26日発売『人権と暴力の深層』に登場する香山リカ「つぶやきの嘘」を公開する

 
 

  

5月26日発売開始!『人権と暴力の深層』カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い(紙の爆弾2017年6月号増刊)

あの黒ぶち眼鏡で、控えめにコメントをするかつての姿はどこかへ行ってしまった。老眼をかける時以外は眼鏡をはずし、かつては冴えなかった顔色も心なしか(日焼けのためか?)健康そうに見える。しかし、健康状態が良さそうなのは喜ばしいが、この人には虚言癖と、過剰な自己顕示欲が露骨に表れてきた。

◆「ガチャ切り」なんかしていない

まさか、この世界に首を突っ込むキャラクターだとは予想できなかったけれども、最近は「しばき隊」内、外での存在感急上昇の香山リカだ。香山は鹿砦社に対して明確な嘘を過去少なくとも一度発言したことがある。『反差別と暴力の正体』に掲載したが、香山は自身のツイッターに「ロクサイシャってとこから電話来て、大学に送った質問状の回答まだかって。弊社では掌握しておりませんが何の質問ですかっ、て言ったらガチャ切りされました。何なんですか」と書き込んだことがある。

2016年8月25日の香山リカツイッターより

しかしこれは大嘘である。香山のかかわる会社へ電話取材した概要は『反差別と暴力の正体』に紹介したが、この際読者に事実を知っていただくために、会話の一部始終を公開しよう。電話に出たのは香山が関連する会社の男性だ。

男性 はい〇〇です。
── お邪魔いたします。こちら株式会社鹿砦社と申します。いつもお世話になっております。
男性 はい、お世話になっております。
── 香山先生いらっしゃいますでしょうか?
男性 どういったご用件でしょうか。

 
 

── こちらのほうから書籍と、感想をいただく書式をお送りさせていただいたのですが、そちらのほうをまだ頂けていないものですから。
男性 えっと、書籍と?
── ご感想をいただく質問状をお送りさせていただいたのですが。
男性 その質問状というのは何で送られましたか?
── 郵便でお送りいたしました。お送りしたのは大学(立教大学)の方にお送りさせて頂いておりまして。
男性 大学ですか。すいません大学は今夏休み中ですので、香山は大学に行っていないので……。
── お送りしたのはしばらく前になりまして、「届いた」ということは先生がツイッターでつぶやいていらっしゃいましたので、ご覧にはなっていると思うのですね。
男性 そうですか。すいませんが弊社に送って頂かないと弊社のほうで管理できませんので。
── 先生、今日はご不在でいらっしゃいますか。
男性 あまりこちらには来ませんので。
── あ、そうなんですか。
男性 すいませんがFAXかメールで送っていただけますか。
── わかりました。それではまた改めてご連絡差し上げます。

一言一句交わした言葉を再現したのが上記のとおりである。どこが「ガチャ切り」なのだ!この日は普段他者と交信をすることの少ない鹿砦社のツイッターアカウントから「香山リカ先生、ガチャ切りされました。何なんですか……」と弊社鹿砦社の取材におっしゃっていますが、「また、後日あらためて電話をさせていただきます」といって電話を切ったのが事実です。音声データもございますのでアップしますよ」と香山宛てに発信したが、その後香山からの返信はなかった。噓の上塗りは厄介なものなのだろう。

◆これで文句はないだろう!

この一件のほか、取材班からの質問状には回答をよこさないくせに香山は月刊誌『創』2016年11号で自身が持つコラム「こころの時代解体新書」に、「鹿砦社から届いた質問状に答える」と題した文章を掲載している。ところが題とは裏腹にこの文章の中で香山は取材班が投げかけた質問に全く回答していない。卑怯じゃないか。

そして、さすが今年度国内研究で講義がない(立教大学事務室談)香山先生は情報に敏感だ。『人権と暴力の深層』の広告(まだ正式には世間には出回っていない5月18日の時点で)をどこかで目にした模様で、下記のような書き込みを行っている。

2017年5月18日の香山リカツイッターより

香山は取材班の質問にはまともに回答をよこしてくれないが、鹿砦社の出版物には登場をご希望であったようだ。虫がいいのもたいがいにしてほしい、などと冷たいことを取材班は言わない。

心配しなさんな。香山先生。あなたがそう思うだろうことを取材班はちゃーんと分かっていた(取材班の中には医師ではないものの臨床心理学をかなり学んだ者がいる)。だから香山に直接インタビューもしたし、グラビアにもバッチリ登場してもらっている!

 
 

ご本人の記憶にはないだろうが!どうだ。これで文句はないだろう!鹿砦社に後ろ足で砂をかけるようなことをすればどうなるか。香山先生とくどご熟読あれ!

『人権と暴力の深層』に収められているサプライズは、もちろん香山だけではない。読者の皆さん!『人権と暴力の深層』には「香山サプライズ」を超える「爆弾」が満載されてることを取材班は保証する。発売は26日だが、売り切れも予想される。今すぐアマゾンでご予約を!

(鹿砦社特別取材班)
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検証「みれぱ」としばき隊、カウンター〈5〉呉光現との対話録を公開する

呉光現(オ・クァンヒョン)という人物が自身のフェイスブックに「鹿砦社潰れたらええな」、「文句あったら言ってこいやあ」との書き込みをしていると、5月1日某ジャーナリストから連絡が入った。呉は翌日にこの書き込みを消しているようだが、調べてみると、呉は特定非営利活動法人聖公会生野センターの要職にある人物だ。

 

聖公会は英国国教会にルーツを持つ由緒あるキリスト教の宗派であり、その関連団体の人物が上記のごとき下品な表現を使うのは目を疑う。呉の真意を確かめるべく、5月1日午前11時過ぎ生野センターに電話をして、呉と下記の会話を交わした。

── 4月29日に「鹿砦社潰れたらええな」と書かれていますね。
  はい、やりました。翌日消しましたけど。
── 「文句あったら言ってこいやあ」と。
  ええ、そうですね。で、岡本君のこともやってはったね。
── ああ、岡本朝也さんですね。
  そうですね。全然事実誤認も甚だしいし。
── どこかに間違いがありましたか?
  去年の『週刊実話』に書いてはったね。
         (略)
── 先生の方からご覧になって、私どもに具体的な事実誤認とか、間違ったことがあれば、それを訂正することは全くやぶさかではないのですね。ただ先生のことは私ども全然存じ上げませんし。でもこういった形で「潰れたらええな」といきなり書かれた。われわれとしては会社が潰れると生活に路頭に迷うわけです。
  そうですね。
── それほど強い思いで何か?
  怒ってますから。
── 具体的にはどういった件で。
  あれ見ましてね、まず岡本君は関係ないですよね。リンチ事件というので、僕もあれ暴力事件と確かに認識しておりますけどね、Mさんという方が誰かも知ってますしね、もちろんね。しばき隊……。今、そちらのホームページ見てますけれども、「検証『みれぱ』としばき隊、カウンター」て書いてますけどね、「1」ということは続くんかなと思いますけど、林範夫弁護士もよく存じ上げておりますし、林範夫弁護士がどういう関係があるのかなと。     
── 林先生はそこのパネル展の呼びかけ人です。
  呼びかけ人になってるし、NGOセンターの代表理事やし、「反ヘイトスピーチ裁判」の、そちら「称する」て書いてあるね。
── はい。
  裁判の事務局ですね、それは事実、まあそうですね。「称する」て書いてあるね、「称する」て表現することにそちらの価値観が反映されてますよね。
── 「称する」という?
  李信恵が在特会らを訴えた裁判の事務局を担当し、「反ヘイトスピーチ裁判」と、わざわざ括弧つけてあるけども、と「称する」というね、三文字がそちらの価値観を反映していると読みますね、読者はね。私もカウンターですからね。
── 先生もカウンターでいらっしゃるわけですか?
  カウンターって組織ないのご存知でしょう。
── いわゆる現象のことですよね?
  そうですね。しばき隊は私はやってませんけれども。
── 差別に反対する行動という意味での。
  当然レイシストたちに対してカウンターとか権利あると思ってますからね。これだけ見ても「未来のための歴史パネル展」実行委員会と「しばき隊」「カウンター」、みんな括弧ついてますね。さらには「M君リンチ事件とは無関係とはいえないものだが、今回取り上げるのは金や林ではない。共同代表の一人であり、毎日新聞の取材も受けた岡本朝也、この人物が、今回の特集の『主人公』である」、と。「岡本の人となりについては続編で報告する」、と書いてありますけれどもね。これ明らかに普通の文章ちゃいますやん。
── 普通の文章とおっしゃいますと?
  明らかに悪意がある文章でしょ。
── 岡本さんは先生もご存知であると思いますけど、M君に対して「刑事告訴するな」と。
  そういうことやったんですか?
── ええなさっています。それからそこに金明秀先生のツイッターの書き込みが載っていると思うのですが。
  ありますね、貼ってありますね。
── これ、いかが思われます?
  よくないなと思ったね、去年やね、これね。
── よくないで済みますか。
  これ、僕が言えることないでしょ。
── ですからこういう方々が役員にお名前を連ねていらっしゃる。その事実をさっき先生、「事実と違う」とおっしゃいましたけれども、この中で事実と違うものがあれば私は訂正をするように編集部に伝えるつもりなんですが、どこが事実と違うんでしょうか?
  私は事実関係は問題にしてません。
── いやさっき「事実誤認も甚だしいし」と。
  事実関係ね、去年の4月28日ね、M君リンチ事件が1年以上にわたる隠蔽工作を打破して明るみに出される先鞭をつけた『週刊実話』って書いてますやんか、報道。当日に取消しというか。
── 当日訂正があったのが事実であれば、記事が掲載されたことも事実じゃないですか。
  うん、でもそれも書いた方が。
── それは先生のご見解であって、その事実の取捨選択はわれわれの編集権ですよ。
  ずるいなと思って。
── 事実じゃないですか。
  『週刊実話』で報道があったけれども、「明るみに出される先鞭をつけた『週刊実話』による報道があった日であったのだ」て書いてありますね、そちら。だけどその日のうちにそれは訂正して謝罪をして連休明けの号でも出してはりますね、『週刊実話』ね。
── 正確にご記憶かどうかわかりませんが、記事全てについての訂正ではありませんよ。
  なるほどね、そうおっしゃるんだ。
── だって事実ですもん。あの記事全てが間違いであるのであればその記事全てについての訂正記事が出たということです。記事の一部についての訂正が出たということは全然意味が違いますからね。
  なるほどね。
── ですから今お尋ねしてるのは、先生が事実とは違うとご指摘いただける、私どもが間違っている箇所があるのであればそれは訂正するのはやぶさかではありませんが、事実の指摘をして頂けないか、ということをお願いしているわけです。
  その材料持ってないですよ。
── その材料もないのに「潰れればいい」と。
  僕はそちらさんの文章を見て、これは酷い、ずるいことしてるなと思いましてね。しょっぱなにね、なぜ取材班がこのパネル展に注目するのか。それはこの「未来のための歴史パネル展」は「しばき隊」「カウンター」の「関連事業」でありとありますね、まずそれは事実じゃないですね。
── なぜですか、先生ご自身カウンターだと。
  しばき隊もカウンターも組織ないので。
── あります。カウンターにはないかもしれませんがしばき隊にはあります。
  しばき隊はコメントはやめときます。カウンターは組織じゃないので「関連事業」なんかあり得ないですね。
── だから岡本さんはしばき隊じゃないでしょ?
  違うと思いますよ。
── でしょ、で先生もしばき隊じゃないでしょ?
  違いますね。
── 先生さっきおっしゃった通りカウンターですよね?
  そうですね。
── 先生ご協力されているということはカウンターの「関連事業」ということじゃないですか。
  全然関係ないよ。カウンターやってるから岡本君の「みれぱ」に(ま、「みれぱ」と略しますけども)協力やってるというのはまた別の問題でしょ。
── 理由がどうではなくて、現実問題先生は先ほど「私はカウンターです」と。私がお尋ねしたのではなくて。
  カウンターのメンバーですよ。カウンターって組織じゃないですよ。
── 組織ではないです。でも岡本さん、そうですよね。
  岡本さん、カウンターのメンバーだけど組織じゃない、カウンターそのものが。
── 組織じゃないけれどもカウンターでしょ。
  有志の人が集まった人たち。
── そう、別に私は組織性を聞いているのではなくてカウンターをなさっている方ですよね。
  うん、だから「関係事業」というのは普通組織と関係あると思いますやんか。
── じゃあ金明秀先生はいかがですか?
  金明秀先生はこんなん言っちゃったんだなあと思って。
── いや、そうではなくて金明秀先生はしばき隊ですかカウンターですか。
  知らない。
── 知らないでしょ、だからわれわれから見たら一緒なんですよ。
  そうですか。違うね事実は、ちゃんと取材なさったら、そしたら。
── 先生だってカウンターとお認めになってる、岡本さんだってカウンターですよ、もう一人の能川(元一)さんっていう人だってカウンターですよ。
  そうでしょうね。
── だからみんなカウンターですよ、ここにいる人は。
  何百人といます。
── そんなことは知ってます。
  最終的に大阪であったのは昨年の12月の末に川東さんが告知で来はりましたね、ご存知ですかね鶴橋に。あれ川東さん一人やったけど、いわゆるカウンターは何百人集まってましたね。それ全部「未来のための歴史パネル展」関係あるんですか?
── 全部とは言ってないですよ。ここに出てきてる人が全員カウンターの関係者であるからそれがしばき隊とカウンターの「関連事業」だと結びつけられても仕方がないでしょということですよ。
  それは取材が不十分ちゃいますの?
── 不十分ではないです。ここに出てくる名前の人たちみんなどういう人たちか取材してあります。で、突然全然面識のない呉先生から「潰れたらいいな」と。
  ほんまにそう思いましてね。
── で、今でもそう思っていらっしゃるわけですね?
  今はもうどうでもいいわと思いますね。
── いや、「どうでもいいわ」じゃない、われわれの生活どうなるんですか?
  潰れないでしょ、僕が呟いたぐらいで。
── 先生は全くの私人ではないですよ。日本聖公会という大変崇高なキリスト教団体の関連団体でお仕事をなさっている先生ですよね?
  例えばね、例えば宣伝になるけど日本会議ってご存知ですかね?
── もちろん。
  じゃあ、「日本会議潰れたらええな」って言うたらあきませんの?
── 日本会議と鹿砦社と規模も力も全然違いますよ。日本会議というのはものすごい数の政治家が名前を連ねてですね、権力があってお金があって大企業の人間たちの名前を連ねてるところです。鹿砦社に社員何人いるかご存知ですか?
  知りません。
── 10人いないんですよ。
  そうですか。
── 中小企業ですよ、そこに対して「日本会議潰れたらいいな」と「鹿砦社潰れたらいいな」と全然意味違うじゃないですか。
  なぜ僕がそんなふうに書いたか気づきませんか。
── 仮にですよ、われわれ呉先生がいらっしゃる「聖公会生野センター潰れたらいいな」なんて言ったら、それはものすごい差別であり攻撃でしょ。
  そん時は「こんな言われてるわ」で済ますけどね、こっちはちゃんとやっとったらいいから。そんなん言われたことあるし、そんなふうのこと。
── あなたはそこでどういうお役職かわかりませんけれども、こういう不注意なことをお書きになったことに対して、まずいというお気持ちは持たないわけですか。「文句あったら言ってこいやあ」と。これ喧嘩腰ですよ。
  だから電話してはるんでしょ。まあ、だから消したけどね、ちゃんとチェックなさったんね。
── 私知りませんもん、先生のこと、存じ上げませんもん。
  ないですね、私かつて定期購読者です。
── ありがとうございます。別に喧嘩する関係だとも思ってませんしね。でも看過できないですよ、中小企業としては。大企業だったらいいかもしれませんけれどもね。なんら訂正なさるお気持ちはないわけですね。これでいいなと思っていらっしゃるわけですね?
  どういう意味ですか、おっしゃってることわかりません。基本的にね、論議が噛み合ってないんですけども。
── 噛み合ってないのはこんな無茶苦茶書かれるからですよ。私はなぜ書いたのかということをお尋ねしてるのですよ。
  ですから、「デジタル鹿砦社通信」を読んであまりにも悪意に満ちてるから。
── 悪意に満ちてる?
  はい、というふうに判断しました。
── 悪意に満ちてるとお感じになったので、「潰れたらいい」とお感じになった。
  酷いからね、こんなんいいんだろうかと。『週刊実話』の件に関してはお互い意見が違うみたいなんだよね。
── 違いますよ、だって先生の解釈は極めて勝手ですから。掲載されたことは事実じゃないですか。
  訂正したのも事実で、それ取捨選択するのはそちらの自由ってことなんでしょ。
── しかもその訂正が全面訂正だったら書きせんよ。あれは記事の全面訂正じゃないんですから。李信恵氏が加害者ということではなかったという部分訂正ですよ。
  そうね、そうね、厳密に言うとね。
── お分かりでしょ、全面訂正だったら書きません。でもその基本的な記事の部分に対する訂正ではないですよ、あれは。
  明るみに出たというのは裁判の段階でいわゆる社会的になってるのと違いますの、裁判にかかってませんけど。
── 何がですか?
  Mさんの裁判ね、訴訟ね。刑事はもう終わったみたいですね。で、今、民事が続いてるみたいですね。それで僕それにかかわってないのでそういう伝聞でしかよお言いませんけどね。その段階でいわゆる明るみになってるんちゃいますの、裁判ということは密室裁判ちゃうし。
── じゃあ先生きょう大阪地裁で行われてる裁判のこと全部ご存知ですか?
  もちろん知りませんよ。
── 知らないでしょ、そんな詭弁は通じませんよ。
  なるほどね、そうおっしゃるんだ。
── だって私だって知りませんもん、大阪地裁で毎日100も200もやってるような裁判。
  そうですね、じゃあ、『週刊実話』でメディアに載ったということで明るみになったという理解、あなたたちの。
── 私どもは何が問題かと感じているかと言うと、いろんな人たちが隠蔽してるんですよ、この事件を。隠蔽をするのに国会議員から大学教員からマスメディアの有名な人までが。被害者は死にかけてるわけですよ。
  相当なお怪我をなさったみたいですね。
── ええ、それをどうやって正当化なさるんですか? そういう行為を。むしろお伺いしたいです。
  当事者は刑事より民事で裁判やってるわけでしょ。
── すぐそうやって逃げるでしょ。
  岡本君は当事者ちゃうやんか。
── 当事者ですよ、「刑事告訴するな」と彼に迫ったんですから。
  そういう意味でね、暴行を働いたという意味の当事者じゃなくて。
── ええ、刑事告訴するなということを彼に迫ったんですよ。
  迫ったというか忠告したというか、判断の分かれるところですよね。
── 半殺しの身にあって、なんで被害届出したらいけないのかとの話です。在特会がやって来て生野のコリアの方に対して言葉だけじゃなくて暴力振るって殴る蹴るしたら、先生だって警察に被害届出すでしょ?
  出すやろね。
── 当たり前でしょ。顔の骨折れてボコボコになって目が見えなくなって、そこまでやられてなぜ被害届出したらダメなんですか。それやってるのが岡本氏なんですよ。どう正当化するんですか? 先生のおっしゃってること。
  僕はね、そのことはね、詳しくは知りません。
── 知らなかったら憶測で私たちを決めつけないでくださいよ。
  なるほど、それで岡本君の「みれぱ」も関係あると、隠蔽に。なるほど金明秀君も関係あると、林範夫先生も関係あると。
── ありますよ。
  なるほど、はい。
── われわれは憶測で書いていません。事実に基づいて書いてますから、その事実に基づいて書いたことをご覧になって、その感じ方はいろいろですからね、それは結構ですけどね、「潰れたらいいな」はこれもう撤回なさらないわけですね。
  撤回しましょう。
── え?
  撤回しましょう。
── なさいますか?
  はい、今からフェイスブックで撤回します。フェイスブックで書いたから。ごめんて書いときます。
── ごめん?
  謝罪いたしましょう、フェイスブックで、フェイスブックで書いたから、それ一番僕の取るべき行動でしょ、謝罪するって決めましたから。
── 私は強制してるわけではなくて、本当にそういうふうにお感じになってですね?
  あなたとの電話の中で会社の存続に危ういようなことを僕が発言したと、フェイスブックでという判断でしょ。
── 会社の存続に先生の一言で及ぶかどうかわからないけれども、中小企業にいる人間としてはこういうことを書かれるとドキッとしますよ。
  はい、だから訂正と謝罪いたします。
── 今からどなたでも見れる形で書いていただけると。
  もちろん一昨日と同じように。
── わかりました。ご訂正いただけるということは感謝申し上げます。
  そうですね、今ページ見てますけども「鹿砦社潰れたらええなあ」「文句あったら言ってこいやあ」ということに対して謝罪と訂正したら。
── はい、ではよろしくお願いいたします。

呉との電話は30分近くに及んだが、最後に呉は本人のフェイスブック上に「今から」訂正と謝罪を掲載すると約束してくれた。しかし、呉のフェイスブックには『噂の真相』がどうのだとか、全く関係のなさそうな書き込みに交じり、

 

上記の書き込みがあったものの、同日午後3時を過ぎても一向に訂正文が掲載される様子はなかった。午前中の会話は無駄な部分を割愛してあるが、呉の対応は極めて失礼なものであったので、聖公会の東京本部に事情を説明しようと電話すると、大阪にも事務所があると紹介を受け、聖公会大阪事務所のY氏に呉の書き込みにつき報告し、こういった行為を行わないように指導を徹底していただきたい旨お願いした。Y氏はすぐに呉に電話をかけてくれたのだろう。午後になり取材班不在中に呉から電話があったようで、折り返し呉に電話をかけた。

── お電話いただいていたようで。
  はい、いたしました。聖公会大阪教区に2度ほどお電話なさったようですね。
── ええ、させて頂きました。
  関係ないやんか。
── いえいえ、最初に東京聖公会の本部に聞きました。
  そうですか、2回目の電話で説明されたみたいですね。2回目の電話で向こうがこうこうこうと説明されたと思いますけどね。
── そうです、わたくしども知識がないものですから、最初東京の聖公会に。
  そりゃまあいいですよ、ネットで公開してる。
── 東京の方が大阪に事務所があるのでそこに聞いてくださいというご指示を受けましたので、そちらにお電話させて頂きました。ところで、恐れ入りますが呉先生、午前中お約束いただいてすぐ謝罪と。
  文章出来てますよ。
── いえ、出来てるんじゃなくて、あの時あなたはすぐそれを書いていただけるとおっしゃったというように私は記憶しているのですが。
  先程書き終えたばっかりです。
── 『噂の真相』がどうのとか書かれていますね。
  うん、そりゃ全然関係ない。思い出したから。
── それは結構ですけれども、私からお願いして、録音してありますけれども。
  やっぱり録音してあるんだ。
── 当然ですよ。意見の違いがあったら困りますから。
  はい、先程文章出来上がりまして、あとはアップするだけです。
── あの「チクった」と言うのはどういうことなんですか。
  それは書いただけでそちらの名前書いてないんやから。
── それを私はお尋ねしているのであって。
  それ違うところでもチクられたんですよ、最近。
── そんなこと聞いてるんじゃないですよ、あなたにお願いしたことは分かっているでしょ。あなた、一つの会社を潰せということを言ったということをね、午前中ちゃんと事実をもって確認して、それでもうわかったと、取り下げると、謝罪して撤回すると最後におっしゃっていただいたわけでしょ?
  取消しでもいいですかね。
── はい?
  撤回、取消しと説明ですね。
── どちらでも結構ですが、その後に『噂の真相』のことを思い出すのは結構ですよ、そのあとなんですか「チクった」っていうのは。
  そりゃそちらとは書いてないやん。
── いやいや書いてないじゃなくて、あなたはその前にすべきことがあるんじゃないんですか。私との約束の中で。あなたこれからすぐ書きますとおっしゃたんですよ、あの時。
  すぐ書いて先ほど書き終わったんです。
── 前後してるじゃないですか、その前に他のあの三つ上がってるじゃないですか。
  あんなん1分で書けるから。すぐ書くって言ったって一瞬で書ける場合と、考えて書く文章違うわけでしょ。
── そういうようなことを聖職者の方がおっしゃるのは。
  聖職じゃないです。
── いかがなものかと思いますよ。
  うん、聖職じゃないです、私。あのね、もうアップしますんで読んでください。そちらから電話頂いて意見の違いはあるけれども。
── いや、意見の違いはないですよ。
  あるやん。
── ご納得いただいて私も理解してお願いしますということで終わったわけです。
  うんだから、意見の違いは意見の違いでそのまんまで書くしかないんですよ。
── いや、問題はあなたが約束を守って下さらなかったということじゃないですか。
  あ、なるほど。
── あ、なるほどじゃないですよ。
  えっとですね……、読みましょうか? 今からアップする文章読みましょうか?
── いえ結構です。私はもう信頼感失いましたので。
  はい。
── こちら事実を提示して一生懸命お話ししたんですけど、そのことをもって訂正をすぐ書かれると言っていただいたことに対して、反故にされたことで、私は先生に対して完全に信頼感を失いました。
  そうですか、わたし今書いた約束守って取消で結構ですね。
── 知りません、私は別に何も文章の文面については申し上げるつもりはありません。
  なるほど、はい。意見の違いも書いてますからね。でも謝罪、取消しは書いてますので。
── 「アホな奴、アホな奴おるな、関係ないところに電話して僕のところにチクっとる」と。これは状況的に私のことじゃないですか。
  いや、明言してないよ。最近違うとこでもされたて言いましたやん。
── 欺瞞は通じないですよ。
  最近されましたからね。
── さっきYさん(聖公会大阪事務所)から電話かかって来たでしょ。
  かかってきましたよ、どうなってるんですか言うて。
── そのことじゃないですか、時間的に言ったら。
  うん、で違うことも思い出したんですよ。
── あなた、よくそんないい加減なこと言いますね。
  いい加減、そちらもなんか……。まあ録音なさってるから言葉慎重にさせてもらいますけども。
── 私の言葉にいい加減なところあったら指摘してくださいよ、ひとつでも
(略)しかしさっきから先生の私に対する言葉の頂き方を聞いてますと、口先だけでごまかそうと聞こえて仕方ないわけですよ。だってそうでしょ、「すぐ書く」とおっしゃったのになんで『噂の真相』が思いついたからって『噂の真相』が出てくるんですか。約束なさってるんですよ、あなた午前中に。
  書いた書いた。
── 挙句の果てに「アホな奴がおる」て。「アホな奴」、私じゃないですか。「関係ないところに電話して僕のところにチクっとる」と。私でしょ?
  ちゃうですけどね。
── 認めなさいよ、あなた、ちゃんと。
  あなたと違うんですけどね、それやった人。
── じゃあ、誰なんですか?
  そんなんあなたに。
── それより先に書くと約束したでしょう。
  しましたよ。
── なんでしないんですか?
  だからあとアップするだけですよ、さっき書き終わって。
── 違いますよ、自分の勝手で約束したことを。さっきからの会話も。私もう一回申し上げますよ、私が申し上げた中であなたに対して欺瞞とか嘘とか事実と違うことってありましたか? 何か。意見の違いはあるかもわからないけど。
  意見の違いはありますね。
── 事実の違いはありましたか?
  事実の認識の違いはありましたか?
── いえいえ、事実の違いはありましたかと聞いてるんですよ。
  あなたが嘘ついてるとか、あなたの言ってることが事実誤認してるとか言ってないつもりですけどね。
── いや、おっしゃってましたよ、午前中。
  そうでした?
── 午前中、山ほどおっしゃってましたよ。
  そうでした? どういうところでした? おっしゃってください。僕、基本的には二つのことを言ったと思うんですよ。ちょうど1年ぐらい前の『週刊実話』のことと、あれはその日のうちにネットで謝罪と訂正出したでしょと。そしたらそれは一部ですとおっしゃったね。李信恵さんの絡みに関しては『週刊実話』は謝罪と訂正をしたとおっしゃいましたね。ああ、そやったなと思って、それはもうそれで終わったと思うんです。1回2回やり取りして。そうですね。それともう一つ、今回の肝は、「未来のためのパネル展」、なぜ取材班がこのパネル展に注目するのか。それはこの「未来のための歴史パネル展」は「しばき隊」「カウンター」の「関連事業」であり、なおかつM君リンチ事件とも無関係ではないからだ。そこで岡本さんがMさんに刑事告訴するな云々とおっしゃいましたね、僕もそれはそうだったんだと思いましたが。
── ご存知ないとおっしゃいましたよ。
  ちらっと風の便りに聞いてましたけど、そんなはっきり。
── あれ? あれ? 午前中と違いますね。午前中はそんなこと知らないとおっしゃいましたよ。
  ちらっとは耳に入って、ちゃんとは知りませんよ。
── あれ?
  それこそ言葉の隅を突くのやめてくださいよ。
── いえいえ、まあそれは結構です。
  カウンターは違うだろうと、それだと思うんですよ。カウンターは組織じゃないと、あなたはしばき隊は組織だとおっしゃいましたよね、ああ、そやなと。
── それは私の認識ではなくてしばき隊の人がそう言っていたからそう言っているんです。
  でも「関連事業」というのが、そこには何か連なりがありますね。
── あります。それは先程申し上げた通り、岡本さん、もう一人の呼びかけ人の方、林弁護士先生、金明秀先生、その他の方々は全員カウンターですから。
  そうでしょうね、わたしもカウンターですから。あとカウンターには社会的名前通ってない方たくさんいらっしゃいますんでね。
── そういう意味で先生と私、そのことに対し事実に対しての認識の違いってないんじゃないですか。
  そこでカウンターの「関連事業」というのがどう繋がるんかなと。
── 先生はご不満かもわからないけれども、これはあと2回ぐらいのシリーズで書きますけれども。
  それはもうどうぞ書いてください。
── その中でさっきも申し上げましたけれども、岡本さんのなさった行為がどうだったかなということが最後に結論になるわけです。
  なるほどね。
── よろしいですか、さっき先生おっしゃたように、彼がM君の刑事告訴をするなと言ったことをご存知なわけですよね。
  風の便りに聞いてる程度です。
── 一応、風の便りに聞いてる程度にはご存知。午前中のお電話でもちょっとお尋ねしたんですけどね、生野にたくさん在特会がやって来て、例えば先生のいらっしゃるセンターに土足で上がって来て、いらっしゃる方に暴力を振るったりとか、あるいはたくさんじゃなくて一人の人を狙って乱暴、狼藉働いて怪我をさせるようなことがあったら、当然のように先生はそれは警察か何かに……。
  一般的に刑事案件になりますね。
── なさりますでしょ。それを仮に私が、「呉先生、それちょっと思いとどまってください」と「今の日本社会でそれやると在日の人たちに対する風当たりが強くなりますから」とか何とか言ったらそれはおかしいでしょ?
  仮定の話はあんまり言えないですね。
── 私は例を挙げただけであって、それをやったのは岡本さんだと言ってるわけですよ。
(略)
── こういった先生のような公職の方が、露骨に「鹿砦社潰れろ」という表現されたのは初めてです。
  そうですか、ショックだったですね。
── われわれにももちろん落ち度があることはあると思いますし、間違いもあるとは思うんですけれども、それはそれで正していきたいと思います。要するにどうすれば少しでもましな社会が出来るかということを模索してるわけなんですね。ですから「潰れろ」と「文句あったら言いにこいやあ」というのは表現としていかがなものかなということで。
  だからそれはね、申し上げますけれども、昨日4月29日ですね、あげたのは。昨日かな29日ですね。昨日は酒飲んでませんので酔うた勢いではありません、まずね。岡本君のいろんな見てて、おたくのこの「デジタル鹿砦社通信」見てて、これはそちらの意見ですよね、金明秀さんとか林範夫とか出てきて、コリアNGOセンターとかも出てきてね、わざわざ括弧でくくって「反ヘイトスピーチ裁判」と称する、てね、そういう表現わざわざなさって、僕もこの裁判にカンパもしてますからね、「M君リンチ事件の隠蔽工作と二次加害に最も深く関与した組織である」ということは、林範夫さんとコリアNGOセンターも全て反ヘイトスピーチ裁判の事務局も含めてリンチ事件の隠蔽工作に深く関与した組織というそちら判断なさってるんでしょ。
── 事実がそうですもん。
  僕はそうとは思えないですね。この人たちは皆よく知ってますからね。
── では先生に申し上げますが、今、民事訴訟をやっている中で、コリアNGOセンターは被告の側に、M君とコリアNGOセンターで交わした私信のメールを証拠として出してきてますよ。
  なるほど、そこは知りませんでした。
── 私はそんなことはあってほしくないという希望を持っているのですが、残念ながら事実はそうなんです。ですから会社の中でも、特に社長をはじめとして今回の先生の書き込みに関しては尋常ならざる怒りが渦巻いておりますので、先ほどおっしゃった書き込みを早急にしていただくと、それからやはり解せない「アホな奴おるな」と、これは私のことですよね?
  名前出したらそうやけどもね、名前出してませんやんか。
── 名前出そうが出すまいが、状況的に言ったらそうですよ。
  あなたを確定して送ったわけではないですよ。
── 私にはわかりますから。さっきあなたに確かめたじゃないですか、Yさんから電話があったと。
  向こうから電話かかってきたんですよ。
── かけてくださいと私が頼みましたから、だから私がアホな奴なんでしょ。
  そんな、なんで決めつけますのん。
── そのタイミングじゃなかったらあなたこんなことを書いてることないじゃない、過去に。
  なるほどね、そんなふうに解釈なさったんですね。
── そんなふうにって、他にどう解釈できるんですか、これが。あなただってね、NPOの責任者なんだからこういうところにもの書く時は一定程度の注意と責任持って書かなきゃダメですよ。
  気をつけます。
── これは私に対する侮辱です、明らかに。これは私に対することだとそれをちゃんと認めてください。でないと私はあなたに対して必要以上にどうしてこんなことする人かなと思いますよ、呉先生に対して。わたし在特会でもありませんからね、言っときますけど。
  そちらさんが在特会サイドとはわたし全然思っていません。そらもうおっしゃったの否定もしなかったでしょ。これまでのそちらさんの出版の内容とか見てたらそう思ってません。そら『反差別と暴力の正体』と見出し出てますけどね、それに対しては知らん部分もありますけども、わたしも情報、僕なりに調べますわ。
── いや、もう結構ですよ。

呉はこの後ようやく重い腰を上げて、謝罪文をアップしたが、それまで自身の顔を大写しにしていた画面が鶏のから揚げのように見える写真に変更されている。呉はその文章の末尾で「この投稿に関してはコメント等は受けませんのであしからず」としているにもかかわらず、伊藤大介が呉の意に背いて自身のフェイスブックでコメントをしている。

 

今回取材班は一切の評価を下さない。判断は読者に委ねる。
最後に。近日発売の『週刊金曜日』と『月刊サイゾー』に掲載される下記の鹿砦社の広告にご注目いただきたい。鹿砦社の新たな銃弾が既に装填された。読者諸氏の期待を鹿砦社は裏切らない。

(鹿砦社特別取材班)
『人権と暴力の深層』カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い(紙の爆弾2017年6月号増刊)鹿砦社特別取材班=編著

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検証「みれぱ」としばき隊、カウンター〈4〉「みれぱ」岡本朝也の剽窃疑惑

 
 

 
特集シリーズ、検証「未来のための歴史パネル展」の第4回目をお届けする。今回はこれまでの経緯のご紹介とは異なり、日本の学問の在り方と社会運動という大きな壁に直面する内容だ。一般読者には聞きなれないことばかもしれないが、「みれぱ」において「剽窃(ひょうせつ)」と疑われる点が少なくない箇所が見受けられる。そしてその疑惑の中心人物が岡本朝也だ。

◆「剽窃」定義のガイドライン

そもそも「剽窃」とはなんだろうか。本稿は若干このコラムには珍しく「硬い内容」になるが読者諸氏にはご容赦頂きたい。

剽窃(plagiarism, forgery)とは、他者の書いた文章・論理・言葉などを、自作として使用する行為である。つまりコピペ・盗用である。わずか一部であっても、自分の言葉と他人の言葉は峻別しなければならず、他者の執筆した文献や文章などを使用する際は、引用・区分または別記表記などで峻別する必要がある。

言うまでもなく、引用符を付けず自分が書いた言葉かのように記したり、または、誰かの書物を自分の成果とすれば「学問に対する背信行為」であり、これを犯した者は学者生命が絶たれて然るべきものとされる重大な非違行為だ。これはアカデミズムの世界にいる人には常識であるが、逆に言えばそれ以外の世界の人にはあまり知られていない概念である。

2014年に、小保方晴子の博士論文盗用問題が騒がれたことがあったが、あれは極めて悪質で明瞭極まりない「剽窃行為」である。下記のとおり各大学がガイドラインをもうけている。

〈関西大学〉
http://www2.kansai-u.ac.jp/econosc/hyosetsupdf.pdf
〈早稲田大学〉
https://www.waseda.jp/fpse/pse/assets/uploads/2014/05/20170330_AvoidingPlagiarismJAP1.pdf
http://www.waseda.jp/fpse/gse/assets/uploads/2016/04/652ddf06da2b53baaed45b6238e189e6.pdf

◆パネル展(みれぱ)の剽窃調査

では、具体的に「B君の原案」と「現在、『みれぱ』パネル展で使用されている現物」を比較することにより、疑念を解き明かしてみよう。

ここでは3つの項目について確認を試みる。「①実際の文章の酷似度合」「②実際に使われているパネル資料」「③論理構成」である。

最初にパネル展で使用された「竹島/独島問題」のB君の原案と現在使用されているパネルの単純比較を行う。[図表1]は「B君の原案と「みれぱ」のパネル」の内容で、「B君案」と「現・使用の「みれぱ」資料」の酷似可能性を指摘するのみに留まる(以後、詳しく説明)。

黄色■■■の部分は文章自体、水色■■■は過去原案が加味された部分、緑色■■■は当時岡本と打合せ段階で双方が合意を得て割愛したが付記された部分、という区分法をとる。
  

[図表1]酷似部分
 
 

上記の通りB君が作成した文章を「そのまま」使用した箇所は多くはない。語尾や言い回しには若干の差異がある。この類似点だけで剽窃と決めつけるのは危険だろう。ただし、留意すべきは、この表記に至るまで(このシリーズで前回までにお伝えして来た)B君と岡本のやり取りの内容だ。岡本はB君に大方の研究・調査を行わせたのちに、B君を追放している。したがって、この場合紹介文章の類似性もさることながら「コンテクスト(文脈)」の検討も加えられる必要がある。人文科学に包摂される歴史学は社会科学とは異なり、FACT(事実)に高度な厳密性が求められるため「似ている」状況が発生することは起こり得る。であるからこそ「コンテクスト(文脈)の類似性」、「論理構成の類似性」の検討が意味を持つ。

◆パネル文から「コンテクストの酷似性」「論理構成の酷似性」を検証

では実際に展示されたパネルはどのような内容であったのであろうか。[図表2a]がB君が作成した原案、[図表2b]が実際に展示されたパネルだ。

[図表2a]B君原案
[図表2b]実際に展示された「みれぱ」パネル資料
 
 

以下、B君原案と「みれぱ」パネル資料の「コンテクストの酷似性」「論理構成の酷似性」検証を行う。[図表3]で取材班が「剽窃疑惑」を抱いた根拠を示す。ここでは変数を細かく切り、変数それぞれの関係を整理し、具体的に検討したい。

[図表3]コンテクストの酷似性、論理構成の酷似性

[図表3]において明らかなことは、「コンテクストと論理構成が完全に一致している」という結論である。コンテクストと論理構成は、書き手によって十人十色に分かれるものである。「完全一致」はいかにも不自然かつ剽窃の疑いを持たざるを得ない。

◆なぜB君の原案が使用されているのか?

では、なぜ剽窃に至ったのか。2つの可能性が推測される。「B君が書いた原稿は、彼がM君を擁護していることを理由にアカハラを受けた後、岡本は改めてゼロから独自で執筆をせず、そのまま校正に回し、修正したものを現在使用している」か「B君原案を元にアレンジを加えた」のいずれかだ。

B君は岡本と5~6回にもわたり、原稿のやりとりをしており、校正に回せる段階に到達していたことは、前回の本検証記事〈3〉で岡本自身が認めている。そして校正に回せると分かるや否や、事件以降M君を支援するB君の存在は、しばき隊、カウンターからのパネル展に対する援助を受ける際に支障になるがゆえに排除したものと考えるのが自然である。

具体的に剽窃行為疑惑がどのような人的手続で、誰が加担したのかまでは定かでない。しかし現に調査結果として「剽窃疑惑」という結論が導き出された以上、論理的に考えれば「B君の原案をそのまま校正に出し、それを修正し、使用されている」か「B君原案を元にアレンジを加え、校正にかけ、使用されている」のいずれかがを想定することが妥当である。

B君が岡本とのみ、原稿打合せをしていた事実がある以上、岡本が主犯格で彼の一存で剽窃的行為が行われたのではないかと推測される。

そしてこれは重要な要素であるが、近年多くのポスト・ドクター(博士学位取得者)たちが職探しに窮困している。このパネル展開催も、たとえば大学教員採用の際に「社会活動」として「業績一覧」に記入すれば、1つの貢献と見なされ、常勤講師・准教授・教授といったような「アカデミックポスト」への就職の一助としてポイントとなる。勿論、採用側が「B君の原案が校正に回せる段階になって、リンチ事件の被害者であるM君を支援していたことを理由に不当に排除し、その原案がそのままパネル展側に搾取され、岡本らがそれを校正にかけ、再編集を経た上で、紛い物の社会貢献活動をしている」ことを知り得ることはまずあり得ない。「みれぱ」を記事化した毎日新聞(本検証記事〈1〉参照)を見れば明らかだ。

以上述べたことを要約すれば次の通りである。

① 運動維持のためならば、リンチという多大なる人権侵害を受けた人(犯罪被害者)を守ろうとする者にすら、アカハラを行い、パージする
② 運動維持のためならば、剽窃すら行い、科学を裏切る
③ そしてそのような者が大学教員として幅を効かせている

ということである。また、B君から見れば「アカハラを受けた上に、剽窃までされた」という事に他ならないのだ。現在もなお、関西大学社会学部のホームページには、岡本朝也の名前が非常勤講師として記載されている。岡本は現在もなお、大学の教壇に立っているのだ。B君への圧迫と排除、アカデミック・ハラスメントの実態を知れば、類似のことを今後も行う可能性が極めて高いと言わざるを得ない。関西大学当局および関係学会においては、大学内部で発生した事案ではないものとはいえ、適切な対応を望みたい。(つづく)

(鹿砦社特別取材班)
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検証「みれぱ」としばき隊、カウンター〈3〉 岡本のアカハラと「みれぱ」の欺瞞

 
 

 
検証「未来のための歴史パネル展」の第3回目をお届けする。「みれぱ」共同代表の岡本朝也によるリンチ事件被害者、M君に対する行動については前回触れた通りである。今回は、実際にパネル展を開催するにあたって、岡本が何をしたかをご紹介し、このパネル展そのものの欺瞞性を問う。

◆大学生B君はなぜ「みれぱ」から排除されたのか?

今回の新たな登場人物がB君(仮名)である。2014~2015年当時は、大阪在住の大学生だった。M君リンチ事件については、事件発生当初から先輩格の被害者M君の側に立ち、支援をしてきた人物である。周囲の「大人」たちが運動内部の権力構造に屈服し、M君を裏切る中、年若いB君が良心を捨てず、最後までM君を裏切らなかったことは、醜悪な話だらけのM君リンチ事件に関連する話題の中で、一抹の清涼剤ともいうべきエピソードである。まだこの国には見どころのある若者がいるものだと、取材班も頭の下がる思いだ。鹿砦社は事件直後のM君やB君の窮状を知らず、1年以上も社内に「加害者側」の人間、それも最も悪質な二次加害者の一人を抱えていた(当人以外知らなかったこととはいえ)のだから。

◆「M君の支援をした」ことを理由に、B君を排除した岡本朝也

B君は、自らの勉強、研究の研鑽も兼ねる目的で、「みれぱ」のパネル製作に関わる。そこで「竹島問題」の項目を担当することになったB君は、一所懸命に勉強し、資料も収集し、パネル用の文章を仕上げた。次に紹介するのは、2015年5月5日のB君と岡本のLINEでのやり取りである。画像の中ではM君とB君の実名が挙がっている部分のみ、修正を付している。

岡本朝也(白い吹き出し)とB君(黄緑の吹き出し)のやり取り1-2
岡本朝也(白い吹き出し)とB君(黄緑の吹き出し)のやり取り3-4
岡本朝也(白い吹き出し)とB君(黄緑の吹き出し)のやり取り5-6
岡本朝也(白い吹き出し)とB君(黄緑の吹き出し)のやり取り7-8
岡本朝也(白い吹き出し)とB君(黄緑の吹き出し)のやり取り9-10
岡本朝也(白い吹き出し)とB君(黄緑の吹き出し)のやり取り11-12
岡本朝也(白い吹き出し)とB君(黄緑の吹き出し)のやり取り13-14
 
 

 
画像はあくまでやり取りの一部であるが、もはや説明は不要であろう。岡本は「M君の支援をした」ことを理由に、B君を排除したのである。これよりも前から、岡本は酒席等でB君に対し「パネル展を取るか、Mを取るか、どっちか選べ」などと複数回にわたり詰問していたという。昔、「あそこの家は部落だから、あの子と遊んではいけない」、「あそこの家はチョーセン人だから、あの子とは遊んではいけない」というようなことをわが子に言う不見識な親がいたが、岡本の所業はこれと全く同じものではないか。開始段階でこのような悪意に満ちた排除を行い、それを隠蔽し平然とパネル展開催を繰り返すのが岡本ら「みれぱ」の真の姿だ。「何よりも大事なことは歴史修正主義者と戦うこと」だと「みれぱ」代表者の岡本は言っているが、岡本自身が「リンチ事件隠蔽」、「B君排除の隠蔽」という「歴史修正主義」を率先して実行しているではないか。

「みれぱ」は学術研究の場である。共同代表者二人は研究者であり、顧問には関西学院大学教授の金明秀も名を連ねている。さらに「みれぱ」は自らの「パネル作成のポリシー」においても「学術的記述を目指します」「学術性を優先します」と明記している。

岡本はその学術研究の場である「みれぱ」において、学生であるB君に対し、「大学講師と学生」、「パネル展代表者と一参加者の学生」という権力関係の強弱を背景にした排除を行っている。それも「リンチ事件の隠蔽」という極めて悪質な動機づけによるものだ。岡本のB君に対する「排除」は、研究・教育の場で極めて重大視される「アカデミック・ハラスメント」に該当する。

M君リンチ事件の加害者や二次加害者への「忖度」にいそしみ、被害者M君を支援したことを理由に研究・勉学の機会を求めた学生B君を排除し、なおかつその「不都合な事実」を隠蔽しながらパネル展の開催を続けている。これが「未来のための歴史パネル展」の実態なのである。「みれぱ」は次のようなポリシーを掲げている。

「人権を尊重します」「侵される側、虐げられる側、マイノリティの側の視点を優先します」空念仏とはこのことだ。岡本朝也以下「みれぱ」関係者は暴力を肯定し、自らが実践した「歴史修正主義」をこれまで隠蔽してきたのだ。崇高な理念は結構だが、これでは欺瞞じゃないか。

「リンチ事件被害者M君を支援したこと」を理由とした岡本ら「みれぱ」によるB君排除は、「運動体内部の多数派」による、数と権力を背景とした少数意見の排除、封殺という点で、M君リンチ事件と同根の問題性が極めて色濃く表れている。

これだけでも十二分にふざけた話であるが、「みれぱ」の問題はこれに留まらない。本連載に関して「鹿砦社、潰れたらええな」、「文句あったら言ってこいやあ」とフェイスブックに書き込んだ人物が現れた。「潰れたらええな」と喧嘩を売られて、鹿砦社が黙っていると思っているのか!(つづく)

[追記1]
この件については、従前よりM君に同情的な立場からリンチ事件に関心を寄せている「ウォッチャー」の「将鼓」氏が、4月21日に取材班に先立ち自身のブログで問題提起をされている。併せてお読みいただきたい。
将鼓氏「某事件と”パネル展”」

[追記2]
当初、本特集シリーズは4回シリーズでお届けする予定であったが、本文中にもご紹介したように「鹿砦社、潰れたらええな」などと喧嘩を売る者が登場するような不測の事態が発生したため、急遽シリーズを延長することとなった。

(鹿砦社特別取材班)
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重版出来!『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(紙の爆弾2016年7月号増刊)

島唄よ、風に乗り──辺野古の海・破壊行動に抗す歌

宮沢和史さん(2016年10月2日熊本「琉球の風~島から島へ~2016」にて)

気取らない、威張らない、爽やか。元THE BOOMの宮沢和史さんだ。彼は昨年1年間体調不良で、ステージで歌う活動を「休養」していた。それでも震災後の昨年10月2日熊本で行われた「琉球の風」に駆けつけて「今日だけはどんなことがあっても歌わせてくださいと僕のほうからお願いしました!」と全国のファンには極秘(?)で「島唄」を熱唱してくれた。

一昨年は顔色がさえず、体が辛そうだった。本人曰く「ヘルニアで動くのも苦しい」状態だったそうだ。昨年はずいぶん元気になっていて、ご本人も「だいぶ元気になりましたよ。ステージで歌わないのが休養になったみたいですね」と明るく話してくれた。それでもまだ指のしびれがとれることはないとのことだった。

◆宮沢和史さんが「島唄」に込めた想い

4月1日付朝日新聞デジタルより

4月25日から防衛局による「辺野古の海破壊行動」が激化しているが、それに対するささやかな抗議として、宮沢さんの「島唄」にまつわる逸話をご紹介する。

以下は4月1日付の朝日新聞デジタルに掲載された記事からの抜粋だ。

沖縄の音階と三線(さんしん)を全国に広めた「島唄」。ラブソングのように聞こえる歌に込められた本当の意味は?

「THE BOOM」のボーカリスト、宮沢和史さん(51)は山梨県出身。沖縄音楽の魅力にとりつかれたきっかけは、1989年のデビューから間もない頃、土産にもらった沖縄民謡のカセットテープだった。 「バブルの空気に居心地の悪さを感じて、日本から世界へ発信できる音楽を探していたとき、大地につながりをもつ沖縄民謡に日本の原風景を感じたんです」

90年、アルバムのジャケット撮影のため、初めて沖縄の土を踏む。翌年には沖縄県糸満市のひめゆり平和祈念資料館を訪れ、ひめゆり学徒隊生存者の話を聞いた。住民を集団自決に追いやったものに対してだけでなく、沖縄戦に無知だった自分自身にも腹が立った。人々が息絶えたガマ(洞窟)の中に自分もいるような恐怖を覚え、資料館の外へ出ると、さとうきびが静かに風に揺れていた。

宮沢さんは振り返る。「牧歌的な光景と、その下で行われた殺戮(さつりく)とのギャップが信じられなかった」伝えなければと思った。自分には音楽がある。「体験を話してくれた方に恥ずかしくない曲を作ろう」。そう考えて一気に書き上げたのが「島唄」だ。

「ウージ(さとうきび)の森であなたと出会い ウージの下で千代にさよなら」。単純に恋の始まりと終わりを描いたとも取れる一節は、ガマの中で自決した二人の幼なじみの男女をイメージしているという。「レ」と「ラ」がない琉球音階で作られた曲の中で、このフレーズだけは通常の西洋音階にした。「何が誰がそんな状況に追い込んだのかを思うと、沖縄の音階はつけられなかった。ヤマトの音階にした」

◆今年も9月に熊本「琉球の風」で「島唄」を

私は沖縄の知人から聞いて、「島唄」に込められた意味を知ってはいたけれども、上の記事にある通り、宮沢さんご自身がそのことを語るようになったのは21世紀に入って以降で、それまではメロディー、歌詞ともに卓抜した名曲として世界にも広がっていた。

さて、肝心の「島唄」であるが下記が、ほぼ宮沢さんの意図に近いだろうと思う。巧みの技である。パッパラパーのバブル時代でもこの歌詞には抵抗を感じる人が多くはなかっただろう。しかし表の歌詞を翻せば、これはまがうことなき「反戦歌」だ。しかも琉球(沖縄戦)から、大日本帝国の暴虐を撃つ視点には勇気も要ったに違いない。だから宮沢さんは今も大枠で「島唄」の歌詞を語ることはあるけれども、この時代状況に対する発言は極めて慎重だ。それでいい。彼はこれだけ大きな仕事をやってのけたのだから、「島唄」をクースー(泡盛の古酒の意)のごとく、磨き上げていってほしい。今年も9月には熊本の「琉球の風」で「島唄」を聴くのが楽しみだ。

「島唄」を歌う宮沢さん(2016年10月2日熊本「琉球の風~島から島へ~2016」にて)

沖縄で続く中央政府の暴虐に対して「島唄」の歌詞を送る。

でいごの花が咲き 風を呼び 嵐が来た
(1945年春、でいごの花が咲く頃、米軍の沖縄攻撃が開始された。)

でいごが咲き乱れ 風を呼び 嵐が来た
(でいごの花が咲き誇る初夏になっても、米軍の沖縄攻撃は続いている。)

繰り返す 哀しみは 島わたる 波のよう
(多数の民間人が繰り返し犠牲となり、人々の哀しみは、島中に波のように広がった。)

ウージの森で あなたと出会い
(サトウキビ畑で、愛するあなたと出会った。)

ウージの下で 千代にさよなら
(サトウキビ畑の下の洞窟で、愛するあなたと永遠の別れとなった。)

島唄よ 風にのり 鳥と共に 海を渡れ
(島唄よ、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、
遥か遠い東の海の彼方にある神界“ニライカナイ” に戻って行きなさい。)

島唄よ 風にのり 届けておくれ わたしの涙
(島唄よ、風に乗せて、沖縄の悲しみを本土に届けてほしい。)

でいごの花も散り さざ波がゆれるだけ
(でいごの花が散る頃、沖縄戦での大規模な戦闘は終わり、平穏が訪れた。)

ささやかな幸せは うたかたぬ波の花
(平和な時代のささやかな幸せは、波間の泡の様に、はかなく消えてしまった。)

ウージの森で 歌った友よ
(サトウキビ畑で、一緒に歌を歌った友よ。)

ウージの下で 八千代に別れ
(サトウキビ畑の下の洞窟で、永遠の別れとなった。)

島唄よ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
(島唄よ、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、
遥か遠い東の海の彼方にある神界“ニライカナイ” に戻って行きなさい。)

島唄よ 風に乗り 届けておくれ 私の愛を
(島唄よ、風に乗せて、彼方の神界にいる友と愛する人に私の愛を届けてほしい。)

海よ 宇宙よ 神よ 命よ
(海よ 宇宙よ 神よ 命よ 万物に乞い願う。)

このまま永遠に夕凪を
(このまま永遠に穏やかな平和が続いてほしい。)

島唄よ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
(島唄よ、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、
遥か遠い東の海の彼方にある神界“ニライカナイ” に戻って行きなさい。)

島唄よ 風に乗り 届けてたもれ 私(わくぬ)の涙(なだば)
(島唄よ、風に乗せて、沖縄の悲しみを本土に届けてほしい。)

島唄よ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
(島唄よ、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、
遥か遠い東の海の彼方にある神界“ニライカナイ” に戻って行きなさい。)

島唄よ 風に乗り 届けてたもれ 私(わくぬ)の愛を
(島唄よ、風に乗せて、彼方の神界にいる友と愛する人に私の愛を届けてほしい。)

◎[参考動画]島唄 本当の意味(kesigomuify2010年5月22日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』(「琉球の風」実行委員会=編)

朝日新聞襲撃事件から30年──労組集会の足跡が示す「憲法と言論の安楽死」

朝日新聞労働組合が本日主催する「言論の自由を考える5・3集会」

朝日新聞阪神支局襲撃事件から30年が経過した。実感としてあの事件を覚えている人はもうわずかだろう。朝日新聞の記者でさえ。

そう思わざるを得ない事情は、たとえばこの催しものに登場する顔ぶれが示している。朝日新聞労働組合「5・3集会事務局」が主催する「言論の自由を考える5・3集会」だ。

◆むのたけじさんら2012年集会の顔ぶれはしっかりしていたが……

「新聞は民衆の合作だ」と語る故・むのたけじさん(2012年集会)

HPを見ると過去の同集会演者の顔ぶれを2012年までさかのぼって見ることができる。2012年は、むのたけじ(故人)の基調講演に続き、《不信の壁を超えて 3・11後の言論と社会》をテーマにしたパネルディスカッションが行われている。パネラーは斎藤貴男(ジャーナリスト)、林香里(東京大学大学院教授)、マーティン・ファクラー(当時ニューヨークタイムズ東京支局長)、依光隆明(朝日新聞編集委員)の各氏で、コーディネーターは元朝日新聞編集局長の外岡秀俊氏だ。この顔ぶれに大きな違和感は覚えない。依光氏は原発事故後、独走する東京新聞の報道に読者を奪われつつあった朝日新聞の中で「プロメテウスの罠」の執筆に関わった記者でもあり、マーティン・ファクラー氏は報道人でありながら、この国のメディアからは「取材対象」として取り上げられることも多く、問題提起者として適切な人物だろう。斎藤貴男氏も硬派ジャーナリストだ。

◆「なにか言っているが、その実、なにも言っていない」人たちの台頭

だが翌2013年のシンポジウム《対話がきこえない「つながる」社会の中で》あたりから登場するパネラーには疑問が生じる。安田浩一(ジャーナリスト)、開沼博(福島大学特任研究員)、小田嶋隆(コラムニスト)、稲垣えみ子(朝日新聞論説委員)でコーディネーターは津田大介氏だ。朝日新聞労組が取材する「5・3集会」にこの顔ぶれは相応しいだろうか。ご存知ない方のために解説をしておくと開沼博は「福島学」なる新たな学問領域を自ら(勝手に)打ち立て、一見原発事故後の福島を社会科学的に解明している素振りを見せながら、その実事故の被害を矮小化し、学問の名を傘に最近では避難者の死亡原因が「反原発運動」だとまで主張しだしている大罪人だ(開沼の罪については「週刊金曜日」4月14日号、明石昇一郎氏の記事が詳しい)。

若手中堅の社会学者には「何かを言っているのだろうが何を言いたいのかわからない(その実、なにも言っていない)」人間が激増しているが、その「何を言いたいかのかわからない」振りをしながら、巧みに世論を「安全神話」へ誘導する役割を担っているのが開沼だ。原発事故後完全に「いかれた」池田香代子(翻訳家)のように露骨ではないだけに余計にたちが悪い。

2013年集会

◆「M君リンチ事件」隠蔽の主犯格として暗躍した安田浩一の言

そして安田浩一の最近の言動は鹿砦社が出版する書物でお伝えしている通りであるが、とりわけ「M君リンチ事件」隠蔽の主犯格として暗躍が著しい。その安田が「5・3」集会前インタビューで興味深い発言を行っている。在特会についての質問を受けた安田は以下の様に述べている。

――記事化は困難を伴ったのではないでしょうか。

安田 僕は当時から、どうしても記事として取り上げたかったんです。それで新聞社系を含めてあらゆる週刊誌に話を持っていったんですが、すべての媒体に断られた。
 編集者の中では在特会の存在を知っている人もいたし、彼らが醜悪だということも認める。でも、彼らのロジックを誌面に反映させたくない、もっと言うと彼らのカギ括弧を載せると誌面を汚す、誌面で扱うことで何より彼らを認知してしまう、放っておけばいいんだと言われた。「あんなのが社会的な支持を得るわけがないから、放っておけば消えてなくなるんだ」と。
 それは編集者のスタンス、保守・リベラル問わず、口をそろえて同じ事を言ったわけです。僕はそのときまでは、半分同意しつつ、同時に何を逃げているんだろうという思いもやっぱりあったわけですね。だって、現実に目の前に「外国人を叩き出せ」と叫ぶ人間がいて、しかもそれなりの動員力を持ちつつある。社会現象として無視していいのかという思いは僕の中にもあって、悶々としたものを抱えていたわけです。

このインタビューの「在特会」を「M君リンチ事件」に置き換えてみよう。

――「M君リンチ事件」の記事化は困難で、鹿砦社はどうしても記事としてとりあげたかったんです。それで新聞社系を含めてあらゆる週刊誌に話を持って行ったんですが、すべての媒体に断られた。――

歴史は巡るというが、わずか数年で主客転倒している現実には、唖然とする。そしてコーディネーターは茶髪の売れっ子、津田大介。亡き小尻記者はこの人選をどう感じるだろう。

◆古市、田母神、香山リカ──あきれ返るほどの人選の不見識

しかし、凋落はそんなものではない。2014年の同集会のテーマは《戦争なんて知らない ――「断絶」と向き合う》で、パネラーは古市憲寿(社会学者)、西谷文和(フリージャーナリスト)、中田整一(ノンフィクション作家)、田母神俊雄(元航空幕僚長)だ。西谷、中田両氏はしっかりした仕事をしている方だが、古市は先に述べた「何かを言っているのだろうが何を言いたいのかわからない」社会学者の筆頭であり、さらにどうして田母神を呼ぶ理由があるのだ。この集会は朝日新聞労組が企画する、私的な集会であるから誰を呼ぼうが自由だ。よってそれに対する批判も自由が担保される。何たる人選かとあきれ返る。不見識にもほどがある。

2014年集会
2015年集会
2016年集会

それでも止まらない。2015年の《戦後70年 メディアの責任 1億総発信社会で》には、憲法9条2項改憲主義者の高橋源一郎(作家)、御厨貴(東京大学名誉教授)、瀬谷ルミ子(日本紛争予防センター理事長)、西村陽一(朝日新聞取締役編集担当)が並び、コーディネーターは堀潤(ジャーナリスト)が登場。さらに2016年の《デモ×若者 社会は変わるのか》には、最近しばき隊リーダーの感がある、香山リカ(精神科医)と五野井郁夫(高千穂大学経営学部教授)、言説「巧み」な隠れ右翼こと佐藤卓己(京都大学大学院教育学研究科教授)、千葉泰真(SEALDs、明治大学大学院生)のお歴々が……。コーディネーターはまたしても津田大介。

◆労組までもが朝日の真似をすることもあるまいに

そしてきょう行われる《「不信」「萎縮」を乗り越えて》のパネラーは、再度、憲法9条2項改憲主義者の高橋源一郎(明治学院大学教授)、西田亮介(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授)、高橋純子(朝日新聞政治部次長)で、コーディネーターは佐藤優のように、何を聞いても知っている、だけれどもあなたの本音はいったい何なの?と質問すると「いい質問ですね」とは答えてくれない、ヌエのような池上彰だ。

そりゃ負けるだろう。改憲論議でも、阪神支局襲撃事件でもこんな連中が論陣を張っているようでは。朝日新聞への幻想と幻滅。労組までもが会社の真似をすることもあるまいに。もう日本国憲法は死んでいる。

鹿砦社代表・松岡と「デジタル鹿砦社通信」管理人が共同して朝日新聞阪神支局襲撃事件の直後に緊急出版した『テロリズムとメディアの危機~朝日新聞阪神支局襲撃事件の真実』。日本図書館協会と全国学校図書館協議会の選定図書にもなった

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

7日発売『紙の爆弾』6月号!森友、都教委、防衛省、ケイダッシュ等今月も愚直にタブーなし!

検証「みれぱ」としばき隊、カウンター〈2〉大学講師、岡本朝也の未熟な思想

 
 

 
前回の本コラムでご紹介した通り、今回の主人公はこのパネル展実行委員会の共同代表の一人である岡本朝也である(もう一名の代表者、能川元一も関西の「カウンター」運動の参加者だ)。

毎日新聞デジタル版2017年4月20日

◆岡本朝也は関西大、甲南大等の非常勤講師

岡本朝也は、1969年奈良県生まれ。関西大学、甲南大学等で非常勤講師として教壇に立っている。専門は家族社会学。内縁の妻は桃山学院大学社会学部准教授の村上あかねである。

ツイッターでは「るまたん」と名乗っているが、これは仏語の“le matin”(英訳すると“the morning”)を自分の名の「朝也」に当てはめたものであろう。

なお、岡本は「岡本弘二」「岡本交人」という変名を使っていることがある。その理由は岡本に過去、逮捕歴があるためだと思われる。

◆岡本朝也はリンチ事件前までM君と親しかった

岡本はリンチ事件の被害者M君と同様、2013年の初期から関西の「カウンター」に参加していた。ただし岡本は関西の「カウンター」関係者の中では、やや浮いた存在であったようである。M君によると、李信恵や凡ら当時の関西の「カウンター」関係者の中心人物は岡本を一方的に毛嫌いしていたらしい。

特に後にリンチ事件の主犯となるエル金の岡本に対する嫌悪は凄まじく、エル金は岡本のことを、当人のいないところでは「あいつはコミュ障(編集部注:「コミュニケーション障害」の通俗的略称。差別感情に溢れた言い回しである)やから居場所を求めてカウンターに来てるんや」と言い回っていたそうだ。これは岡本が野間易通に対して批判的な意見の持ち主だったことが原因とみられる。ここにも「しばき隊」の歪(いびつ)な構図が見て取れる。

M君はこれら「カウンター」関係者の岡本に対する冷遇には、度々苦言を呈していた(つまり岡本をかばっていた)。このことがM君と加害者らとの確執を深める一因にもなったことは岡本自身も認めている(後詳参照)。
 
また岡本は、2014年4月の凛七星の逮捕においても、他の大多数の「しばき隊」=「カウンター」関係者とは異なる態度をとった。多くの「しばき隊員」が沈黙を決め込んで凛を見捨てた。また後に「M君リンチ事件」を引き起こした凡や李信恵のように、凛の逮捕を好機ととらえ、運動の「ヘゲモニー」掌握に血眼になる連中を横目に、岡本は仲間である凛を見捨てずM君とともに凛の支援をしていた。このようにリンチ事件発生前、岡本はM君とは親しかった。

2014年になると、関西における「カウンター」運動は凡や李信恵の専横がひどくなり、M君や岡本は、独自の路線を模索していたようだ。次のようなやり取りを、「秘密裏」に行っていたことから、当時からいかに「カウンター」内部の風通しが悪かったかを窺い知ることができる。

 
 

◆しばき隊の十八番! 岡本朝也は手のひら返しでM君を裏切った

M君リンチ事件発生後間もない2014年12月20日、作家で法政大学教授の中沢けいが「男組」組長の高橋直輝こと添田充啓とともにわざわざ大阪まで来て、事件の隠蔽工作を行ったことは、『反差別と暴力の正体』第4項および第5項において取材班が詳述した通りである。

このとき、中沢と添田はM君と親しかった凛七星、岡本ともう1名に対し、M君の刑事告訴を阻止するように要請している。そして中沢の要請をただ一人忠実に実行したのが、なんと岡本である。翌21日M君は岡本の求めに応じて面会しているのだがM君はこの時に、中沢らの来阪を岡本の口から聞いたという。同日岡本はM君に「中沢先生もエル金側についた」と伝えている。岡本によると中沢は「私は何があってもエル金を守る」とまで宣言したそうだ。

事件について、M君はあくまで徹底究明の姿勢を崩さなかったためか、年改まって2015年1月17日、岡本は直接にM君に「刑事告訴をするな」と強要している。かつては親しかった岡本の口から、こんなセリフを聞かされたM君の落胆と失望は察するに余りある。

その後、2015年1月29日岡本は言い訳がましく次のようなメッセージをM君に送りつけている。岡本はリンチ事件が起きた背景には「自分にも責任がある」と明言している。しかしその後岡本は、自身が認める「責任」一切とっていない。「責任」という言葉をここまで軽々しく扱う岡本が、日帝の「戦争責任」にも言及したパネル展の代表者なのだ。一般の方には隠蔽されたこういった欺瞞を「茶番」という。

M君は岡本が刑事告訴の断念を強要したことにつき、抗議の意を示しているが、それに対する岡本の回答は大臣並みに立派である(つまり嘘くさいということだ)。岡本はM君に「刑事告訴をするな」と迫ったことに「倫理的に批判されるいわれは全くない」と開き直っている。岡本が堂々とそのように言っているので、M君とのやり取りの一部始終を公開されても岡本に文句はあるまい。ここにご紹介しよう。岡本とM君のやり取りは、岡本の人間性を理解するうえで極めて重要であるので、「私信の公開」云々などというご都合主義的批判を、取材班は一切唾棄することをあらかじめ申し上げておく。

 
 

この後M君と岡本の間に連絡はないが、岡本は2015年5月「エル金は友達祭り」に参加している。

「エル金は友達祭り」とは、2015年5月1日から2日にかけて、「あらい商店」店主(当時)の朴敏用が、M君を精神的に追い詰めることを目的に、多数の「しばき隊」=「カウンター」関係者を扇動し、一斉に「(リンチ事件主犯の)エル金は友達」という書き込みを行った出来事のことである。冒頭述べた通り、岡本とエル金の確執はとくに深かったにもかかわらず、岡本は不思議な人間だ。

リンチ事件が明るみに出てからも、岡本は「あれは喧嘩だった」「レイシストを利することをするな」等と、M君への「セカンドリンチ」に余念がない。もはやいちいち紹介しないので、2016年5月頃の岡本のTwitterなりFacebookなりをご覧いただきたい。

◆岡本朝也は思想的に「うろたえ続けている」ことを白状している

ここまでお読みいただいた読者にはもはや説明するまでもないだろうが、岡本は「運動内部のヒエラルキー」への「忖度」にいそしみ、意思も良心もかなぐり捨てて「運動内部の暴力的権力構造」に媚びへつらっている。そして、身近で起きた暴力事件、それも親しかった被害者M君に刑事告訴の断念を迫って恥じることもない。このような人物を代表者にすえ、そして関係者が皆それを知って平然と展示を開催し続けている。それが「未来のための歴史パネル展」(みれぱ)の実態である。

岡本はM君に向けて「うろたえるだけ」と何度も語っている。そうだ。いい年をして、大学で教鞭を取りながら、責任や論理矛盾にも気が付かない岡本の如き人間は、一人で「うろたえ続けて」いればよいのだ。善人面をして毎日新聞に報じられた岡本はまだ「自分自身」が理解できていない。岡本は三田誠広の「僕って何」をまず読むべきだ。岡本は毎日新聞の記事中、「誰が悪いというのでなく、人類の犯した事実を共有したい」と言っている。そんなことはないだろう。中国への日本侵略に当時の中国人民が責任を有するのか。朝鮮半島の植民地支配に朝鮮半島の人民が責任を負うというのか。岡本の主張はつまるところ、安倍や自民党、改憲勢力の主張と変わりない。何よりも岡本自身が終始思想的にも「うろたえ続けている」ことを白状しているに過ぎない。(続く)

毎日新聞兵庫版2017年4月20日朝刊
(鹿砦社特別取材班)
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連合と民進党は解体せよ!「真っ当な労組」なしに「真っ当な野党」は育たない

連合HPより
wikipedia「連合」項より

今日はメーデーだ。東京の「連合」(日本労働組合総連合会)系集会には小池都知事がゲストで呼ばれるという。ご同慶の至りである。メーデーは労働者の祭典、戦う意思を確認する日のはずだが、そこにどうして「保守」の小池都知事が呼ばれるのか。いや、振り返れば別におかしなゲストは、これが初めてではない。郵便局をぶっ壊し、ブッシュの進めたアフガニスタン、イラクへの侵略戦争を世界一支援した小泉元首相もこの大会に呼ばれたことがある。

◆1987年の「連合」発足──この国の労働運動が骨抜きにされた一大転換点

そもそも出自からして「連合」は御用組合化が運命づけられていた。元社会党系を支持していた「総評」(日本労働組合総評議会)が、国鉄解体を機にガタガタにされ、民社党を支持していた「同盟」(全日本労働総同盟)と合体をしたのは1987年11月20日のことだった。今日の安倍政権による急速な反動体制の暴走を「小泉・竹中」の新自由主義から、と規定する方が多いが、私は「総評」解体「連合」発足が、この国で労働運動の決定的な骨抜きが行われた一大転換点だと考える。

その仕掛けは労働界内外から行われた。今では野党の共同代表におさまり、あたかも世直しはこの人しかいないと、80年代には予想もしなかった凋落と評価の変わりようのO氏は、中曽根政権下で国鉄潰しに直接手を下した本人である。

◆超A級の戦犯として山岸章

そして超A級の戦犯として山岸章の名前を挙げなければならない。山岸は電電公社(現NTT)の情報通信産業労働組合連合会の委員長でありながら、「総評解体」=「連合設立」をもくろみ暗躍し、「連合」発足後は初代の会長に就任する。そしてめでたくも2000年4月、山岸は勲一等瑞宝章を受勲している。日本における今日的労働組合運動の退潮と腐敗をもたらした山岸の罪は万死に値する。連合会長就任後、山岸はテレビに知識人ズラをして登場しては、労組潰しの立役者として、間抜けな司会者やコメンテーターからおだてられ、いい気になっていた。

当時、豪州出身の私の友人は、「山岸の役割は、ボブ・ホーク(ロバート・ジェイムズ・リー・ホーク、Robert James Lee Hawke)と同じだ」と語っていた。ボブ・ホークは豪州で1983年から1991年まで首相の座にあった自分物だが、彼がオーストラリア労働組合評議会(Australian Council of Trade Union, ACTU)を骨抜きにして、日本の「連合」化させた役割と山岸の役回りがそっくりだと聞いた。もっとも豪州の労組は「連合」とは比較にならない闘争力をまだ保持はしていたが、20世紀後半資本主義国での労働運動解体に一役買った人物という点で二人には共通点が多かった。

連合2016~2017年度パンフレットより
連合2016~2017年度パンフレットより
wikipedia「民進党」項より

◆「連合」が支える民進党の堕落

そして、「連合」が支える民進党の堕落はどうだ。長島昭久が「憲法について執行部と考えが違う」と離党。細野豪志も執行部の憲法改正に関する姿勢に不満がある」として民進党代表代行を辞任した。「民進党執行部の憲法についての考え方」などはどうでもよいのだが、長島も細野も要するに自民党同様の「改憲」がしたい、という人間なのだ。長島はそのタカ派ぶりを昔から隠すことなく、海外派兵推進、憲法改正を口にいていたし(ちなみに長島の大学時代の指導教授は小林節だ)、細野は静岡選出の議員だが、ルポライターの明石昇一郎さんに「原発のことを教えてください」とわざわざ質問をして「ああそうなんですか」と原発の危険性を「理解したフリ」をしていた人間だ。芸能人との不倫写真を撮られたり、どのみち期待する要素が「ゼロ」の人間なので驚くには値しない。

問題は長島、細野のような「廃棄物」が民進党議員の中では決して珍しくはないとうい事態だ。なぜなのか。それは連中の頭の中に理想とする社会像がないからだ。仮にあってもそれは自民党の連中が発想するそれと大差ない。だから民進党は一向に支持率が上がらないし、どんどん勢力が弱体化してゆくのだ。しかもそこに「投票」をちらつかせるのが「御用労組の集合体」連合では、どうしようもない。

じゃあ、だれを選べばいいの?……との質問が当然予想される。私は自公には投票しない。民進党にも入れない。それ以上は言わない。

◆「真っ当な労組」なしに「真っ当な野党」などあり得ない

民進党は一刻も早く解党し、また「連合」も解体すべきだ。少々時間がかかるかもしれないが、「真っ当な労組」がなければ、「真っ当な野党」はあり得ない。労組は組合員と全労働者の利益を追求して、経営者と対峙する本来の役割を取り戻せば良いだけのことだ。非正規雇用が4割に達し、「食えない労働者」が激増する資本主義末期にあって、内部留保を腐るほど貯めこんだ大企業からそれを吐き出させ、労働者にしかるべく分配を要求するのだ。労働運動の役割は経営者のお手伝いではなく、労働者の権利・利益の追求だろう。

民進党HPより

◆「与党案に反対」が野党の旗幟

また、民進党解党後の野党は「自民党の提案には何でも絶対反対」の旗幟(きし)を鮮明にすればよい。民進党が民主党時代にどうして消費税の引き上げなどを言い出したのだ。菅直人元首相が財務官僚に嵌められて妄言を吐き出したのかもしれないが、消費税率上昇が税収の低減を招くことは過去の実績で明らかじゃないか。「消費税亡者」の中には税率を20%に上げないと……など寝言は寝てから言え!と怒鳴りつけたくなるような間抜けな論を平気でのたまう輩がいる。間違っている。彼らが求めるように「経済成長」を数字で確認したいのなら、まず消費税を全廃してみろ。どれだけ消費が喚起され、内需が潤うことか。そして消費税に苦しめられている中小企業や、低所得世帯が喜ぶことか。財源? 東電に無担保で20兆円貸せるんだろう。それを回せばおつりがくるじゃないか。

と、いうのが野党的には当たり前の姿勢だと思うのだが、小池都知事登場にヤジの一つも飛ばさずに拍手しているうちは、すべて望み薄だろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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検証「みれぱ」としばき隊、カウンター〈1〉金明秀関学大教授と林範夫弁護士

 
 

「M君リンチ事件」の情報が鹿砦社にもたらされたのは、2016年2月のことだった。ことの重大さに驚いた鹿砦社は特別取材班を結成し、取材に乗り出して1年余、M君リンチ事件の全容解決にまでは未だいたらないものの、その一定の成果は『ヘイトと暴力の連鎖』『反差別と暴力の正体』の2冊として 世に出すことができた。M君の裁判も今なお継続中であるが、真相解明とM君の権利回復の一助にはなれたのではないかと、取材班も自負している。

ところで、きょう4月28日は、取材班にとっては忘れえない日である。1年前の2016年4月28日、M君リンチ事件が1年以上にわたる隠蔽工作を打破して明るみに出される先鞭をつけた『週刊実話』による報道があった日であったのだ。奇しくも今日はM君の裁判の弁論準備手続の期日でもあり、取材班としても運命的な巡り合わせを感る。そこで最近行われた、しばき隊関連の行事を、4回シリーズでご紹介する。

◆しばき隊が深く関与する「未来のための歴史パネル展」(「みれぱ」)

「未来のための歴史パネル展」というパネル展活動を行う団体がある。「みれぱ」と略称されているこの団体は、「日本における歴史修正主義と闘う」といったようなことを目的に、2014年に準備が始まり、2016年1月から本格的に活動している。これまで関西を中心に10回以上のパネル展示を展開している。パネル製作等の費用は、寄付により充当されているようで、「李信恵さんの裁判を支援する会」とは違って、実行委員会によりインターネット上で会計報告も公表されている。過去の活動等の詳細については、彼らのホームページやフェイスブックページを参照されたい。

◎「未来のための歴史パネル展」ホームページ http://mirepa.tumblr.com/
◎「未来のための歴史パネル展」フェイスブック https://www.facebook.com/mirepa/
つい先日、4月22日と23日にも、神戸でパネル展示をやっており、これについては4月20日に「日本と朝鮮 パネル展」という見出しで毎日新聞の地方版において報道された[写真1]。

[写真1]毎日新聞兵庫版2017年4月20日朝刊
毎日新聞デジタル版2017年4月20日

なぜ取材班がこのパネル展に注目するのか。それはこの「未来のための歴史パネル展」は「しばき隊」「カウンター」の関連事業であり、なおかつM君リンチ事件とも無関係ではないからだ。そして、取材班は「未来のための歴史パネル展」においてもまた「しばき隊」「カウンター」およびこれに連なる運動、人物らに共通する、筆舌に尽くしがたい腐敗の事実を突き止めたのである。

◆「みれぱ」と「しばき隊」「カウンター」とのつながり

おそらく当人らは否定するであろうが、「未来のための歴史パネル展」(みれぱ)は明白に「しばき隊」「カウンター」とは密接な関係がある。百聞は一見に如かずという。これをご覧いただこう。

「未来のための歴史パネル展」実行委員会の役員一覧

「未来のための歴史パネル展」実行委員会の役員一覧
 
 

これは、2015年6月29日付で公表された、「未来のための歴史パネル展」実行委員会の役員の一覧である。これ以降現在にいたるまで役員の変更があった旨は公表されていないので、現在も役員の体制はこのままだということであろう。まずは「顧問」の面々にご注目いただきたい。

筆頭に名前が挙がっているのは、関西学院大学社会学部教授の金明秀だ。金は社会学者としてよりも、M君リンチ事件の最も悪質な「セカンドリンチ」を行った二次加害者の一人としての悪名の方がはるかに高いのではないだろうか。2016年5月18日にM君への恫喝書き込みを行ったことを筆頭に[写真2]、リンチ事件に関する金の所業の詳細は『反差別と暴力の正体』第4項において触れたので割愛するが、M君が弁護士とともに関西学院大学社会学部まで出向いて抗議したにもかかわらず、現在に至るまでこの件について金明秀本人からも、関西学院大学当局からも、M君に対して一切の謝罪がないことは改めて強調したい。金はこの他にも複数の暴力事件を引き起こしており、このような人物に教授職を与えている関西学院大学の良識も疑われるところだ。

[写真2]金明秀=関西学院大学社会学部教授のツイッター書き込み

弁護士の林範夫(イム・ボンブ)。ここでの肩書は弁護士だが、林は(特非)コリアNGOセンターの代表理事という顔も持つ。コリアNGOセンターは「反ヘイトスピーチ裁判」と称する李信恵が在特会らを訴えた裁判の事務局を担当しており、M君リンチ事件の隠蔽工作と二次加害に最も深く関与した組織である。

これだけ見ても、「未来のための歴史パネル展」実行委員会と「しばき隊」「カウンター」の繋がり、さらにはM君リンチ事件とは無関係とはいえないものだが、今回取り上げるのは金や林ではない。共同代表の一人であり、毎日新聞の取材も受けた岡本朝也(弘二、交人というような変名を使っていることもある)、この人物が、今回の特集の「主人公」である。

岡本の人となりについては続編で報告する。

(鹿砦社特別取材班)

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今村復興相激怒から見えるメディアの腐敗

東京電力福島第一原発事故の自主避難者に対する発言で批判を浴びた今村雅弘復興相が4月21日の閣議後記者会見で、フリーランスの記者からの質問を「もういいよ」と遮る一幕があった。

記者は「自主避難者への住宅支援が打ち切られ、行き場のない人もいる。国が調査しないと、実態が分からないのでは」と質問。今村復興相は「いろんな方がいらっしゃる。よく聞いてから対応したい」と答えた。同じ記者が「把握できるのか」と再質問しようとしたところ、いらだった様子で「もういいよ。他の人どうぞ」と質問を打ち切った。会見の最後にも質問されたが、答えずに退席した。

今村復興相は4月4日の会見で、同じ記者とのやり取り中に激高し、自主避難者が帰還できないのは「本人の責任」と発言。その後、謝罪して撤回し、「感情的になりおわびする。今後は冷静に対処したい」と釈明していた。

◎<今村復興相>また質問打ち切り(2017年4月21日付毎日新聞)

 

◆今村は正直だ

今村は正直だ。各官庁に設けられた記者クラブ所属の記者から、本質を突く質問が発せられることは、まずない。定例で行われる首相官邸での記者会見の様子をご覧になればわかる。幹事社が質問者に挙手をさせ、指名された記者が「○○新聞の○○ですが」と名乗り、机の上に薄く積もったホコリふき取るような、上っ面の質問しかしない。会見に参加している他の多くの記者は、その質疑を聞きながら「タイピング専門家」と化してひたすらパソコンのキーを叩いている。それはジャーナリストの姿ではなく、いかに早く発言を入力できるかを勝手に自らに課した、技術職の競い合いだ。あんな弛緩した記者会見に意味はないし、あの場所で何かが暴かれることも金輪際ありはしない。

それでも「失言」という名の「暴言」を吐いてしまう不注意者が時に現れるが、あれは「今日は無礼講だから」という宴会で「いやここだけの話、うちの会社ブスが多いね」と発言する社長のようなものだ。人間として最低限の資質さえない大間抜けしか今の記者クラブでは、「不都合な事実」を暴かれることはないのだ。

 

◆記者クラブという「村社会」

そもそも記者クラブという、一部大手マスコミにだけ振り当てられる「特権部屋」で行われる会見では、なれ合いが常態化し、鋭い質問など許されない「村社会」が形成される。近年、マスメディアの見事なまでの凋落急速の根源にはいくつかもの要因があるが、記者クラブの弊害はその主たるものである。

復興省は、東日本大震災を受けて発足した時限付きの例外的省なので、ここには記者クラブがなく、フリーの記者も入ることができる。だから、フリージャーナリストの西中誠一郎氏が今村復興相に質問することが可能であり、彼はジャーナリストとしてごく自然な質問をぶつけただけの話である。

 

◆今村の激高が示すもの

4月4日の会見で、
西中氏 「福島県だけではありません。栃木からも群馬からも避難されています」
今村大臣「だから、それ……」
西中氏 「千葉からも避難されています」
今村大臣「いや、だから……」
西中氏 「それについては、どう考えていらっしゃるのか」

この質問の後に今村復興相は「うるさい!」と激高した。何がうるさいものか。取材者としては至極基本的な質問ではないか。今村の激高はこの程度の質問も日常の会見では、ほとんど受けていないことを示す結果となった。

◆「森友問題は終わり。政治にこれ以上追及が及ぶことはなくなりました」

 

知人の全国紙記者が先日「森友問題は終わり。政治にこれ以上追及が及ぶことはなくなりました」と連絡してきた。「なにを寝ぼけたことを言っているんだ。やる気が全然ないのか君たちは?」と毎度のことながら呆れかえった。総理大臣夫人が「公人」か「私人」などという議論は、小学生1年生が交通安全のルールを教わったあと、確認のテストをしているレベルの話で、議論すること自体を恥じ入らなければならない。国の最高権力者の夫人は現行法を基準にすれば「公人」に決まっている。だから安倍自身が「私もしくは私の妻が関与していたら、総理だけではなく議員も辞職する」と大見得を切ったではないか。

これほど明白なスキャンダルを目前にして、それを「狩る」生理がなければ、報道関係者はその職を辞すべきだ。「政治にこれ以上追及が及ぶことはなくなりました」と伝えてくれた大手紙記者の発言は「もうこれ以上追及する気はありません」と正確にその意味が翻訳されなければならない。そうであるならば、君たちはいったい何のために大手メディアに勤務しているのだ。何が起ころうが、起こるまいが交通事故と戦争の危機を等価に報道するような「職業道義的犯罪」のルーティンに乗っかっていれば、高額の禄が保証されている。その生活を維持したいだけなのか。それならば一般企業の会社員と同じだろう。

 

◆マスメディアは「権力」である

今日、マスメディアは言うまでもなく「権力」である。そのマスメディア「権力」が「政治権力」と対峙する中で、本来のバランスが維持されるはずだ。しかしこの国の報道の歴史を紐解けば、江戸時代にさかのぼっても、本質的に「政治権力」に長期間にわたり腰を据えて立ち向かった「反権力」報道機関が存在した痕跡はない。もちろん、明治以降はそうであるし、大正、昭和、さらには戦後の含め「反権力」ジャーナリズムの歴史は極めて希薄である。時にみられるのは「ゲリラ的」ジャーナリストの活躍だけだ。

今回今村を激怒させた、西中誠一郎氏はヒーローでもなんでもない。当たり前の質問を当たり前にぶつけただけのことだ。それがあたかも奇異な事件のように扱われるのは時代が歪であるからだ。歪曲されているのは今日的社会であって、個ではない。


◎[参考動画]「もういいよ」〜復興相が再び質問打ち切り(OPTVstaff2017年4月21日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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