森友・加計疑惑で安倍首相が最も恐れる木村真氏と黒川敦彦氏が反撃共闘!

今治市郊外に建設中の岡山理科大学獣医学部建設地に向けて抗議するデモ隊。建設中の建物は獣医学部(9月23日)

安倍首相が衆院解散の意向を表明した翌9月26日、大阪府豊中市で、安倍首相が最も恐れる2人の男、木村真氏(大阪府豊中市議会議員・森友学園問題を考える会)と黒川敦彦氏(今治加計獣医学部問題を考える会共同代表)が、安倍首相らを刑事告発する共同プロジェクト立ち上げの記者会見を行った。

10月10日公示・10月22日投票の「モリカケ隠し総選挙」への反撃措置としての記者会見と言えるだろう。

憲法53条の規定に則り野党は臨時国会の召集を要求していたが、3か月以上も放置したあげく、召集するなり冒頭解散をするということだから、憲法違反の解散になる。

憲法53条では、国会議員の4分の1以上の賛成で国会召集を要求した場合に内閣は国会の召集を決定しなければならない。それにもかかわらず解散総選挙に安倍首相は踏み切った。国会で審議すれば、安倍政権にとっての2大アキレス腱、森友学園疑惑と加計学園疑惑の追及に耐えられなくなるのは必至だ。
明らかな“モリカケ隠し解散”と言えるだろう。

◆灰色ではなく、限りなく黒に近い森友・加計疑惑
 
9月26日午後6時から、大阪府豊中市の元「瑞穂の國記念小学院」隣にある野田中央公園で、2人の記者会見は始まった。二つの疑獄事件は、かなり疑惑が明確になりつつある。

まず、森友学園事件。

第一に、国有地8億円値引きの根拠とされたゴミはなかったことが判明している。
第二に、財務省が上記のことをわかっていた。
第三に、1億3000万円程度という売却金額に合わせて、ゴミ撤去処理費を見積もっていた。
第四に、超格安の売却金額や異例の10年分納などのレールを財務省側が敷いていた。

加計学園事件はどうか。

第一に、行政がゆがめられたと指摘される異常な設立認可(正式認可は審議中)
第二に、建築費見積もりも内容もみないまま今治市が補助金支出決定。および建築費大幅水増しによる補助金詐取疑惑。
第三に、ずさんな設計によってバイオハザード(病原体や細菌の実験や研究で生じる危険)が100%起きると専門家が建築図面を見て指摘。

ここまで材料がそろえば、「知らぬ存ぜぬ」「記録は破棄しました」「記憶にございません」などの国会猿芝居は通用しなくなるはずだった。

黒川氏と木村氏は、臨時国会召集とともに、疑惑追及を一層強める予定だったのである。しかも、森友関連ではすでに告発が受理されている段階。そのタイミングでの解散選挙は、「あまりに露骨な“モリカケ隠し解散”だ」と2人は強く批判している。

◆獣医学部建築費水増し疑惑とは何か

「モリカケ隠しを許さない」とう国民世論を目に見える形にするために、加計問題に関して安倍晋三総理大臣を含む関係者への刑事告発運動を展開するとともに、総選挙の結果にかかわらず全国市民集会を年内に実施することを記者会件で明らかにした。

告発の内容は、獣医学部建設をめぐる建築費水増し疑惑だ。施設費148億1587万円を面積3万2528平方メートルで割って算出すると坪単価は約150万円となり、通常の鉄骨造の建物の倍近くになる。

これだけでも疑問だが、建築関係者からの内部告発の形で黒川氏は建物の設計図面を入手。それを専門家に見せると、「倉庫に毛が生えたような建物」「民間なら坪70万円」などという評価を得た。疑問に思った黒川氏はさらに調査を続け、E-statというインターネットで政府統計を閲覧できるサイトを閲覧し、疑惑を深めたという。

この中にある「建築着工統計調査」に愛媛県の教育施設が7件あるうち6件は加計学園のものだと確認できた。そこに加計学園側から提出された面積等のデータから割り出すと、坪単価は約88万1600円となる。

通常このようなアンケートでは、やや高めの数字を提出するという。坪単価80万円台ならば、納得を得られる数値だろう。

他の大学と比較しても加計獣医学部の建築費の高さが目立つ。「今治加計獣医学部問題を考える会」がまとめたところ、同じ国家戦略特区の事業として認可された千葉県成田市の国際医療福祉大学医学部は坪単価88万5200円、同じく成田市にある同大学成田看護学部(同学部は特区事業ではないが建築仕様が医学部に近い)の坪単価は76万円である。

では、いったい150万円という数字は何なのか。黒川氏が図面をもとに建築費水増し疑惑を指摘したことに対し、加計学園は、建築費は道路などの外構費や設計監理費等をのぞけば約126万2000円だとファックスで回答してきた。しかし、設計監理費は建築費に含まれるものである。

さらに、黒川氏が愛媛県知事に情報公開請求したところ加計学園が県に提出した「建築工事届」が9月12日に公開された。すべての建物の面積が記載されており、金額はすべて墨塗りされている。

しかし面積がわかるため、計算すると坪85・6万円。面積が前述のE-statと若干のずれがあるため坪単価にも違いがあるが、どちらも加計学園側が提出したものであり、坪単価は80万円台だと自分たちが書類を提出しているのだ。

「(建築費水増しを)自白しているも同然です」と黒川氏は指摘する。

今治市内で”モリカケ隠し解散”を批判するデモの先頭に立つ黒川敦彦氏(9月23日)

◆安倍首相告発1万人運動へ

今年3月3日、愛媛県今治市議会は、獣医学部設置と補助金96億円を支出すると議決している。水増した建築費をもと加計学園は補助金を申請したことになるため、「補助金詐取にあたるのではないか」(黒川氏)という重大な疑惑が湧いてくるのだ。

すでに告発状は作成されており、加筆修正のうえ公開し、告発者を募り、状況を見計らって提出するという。今治市の菅良二市長を背任容疑で、加計孝太郎理事長を補助金詐欺容疑で、安倍晋三総理を詐欺ほう助で告発する予定だ。

政権の爆弾である二大疑獄追及の当事者である木村真・黒川敦彦両氏による1万人告発運動は、“モリカケ疑惑隠し解散”に対する痛烈で実務的な批判である。総選挙にも影響するだろう。

森友学園問題のパイオニア木村真豊中市議が疑惑の現場、今治市の獣医学部建設地にやってきた(9月23日)

▼林 克明(はやし・まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)ほか。林克明twitter 

『NO NUKES voice』13号【創刊3周年記念総力特集】多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて
愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』10月号!【特集】安倍政権とは何だったのか

見沢知廉がみた三里塚闘争、原爆の火、アメリカの歴史から考える

金曜日の夜、新宿駅でばったりと鈴木邦男さんにお会いし、その日ご自身がトークをされたオフィス再生「見沢知廉十三回忌追悼公演『蒼白の馬上~1978326~』」をすすめてくださったので、10日日曜日に千歳船橋のAPOCシアターまで足を運んだ。

◆運動の現場で民主主義を実現することの困難

見沢知廉といえばモテ男で、「死因は自殺でなく女性に殺されたようなものだ」などというまことしやかな噂のある右の作家、という程度の知識しかなかった。だが実は、彼は元は新左翼だった。サイトのプロフィールを引用しよう。

見沢知廉十三回忌追悼公演『蒼白の馬上~1978326~』©平早勉

___________________________________
高校2年17才、戦旗派の高校生細胞になる。
1978年3月、成田空港開港阻止決戦に参加。
その後、新右翼へ。イギリス大使館火炎瓶ゲリラ、ロシア大使館攻撃、アメリカ大使館ゲリラ、要人テロ計画。
1982年、23才、9月11日、スパイ粛清事件をおこす。殺人の罪で千葉刑務所に12年収監。獄中で新人賞を受賞。
満期出所。作家デビュー。
2005 年、マンション8階より投身自殺。享年46才。
___________________________________

なぜかブントの、特に元戦旗派の知人が多く(戦旗派の裾野が広いからだが)、三里塚闘争にも関心があり、期待が高まる。

見沢知廉十三回忌追悼公演『蒼白の馬上~1978326~』©平早勉

作り手さんや演者さんは比較的若手であり、連合赤軍の舞台を思い出した。当事者が観たら違和感ある個所は存在するかもしれないが、若い世代に関心を抱かせるに十分。また、「ワナビー(何かになりたい人・こと)」がテーマになっていて、これもたとえば40・50代以下の感覚に響くかもしれない。

1978年を描いた見沢知廉の小説が元になっているとのことだったので、終演後、どこまでが小説で、フィクションとノンフィクションの境目はどこかが気になり調べた。『蒼白の馬上』の元はロープシンの『蒼ざめた馬』で、爆弾を抱えてロシアをさまようテロリストたちが描かれているようだ。そして『蒼白の馬上』は、女性の語りにより、殺人・粛清を小説化したものらしい。彼は左翼に背を向けたので、情念は肯定しても、運動としてはさほど肯定していないことも考えられる。

わたしはいずれもまだ読んでいない。とにかく芝居を観ている間中、わたしはずっと芝居に沿って考え事をしていた。とにかくずっと考えさせられた。たとえば、運動の現場で実現されない民主主義のことを、守るために閉じる組織のことを、闘いの目的のことを、大同団結やワンイシューのことを、それでも理想を描くことが大切であることを、生きているからこそのそれぞれの思いを、そして自らの目の前に常にあるいろいろな問題のことを。

ラストシーンが事実かどうかは調べてもわからなかったが、ショックだった。事実なら書こうと思っていたが、その部分がフィクションで再演があったりするとネタバレになってしまうので、具体的には書かない。否定し続けてきた組織とまったく同じ論理を、仲間を高揚させてまとまり目的を達するために引っ張り出してしまったということなのだから。ありうる話ではあるし、事実でなければ若い人にとって武装闘争はパロディー以上になりえないということなのかもしれない。このへんに関してわたしの考えを書き出すと長くなるので、また機会があれば、ということで。そして、原作を読んでまた考えるということで。オフィス再生の『二十歳の原点』の舞台を観る機会を逃したままのわたしだが。次回公演はドイツ文学とのこと。関心ある方、「闘争」が過去ではないそこのあなたも、今後、チェックしてみてください。

小林蓮実撮影

◆平和を具体的にイメージするイベント2つ

その後、江東区木場公園の野外ステージ・イベント広場で開催された「アースキャラバン2017東京」へ。「アースキャラバン」の公式サイトによれば、「アースキャラバンは、国籍・人種・宗教の違いを乗り越え、戦争を無くすことを誓い合い、 その誓いを世界中に発信する世界規模のイベントです。」と書かれている。

駅から向かうと木場公園の中の橋を渡っていちばん奥に会場があり、ゆるやかなイベントであることが即座に感じ取れる。音楽が演奏され、チャリティーマーケットでは人権・環境・民族・平和・子ども・食・リラクゼーション・クラフトなどにまつわる国内外のさまざまなテーマを掲げたブースが並ぶ。ワークショップも催された。支援金はパレスチナやバングラデシュの子どもたちの支援などに使われる。そして、原爆の残り火「平和の火」を手に、4大宗教の宗教家、イスラム教のアフマド・アルマンスールさん、ユダヤ教のダニー・ネフセタイさん、キリスト教の長尾邦弘さん、仏教の遠藤喨及さん(呼びかけ人)と来場者が、ともに世界の平和を祈った。

アースキャラバン東京実行委員会提供

最後に、代々木公園ケヤキ並木でおこなわれていた「アフリカン・アメリカン・カリビアンフェスタ2017」へ。アフリカ系アメリカ人と、南米東海岸やカリブ海の島に住む人々の中規模の祭といった感じだ。フード、酒、コーヒー、雑貨、衣料品などが販売され、音楽とダンスを楽しむ人々が集まっていた。

1日あちこちめぐり、平和というのは、ゆるい空気なのだと考えた。現在、そのような空気は小さなコミュニティなどでなければ感じられず、大きな範囲の平和を思い描く時には大きな声を出したりしないといけないのかもしれない。いつの時代にも、世界のあらゆるところでも、強い力に対して闘わざるをえないことだってあるだろう。でも、ゆるやかで心地よい世界を実現したい時、わたしたち1人ひとりがそれぞれに、できることがあるのだろう。仲間と一緒に理想を、いま、ここから実現したいと、いつも考えている。秋になったら、もっとゆっくりと、物事を深く考える時間を確保したい。

▼小林蓮実(こばやし・はすみ)[文]

1972年生まれ。フリーライター、エディター。『紙の爆弾』『現代用語の基礎知識』『週刊金曜日』『現代の理論』『neoneo』『救援』『教育と文化』『労働情報』などに寄稿。労働や女性などに関する社会運動に携わる。同世代の中では貴重なブントの「でたらめな魂」に耐えうる人間だと自覚するうち、いろいろなことに巻き込まれる。次に訪れたい国はパレスチナか香港かトリニダード・トバゴ。

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9月15日発売『NO NUKES voice』13号【創刊3周年記念総力特集】多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて

朝鮮のミサイル発射報道〈日常化〉の中で放置されるこの国の〈本当の危機〉

9月15日朝鮮が長距離弾道弾(ICBM)と思われるミサイルを発射した。報道によればミサイルは北海道上空を飛んで北海道から2000キロあまり東の太平洋に落ちたという。朝鮮の中長距離ミサイルの試験的発射は、もう日常的な感すらある。私はこのような朝鮮のミサイル発射実験を好感しない。


◎[参考動画]【ニコニコ実況付】北朝鮮がミサイル発射 Jアラート発表時のNHKニュースダイジェスト(sk5417さん2017年9月15日公開)

2017年9月15日付け産経新聞

それにもまして「対話と圧力」で朝鮮との二国間関係に臨むと宣言した、安倍政権及び、それに追従する中央省庁、さらには地方公共団体の、過剰かつ全く無意味な反応に気持ち悪さと怒りを禁じ得ない。9月15日のミサイルは日本の上空700キロを飛んだと米国当局は想定を発表している。上空700キロとはどんな場所か? 一言で言えば「宇宙」だ。静止衛星は高度35万キロ以上の上空に打ち上げられるが、用途が限定される人工衛星は高度600-700キロにいくらでも飛んでいる。

今回打ち上げられたミサイルの飛行した弾道を各種報道で見る限り、日本上空を通過した時は上空700キロ程度で飛んで行った可能性が高い。この高度で飛ぶミサイルが弾道に高性能爆薬や核兵器を仮に搭載していたとして、この島国はどのような対策を取るのが最も適切だろうか。

それは「放置」することだ。

隠された技術があるのかもしれないが、現在公表されている地対空ミサイルの最大迎撃距離は地上から500キロだ。これでも本当かな? と思うが日米は「実験」で何度か上空500キロの「標的」迎撃に成功しているというから、そこまで飛んでいく性能はあるのだろう。しかし、朝鮮が実験で打ち上げたミサイルを万が一にも日本が迎撃ミサイルで撃ち落としたら、朝鮮や国際社会はこの島国をどのようにとらえるだろうか。それは仮に日本が種子島宇宙センターから「ロケット」を打ち上げた際に、中国、ロシアや朝鮮から「撃ち落とされた」事態を考えてみれば、想像の助けとなるだろう。

「メルカトルの呪い? 地図のおはなし」(2013年3月2日付けNonrealさん海国防衛ジャーナルより)http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50695367.html
「メルカトルの呪い? 地図のおはなし」(2013年3月2日付けNonrealさん海国防衛ジャーナルより)http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50695367.html
「メルカトルの呪い? 地図のおはなし」(2013年3月2日付けNonrealさん海国防衛ジャーナルより)http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50695367.html

◆「全く無意味」な訓練が大きな反対もなく行われている

「民生」ロケットを撃ち落とされたら(そうでなくとも、日本のロケットはしばしば打ち上げに失敗するが)、重大な国益棄損と場合によっては、軍事的攻撃として対象国は非難の的になるだろう。J-アラートがバカ騒ぎして待機していたようなタイミングで早朝官房長官が会見を行う。地下鉄が止まり、多くの市町村のHPには「ミサイル飛来の際には」との穏当ではない見出しが躍り、義務教育の現場で「全く無意味」な訓練が大きな反対もなく行われている。

万が一弾道を搭載したミサイルが人のいる場所に着弾すれば、「丈夫な建物」に入っても、「頭を何かで覆っても」、「窓際から離れても」全く無意味である。中程度の地震対策と同じように「何の効果もないミサイル対策」を無責任に流布する政府、地方自治体のありさまは、あえてきつい言葉で言えば「愚の骨頂」である。


◎[参考動画]北朝鮮ミサイル発射 J アラート情報 在京キー局報道の5分間(J-POP遺産さん2017年9月15日公開)

◆どうして朝鮮と「対話」を行おうとしないのか?

ミサイルが飛んで来たら「何をしても無駄」なことは、シリアや中東紛争地帯のニュース映像が伝えるとおりだ。

であるから、仮にこの島国の国土にミサイルが飛来しようが、「放置」するのが現状では最善の策であると私は考える。ただし、それには条件がある。朝鮮がこのかん何回中距離長距離ミサイルの発射実験を行ったか、正直興味がない(調べれば簡単に判明するが、その回数は本質的な問題ではない)。

もっと注視されるべきは、この島国の政府が本当にこの島国に住む(あるは滞在する)人々(日本国籍保持者に限らず、特別永住者を含む)の安全、安寧を第一に考えるのであれば、「圧力」ばかりでなく、どうして朝鮮と「対話」を行おうとしないのか、という基本的な問題だ。

「そんな昔の話とミサイルは別問題だ」とおっしゃる向きが多いかもしれないが、この島国は朝鮮半島の南半分を統治する「大韓民国」とは不充分ながらも占領時代の保障を含んだ、「日韓条約」を締結している。一方日本占領時代には2つの国に分かれてはいなかった片方の国、「朝鮮民主主義人民共和国」との間では、なんら植民地支配、戦後補償の話が行われていない。

つまり直近の状況がどうであれ、この島国が行った「植民地支配」に対する最低限の保障も行っていない中で、「拉致問題」を先頭に「北朝鮮=悪の国」との政府を先頭としたマスコミも同調する広報により、私たちは重要な歴史的過去の債務を忘却しかけており、それゆえ「圧力と対話」などと、はなから朝鮮を敵国視した歪な態度にすら、批判の声は小さく、「対話」を行おうとする態度は、われわれが知る限り、「皆無」だといっていいのが今日の姿である。

そして、マスメディアは歴史を全くと言ってよいほど無視し、何かにつけて容疑者を常時監視している警察のように、朝鮮中央放送がニュースで流す日常的な独特の派手な言い回しをとらえては、明日にでも朝鮮が暴発するかの如き報道を何十年も続けてきた。

◆金日成以来「天皇制」を模して作られた「独裁」体制

国力や外交力、何よりも自国民の福祉に対して現在の朝鮮独裁政権は、評価に値しないと私は考える。その根拠は朝鮮における金日成以来の「独裁」体制が、この島国の「天皇制」を模して作られたものであり、実際に世襲3代目の昭和天皇の時代にこの島国は、途方もない他国への侵略と自滅を経験している事実から導かれる。

この島国は何故あの様な暴虐を成しえたのか。そしてありもしない神話に依拠した「天皇制」に多くの人々が洗脳され、殺し、殺されたのか。独裁三代目の朝鮮に私は危機感を感じる。100年弱前のこの島国の自滅とどこかが似ている。そしてその過ちを加害的に起こした日本国安倍政権は「対話」を一切行わず「経済制裁」という名の「虐め」に専念している。歴史に学ぶということが、この島国の権力者には不可能なのだろうか。


◎[参考動画]ドキュメント北朝鮮①個人崇拝への道(60min)(アナログチャンネルさん2017年1月16日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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9・16神宮前で第99回草の実アカデミー 安倍政権後の政治のかたちを考える

戦後培ってきた民主主義を否定し、基本的人権を保障した憲法を壊そうと安倍政権は暴走し続けているが、それにつれて政権打倒、政権交代の声も高まっている。

野党共闘を推進しようという声もあるなかで、市民が明確な政策をかかげ、政策の一致で市民レベルがまとまろうというイベントが本日9月16日(土)夕方6時から、東京都渋谷区の穏田区民会館で行われる(後述)。

◆森友・加計問題で安倍政権は窮地に

このところ、北朝鮮のミサイル問題が騒がれて報道量は減っているものの、森友学園・加計学園問題で安倍政権は窮地に陥っている。安倍政権の「お友達政治」の実態は、どんどん明らかになっている。怒涛のような北朝鮮ミサイル報道で隠されているだけだ。

とりわけ加計学園獣医学部問題では、安倍首相の関与は深く、放置できない問題である。8月末に、地元の今治加計獣医学部問題を考える会の共同代表・黒川敦彦氏が、獣医学部の建築図面を公表してますます疑惑が強まった。建築費水増し問題である。

公表された資料から計算すると建設坪単価は約150万円にものぼる。黒川氏らが専門家に意見をもとめたところ、「倉庫に毛が生えた程度の建物で、民間どうしの発注だったら、坪70万円くらい」との回答が来た。

政府統計の「建築着工統計調査」のうち、愛媛県内の学校建築7件中6件は加計学園のものと判明した。そこに記載されている数値をもとに建築費坪単価を割り出すと約88万円。どうみても150万円は高額すぎる。

これに対して加計学園側は、立て続けに4通のファックスで反論してきた。それよると、「校舎の建築費は136億円で1期工事が約80億円と認めました。2期工事は1945㎡(平米)しかないのに建設費56億円ということになるので、坪単価は、なんと962万円! ひとつ嘘をつくと辻褄があわないことがどんどん出てきます」(黒川氏)という状況だ。

さらに黒川氏は続ける。
「森友学園の籠池前理事長夫妻は、補助金約5600万円を詐取した容疑で逮捕されましたが、加計学園の疑惑は50億円以上の建設費水増しです。加計孝太郎理事長と安倍晋三首相を刑事告発する全国運動を展開したい」

こうした動きが実際に起きれば、相応のインパクトがあるだろう。このような森友・加計学園隠しをはかる安倍政権に対し批判はますます強まるに違いない。

◆キーワードは「受け皿」「消費税廃止」「原発廃止」

8月29日の院内集会。安倍打倒の声は急速に高まっている

このような動きの中で、政権交代に向けて様々な人やグループが動き始めている。そうした人々が9月16日(土)渋谷区の穏田区民会館集会室に集まる予定だ。

ひとつには、従来から言われている、民進党・共産党・社民党・自由党による野党共闘がある。また、①消費税廃止、③原発廃止、③悪法一括廃止(共謀罪法・秘密保護法・安保関連法・盗聴法新刑事訴訟法)、の三つの政策で一致して一大勢力を築けないかという試みもある。

いずれにせよ、安倍政権、自公政権に批判的な人たちを受け入れる“受け皿”が必要だということだ。都議会議員選挙における、都民ファーストの圧勝を見ても、現状に批判的な人のための“受け皿”があれば事態が大きく変わるのは間違いない。

「不公平な税制をただす会」の財源試算によれば、2017年度のデータで企業優遇税制などを廃止すれば38兆円の税収増が見込める(『福祉と税金』第29号より)
同上

この場合、どの政党が、どの政治家が……というよりも、争点となる重要政策を市民・有権者の側が明確に設定し、その政策に賛同する政党・政治家・市民が結集すればいいのではないか。まずは明確な政策を提示し、少なくとも市民レベルの共通認識にできないか、というのが16日のイベントの趣旨である。

最近、自民党の一部が消費税10パーセントへの増税を強調し始めているので、「消費税」を最大の争点にすべきだという意見が急速に増えている。そもそも、1989年4月1日に消費税が導入される以前の日本経済は、基本的に右肩上がりだった。

しかし消費税導入以後、じり貧状況が続いており、97年4月1日に消費税が3%から5%に増税されたときからデフレがはじまり、「失われた20年」が続いている。

その一方で、大企業減税、高額所得者や大資産家への減税は続いてきた。消費税導入の1989年から2015年までに法人税の減税累計は、262兆円。消費税の累計は294兆円。貧乏人から金持ちまで一律に支払う消費税で大企業減税の穴埋めをしている事実に注目すべきだろう。

さらに、いまは原発反対が多数派になっているのだから、原発廃止も加えて総選挙の争点づくりをしたらどうかという意見もある。

今回は、政権交代を目指して活動している方々に集まってもらい、その方法と展望を語ってもらう。イベントの詳細は下記のとおり。

第99回草の実アカデミー 「“受け皿”は、消費税廃止・原発廃止・悪法廃止で」

講師:小林哲雄氏(市民と野党をつなぐ会@東京事務局長)
田中正道氏(森友・加計告発プロジェクト共同代表)
黒川敦彦氏(今治加計獣医学部問題を考える会共同代表)
斎藤まさし氏(選挙ボランティア)

日時:9月16日(土)17:40開場 18:00開演 20:40終了
場所:渋谷区穏田区民会館1階集会室  渋谷区神宮前 6-31-5
交通:JR東京メトロ千代田線明治神宮前駅徒歩2分

※会場への問い合わせはしないでください。連絡は下記まで
資料代:500円
主催:草の実アカデミー(公益社団法人マスコミ世論研究所)
E-mail kusanomi@notnet.jp

▼林 克明(はやし・まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)ほか。林克明twitter 

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のりこえねっと・北原みのりの錯誤と佐藤優を容認するリベラル論壇の癒着

河出書房新社ツイッターより

北原みのりといえばしばき隊との強いつながりを持つ「のりこえねっと」共同代表であり、著名な作家・運動家だ。ろくでなし子氏の逮捕に関して連座し、自身も逮捕された経験を持つ。その北原氏が同じく逮捕経験のある右翼作家佐藤優との対談本を河出書房新社から昨年末に出版していた。読んでみたが想像以上に北原氏が何をしたいのかよくわからない内容だった。まずはウェブ上の出版記念対談から。

北原 いままで佐藤さんの本を手に取ったことのなかった女友達からは、100パーセントの確率で「佐藤さんっていい人なんだね!」という読後の感想をいただきます(笑)。
佐藤 そうですか、強面のイメージがありますからね(笑)。
   (情報サイトBOOK BANGの対談記事より)

「強面のイメージ」と自分で言ってしまう佐藤優には失笑するし、手放しで褒めてしまう北原氏とその女友達も盛大な勘違いをしている。佐藤に批判的な論文『佐藤優現象批判』を執筆した岩波書店社員の金光翔氏にたいして佐藤がどんな攻撃をしたのかを知れば「イメージ」どころではない佐藤の本質がわかるだろう。ぜひこの詳細は金氏の個人ブログ『私にも話させて』、もしくは鹿砦社から出版されている『告発の行方2』をお読みいただきたい。メディアによって狡猾に主張を使い分ける佐藤優を容認する「論壇」の腐敗した実態も告発している。

 
『告発の行方〈2〉知られざる弱者の叛乱』

◆佐藤優の危険性に気づかない北原みのり

佐藤優の主張の使い分けは対談本「性と国家」でも存分に発揮されている。「性と国家」では従軍慰安婦問題に関して多くの紙数が割かれているが、佐藤は従軍慰安婦の告発に対して以下のように述べている。

[大事なのは、告白される側に、上から目線ではなく、フラットに告白を受け入れる能力があるかどうか。元日本軍「慰安婦」の話を戦時の性暴力という限られた局面にずらしてしまわず、ごく普通の家庭に潜んでいるような性的暴力や、ジェンダー的な無理解の問題として受け取れるかどうか](『性と国家』151頁)

一見いかにも真摯で真っ当な意見であるようにみえる。しかし佐藤は民主党政権時の玄葉光一郎外相(当時)の従軍慰安婦問題に関する発言に対してこう述べている。
「韓国に対して、『死活的利益を共有している』などという過剰なレトリックは避けるべきだ。韓国との関係で、焦眉の課題は、慰安婦問題の国際化を韓国が行わないようにするための方策を考えることだ。なぜなら、慰安婦問題が国連総会第3委員会に提起されると、それがわが国にとって死活的に重要である日米関係に悪影響を与えるからだ。」(2011年10月1日脱稿のBLOGOS記事より)

ここにみられるのは露骨な国益主義だ。「フラットに告白を受け入れる」態度とは明らかに違い、慰安婦問題を封殺する意図しかない。

またこの対談本では朴裕河の著作『帝国の慰安婦』の評価についても言及されている。北原氏はもともとこの著作に否定的だ。東大でのこの著作をめぐるシンポジウム(肯定派、否定派が勢ぞろい)に出席した北原氏は朴裕河を擁護する学者に対する違和感を佐藤優にぶつけている。

[かりにも東京大学で、教授クラスの方々が一冊の本を巡り議論するわけじゃないですか。私も発表の機会を与えられたので、けっこう緊張して行ったんです。ところが、そういう場で怒声が飛んだりするんですよね。(中略)「和解から始めればいいだろう!」と大声を出す男性知識人もいてびっくりしちゃった](『性と国家』103~104頁)

ちなみに引用部分の「和解」は朴裕河が多用するキーワードである。上記のヤジは朴裕河を擁護する学者のものと思われる。

北原氏は自身の持っている連載などで慰安婦の思いをよそに国家間の都合で合意(和解)が進められていくことに憤りをつづっている。その点は貴重な視点だ。しかし、朴裕河をこのシンポジウムで最も痛烈に批判した鄭栄桓明治学院大学准教授は前述の金光翔氏を支援する目的で以前から佐藤優を顕名で批判している。

[ここに岩波書店の就業規則改悪問題を取り上げるのは、問題が岩波書店の労働問題並びに日本の言論の自由に対する悪影響に留まらず在日朝鮮人の言論活動への弾圧としての側面を有しているからである。今般の岩波書店の就業規則改悪はこの間の金光翔氏の言論活動への封殺を意図したものと考えられる。(中略)金氏はこの間、論文「〈佐藤優現象〉批判」(『インパクション』第160号、2007年11月)を皮切りに、右翼・国家主義者であり在日朝鮮人への弾圧を煽る佐藤優を他でもない岩波書店が積極的に起用することを批判し続けてきた。極めて重要な批判であり、私も多くを学んできた](ブログ『日朝国交「正常化」と植民地支配責任』より)

北原氏も鄭栄桓氏の精緻な読解により朴裕河がいかにデタラメな解釈をしているのか学んでいたはずだ。それをよりにもよって佐藤に違和感をぶつけるとは(多分この経緯を知らなかったのだろうが)絶句せざるを得ない。

北原氏は対談本の巻末で「私はこれまで男性と対談する機会はほとんどなかった。その私が安心して佐藤さんと対話できたのは、佐藤さんが米軍ゲートの前で動かなくなる棺の重みを、説明しなくとも感じる人だからと思う。差別と暴力を、握り拳のなかで感じられる人との語りは、私を様々なところに連れていってくれた。」と佐藤優を絶賛しているが、何をかいわんやである。

◆M君リンチ事件を早期に知っていた北原みのり

 
『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』

北原氏の軽率さはこれだけではない。北原氏と『奥様は愛国』という共著もある朴順梨が鹿砦社の元社員に送ったメールによれば、北原みのりは事件後李信恵と会った際にM君リンチ事件を知ったのだという。(『反差別と暴力の正体』58頁~59頁より)

北原氏は「これだから男は! これからは女達が声をあげていこう」という趣旨の話を朴順梨に電話でしていたようだ。続編の『人権と暴力の深層』で触れられているが、鹿砦社によるM君リンチ事件の取材にたいして、北原氏は今まで返答をしていない。
 
◆共通する佐藤優現象としばき隊現象

佐藤優にしろしばき隊にしろ近年の日本の論壇・社会運動の腐敗を象徴するものだ。最近ではしばき隊の一派でM君リンチ事件の隠ぺいにも一役買った男組の組長(民団新聞によれば彼は右翼とされている)がハラスメントを行っていたとの告発もあった。佐藤もしばき隊も一見右翼の国家主義者には見えない点も共通しており、明敏な識者からは以前から安易に右翼を容認する危険性を指摘されていた。佐藤優が論壇にのさばることを止められなかったことが現在のしばき隊の跳梁跋扈を準備したと言っていいだろう。

その点北原氏が佐藤優との対談に応じて、佐藤に関して間違ったイメージを拡げてしまったこととしばき隊の横暴に沈黙していることは重大だ。佐藤優を称賛したことを反省し、M君リンチ事件に関して知っていることを公にすべきだ。

▼山田次郎(やまだ・じろう)
大学卒業後、甲信越地方の中規模都市に居住。ミサイルより熊を恐れる派遣労働者

9月15日発売開始『NO NUKES voice』13号【創刊3周年記念総力特集】多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて
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鹿砦社からの「警告書」に対し、李信恵代理人・神原元弁護士から“回答にならない回答”届く。誠意のない回答にわれわれの方針はただ一つ!鹿砦社特別取材班

度重なる「鹿砦社はクソ」といったツイッターへの書き込みを行っていた李信恵被告(以下、李被告と記す)に対して、代理人の神原元弁護士から“回答にならない回答”が届いた。李信恵被告に「警告書」が届いたのが8月26日(配達証明郵便のため確認できる)、「警告書」では7日以内の回答を求めていたが、7日後にあたる9月2日になっても李被告側からは何の連絡もなく、2日遅れた4日になり下記の「FAX通信」が神原元弁護士から鹿砦社代理人の元に届いた。

2017年9月4日に鹿砦社代理人の元に届いた神原元弁護士からの「FAX通信」

あっさりとしたものだ。「警告書」では、到着後7日以内の回答を求め、また「誠意ある回答」を求めたが、これが「誠意ある回答」と言えるであろうか? 李被告が代理人に対応を依頼したのは間違いだったようだね。われわれも血の通った人間、李被告みずからが鹿砦社に飛んできて必死に謝罪すれば、法的措置は免れたと思うが、これでは鹿砦社代表の松岡のメンツ丸潰れで、われわれが苛立つほどアクションが遅いさすがの松岡も、腰を上げようとしている。

ところで、神原元弁護士から「FAX通信」が鹿砦社側に届いたのは何回目になるだろうか。最初は2015年12月2日に李被告らにも繋がる「反原連」がホームページに鹿砦社を侮辱する内容の絶縁声明を出し長い間会計報告もしなかったことに対し、当然の会計報告を求めた時だった(今でもその絶縁声明は削除されずに残っている)。鹿砦社から1年間に300万円余りの「広告代」名目の経済的支援を受けていた「反原連」が一方的かつ無茶苦茶な〝理由なき理由〟で鹿砦社絶縁を行ったので、それに抗議し会計報告を求めたところ、神原元弁護士から「FAX通信」が届いた。

次いで『反差別と暴力の正体』に取材内容が掲載されている、秋山理央。同様に五野井郁夫の代理人に就任したと、同様の「FAX通信」が鹿砦社に届いた。最近ではツイッターに「どこに書籍を送ったのかちょっと書いてみたら」と、送付先の明示を求めてきた香山リカのリクエストに応じて送付先を返答したら、またしても神原元弁護士から即「FAX通信」が届き書き込みの削除を求められた(この顛末は今でも理解に苦しむ)。

そして9月4日付けの恒例「FAX通信」である。神原元弁護士は鹿砦社に対して、少なくとも5名(個人・団体)の代理人に就任しているということである。李被告の代理人就任にあたっては、

「書簡は8月17日から24日までのTwitterにおける発言について『名誉毀損にあたる』等主張していますが、李信恵氏の発言は貴社の出版物に対する意見ないしは反論を行ったに過ぎず、『名誉毀損』に該当しないことは明らかです」

と自信満々に「『名誉毀損』に該当しない」と断言している。そうか。間違いはないだろうな。

「鹿砦社はクソですね。まとめサイトと同じなので普通に文句は言います」をはじめとして、あまたの「クソ」という表現は「『名誉毀損』に該当しない」と神原元弁護士は主張する。そうであれば、8月26日以降鹿砦社代理人からの配達証明郵便が届いて以降、どうして李被告は「鹿砦社はクソ」という表現を使わなくなったのだろうか?「『名誉毀損』に該当しない」と本気で信じ、やましさがなければこれまで同様に堂々と「鹿砦社はクソ」となぜ書き続けないのだ。指摘したいことはほかにもある。こちら側が正式に代理人を通して配達証明郵便で要請した内容に、期限以内には回答寄こさなかった不誠実さもそうだ。期限を超えたのだから、何らかの対応を思案しているのかと思いきや、「やより賞」を受賞した李被告による「クソ」発言にまったく謝罪や訂正の意思はなく、「『名誉毀損』に該当しない」と主張する。

であれば仕方ない。何度か本コラムで取材班並びに松岡が警告してきたが、相次いだ「鹿砦社クソ」発言や、あたかも鹿砦社と青林堂を同一視した趣旨の書き込み等に対して、われわれは、不本意ながら法に則った手段を講じる以外に被害回復の手段はあるまい。これ以上詳細は述べない。本来望むものではないが、われわれも最終手段に打って出ざるをえない。もう猶予の余地は微塵もない。

いやしくも「反差別」や「人権」を錦の御旗に掲げ「レイシスト」や「ヘイトスピーチ」と闘うと公言する者が、その崇高な志を忘れ、「ヘイトスピーチ」と見紛うような汚い言葉を連発することはあってはならない。

※取材班スタッフに取材や出張が重なりご報告が遅れましたことをお詫びいたします。

(鹿砦社特別取材班)

◎[参考記事]2017年8月30日付デジタル鹿砦社通信
大学院生リンチ事件加害者・李信恵被告による、鹿砦社に対する悪質な誹謗中傷、名誉毀損発言について「警告書」を送付しました。 差別に反対し人権を守るという者が、「クソ鹿砦社」とか人の人格を辱める汚い言葉を遣ってはいけません。(株式会社鹿砦社代表取締役 松岡利康)

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「報道特集」から金平キャスターが消える時、テレビジャーナリズムは絶命する

TBSテレビ「報道特集」のキャスターで、世界各国のニュース現場に毎週のように取材へ出かけ、現地からのニュースを伝え続けている金平茂紀さん。金平さんは2016年3月末までTBSテレビの社員であり、執行役員でもあった。

◆古舘氏、岸井氏、国谷氏が降板した昨年3月末、金平さんはTBSを退社した

金平茂紀さん

ところが金平さんは2016年が3月31日で執行役員を解かれるだけではなく、TBSを退社していたことを読者諸氏はご存知だろうか。金平さんはTBSテレビの執行役員を3月末まで勤めながら「現場に立つ」異色の報道人として注目を浴びていたが、執行役員退任とともに同社を退社していたことは当時も事情を知る人の間では衝撃を与えていた。いまでも退社前と変わらずに「報道特集」のキャスターを引き続き担当しているので、「金平さんTBS退社劇」をご存知ではない方が多いのではないだろうか。

関係者の話によると、金平さんの退社は極めて近い人々の間でしか伝えられておらず2016年4月23日、鹿砦社取材班が「退社の噂は本当でしょうか」と金平さんにメールで問い合わせたところ「事実です」とのご返答を頂いていた。しかし、金平さんからは、当時役員解任から退社までの動きを、あまり大きく話題とされることを望まない意向が伝わってきていた。よって鹿砦社取材班も、「金平さんTBS退社」のスクープ記事を準備しながらも、金平さんの意向を尊重して掲載を見送ってきた。

鹿砦社取材班は2016年3月30日、TBSテレビ内で金平さんに取材を行っていた。手元には「TBSテレビ『報道特集』キャスター執行役員 金平茂紀」の名刺がある。つまりこの名刺は残り1日しか使えない名刺だったわけだ。取材班が金平さんに面会したのは彼がイラク・クルド人地区の取材から、ブリュッセルでのテロ事件を取材して帰国された直後だった。取材の約束は頂いていたものの、ブリュッセルでのテロ事件発生に伴い帰国が遅れたこともあり、我々が取材させてもらう時間が確保できるか、不安だったが金平さんは忙しい時間を割いてTBS社屋内で、われわれの取材に応じてくれた。

◆一線で仕事をし続ける「報道人」の凄み

 

ここでは詳細をお伝え出来ないが金平さんは3月31日をもって降板した『報道ステーション』(テレビ朝日)の古舘伊知郎氏、『NEWS23』(TBSテレビ)の岸井成格氏、『クローズアップ現代』の国谷裕子氏の降板に強い関心を持ち、それぞれの方々に取材を行なっていたことを語っていた。取材班も金平さんが3月31日で執行役員を降板することは事前に知っていたが、まさかTBSテレビを退社するとは予想しなかったし、インタビュー中もそれについての言及はなかった。

金平さんは取材後「じゃあ軽くいきますか」と取材班を誘ってくださり、TBS近所の居酒屋で一緒にもつ鍋をつついた。金平さんは健啖家だった。よく食べた。仕事をたくさんする人はエネルギーも消費するのだろう。そして彼は「ホッピー」を飲んでいた(どうでもよいことではあるが)。

エネルギッシュであらゆる質問へ瞬時に反応が返ってくる金平さんに、一線で仕事をし続ける「報道人」の勢いを感じたものだ。「一度仕事を始めてしまうとaddictというか、抜けられなくなるんですよ。だから泳ぐときと酒を飲むときだけは全てを忘れますね」と語っていた金平さんからは凄みすら感じられた。一方メディア状況の体たらくに話題が向くと、「何かあるんでしょうね」、「この民にしてこのマスコミありといった側面はありますね」と時として悲観的な表情に変わったことも印象深い。

◆「報道特集」に金平さんが登場し続けることを切望する

TBS「報道特集」HPより

金平さんのTBS退社から1年以上が経過したが、「報道特集」では毎週視点の鋭い貴重な情報を提供してくれている。同番組キャスターの日下部正樹氏も、地震が相当苦手そうだが、やはり鬼瓦のような(これは褒め言葉である)趣で国内外から、新しい情報を伝えてくれる。

オフレコの本音も聞いた。そこから推測すれば金平さんの退社は「ああ、やっぱり」と思わないでもない。金平さんは「テレビが好きだ」と語った。そうだろう。昨年ブッリュッセルでの現地からの中継を「現地では4人いれば日本に映像を飛ばすことはできるんです。私たちは4人でしたよ。でもNHKは仮設テントまで作って10人、いやそれ以上いたんじゃないですか、何やってるのかという感じですよ」と語ってくれた金平さん。「帰りの飛行機でも原稿を書いていました。時間がないですから」と語ってくれた金平さん。彼の主張や視野のすべてに絶賛するわけではないが、今日、日本のテレビ報道界において、卓越した人物であることは間違いない。その金平さんが登場する「報道特集」は硬派な報道番組だ。最低限TBSの「報道特集」に金平さんが(体力が持つ限り)登場し続けることを私は切望する。

NHKは受信料を取りながら、程度の低いタレントを並べる「ひな壇番組」を平気で放送するようになった今日、TBS「報道特集」の価値はこれまでになく高い。

ほら、もう水際はそこまでやってきた。金平さんが体調や個人的理由ではなくテレビの画面から消える時、日本のテレビメディアは「壊死」から「心肺停止」=「絶命」を迎えると言い切ってても大きく間違いはあるまい。テレビは多くの害悪を振りまく。しかし例外的に妙薬を与えてくれることもある。その薬剤師がいなくなった時、テレビが振りまくのは悪性のウイルスだけになろう。

▼佐野 宇(さの・さかい)

9月15日発売『NO NUKES voice』13号【創刊3周年記念総力特集】多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて
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平壌在住・元赤軍派のよど号メンバーが極力自力でTwitter&公式サイト開設!?

今話題の地に暮らす人たちがいて、支援活動でそこを訪れた仲間が帰国したので、9月3日、報告を聞いた。話題の地とは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、そこに暮らす人たちとは1970年のハイジャック事件でおなじみ、元赤軍派のよど号メンバーだ。彼らについて『紙の爆弾』本誌などに寄稿させていただいたわたしの拙文をご覧になった方もいらっしゃるかもしれない。彼らはハイジャックについては反省しているが、ヨーロッパ拉致疑惑については『えん罪・欧州拉致 よど号グループの拉致報道と国賠訴訟』(社会評論社)ほかで明確に否定している。

◆インターネットに接続できない彼らのIT活用法(は支援者の奴隷化←嘘)

現在も平壌・日本人村に暮らすよど号メンバーの方々(2016年訪朝時に筆者撮影)
同上

現在も4名とその妻2名の計6名が、平壌・日本人村に住む。わたしたちは現在、彼らのTwitter支援を継続しており、公式サイト開設に向けた準備も進めている。今回のメンバーは、主に公式サイト開設のための打ち合わせや彼らのプロフィール画像・映像等の撮影のために訪朝した。

そもそも彼らとのやりとりはメールと電話のみであり、彼らはインターネットに接続することができない(にもかかわらずメールのやりとりだけはできることがわたしはいまだによく理解できない)。ちなみに朝鮮では一部、一般の方でもイントラネットは使用している。また、外国人観光客がネットを使える場所もあるようだ。だがいずれにせよ、彼らはつなげることができない。

そのためTwitterでは、フォロワーさんの反応をそのまま彼らに送り、それに対するコメントに加え、彼らからの新規投稿分のメッセージを6名分送ってもらっている。それを毎月繰り返しているわけだ。

そのようなアナログ(?)な方法でSNSをしているにもかかわらず、今度は公式サイトをできるだけ自らの手で作りたいとおっしゃる。聴いたわたしたちは当初、「Twitterをやりたい」とお聴きした時同様唖然とした。だが、これもTwitter同様、考えるとできる方法はあり、できるだけ主体的にやってもらうサポートに徹するという方針を貫けるという結論に達した。

具体的には、彼らはパソコンをもっていて、ホームページを見るためのブラウザはそこに入っているのだから、デザインができればホームページを作ってもらうことも可能だということになったのだ。メンバーの1人・赤木志郎さんは以前、ホームページをデザインしたこともあるという。1944-48年生まれの彼らだが、国内の同世代の方よりも運動や勉強に熱心なのか、引退して暇なのか、フレッシュでナチュラルなものを食べているからか、若々しい面がある。というかむしろ、中身は大学生のようだと、わたしはいつも口にしている(褒めているとはかぎらない)。

現在も平壌・日本人村に暮らすよど号メンバーの方々(2016年訪朝時に筆者撮影)

閑話休題。

Web制作に携わったことのあるわたしたちとしては、今日までもやもやすることもありながらも、とにかく今回の訪朝メンバーがしっかりと話し合ってきてくれ、帰国直後にホームページ担当の赤木さんから以下のようなメールが届いた。

◆真面目な会議を重ね、あえて不真面目なアウトプットを目指す!?

「訪朝団の皆様、お疲れさまでした。疲れがとれましたか? 皆様が帰国してから晴れるとは皮肉なものです。仕方がありません。いずれにしても有意義な討議をしたと思います。メールだけはもどかしい面もあり、集まっての議論で適切な案が確定したと思います。どうも有り難うございます。」

「さて、ここで確認事項を整理して述べたいと思います。
1,TOP頁は第3案で、撮影した集合写真をイメージに貼り付け、その中で『ようこそ よど号日本人村へ』の文字を入れる。
2,コーナーの『議々論々』、『よど号LIFE』は配置を入れ替える。そして、それぞれに『コメント』欄を設ける。『議々論々』、『よど号LIFE』は月2回更新する。
3,新たなコーナーとして、声明文など公式発表の文章を掲載するコーナーを設定する。コーナーの名称は今後考える。
4,『寄ってらっしゃい』(広場)のコーナーは、寄稿を主としてコーナーの名称を変える。コーナーの名称は今後考える。寄稿は訪朝記が主となる。
5,帰国運動のコーナーの中に、旅券再発行闘争の項目を設ける。
6,『私たちのこと』コーナーの中の自己紹介欄で各自の写真を入れる。動画の自己紹介をユーチューブにリンクさせるか、ユーチューブのよど号関連の中に入れるか、どちらかにする。
7,村の絵は、『私たちのこと』コーナーのなかの文章の適当な位置にはめる。4の『日本人村って』という項目にはめるが適当だと思います。
8,よど号フォトギャラリーには、よど号グループが撮影した写真と歴史写真(後日、編集)、国内の人が撮影した写真で構成する。
9,ツイッターとユーチューブにリンクする。ユーチューブにリンクした動画は、よど号グループ(赤木)が撮影した動画、支援メンバーが撮影した動画を掲載する(編集はいずれも支援メンバー)。
10,宣伝は、開設後になんらか集いを考える。みなさんのブログでも紹介、拡散する。宣伝が10月訪朝団の主テーマとなる。
11,期日は9月末ないし10月初とし、その立ち上げをもって知り合いの方に知らせ、意見を募り、そのうえで修正し、本格的に運営する。
12,サイト閲覧者の意見、感想はそのままピョンヤンに送ってもらい、ピョンヤン側で集約し、答える。
13,資料コーナーに『お元気ですか』バックナンバー(PDFファイル)を加える。
14,国賠関係単行本2冊の紹介、および『かりはゆく』バックナンバーは、後日、送る。
 以上だと思います。何か欠けているとか、補充することがあれば、メールでお知らせお願いします。
 皆さん、それぞれの得意分野で力を発揮してくだされば、非常に良いものができると思います。また、意見を寄せてくだされば、さらに改善できると思います。どうか宜しくお願いします。
 2017年8月20日                     ピョンヤン かりの会 赤木志郎」

ううむ……。みなさんにとっては「なんのこっちゃ」という感じかもしれないが、彼らもわたしたちも意外と地道に話し合いを重ねてここにいたっていたりするのだ。

サイト開設時にはイベントも手がける予定なので、ぜひ、頭の片隅に、『ようこそ よど号日本人村へ』のことを置いておいていただいたら……ご迷惑だろうか……。それでもまた追って、この件やTwitterの裏話なども、お伝えしたい。

何でもアリ!? よど号のyobo-yodo Twitterより

何でもアリ!? よど号のyobo-yodo Twitter

▼小林蓮実(こばやし・はすみ)[文/写真は2016年訪朝時]

1972年生まれ。フリーライター、エディター。『紙の爆弾』『現代用語の基礎知識』『週刊金曜日』『現代の理論』『neoneo』『救援』『教育と文化』『労働情報』などに寄稿。労働や女性などに関する社会運動に携わる。本日発売の『紙の爆弾』10月号では「生かさず殺さずの労働政策 派遣法改悪、そして狙われる労基法」を執筆。支援活動で2013・14・16年と3回訪朝。仲間の中には訪朝60回を超える、あの猛者も! なぜこのような活動に参加しているのかは、とてもひとくちにはいえない。最低でも3日3晩くらいは語り合わないと……。

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乃木坂46と乃木神社 「政商」秋元康が誘導するドルオタ・ファシズム

乃木神社は明治の軍人乃木希典と妻の静子を祭神とする神社だ。場所は東京都の港区赤坂にある。乃木希典夫妻の明治天皇にたいする「殉死」にたいし、その死を悼んだ区議会が乃木坂と改称したことから、この地域一帯は乃木坂と呼ばれるようになっている。秋元康のプロデュースするアイドルグループの乃木坂46はこの乃木坂に由来している。メンバーが新成人になると成人式が乃木神社で行われ、毎年報道されている。

乃木神社・宝物殿に展示されている乃木夫妻の殉死刀
関係書籍コーナーには「武道教育」(日本武道教育新聞社発行)という冊子が置かれていた

◆物騒な展示とドルオタの絵馬

昨年10月に筆者は乃木神社に行った。境内に入り二の鳥居をくぐると右側に宝物殿がある。宝物殿の入口付近には憲法改正について賛同を求めるポスターと署名用紙が置かれていた。ポスターには東京都神社庁の名がある。

宝物殿には乃木希典ゆかりの遺品や乃木希典の死を報じたニューヨークタイムズの記事の切り抜きなどが保管されている。宝物殿では乃木希典にちなんで軍歌「水師営の会見」がずっと流れていた。この宝物殿の中でとりわけ目を引くのが大小二振りの刀だ。乃木夫妻が自刃したときに用いた刀が抜き身のまま展示されていた。

関係書籍の展示コーナーには日本武道教育新聞社が発行している「武道教育」という冊子が置かれていた。寺井愛宕という自衛隊の海将をつとめた人物のインタビュー記事が掲載されていた。

昭和48年の指揮官時代に上官に相談なく自衛隊機を二機竹島上空に飛ばしたのだという。韓国政府の抗議を誘発させることでマスコミを騒がせ竹島問題を周知させたかったのだという。韓国軍がその当時竹島周辺の海域にいなかったため、大事にはいたらなかったが、明白なシビリアン・コントロール違反だろう。記事の他の小見出しには「竹島問題だけでも韓国は侵略国家だ」ともあった。

研究者の添田仁の論文「壬辰・丁酉倭乱における朝鮮人被虜の末裔」によれば、豊臣秀吉による朝鮮侵略により強制連行された朝鮮人の末裔が乃木希典にあたるという。日露戦争の過程で日本が韓国の内政・外交権を骨抜きにし、植民地化を進めていったことをあわせて考えればあまりにも悲惨だ。

宝物殿を出て正面向かい側に大量の絵馬が飾られている。願い事の多くが乃木坂46に関することで、推しメン(応援しているメンバーのこと)の名前を絵馬に書いてもっと人気がでるよう願っている。この神社の神徳とされる「忠誠」「文武両道」「夫婦和合」に関連する願い事は比較的少数だ。これほど大量に自分自身や身近な人間以外の他人の幸福にたいしてお金払って願い事をしている光景は違った意味で圧倒される。Twitterで「#乃木神社」と検索してもらえばアイドルオタク(いわゆるドルオタ)が境内の写真や絵馬を掲載しているので、その雰囲気は把握できる。

ただし、祭神である乃木希典は学習院院長時代、生徒の末広ヒロ子が時事新報社主催「日本美人写真募集」(日本最初のミスコン)に参加したことを理由に彼女を退学処分にしている。ドルオタの願いはむしろ祭神の怒りに触れそうだ。

いずれにせよ同一施設内でこれほど落差がある光景が見られるところは珍しいだろう。

乃木神社・宝物殿の入口付近に置かれていた憲法改正への賛同を求める署名用紙
乃木坂46「命は美しい」(2015年3月18日発売)

◆経済的利益と改憲誘導

絵馬は一枚500円で販売されており、お守りなどの関連する品物をあわせると相当な売り上げがあるだろうと推測される。アイドルオタクは年間通じて来るので、神事などの特定の時期にしか収益が発生しないということもない。他の神社と比較しても財政状況は良いのではないかと推測される。実際2016年の矢野経済研究所の調査によると、アイドルオタクの年間平均消費金額は他の種類のオタクと比較してもかなり多いようだ(年間平均79,783円)。この購買力は魅力だろう。

こうして見てみると、乃木神社にとって秋元康のプロデュースするアイドルグループとタイアップするのは一般大衆にソフトな形で存在を周知し、アイドルオタクの購買力を取り込める絶好の機会だったに違いない。なぜなら戦後一貫して乃木希典のイメージは一般的に悪かったといっていいからだ。

乃木希典は戦前にはそれこそ「神」のように崇拝されたものの、敗戦によってその評価は180度転換した。戦後長い間乃木希典を信奉する人は中央乃木会に代表される熱心な国粋主義者に限られていた。リベラルな価値観を持つ人々からは乃木希典は軍国教育を想起させるものとして蛇蝎のように嫌われた。また、「国民作家」として人気のある司馬遼太郎からも小説「坂の上の雲」の中で多数の死傷者を出させた「愚将」として描かれていた。

戦争の悲惨さを知る戦前戦中世代が高齢のため亡くなっていく中、若年層で「乃木」と聞いて戦前の軍国主義や忠孝精神を想起する人は少ないだろう。乃木神社のイメージ戦略は成功したと言っていい。

一方乃木神社だけでなく秋元康らにもメリットがあったと思われる。乃木神社も所属する神社本庁や安倍首相をはじめとする改憲勢力に若年層を無意識に大量に誘導することで恩を売れるからだ。また前出の中央乃木会は戦前の有力な政治家や軍人の子孫を招いて定期的に講演会を行っているが、その講演者は様々な分野で要職についているものも多い。

◆ナチスはアウト、大日本帝国はOK

昨年乃木坂46の姉妹グループで、同じく秋元康プロデュースの欅坂46がナチス風衣装を着用したことで大問題となった。しかし以上の乃木神社とのつながりをみればもともと右派的な勢力への迎合は既定路線であったことがわかる。国際社会の当然な批判を浴びたので秋元康は謝罪したものの、東京五輪組織委理事として安倍政権を筆頭とする改憲勢力・国粋主義勢力に対する迎合はこれからも続けていくだろう。
秋元康に限らず、高須クリニックの高須医師や麻生副大臣のようにナチスに関する発言で弁解や謝罪をする者たちが後を絶たないが、戦前日本にたいする肯定や癒着はナチスと比較して全く問題になっていない現状がある。

この現状が変わらない限り、日本の根深い様々な社会問題は根本的には解決しないだろう。

▼山田次郎(やまだ・じろう)
大学卒業後、甲信越地方の中規模都市に居住。ミサイルより熊を恐れる派遣労働者

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』9月号!さよなら安倍政権【保存版】不祥事まとめ25

大学院生リンチ事件加害者・李信恵被告による、鹿砦社に対する悪質な誹謗中傷、名誉毀損発言について「警告書」を送付しました。差別に反対し人権を守るという者が、「クソ鹿砦社」とか人の人格を辱める汚い言葉を遣ってはいけません。 株式会社鹿砦社代表取締役 松岡利康

7月終盤から大学院生M君リンチ事件加害者・李信恵被告(民事訴訟の「被告」なので、以下「李被告」と記載する)による、鹿砦社に対する誹謗中傷、名誉毀損発言が止まりません。

7月27日の李被告による「鹿砦社はクソ」発言に対し私は、日々一所懸命に働いてくれる社員、多くの取引先やライターさんらを抱える会社の代表として到底看過できず、8月2日の本「通信」にて「大学院生リンチ事件加害者・李信恵氏による『鹿砦社はクソ』発言を糾す!」と題し李被告に反論と注意喚起、警告を行いました。
これで鎮まれば私もこれ以上追及するつもりもなかったのですが、これ以後も李被告のツイッターにおける鹿砦社に対する誹謗中傷、名誉毀損発言はいっこうに鎮まりません。

8月17日、同23日、同24日と、鹿砦社と私に対する誹謗中傷、名誉毀損は続き拡大していました。どれにも鹿砦社に対して「クソ」と言っています。いやしくも差別に反対し人権を守るという者が遣う言葉ではありません。

最近では私個人の過去について、全く事実と異なる書き込みまで見られるようになりました。

 

たしかに私は学生時代(遙か昔の1970年代前半)、同志社大学で文学部の自治会委員長を経験したこともあり、「学費値上げ反対闘争」では最後まで抵抗し逮捕もされており、いわゆる「学生運動」の活動家であったことは間違いのないところですが、私は一度も特定党派に所属したことはなくノンセクトでした。当時どこにでも多くいた活動家のひとりにすぎません。ましてや「中核派」や「革マル派」とは、まったく関係がありません。

このあたりのことを〝昔の話〟で一括りにされ、学生運動にかかわっていた人が「中核派」や「革マル派」のどちらかでしかないような決めつけは、その後両派の凄惨な歴史を見ても単なる〝勘違い〟や〝誤解〟〝思い込み〟では済みません。私を「中核派や革マル派」呼ばわりすることも、著しい名誉毀損です。

私はここで「中核派」や「革マル派」の批判を展開しているのではなく、私の学生時代の活動はそのように党派に属したものではなかったという事実を述べているのです。李被告はわからないのか、読む人が読めば「元中核派?革マル派?どっち?」は笑い事では済まされない性質の問題です。この手の書き込みは時間を確認すると深夜が多く、飲酒のためでしょうか。

「在日の普通の女に、ネットや普通の暮らしの中で嫌がらしかできない奴が、革命なんか起こせないよね。爆笑。おいらは普通の自分の暮らしを守りたいし、クソの代理戦争する気もないし」

という文意のわからない(ミスタイプ?)も見られますが、ここでもまた「クソ」という表現が用いられています。李被告を「在日の普通の女」などと思う人は誰ひとりとしていないでしょうが……。また、

 

などと言い募っています。私たちがどのような「嫌がらせ」を行ったというのか、具体的に例示していただきたいものです。さらには「(威力業務)妨害」をやったともツイートしています。私たちがどのような「(威力業務)妨害」をやったというのか、こちらも具体的に例示していただかないといけません。

ここでもう一度私たちの原点を簡単に述べておくほうがいいでしょう。2016年の2~3月に複数筋から、くだんの「大学院生M君リンチ事件」の情報が私たちに寄せられました。驚愕の内容でした。特に事件直後の「M君」の顔写真には強い衝撃を受けました。この写真を見て何も感じない人は人間ではない! と言っていいでしょう。李被告よ、あなたはこの写真を見て人間としてどう感じるのか? あらためて問いかけます。はっきり答えよ! どう感じどう答えるかで、李被告の人間性、つまり彼女が日々語っている、差別に反対し人権を守るという言葉の内実がわかります。

リンチ事件直後のM君の顔

しかし不思議なことに、これほどのひどい事件であるのに、事件から1年以上も経って、私たちは同じ関西に居ながら、まったく事件のことを知らずにいたのです。それは新聞もテレビも小さなメディアも一切「M君リンチ事件」を報道しなかったからです。ひとりの人間に対して、1時間以上複数の人間が一方的に暴力を振るい、それを誰も制止せずにいた光景は、常識的な神経では考えられません。ひどい事件じゃないですか! 最近1972年はじめに起きた「連合赤軍リンチ殺人事件」がドラマ風に報じられました。まさにこれを想起させます。永田洋子と李被告が二重写しされます。永田はみずからは手をくださず命令し死刑判決を受けました。李被告は最初の一発をM君に食らわせたとされ、李被告はこれを否定していますが、万々が一、みずからは手を下さずとも現場の空気を支配し阿吽の呼吸で指示したことで永田と同じです。

社内にカウンターの主要メンバーがいながら、そこまで深く関わっていたことも知りませんでしたが、そこで、この反省もあり、「M君リンチ事件」の真相を解明すべく社内外のメンバーで特別取材班を結成し、継続的に取材を続け、これまでに『ヘイトと暴力の連鎖』『反差別と暴力の正体』『人権と暴力の真相』を出版しました。李被告は「鹿砦社の人は何が面白いのか、お金目当てなのか、ネタなのかわかんないけど」と当事者でありながらトボけたことを書いていますが、私たちの目的は〈「M君リンチ事件」の真相究明と、被害者M君支援によるM君が受けた被害の正当な回復(謝罪、賠償金、治療費等含む)〉です。その作業は現在主として、大阪地裁における民事訴訟で「M君」が李被告を含む5名を相手取った裁判で係争中です(係争中とはいえ、事件の加害者の一部には刑事罰が下っているのですからM君が敗訴することは考えられません)。

一方法廷内では明らかにされない、焦点にはされないけれども重要な事実について、継続的に取材班は動いています。幸いこれまで出版した3冊とも好評で、それなりの反響はありましたが、この事件を扱った本を出版して、利益を上げようなどという思惑はありません。実際に、取材費用などかなりの持ち出しになっています。

私たちはこのかん、これまで明かされることのなかった〈事実〉を積み上げる作業を行っています。驚くべき事実が多数発見されました。その事実の積み重ねにより〈真実〉の姿がはっきりしてきました。そうして、それを出版物にし世に問うことを行っており、これは出版社(人)として正当な言論活動です。

このような取材結果の発表のどこが問題だと李被告は言いたいのでしょうか。私たちは綿密な取材によって得られた〈事実〉に基づいて、事件の実相と背景を探っています。時に直撃取材も敢行してきました。それにより明かされたくない〝恥ずかしい行為〟を暴露された人が少なくないことは知っています。でも待ってください。非難されるべきは〝恥ずかしい行為〟を明かしたことではなく、〝恥ずかし行為〟に手を染めたことではないでしょうか?

李被告は、〝リンチ〟という、人間として〝恥ずかしい行為〟に手を染めたことについて、なにをもってしても被害者M君に心から謝罪し、正当な治療費(まだ1円たりとも払ってはいません!)や慰謝料を支払うべきでしょう。そうではありませんか? 私が言っていることはおかしいですか?

また、李被告は以下のように問題をすり替えようとしています。

 

ここで初めて明かしますが、取材班には女性もいますし、在日コリアンもいます。相手が相手だけに、直接取材は男性スタッフが行っていますが「鹿砦社の男たち」は間違いです。

李被告による鹿砦社、並びに私やライターさんらへの度を越えた誹謗中傷、罵詈雑言発言に何度も反論と警告を発してきましたが、まったく鎮まる様子がなく、このままでは会社としての業務やライターさんらの名誉や仕事にもかかわる領域にまでエスカレートしてきましたので、「当社又は当社関係者が、いつ・どのような『嫌がらせ』や『(威力業務)妨害』を行なったと」と主張するのか、具体的な事例を示すように求め、「『鹿砦社ってほんまクソやなあ』とか『クソ鹿砦社』と表現された根拠」について示すように要求し、そのような李被告の「誹謗中傷、名誉毀損行為につきまして、その撤回と謝罪、今後は同様の行為を繰り返さないという誓約を強く求め」、やむなく8月25日付で代理人弁護士を通して「警告書」を内容証明郵便で李被告に送りました。

 

8月26日に受領したとの記録がありますので、既に李被告は「警告書」を読み、私たちへの対応を検討中と思われます。「警告書」到着後7日以内の回答を求めていますので期限は9月2日となります。回答ない場合や誠意ある態度を見せない場合は、「当社は直ちに法的措置に入らざるを得ない」と書き添えましたが、今までは笑ってすませていたところ、もう笑ってばかりもいられません。冗談ではありません。私も齢を重ねて、余程のことでは怒らなくなりましたが、私にも〈意地〉というものがあります。

李被告が妥当な判断をされるよう求めるとともに、皆様もご注目よろしくお願いします。

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