「答案に2つの解答を書いて、0点になる可能性も」(八代英輝)は正しい 東名あおり運転事故裁判に「危険運転罪」と「監禁罪」検察は無能なのではないか?

昨年6月に東名高速で起きた、あおり運転事故をおぼえておられるだろうか。サービスエリアの進入路のはみ出し駐車を注意されたトラブルから、高速道路の追い越し車線で停車させて、うしろから来たトラックが衝突。停車させられたクルマの夫婦が死亡した事件である。車内にいた娘たちはケガで済んだものの、幼くして両親をうしなったのだ。そして、あおり運転をしたI被告(26歳)は、自分のせいではないとうそぶいているようだ。

その裁判が、12月3日に初回公判をむかえた。


◎[参考動画]現実に追いつかぬ法律……あおり運転事件で苦悩の捜査(ANNnewsCH 2018/12/03公開)

◆「罪刑法定主義」で無罪を主張

裁判の冒頭、被告側は「罪刑法定主義」が履行されることを訴え、無罪を主張した。注意されたことにハラを立て、被害者一家のクルマを追いまわした挙げ句、高速道路上で停車させて事故を招いた人物が、自分の行為は直接の原因ではないから無罪だというのだ。このニュース報道に接して、憤りに耐えられない方も多いのではないだろうか。今回は道路交通法に新設された「危険運転致死傷罪」の不備もさることながら、殺人罪適用に踏みきらなかった検察の及び腰を問題にしなければならない。

「危険運転致死傷罪」(懲役20年以下の実刑)は博多で起きた、福岡市職員による酔っ払い運転による死傷事故をうけて施行されたものだ。それまでの酔払い運転事故では、刑事罰がほとんど問えない現状から、あわただしく法制化されたものだ。ところがこの「危険運転致死傷罪」は、運転中の行為を取り締まるものであって、本件のように停車したあとの行為では要件が適用されないのである。今回、I被告側が「無罪」を主張しているのも、停車中の行為にまで法の規定がおよばないからにほかならない。

◆逮捕監禁罪で補強するも、拡大解釈が甚だしすぎる

すでに横浜地方裁判所の担当裁判官は、裁判の事前整理(論点を明確にする)において、「危険運転致死傷罪」の適用は無理との判断をしめしている。これは条文上、じゅうぶんに予測されていた判断である。そこで検察は「逮捕監禁罪」を適用することで、逮捕監禁によって生じた致死傷の罰則(懲役20年以下の実刑)を補強的に訴因に入れたのだった。

ところが、これにも無理がある。高速道路上に「逮捕・監禁」と、事件の態様はちがうのだ。被害者はI被告に胸ぐらをつかまれて、クルマから引きずり出された(訴状)のだ。クルマに監禁されたのならともかく、東名高速道路に「監禁した」とはどんな犯行の態様をもって犯罪の構成要件にできるのか。

◆検察の無能が問題だ

この2つの訴因について「答案に2つの解答を書いて、0点になる可能性もある」と云うのは八代英輝(TBSのひるおびコメンテーター)である。むしろ「未必の故意」の殺人罪を適用したほうが、法の適用性にとってはマシだと云う。

わたしも賛成である。誰がどう見ても、あおり運転の挙げ句に進路を妨害し、高速道路の追い越し車線上にクルマを止めさせたI被告に事件の全責任があるのは明白である。直接、事故を起こしたのが後続のトラックであったとしても、むしろトラック運転手は被害者であろう。2つの罪名が認められず、暴行罪だけの判決になった場合、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金である。死刑をはじめとする重刑をよしとする立場ではないが、これではあまりにも均衡を欠いた裁判になってしまう。検察は殺人罪を適用をするべきだった。

事実、I被告は「なめてんのか、殺すぞ」と殺意を口にしている。「高速道路に放り出すぞ」とも脅している。高速道路に放り出すことで、相手が死ぬかもしれないと認識していたのである。無能な検察官はこの意味がよくわからないのであろう。死んでもかまわないと、I被告は被害者をクルマから引きずり出したのである。したがって、殺人罪の要件は成立する。おびただしい冤罪事件、冤罪で獄死まで強要している日本の司法が、事実関係を争わない被告の言い逃れを許そうとしているのだ。

おそらく担当検事はクルマに乗ったことがないか、高速道路で追い越し車線を利用したことがないのであろう。筆者は自動車を手放し、自転車を愛用するようになって10年ほどになるが、高速道路ほど無用なものはないと思っている。それはクルマの利便性を否定したいのではない。利便性や快適性の裏側に、人間が無軌道(道路)上を毎秒27メートル(時速100キロ)で走行するという、とてつもなく無理なシステムがあるからだ。近年は若者がクルマに乗らない(必要としない)ことから、年間の交通事故死傷者も減っている(死者1万人から数千人に)が、膨大な死傷者を生み出す構造は変っていない。だからこそ、自動運転システムの実用が急がれているのだ。

裁判は来週にも判決を迎える。今回は裁判員裁判であり、裁判長の法的な指導に裁判員が異議を唱えられないとしたら、制度そのものの問題点も浮上してくることになるだろう。裁判のゆくえに注目したい。


◎[参考動画]東名の夫婦死亡事故 遺族の思い 6月5日で1年(SBSnews6 2018/06/04公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

板坂剛と日大芸術学部OBの会=編『思い出そう! 一九六八年を!! 山本義隆と秋田明大の今と昔……』
横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

関西学院大学・金明秀教授暴行事件《続報》 またしても暴力は、このままなしくずし的に隠蔽されるのか!? 鹿砦社特別取材班

アメリカンフットボール西日本代表に勝ち残った関西学院大学アメフト部「ファイターズ」。他方一見評価に値しそうな回答を出しながら、「調査委員会」は100日経過しても発足せず! 関西学院大学の本質はいかに!?

関西学院大学アメフト部「ファイターズ」は12月2日、立命館大学に勝利をおさめ、甲子園ボールへの出場が決まった。

金明秀(キム・ミョンス)関西学院大学社会学部教授が2016年5月19日、ツイッター上でM君に向けて行った書き込み

一方、金明秀社会学部教授の暴行事件に関しての団交で交わされた約束にそって、回答締切期限の9月22日付けで関西学院大学から、暴行の被害者A先生が所属する「新世紀ユニオン」に回答があった。

ユニオン側から提出を要請した就業規則などの6種の規定の文面と、「調査委員会には大阪弁護士会所属の弁護士が就任する旨」が伝えられた。新世紀ユニオンの角野委員長は、団交の際に調査委員会に第三者を入れることを要請したのに対して、第三者のみで構成される調査委員会の発足が回答されたことに対して、われわれも前向きに評価していた。

しかし「調査委員会には大阪弁護士会所属の弁護士が就任する旨」の回答から100日経っても何の音沙汰もない。新世紀ユニオンは大阪弁護士会に以下の質問を送っている。

─────────────────────────────────────────────

 当ユニオンは組合員であり、学校法人関西学院大学の教授でもある(A)氏への一方的な暴力と、その和解後に加害者の金明秀教授のデマで、まるで被害者が加害者であるかの扱いを受けてきた事案で、当ユニオンは関西学院大学の管理責任を問い、団体交渉を本年8月2日に行い、大学側から調査委員会を作るとの回答を受けました(中略)。

 すでに関西学院大学が当ユニオンに調査委員会の設置を約束してから約3カ月が過ぎており、当ユニオンは関西学院大学側の不誠実な対応に深い疑念を持つに至りました。このような経緯から、貴弁護士会に以下の諸点について質問する次第であります。

(1) 関学側からの依頼はいつ行われたか?
(2) 調査委員会発足はいつなのか?
(3) なぜ1ヶ月も時間がかかるのか?
(4) 委員会の調査が終わるのはいつか?
(5) 委員会に当ユニオンの要望は届いているか?
(6) 調査委員会のメンバーは誰と誰か?

 以上の点について書面にて回答を求めるものです。本状送達後1週間以内に回答をお願いいたします。

 関東の大学はパワハラ事案で、1週間で第三者委員会を作っているのに、なぜ関西学院大学は調査委員会を3カ月経っても発足させることが出来ないのか?
これが当方の疑問であるので、ご多忙も顧みず質問する次第であります。
よろしくお願いいたします。以上 
                             2018年(平成30年)11月12日

─────────────────────────────────────────────

これにさきだつ新世紀ユニオンからの質問に対する大阪弁護士会からの回答が次の通りだ。

─────────────────────────────────────────────

大阪弁護士会
                              会長 竹岡 富美男

質問書について(回答)

 貴ユニオンからの平成30年11月1日付け「質問書」記載事項につき回答します。

 学校法人関西学院からの第三者委員会推薦依頼については、当会内の所定手続きに付し、鋭意対応しております。

 なお、推薦依頼に対する回答については、依頼のあった学校法人関西学院宛てに致しますのでご了承ください。

─────────────────────────────────────────────

設置が、大学側から約束され、組合は「そこに第三者を入れるよう」要望し受け入れられた。回答期限の9月22日、大学側からは「調査委員会には大阪弁護士会所属の弁護士が就任する旨」の連絡が組合にあった。第三者を入れるばかりでなく、弁護士により構成される「第三者委員会」の設置を組合は前向きに評価し、推移を見守った。

ところがいつまで経っても「第三者委員会」の選任連絡がない。大阪弁護士会に問い合わせたところ、「鋭意対応しております。なお、推薦依頼に対する回答については、依頼のあった学校法人関西学院宛てに致しますのでご了承ください」との回答である。要するに「調査委員会の設置を関西学院大学は大阪弁護士会に依頼した。大阪弁護士会は『鋭意対応している』がまだ、調査委員会選任は行われていない(本稿執筆時点)」と理解するしかないだろう。

このやり取りは、複雑なだけに本質を言極めにくい。日大のように尊大な態度をとったり、職員が記者会見で暴言に近い言葉を吐いたりはしない。そこがかえって悪質だといえよう。関西学院大学は大阪弁護士会に調査委員会の選任を依頼したが、そこに「期限」は明示されていなかったのであろう。ここがポイントだ。大阪弁護士会は関西学院大学に対しての回答の義務はあろうが、依頼者ではない組合へ回答する法的な義務は曖昧にされている(道義的にはもちろん回答の義務はあるだろう)。それを計算に入れてのことか否かは判然としないが、関西学院大学は組合ならびに被害者A先生に「いや、大阪弁護士会に依頼したのですが、調査委員会を設置してくれませんから」と逃げ道ができる。
 

金明秀(キム・ミョンス)関西学院大学社会学部教授が被害者と交わした「和解書」
同上
鹿砦社より関学への「適切な対応」を求めるツイッター

同様の暴力事件で関西学院大学ファイターズは社会からその対応を称賛された。一方学内では同僚教員による暴力行為の解決に、まともに取り組んでいない。この対比を無視するわけにはいかない。関西学院大学は学内外に対して「誠実」な大学であるのか、そうではないのか。瀬戸際でその真の姿が問われている。

われわれ取材班の一部には、「関学がそうやすやすとわれわれが望むような形で本件に真摯に取り組むだろうか?」と懸念する者もいたが、われわれも甘かったのかもしれない。

まもなく入試の季節がやって来る。関西学院大学は受験生に対しても、本件暴力事件への取り組みを明らかにすべきだろう。もし真摯に取り組まないのならば、自浄能力がないと判断し、われわれの力で真相を世に明らかにするしかない。

◎[参考資料]新世紀ユニオン委員長のブログ
http://shinseikiunion.blog104.fc2.com/blog-entry-2726.html#comment6825

◎[関連記事]
○金明秀教授暴行問題について関西学院大学から新世紀ユニオンへ調査委員会設置などの回答 鹿砦社はさらなる激烈な戦術選択を宣言!(2018年10月5日)
○【緊急報告!】8・2金明秀暴行&不正問題で関西学院大学と被害者A先生が加盟する「新世紀ユニオン」との団交行われる!(2018年8月4日)
○暴力教授にはしかるべき対処を! 関西学院大学からの回答を批判する!(2018年7月18日)
○【金明秀教授暴力事件続報!】関西学院大学に質問状送付!(2018年7月4日)
○2018年上半期、鹿砦社が投下する最大の爆弾!「関西カウンター」の理論的支柱・金明秀関西学院大学教授の隠された暴力事件を弾劾する! (2018年6月29日)
○検証「みれぱ」としばき隊、カウンター〈1〉金明秀関学大教授と林範夫弁護士(2018年4月28日)
 

(鹿砦社特別取材班)

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ボロボロの片山さつきはまだ延命できるのか? 地方創生相の名誉毀損裁判、公判はじまる

かつて鈴木宗男が辻元清美に「疑惑の総合商社」と呼ばれたことがある。ご両人ともに逮捕・拘留されたのだから、この手の泥仕合は国民にとっても国会にとっても「生産性」がないのは明らかだ。国会審議の邪魔になるのだからこそ、いますぐにも辞めて欲しい。ほかならぬ片山センセイのことである。


◎[参考動画]片山さつき疑惑:逢坂誠二・立憲11/21衆院・内閣委(article9 18/11/21公開)

◆裁判は始まったが、疑惑は増すばかりだ

片山さつき内閣府特命担当大臣(地方創生担当)が原告の名誉毀損裁判は、12月3日に初公判がひらかれた。原告が真面目に裁判をやるつもりなら、次々と明らかになってくる疑惑が活字化された件についても、訴状に補充してさらなる訴訟を提起しなければならない。

10月18日に「週刊文春」で国税100万円口利き疑惑に加えて、政治資金の収支報告書の訂正は40ヶ所以上、総額は500万円にのぼっているからだ。自身が支部長を務める自民党支部の使途不明金疑惑、および支部の南村元「私設秘書」名義物件への賃料支出。さらには著書の名前入り看板掲示、有料カレンダーの配布による公職選挙法違反の疑義と、疑惑は枚挙にいとまがない。

そしてここにきて、政治資金の私的流用疑惑まで持ち上がっているのだ。

 
片山さつき『日本経済を衰退から救う真実の議論』(2010年3月かんき出版)

◆政治資金の私的流用疑惑

すなわち「週刊文春」12月6日発売号によると、片山大臣の政治資金管理団体「山桜会」の収支報告書に「消耗品代」および「お土産用袋代」名目で3万円強の支出があるのだが、その領収書が「きぐるみアザラシバスボール」(入浴剤)10個、「開運だるま貯金箱」5個、「ヒアルロン酸ウェットティッシュ」など28パックだというのだ。およそ政治活動とは関係のない、私的な支出であるのは明白だ。政治資金を生活日用品の購入に充てているのだ。

あるいは、「お土産用袋代」名目ということは、後援会支援者や選挙民への「寄附行為」である可能性も否定できない。いずれにしても、税金と政治カンパからなる政治資金を、私的に流用していたのは疑いのないところだ。

そればかりではない。「週刊文春」が報じるところ、2014年から2015年にかけて不正経理の疑惑が浮上しているのだ。具体的にみていこう。片山大臣の政治団体「片山さつき後援会」から「自民党浜松支部」に支払われた6万円が、なぜか同支部の収入には記載がなく、「山桜会」に6万円の記載があるのだ。単なるミスではない証拠に、「後援会」と記載のある領収書が「山桜会」に130件550万円も計上されているのだ。

政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授の見解によれば、以下のとおりだ。

「収支報告書記載の根拠となっている領収書の宛先が別の政治団体というのは、政治資金規正法を遵守する気がないと言っていいでしょう。今回のケースは収支報告書の虚偽記載となります。仮に領収書がウソのものだった場合でも、提出すべき領収書を徴収できなかった不徴収ということになり、これも政治資金規正法違反の疑いがあります」

まもなくサラリーマン諸兄姉は、税金の年末調整の時期である。自営業者は確定申告の準備に入ることだろう。税金(歳費)と政治カンパで生活と政治活動をしている国務大臣がこの体たらくでは、納税を納める気になれないのではないか。

◆自民党、自分の事務所からも批判の嵐が

詳しくは発売中の週刊誌を読んでいただきたいが、本欄でも再三指摘してきたとおり、片山センセイの「上から目線」および「パワハラ」まがいの言動は酷いようだ。自民党の選挙では自分の「為書」が選挙事務所に貼ってないことに激昂したり、呼ばれてもいないイベントで自分をアピールする。

とりわけ現況の週刊誌報道では、選挙応援そのものが迷惑千番というものであろう。そして呆れた行状(秘書に「あんたは私の使用人だ!」=そうかも知れないが、その原資は税金なのに、ふつう言うか?)がここまで暴露されるのも、自業自得というものだ。ある意味では本気で自分のようなエリートは、何を言っても許されると思っているからだろう。次回公判は年明けの1月16日に行われる。


◎[参考動画]“未来の日本”スーパーシティ構想で方針まとまる(ANNnewsCH 18/11/26公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

7日発売!月刊『紙の爆弾』2019年1月号!玉城デニー沖縄県知事訪米取材ほか
横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

あまりに異常な2020東京五輪マスコミ翼賛化

以下の文章、主要部分は、『NO NUKES voice』16号に掲載した内容と重複するが、日々「東京五輪」めく日常の異常さに耐え切れないので、お読みになっていない方にも知っていただきたく、ここに再度内容を改め掲載する。

もとより近代オリンピックはスポーツの祭典ではあるが、同時に国威発揚の道具として利用されてきた。さらに「アマチュア規定」(オリンピックにはプロスポーツ選手は参加できない)の撤廃により、1988年のソウル五輪からプロのアスリートが参加するようになり、雪崩打つように商業的な側面が肥大化した。いまや五輪はイベント会社やゼネコン、広告代理店にとっての一大収入源と化している。2020年東京五輪は、安倍や新聞広告がどうほざこうが、明らかに「巨大な商業イベント」である。

現在IOCはスポンサーを「ワールドワイドオリンピックパートナー」、「ゴールドパートナー」、「オフィシャルパートナー」の三つのカテゴリーに分けている。「ワールドワイドオリンピックパートナー」は「TOPパートナー(もしくはTOP)」とも呼ばれ、直接IOCと契約をしている企業で、基本一業種一企業とされている。年額数十億円のスポンサー代のほかに、当初契約料(かなりの高額であることが想像されるが、確定的な額は不明)を支払い、世界中でオリンピックのロゴやエンブレムを使用することが許される。ちなみにトヨタは10年で1000億円の契約を結んだと報じられているので、単年度あたり100億円という巨額を投じていることになる。現在下記の13社がTOPである。

コカ・コーラなどはおなじみのロゴだが、念のために社名を紹介しておくと、Atos、Alibaba、Bridgestone、Dow、GE、OMEGA、Panasonic、P&G、SAMSUNG、TOYOTA、Visaだ。かつてはこのなかに「マクドナルド」の名前があったが、世界体な経営不振で撤退したようだ。一業種一企業というが、サムソンとパソニックはともに家電を作っている。

「TOP」と異なり、「ゴールドパートナー」、「オフィシャルパートナー」は開催されるオリンピック組織委員会との契約し、国内に限りロゴやエンブレム、その他イベントの共催や参加が認められる。スポンサー代、使用諸権限とも「ゴールドパートナー」が「オフィシャルパートナー」より上位だ。「ゴールドパートナー」には、

の15社の名前があるが、問題なのは「オフィシャルパートナー」である。

最終列にある「読売新聞」、「朝日新聞」、「NIKKEI」、「毎日新聞」の名前を見落とすわけにはゆかない。全国紙のうち実に四紙が「東京オリンピックオフィシャルパートナー」という呼称の「スポンサー」になっているのだ。産経新聞は広告費を捻出する余裕がなかったのであろうか。いや、

スポンサーの位置づけの中では最下位だが、「オフィシャルサポーター」の中に「北海道新聞」とともに、「産経新聞」の名前が確認できる。つまりすべての全国紙と北海道新聞は公式に東京五輪のスポンサー契約を結んでいるのだ。

わざわざ金を払い、スポンサー契約を結んだイベント(東京五輪)の問題を指摘する記事を書く新聞があるだろうか。批判することができるだろうか。さらには「読売新聞」は「日本テレビ系列」、「朝日新聞」は「テレビ朝日系列」、「毎日新聞」は「TBS系列」、産経新聞は「FNN系列」のテレビ局群が連なる。大手新聞、テレビ局がすべてスポンサーになってしまい、東京五輪に関しての「正確な」情報が得られる保証がどこにもない。そんな状態の中で「東京五輪翼賛報道」が毎日流布されているのである。

東京五輪組織委員会はスポンサー収入の詳細を公表していない。しかし、上記の金額とスポンサー企業数からすれば、東京五輪のスポンサー収入が1000億円を下回ることは、まずないだろう。短絡的ではなるが、日本に関係のない大企業がいくら金を出そうが、それはよしとしよう。しかし日本企業で10億、100億という金を「広告費」の名目で「五輪スポンサー代」に払っている企業は薄汚い。経費で計上すれば法人税課税の対象にならないじゃないか。ちゃんと法人税を納めろ。

その中に全国紙5社と北海道新聞も含まれる「異常事態」は、何度でも強調する必要があろう。東京五輪は、財政潤沢な東京都、日本国で開催されるわけではないのだ。安倍は大好きな海外旅行(外遊というらしい)に出かけるたびに、気前よく数億、数十億、あるいはそれ以上の経済支援や借款を約束して帰ってくるが、日本の財政は破綻寸前だ。それに、東日本大震災、わけても福島第一原発事故はいまだに収束のめどもつかず、「原子力非常事態宣言」は発令されたまま。忘れかかっているが、わたしたちは「非常事態宣言」の中毎日生活している。

人類史上例のない大惨事から、まだ立ち直れていない原発事故現場から250キロの東京で、オリンピックに興じるのは正気の沙汰だろうか。私はどう考えても、根本的に順番が間違っているとしか思えない。緩慢な病魔に侵されているひとびとが確実に増加している現実を隠蔽し、「食べて応援」を連呼し、少しでも危険性に言及すれば「風評被害」と叩きまくる。チェルノブイリ事故の後、日本では放射性物質に汚染した食物の輸入規制を強めた。基準を超えた食物は産地に送り返した。と言ったって、ロシアのキエフ産の農作物などではなく、主としてドイツやイタリアからの輸入品だった。

この差はなんなのだ。どうして庶民は、平然と汚染食品を食っていられるのだ?避難者は、公然と20ミリシーベルト被爆する地域に送り返されるのか?それは全国紙を中心とする報道機関が、こぞって東京五輪のスポンサーになるほど、ジャーナリズムなどという言葉は忘却し、もっぱら営利企業化してしまっているからだ。彼らはもう「事実」や「真実」を伝えてくれる存在ではない。そのことを全国紙すべてが東京五輪のスポンサーになっている現実が物語る。恥ずかしくはないのか? 全国紙の諸君? 戦前・戦中同様、そんなにも権力のお先棒を担ぎたくて、仕方ないのか? 日本人はどこまでいっても救いがたく愚かなのか。

全国紙や大マスコミの社員ではなくとも、個々人が同様の「歪な加担」に乗じていないか、点検が必要なようだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

『NO NUKES voice』Vol.17 被曝・復興・事故収束 ── 安倍五輪政権と〈福島〉の真実
月刊『紙の爆弾』12月号 来夏参院選敗北で政権崩壊 安倍「全員地雷内閣」

老いの風景〈08〉道に迷った民江さん

平均寿命が延び、高齢の親御さんやご親戚家族の健康について、悩みを抱える方が多いのではないでしょうか。私自身、予期もせず元気で健康、快活だった母の言動に異変を感じたのは数年前のことでした。そして以降だんだんと認知症の症状が見受けられるようになりました。今も独り暮らしを続ける89歳の母、民江さん。母にまつわる様々な出来事と娘の思いを一人語りでお伝えしてゆきます。同じような困難を抱えている方々に伝わりますように。

◆グルグル歩いているうちに熱中症に

今回は、認知症の母が道に迷ってしまった時のお話です。

私自身、大型ショッピングセンターで買い物を済ませ駐車場へ戻った時、車を止めた場所がわからなくなることがあります。広い駐車場、たくさんの知らない車、この中から自分の車を見つけることができるのかと恐怖に近いものを感じました。昔はそんなことはなかったので、おそらくこれも老化現象の一つでしょうけれど、こんなことを経験したお陰で、『高齢者が、突然自分の立っている場所がわからなくなる』とは、どんな感覚なのか、少しだけわかるような気がしました。

昨年の夏のこと、「もしもし」民江さんの携帯電話から男性の声で電話が掛かってきました。認知症の症状が目立ってきた頃でしたので、私はとっさに「いよいよ警察か」と構えたところ、救急隊の方でした。街で熱中症になり倒れてしまったそうで、病院に搬送するから迎えに来るようにという連絡でした。そして最後に付け加えられたのは、「ご本人嫌がっていますけど、無理やりお連れしますから。ご了承ください」でした。

たまたま病院が姉の家の近くでしたので、この日は姉に迎えに行ってもらうことにしました。が、病院からは「点滴を抜いたりして大変なので早く来てください。何時ごろになりますか?」「まだですか。では、お姉さんの電話番号を教えて下さい」と二度も電話がかかってきました。幸い熱中症の症状は落ち着いたようで、病院スタッフは暴れていることに手を焼いているご様子です。しばらくして姉が到着し、途端に静かになったそうです。安心したのでしょう。

いつもの店に行くつもりの道がわからなくなり、グルグル歩いているうちに熱中症になったようですが、こんなことは初めてでした。本人は自分が倒れたことに加えて救急車で病院に連れて行かれたことで、余計に混乱し興奮したのでしょう。私が駐車場で体験した恐怖より、何倍も怖かったはずです。それにしても、フラフラになった民江さんに声を掛けたり、救急車を呼んだり、なだめたり、飲み物を買ってくださったりと、通りすがりの方々が足を止めて介抱してくださったことと思います。おかげで大事に至らず済みました。

 

◆危なかったけれど、有難かった出来事

二度目は今年の1月のこと、仕事の移動中になぜかふと思い立って民江さんに電話を入れました。すると、「なっちゃん……わたし○○で道がわからなくなっちゃって、今送っていただいいてるの」「な、なんで? 誰に? どこまで?」 どうやら電車に乗って街へ行き、いつものお店でお昼ご飯を食べて駅に向かったが、○○で道がわからなくなり、通りすがりの方に家まで車で送っていただいている、ちょうどその最中のようなのです。

驚いて言葉に詰まっていると、「もしもしお電話かわりました。娘さんですか? 怪しい者ではありませんから。お母さんに名刺をお渡ししました。お母さんが△△で道に迷っていらっしゃるご様子だったのでね、今おうちまでお送りしていますのでご心配なく。おうちは××で間違いないですね。いえいえ、たまたまついでがありましたから、大丈夫ですよ」と年配の男性の声。

お言葉に甘えてそのままお願いし、丁寧にお礼を言って電話を切りました。なんと親切な方でしょう。家は車で30分以上かかる住宅街です。「ついで」って、そんなことありますか。そしてこんな親切な方にめぐり逢うことができた民江さんはなんと幸運なのでしょう。後日、お礼状を書こうと名刺を探しましたが見つかりませんでした。恩人の名刺をどこかに失くしてしまったとは、つくづくがっかりですが……仕方ないですね。危なかったけれど、大変に有難い出来事でした。

道に迷うということは、場所を認識する能力が低下し、見慣れたはずの場所が突然全く知らない場所になってしまうのでしょうか。恐怖と不安で混乱し、暴れたり怒ったり、感情が制御できなくなるのかもしれません。民江さんは足腰が丈夫なので、積極的に出かけてほしいと思っています。けれど親切な方々のご厚意によって大事を免れていることと、これからまたこのようなことが起きるかもしれないということを、私は強く心に留めておかなくてはなりません。医者が言うようにGPSを持たせなくてはならない日が来るのでしょうか。

 

▼赤木 夏(あかぎ・なつ)[文とイラスト]
89歳の母を持つ地方在住の50代主婦。数年前から母親の異変に気付く

月刊『紙の爆弾』12月号 来夏参院選敗北で政権崩壊 安倍「全員地雷内閣」

ゴーン逮捕は、国策的な陰謀なのか? 別件逮捕から横領容疑、脱税の立件も視野に入れている?

 
カルロス・ゴーン『国境、組織、すべての枠を超える生き方 (私の履歴書) 』2018年日本経済新聞出版社

クエッションマークばかりの見出しとキャッチでまことに恐縮だが、いまや容疑者にも検察側にも大いなる疑惑が色濃くなっている。ゴーン元日産会長のみならず、日産の経営陣に「有価証券報告書不実記載」の容疑、および社内手続きを逸脱したクーデター疑惑が濃厚になってきている。

いうまでもなく、「有価証券報告書」はゴーン元会長が個人的に記載したものではなく、日産自動車として株主および投資家に公開しているものだ。株に縁のない庶民にとってはどうでもいいことだが、株主にとっては貴重な判断材料になる。考えてみればわかるとおり、株主はゴーン会長に出資しているのではなく、日産という上場企業に投資をしているのだ。したがって、ゴーン元会長が受け取っていない給料(総額80億円)を記載していないのも、企業としての責任なのである。

◆司法取り引きのいびつさ

検察特捜はその企業の責任者としてのゴーン氏を逮捕したのだとしたら、ゴーン氏を検察に「売って」司法取り引きした西川社長以下の日産幹部を免責するのだろうか。刑事告発ないし密告することで免責されるのなら、きわめていびつな司法制度である。

簡単に言えばこうである。私は彼といっしょに万引きをしましたが、彼から誘われたのだとありていに犯行を自白しますので許してください。ついては、彼を万引きで逮捕のうえ、いかようにも処分してください。これで一件落着だというのと同じだ。アメリカなど巨大犯罪組織がある場合で、なおかつ内部の捜査が困難なケースでは有効かもしれないが、司法取り引きは今回の日産のようなケースでは、たんなる免責システムになってしまうのだ。

 
公益財団法人日産財団=監修『カルロス・ゴーンの経営論 グローバル・リーダーシップ講座』2017年日本経済新聞出版社

◆国策レベルの逮捕ではないのか?

それにしても、クーデター説が否定できない元会長逮捕劇である。プライベートジェットでの入国を待っての逮捕、そして日産側の記者会見によるマスコミキャンペーン。実際には受け取っていない(退職後に受け取る契約の)80億円の未記載については、司法の判断が大きく分かれそうだ。今回のような「役員退職慰労金」は、将来の期待しすぎないことから、司法関係者のなかからも立件は疑問視されている。

司法の判断がわかれる案件ということになれば、おそらく子会社の経費の私的な流用による特別背任容疑が、このさき日産側の損害賠償請求などを背景に行なわれるものと思われる。さらには脱税の容疑まで引っ張るのではないか。欧米ではともなく、日本では逮捕されたら推定無罪は通用しない。即犯罪者扱いとなり、事実日産と三菱自動車でゴーン氏は代表取締役会長の地位を剥奪された。さらに今後、再逮捕の連続で勾留が延長され、場合によっては「証拠隠滅の怖れあり」というお決まりの理由で、第一回公判がひらかれるまで拘置される可能性も否定できない。

フランスのマスコミが疑義を呈しているとおり、ルノーによる日産・三菱の吸収合併、あるいは一元的な三社合同による日産・三菱の消滅を怖れたのではないか。その「怖れた」主体とは、日産はもちろんだが自動車産業総体をふくむ、政財界の要請ではないかと思われる。いわゆる国策捜査とは、政治権力や財界のみならず司法を巻き込んだ、エスタブリッシュメントのネットワークによって行なわれるものだ。

◆ナショナリズムの追い風が国策捜査を加速させる?

たとえば、かつての『噂の真相』による一連の名誉毀損事件、鹿砦社を襲ったアルゼ+警察・検察官僚の連携した言論弾圧(社長の長期拘留)、あるいは佐藤優が長期拘留された背景には、学生運動出身でマルクス主義思想を持った好ましからぬ官僚を、ロシアルートから排除する政官の思惑があった。北方領土問題で独自の動きをしていた鈴木宗男にたいする逮捕、あるいは小沢一郎への建設業界の収賄疑惑など、国策とは必ずしも政治権力が行なうものではなく、司法権力に代行されるものなのだ。おそらくそのいっぽうで、日仏の友好関係を懸念する動きも早晩出てくるであろう。

今後、ゴーン氏の企業の私物化というイメージにより、わが国を覆っているナショナリズムの追い風が国策捜査を加速させるかもしれないが、それはトランプの保護主義・一国主義と同じように、戦前型のブロック経済の再来を呼びかねない。それは国家間・地域間の対立を呼ぶ、きわめて危険な政策である以上に、不況をまねくやり方だと指摘しておこう。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

話題の最新刊!板坂剛と日大芸術学部OBの会=編『思い出そう! 一九六八年を!! 山本義隆と秋田明大の今と昔……』(紙の爆弾2018年12月号増刊)
横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

出入国管理法改正案に利権政治の疑惑あり 奴隷労働法、労働力を収奪する悪法をゆるすな!

財界の強い要望で進められている出入国管理法改正案は、自民・公明・維新らの賛成多数で11月27日衆院を通過した。外国人技能実習生にかかる提出データの改ざん(技能実習生のうち67%を占める失踪者の失踪理由を「低賃金によるもの」を「より高い賃金への転職」に書き換えるなど)、あるいは受け入れ人数の根拠のなさ。はては「法案が通らなくても、外国人は入ってくるんですから」(自民党議員)と言い放ついい加減さで、向こう数十年の国家のかたちを変える立法が行なわれようとしている。

◆人権に公正な移民政策を

すでに日本が多民族社会であり、国家としても複数民族であることを否定する者はいない。埼玉県や東京の東部では小学校の3割が在日アジア人、とくに中国人であると言われている。地域的にはワラビスタン(蕨市のムスリム)、江東区のIT系インド人居住区、北関東にはミャンマーを追われたロヒンギャの集団居住もみられる。60万人の在日韓国・朝鮮人の存在、あるいは在日華僑。古代いらい、大陸文化を受容することで文化を刷新してきた日本にとって、いま労働力不足をアジアからの移民に頼ることは、戦前の半強制連行の歴史とはちがう方法でこそ、実現されなければならない。それは労働条件における「同一労働同一賃金」、そして「家族の尊重」という基本的な人権思想であり、安倍総理自身も自分の政策として掲げている、まともな政治の実現である。

経済グローバル主義のもとで、労働力の流動は避けがたく、そこに技術輸出・文化輸出という有形無形の文化交流があればこそ、資本主義の不均衡な発展を是正する作用もみとめられる。グローバリズムとは新自由主義の弊害を持ちつつも、国際的なルール、世界標準(スタンダード)の実現という側面も持っているのだ。その意味では、移民に踏み切ることも、人類が国家というくびきを越えるこころみといえよう。新大陸(移民国家アメリカ)は、たしかにフランス大革命による近代市民革命の理想として、人類史を新しくしたのだから──。

 
日本ミャンマー協会役員一覧

◆監理団体に大物政治家の名前が

しかしながら、すでに本欄でも取り上げられてきた安価な労働力の搾取のためだけの法的裏づけ。すなわち時給300円ともいわれる劣悪な外国人研修生を合法化するものであれば、それは外国人労働者の血を啜る資本の圧制にほかならない。社会保障や家族の同行は補償されず、心身に問題が起きれば「本国に送り返す」というのだ。これはもはや現代の奴隷狩りではないのか。いや、奴隷狩りや資本制による労働の収奪以上に、具体的な利権が存在しているというのだ。

というのも、実習生を受け入れる監理団体の問題点が指摘されている(LITERAの記事による)。記事によると、技能実習生を送り出している最多国はベトナムであるという。そのベトナム人技能実習生受け入れの監理団体「公益財団法人東亜総研」の代表理事や会長を務めているのが自民党幹事長などを歴任した武部勤・元衆院議員だというのだ。さらに、同団体の特別顧問に就いているのは、自民党の二階俊博幹事長である。

 
日本ミャンマー協会役員一覧

監理団体には技能実習生1人あたり、毎月数万円の「監理費」が支払われるという。「非営利団体」を条件としながらも、その実態は人材派遣業なのだ。それゆえに技能実習生保護よりも儲けを優先させる監理団体が後を絶たない。そういう監理団体のトップや特別顧問に、大物政治家が就いているというのである。

ミャンマーからの実習生を受け入れている「一般社団法人日本ミャンマー協会」の役員名簿にも、多くの政治家の名前がならんでいる。名誉会長は中曽根康弘(元総理大臣)、最高顧問は麻生太郎(現副総理兼財務相)。会長・理事職に渡邉秀央(元郵政大臣)、理事長代行に古賀誠(元運輸大臣)、理事に甘利明(自民党選挙対策委員長)、浜田靖一(元防衛相)。この日本ミャンマー協会は、監理団体から手数料を徴収しているという。

上記の政治家・元政治家たちの役職に手当てが出ているとしたら、驚くべき利権の構造ではないか。ようするに、技能研修生という奴隷的な状態に置かれた学生から収奪する「監理団体」からのカネを吸い上げる団体に、立法にかかわる政治家たちが名を連ねているのだ。これを利権政治と呼ばずになんと呼ぶのだろう。

 
日本ミャンマー協会役員一覧

この日本ミャンマー協会役員名簿に登録されているのは、自民党の政治家だけではない。理事長代行に公明党の重鎮である白浜一良(元参院議員)、理事に野田内閣で法務相を務めた民進党の田中慶秋(元衆院議員)、立憲民主党の福山哲郎(幹事長)の名も記されている。入管法の改正よりも、さきになすべきことは劣悪な労働条件のみならず、渡航代理業者に不当な借金を強いられている実習生たちの保護、あるいは実態調査にもとづく労働監督局による摘発であろう。

実習生保護のための施策がなおざりにされたまま、資本・財界による「安価な労働力を寄越せ」という要望のままに、いわば「外国人奴隷労働法」が成立しようとしている。われわれは引きつづき、技能実習生をめぐる実態を暴露していかなくてはならない。そして外国人労働者の受け入れによって生起する労働問題、社会保障や生活問題にいたるまで日本政府に責任を持たせるのでなければならない。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
 編集者・著述業・Vシネマの脚本など。著書に『山口組と戦国大名』(サイゾー)『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社)など多数。

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滋賀医科大学医学部附属病院泌尿器科の河内、成田両医師を訴えた裁判、第二回期日は意外な展開に

患者さんの訴え

◆集会には120名超が集結

11月27日13:10から大津地裁で、4名の原告が滋賀医科大学医学部附属病院、泌尿器科の河内明宏科長と成田充弘医師を訴えた裁判(事件番号平成30わ第381号)の第二回期日が開かれた。この裁判についてはこれまでも2回報告しているので、背景にお詳しくない方は、そちらをご覧いただきたい。

正午から大津駅前で、患者会による集会が開かれた。患者会員数は、既に900名を超えているが、この日は120名以上のひとびとが大津駅前を埋めた。司会者は既に治療を終えらた患者さんであるが、この日の集会では、患者会のアドバイザーとして活躍していながら、ご自身も8月に癌が見つかり、現在闘病中の山口正紀さんから寄せられたメッセージを司会の方が読み上げた。やや長文になるが、初めてこの事件に接する方には参考になるので山口さんからのメッセージ全文をご紹介する。

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◆山口正紀さんからのメッセージ

滋賀医大病院による人権侵害の責任を問い、患者切り捨てと闘う裁判の第2回口頭弁論報告集会に各地から参加された皆様、患者会アドバイザーとして皆さんの闘いに参加させていただいているジャーナリストの山口正紀です。10月9日の第1回弁論の集会で少しお話させていただきましたが、9月初めに「ステージⅣの肺がん」が見つかって治療に専念せざるを得なくなり、本日の弁論、集会に参加できず、ほんとうに残念に思っています。

患者会は、発足からわずか半年で900人を超える大きな集まりになったとのこと。どれほど多くの前立腺がん患者が、岡本圭生先生の小線源治療に生きる希望を見出し、その講座継続を願っているかを物語る数字だと思います。しかし、滋賀医大病院泌尿器科の河内医師や松末院長たちは、そんな患者の皆さんの切実な思いなどまったく想像もできないのでしょう。この裁判でも、不必要・不適切な、治療とも呼べない人権侵害行為で原告の方々、多くの患者さんに重大な被害を与えたことを謝罪もせず、それどころか、患者さんを救った岡本先生を病院から追放しようと躍起になっています。
昨年末、病院のホームページに掲載された「講座閉鎖」の告知を読んで、本当にびっくりし、あきれ果てました。「小線源外来の終了後は、泌尿器科において、標準的な小線源治療の開始を予定している」と言うのです。

しかし、この「標準的治療」とは、いったいどんな治療なのでしょうか。小線源治療には高度な知識と熟練した技術を要しますが、それを一度もやったことがない成田医師らが、そのことを患者には黙ったまま、手術をする。そういう患者を無視した行為を「標準的な治療」と言っているのです。これは、まさに岡本先生が医師の良心にかけ、勇気をもって未然に防いだ患者のモルモット化を、今度は病院公認でおおっぴらにやろうとするものです。しかも病院の告知は、岡本先生の外来を閉鎖した後、「患者さんのご希望に沿って本院泌尿器科で経過観察する」と言っています。どこまで患者をバカにすれば済むのでしょうか。患者を実験台にしようと企み、それがばれても被害者に謝罪もせず、それどころかその悪事を未然に防いだ岡本先生を追放する。そんな医師にあるまじき連中に「経過観察」を任せるような患者がいる、とでも思っているのでしょうか。心底、患者をバカにした告知ではありませんか。

これまで、大学病院当局のパワーハラスメントの中で、がまんを余儀なくされてきた岡本先生が11月16日、ついに堪忍袋の緒が切れて、病院による名誉毀損と闘う仮処分を申し立てられました。その記者会見の様子が、デジタル鹿砦社通信に載っています。待機患者として参加された東京の山口淳さんの話には、ほんとうに心を打たれます。〈がん告知後の悪夢の中で、ようやくたどりついた岡本先生の外来が閉鎖されようとしている。不安いっぱいの中で送ったメールに岡本先生からメールが返ってきて、先生の診察を受けることができた。けれども来年、ほんとうに手術を受けることができるかどうか。もしかしたら、また死を覚悟しなければいけない状態に舞い戻るかもしれない。もし、岡本先生の講座を廃止する非情な措置が取られたら、我々の生きようとする希望が失われてしまう〉山口淳さんはこう訴えられました。

いま、ステージⅣの肺がん治療に取り組み始めたばかりの私にとっても、この訴えは100%、切実に共有できます。私もこの間、生き延びるための治療を求めて不安な日々を送ってきました。こんな患者の皆さんの痛切な思いを、滋賀医大病院泌尿器科の医師や病院長、学長は、なぜわからないのでしょうか。わかろうとしないのでしょうか。先日、地元の滋賀県をはじめ、名古屋や東京など全国各地で患者会の皆さんによる街頭での訴えや署名活動が始まった、とのことです。いま滋賀医大病院で起きている患者切り捨て、暴力的な「岡本医師追放工作」の実態を一人でも多くの市民に知らせる。それが、大学と病院当局に反省を迫り、小線源講座の継続を実現するための最も近道だと思います。この裁判もその重要な一環です。

私も引き続き、皆さんの闘いに参加したい、そんな思いから、鹿砦社から出ている『紙の爆弾』という月刊誌の2019年1月号に、「がん患者の命綱を断ち切る暴挙」という8ページの記事を書きました。この問題の背景と本質、患者会と岡本先生の闘いの意義について、わかりやすく書いたつもりです。12月7日ごろには、書店に並ぶと思います。定価600円です。ぜひ書店でお買い求めいただき、今後の地域や街頭での訴え、署名活動などでこの問題を市民に説明する際の参考に使っていただければ、と思います。また皆さんと一緒に、口頭弁論当日の大津駅前集会や、裁判報告集会に参加できる日が来るよう、頑張って治療に励みます。皆さんは、闘う相手が病気だけでなくてたいへんだと思いますが、滋賀医大病院の悪事と闘いながら、お体にも十分気をつけてください。「裁判勝利・小線源講座継続」に向けて、ともにがんばりましょう。

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山形県から駆け付けた患者の家族

◆山形県から駆け付けた参加者も

続いて、岡本圭生医師の治療を待つ「待機患者」さんと、原告の方からそれぞれスピーチがあった。既に治療を終えた患者の中には「これからは待機患者さんを救うのが一番の目標です」と語った方がおられ、多くの方が同意されていた。前回もこの集会を取材したが、今回は女性の姿も目立った。患者をご家族に持つ方々だ。その中には、山形県から駆け付けたご家族の姿もあった。

◆弁論進行の様子

13時近くになり、患者会のメンバーは大津地裁に集合した。法廷の傍聴席は55席しかない。多くの方が傍聴することができず、閉廷後に開かれる記者会見会場に移動した。傍聴席が満席になり、原告側には原告二人と弁護団、被告席には被告側弁護士2名がそろい、西岡繁靖裁判長が開廷を告げた。

西岡裁判長は被告側から提出された準備書面1を確認し、甲号証(原告側証拠)の取り調べ(確認)を行った。被告側から「文書送付嘱託の申し出」が法廷に提出されたので、西岡裁判長は「その必要性等、あるいはどういう文章か概略ご説明頂けますか」と被告代理人に問うたところ、岡田弁護士は「本日遅れまして申し訳ございません。文書送付嘱託の申し出をさせていただきました。診療録の送付嘱託の申し立てでございます。既に甲号証で正本として出されてはいますが、本件につきましては訴状でもかなり詳しく診療経過等について、説明をされていますので、診療経過を全部確認するという意味において、診療録の送付嘱託をお願いしたい次第であります」と述べた。

西岡裁判長は原告弁護団に意向を確認した。井戸弁護士は「裁判所が送付嘱託の判断をされることは、『然るべく』、ですけれども、病院がそれに応じるとなれば、ご本人の同意を求めてこられる。それについてはご本人たちが同意するか、しないかは、『然るべく』と。代理人としてはそれに関与しない」と判断を述べた。

西岡裁判長は「ご本人の同意はご本人が判断されることなので、裁判所も関与できる話でもありませんし、被告代理人も関与できない、というお話でした。『然るべく』ということなので、裁判所としては採用いたします」と述べた。さらに「今回の被告の主張を大雑把に要約すると、平成27年以降、岡本医師の指導の下で、被告らが診療にあたる。要するにチーム医療としてやる、という体制でやっていたけれども、平成27年12月に、今回のご主張によると、岡本医師が被告の指導を実施しないという懸念が生じたと、いうところでその体制を見直しをして、岡本医師に患者さんを担当してもらうようになった。そういうご主張なんですね」と被告側に確認し、被告代理人は頷いた。そして「裁判所としては進行協議でご相談できればと思っております。双方お願いしていいですか」と原告被告双方の弁護団に尋ねた。

双方が合意し、別室での「進行協議」が行われることになり、この日の弁論は終結しそうになったところ、井戸弁護士発言を求めた。「準備書面1を出されて、証拠は出されていないのですが。例えば4ページの下から5、6行目。私もまったく知らなかったのですが、『外科系学会社会保険連合においては、小線源治療は』、云々と書かれていますね。こういうものは裏付け資料が出せるのであればと思うのですが、無いのでしょうか」と被告弁護団に尋ねた。被告側は「その点は出したいと思います」と回答した。

井戸弁護士の質問を補強する形で西岡裁判長は「いまのご質問は一例ということで、今回被告のご主張を精査していただいて、取り寄せで確認しなければいけない物は、取り寄せしていただいたらと思いますが、被告側の手元にあるものは、早いうちに出してもらえますか」と注文をつけた。被告側は「了解です」答えた。

ここでこの日の弁論は終了し、傍聴者は記者会見が行われる別会場に移動し、原告被告双方の弁護団は、別室で「進行協議」に移った。数十分後記者会見会場に弁護団が到着し、井戸弁護団長が、この日弁論ならびに進行協議について以下の通り解説した。

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裁判の解説をする井戸弁護士

◆井戸弁護団長による解説

「11月21日付けで被告から準備書面1が提出されました。こちらの訴状への反論です。何を認めて何を認めないのか。そして被告としてどういう主張をするかが書かれたものです。今後これに対して原告側が再反論をしてゆきますが、どういう内容のものなのかを報告させていただきます。特徴を述べると、『小線源治療・岡本メッソドに対する誹謗』、それから『事実のごまかし』そして『開き直り、責任転嫁』そう評価できると思います。

小線源治療については、合併症の問題、完治率など含めて優れた治療方法であると、我々は主張してたわけですが、それを否定してきています。『治療成績が他のものと変わらない』、『周囲への被ばくとか排尿障害などでメリットがある』、『外照射療法に比べて、小線源療法は体に傷をつける問題もある。近年は小線源療法は減少傾向にある』ということを主張しています。その中でも岡本メッソドについては、標準的な小線源療法よりも、高い線量を加えるのですけども、『線量を上げれば合併症のリスクが増すんだ。岡本メッソドの評価については様々な意見がある』と書いています。これが岡本メッソドに対する『誹謗』ですね。

それから事実関係としては、『ごまかし』があると思います。成田医師が自分が小線源療をしようということで、23人の患者さんを抱えていたわけですが、23人の患者さんについても、『成田医師が術者として確定していたわけではない』、『実際に小線源療をするのは確定していなかったんだ』、『岡本先生とチームとしてやろうとしていたので、ひょっとしたら岡本先生がやったかもしれない』と。これは『事実のごまかし』だと思います。

そして『成田医師が施術をしていたとしても、危険性はなかったんだ』という主張をしています。これは『開き直り』だと思います。たしかに小線源治療は未経験だったけれども、4人の原告の皆さんは1番目にする予定の患者さんじゃなかったわけです。だから『原告の皆さんにする時には精通を経ていた。初めてではない』ということを言っています(笑)。

法廷でも私が質問したことですが、「外科系学会社会保険連合においては、小線源治療は云々」という主張をされています。これには何の根拠も示されていないので、『根拠の証拠を出せ』と言ったわけです。また『成田医師は前立腺癌治療については豊富な経験を有していた。それから岡本医師の治療に麻酔担当として5件以上関与して教育を受けていた』この辺りは岡本先生の説明と違うのではないかと思います。

そして『少なくとも数例は岡本先生に立ち会ってもらい指導を受ける予定であった』、これが極めつけだと思うんですが『小線源治療は前立腺の生検(細胞採取検査)と同じようなものだ』と(会場から「えー」の声)。『成田は生検の豊富な経験がある』。組織をちょっと採る『生検』と、シードを綿密に埋め込む小線源治療が同じようなものだという主張をしています。

23人の方の治療が中止になったのは、岡本先生と協働してチームでやる予定だったのに、2015年12月の末に岡本先生が『成田医師を指導しない懸念が生じたので、成田医師を術者とする小線源治療は中止になったんだ』という説明で、説明を岡本先生に転嫁する内容です。『実際には適切な時期に説明していたと考えられる』と主張しています。『現実に1例目の患者には説明しました』と言っていますが、これは成田医師が説明したわけではなく、放射線科の医師が説明したと聞いています。

河内医師については、『岡本先生に指導させて成田医師に小線源治療の経験を積ませようとしただけだ』、『成田医師が未経験の医師だと説明しないように、成田医師と謀議することはしていない。だから河内医師にも責任はない』そういう内容です。

そういう『誹謗』『ごまかし』『責任転嫁』という特徴がありますので、これに対する反論については、根拠なしに主張している部分には、こちらからまず質問しようと思っています。専門用語で求釈明(釈明を求める)といいますが、それに対する回答を得て、それを踏まえて全面的な反論をしようと考えています。

次回期日は2月26日11:00からです。その間12月7日までに質問事項、求釈明事項を私どもは提出します。それに対する回答が1月末です。それを踏まえて次回期日前に全面的な再反論をする予定です。

そのあとの進行協議で裁判所は「この事件は岡本先生がキーマンだと」。滋賀医大泌尿器科において、どのような体制で成田医師を術者とする小線源治療をしていたのかが、この事件のポイントになるので、被告側はご本人ですからわかりますが、原告側は患者ですから内部のことはわからない。

したがって、岡本医師がどうしてもキーマンになるので、「岡本医師抜きでこの訴訟を遂行していくのは、困難なのではないか」というのが裁判所からの意向でした。岡本医師を原告でもなく、被告でもないんですが、準当事者のような立場でこの訴訟に入って来てもらえないか。そのための法律的な方策を考えたい、とうのが裁判所の意向でした。

訴訟告知補助参加という形で、原告、被告ではないのですが、この訴訟に岡本先生も利害があるから、『参加人』としてこの訴訟に来てもらって、岡本先生(あるいは代理人)の主張を法廷でしていただく、あるいは岡本先生から証拠を出していただく。そういう形で進められないかという話でした。我々も考えていなかったし、被告側の弁護団も考えていなくて、びっくりしたんですけれど、裁判所が積極的に出てきてこの事件の真実を早期に掴みたいという、非常に積極的な姿勢の表れだと、我々は評価しました。ただ法律的な問題もありますので、被告側が賛成するのかしないのかを早期に回答を頂き、さらに検討する形になりました。法律的なテクニカルな問題があり、法廷では相談しにくかったので、別の場を設けたということでした。裁判所の問題意識は正当だと思いますし、原告側としてはその方向で前向きに対応していきたいと思っています」

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その後、原告の2人と、治療を待つ患者さんご本人と、待機患者さんから寄せられたメッセージが代読された。

被告側が提出した準備書面1は、井戸弁護士が強調した通り、「誹謗」・「ごまかし」・「責任転嫁」に満ちていると、原告弁護団は評価している。一方予想外の展開で裁判所(裁判官)が岡本医師を「参加人」として訴訟に入ることを求めてきたのは、弁護団が作成した精緻な訴状と、被告側弁護団の提出した、粗雑な内容の準備書面1の格差が主たる原因であろう。しかしチラシ配り・署名活動などにも力を入れ、また毎回期日のたびに、多数の人が集会を開き、傍聴席を毎回埋め尽くしてきた「患者会」の方々の活動・熱意が裁判所を動かしだした、と考えても不思議ではないだろう。

※なお、下記URLに患者会関連記事が掲載されている。
https://www.asahi.com/articles/ASLCV7SR3LCVUBQU01F.html

集会風景

《関連記事》
◎滋賀医科大学に仮処分の申し立てを行った岡本圭生医師の記者会見詳報(2018年11月18日)
◎《スクープ》スーパードクター岡本医師、滋賀医大を相手に仮処分申し立てへ!(2018年11月16日)
◎滋賀医科大学附属病院泌尿器科2名の医師を提訴した「説明義務違反事件」第1回弁論開かれる(2018年10月12日)
◎滋賀医科大学附属病院泌尿器科の背信行為 「小線源患者の会」が損害賠償請求(2018年8月2日)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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東京のサル真似しかできない大阪万博ファシズムと笑えない吉本芸人たちの無様

 

◆ダウンタウン・吉本のお家芸「行政の太鼓持ち」

11月23日深夜、新たな「税金の無駄遣い」の決定をうけ、「ダウンタウン」の2人が下記のようにコメントしたそうだ。

〈ダウンタウンの浜田雅功(55)、松本人志(55)は2017年から大阪万博誘致アンバサダーを務めている。大阪・御堂筋で開催される大イベント「御堂筋ランウェイ」に2年連続で出演するなど、万博誘致を懸命にPR。今回の開催地決定で、2年間の努力が実を結んだ。2人はこの日、所属事務所を通じてコメント。
松本「素晴らしい! 皆さまの地道な努力の結果だと思います。ダウンタウンは何もしておりません 特に浜田(笑)」
浜田「素晴らしい! 皆さまの地道な努力の結果だと思います。ダウンタウンは何もしておりません 特に松本(笑)」〉(2018年11月24日付けサンケイスポーツ)

行政のお先棒を担ぐような役回りを平然とこなす神経は、実によくわかる。「ダウンタウン」にはデビュー以来一度として「笑い」をもらったことがない。彼らの芸は、誰かを貶める、あるいは威張るか迎合する。パターンはいつも同じだ。生前横山やすしに「漫才師やから何をしゃべってもいいねんけれども、笑いの中に『良質な笑い』と『悪質な笑い』があるわけだ。あんたら二人は『悪質な笑い』やねん。テレビ出るような漫才とちゃうやんか。お父さんけなしたり、自分らは新しいネタやと思うてるかもしれんけど、正味こんなんイモのネタやんか」と看破された本質は、1982年からなんらかわっていない。


◎[参考動画]1982年末の『ザ・テレビ演芸』(制作=テレビ朝日)

明石家さんま、北野武、ダウンタウン、とんねるず、ウッチャンナンチャンなど「全然おもしろくないお笑いタレント」が師匠ズラをして、より小物のひな壇芸人しか育たない。岡八郎や花木京、人生行路が生きていたら、かれらもおそらく「大阪万博」に乗っかるだろう。でもダウンタウンほどの破廉恥さは見せないに違いない。横山やすしが、言いえて妙なダウンタウンの本質を突いている。岡八郎や花木京は腹巻をして吉本新喜劇の舞台に登場して、誰を見下げるわけでなく「え?なに」の一言で観客から笑いが取れた。所詮芸人としてのレベルが違いすぎるのだろう。

西川きよしは大阪万博を決定を喜ぶコメントを発している。国会議員もそつなくこなし、順風満帆の西川きよしらしい態度だ。ここが西川きよしと横山やすしのまったく違うところだろう。横山やすしのような人格は、仮にトラブルやアルコール依存症がなかったとしても、今日のような「管理社会」では受け入れられるキャラクターではなかっただろう。

漫才ブームまで、関西の漫才が全国区で放送されることはそうあることではなく、吉本興業が東京に進出しても、当初は苦戦を強いられていた。大阪のどぎつい笑いは東京では受け入れらにくかったのだ。しかし、マーケットは広げたい。吉本興業を中心とするお笑い芸人が選択したのは、笑い質の転換である。東京を中心とする全国で通じる、視聴者に迎合した笑い。そこに彼らはターゲットを合わせてゆく。

 

◆古臭い集権政治の再現でしかない大阪地域ファシズム

地方分権だなんかといいながら、政治の世界で起こっていることも同様だ。石原慎太郎や、神奈川で先に火が付いた地域ファシズムを、大阪は橋下徹によって後追いする。何も新しくない。橋下が主張したのは「ヒト・モノ・カネを大阪に集め」との古臭い、集権政治の再現に過ぎない。その延長線上に愚の骨頂もいいところの「大阪万博」などを発想し、「東京五輪」の5年後に開催するなど、半世紀前の利権構造を同じようにたどっているだけだ。

こういう、的外れで体たらくな行政を許しているから、大阪の文化的地盤沈下には際限がないのだ。大阪と東京にはかつて、対立意識や概念が存在した。しかし今やそんなものはどこにもない。大阪人の計算高さを東京の企業も内面化し、東京人の「ええかっこっしい」を大阪人も恥じることなく真似ている。笑わせてくれる芸人の出現を求めるのが無理な文化状況は、そうやって形成されているのだ。

なにが「万国博覧会」だ。馬鹿もたいがいにしろ! まだ海外旅行が夢の世界で、「外国」が庶民にとっては、実際の距離以上に遠かった1970年と、ネットに向かえば瞬時に世界と対話できる、LCCを利用すれば数万円で地球の裏側に行ける時代の違いくらいは、誰にでもわかるだろう。

いや違った。その違いすら分からないから、きょうもダウンタウンが偉そうに、面白くもない姿をさらしているのだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

『ダウンタウン 浜ちゃん松ちゃんごっつええ話』
月刊『紙の爆弾』12月号 来夏参院選敗北で政権崩壊 安倍「全員地雷内閣」

香山リカ氏講演会中止に関する取材班の見解 鹿砦社特別取材班

 
2018年11月22日付け京都新聞より

〈京都府南丹市が11月24日に開催予定だった精神科医・香山リカさんの子育て応援講演会で、催しへの妨害を示唆する予告を受けて講演者を差し替えていたことが11月22日、分かった。香山さんは京都新聞の取材に「行政が脅しに屈してはならない。前例を作ってしまうことになりかねず、毅然(きぜん)とした態度を示してほしかった」と憤っている。〉(2018年11月22日付け京都新聞

香山リカ氏と鹿砦社は、現在神原元弁護士が香山リカ氏の代理人に就任し「連絡は代理人を通し本人に直接しないよう」要請されている。ところで香山氏はM君控訴審判決後に下記の書き込みを行っている(判決文に「『リンチ』ですらなかった」などとの文言はない。恒例の虚偽発信である)。自身は代理人を立て、鹿砦社(あるいは特別取材班)からの香山氏への直接の意見要請や取材、抗議などに対しては代理人を通せと求めながら(つまり防御壁を作り)、他方では次のような無責任な意見表明をツイートしている。「鹿砦社の責任は重い」だって!? M君に筆舌に尽くし難い傷(リンチ直後のM君の顔写真を見よ!)を負わせ今でもその後遺症に苦しむM君の気持ちを省みることなく、防御壁の向こう側(=安全地帯)からいい加減なことは言わないでいただきたい。いやしくも香山氏は精神科医なのだから、本来なら被害者に寄り添い慰撫すべきではないのか!? 万歩譲って「リンチ事件」という言葉の解釈はひとまず置いても、現実にM君は肉体的にも精神的に大きな傷を負ったことは消せない事実なのだから、まずはこの厳然たる事実をしかと凝視すべきではないのか!? そういう意味で被害者M君の気持ちを蔑ろにし暴行・傷害をなかったことにする香山氏の「責任は重い」。意見表明などは直接香山氏本人にしないようとのことなので、この場を借りて抗議しておく。

香山リカ氏の2018年10月19日付けツイッターより

まあ、こういうことを香山氏は過去何度も行っているので、小さいことは、この際問題にはしない。それよりもはるかに大きな警鐘が鳴らされたのだから。

上記、京都新聞の記事によれば、南丹市は「電話で5件、来庁で1件」の開催に対する反対意見によって香山氏のイベントを中止している。たった6件だ。それだけの反対意見でイベントが開催できなくなれば、行政が主催するイベントの多くは開催不可能になるだろう。どのようなテーマにせよ意見は様々にあって何の不思議もないわけだが、「反対意見」が6件あっただけで開催を断念してしまっていれば、いとも簡単にイベントは潰されることになる。

そして、香山氏の講演会中止は、あくまでも個人的な抗議・反対意見が根拠にされているようであるが、これが組織的で数がけた違いに多くなれば、より確実に主催者はビビり、開催を躊躇するであろうことは想像に難くない。

日ごろ香山氏の発信する内容の多くに、取材班は違和感を覚え、同意しない。しかし、だからといって、このような形の「言論封殺」がなされることには明確に反対であることを表明する。どのような意見であろうが、どのような論者であろうが、右であれ左であれ、表現を「脅し」によって規制されることがあってはならないと、取材班は考える。ましてや、言論を規制する「法律」や「条令」などにより規制が行われることには、絶対に反対である。

このように述べると「反しばき隊」のはずの取材班はどうした?と思われる向きもあるかもしれない。しかしそれは問題の表層しか見ていない考え方である。われわれは「あらゆる表現規制に反対する」。このことにおいて原則的である。今回香山氏の講演会が中止されたのは「法律」や「条令」によってではなく、もっぱら反対意見の申出があった(それもわずか6件だけ)ことによるものであるらしいが、同様のケースは過去いくつか記憶がある。

ろくでなし子さんがアムネスティ日本での会合が予定されたときにも、同様の反対意見が電話やメールで多数寄せられ、いったんは「中止が宣言」されたが、取材班もアムネスティ日本に電話で「中止すべきではない」と具申し、結局ろくでなし子さんご本人とアムネスティ日本の話し合いの結果、会合は実施されることになった。当時アムネスティ日本に寄せられた反対意見には「レイシストだから」という人物評価が多数あったと担当者から伺った。どういう人たちがアムネスティ日本に反対したのかはわからない。今回丹南市に抗議した人たちの一部は、右派の人であろうことはその発言から推測できる。たとえろくでなし子さんであろうが香山氏であろうが、集会の自由は保証されるべきである。ろくでなし子さんの集会はダメで、香山氏の集会はいいということにはならないし、逆にろくでなし子さんの集会はよくて、香山氏の集会はダメということにもならない。

繰り返すが、この程度の反対や異議(場合によっては「脅迫」)があろうと、講演会は予定通りに実施されるべきであった。なぜならばそれが「言論の自由」の具現化に他ならないからだ。ある考え・思想には当然異議のある人がいる。当たり前だ。反対する人は、反対の意見を表現すればよいだけのことで(講演会場での妨害など妥当でない方法での反論は除く)あり、双方の意見は尊重されるべきである。それが憲法21条に記された、言論の自由、表現の自由、集会の自由だ。

言論・表現の自由に、例外を設けることに取材班は反対する。その理由は「香山氏講演会中止事件」を見ても明らかなように、言論には言論で対抗する場が保証されなければ、恣意的な運用や規制をどんどん招き入れてしまうからだ。

繰り返し強調するが、取材班ならびに鹿砦社はあらゆる差別に反対である。しかし差別は人の心に宿るものである。人の心は法律では縛れない、縛るべきではないと考える。成立した「ヘイトスピーチ対策法」さらには、現在議論されている「差別に関する規制法」(仮称)は、権力による恣意的な運用が極めて高い確度で予想されることから、われわれは反対である。

意見・主張の立場を問わず、「自由にモノが言えなくなる社会」をこれ以上進めてはならない。

(鹿砦社特別取材班)

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