戦争へ進む脈々とした流れの一断章、「戦争推進法案」が参議院本会議で可決され成立した。この間、湧き上がる戦争反対世論に水をかけないように、そして私も心の底からこの最悪法の成立には反対だったから、拙くも小さい声ではあったが、私なりの意思を表明し続けた。

多くの反対の声を無視してあえなく、最悪法は成立してしまった。これでいよいよこの島国がいつ戦争に参加しても国内法的には不思議ではない状態が整った。来るところまで来た。

◆抵抗と闘いはこれから始まる

では、もう抵抗は無意味なのだろうか。そんなことはない。むしろ本当の抵抗と闘いはこれから始まる(それは幾重にも重層的な個々人内面の本質的覚醒を必要とする困難な戦いではあるが)。これまでのように集会やデモで同じ思いを共有する「仲間」とともに戦列を組むという形でだけではなく、その根底は個々人の心の奥から発せられるべきものとなるだろう。なぜならいくら最悪法が成立しようとも、心の中、つまり「内的領域の自由」に法の力は及ばない。個々の意志さえあれば「内的領域の自由」は国家からはるか離れたところで相変わらず闘い続けることが可能だからだ。

たしかに法律は私たちの日常を束縛する。国家による身勝手な施策、それが1パーセントの合理性もなく非人道的「戦争」であろうと「合法化」し、本来極めて単純に正当であるはずの「殺すな、殺したくない、殺されたくない」という態度が「反国家」化され、やがて「非合法化」されてゆくだろう。

もちろんこれからも戦争に抗うあらゆる有形の抵抗は引き続き有効であり必要だ。だが、ここでひとまず振り返ってみよう。私たちは「戦争推進法案」成立により、また外堀を一つ埋められた。危機はいよいよ目前だ。しかしながらこの明確な危機ラインに到達するまでに、権力は脈々と巧妙な土台建築に取り掛かっていて、外枠は既に完成していた。現実を直視すれば「すでに私たちは敗北の中」にあったのだ。

◆今後の日本社会は「穏やかな獄中の日常」になる

「戦争構造」というべきこの建築物の基礎は1992年に開始されたPKOへの自衛隊参加から可視的な形で始まっていた。もっとも建築計画の発案は1955年の保守合同、自民党発足にまで遡らなければならないし、それ以前に敗戦後も戦犯「天皇」を国民の裁きにより処罰・根絶やしにできなかったことまで勘案する必要もあろう。

1999年成立の「国旗国歌法」は不可視的な分野、つまり個々人の内面を侵食する巧妙な媒介となって、やがて今日の総反動体制確立へ突き進む重大な役割を担った。歴史修正主義、偏狭なナショナリズムの幾何級数的高まりは「国歌国旗」が法制化されたことによりさらに勢いを増し「戦争構造」建立の追い風となった。2006年の教育基本法改悪で国家は合法的な「愛国心教育」の権利を手に入れ、不可視的な戦争構造=差別・排外主義を助長する決定的な鍵を握った。

そして2014年7月1日の「解釈改憲」で「戦争構造」は可視的な「棟上げ」を終える。残りは構造物の付加的部分と屋根を乗っければ完成という段階まで建築は進んでいた。そして改憲を経ずとも「戦争推進法案」成立で「戦争構造」建築は完成をみた。ほの暗いこの建築物の中に私たちの生活は幽閉されることになる。今後の社会は「穏やかな獄中の日常」と呼んでも過言ではないかもしれない。

自衛隊員の退職がこれから相次ぐだろう。欠員の補給に防衛省が窮することは明白だ。

◆「内面の自由」だけは絶対に放棄してはならない

そこで、ご推測の通り「徴兵制」がやって来る。

既に防衛大臣中谷が明かしている通り、防衛省は「企業向け2年間の研修コース」という名の実質的徴兵制を準備し終えている。2年間も研修のために自衛隊に社員を出す会社があるだろうか。「2年間の自衛隊研修」は、現在韓国における平均徴兵期間より長い(韓国の徴兵期間は陸軍・海兵隊で21か月、海軍23か月、空軍でようやく24か月)。軍人になって帰ってきた社員にまた最初から業務知識を教育する不合理性を考えれば、社員供出により見返りが期待できる軍需関連企業(三菱、日立、東芝など)以外にこんな制度を利用する会社はないだろう。

それでも足らない兵站の補給は、日本学生支援機構から奨学金を借りていて返済に窮する若年層に向けられるだろう。「研修」という名の徴兵制。これも21世紀型ファシズム戦時体制の特徴かもしれない。意味を収奪され・置き換えられたことば「研修」の実態は「徴兵制」だと読み解かなければならない。「平和を守る」をキャッチコピーにした自衛隊の募集ポスターはかなり昔からあるが、この場合の「平和」も「戦争」と置換しないと真意を見失う。

暗澹たる現実ばかりを紹介しているが、私がもっとも強く訴えたいのは「内面の自由」を絶対に放棄してはならない、ということだ。渋谷でも銀座でも梅田でも難波でも八丁堀でも国際通りでも、見かけは何変わらず自由に人々が行き交っていたし、今日だってそうだ。しばらくの間、近未来もその姿に変わりはないだろう。でも行き交う人たちの内面はこの30年ほどで随分劇的に変化してきてはいないだろうか。

◆「戦争構造」という建築物の住人に相応しい国民(臣民)の育成

消費と快楽の為に与えられる「情報」操作により、外見は変わらなくとも個々人の内面の自由は相当無意識に縮んできてはいまいか。「戦争構造」という建築物の住人に相応しい国民(臣民)の育成も同時に完成を見ようとしている、と考えるのは穿ち過ぎか。

「また」、と言われるかもしれないが、あえて指摘すれば「戦争推進法案」反対運動の中にすら、「内面の自由」を失い、あるいは理解できない人たちの姿があった。

まずは、「内面の自由」を固く守り、その領域をひとりひとりが広げてゆくことがこの悲しい時代にあっては肝要ではないかと思う。いささか悲観的に聞こえるかもしれないけれども、そうではない。状況は救いがたく殺伐としている。絶望的ですらある。でも「内面の自由」を保持してさえいれば、多様な反撃は必ず可能だ。未来や可能性は運動体の中だけにあるのではない。あなたの心の中にあるのだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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横断歩道より(2015年9月16日)

9月17日午後4時半
参議院平和安全法制特別委員会で「戦争法案」が強行採決された。
「やるだろう」「やられるだろう」は、織り込み済みではあった。
しかし、奴らの謀略は予定より1日遅れている。

我々は負けてはいない。
明日、野党議員が全身全霊で決起すれば、
展開は開かれる。

国会前正面道路入口付近(2015年9月16日)

国会への道々(2015年9月16日)


◎[参考動画]安保法案、参院委可決 採決強行に国会外でも抗議の声(共同通信社 2015年9月17日公開)


◎[参考動画]国会前デモ、これまでの動き 過熱する「NO」 大きなうねり(TBS News-i 2015年9月17日公開)


◎[参考動画]国会前ではデモ隊などから怒りの声(TBS News-i 2015年9月17日公開


◎[参考動画]国会前に新たにデモ隊など到着、81歳女性も(TBS News-i 2015年9月17日公開)


◎[参考動画]雨の国会周辺で響く、老若男女の「廃案」コール(テレビ朝日 ANNnews CH 2015年9月17日公開)


◎[参考動画]安保法案:採決強行 全国で抗議の声(毎日新聞2015年9月17日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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いよいよ「戦争推進法案」の参議院における審議が佳境に入った。ここへきてこの最悪法の阻止に立ち上がる人びとが全国で激増している。

60年、70年安保闘争の画像や映像も散見されるようになってきた。「壮大なるゼロ」と往時は自省を込めてか、表現されもした「安保闘争」。私は結果的には敗北したが故に「日米安全保障条約」が改訂、延長されてしまったけれども、あの闘争自体が無意味なものであったとは全く思わない。


◎[参考動画]1960年安保闘争(rosamour909 2010年05月12日公開)

結果は勿論重要だが、あの時代あらゆる力を結集し学生、労働者が闘ったことは、その場にいた人のみならず、実体験のない世代にも、そのエッセンスは受け継がれている。

時代が異なる。だから抗議行動の形態はずいぶん変化はしている。60年代、70年代は言わば「政治の季節」であり、学生がデモや政治集会を開くのは当たり前の風景だったのだから。

ひるがえり今日の大学は学生管理機構とも言い換えるべきほどの弾圧組織に成り果てた。立て看板は禁止、あるいは許可制で、学内での集会は届け出制という姿がおおかたの大学の有り様だ。

大学は学生が政治的、社会的問題に目を向けて、行動することを警戒し憎悪している。

非政治性こそがあるべき姿だとの暗黙が支配し、それに疑問を抱き、打ち破ろうとする教職員は圧倒的少数派だ。

ここに、本来学問の教育・研究をその責務とする大学の「裏切り」と「社会的背任」がある。悪の本質は「戦争推進法案」成立を企む安倍を中心とした反動政権にあることは間違いないけれども、大学だってこんな時代を招致した下支え機関として充分指弾されるべき役割を担ってきた。

でもそんな寒々とした今日だって学生は街頭に姿を現しはじめた。政治初心者が大半を構成する学生たちには大いなる活躍を期待する。主催団体の如何を問わず、遠慮することはない。怒りを!怒りをぶつけるがよい。

あれこれ御託を並べても、未来ある若者の前で老兵はありもしない未来を獲得出来る道理はない。

◆ようやく若返った「前衛」

闘いには、最先頭に位置する「前衛」その後ろから最前列を押す多数の「中衛」、そして体力的には若者にはかなわない年配者が後ろからの敵を睨む「後衛」がある。

本来闘いの隊列は自然にそのような形態を構成するのだが、長きにわたりデモや集会には若者が圧倒的に不足していて、「前衛」の平均年齢が60歳から70歳という光景が長く続いた。

あれでは勝てはしない。だいたい最前列には気力も体力も充実した連中が陣取らないと全体の高揚がない。仕方なく前衛に押し出された高齢の方々、心意気だけは20代のままだが、体力の衰えには勝てはしない。

新しく生まれた団体であろうが、各大学のサークルだろうが、この時代には珍しい政治に敏感な学生だろうが、この際関係ない。敵は若者を戦場に送りたがっている安倍自公政権だ。「戦争推進法案」の他にも、この政権は庶民にとって「何一つ」有難い政策を行ってはいない。

言い切ろう。安倍は絶対悪である!

街頭に躍り出た若者よ、未来を開くのは君たちだ。お行儀よく、おとなしく自重する必要など微塵もない。多彩な発想と行動で安倍を打倒しよう。遠慮していて赤紙が届いた時に後悔しても、泣くのは君と君を愛する人たちだ。


◎[参考動画]国会前、市民ら結集 安保法案反対で集会(共同通信社2015年09月14日公開)


◎[参考動画]安保法案 最大のヤマ場に「反対の声」各地から(TBS News-i 2015年9月16日公開)


◎[参考動画]TBS NEWS23 安保法案反対の声:国会前・横浜・名古屋・京都・広島(LunaticEclipseAnpo2 2015年9月16日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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[総力特集]安倍晋三の核心!
体調悪化、原発回帰、カルト宗教、対米追従、芸能人脈、癒着企業の深層と真相

「国会の中で我々は少数だ。皆さんの声が法案成立を阻む力になる」民主党の岡田代表が過日、「戦争推進法案」反対集会で参加者に向かって語りかけた。社交辞令としてはそうだろうけども、腰を据えて「何が何でも」この悪法を阻止する、という当事者としての覚悟がこの言葉の中にはない。

◆「内閣不信任案」だけじゃない──与党の横暴に見合った最大限の抵抗を野党は徹底的に行うべき

中央公聴会、地方公聴会で2日間は時間を使わざるを得ないが、その後与党は、大急ぎで委員会強行採決を図ろうとするだろう。最短で17日といったあたりか。委員会採決に持ち込まれたら、野党議員は衆議院委員会時のような「茶番」は見せてほしくない。少なくとも与党の横暴に見合った、正しい最大限の抵抗(それは採決をさせないか、否決に持ち込む行動を意味する)を行うべきだ。

野党は「内閣不信任案」の提出を視野に入れているという。当たり前だろう。技術的なタイミングもあろうが、当然「内閣不信任」は問われるべきだ。それ以外にも「憲法を現実に合わせる努力をしなければならない」と発言した中谷防衛大臣や、答弁内容を二転三転させた岸田外務大臣の「問責決議」、これまでの政府見解を見事に無視した答弁を続けている横畠裕介内閣法制局長官の罷免要求、などは仮に委員会を法案が通過しても参議院本会議で審議に持ち込むべきだ。

◆採決が19日からの5連休後にずれ込めば、潮目は変わる

参議院本会議での採決を仮に18日中に行うことが出来なければ、情勢の変化が現実味を帯びてくる。5連休中は会社や学校が休みなので、日中も人が集まりやすいだろう。国会周辺は9月14日も5万人近い抗議の人々であふれた、と報道されているが、抗議活動がさらに高まり、霞が関、永田町を人民が占拠する事態になれば、連休明けの採決は容易ではなくなる。

かといって、与党がこの法案成立を諦めるはずはない。自民党議員の中には「せっかく政権を取り戻し、美味しい汁を吸っているのに、どうして次の選挙で確実に不利になることにばかり執心するのか」と内心苦々しく思っている新人議員も多いだろう。その通りだ。

民主党政権の「ドアホ」、とりわけ大飯原発再稼働を行った野田(もうこの名前と存在は忘れられつつある)。勝てる道理のない自爆的解散に打って出たあの男以上の自滅行為に猛進しているのが安倍だ。御用マスコミに支えられ、何があろうと盤石と思っているかもしれないが、それは慢心というものだ。

◆安倍政権の蒙昧は国民の愚かさをはるかに凌駕する!

安倍は今年に入ってからだけでも、実にテレビ地上波に単独で9回も出演している。ネット番組への出演も入れればその数は数えきれない。「公正・中立」を電波法で定められているテレビ局のこの行為はどう見ても偏向・破廉恥としか表現しようがない。ニュース番組などで頼まなくても独占的テレビ出演が確保されているのに、NHKはいうに及ばず、民放テレビ局までが「さあ、さあ安倍総理様、どうぞお気兼ねなく、思う御分自説をお話しください」とばかりに「大ぼら」吹きに公共の電波を提供する。日本テレビ・フジテレビ系列テレビ局の罪は限りなく深い(安倍が出演したのはこの両局系列のみで、TBS、テレビ朝日系列への単独出演は今のところない)。

それでも、破格の「延命治療」を施してもらって株価はどうなった? 年金原資をどんどん放り込んで一時的な上昇を見せたけれども、そんなもの長続きはしない。もう「アベノミクス」という、あの欺瞞語だって聞かれなくなったじゃないか。

この島国の大半の国民は愚かだ。非常に愚かだ。しかし安倍政権の蒙昧は国民の愚かさをはるかに凌駕する。

[図]第23回参議院議員通常選挙の結果(2013年7月21日=Wikipedia)

◆参議院の与野党差が28議席だということ

現時点では参議院通過を「あらゆる手立て」で阻止することが重要だ。それは可能である。その手段を一つだけ示唆しよう。参議院の総議席数は242だ。そのうち自公が135で野党が107だ。野党の中にも自公同様の主張の党も混ざっているので単純な加減ではないけれども、与野党の差は28だ。(第23回参議院議員通常選挙の結果=Wikipedia)

これが逆転すれば当然与党案は否決される。採決の際に与党議員のうち14人が立場を変えれば同数となる。でも、それは今のところ現実的ではない。

例えばだ。自民党の中で急に集団インフルエンザが流行し議員本人が本会議に出席できなければどうなるだろうか。40人がインフルエンザに感染し、起き上がれなければ、採決では「委任」はできないから欠席理由は関係なく否決だ。理由はインフルエンザでも、交通事故でも不良に絡まれて怪我をしても、二日酔いでも、身内の不幸でも、自宅の床上浸水でも、ぎっくり腰でも関係ない。

そんなことは通常起こりそうなことではないけれども、農業用水のような小さな河川が氾濫し、誰も予想しなかった大水害が起きたことをつい先ごろ私たちは経験している。世の中何が起こるかわからない。その気になれば何が起きても不思議ではない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す
◎快挙は国会前デモだけじゃない!──6日目124時間を越えた学生ハンスト闘争
◎原発・基地・戦争=「犠牲のシステム」を解体せよ!「NO NUKES voice」05号発売!
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◎フジサンケイ「育鵬社」公民・歴史教科書の採択拡大で子供の臣民化がはじまる

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「戦争推進法案」の参議院での審議が正念場をむかえている。与野党の議員数で単純に天秤にかければ、この最悪法案が可決されてしまうことは自明であるけれども、それを傍観しているわけにはいかない。

◆法制化された制約は私たちの生活や行動をいやおうなしに束縛する

私は政治が嫌いだ。でも、政治は私(たち)を常に拘束し、逃してくれることはない。だから、私にとって政治は嫌いな対象であっても無視することができない。私にかかわらないでくれ、政治は政治の好きな人たちで勝手に決めて、戦争も、紛争も決めた連中が、出向いて殺し合いなり、どつきあいなりしてくれ、と念じるけれどもそうはゆかない。振り払おうとしても法制化された制約は私たちの生活や行動を束縛する。

狡猾で無責任な政治家どもは、想像すらできない惨状を人びとにもたらす「戦争」に、この島国を誘引しようと熱をあげる。許せない。絶対に許せない。

憲法論、法律論の初歩すら通じない首相をはじめとする閣僚に、理解や対話による解決を求めるのは全く非現実的である。彼らは明確に私たち(この島国に住む住民だけでなく、戦争を望まない世界の人々に向かって)の敵である。

◆沖縄本島最北端、辺戸岬に立つ「祖国復帰斗争碑」碑文に学べ

あれこれ反撃を試みようと少ない知識での抵抗を試みていたが、私の無知を張り倒し、思いっきり叱られるような骨太の「反戦」哲学を示す記念碑の存在を思い出した。それは沖縄にある「祖国復帰斗争碑」だ。沖縄旅行のガイドブックなどを調べたがこの碑を紹介しているものはあるが、碑文の紹介を私は見つけられていない。文末に碑文の全文を紹介する。

沖縄本島辺戸岬に立つ「祖国復帰斗争碑」

沖縄本島最北端の辺戸(へど)岬に立っているこの碑に刻まれた血のにじむようなことばは、2015年9月、私たちが今、何を考え行動すべきかの示唆を与えてくれる。「NO NUKES voice 第5号」は「福島―沖縄犠牲のシステム」が特集で、表紙には「NO WAR! NO NUKES!」の文字が躍る。反戦・反原発から沖縄差別を徹底的に掘り下げる特集号だ。

鹿砦社は自慢ではないが、権威に媚びを売るような軟派ではない。

「戦争推進法案」審議闘争に「デジタル鹿砦社通信」は全力を傾注し、その斗いに微力ながら加わることを宣言する。沖縄、福島、を忘れずに「戦争推進法案」を断固粉砕する決意を表明する。

全国のそして全世界の友人へ贈る

吹き渡る風の音に耳を傾けよ。権力に抗し復帰をなし遂げた大衆の乾杯の声だ。打ち寄せる波濤の響きを聞け。戦争を拒み平和と人間解放を闘う大衆の雄叫びだ。

“鉄の暴風”やみ平和のおとずれを信じた沖縄県民は、米軍占領に引き続き、一九五二年四月二八日サンフランシスコ「平和」条約第三条により、屈辱的な米国支配の鉄鎖に繋がれた。米国の支配は傲慢で県民の自由と人権を蹂躙した。祖国日本は海の彼方に遠く、沖縄県民の声は空しく消えた。われわれの闘いは蟷螂の斧に擬された。

しかし独立と平和を闘う世界の人々との連帯であることを信じ、全国民に呼びかけ、全世界の人々に訴えた。

見よ、平和にたたずまう宜名真の里から、二七度線を断つ小舟は船出し、舷々相寄り勝利を誓う大海上大会に発展したのだ。今踏まえている土こそ、辺土区民の真心によって成る沖天の大焚火の大地なのだ。一九七二年五月一五日、沖縄の祖国復帰は実現した。しかし県民の平和への願いは叶えられず、日米国家権力の恣意のまま軍事強化に逆用された。

しかるが故にこの碑は、喜びを表明するためにあるのでもなく、ましてや勝利を記念するためにあるのでもない。

闘いをふり返り、大衆が信じ合い、自らの力を確め合い、決意を新たにし合うためにこそあり、人類が永遠に生存し、生きとし生けるものが自然の攝理の下に生きながらえ得るために警鐘を鳴らさんとしてある。(赤字強調引用者)

▼田所敏夫(たどころ としお)
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[総力特集]安倍晋三の核心!
体調悪化、原発回帰、カルト宗教、対米追従、芸能人脈、癒着企業の深層と真相

携帯電話(PHSを含む)の機種変更や新規契約手続きは年々煩雑さを増している。担当者の業務知識と手際にもよるのだろうけども、下手をすると半日仕事になる。あんなに時間をかけて仕事をしていて作業効率は上がらないし、売り上げにも良い影響はないのではないかと想像していたが、また呆れる事態に直面した。

私はスマートフォンを使っていない。旧来型の電話機能だけを持つ機種を利用している。使用頻度が高いためか、個体差はあるが携帯電話はバッテリーの機能が低下したり、不都合が生じることをこれまで何回か経験してきた。その都度、故障の際には無料で修理が受けられるサービス(月額500円ほど)に加入しているので、余分に修繕費用を支払うことなしに部品交換などの対応を受けてきた。

『孫正義の焦燥』(大西孝弘著:日経BP社2015年6月22日)

◆Y!mobile(旧willcom)顧客対応のカオスにはまって

ところが先日加入しているPHSの請求書に不可思議な点を発見した。私は2年前の5月8日に当時willcom(現在はY!mobile)のPHSを契約した。当時「10分までならば何回どこへ通話しても無料」という料金体系に惹かれたためだ。ところが使用していたPHSは数か月すると充電の際に、手が触れられないほどの熱を持つようになった。明らかな異常だから購入した店舗へ機器を持参し修理の依頼をした。このPHSも通常使用時の故障の際には無料で修理を受けられるサービスに加入していたので、修理の間は代替機をもらい2週間ほどで「修理が出来た」と連絡があったので店舗に赴いた。ちなみにその日は2013年10月21日である。

修理が完了した機器は充電されていなかったので、とり敢えず家に持ち帰り充電を始めた。記憶が定かではないがその最初の充電時か、あるいは次の日の充電時に、またしても最初発生したのと同様機器が触れないほどの高温になる症状が起こった。充電を放置しておけば火災になる懸念もあるほどの熱さだったので、仕方なく再度店舗へ機器を持参し、状態の説明をした。店舗の担当者はそこで充電を試してみたところ、私の申告通りの不具合が発生することを確認し、「この機器では再度お客様にご迷惑をおかけする可能性がありますので、操作性は違いますが違う機種へ無料で変更は如何でしょうか」と提案してきた。

私は暇人だが、willcomの店舗は自宅からかなりの遠距離であり、何度も足を運ぶのは面倒だったので、店舗担当者からの提案を受入れ購入したものとは別の機種へ無料で交換してもらった(はずであった)。これが2013年10月23日だった。

最初の契約時に機器の料金は2年の割賦で契約していた。購入が2013年5月だから今年の5月で支払いは終了するはずだった。ところが6月、7月の請求書にも機器代金の割賦代金が依然記載されている。これはおかしいだろうと思い、購入した販売店へ電話をかけ問い合わせたが「電話でのお問い合わせには『個人情報』の観点から答えられない。直接どこでも良いのでY!mobileの店に行くか、問い合わせ番号で確認してくれ」という答えが返ってきた。

Y!mobileのPHSは使い方によっては非常に安価だが、この会社の接客システムはどう間違えても「まとも」とは言い難い。現在私は月額1500円を払い、国内であればほぼすべての電話番号に時間制限なくかけ放題のプランに加入しているが、指示された「問い合わせ番号」への通話は有料なのだ。機器の操作方法や料金の問い合わせなど携帯電話(PHS)を使っていれば問い合わせる必要が生じるのは当たり前だと思うのだが、店舗に赴かない限り「無料」で一切の問い合わせを行うことが出来ない。こんな不親切な対応があるだろうか。

◆声が枯れるほど徒労が続く契約確認プロセス

しかも、私が機器を購入した店舗の担当者は電話での問い合わせの際に「どこでも良いので」Y!mobileの店へ行けと私に指示したので、最近開店した自宅近くの営業所へ行ったところ「細かい契約の内容は販売した店でないと解らないのでそちらへ行ってください」と店員が言う。おいおい、加入者の情報くらい繋がっている会社のコンピューターで解るんじゃないのか? でなければ、購入店から遠隔地でのトラブルには対応出来ないというのか。私が「会社が一元化して情報を把握していないのか」と聞くと担当者は渋々どこかへ電話をかけだした。

電話をかけた先はY!mobileの情報が集まるセンターだったようで、そこには私の契約日その他の記録が残っていた(当たり前だが)。それによると、私は2013年5月8日に初めての契約を結び、機器は2年の割賦となっていたが、10月21日修理から返還された日に「同型だが新たな」機器をもう1台新規に購入して割賦払いの契約をしたことになっているという。

話がややこしいが、私は動作不良の為に機器を修理に出した。それを受け取りに行った日に「同じ機種をもう1台」新規購入したという記録で、その日から新規の機種分の割賦料金も併せてが引き落とされていたことが判明した。「そんなあほな!」と思わず声を挙げてしまった。1つの電話番号に2台のPHS電話機(しかも同型機)を契約する人間がいるだろうか。利用者にとって何のメリットもないそのような契約を、この「口うるさい」私が受諾するはずがない。旧willcomの事務手続きミスであることは明らかだから、そこで「返金」の手続きをしてくれと要請したが、やはり「契約した店でないと対応が出来ない」と担当者は言う。この会社は同じ社名を名乗っていても同一のサービス を受けられることがない、「類稀(たぐいまれ)」な会社だ。仕方なしに購入した店へ向かった。

その店でまず驚かされたのは「契約書のコピーをお持ちください。弊社は契約書を保管しておりません」と担当者が発言したことだ。「え!なんで契約書を保管しないの?」と聞くと「個人情報保護の観点から」との説明だが、そんなあほな話があるだろうか。契約者には契約書の保管を義務付けるが、Y!mobileは顧客と契約を交わしたらその日のうちに「契約書」をシュレッダーにかけるのだそうだ。なら何のための契約書なのだろう。双方に主張の違いが生じた時に(今回の私のケースもそうだ)会社が契約書を保管していなければ議論にならないじゃないか。そう指摘すると「ではこの壁を契約書ズラーっと並べろと仰るんですか」と突っかかって来る。接客態度も悪ければ、 頭もよろしくない。

私は自宅近くの店舗で受けた説明を再度繰り返し「どう考えてもそちらの入力か処理ミスだから今すぐ返金の手続きを取ってくれ」と再度要請した。ところがまたパソコンに向かってカチャカチャやり始めた兄ちゃんは一向に事情を理解しない。それどころか横の人間が、ろくに調べもしないのに「こういう間違えはありえませんので」と無根拠に断定口調でこちらに非があるような言葉を投げかけてくる。

20分ほど待っただろうか。パソコンを叩いていた人間がようやく事情を理解し始めて「どこかにおかしいところがあるみたいですね」と言い始めた。「どこか」じゃなくて明確に2013年10月21日、修理が終わった機器を引き取りに来た日に「新たな機器を購入している」とする記録がおかしいだろ、と説明し彼らを納得させるのに3時間を要した。

最後に当日店舗にいた人間達では判断を出来ないので、「上司に調べさせ電話で連絡いたします」という言葉を聞く頃には私の声は嗄れていた。

◆顧客無視の「個人情報保護法」曲解も孫流か?

これだけ情報通信技術が行き渡っているのに「個人情報保護法」の誤った理解、いや、この法案自体の誤謬は「契約書」が「個人情報に該当するからその日のうちにシュレッダーにかける」という尋常ならざる業務手順を生んでいる。契約書を残さなくてもコンピューターの中には当然氏名、生年月日、住所などの情報は記録されるだろうから「契約書」をシュレッダーにかける意味は全くない。子供でも分かりそうな簡単な理屈がこの会社(いやこの社会か)では通用しなくなっている。

私は交わしてもいない割賦契約を証明するために「契約書」のコピー(2013年10月21日付)を持ってこいと言われた。ちょっと待ってくれ。交わしていない契約の「契約書」などあるはずがないだろう。無いものを証明することは出来ない。自社のミスを解決するために会社は保管しない「契約書」の保管義務を契約者のみに負われば、私のように「無い契約」の証明など契約者の側からは出来はしない。

携帯電話販売店の求人広告をいたるところで見かける。日々変化するサービス内容や会社の方針に低賃金労働者は苦しめられていることは想像に難くない。しかしだからといって明らかな過払いを2年余り利用者に押し付けておいて、あの対応はないだろう。私的には「もうこれ以上機能の開発や機器の新規発売は要らないから、簡潔、確実な仕事をしてくれ」と孫正義に直訴したくなる。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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テレビ番組、商業新聞からネットの世界まで右派が占領する番組や誌面は腐るほど増殖している。テレビ局勤務の知人は20年来の付き合いだが、数年前から政治や社会の話が通じにくくなっている。いい年をして(年をとったからか)どんどん思考が右傾化しており、最近では世間話をするのも憚られるので、私から彼に連絡を取ることはなくなった。同様の話は身近な人からもしばしば耳にする。「若いころはあんな奴じゃなかったのに。今では田母神俊雄みたいなことをブログに書いている」と評されるテレビ界の人間は少なくないようだ。

大メディアが総右旋回しているのだから、自由闊達(言い換えれば「好き放題」)の言論が飛び交うネットの中では、さらにえげつない情報発信主や番組が乱立している。

◆右派のネット動画をあえて観る「苦行」

人間は仕事上の理由や、自身の知識吸収の必要性を感じなければ、おのれと正反対の意見、いやおのれの主張が嘲笑されたり唾棄される番組を長時間視聴したり読み続けることを選択はしないのではないだろうか。情報収集のため内容をかいつまんでチェックすることぐらいはするけれども、1時間も2時間もダラダラ嘘八百を放言し続ける番組を毎回視聴し続けるのは、精神衛生によろしくない。簡単に言えば「あほらしくて」見ていられない。

私自身もネットで放送されている「右派」の番組を、これまで何度か視聴したことはある。彼らの論点がどこにあるのか。それを知っておかなければ反論ができないだろう、が視聴の理由だった。「チャンネル桜」と名乗る番組を開始から終了まで何度か観たが、視聴の間に溜まるフラストレーションといったら半端ではなかった。ただ収穫はあった。結果的に彼らの主張は番組を何度も観る必要がなかったことが分かったからだ。「論理ではなく感情で、事実はなく希望で彼らの歴史観や世界観は構成されている」ことが理解できた。よって限られた人生の貴重な時間をこれ以上「苦行」のために浪費したくはないし、するつもりもない。

と思っていたが、芸能ニュースに絡めながら「戦争推進法案」を援護したり、反対する市民をボロクソにこき下ろしている「松本佳子のにちよる」というニコニコ動画で配信されている番組の内容があまりにも酷いから一度視聴してみてくれないか、という読者からのリクエストを頂いた。

ニコニコ動画の番組を視聴するためには(番組によるのかもしれないが)、会員登録をしなければいけない。何度か会員登録をしようと試みたのだがうまくいかない。「あなたは『反日』思想の持ち主のため入会できません」のエラーメッセージが返って来る(勿論冗談)。したがって「松本佳子のにちよる」を今のところ視聴できてはいない。直近の番組タイトルは『ショック堀北真希の結婚!!』『軍事漫談家・井上和彦の戦後70年談話』となっている。番組の司会は「チャンネル桜」で何度も顔を見たことがある田母神ガールズの「色希(しき)」だ。

◆「軍事漫談家・井上和彦」はただの「バカ右翼」

雰囲気や評判が怪しいからといって、番組のタイトルだけで内容を決めつけてはいけない。だいたい私は「ショック」であるはずの「堀北真希」という人物さえ知らない人間なのだから。でも「軍事漫談家・井上和彦」の名は過去どこかで目にしたことがある。

井上は今のところWikipediaにとりあげられてはいない。そこまで社会的に影響のある人物とは認知されていないということだろうか。

そこで本人のホームページと幾つかあるYoutubeの映像で井上の主張を聞いてみた。1963年生まれで法政大学社会学部出身の井上は「専門は、軍事・安全保障・外交問題・近現代史。テレビ番組のコメンテーター・キャスターを務めるほか書籍・オピニオン誌の執筆を行う。テレビ番組では歯に衣着せぬ爆裂本音トークで 難解な軍事問題などを分かりやすく解説する。

『たかじんのそこまで言って委員会』(讀賣テレビ)では 「軍事漫談家」の異名を持ち、同番組をはじめとして「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「かんさい情報ネットten!」(讀賣テレビ)など出演番組多数。また「日本文化チャンネル桜」の「防人の道 今日の自衛隊」のキャスターのほか、航空自衛隊幹部学校講師、東北大学大学院非常勤講師、商社シンクタンク部門の主席アナリストも務める。平成25年より「国民の自衛官」(フジサンケイグループ主催、産経新聞社主管、防衛省協力)の選考委員」とホームページ内で自己紹介をしている。

本人は「どうだ!偉いだろう!」と思って記載したのかもしれないが、私に言わせれば被疑者が罪状を自白しているに等しい。とくに関西ファシズムを牽引した「たかじんのそこまで言って委員会」出演を中心としたテレビ、ネット番組の出演歴はその主張を明らかに示している。こやつは単なる「バカ右翼」だ。

◆井上の軍事論が漫談そのものだから「軍事漫談家」ということはよくわかった

貴重な人生の時間を割きたくはないが、1つ位はその証拠を示さねばならないだろう。

これは「チャンネル桜」に出演した際の井上だ。「米中対話」のニュースを取り上げたと思ったら、「中国が納得していない」と勝手な解釈をして「これでいいんです!こういう対話をしてほしい!」と言い放つ。意味わからないなぁ、私には。ああ、そうか。何が何でも「中国」=悪にしないと「軍事漫談家」はつとまらないか。

また、「自衛隊とフィリピン軍の共同訓練」を持ち上げるは「中国が脅威ではないって言うやつが国会にもいるけども頭がおかしいの」だの「馬鹿な奴が原発反対だとか根拠のないこと言ってんの」とのたまう、果ては「沖縄戦追悼式典70周年」を取り上げたニュース紹介の中で翁長雄志知事が安倍政権批判のコメントを読み上げたことに言及し「あなた(翁長知事)が非常に限られた空間の中で作られた、民意と称する『米軍の普天間移設』を論じているけど、日本とアメリカが決めたこと。言ってみれば社長と社長が決めたこと。それを言ってみれば課長クラスの知事が『止めてくれ』って、何言ってるんだて」と言い放つ。真面目に聞いていると、私自身が恥ずかしくなるほどの「沖縄差別」を堂々と展開する。

要するに無茶苦茶なのだ。「中国は脅威」とこの番組で言い放ちながら、別の番組では「中国なんて全然恐くない。武器は全部コピーなんですよ。武器製造の技術が高いのは自動車を作る技術のある国。だから日本の武器は一流です。武器商品市に行くと中国人が写真撮ってるんですよ。中国の武器は全部外側からコピーで作るんです」と仰せになる。

どっちなんだ!と真顔で井上に迫ってはいけない。井上は「軍事漫談家」なのだ。漫談に食って掛かるのは無粋に過ぎる。

芸能ニュースと「右派ネタ」を取り上げる「松本佳子のにちよる」、実は画期的な番組ではないか、と私は内心期待をするようになっている。人畜無害な芸能ニュースと声高に叫ばれる好戦・右派的言動。じつは双方とも「漫談」の域を出ない、ということを井上がその肩書きによって主張し証明してくれているからだ。

問題は「漫談」を真に受けてしまう人々の側だろう。この番組に限らず、大小メディアは「情報商品」として「芸能ニュース」も「戦争」も「原発」も「マイナンバー」も一蓮托生に垂れ流す。あれは「報道」ではなかったのだ。「漫談」と呼ぶのが相応しいということを井上は教えてくれている。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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〈学生ハンスト実行委員会9月1日付Facebookより〉

8月27日14時から「安保関連法案を阻止し、安倍政権打倒」を訴えてハンストに決起した学生達の闘いが開始から121時間(9月1日15時現在)を経過してもまだ続いている。8月中旬までの猛暑がうそのように東京は朝晩「寒い」と感じるほど温度が下がることがある。あいにく雨天も多く寒暖の差が激しい条件の中、学生達はまだ闘い続けている。災害時など行方不明者の生死を分けるのは事故後72時間といわれている。120時間超のハンストが如何に激烈な行動か想像いただけるだろう。

寒さは普通に生活していても体力を奪うが、水分とスポーツドリンク、わずかの塩以外、一切固形物を口にしないという方針での「ハンガーストライキ」。学生達の体力消耗と疲労はすでに「限界状態」(学生達の健康状態を管理している医師)に達している。学生達はただ黙して、座っているのではない。毎日何度も集会を開き彼らの訴えを語っている。


◎[参考動画]「安保法案阻止」学生ハンスト6日目・二人の思い(2015年9月1日レイバーネットTV公開)

◆ハンスト続行の最中に井田敬さんが極限状態で語ってくれたこと

8月30日国会に12万人が集結した際には、ハンストの場所を国会議事堂前に移し、そこで彼らも集会に参加した。内外多くのメディアからの取材があり、彼らが配布するビラはほとんどの人が快く受け取ってくれるという。特に中国のテレビ局は現場からの生中継も行ったそうだ。

しかし、体力には限界がある。彼らは大丈夫だろうか。そこで、1日午前ハンスト参加学生の井田敬さんに電話で取材した。井田さんによると彼らが本当に極限状態であることが伝わって来る。

「ハンスト参加学生のうち1名が昨日医師から『生命の危険がある』と警告されたために、開始から101時間で本人の希望に反する形になりましたが終了させました。また、もう1名も昨夜から体調不良を訴えていましたが、今朝医師から『きわめて危険』と判断され、開始から113時間で終了させました」

「私も数日前から医師には『いつ何が起きても不思議ではない』状態と言われていますが、何とか頑張っています。反応が鈍くなったり、疲労もありますが、それにもまして、私達の訴えを一人でも多くの人々に伝えたいとの気持ちがあります。30日には本当にものすごい数の人たちが国会を包囲しました。私は7月15日委員会で強行採決された日にも国会に来ていたのですが、比較にならない熱気でした。とても意義深かったと思います」

「でも、大切なことは国会を包囲した、あの『熱気』を家庭や職場、学校に持ち帰って、そこで広めていくことだと思います。そのために残った二人で頑張ってさらに訴えを広めたいと思います」

◆なぜ安保法案に反対し、ハンストを行っているのか?─いま一度、彼らの宣言を読んでほしい

そう語ってくれた井田さんからは彼らの訴えを「是非読んでほしいです」との要望があったので、以下に全文引用する。

私たちはなぜ安保法案に反対し、ハンストを行うか (学生ハンスト実行委員会)

私たちの安保関連法案に対する考えと、ハンスト戦術の持つ政治的な意義について以下のように述べておきたいと思います。是非ご一読ください。

安保体制への私たちの評価

まず安保法案の是非を論じるにあたって、その不可欠な前提をなす戦後安保体制に対する評価は避けて通ることができません。

植民地争奪戦としての第二次世界大戦終結後、朝鮮戦争を始めとした米ソ冷戦構造において日本は東アジアでの「防共の砦」の一員となり、1951年、日米安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)を締結しました。かかる条約はアメリカとの実質的な軍事同盟として、日本の緩やかな武装化をともないつつ軍事的牽制を基軸とした東・東南アジアの「秩序」を形成してきたと言えます。しかし、この条約に基づく「秩序」は、アメリカ主導の侵略戦争に日本が加担することで成立した欺瞞的な平和であったと言わざるを得ない、と私たちは考えます。

例えば朝鮮戦争においては、日本はGHQ公認の下で兵器製造・輸出を媒介とした「朝鮮特需」といわれる利潤を一方的に享受し、経済発展を遂げました。また他方で1960年代には、ベトナム戦争において、主に沖縄に米軍出撃拠点としての役割を強制するなど積極的な兵站支援を行ってきました。もちろん上記代理戦争の相手方たるソ連を支持できるものではありませんが、日米安保体制下の「平和」や「豊かさ」は他地域の民衆に犠牲を強いることで成り立ってきたことは否定しえない事実です。

そして冷戦終焉後、21世紀に入った現在も、イラク戦争に見られるような「対テロ戦争」を名目とした非対称戦争を主導する根拠として安保体制が機能していますし、国内でも、沖縄に在日米軍基地の74パーセントが押し付けられていることから考えると、日米安保体制の本質は変化していないといえるのではないでしょうか。私たちはそのような戦後体制を変革する必要があると考えています。

安保法案と安倍政権

しかし、安倍政権が押し進める安保法案は、この戦後体制を改善するどころか悪質に転換し、日本の軍事大国化を志向するものです。独力で覇権を維持できなくなってきたアメリカは、日本にさらなる軍事的貢献を要請してきており、日本は今回の法案によって自衛隊の海外派兵を含む直接的な戦争支援を可能にしようとしています。

アメリカが遂行している「対テロ戦争」や他国への軍事介入は、集団安全保障を名目に多国籍企業の利益を擁護するものとして、米ソ冷戦終結以前の「集団的自衛権」に基づいた戦争と比しても、その本質に変わりありません。

例えば中東「イスラム国」への掃討戦は、有志連合の集団的自衛権の発露として行われていますが、20世紀に行われた帝国主義国による中東の人工的分割の生んだ矛盾を温存し、クルド人をはじめ抑圧された民族の抵抗を圧殺する役割を果たしています。「イスラム国」が悪辣な体質を有しているとはいえ、現状の「集団的自衛権」がさらなる戦争の火種を生んでいる側面は否定できません。今回の安保法案はそうした戦争に日本が直接に参加することで支配的な地位を獲得しようとするものであり、上記のような戦争の性質に鑑みれば非難せざるを得ません。

また対内的には閣議決定による集団的自衛権の合憲化と軌を一にして、日米合同の戦争のために、沖縄へさらに米軍基地・自衛隊基地を押し付けようとしています。2014年の沖縄県内の各種選挙において辺野古新基地反対派が軒並み勝利したにも関わらず、政府が新基地建設工事を強行しようとしている現状は、最低限の議会制民主主義のルールすらも否定するものと言わざるを得ません。

さらに安保法案の制定を目指して行われた安倍政権下での数々の立法と「解釈改憲」(特定秘密保護法の制定・集団的自衛権の閣議決定に基づく合憲化)は、おおよそ立憲主義を無視しており、安保法案はまさにそうした立憲主義破壊の集大成と言わざるを得ません。安倍政権がこういった違憲立法を行うことは、アメリカなどが主導する侵略戦争に一主体として参加していこうとする意志の表れであると私たちは考えます。

上記の理由から、私たちは安保法案の制定に反対し、これを阻止するために行動します。

ハンスト戦術について

安保法案に反対する私たちがなぜハンガーストライキという戦術を採用し、これからいかなる戦略をもって安倍政権に反対していくのか、以下に述べたいと思います。

現在、衆参両院の議席の過半数は自民党と公明党に保有されています。政府与党は選挙の結果を以て彼らの安保政策は「民主的に」支持されていると主張していますが、はたしてこれは正しいのでしょうか。選挙による選任は、政策の白紙委任を意味しません。選挙で多数派の得票を得たからと言って、自由に政治的決定を行っていいわけはありません。

しかし、政府与党は多数派の威力によって強行的に安保法案を通そうとしています。この局面において、ただ間接的な手法で抗議するだけでは法案成立を阻止できないと、私たちは考えます。

そもそも民主主義とは全員参加の意思を決定するプロセスで、多数派の専制を防ぎ、少数派を見捨てることがあってはなりません。議会の多数決だけで物事を決めることは民主主義の否定と言うべきでしょう。そして、現在、反対派の意見は見捨てられ、強行的に法案が成立されようとしています。すなわち、民主主義が機能していないからこそ私たちは直接的に民意を反映させようと試みる必要に迫られています。

代議制だけでは、民主主義を機能させるには不十分です。直接行動は民主主義を機能させるうえで絶対に不可欠なのです。

私たちは今回、こういった危機的局面においてハンガーストライキという手法を使って安倍政権に抗議します。私たちは無駄に身体を傷つけ命を粗末にしたいわけではありません。ハンスト中は医師についてもらい、体調管理をしていただきます。確かに行動に伴うリスクは低くはありません。しかし、私たちはこういったリスクを冒してでも訴えたいことがあります。戦争とは、自分が命を落とすと同時に他者を殺すことです。戦争に反対するとは単に自分が命を落としたくないという表現であるだけでなく、他者を殺すことを拒否するという宣言でもあります。今現在、この瞬間にも世界中で武力紛争は続いており、犠牲者は増え続けています。数えきれないほどの難民が日々命を脅かされながら生きています。このような世界で、いま私たちはこういった戦争への加担を準備するのか、それとも戦争を止めるために行動するかの選択を迫られています。ハンスト実行委員会は殺すことの拒否、人殺しによる繁栄の拒否をハンガーストライキという形で明確に示していきます。

私たちはかかる見解に基づいて、8月27日よりハンガーストライキに突入します。

学生ハンスト実行委員会
ブログ ? ? ? ? http://blogs.yahoo.co.jp/hansutojitsu
Facebook ?https://www.facebook.com/Hungst.co.jp

もう十分に闘った。学生達のハンスト闘争は「勝利」だった。もう何時終結しても胸を張れる。彼らの体を賭した行動に再度最大級の賞賛と敬意を伝え、そして、無力な私は頭を下げたい。


◎[参考動画]「安保法案成立阻止 安倍政権打倒」学生の無期限ハンスト(2015年8月27日レイバーネットTV公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

◎8.27反安倍ハンストの大きな意味──開始直後の学生4人に決起理由を聞いてみた!
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◎原発・基地・戦争=「犠牲のシステム」を解体せよ!「NO NUKES voice」05号発売!

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するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号!

2008年6月、広島市南区のマツダ本社工場に自動車を突入させて場内を暴走し、1人を殺害、11人に重軽傷を負わせた引寺利明(48)。「マツダの工場で期間工として働いていた頃、他の社員らにロッカーを荒らされたり、自宅のアパートに侵入される集団ストーカーに遭い、恨んでいた」と特異な犯行動機を語ったが、裁判では妄想性障害ゆえの妄想だと退けられ、完全責任能力を認められて無期懲役刑が確定。現在は岡山刑務所で服役中だ。

この引寺が〈ここにマツダ事件から丸5年経った今のワシの気持ちを書きますので読んで下さい。〉と送ってきた手記を前回に続いて、紹介する。今回紹介する手記の後半部分では、犯罪者たちの服役生活の実情が前回紹介した前半部分以上に詳しく綴られている(手記の引用は基本的に原文ママだが、「行替え」「見出し」を加えた)。

引寺から2通の封書で届いた便せん13枚の手紙

================以下、手記================

◆逮捕時に90キロ近くあったメタボ体型が58キロになってしまった

今現在のワシのメンタルについてはここに書いた通りだが、身体については、この5年間で劇的に変わってしまった。逮捕時には90キロ近くあったメタボ体型が、広拘で70キロ台になり、ここに来てからもガンガンやせていき、ついには60キロを切って58キロになってしまった。(驚)まさしく文字通りのガリガリ君である。

シャバにいた頃には酒は全く飲まなかったが、毎日タバコ2箱ペースで吸いまくり、あま~~い缶コーヒーもガンガン飲んでいたので、20代後半頃から逮捕されるまでの間、数々の会社で働いていた時に受けた健康診断の血液検査では、毎回、肝臓と糖尿の数値がレッドゾーンだった。逮捕されて拘留生活となり、ポリ署ではタバコが吸えたものの、広拘に移管されてからは完全に禁煙となってしまった。(悲)2年ほど経った頃に、医務で血液検査をした所、なな、なんと!!あれほど何年間もレッドゾーンが続いていた肝臓と糖尿の数値が完全に正常値になっており、医師から「血液の数値は全て正常です。すこぶる健康ですよ」と言われてしまった。

ホンマ、人生とは因果なもんよのー。塀の中で強制的に規則正しい生活をする破目になり、その結果、健康になってしまった。

◆ここでは、いやし系よりいやらし系の映像がウケます

シャバとは違う塀の中での制限がキツイ禁欲生活ではあるが、1年2年と経つうちに慣れてしまった。人間とゆうものは、どんな環境においてもそれなりに順応するもんなんじゃのーと思う。住めば都とはこの事か。刑務所では筋トレをする受刑者がけっこー多いのだが、ワシは筋トレはたいぎいので全くしていない。

ここまでやせられたのは単純に飯のせいである。拘置所も刑務所も飯の量とカロリーが少なすぎる。もうちーたー喰わしてくれーー!!ギブミーカロリー!!って感じである。(笑)塀の中の飯は、文字通り生かさず殺さずである。ここで暮らしているとホリエモンが30キロ痩せたのも十分理解出来る。

雑居房でテレビを見ている時に、うまそうなステーキやスイーツが画面に写ると、みんな口々に「かあーー、うまそうなのーー」「喰いてーのー」「あーあ、もう一生喰う事は出来んのんかのーー」などと言っている。ここでは、いくら金を持っていても好きな食い物は買えない。出された物しか食べられない所がヒジョ~~~~にツライ!!

ちなみに、ナイスバディのイケてるオネーチャンが画面に写った時も「かあーー、えーのー」「たまらんのーー」「パフパフしたいのーー」などどワーワーゆーとります。(笑)ここでは、いやし系よりいやらし系の映像がウケます。

◆サーキットでレースを観る事が出来ないのがヒジョ~~~~に残念

事件当時の報道にあったように、ワシは無類の車好きです。もうこれから先、自分で車を運転することはないと思うが、やっぱ車が好きじゃのー。ワシが車好きという事と、事件に車を使った事については、ワシにとっては全く別の話じゃ。それはそれ、これはこれじゃ。

受刑者の中にはけっこー車好きな人が多く、工場での休憩時間や運動時間には、アーダコーダと車ネタで盛り上がる事がある。ワシはスーパーカー、チューニングガー、レーシングカーが好きなので、手元にあるゲンロク、オプション、オートスポーツなどの雑誌を、日々ヒマな時に眺めている。ワシはガキの頃からRX-7が大好きで、若い時には、SA22CやFC3Sを所有していた時期があったのだが、残念ながらFD3Sは所有する事が出来なかった。それがちょっと心残りじゃのー。

シャバにいた頃には、毎年数回ほど岡山国際サーキットやミネサーキット(現在はマツダのテストコースになっている)へ出向いて、スーパーGTやフォーミュラーニッポンのレースを観ていた。特に好きだったのがスーパーGTを走っていたRE雨宮のRX-7で、あのペリチューン独特のつんざくような高周波のエキゾーストノートにシビれていた。サーキット特有の非日常な世界の光景が大好きだった。もうこれから先、サーキットでレースを観る事が出来ないのがヒジョ~~~~に残念に思う。

ワシはスポーツカーやチューニングカーが好きなので、早いこと新型RX-7が見たいのだが、なかなか出てこんよのー。えーかげん待ちくたびれとるでえー。いつになったら出るんかのー。どの雑誌を見ても、新型ロードスターに関する記事はあっても新型RX-7の記事は全くない。マツダのエンジニアの皆さんには期待しとるけーのー。世界中のRX-7ファンがあっと驚くようなインパクトのあるカッコイイRX-7をデビューさせてくれ。塀の中にも熱狂的なRX-7ファンがいる事をお忘れなく!!

◆柩に入って静かに出所する事になるんじゃろーのー

ワシがここに来て一年半が過ぎた。刑務所にキッチリ管理された制限がきつくて刺激のない単調で退屈な日常生活が日々続いている事に、もう飽きてしまった。ホンマ、何だかなーって感じである。

以前見た新聞記事で、全国の刑務所を調査し、無期懲役の受刑者が入所する人数と仮釈で出所する人数の統計があったのだが、無期懲役の判決を受けて入所する受刑者の数は、毎年かるーく何十人かはいるのに、仮釈をもらって出所する受刑者の数は、年に数人ぐらいだった。このバランスの悪さは何なんや。まあー、わかりやすく説明すると、無期懲役で服役している受刑者の大半はシャバに出ておらず、世間に知られる事もなくひっそりと獄中死しとるゆーこっちゃ。

世間に知らされるのは死刑囚の執行だけじゃ。ワシの場合、事件の規模からして、これから先、いかにワシが10年20年30年と真面目に服役したとしても、仮釈なんぞ絶対にありえないだろうと思っている。おそらく大半の受刑者と同じように柩に入って静かに出所する事になるんじゃろーのー。

あーあ、な~~んかワシもプリズンブレイクしたい気分じゃのー。(笑)

================以上、手記================

筆者は過去様々な殺人犯に会ってきたが、誰もが引寺のように獄中で無反省の日々を送っているわけではない。しかし一方で、引寺のように刑罰すらも無力だと思わせるような殺人犯もたしかに存在するのである。

引寺が暴走したマツダ本社工場

▼片岡健(かたおか けん)
1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、フリーのライターに。新旧様々な事件の知られざる事実や冤罪、捜査機関の不正を独自取材で発掘している。広島市在住。

《我が暴走》マツダ工場暴走犯の独占手記!
◎《06》「謝罪感情は芽生えてない」発生5年マツダ工場暴走犯独占手記[前]
◎《05》元同僚が実名顔出しで語る「マツダ工場暴走犯の素顔」
◎《04》「死刑のほうがよかったかのう」マツダ工場暴走犯面会記[下]
◎《03》「集ストはワシの妄想じゃなかった」マツダ工場暴走犯面会記[中]
◎《02》「刑務所は更生の場ではなく交流の場」引寺利明面会記[上]
◎《01》手紙公開! 無期確定1年、マツダ工場暴走犯は今も無反省

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〈橋下徹公式HPトップより〉

橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事が7月27日、「維新の党」を離党する意向を明らかにした。

ほら見たことか。

橋下の行動は容易に予想が出来ていた。数日前に地方選挙を控えた候補者が「維新の党」から出ると連絡してきたので、「当選したいのであれば、その選択は絶対にやめるべし、橋下の名前は近く『維新』から消えるだろう」と警告した直後だった。政治部記者でもない私が、なぜそのように予想できたのか。

◆橋下はマスコミに取り上げられなければ政治生命が持たないことを熟知している

答えは簡単だ。橋下は、おおよそ半年以上メディアに大きく取り上げられないと、自分の政治生命がもたない、「タレント政治家」だということを自覚しているからだ。注目を浴びるためであればテーマは何でも構わない。大阪都構想で敗北し、任期満了で市長、政界から引退すると語ったとき、私は市長を辞めたら、大臣の椅子確保の裏約束を取り付けて自民に鞍替えし、来年の参院選に出るだろう、と予想していた。だが橋下はそこまで我慢できなかったようだ。

世間は「戦争推進法案」についての報道であふれている。もう在阪のメディアでも「かつてのように橋下でレートが取れる時代じゃない」と見切りをつけ、扱いは大幅に減っていた。

橋下にとって、なにが我慢ならぬかといえば「自分に注目が集まらない」ことほど許せないことはない。

市長辞任再選挙の茶番までは、マスコミもかろうじて取り上げ、話題になった(させた)ろうが、都構想もダメ、咲州庁舎処分もダメ、自身が選んだ教育長はセクハラで退職(その後天下り)、職員に訴えられた裁判は敗訴続き・・・八方塞がりで、

「あかん、弾切れや・・・(大阪弁はしゃべれないものの橋下の内心)」

と、意気消沈していたところ、中央で、柿沢未途や松野頼久が民主らとの共闘を模索している。「これだ!」と目を付けた橋下は「内紛をしている場合ではない」とコメントしながら離党(!)を決意したのだ。そうだ、そうだ。橋下よ、お前の言い分は正しい。「内紛」の原因になったのは自分自身なのだから離党するのだろう。うん。これで橋下が維新の中で内紛の原因になることはなくなるだろう。

◆政策以外の行動原理は終始一貫している橋下

タレント政治家、橋下は全く信用に値しないけれども、彼の行動だけに限れば、実は結構一貫している。「いつでも威張っている」、「差別発言をしても許されると考えている」、「約束を守らない」、「気に入らないと投げ出す」、「不都合は他人に責任を押し付ける」。「平気で前言を翻す」。

なかなかどうして、一貫した行動性の持ち主だ。ただし行動原理一貫性に「政策」が含まれることは金輪際なかった。

読者諸氏は注目なさる必要はない。そうでなくとも奴は必ずまた「奇をてらった」形で、自らの存在をアッピールする行動をとり皆さんの前に現れることを予想しておく。

◆5月17日に「政治家引退」を表明したはずなのだが……

ただこの一言だけは覚えておいて頂きたい。本年5月17日大阪都構想の住民投票で敗れた時に橋本は「(12月の)市長任期後は政治家はやりません。政治家は僕の人生で終了です」と語ったことを。

私はこの「約束」を橋下は必ず反故にすると見立てている。

また、橋下だけでなく「維新」にありもしない幻想を抱いていた方々もそろそろこの現象にお気づきになって頂きたい。橋下は知事時代に退職金減額して、いかにも「経費節減」を実践しているかのパフォーマンスには気を配っていたけれども、要りもしないSPを付けた経費は税金からの出費だ。また知事時代、市長の現在を通して、首長としての給与を貰いながら、どれだけ自分の政治活動に時間と金を費やしたことか。

市長、知事などには出勤時間や政治活動の制約はないものの、公務員であることに変わりない。滋賀県の嘉田前知事が「日本未来の党」代表に就任した際は「知事の仕事と兼務できないだろう!」との県議会で批判と議決を経て党代表を辞任した。はて、嘉田氏には認められず、橋下氏には何故全くおとがめがなかったのだろう。

本人だけでなく、テレビを通じてあるいは選挙を通じて、「なんとなく」橋下を支えてきた人々にも責任の一端はある。もうやめよう。こんなわがまま坊やに付き合うのは。

と、ここまで書いたら橋下と一緒に維新を離党する!と宣言した松井知事が「もう一度大阪都構想を掲げて知事選で闘う!」と言い出した。橋下のコバンザメ松井はあまりにも小者なので(見かけはヤクザ風の強面だが)無視してきたが、「一事不再理」の原則を知らないのだろう。厳格に言えば条例に「一時不再理」は適用されないけれども、橋下が「都構想敗北、引退宣言」をした時点でこの話は終わっていたはずだ。

私があれこれ例を挙げるまでもなく、維新一派の妄想性がまた明らかになった。


◎[参考動画]【都構想否決】橋下徹政界引退を表明 ノーカット 第一部(Zipang News Watch2015年5月17日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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