私的な支出であるのは明白だ。政治資金を生活日用品の購入に充てているのだ。

あるいは、「お土産用袋代」名目ということは、後援会支援者や選挙民への「寄附行為」である可能性も否定できない。いずれにしても、税金と政治カンパからなる政治資金を、私的に流用していたのは疑いのないところだ。

そればかりではない。「週刊文春」が報じるところ、2014年から2015年にかけて不正経理の疑惑が浮上しているのだ。具体的にみていこう。片山大臣の政治団体「片山さつき後援会」から「自民党浜松支部」に支払われた6万円が、なぜか同支部の収入には記載がなく、「山桜会」に6万円の記載があるのだ。単なるミスではない証拠に、「後援会」と記載のある領収書が「山桜会」に130件550万円も計上されているのだ。

政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授の見解によれば、以下のとおりだ。

「収支報告書記載の根拠となっている領収書の宛先が別の政治団体というのは、政治資金規正法を遵守する気がないと言っていいでしょう。今回のケースは収支報告書の虚偽記載となります。仮に領収書がウソのものだった場合でも、提出すべき領収書を徴収できなかった不徴収ということになり、これも政治資金規正法違反の疑いがあります」

まもなくサラリーマン諸兄姉は、税金の年末調整の時期である。自営業者は確定申告の準備に入ることだろう。税金(歳費)と政治カンパで生活と政治活動をしている国務大臣がこの体たらくでは、納税を納める気になれないのではないか。

◆自民党、自分の事務所からも批判の嵐が

詳しくは発売中の週刊誌を読んでいただきたいが、本欄でも再三指摘してきたとおり、片山センセイの「上から目線」および「パワハラ」まがいの言動は酷いようだ。自民党の選挙では自分の「為書」が選挙事務所に貼ってないことに激昂したり、呼ばれてもいないイベントで自分をアピールする。

とりわけ現況の週刊誌報道では、選挙応援そのものが迷惑千番というものであろう。そして呆れた行状(秘書に「あんたは私の使用人だ!」=そうかも知れないが、その原資は税金なのに、ふつう言うか?)がここまで暴露されるのも、自業自得というものだ。ある意味では本気で自分のようなエリートは、何を言っても許されると思っているからだろう。次回公判は年明けの1月16日に行われる。


◎[参考動画]“未来の日本”スーパーシティ構想で方針まとまる(ANNnewsCH 18/11/26公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

7日発売!月刊『紙の爆弾』2019年1月号!玉城デニー沖縄県知事訪米取材ほか

横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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