内閣が改造された。だが安倍自公政権が続く限り、何度内閣が改造されようと、党役員人事がどうなろうと、些細な変化すらない。微塵の期待や希望があるとすれば、その全ては的外れである。

「自民党は変わった」との分析を耳にすることがある。そうだろうか。大派閥による党内の権力闘争が姿を消し何でもかんでも右から左へ党内の軋轢なく、諸事つらつらとつつがなく処理される様子は伺えるが、それはプロセスの話しであって、この政党に集まる人種の本質や政策は何一つ変わりはないのではないか。

◆宏池会=「リベラル」の幻想

リベラルを伝統としていると自称する「宏池会」系議員の誰がこの数年安倍の暴走に歯止めをかけようと行動や発言をしただろうか。

谷垣禎一は法務大臣就任中にいったい何人の死刑を執行したか。

河野談話を出した河野洋平元衆議院議長は謝罪の意を表すのであれば、何故強く求められた国による賠償に尽力しなかったのだ。

その息子、今回入閣を果たした河野太郎は「脱原発」を売りにしていたけれども、国家公安委員長に就任したのだから、反原発集会やデモにおける、警察の暴力や警備を止めさせるか。

◆公明党=「平和の党」の幻想

さらにこの期に及んで派手な旗を引っ提げて国会前に登場した公明党を支持する宗教団体の方々「我々は平和を求めていたのに騙された!裏切られた!」と叫び、集会参加者からはたいそうな歓迎を受けていたが、あの方々は解釈改憲や秘密保護法、マイナンバーや派遣法、刑事訴訟法改悪にはいかなる見解をお持ちなのだろか。騙されていた? 笑わせるな。選挙になれば上からの命令を忠実に履行し、毎回約800万票を自民党政権延命の為に提供する集票マシーンが今さら「騙された」だと?

新聞紙上で内閣改造のたびにはあれこれ論評が飛び交う。意味のないニュースとはわかりつつも新聞人は紙面を埋めるのが仕事だから的外れな識者談話などを飾りにして紙の無駄遣いを止めることが出来ない。

冒頭でも述べたが、私が簡潔に解説する。

内閣が改造された。だが安倍自公政権が続く限り、何度内閣が改造されようと、党役員人事がどうなろうと、些細な変化すらない。微塵の期待や希望があるとすれば、その全ては的外れである。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎NO NUKES! NO WAR! 板坂剛と松岡社長がデモの先頭で「反原発×反戦」を叫ぶ!
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すっかり秋真っ盛り。TPPは妥結、23人目のノーベル賞受賞者誕生、ラグビーはW杯で未曾有の2勝、阪神は終盤で例年通り凋落と目出度いのやら、怪しいのやら見極めにくい日替わりの新聞の見出しは横目で眺めていればよい。

今、あまり知られてはいないかもしれないけれども、書店では1つの「事件」が進行している。何を隠そう、鹿砦社が全力を傾注し季刊で発行している『NO NUKES voice』5号が俄然注目を浴び読者が拡大しているのだ。

例えば、さる9月23日代々木公園で「さようなら原発 さようなら戦争全国集会」が数万人の結集で行われたが、鹿砦社は盟友「たんぽぽ舎」ブースを拠点に『NO NUKES voice』宣伝チラシ配り闘争を貫徹した。その数1500枚。集会参加者のほとんどが快く受け取って下さり、「知ってますよ!買ってるよ」との声も多数頂いた。

◆デモの先頭で横断幕を持った板坂氏と松岡社長が渋谷の街を練り歩く!

松岡社長以下鹿砦社の街宣行動はチラシ配り闘争貫徹で勝利を見たのだが、状況はそれだけでは許してはくれなかった。なんとデモのほとんど先頭で横断幕を持って歩いてくれとの要請が!

勿論デモ程度に怯えるヤワな我々ではない。しかも何故か「あの」板坂剛氏が赤い心に赤いシャツを纏い隊列に加るのだという。板坂氏はデモ開始前に「渋谷で大暴動を引き起こす!」と不敵な宣言を小声で発する。皇室ポルノ事件で『噂の真相』を震撼させて以来、この人行くところにはなにかが起きる。果たしてどんなデモになるのだろうか・・・。



(渋谷は大混乱に陥った。数万の人民がデモ隊に合流し「安倍打倒」を連呼し、スクランブル交差点では渦巻きデモが唸りをあげ、渋谷界隈は完全な「解放区」となった)

という夢を見たが、どこまでが事実でどこからが妄想か区別がつかない。そうだ写真が残っている。どうやら「渋谷大暴動」は夢の中だけだったようだ。デモは成功裏に無事終了した。しかしデモの先頭で横断幕を持つ松岡社長の姿に違和感を覚えるのは私だけであろうか(これって彼の言う『焼香デモ』じゃないの・・・?)。

◆沖縄の書店では岩波『世界』の横に『NO NUKES voice』が並べられていた!

しかしもう一つの写真がある。読者から提供を受けたこの写真は、先月沖縄の大手書店で撮影されたものだ。

よく見てほしい。岩波の『世界』の横に『NO NUKES voice』が並べられている。この事実に「ヤマトンチュ」は震撼しなければならない。反原発の視座から「福島―沖縄犠牲のシステム」を特集した同号が、このように闘いの最前線、沖縄で「世界」の隣に平積みされているのだ。私は「『世界』の横に並んでるぞ!」と浮かれているのではない。戦いにおいて「権威」など何の役にも立ちはしない。最前線に位置する人びとが持ち合わせる繊細な感性こそが本質を射抜くのだ。それを証明しているのが沖縄における『NO NUKES voice』5号に向けられる視線である。

反原発を語るにあたり、反戦争、反差別は当然すぎる前提であって、それらを排除したいわゆる「シングルイシュー」的取り組みなど何の力も持ちえないことは、賢明な読者諸氏には語るまでもないだろう。

単視座に陥ることなく、そして「タブーなき」視点から『NO NUKES voice』は問いを、戦線拡大を訴え続ける。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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頼みもしないのに、またしても私たちにまとわりつく腹黒い網が一斉に投げ掛けられた。政府に言わせるとこの投網は「マイナンバー」と呼ばれるらしい。

税金、年金から預金や保険に至るまでを包括してひとくくりに掌握し「セーフティーネット」の強化を図って下さる由。結構、結構御同慶の至りである。

◆受給資格者が順次「死んでくれるのを待っている」日本年金機構

「消えた年金記録は最後の一件まで解決する」と当時の舛添要一厚労大臣は大見栄を切ったけども、看板だけかけ変えた旧社会保険庁(現日本年金機構)はとうの昔に照合作業に見切りをつけ、あとは受給資格者が順次「死んでくれるのを待っているようだ」と、派遣で照合作業を請け負っている知人は語っている。ところが当の知人も契約満了で間もなく職を失うという。

「消えた年金記録」のあと今年に入り120万件の個人記録が外部に流出した。

ボロボロである。

年金記録だけでも、ろくに適正運用出来ない行政が税金や、貯金の情報まで一元管理するのだ。

この制度は必ず破綻する。否、破綻してもらうべきである。

◆欠陥だらけの「マイナンバー」行政よりも庶民の方がしっかりしている

「住基ネット」でハコモノではない巨額の公共事業のモデルケースを確立した官僚と企業にとって「マイナンバー」は格好の錦の御旗、あちこち穴だらけの欠陥システムはすぐにボロが噴出するであろうと予言しておこう。

そして何よりも「マイナンバー」が正常に機能し出せば、悪夢のような管理社会の完成だ。

「セーフティーネット」の強化などという、子供騙しを信じている人はさすがに少ないようだ。「戦争推進法案」なみに庶民には何がなんだかサッパリ意味がわからず、自宅近所の金融機関に聞いたところ、9月末個人口座からの引き出しが相次ぎ、一時窓口での待ち時間が二時間を超えたそうだ。

案外庶民はしっかりしている。

この町では一度も「マイナンバー反対」の署名活動やチラシを見たことはないが、庶民は物言わずにそれなりの自衛(抵抗)をしているのかもしれない。

こと、この腹黒投網、国民総背番号制度を私たちは一度も要請したことはないのだから、せめて名称を”Their Number”(奴等が勝手に割り振る番組)と改称させようではないか。

どこをどう読んでも国民、特に社会的弱者への視点が皆無であるのに、「セーフティーネット」に役立つ道理は1%もない。

言わずもがな、連中の真意は徹底した徴税と福祉の切り捨て、そして際限なき管理社会の実現だ。

敵による、敵の為の制度を「マイナンバー」などと私は承認しない。

「奴等による強制的国民総背番号制度」、本質はあくまで“Their Number”だ。

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読者から、山口組の分裂について書いてくれとリクエストがきたので「筆芸者」としてはすぐ書きたいが、いかんせん情報がない。

9月上旬、山口組から山健組や宅見組など13団体が分離独立して、「神戸山口組」ができた。

ヤクザの論理から言えば、あくまでも山口組本家目線から言えば、飛び出た山健組や宅見組ら5団体は「絶縁」という処分だから、ヤクザの世界に「存在」しないということだ。そして「破門」されたのは毛利組や松下組など8団体。「破門」はかろうじて元の団体に戻る道が残されている。

◆すべてが水面下で極秘裏に進んでいたという点に注目すべし

多くのヤクザが、現状分析や未来予測をしているが、まずは分裂した理由を検証したい。これは、現在、山口組を仕切る六代目組長の司忍が出身母体となる弘道会と、前の組長の五代目、故・渡辺芳則が出身母体の山健組との覇権争いからきているのは否定のしようがない。

「神戸山口組には、かなりのキレ者が参謀としてついていますね」(関東広域暴力団幹部)

その理由とは、山口組が分裂した当初を振り返ると、あれだけの大所帯なのにリークされることなく、すべてが水面下で極秘裏に進んでいたという点に注目すべきだ。

自己主張の強いヤクザを束ねることは難しい。
「でも、今回の分裂騒動でも、みごとなまでの結束力と行動力。また風説等を利用し、マスコミだけでなく警察までも煙に巻いています」(同)

参謀、あるいは軍師的な存在が、初動段階から分裂の絵図を描く。また参謀の手腕で、関東最大の暴力団の会長までが、激励の慰問にまで訪れている。このようなことは、過去の任侠史上類を見ない。

この映像が全国ネットで流れ、驚愕の事実に山口組本家は震撼したという。
「山一抗争の例もありますから、当分は両組動かないでしょうね」(同)

動かなければ逮捕者は出ない。つまり、情報収集に行き詰まるのである。
「情報を集めるため、事務所にガサを入れます。警察のガサの手口で多いのは、建築基準法違反。だが参謀はすべて見とおしていたのです」

◆神戸山口組が本家を淡路島に置いた理由

神戸山口組の本部事務所を、淡路島に置いたのも参謀の案だという。
「あの事務所付近には教育施設、とくに小学校がない。これを一番に考えての本家設立だ、と言われています」(同)

確かに、近くに小学校などの教育施設がなければ、まだ幼い小学生児童に抗争の災渦が及ぶことはない。
「もちろん、山口組初代の墓前の地を本家に構えたのも大きいでしょう。大義云々より、世間に対するインパクトですよね」(同)

日本のシチリア島と呼ばれる、淡路島に本家を構えた神戸山口組。彼らは、世界を席巻したイタリアンマフィアのように、日本のヤクザ界を牛耳ることができるのだろうか。

◆警察の「山口組切り崩し作戦」が成功しつつある

さて、分裂のいまひとつの原因と理由、僕は「高山清司」若頭の長期不在だとみている。旧知のノンフィクション作家も同じ見方をする。
「山口組の組長、司忍が銃刀法違反で2005年12月から2011年4月まで収監されていた不在の間、山口組内の統制が保たれていたのは、高山若頭がにらみを利かせていたから。暴力団排除条例が整備され始めたころ、後藤組の組長、後藤忠政が芸能 人とゴルフコンペを行い、NHKが細川たかしや小林旭、中条きよしなどの出演を数か月も見合わせた件で、後藤を除籍し引退させたのも高山だし、水や歯ブラシを大量に買わせるシステムについて古株の幹部や重鎮から文句が出てきてもなんとかして抑えこんだ。クーデーターを計画しても、情報が事前に漏れ伝わってきて、実行を回避してきた。そうした手練手管を使える高山若頭が2010年11月に恐喝容疑で逮捕され、 昨年の6月に実刑が確定し、府中刑務所に収監されている。その間、司忍組長と司組長の出身母体であり、つぎの山口七代目組長の最右翼候補である弘道会会長・竹内照明が中心になって組織を引き締めるべきだったが、要するに高山若頭のように抑えがきかなかったわけです」

まったくその通りで、もし加えていうなら、警察の「山口組切り崩し作戦」が成功しつつあるとみることができる。

もし山口組を疲弊させるなら、内部抗争が一番てっとり早い。新聞などでは「司忍組長に国税が入るのではないか」と騒がれているが、これは、工藤会の野村悟総裁のところに、税務調査が入り、脱税容疑で逮捕されたのをモデルケースにしているに過ぎない。

◆巷で流れているヤクザ関連の情報は99%、疑ったほうがいい

僕に言わせれば、今、巷で流れているヤクザ関連の情報は99%、疑ったほうがいい。山口組本家にせよ、神戸山口組にせよ、「自分たちの立場を有利に運ぶ」ための誘導弾をまいている可能性がおおいにあるからだ。

そして、自分の幼馴染のヤクザも、取材で知り合ったヤクザも組がどこであろうと、今は口が重く、会うのも難しい。

ヤクザ事情に詳しい影野臣直氏は、山口組が分裂した9月初旬以降、ヤクザが、このところ一律に口が堅くなっ た本当の理由について語る。
「それはそうですよ。何が火種になるかわからないし、どこで飛び火して戦争になるかわからない。今、沈黙は金ですよ」

たとえば、今まで山健組にみかじめを払っていた風俗店が「おい、この際、うちに払え」と弘道会が店長に対してシノギを引きはがしにかかってもなんの不思議もない。

名古屋の一部や北海道の一部では、そうした動きが始まっているという報道もある。

が、前出の影野氏は「そんなのが全国のそこかしこで行われるなんてマスコミの妄想です」と言い切る。
「シマの取り合いなんて、仮にもめるとしても表に出ないようにやりますよ。マスコミが(抗争を)煽りすぎです。ましてや、音が鳴る(拳銃で撃たれる)なんていうのは、よっぽど組どうしの話がつかなったときでしょう」

性風俗の広告代理店によると、たとえば山健組系が運営している風俗店が弘道会系の風俗案内ホームページに掲載している場合、「この際、別れましょう」と山健組系も店がホームページから引き上げたりしてもめたりするのではないかとささやかれているようだ。

「それは裏側をつぶさに見れば対立しているように見えますが、企業舎弟どうしは、うまく共存を図るはず。そんなに簡単にもめるようにはできていません」(影野氏)

そんなわけで、僕の友人のヤクザは9月1日から「しばらく電話には出れない」と言いつつ、フェイスブックも閉じた。

彼が電話に出る時が、「任侠界」が落ち着いたときとなるのだろうか。
その日が1日でも早ければと思う。そして、大阪府警の樋口真人本部長も、工藤会の捜査で実績をあげて大阪府警にやってきたキャリア組で、これでもか、と山健組や宅見組に家宅捜査をしているようだが、いまさらヤクザの事務所にヤバいものが隠されているわけがなく、これはパフォーマンスに等しい。これらの警察のわざとらしいふるまいは次回以降に暴きたい。

そして、今、山口組本家にさまざまな組が訪問しに来ているが、これは「ヤクザが顔を売る絶好のチャンス」だということだ。この「友好団体」の訪問の意義も、近く触れたいと思う。

(小林俊之)

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「平成27年国勢調査」で、個人情報が売買されているという情報があがってきた。とりわけ「芸能人の個人データを集めるのは今しかない」と裏社会系の情報系探偵会社スタッフが言う。
「一番、金になるのが財界人や芸能人のデータですよ。財界人のデータは、家族構成などが帝国データバンクなどでも知られていますが、芸能人の個人データは、5年に一回しか調査がなされないから、売買するビッグチャンスで価値がある。実は、芸能人の自宅が多い、渋谷や目黒の高級マンション周辺や、原宿界隈の国勢調査員を買収して、個人情報を買っている裏名簿図書館があります」

なにしろ芸能人の個人データが労せずにして入手できる。同居人までもが記載事項だ。前出の情報系探偵会社スタッフは言う。
「仮に、国勢調査に応じなくても、『ここ、タレントの●●がいますね』などと言えば、たいていの近隣はこたえてくれる。今、日本でもっとも価値がある情報をもっているのが国勢調査員です。言える範囲では、前に滝川クリステルや、長澤まさみの国勢調査データを金で買ったことがあります。だいたい、芸能人の名簿は100人くらいまとまれば、携帯電話つきながら、100万円くらいで買うクライアントは山ほどいます」

◆『AKB48』や『ももクロ』の個人情報が「ひとり20万円」で売買される?

果たして、本当にこっそりと金で国勢調査のデータを買うことはできるのだろうか。
「近所を回っている国勢調査員を、人目がつかない箇所に連れ込んで現金入り封筒をポケットにねじ込むタイミングが大事。そして耳もとで『3万円入っています』と囁く。断られたことはありません」(同)

腕章と顔写真が入った調査証をひっさげてはいるものの、やはり国勢調査員とて役人とはいっても人のコ。現ナマには弱いようだ。とくに「おいしい」、つまり高く売れるのがアイドルの住所。
「はっきりいって、アイドルの個人住所は高く売れる。もちろん『AKB48』や『ももいろクローバーZ』なんていうのは『ひとり20万円』なんて「賞金」がかけられたほどです」(同)

◆国勢調査の期間に跋扈する偽調査員や代理業詐欺

「国勢調査スタッフの一部が金で買収されて、裏名簿屋に流れているというが知っているのか」と尋ねると国勢調査コールセンターの係員はハンコで押したようにこう繰り返す。
「今回の国勢調査で得た情報は、総務省の国民統計以外に使うようなことはありません。また、情報漏れにも留意しています」

そうはいっても、「なりすまし」て個人情報をビシバシとっていく「ニセ国勢調査員」が全国各地に出現したのは確か。
「老人向け世代を狙い、『これからは国勢調査もネットでしかできません。5000円払えば、代理でインターネットで申告してあげます』という代理業者も跋扈していました。どんなに気をつけても便乗する輩はいるものです」(総務省関係者)

次回から、「個人情報で売買」する連中が誰かを調べる国勢調査を、徹底的にやっていただきたいものだ。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

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本コラムで先日来、お伝えしていたハンスト学生関係者が暮らすシェアハウス「りべるたん」に警察が暴力的に押し入った動画が公開された。
この動画は現場で撮影を敢行したジャーナリスト藤倉善郎さん撮影によるものだ。この動画を見た方々はどうお感じになるだろうか。
私は敢えて多くをコメントしない。ご感想と判断は読者の皆さんの判断に委ねたい。


◎[参考動画]「りべるたん」家宅捜索(藤倉善郎さん2015年9月26日公開)

シェアハウス「りべるたん」に押し入る警官(写真提供=藤倉善郎さん他)

真ん中の男が辻則夫=警視庁公安部公安1課警部補(写真提供=藤倉善郎さん他)

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◎快挙は国会前デモだけじゃない!──6日目124時間を越えた学生ハンスト闘争
◎8.27反安倍ハンストの大きな意味──開始直後の学生4人に決起理由を聞いてみた!
◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す

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1年ぶりに墓参に出かけた。市営墓地は歴史が古く、昨年までは無縁仏の墓石のほとんどが一か所に集められピラミッド状に積み上げられていた。どなたのお墓か存じ上げない数々の戒名を刻んだ墓石のピラミッドは、ちょとした異様ではあった。今年になって無縁仏のピラミッドは跡形もなくきれいさっぱり撤去されていた。誰に充てるともなく記された「市」による無縁墓石撤去の「公報」は、すでに雨水が沁みて読みづらくなっている。

88歳を筆頭に墓参に参加する私たちの一団。年のわりには元気というべきだろう。相応にあちこちガタがきているけれども口数の元気さだけは変わらない。ともあれここ数年身内から葬式を出すことはなかった。身内にとってはありがたい数年間だったというべきだろう。

◆22歳ニューギニアで戦死した叔父の墓

先祖代々の墓の隣に、ひときわ背が高く先端が四角碓の墓石がたっている。22歳ニューギニアで戦死した私の叔父の墓だ。叔父は送られたニューギニアに到着直後に戦死している。1942年戦死の叔父は不幸中の幸いか、遺骨となって帰国を果たし、祖父や親戚が高知港まで出迎えに赴いたと聞いている。

叔父の戦死を知らせる新聞記事が残っている。「お国のために命を捧げた息子を誇りに思もふ」と、気丈に語ったとされる私の祖母は、叔父の遺骨を受け取った駅でただただ泣き崩れ、言葉を発することなどできなかったそうだ。新聞記事はまったくの嘘を書いている。

墓参後の食事の話題は、毎年もっぱら昔話である。傍で聞いていると、何年も同じような話をしているように聞こえる。でもみな楽しそうで嬉しそうだから結構なことだ。連休中で道が混んではいたけども、例年と何変わらぬ墓参の1日が無事過ぎた。

◆誰も「戦争」の思い出を語らなかった

でも思い返せば今年、年長者たちは直接、間接に「戦争中」の思い出を語らなかったことに気が付いた。保守的な土地柄に長らく商売を営む本家の主は、温厚で教養にもあふれる優しい人柄だけれども、こと国防や戦争に関する考え方は私と全く異なる。不義理な私は年に1度平均でしか顔を合わせない叔父と、意味のないいさかいを起こしたくないから、もちろん微妙な話題は避ける。

今年春先からやや体調を崩したためであろうか、昨年よりも叔父はすいぶんと小さくなったように見えた。食事の席で酒が入ると叔父の元気が戻ってきた。あれこれ亡き親戚の思い出話や、近隣住民の悪口、と話しは尽きない。

でも、やはり今年は誰も「戦争」の思い出を語らなかった。かといって「戦争推進法案」の成立が話題になることはない。

私の思い違いでなければ例年と異なっていたのは高齢者の誰もが「戦争」を語らなかったことと、市営墓地のそこここに満開の曼珠沙華の花弁が去年より薄く感じられたことだけだ。ひやっとさせられるほどの毒にさえ近いあの鮮明な曼珠沙華の血色の花が、柄にもなく遠慮深そうに何かを恥じているように色を控えていた。私の錯覚だろうか。

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◎「戦争法案」阻止で街頭の前衛に躍り出た若者たちが「安保闘争」を越える時
◎愛国者たちはなぜ「対米売国」血脈の安倍政権にNOと言えないのか?
◎同志社「良心」の凋落──育鵬社採択を「適切」と開き直る同志社香里中学滝教頭

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[総力特集]安倍晋三の核心!
体調悪化、原発回帰、カルト宗教、対米追従、芸能人脈、癒着企業の深層と真相

「ガサ入れ」、「勾留理由開示公判」、「公妨」、「警備法廷」……。ご存知の方には耳慣れた言葉でも、興味のない方には何のことやらさっぱり意味が解らないかもしれない。でも、この島国に住む全ての人々がこれからは上記の言葉の意味を理解していなくてはならない時代になった。

◆9月16日国会前冤罪逮捕、24日不当ガサ入れに続き、25日は勾留理由開示公判!

9月16日国会前で「戦争推進法案」に反対して集まった多くの人びとの中から、まったくの「冤罪」で13名が逮捕される事件が起こった。

24日被逮捕者に関係する数か所が警視庁公安の「強制捜査」(ガサ入れ)を受け、私もそのうちの1か所「りべるたん」で公安警察と名乗る「暴力集団」の狼藉の一部始終に付き合った(24日付記事参照)が、25日は東京地裁310法廷でまだ釈放されていない6名のうち2名の「勾留理由開示公判」が行われた。

秋雨が降り一気に肌寒さを増す悪天候ながら、開廷予定10時の1時間前には約30名の支援者が集まり、支援集会が開かれた。今回の法廷は悪名高い常時警備法廷である「429号」法廷の隣、「430号」法廷だ。「429号」法廷には33席の傍聴席があるが、「430号」法廷には20席しか傍聴席がない。

傍聴者の数を制限しようとする、裁判所の悪意は明白だったので、事前集会でもそのことへの追求や糾弾発言が相次いだ。午前9時30分、傍聴券の抽選が行われた。日頃行いの悪い私は今回も抽選から外れてしまったが、支援者の皆さんのご協力で傍聴券を譲って頂き法廷内に入ることができた。

「経産省前」でやはり不当逮捕された3名の「勾留理由開示公判」は「429号」法廷で開かれたが、その時以上に裁判所は警戒度を高めていたのだろう。

傍聴券を手にして法廷に入ることが出来る20名の他、支援者たちも地裁4階に集結し、「どうしてもっと大きい法廷で開かないんだ!」、「裁判所は傍聴させろ!」と開廷時間前から裁判所職員に抗議の声をぶつけた。この日、午前10時から「429号」法廷では何の審理もおこなわれていないことが判明したので、抗議の声はより高まった。

◆傍聴者全員を犯罪者扱いするような金属探知機による身体検査

東京地裁(高裁)は建物に入る際に金属探知機で全員が「身体検査」を受けるが、「警備法廷」傍聴の者は、筆記用具以外全ての荷物を裁判所に預けなければならないという「身勝手」なルールがある。私は傍聴できない方に全ての荷物を預かって頂き、多くの職員の間を通り法廷前に進んだ。ここでまた改めて「金属探知機」による身体検査がある。まるで犯罪者扱いだ。

そして「430号」法廷の前に移動するが、傍聴に入った人が、「430号」法廷向かいの法廷の傍聴席に3名が着席していることを発見した。向かいの法廷は今日審理の予定が張り出されていない。つまり誰もいるはずがない、いてはならない場所に照明がともり「何者か」(警察の疑いが濃厚)が控えていることが判明した。

「おかしいじゃないか」の声が上がる。「開廷予定のない部屋に照明がともり不審者がいる。中を調べろ」と裁判所の職員に要求するが、一向に取り合う気配はない。開廷予定は午前10時であったが、弁護団の1名が他事件の接見で到着が遅れたために、開廷時間は30分ほど遅れた。到着した弁護士に、支援者が早速不審者が控えている旨を伝える。

定刻から約40分遅れで傍聴者の入廷を許されたが、開廷前にもかかわらず裁判官は「私語や拍手などあれば即退廷を命じます」と威圧的な発言をした。

◆拍手をしただけの傍聴者を法廷外へ排除する有賀貞博裁判官

この裁判官の名は「有賀貞博」 。そうだ。経産省前で逮捕された3名の「勾留事由開示公判」の際にも法廷を仕切り、多数の「退廷命令」を乱発し、挙句の果て「閉廷後の全員退廷命令」まで出した「退廷専門裁判官」だ。10時40分、被逮捕者が入廷してきた。拍手をした傍聴者に早速「退廷命令」が出される。まだ有賀は「開廷」を宣言していないのに、体格だけ大きくて暴力が大好きな裁判所職員が傍聴者1名を取り囲み、無理矢理法廷外へ排除した。

すかさず弁護団が「おかしいじゃないか、開廷も宣言していないのに何で退廷なんだ!」と抗議するが有賀は無視。続いて10時41分、被逮捕者に「頑張れ!」と声をかけた傍聴者がまたしても数人の「乱暴者」達により抱えられて無理矢理法廷外へ連れ去られた。

前回傍聴した「勾留理由開示公判」で有賀は弁護団の求釈明にほとんどまともに回答しなかった。この日も入廷して以来、1分に1度くらいの割合で法廷後部の壁に掛けられた時計をしきりに見ている。有賀には身柄を拘束されて非道な扱いを受けている冤罪被害者の「勾留理由」を説明するつもりなど最初からまったくなく、ただ形式的に弁護団の求釈明に「答えません」、「先ほど話した通りです」を繰り返し、この場を乗り切ろうとする姿勢がありありとうかがえた。しかも有賀の物言いは極めて高圧的だ「静かにしなさい」、「被疑者は黙りなさい」と命令口調に終始する。「お前は何様だ!」と怒った弁護士もいた。

不当拘束をされ、まともに「勾留理由」を開示しようともしない有賀に、被逮捕者が怒るのは当然だろう。何度も被逮捕者は有賀を糾弾する言葉を投げつける。

検察からは3名が出て来ていた。「全員名前を名乗れ」との弁護団の要請を、有賀は「発言した検察官に限り名前を名乗るように」と、裁判所=検察癒着体質を露わにする。そもそも「勾留理由開示公判」で検察が出廷していようとも発言することは稀だから、名前を名乗るチャンスはほとんどありはしないのだ。唯一「吉田純一」という検察の中でも「公安事件専門」と言われる検察官が苗字だけ名乗ったが、弁護団の「姓名を名乗れ」の要求を有賀は「その必要あありません」と却下した。

吉田のフルネームが判明したのは、傍聴席にかつて吉田に取り調べを受けた経験のある人がいたからだ。

弁護団は「求釈明を項目ごとに読み上げるので、その都度、理由の説明をして欲しい。そうでないと被疑者の人も傍聴席の人も訳が分からなくなる」と有賀に要求するも、有賀は「全て読み上げた後に回答します」と答えるのみだ。どうせ、「先ほど述べた通りです」、「これ以上は答えません」以外にこの裁判官という名の「国家権力の犬」(弁護団の表現)は語るつもりはないのだ。

私が知る限り、有賀の語彙は「前に述べた通りです」、「これ以上は答えません」、「被疑者は静かにしなさい」、「退廷を命じます」だけだ。

これだけの語彙で「裁判官」という職業は務まるらしいのだから、司法試験なんか不要なんじゃないか。有賀と同じ采配と発言なら私にだってできる。それほどこの男は許しがたく被逮捕者や傍聴人を冒涜する。本質的な意味において「悪人」である。

◆逮捕勾留は「弾圧のための見せしめ」だった!

11時06分、大した発言もないのにまたしても傍聴者に「退廷命令」が出される。

弁護団が緻密に用意した求釈明に有賀は一切まともに答えなかったのでその間のやり取りは割愛する。

が、ここで珍事が起きた。被逮捕者の両側に座り警備をしている警察官のズボンの中の携帯電話が鳴り出したのだ!

おいおい!法廷内には携帯電話持ち込み規制されて、傍聴者は全員入り口で預けさせられているんだぞ。お巡りさんよ。慌てふためく警察はどこのポケットに携帯電話が入っているのか探るがなかなか見つけられない。間抜けな呼び出し音が鳴り続ける。

おい!有賀!この警察官に何故「退廷命令」を出さなかったのだ!

百歩譲って、被逮捕者の警備が業務の警察官が携帯電話を持っていることまでは認めるにしても、法廷内で傍聴者の僅かな発言には「退廷」を命じるなら、少なくとも「携帯電話の電源を切るように」くらいの命令をすべきだろうが。

9月24日「りべるたん」ガサ入れの際に示された、被疑事実「被疑者は背中で機動隊を押した」には腰を抜かしそうに驚いたが、25日「勾留理由開示公判」に出廷した2名の被逮捕者の方々の嫌疑も、ほぼ同様に「背中で機動隊を押し暴行した」と有賀は冒頭勾留理由を読み上げた。

人権蹂躙と税金の無駄使い、そして不要な国家権力による暴力はたいがいにしろ!としか言いようがない。機動隊の虚偽の申告以外に証拠はないし、目撃証言もない。どう考えたって起訴できるわけがない! つまり、この逮捕勾留は「弾圧のための見せしめ冤罪逮捕」以外の何物でもない。

弁護団の意見陳述では3弁護士の怒りが爆発した。「話にならない。有賀!お前は裁判官であるまえに権力の犬だ!」との発言には私も思わず「よし!」と声を出しそうになったが、退廷を食らっては取材が続けられないのでぐっとこらえた。有賀の視線は相変わらず時計を追うばかりだ。

被逮捕者お二人の意見陳述は見事だった。お一人は裁判官ではなく傍聴席に向かって「今日ここに集結された全ての労働者・学生その他の皆さん!」から始まり、「犯罪者を切り捨てるような視点で平和や社会問題を語ってはならない、それは犯罪を犯さずにはいられないところまで社会から追い詰められた人を切り捨てることになる」ときわめて多くの示唆に富む内容だった。

もうお一方は着席のまま淡々と今日の社会情勢を読み解き、何故この逮捕事件が起きたのか、そしてその意味は何かを極めて高い格調でかたっておられた。

有賀の一本調子と全くの好対照が印象的だった。

閉廷の予感が近づくと傍聴席から多くの声が飛び出した。被逮捕者も裁判所職員に阻まれそうになりながらも、笑顔で傍聴席と握手やガッツポーズを交わす。

有賀はもたないだろう。今日釈放でほぼ間違いないだろうと私は確信した。

その時、「全員退廷」命令が出された。有賀得意技だ。私は検察官の態度が許せなかったので、少し彼らにアドバイス(?)を送った。そうすると若手二人の検察官は泣き出さんばかりにおののいている。何を怖がっているのだ。私如き善良な市民に。

◆私を足蹴りで転ばした東京地裁職員たちこそ暴力集団!

気が付いたら天井が見えていた。裁判所暴力職員に足蹴りで転ばされたのだ。「おい!暴力やないか!」と反撃すると3人がかりで手足を掴んで立ち上がらせようとするが、その際明らかに1名が私の脇腹を(強くはないが)殴ってきた。さすがに私もキレてしまった。それ以降の発言は私の人格に対する誤解を招くので割愛するが、25日の有賀及び東京地裁暴力職員の横暴を私は決して忘れない。

そして、その様子は法廷外でも多くの人びとが直接、間接に見聞きして知っている。この写真は傍聴できなかった人から提供頂いたものだが、閉廷後も抗議の声は暫く止まなかった。

13時から記者クラブで学生を中心に記者会見が行われた。20近いメディアが取材を行った。

14時30分頃、被逮捕者釈放の報が支援者に届き、歓声があがる。その後拘留されていた残り5名全員の釈放決定の連絡が入った。

釈放は当然と言えば当然すぎる。だが愚かにして罪深い警察、検察、裁判所よ。そしてその最終責任者である安倍よ。お前たちの妄動はこのように自立した個と、豊かな個性、人格とその連帯によってことごとく粉砕されていくことを心しておけ。

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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「戦争推進法案」反対の人々は連日国会前を埋め尽くし、力の限り反対の声を上げたが、ファシズム自公政権によりこの最悪法は可決されてしまった。多くの人びとのさまざまな抵抗や闘いがあった。その中で9月16日夜に13名が一挙に逮捕されるという事件があった。現場にいた人の情報によると、逮捕は16日21時頃から22時頃まで断続的に行われたようだ。

そして、被逮捕者の中には本コラムで紹介してきた「学生ハンスト実行委員会」関係者3名が含まれることが、先日明らかになった。

◆「言いがかり逮捕」の後にやってくるあまりに不当な「ガサ入れ(家宅捜査)」

関係者と連絡を取り状況を整理してみると、機動隊がこの種のデモや集会でお得意とする「言いがかり逮捕」にほぼ間違いないことがわかった。さらに昨夜「学生ハンスト実行委員会」メンバーの数人が共同生活する場所に「明日ガサ入れ(警察による家宅捜査)が入りそうだ」との確度の高い情報を得た。でっち上げの公妨(公務執行妨害)でも家宅捜索を強制し、当たり前の権利である悪政への抗議活動を委縮させ、反対運動や抗議の分断を画策する権力のデタラメ極まる態度は過去にもこのコラムでも紹介したが、またしても同様の「不当ガサ入れ」が行われるという。

私はたまたま、東京に滞在していてこの報に接した。このコラムでも紹介した学生の仲間たちが行なっていた正当な「抗議活動」に対する悪辣極まる弾圧は許せない。そこで24日午前9時頃から「学生ハンスト実行委員会」関連の学生も居住する「りべるたん」と呼ばれる2階建ての住居に赴いた。1階は居間と台所、風呂、2階が共同スペースと寝室となっている「りべるたん」は、この時代にあってはなかなか珍しい空間だろう。個性豊かな居住者とさまざまな若者が集まるコミュニティーとなっているようだ。しかし若者のたまり場だけあり、2階の散らかり振りは半端ではない。

午前中から私同様、「危険情報」を聞きつけた人びとが集まっており、広くない居間は座る場所もないほどだ。

ガサ入れは朝一(早朝含む)の場合もあれば、午後3時頃のこともある。仕事に出かける人や大学に行く学生などの出入りが激しいが、常時一定人数以上の人が「万が一」に備え準備していた。とはいうものの、路地に面した窓は網戸のままだし、人の出入りが激しいからときに玄関の施錠を忘れることもある。今から考えれば「ちょっとのんびりした」待ち受け体制だったかもしれない。

正午を回り、午後1時を過ぎるとただ待っている我々もくたびれてきた。「3時を回ってこなかったら、今日はないでしょう」。そんな話をして、ただ待機していると眠気が襲ってくる。

◆捜査令状も見せずに突然、土足で家に入り込んできた総勢約20人の「暴力装置」たち!

目が覚めたのは午後2時頃だ。窓に面した細い通路に多数の「不審人物」が現れた。マスクをしている奴も多い。

「来たぞ!」誰が叫ぶでもなく声を上げる。私は玄関の施錠を確認に向かったが、そのときすでに「国家の暴力装置」数名は捜査令状を示すこともなく、網戸を開けて土足で家に飛び込んできた。私はそのうち1名から意図的かどうかわからないが、アゴを殴られた。「警察」と呼ばれる公営「暴力集団」は勝手に玄関の鍵を開錠しなだれ込んで来ようとする。玄関に立ち「令状を見せろ」と応じる住民や支持者と警察の間で激しいやり取りが続く。警察の行列の奥ではテレビカメラが回っている(後で判明したがテレビ朝日だった)。

警官押し入る(写真提供=藤倉善郎さん他)

警官押し入る(写真提供=藤倉善郎さん他)

「警察」と呼ばれる公営暴力集団は「令状」を見せろと要求しても全員に見せようとしない。「立会人を決めろ」と勝手な理屈を並べる。だいたい令状を示さずに居住空間に土足で上がり込み多数がなだれ込むなどという行為は完全な「住居侵入罪」だ。この夏、経産省前で3人が「建物にも入っていないのに」「建造物侵入」容疑で逮捕された(その後不起訴)が、今日の「公営暴力集団」の最初の犯罪は「住居侵入」若しくは「建造物侵入」さらに私に対する「特別公務員暴行陵虐罪」だ。

住人や支援者と警察のやりとりが激化し、新たな「言いがかり逮捕」の危険を感じたので、私は「公営暴力団」の指揮官に「こちらで話し合って立会人を決めるから、まずは外へ出て待て」と要請した。その間にも「公営暴力団」の実態を記録しようと、カメラを向ける人を、特に言葉も行為も乱暴な輩が階段上で押し倒し、押さえつけている(ちなみにその人は私同様フリーのジャーナリストだった!大間抜けな公安よ!)。

テレ朝が支援者を撮影する(写真提供=藤倉善郎さん他)

◆「その場」に居合わせた責務として、私が「立会人」となった

「りべるたん」は20人以上はいたであろう「公営暴力集団」全員が入れるような広い場所ではない。暴力団は1階と2階を分けて調べるから「立会人」を2人出せという。ここで傍観していては何のために馳せ参じたのか意味がなくなるので、関係者の1名が1階の、私が2階の「立会人」になることとした。「立会人」を決めると他の家屋内部にいる人には外へ出るように命じられる。女性がカバンを持ち出す際には雑な手つきで下着まで物色してた。下衆な連中である。

その後ようやく令状が示された。「令状を撮影させろ」と要求するが「暴力団」は一切聞かない。仕方ないので1階の立会人が声を上げて内容を読み上げる。細かい記録がないが、被疑事実が実に笑わせてくれるものだった。

それはなんと「被疑者は背中で機動隊員の胸部を押して暴行した」とかいう内容だった。つまり、殴ってもいなければ、前向きで押したのでもない。「背中で機動隊の胸を押した」ことが「暴行」ってどういうことだ?

マスク軍団の侵入(写真提供=藤倉善郎さん他)

学生ハンスト実行委員会の学生たちが居住する「りべるたん」(写真提供=藤倉善郎さん他)

◆バカげた捜査令状を錦の御旗に粛々と違法強権を発動し続ける辻則夫=警視庁公安部公安1課警部補

あまりの馬鹿さ加減に私は捜査の指揮を執る警視庁公安部公安1課警部補の辻則夫に、「ちょっと待って、軽く体に触れるけど、これは確認のためだから。要するにこの被疑事実はこういう形で接触したということか」と私の背中を辻に押し付けてみた。

「この令状ではそういうことになっています」と辻は否認しない。

こんなバカな容疑があるか! 満員電車で毎日繰り返されるラッシュの何分の1にもならない体の接触しか「でっち上げられない」のか。もう少し偽造するならそれらしい「容疑」を偽造して持ってこいや!

と内心あきれたが、ここでキレてはいけない。やがて「家荒らし」が始まった。2階には4人の若手を中心とした体格は良いが、人相の悪い連中が上がってきた。私はそこで「弁護士に相談したいことがあるので電話をしたい」と告げた。すると人相の悪い中年男は「それは出来ない」という。「法的根拠は」と聞くと「どの法律のどこに書いてあるというものではないが、私たちはそうしている」となめた口をきく。「何言ってるんだ法的根拠がなければ、通信・交通の自由制限できないだろう」と追及すると、指揮官辻則夫がやってきて「過去の最高判例で捜査中は弁護士に電話をかける制限をしても良いというものがある。それに従って捜査をすすめている」という。怪しい。実に怪しい。

「いつのどの裁判での判決だ?」と聞くと「そこまでは覚えていない、あとで調べてください」と開き直る。「馬鹿言うな。判例を根拠にするなら最低限事件名と何年の判決かくらいは開示できなければ信用できないだろう」と追及するが、出まかせを並べて逃げようとする。因みに「ガサ入れ」後、知り合いの弁護士に「そんな判例聞いたことあるか」と連絡し調べてもらったが、「そのような判例はない」との回答を得た。

だとすれば警視庁公安部公安一課長警部補辻則夫をはじめとして、複数の「暴力団」が語っていたことは完全に「嘘」ではないか!

私はさらに難問をぶつけた。「私はここの住人ではない。ここへ来たのも初めてだ。立会人として今外出している居住者に対しては、一定の責任がある。仮に捜査後に令状と関係ない私物がなくなっていた場合、あなたたちは関係なく、立ち会った私が責任を問われる、つまり「民事上」の債務者とされる恐れがある。だからその対策を弁護士と相談したいのだ『警察は民事不介入』だろ。それでも私の電話を阻止するのか」と別の指揮官を問い詰めると、奴は「自分の一存では判断できないから相談してくる」と言い残し、その場を去ったが、行方をくらませ二度と姿を現さなかった。

真ん中の男が辻則夫=警視庁公安部公安1課警部補(写真提供=藤倉善郎さん他)

◆「機動隊に背中を寄りかからせて」逮捕されたとする被疑者の立件などありえない!

令状によると「機動隊に背中を寄りかからせて」逮捕されたとする被疑者(否逮捕被害者)の立件なんてできるはずがない。しかもこの無茶苦茶ガサと公営暴力団「警察」のやりたい放題と、「判例がある」との明らかな虚偽による弁護士との連絡妨害。正確に数えるといったいいくつの違法行為が積み重なることだろうか。

戦争に反対する真っ当な若者のたちの意思を国家権力は「暴力」と「虚構」で押さえつけようとする。

この島国で進行している無法狼藉をいやというほど思い知らされた。

他方、住民をはじめとする学生や支援者の態度は実に立派だった。不法行為や乱暴狼藉にひるむことなく、的確な批判と抗議を貫いていた。

どちらに非があるかは語るまでもない。不当逮捕された関係者は即刻解放されるべきだ。不当逮捕、不当捜査断乎糾弾!!

弁護士への電話連絡を押さえつける辻則夫=警視庁公安部公安1課警部補(写真提供=藤倉善郎さん他)

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学生ハンスト実行委員会:9.16国会前弾圧に対する抗議声明(レイバーネット2015年09月21日)

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◎快挙は国会前デモだけじゃない!──6日目124時間を越えた学生ハンスト闘争
◎8.27反安倍ハンストの大きな意味──開始直後の学生4人に決起理由を聞いてみた!
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9月16日。新横浜プリンスホテルで、参議院平和安全法制特別委員会の地方公聴会が開かれた。会場の雰囲気を知りたかったので、その日はホテルのなかでランチを食べることにした。

午前11時過ぎに新横浜駅に到着すると、警察官がすでに警備にあたっていた。公聴会は13時からの予定になっている。コンコースを抜けて駅前の広場に差し掛かると、「強行採決NO」「アベ政治を許さない」などのプラカードを抱える人たちと、何人もすれ違った。少し歩いてホテル入口に向かおうとすると「メンテナンス中のため閉鎖中」と、メンテナンスの様子がさっぱりわからない柵で封鎖されていた。

「中のレストランに行きたいんですけど」

警察官にそう話しかけて、正面入口まで誘導をお願いする。道路を挟んだ向かいには、すでにプラカードや幟を持参した人たちが集まり、抗議の声をあげていた。外に出て写真を撮ろうとすると、「中に入ってください!」と、ホテルマンに制止された。

吹き抜けになっているエスカレーターホールを、腕に緑色の腕章を巻いた警官がぐるりと取り囲んでいる。マスク姿の者も6、7名ほどいて、なんともいえない異様さを醸していた。

ランチを終え、公聴会が終わる15時過ぎまでホテル内で時間を潰す。公聴会は5階の宴会場でおこなわれることになっていたが、「宴会場 ご宴席名」の案内にはそれらしい表示がなく、異様さが増した気がした。

15時半までの予定だった公聴会が10分ほどおしたため、15時半に外に出た。正面入口から駐車場まで、ホテルを抗議者達がぐるりと取り囲んでいた。「採決中止!」「強行採決絶対反対!」「子どもを守れ!」などのシュプレヒコールが、あちこちからあがり騒然としている。じりじりと増す緊張感が、ビリビリと伝わってきた。

15時50分頃、ホテル駐車場からスモークを貼った車がゆっくりと現れた。すると一人の男性が何かにはじかれたように、わっと車道に躍り出た。瞬時に四方から、人々が道路に飛び出してシットインが始まった。

「危ないから押さないで!」

警官の1人はそう言いながら、なぜか私をシットインの方向に突き飛ばした。ダチョウ倶楽部かよ! 寝転んでいる人たちの中に立つことになった私は、そこにいる1人1人の表情に視線を向けた。

かたく目を閉じる者、腕を隣の人に絡ませて身を硬くする者……。これとよく似た光景を私は2年前の9月に、新大久保で目にしている。あの時はヘイトスピーチデモを通さないために、カウンター達が路上に飛び出していた。今回は委員の車を通さないために、みずからの身体で抗議をしている。警察は少しの間、彼ら彼女らを対応しあぐねていたが、すぐにごぼう抜きしていた、新大久保の時とは様子が違った。とはいえ彼らも複数の警察官に手足を持たれて、移動を余儀なくされたのは同じだった。しかしまた寝転ぶ上に、シットインに加わる者が次々と現れる。車は完全に、立ち往生していた。

20分ほど経った頃、右の後ろが騒がしくなった。ホテル正面入口付近に、「戦争させない」のプラカードを貼った軽自動車が、道路を横切る形で停められたからだ。運転手のいないその車は神奈川県警によって持ち上げられ、人力で後方に動かされていく。わずかな空間ができると、座り込む人たちが瞬く間に現れた。排除されては戻り、再度排除されてもまた戻る。安保法案に反対したいという強い思いに突き動かされながら、多くの人が不服従の意志表示をおこなっていた。

ほとんどの人は無言か、「採決中止!」「ノー・パサラン(奴らを通すな)!」といった声をあげるにとどまっていた。警察と対立するのが目的ではなく、廃案にするための行動だという信念が、痛いほど伝わってきた。

「民主党の委員が乗ってるんだよ!」

「これは蓮舫さんの車!」

そんなことを叫ぶ警察官もいた。しかし意志表示が目的であるなら、誰の車であるかよりも何をするかが優先される。抗議は止むことがなかったが、16時30分を少し廻った頃、足止めされていた車が後退して走り去っていった。ほんのわずかな出来事だった。警察も役目を終えたと言わんばかりに、ホテルの正面に戻って整列を始める。その背中に向かって人々は「ノー・パサラン!」と叫び、ある者は家路に、別のある者は国会前の抗議に加わるべく三々五々散っていった。

翌17日の午後、参議院の特別委員会では総括質疑をおこなわないまま、しかも速記停止中に、誰が何を言ったのかわからないまま、まるでだまし討ちのように法案が可決された。

連日の国会前抗議や16日のシットインは、果たして意味がなかったのか? そんなことは決してない。16日夜のニュース番組では、民主党幹部の「雰囲気は確実に変わった 国民が求めていることをやる」というコメントを紹介していた。市民の本気の怒りが議員に伝わったのは、紛れもない事実のようだ。

民意など意に介さない政権を民衆の力で倒すのは、決して容易なことではない。しかし諦めてしまったら、みずから国家の奴隷になるようなものだ。取り返しのつかない時代を迎えたくないのであれば、小さくても苦しくても声を出し続けること。私も、そうしていきたいと思う。

▼朴 順梨(ボク ジュンリ)
1972年、群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、テレビマンユニオンに参加。雑誌編集者を経てフリーライターに。主な著作に北原みのりとの共著『奥さまは愛国』(河出書房新社)、『離島の本屋』(ころから)など。2015年8月に発売された、3.11をきっかけにして生まれた新しいカルチャー・中津川THE SOLAR BUDOKANを追う『太陽のひと ソーラーエネルギーで音楽を鳴らせ!』(ころから)も話題。

するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号!

月刊『紙の爆弾』10月号[総力特集]安倍晋三の核心!

 

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