松本伊代と早見優のJR山陰線路内無断立ち入りに激怒した鉄道ファンの聖戦

タレントの松本伊代(51)と早見優(50)が京都市内のJR山陰線の線路内に無許可で立ち入り、鉄道営業法違反の疑いで書類送検された事件では、鉄道ファンが激怒している。

2人は今年1月、『クチコミ新発見! 旅ぷら』(読売テレビ)のロケーション撮影の合間に京都市内のJR山陰線の嵯峨嵐山(さがあらしやま)駅近くの踏切内から無許可で線路に立ち入り、さらに松本は写真を撮影して1月14日にブログにアップ。これが「あまりにも非常識だ」として話題を集めていた。とくに怒りが収まらないのは、鉄道ファンだという。

ネットでも『JRに謝罪せよ』『これは天然ではすみませんよね、ヒロミさん?』『犯罪です。そんな善悪もつかないのか!?』『人としてどうなのだろう』などと早見と松本を批判する書き込みで大炎上。松本と早見は「キューティー☆マミー」というユニットを結成して、『急いで! 初恋』(早見)や『センチメンタル・ジャーニー』(松本)などをイベントで披露、多数の集客に成功している。当初のユニットコンセプトは「母親があこがれるママのユニット」ということったが「子供には見せられない母親(マミー)たち」になり下がった。

鉄道ジャーナリストの福田一夫氏が語る。「近頃では、線路の敷居の外から電車を撮影するのにも、鉄道警察から『近寄って撮影するんじゃない!』と激怒されるというのに、モラル的に許せない。鉄道ファンのみならず、鉄道交通に携わる人すべてに謝罪すべき事件ですよ」 

今回の警察の対応について、鉄道ファンからは賞賛の声は多い。「タレントだからといって、甘い裁定はせずに、厳しくしたのは、結果として鉄道ファンにもある一定のモラルをもたらすことになります。はっきりいって、秩父鉄道や日光鬼怒川線など、入ろうと思えば入れる地方の路線はたくさんあるが、僕たちは自制心をきかせて我慢しています。鉄道ファンの間では、線路は神聖なもので、よくある『廃線を歩く』なんていうフォトエッセイですら、否定する連中は多いです。そんな場所を早見と松本は“汚した”のですよ」(同)
  
今度、真岡鉄道が2月19日に蒸気機関車2台を走らせるイベントがある。「このときに鉄道ファンが集まって、早見や松本の事務所への抗議署名を集めるかもしれません。このままでは、僕らが撮影しにくくなるのは必然だと思いますよ」と鉄道ファンの男性。鉄道ファンの中でも不埒な人がいて、「これじゃあ、地方の路線で人がいない場所など今まで『かろうじて侵入して撮影できていた』ポイントまでマークされて僕らはますますいい写真がとれなくなる」とぼやく鉄道ファンに会ったが、こうした連中を『排除』できるのはかえって「災い転じて福」で、これこそ警察の「ルールを守らない撮り鉄排除」の狙いが裏にあるのかもしれない。

「実際に線路に乗り入れる 松本と早見は容疑に関して、1月下旬、京都府右京警察署から任意で事情を聞かれていた。京都府警に「ふたりは反省の色があったか」と聞いてみたが、さまざまな方面から問い合わせがあったのかうんざりした声で「発表しておりません」とこたえた。もはや「うまくいっても半年間の自宅謹慎がベスト」(テレビ局関係者)という声もある中、はたして80年代にアイドルとしてファンたちを喜ばせた松本と早見は、同年代のファンたちを失うのか。その対応に注目が集まる。

(伊東北斗)

 
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沖縄の人たちと共に闘うシンガー、川口真由美さんが2月25日京都で歌う

辺野古の海上工事がいよいよ再開された。高江と辺野古で沖縄人の意向を全く無視した新たな米軍基地建設が進む。もちろん誰もが黙っている訳ではない。逆だ。全国から「どう考えたっておかしいだろう!」と基地建設反対の人びとが、運動の戦列に加わるために沖縄に足を向けている。

川口真由美さん

◆真由美さんは毎月のように沖縄に通っている

京都生まれ京都育ちで、障がい者の作業所の所長さんにして3人のお子さんのお母さん、川口真由美さんもそんな人の中の一人だ。でも彼女は歌手でもある。知人から紹介され真由美さんのCDを聴いた。真由美さんを紹介して下さった方によれば、「彼女の迫力は生で聞いたらパワーが違います」とのことだったが、音楽センターから発売されている『想い 続ける─沖縄・平和を歌う─』からは、ガツンと直撃弾を食らったような詩とメロディーがシンプルな演奏で奏でられる。

真由美さんは毎月のように沖縄に通っている。辺野古や高江の現地で座り込みに参加したり、抗議行動に加わり続けている。だから彼女のオリジナル曲には、とても直接的な詩が多い。政治的であり、情熱的であり即物的なようでいて、情の深い部分を射抜く。

◆『闘う人』は異端者ではない

川口真由美さんCD「想い 続ける—沖縄・平和を歌う—」

音楽から力が失われてどのくらい経つだろう。かつては詩歌が直接的でなくとも、多くの人の心を揺さぶる楽曲が珍しくはなかった。だが近年そのような新しい楽曲に接することが少なくなったように感じる。

私の生きている世界が狭いからだろうか。時代が剥き出しの暴力をすすめ、日々が戦争めく時代にあって、優しさにくるまれた歌詞や、解釈がいかようにも可能な楽曲は、はかなくも力なく聞こえる。何も知らない子供は騙せても、大人の心を揺らせはしない。たしかに人びとの心のひだを丁寧に歌う歌はあるだろう。それらは「癒し」や「共感」には溢れているかも知れない。でもそこから「闘い」の意思と「怒り」を感じることは稀である。

時代は『闘う」ことが、なんだか不思議なことのように人びとに思わせることに成功しつつあり、『闘う人』を異端視する勘違いの罠を巧みに仕掛けている。

◆山城博治さん作詞の『沖縄 今こそ立ち上がろう』を艶やかに歌う

真由美さんの歌を私なりに解釈すれば『21世紀版闘争歌』だ。『El Condor Pasa(コンドルは飛んでゆく)』も真由美さんが歌えば、たちまち『闘争歌』へ装いを変えるし、いま、囚われの身である山城博治さんが作詞した『沖縄 今こそ立ち上がろう』を歌えば、艶やかな色を帯びた曲へと深みが増す。『翼をください』だけは詩も原曲通りだが、この曲くらいしか真由美さんの身体に納まる歌はないということだろうか。この人のエネルギーをのぞき込むのは、なんだか原発事故でメルトダウンした格納容器内のデブリを見に行くような怖さすら感じる(あえてこの表現を使う)。


◎[参考動画]辺野古作業用ゲート前で山城博治さんと共に歌う『ケサラ』、『軟弱者』(2015年1月13日)

でも本当に彼女が歌いたいのは『闘争歌』ばかりではないだろう。彼女は「躍動する声を出すようにこだわっています。鳥の声や動物の声も気にしています。自然に響くように歌わないと人の心にも響かないから。私は人間として当たり前な、人間らしさを歌いたいだけです」という。そう、彼女はいま『闘争』に忙しくとも、本当は情熱に満ちた愛情や自然を歌いあげたいのではないだろか。でも時代はそれを許さない。

◆2月25日(土)京都での真由美さんコンサートに先着5名様ご招待!

『共に歌う歌姫・闘うシンガー』とも呼ばれる真由美さんの歌を生で聞くのは正直少し怖い気もする。こちらのエネルギーが試されるのではないかと。「聴き倒れ」てしまうんじゃないか。自分に自信のない私などはちょっと不安だけれども、彼女の歌を聴くチャンスがやってくる。

2月25日(土)、京都市呉竹文化センターで1:30開演、川口真由美さんのコンサート『想い 続ける ―沖縄・平和を歌う―』が行われる。コンサートは当日2000円(前売1500円)、小学生~高校生・障がい者1000円だが、ご紹介者のご厚意により先着5名様に同コンサートのチケットをプレゼントする。チケットをご希望の方はtadokoro_toshio@yahoo.co.jpへお名前、ご住所、連絡先電話番号を明記の上メールをお送り頂きたい。先着5名様(多数の場合は抽選)にチケットを差し上げます。

2月25日(土)川口真由美『想い 続ける -沖縄・平和を歌う-』コンサート(京都市呉竹文化センター)

川口真由美さんについてのご質問は、京都音楽センター(TEL:075-822-3437、Email:info@wawawa.ne.jp)まで。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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日韓合意と大使召還の愚──「愛憎」の猿芝居を演じ続ける日韓の受益者たち

在日本大韓民国民団(民団)は1月12日、都内のホテルで新年会を開き、呉公太(オ・ゴンテ)団長が韓国・釜山の総領事館前に設置された慰安婦像について「撤去すべきだというのが、私たち在日同胞の共通した切実な思いだ」と述べた。その上で、一昨年12月の慰安婦問題に関する日韓合意の堅持を訴えた。

産経新聞2017年1月12日付

呉氏は日韓合意を「両国政府が苦渋の末に選択した結果で、関係発展のための英断だ」と評価し、会場の拍手を浴びた。その上で「誠実な態度で履行されなければ問題は永遠に解決されない」と強調。「合意が履行されずに再び両国関係が冷え込み、私たち同胞はまたも息を殺して生きなければならないのか」と切々と述べ、「(韓国)国民の冷静かつ賢明な判断と、日本政府の冷静な対処」を求めた。

※参照元=産経新聞2017年1月12日付 

一昨年安倍と朴の間で交わされた「日韓合意」を民団は評価しているようだ。私には異議がある。全く賛同しない。「日韓合意」とはなんだろうか。外務省によると日本側(岸田外務大臣)は以下を明言している。

(1)慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。

(2)日本政府は、これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ、その経験に立って、今般、日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には、韓国政府が、元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。

(3)日本政府は上記を表明するとともに、上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。あわせて、日本政府は、韓国政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。

対して韓国側(尹外交長官)は、韓日間の日本軍慰安婦被害者問題については、これまで、両国局長協議等において、集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき、韓国政府として、以下を申し述べる。

(1)韓国政府は、日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取組を評価し、日本政府が上記1.(2)で表明した措置が着実に実施されるとの前提で、今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は、日本政府の実施する措置に協力する。

(2)韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。

(3)韓国政府は、今般日本政府の表明した措置が着実に実施されるとの前提で、日本政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。

※引用元=外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001664.html

長い引用になったが、この「合意」は注意深く読まれる必要があるのでご容赦頂きたい。本合意は2015年12月28日になされたものである。韓国側の外交長官尹(ユン)氏は朴槿恵政権下の日本に置き換えれば外務大臣である。朴槿恵は文字通り韓国国民の力によって大統領の座から引きずり降ろされ、間もなく刑事訴追が待っている人物だ。振り返れば大統領選挙に勝利したが得票率では51.5%で野党候補である文在寅の48.02%と大差があったとは言い難い。

朴正煕の七光りと韓国社会の閉塞感が「なんとなく」初の女性大統領を生み出したという側面と、野党が候補者選定に手間取りすぎたことも朴には有利に働いた。しかし、この選挙結果を受けて、韓国では絶望のあまり少なくない自死者が出たことは日本であまり知られていない。

安倍晋三と朴槿恵の絶望的同時就任。朝鮮半島を日本が侵略していた時代にさかのぼれば、ともにそこで甘い汁を吸った人間の世襲である安倍と朴に、本質的な対立が生まれる理由はない。2014年4月セウォル号事件で、全くの無能ぶりを暴かれた朴には転落の道しか残っておらず、そこですがりついたのが、韓国政権の常套手段「反日」感情の喚起と利用だ。この時期から実際には中国と日本にすがりつき米国からの側面射撃なしに政権維持は困難を極めたのだが、朴は対日政策に矛盾だらけの外交を展開する。「反日感情」利用の一方で、日本との「融和」を演出することによって外交での得点稼ぎを試みた。その思惑の中で生まれたのが大きな捻じれ、将来への禍根を包含した「日韓合意」である。

文言は一見妥当のようにも見える。中でも「安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」が明文化されているのは、日頃の安倍の発言からすれば、「え、そんな約束していたの?」と感じるほどだ。

しかし、鍵は(3)である。「日本政府は上記を表明するとともに、上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」だ。国家間の約束だから、どんなに危うい条約や合意でも声明を出したからには文言にせずとも、「課題にされた問題は解決した」と理解するのが国際的には常識であるが、ここではわざわざ「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」との念押し文言がわざわざ付け加えられていることに着目すべきだ。

その背景には、多くの韓国国民が安倍の本音や日本で沸き起こる差別的世論を認識しており、また朴槿恵のステンドプレーに対する嫌悪を抱いたこと、そして何よりも被害者である元慰安婦方からの意見を韓国政府が無視して「日韓合意」が結ばれた事情を再度指摘する必要があろう。私は韓国という国家に特段の思い入れはない(どの国家にもそうであるが)が、韓国人の友人が少なからずいる。親友と呼んでも過言ではなくなんでも話すことができる友人がいる。

そんな彼らに聞くと、やはり「日韓合意は欺瞞だ。だから破棄されるべきだ」との声が少なくない。私も同意見だ。「日韓合意」によれば韓国政府は日本大使館前の少女像を適切に扱う(意味としては撤去させる)と約束している。これが当時から韓国社会の反感を買ったのだ。「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と対になった「少女像撤去」の宣誓。私は必ず「日韓合意」が災禍を招くであろうと直感した。

そして、釜山の日本領事館前に新たな少女像が民間の団体によって造られたことに腹を立てた日本政府は、1月6日長峰安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事の「一時帰国」にまで踏み切った。「一時帰国」というが、実際には「大使召還」であり、これは国際関係において、相当程度の緊張が双方の国に生じていることを象徴する行為だ。そして本稿執筆時(2月6日)にいたるも大使・総領事は韓国へ帰るタイミングを見つけられず、まだ日本に留まっている。

基本を踏まえていない「日韓合意」と、ヒステリアが「大使召還」などという恥ずかしい行為に及んでいる。韓国は実質大統領不在、内政は混乱を極めている。大統領選挙にはこれといった決め手となる候補者も不在だ。そんな内政の国を相手に、少しは冷静にならないか、日本政府と外務省。韓国内に日本同様民族右翼がいることを私は知っている。彼らは日本の右翼同様に非論理的で感情的である。話にならない。そして不幸なことに間もなく倒れる現政権に親和性が高い。

殴り合いになりそうな議論をしても、歴史認識につて激論を交わしても翌日にはまた普段通り仲良く語り合える友人関係を築きたいとは思わないか。もとより表面では対立したり、仲良さそうにしたりしても根源の利益で両国の支配層は戦後一貫して繋がって来た。つまり受益者は「喧嘩ごっこ」や「仲良しごっこ」の猿芝居を、延々演じているのだ。両国政府のどす黒い政治的目論見に何故市民が踊らされる必要があるのか。それほど信用に値する政権なのか。日本も韓国も。

カードゲーム(トランプ)に世界中の目が集まっていて、当該国もどうやら肝心な問題をお忘れのようだ。ボーっとしていると、韓国大使は帰るタイミングを逸してしまうのではないか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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「アジア最高のLCC」に選ばれたスクート航空の最低すぎる旅路

LCC(格安航空会社)の遅延の多さやサービスの悪さが世界的に問題となっている。11月末に成田空港から「スクート航空」(シンガポール)でタイのドンムアン航空にとんだ50代会社員A氏は怒り心頭だ。

「2時間前の午前8時に空港に着いたのに、到着するや否や10時00分発の便は『2時間遅れ』と表示が出ていました。ドンムアンへの到着予定時刻は14時55分で、計算するとどう見積もってもドンムアン空港から17時15分発のウドンタニ空港行きへの便がまにあわなくて、一緒にいった友達ともどもドンムアンからウドンタニ行きのチケットを2枚捨てて、もっと遅い便を買いなおすはめになりました」

遅れの原因は、「使う航空機が来ていない」とのことだが、当日、「つぎの便にまにあわないが補償してくれるのか」との問いに成田空港のスタッフは「遅延証明書なら出します」と問いとはまったくかみ合わない答え。

ただでさえ遅れていてイライラしているのに、飛行機内では座席上部のバケットが閉まらずに荷物が落ちそうになったり、そもそも「遅れたことに対して謝罪すらもない」とA氏の怒りは収まらない。

A氏の悲劇はさらに続く。帰りもスクート航空を使ったのだがドンムアンから成田空港への便でも55分遅延を食らった。

「私たちはさておき、配席がめちゃくちゃで、同じ席を2枚発行して振り分け直していたり、トイレの後ろの存在しない座席番号を渡された客が立ち往生して泣きそうになっていました。女子大生っぽいグループが『せっかくいい旅をタイでしてきたのに、帰りの便が友達とバラバラにされて幻滅です』と泣きそうになっていたのです」

後日、この2つの便については「一度くらいまともにつけや」「亀よりも遅いスクート航空へようこそ」などと炎上していたが、海外に出かけることが多い人たちに取材を続けるとスクート航空については悪評ばかりが飛び込んできた。

「機内食を運ぶキャリーにたたき起こされたが謝罪の言葉がまったくない」

「シートベルトを着用するように言われたが、なかなかしなかった客に対して断りもなく僕の眼の前にCAの腕が伸びてきて、強引に隣の客のシートベルトを締めた。スリかとおもった」

「積み込んだ荷物をなくされたが、『ラック(運)にもよります』とスタッフが言い放った」

などなど。とにかく「スクート航空を使って5月にシンガポールからシドニーへのチケットで乗りましたが、30分ほど遅れたのですが、到着したシドニー空港からラゲージが出てくるまで1時間30分待ちました。なぜ遅れているのかと聞くと『混んでいるから』という禅問答のような答えがスタッフから返ってきまいた。私も人間というよりも、荷物扱いをされているような感覚になりました」(40代デザイナー)

サービスが悪くとも、きちんと時間につけば文句は出ないはずだが、スクート航空は遅延の多さでネット上では炎上しているほどだ。日本支社に電話したが「日本語がわからないんでシンガポール本社に電話してください」とのこと。スクート航空のシンガポール本社に問い合わせて「遅延については改善しようとしているのか」と日本語専門ダイヤルに電話取材してみた。

「プレスですけど、会社としては遅延について改善、努力をするつもりはあるか」と聞いてみたが担当はなんと「このこたえは上司がもっていますが、英語のみになります」と日本語専門ダイヤルとしては予測しなかった答えがかえっきた。逐一、こちらが質問すると「上司に聞いてきます」という担当の女性は、「飛行機である以上、遅延はどうしようもないと上司が言っています」「3時間を超えれば遅延の補償の対象となりますが、それ以内は補償できかねます」と言い張るのみ。

それでは「遅延の補償はするつもりもないし、『I’m sorry』でもないのですね。それは会社としての見解ですね」と聞くと「いえ、もうしわけございません。なるべく時間を守るようにいたします」ととってつけたような答えが返ってきた。2013年には「Terrapinn Holdings」が発表した、アジアの「ベスト ローコスト キャリア」に選出されたこの航空会社。まさに看板に偽りあり、だ。

2020年の「東京五輪・パラリンピック開催」に向けてシンガポールから東京への便を増やすべく、ロビイ活動に精を出して自民党議員などに接触しているようだが、まずは時間通りに客を運ぶ努力から始めたほうがよさそうだ。

(伊東北斗)

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《本間龍17》Paix2(ぺぺ)はなぜ「刑務所の女神」と称されるほど人気なのか?

東京スポーツ2017年1月26日付

女性ボーカルデュオのPaix2(ぺぺ)が2001年からほぼ無給のボランティアで続けてきたプリズンコンサートが、昨年12月10日の千葉刑務所で400回を達成したという。これは世界的にみても例がなく、すでに幾つものメディアがこの偉業を伝えているが、なんとあの東スポまでもが(東スポ様、失礼!)が1月26日付けの紙面で記事にした。そこで私は、彼女たちの歌を塀の中で聞いた元受刑者としての思いを書いてみたい。

◆慰問公演は娯楽のない受刑者にとって貴重な機会

刑務所では懲役作業がない週末に、様々な人々が慰問に訪れる。歌手はもちろん、劇団やアマチュア楽団、落語、伝統芸能団体など多岐にわたり、月によっては毎週末に予定が組まれていることもある。娯楽がない受刑者にとって、同囚と刑務官以外の人々と接する貴重な機会だ。

Megumiさん
Manamiさん

翌月の慰問予定はその前の月にはプリントに印刷され、ムショ内の食堂等に掲示される。私がいた黒羽刑務所は2008年当時、過剰収容で2300名もの受刑者がいたから、こうした慰問への参加は自主的な申し込み制だった。受刑者はそれぞれ参加したい演目に申し込むが、定員オーバーの場合は、受刑年数が長い者が優先される。シャバから隔離されている年月が長いものへのささやかな配慮というわけだ。

だが逆に、残念ながら不人気の演目もある。毎年来てくれるのは有難いが、あまりにも前衛的すぎて何をやっているのか分からない劇団や、超高齢で全く声が聞こえない演歌歌手などは敬遠されて席が埋まらない。わざわざ慰問に来てくださっているのに無礼千万ではあるが、受刑者側にも好みがあるから仕方がない。でも空席があっては慰問に来てくださる方に失礼だということで、そういう場合は逆に入所年月が浅い者から強制参加させられ、会場を満員にするのだ。

◆古参受刑者ほど一日千秋の思いで待ちわびるぺぺのコンサート

そんな中で、ぺぺのコンサートは間違いなくダントツ1位の人気演目で、毎回申し込みが多すぎて抽選となり、それでも収容しきれずムショによっては午前・午後2回公演という所もあるという。私は入所時、迂闊にもぺぺを知らなかったのだが、同僚が「本間さん、今年もぺぺが来てくれます。これは絶対にオススメですよ!」と興奮気味に語ってくれたのを今でも思い出す。

彼女たちがほぼ1年に一回慰問に来てくれるのを受刑者たちは皆知っており、古参受刑者ほど一日千秋の思いで待ちわびるのだ。さらに、「ぺぺのコンサートの前は懲罰が減る」という伝説がある。これは懲罰を受けると慰問にも参加できなくなるから受刑者同士の喧嘩や諍いが減るというもので、確かに黒羽でもその通りだった。

『逢えたらいいな』の一文を朗読するManamiさん
Megumiさん

◆受刑者たちの心を捉えるMC(語り)の絶妙さ

ではなぜ、彼女たちは「刑務所の女神」と称されるほど人気があるのだろうか。その秘密は、美しいハーモニーもさることながら、受刑者たちの心を捉えるMC(語り)の絶妙さにある。年輪を重ねたことで、受刑者たちに向けたトークが彼らの心をわしづかみにするのだ。

例えば、舞台登場後すぐに、「こんにちは、ぺぺです。今年もここ○○刑務所にお邪魔することが出来ました。さて、私たちのコンサートが初めての人は挙手をお願いします。2回目の人は? 3回目の人は?・・・え、5回目の人もいる? ダメですよ、早く出所しないと!」などと言って笑わせる。

そうかと思えば、受刑者からの手紙を読んだり、出所してからぺぺに送られた感謝の手紙を読んだりして、涙を誘う場面もある。その緩急が絶妙なのだ。私も黒羽刑務所で彼女たちのコンサートを体験したが、一緒に声を出して歌い、手を振り上げ、体を揺らして楽しむなど、他の慰問の演目では考えられないほどの自由さに驚いた。そして、「早く家族や待っている人の元に帰ってくださいね」という優しい語りかけに、そこかしこですすり泣きが聞こえ、涙をぬぐう受刑者がいた。

◆慰問を続けてきた彼女たちに対する官側の信頼と敬意

慰問に訪れる人たちは多いが、ここまで受刑者の心に寄り添い、語りかけを続けてきた存在は稀だ。念のために言っておくが、このコンサート中の「挙手」などもぺぺだけに許されている特別な行為だ。通常、受刑者はコンサート中に手を振りかざしたり、体をゆすったり、声援を送ることは禁止されている。つまりはひたすら手を膝の上に乗せた姿勢で「拝聴」しなければならないのだが、ぺぺは話の仕方も上手く、経験も積んでいるのでムショ側も安心して受刑者たちとの「交流」を許しているという訳だ。これは10年以上に渡って慰問を続けてきた彼女たちに対する、官側の信頼と敬意の表明でもある。

「元気出せよ」を歌い始めると、刑務所内では通常、許されないアクションが起る

罪を犯した受刑者といえども家族がいて、待つ人がいる。だが長く辛いムショ生活で自暴自棄になり、その存在を忘れそうになる者も多い。そうした中で毎年、手弁当でムショに来てくれるぺぺは、自分たちの悩みや苦しみを本当に分かってくれている、と多くの受刑者が感じ、感謝している。ぺぺのお二人は意識していないかも知れないが、実は受刑者たちに人の心の温かさを思い出させ、もう一度社会に戻る勇気を与えるという、非常に重要で難しい役割を担っているのだ。プリズンコンサート400回に心からの感謝と、今後もさらに受刑者たちの心の拠りどころとして、活動を続けていって頂ければとせつに願う。

Manamiさん(左)とMegumiさん(右)


◎[参考動画]Paix2 逢えたらいいな 第二回 東京拘置所矯正展

Paix2(ぺぺ)公式チャンネル

▼本間龍(ほんま りゅう)
1962年生まれ。著述家。博報堂で約18年間営業を担当し2006年に退職。著書に『原発プロパガンダ』(岩波新書2016年)『原発広告』(亜紀書房2013年)『電通と原発報道』(亜紀書房2012年)など。2015年2月より鹿砦社の脱原発雑誌『NO NUKES voice』にて「原発プロパガンダとは何か?」を連載中。

Paix2『逢えたらいいな―プリズン・コンサート300回達成への道のり』(特別記念限定版)
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『NO NUKES voice』第10号本間龍さん連載「原発プロパガンダとは何か?」新潟知事選挙と新潟日報の検証!

今度の日曜、大阪・紀伊國屋書店での岸政彦先生サイン会がワクワクすぎる!

 
 

 
私たちの奮闘及ばず芥川賞受賞を逃した岸政彦先生であったが、朗報だよーん!  2月5日(日)紀伊國屋書店グランフロント大阪店でトークショーとサイン会が行われるんだ。

2月7日(火)には東京の紀伊國屋でもサイン会が予定されており、まさに「向かうところ敵なし」の勢い。嬉しいですね。大阪のトークショーは既に満員だそうですが、特別取材班は既に整理券を入手しているので、岸先生からどんなお話が聞けるのか、今からワクワクが抑え切れません。

トークショーのお相手が奥様の齋藤直子さん! やけちゃう! 「夫婦漫談」だなんて。岸先生こんなところでも愛妻振りのイチャイチャ披露しちゃうんですか! 特別取材班が嫉妬し過ぎて倒れたら岸先生のせいですからね! もう!!

サイン会は岸先生の『ビニール傘』新潮社 1512円(誰だ! 高いなーなんて失礼なことを言っているのは! )を買えばだれでも参加できそうだから(整理券がいるらしいがまだ余裕はありそうだ)。Do not miss it ! これ、関西の人は行くしかないしょ。そう岸先生はご自身のツイッターでも宣伝なさっているから、私たちは絶対に行かなくちゃ!

特別取材班はトークショーはもちろん、サイン会には二桁の人数でお邪魔して、貴重な『ビニール傘』に各自の名前を、直接岸先生に書いてもらおうと思ってるんだ。もちろんツーショットの写真撮影もお願いしちゃお(岸先生、今度は顔を隠さないでネ)。握手して頂いてた手は1年は洗わない。キャーあの岸先生に会えるんですもの!

 
 

特別取材班にはむくつけき男ばかりではなく20代の女性もいるんです。ジェントルマン岸先生は女性には優しいですよね。でも要注意ですよ。うちの若い女の子、ひょっとしたら取材班中で一番過激かも。見た目はおとなしいけど、突っ込みだすとベテランが顔色変えて止めないとどこまでも突っ走っちゃうんですよね。もちろん紀伊國屋様や岸先生にご迷惑をおかけすることはありませんよ。

でも仕事じゃなくてあくまで個人的に出かけて行って、岸先生にお話するのを私たちは止められません。言論の自由は憲法で保障されているのですから。

どんな質問をするのかなぁ。

「岸先生、初恋はいくつでしたか? 」

「4年間も肉体労働をされていたんですよね。ちょと胸の筋肉触ってもいいですか?(ウフッ)」

「『派手でもコテコテでもなく、希望やいいことはなく、貧しい高齢者が多い、そんな大阪が好き。この街に死ぬまで付き合っていきたい』っておっしゃっていましたが、『大阪に希望やいいことはなく』って大阪人のアタシからすると、ちょっと? やねんけど……」

「おいらも『大阪に希望やいいことはなく』って大阪ヘイトじゃないかと思う。岸さんを見損なった。マイノリティーの気持ちがわかってたらこんなこと言わないよね」

「とにかく『M君事件』ですよ。『M君事件』岸先生は事件直後に知ってたというじゃないですか。『ビニール傘』買いましたけど、『反差別と暴力の正体』持ってきたからこちらにサインもらえません? 」

「岸先生お久しぶりです。この顔写真と僕の顔見たら思い出してくれますよね」

何十発も殴られても、ひたすら耐えたM君
「岸先生お久しぶりです。この顔写真と僕の顔見たら思い出してくれますよね」

ワオ!

あたりまえだけどどこかの団体と違って「日当5万円」などというデマを流されるような資力も能力も鹿砦社にはないから、交通費も『ビニール傘』購入費用も特別取材班は全部自腹だよー。なけなしの細い腹を切ってでも岸先生に会いたい!

君に会いに行くよ~
君に会いに行くよ~
愛してます 好きにしてよ~
君に会いに行くよ~

The Boomの「星のラブレター」を口ずさみながら、日曜午後は紀伊國屋書店グランフロント大阪店にみんな、集まろう!


◎[参考動画]多部未華子出演のTHE BOOM「星のラブレター」MV(Short.ver)

(鹿砦社特別取材班)

在庫僅少『ヘイトと暴力の連鎖 反原連-SEALDs-しばき隊-カウンター』(紙の爆弾2016年7月号増刊)
在庫僅少『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)

「この世界の片隅に」の時代、広島の新聞は戦争をどう報じていたか?


◎映画『この世界の片隅に』予告編

アニメ映画「この世界の片隅に」(片渕須直監督)の大ヒットはもはや社会現象のような趣だ。戦時下の広島県呉市を舞台に、広島市から嫁いできたヒロインの女性・すずとその周囲の人たちがけなげに生きる姿を描いたこうの史代の漫画を、片渕須直監督が6年以上費やして映画化。昨年11月、全国で約60館という公開規模でスタートしたが、あらゆる批評家、そして一般の観客たちがこぞって絶賛して評判が広まり、累計観客動員数は100万人を突破。キネマ旬報が選ぶ2016年のベスト・テンでアニメ作品としては28年ぶりの1位に輝き、現在は上映館数も200館を超えている。

私もこの作品を鑑賞したが、何より感銘を受けたのは、登場人物たちが戦時下の過酷な状況を当然のこととして受け入れ、時勢に対して何の不満も言わず、かといって戦局に一喜一憂するわけでもなく、一日一日をただひたむきに生きていたところだった。戦争は怖いとか、いけないことだというのは、今の日本なら誰でもそう思うことである。しかし戦時下はそうではなく、一般の人々の暮らしぶりとは、この映画のようなものだったのだろう。そんなことをしみじみと感じさせられたのだった。

中国新聞1945年8月2日1面。度重なる空襲で呉市民の多くが生命を奪われても日本の優勢が伝えられ続けた

そして私が改めて気になったのが、当時の戦争報道がどのようなものだったのか、ということだった。戦時下において、この映画の舞台となった広島県呉市の人たちの戦争に関する事実認識や考え方は当然、戦争報道によって形成されていたはずだからだ。そこで、広島地方の地元紙である中国新聞の当時の報道を検証してみた。

◆呉で2000人が犠牲になって以後も日本優勢を伝え続けた地元紙

軍港があった呉市は終戦が間近に迫った1945年3月から7月にかけ、計14回の空襲に見舞われ、約2000人の民間人が犠牲になったと伝えられている。しかし、8月2日の中国新聞は1面に、〈本土の戦備・着々強化〉〈機動部隊 艦上機を迎撃 約八七八機を屠る 我軍事施設の被害僅少〉と、このごに及んでもなお戦局は日本が優勢であるかのように伝えている。まさに「世界の片隅」にいて、地元の状況以外は報道で知るしかない呉市の人たちがこんな報道を見れば、呉市はどんなに悲惨でもそれ以外では日本が優勢なのだろうと誤認しても仕方ないだろう。

その後も同紙の紙面には、〈沖縄の基地艦船猛攻〉〈バリックパパン 斬込みで敵陣撹乱〉(以上、8月4日1面)、〈タンダウン、トング―の線で出血戦 ビルマ皇軍勇戦続く〉(8月5日1面)、〈笑殺せよ 爆撃予告 心理的効果が狙ひだ〉(8月5日2面)・・・と日本の優勢を伝える見出しが躍り続ける。そして1面で、〈敵殺傷四千八百余 タラカン島の総合戦果〉と報じている8月6日の午前8時15分、広島市に原爆が投下され、10万人を超す人が生命を奪われたのである。

中国新聞1945年8月9日1面。原爆投下3日後、地元紙が原爆について最初に報じた記事。今思えば見当外れだ

◆映画が再認識させてくれるもの

原爆投下の翌日と翌々日、さすがに中国新聞は発行されなかったが、3日後の8月9日には早くも発行を再開している。ただ、この日の1面では原爆について、〈新型爆弾攻撃に 強靭な掩体と厚着 音より速い物に注意〉と、今思えばかなり見当外れなことを書いている。社説も〈逞しくあれ〉などと訴えているのだが、「そんなのは無理」というしかないだろう。さらに社説の下には、海軍少将・高田利種の〈この戦争・絶対勝つ 秘策着々進む 挫けるな精神戦〉という訓話が掲載されているのだが、よくもこんな無責任なことを言えたものである。

その後も、同紙の紙面には、〈人類の敵を抹殺せよ〉(8月13日1面)、〈水上機母艦を撃沈 潜水部隊、沖縄へ出撃〉(8月14日1面)、〈空母等二艦を大破 敵機動部隊を捕捉猛攻〉(8月15日1面)・・・と、昭和天皇が玉音放送で日本の降伏を伝える8月15日まで勇ましい見出しが躍り続ける。

中国新聞1945年8月16日1面。日本の優勢を伝え続けながら終戦翌日はこんな紙面に……

そして終戦翌日の同8月16日には、1面で大々的に〈大詔渙發・大東亜戦争終結〉〈神州の不滅を確信し 萬世の為に太平を開く 米英支蘇四国共同宣言を受託〉と終戦が伝えられているのだが、今思えば、こんなデタラメな報道がまかり通っていたというのは本当に恐ろしいことである。

報道の自由や言論の自由が大事なものであるというのは言うまでもないことだが、映画「この世界の片隅に」はそのことを再認識させてくれる作品でもあるように思う。


◎[参考動画]練馬アニメカーニバル2015「『この世界の片隅に』公開まであと1年!記念トークイベント」

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)
『NO NUKES voice』第10号[特集]基地・原発・震災・闘いの現場

2017年衆議院解散・総選挙に絶望する3つの根拠とひとつだけの希望

今年は衆議院の解散、総選挙があるようだ。解散は総理大臣の専権事項だから、いつ解散されるのかは、安倍のみが決めることではあるが、永田町の住人たちに聞くと、「おそらく今年中で確実だ」の声が多い。

◆英国EU離脱もトランプ大統領選勝利も二者択一の中での選択

さて、そうなれば衆議院の議会構成図を変える機会が訪れるのだから、常々「最低・最悪」と現政権をなじっている私からすれば、前のめりに、無根拠でも何らかの変化と、できうることであれば自公政権の終焉を夢想したりしてみるのだが、その可能性はあるのだろうか。「いくらなんでもそれはないだろう」と言われた。

ドナルド・トランプが大統領選に勝利し、英国がEUから離脱する決断を2016年世界は目にした。どんなことにだって可能性はあることを私たちは見たのだ。けれども、それらは二者択一の中での選択だったことを忘れてはならない。米国大統領選挙は、ヒラリー・クリントンかドナルド・トランプの選択で、英国のEU離脱は「EU残留」か「EU離脱」を選ぶ。それ以外の選択肢は「棄権」以外にはない投票行動だった。

◆一票の意思表示が妥当な価値で扱われない小選挙区制度

 

解散、総選挙となれば有権者は、支持する候補者と政党の名を書き、それが意思表示(投票)となる。しかし小選挙区制が導入されている現在の選挙制度の下では得票率が獲得議席に比例しない、という構造上のからくりがある。選挙結果がどのように表れたとしても、一票の意思表示が妥当な価値で扱われない制度であり、まずはこの大問題を正すべきではないか。

「金がかかる」といって中選挙区制から移行された小選挙区制であるが、「金がかかる」理由を質したら「自民党内の候補調整に金がかかる」というのが、本当の理由だった(田原総一朗氏談)。まず中選挙区に戻したら少しは不平等が解消されるだろうが、読者はどうお考えだろうか。

◆絶望する根拠[1]──野田佳彦が幹事長の民進党に票が集まる理由なし

そして2017年総選挙になったら、私の期待とは正反対の結果が導かれるであろうことを、残念ながら私はほぼ確信する。それ第一の理由は野党第一党の民進党には、現政権に対する明確な対抗政策がなく、党内には「隠れ自民党員」とレッテルを貼りつけても不足ではないダメダメな奴らが相当数見当たるからだ。原発事故後に「終息宣言」を口にし、再稼働の暴挙を強行した野田佳彦。素人が見たって、最悪のタイミングで「自滅解散」に打って出た大馬鹿者。こんな奴が幹事長として党の中枢でまたぞろ大きな顔をしていれば、自公政権に嫌気がさしている有権者の票が集まる理由がなかろう。

◆絶望する根拠[2]──自民と維新の二者択一に投票意欲がわくはずなし

 

そしてさらに絶望的な根拠の象徴として、大阪を中心とする関西地区での維新勢力の定着である。大阪府11の小選挙区では自民と維新が実質的に議席争いを繰り広げることになるが、現状どうやらそこに他の野党候補が食い込む余地は全くないようだ。自民と維新の選択? 地元大阪では、橋下徹に牽引された「大阪都構想」をめぐって、維新(一部公明)対他の政党という、地域限定のトピックがあったけれども、国政に送り出す候補者を自民か維新のどちらからしか選べないのであれば、そんなものに投票意欲がわくはずがない。

◆絶望する根拠[3]──東京・大阪・大都市圏票の急激な保守・反動化

 

かつて国会議員の選挙では、都市部では革新勢力(今ではこの言葉すら目にしなくなった)が強く、地方では主として農協に支えられた保守が強いという構図が長く続いたけれども、東京都知事に石原慎太郎が就任して以来、この構図は崩れた。

都市部ほど保守・反動が強くなり、野党の小選挙区で議席獲得はむしろ地方に広がりを見せている。これは21世紀に入り、確実に歩みを進め、その速度を増し、右傾化が都市部において地方を凌駕していることの表れでもある。

大した議論もなく、選挙権を18歳に引き下げた、自公政権の自信には「若者の洗脳は完成した」とのメッセージが込められていると、深刻に受け止めなければならない(事実昨年の参議院選挙で18-20歳の投票行動はその通りになった)。

◆元憂歌団の内田勘太郎さんの至言──「(時代を)作っていくのは若い人」

正直に言えば、どうにもならないだろうという結論しか私にはない。しかし、私は我が身一人でがっかりしていればよいのであって、状況が厳しくとも、なんとか打破を実現しようと、汗をかいておられる方々を冷めた目で見るわけでもないし、その逆だ。『NO NUKES voice』第10号で、元憂歌団の内田勘太郎さんが優しい物言いの中、鋭敏なメッセージを発している。

「俺は俺でずっと頑張りますけど。知ったこっちゃない。でも(時代を)作っていくのは若い人だから自分のことを年寄りだとも思ってないですけど『頑張ってね』とだけ言いたいな」

至言なり! さすが芸術の才のある人の言葉は違うと感じ入る。「(時代を)作っていくのは若い人」なのだ。私たち中年や老人がああだの、こうだの言っているあいだは「時代が死んでいる」のだ。新しい発想や行動、そして何よりも、この社会の理不尽に体を震わせるほどの「怒り」が若者から発せられたとき、ようやく時代は動き出すのだろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年2月号!
『NO NUKES voice』10号【創刊10号記念特集】基地・原発・震災・闘いの現場──沖縄、福島、熊本、泊、釜ヶ崎
『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』

「岸政彦先生、芥川賞受賞ならず」に関する謎の記者会見

 
 

  

―― まずは今回の感想を

「そうですね。力及ばずでした。応援して頂いた皆さんにお詫び申し上げます」(パシャ、パシャ、シャッター音とフラッシュを浴びながら)

―― ノミネートされた時点で手応えはありましたか。

「いやぁ。あの時は正直びっくりしましたね。正確にはノミネートされたことを知ったのはかなりあとで、仲間から聞かされたんです」

―― ノミネート直後には知らなかった。

「ええ、こう見えて結構忙しいんですよ。貧乏暇無しってやつ。あ、この表現差別になっちゃうかな(笑)。直後に知っていたらアクションはもっと早かったでしょうし、そうすれば結果もね……」

―― 受賞決定前の数日はかなり注目が集まりました。

「はい、激励や叱咤もたくさん頂きました。でも、こういう言い方はどうかなとは思うけど、ノミネートを知ってからは僕たちなりに必死だった。全力で走りぬけた感はありますね。とにかく『受賞』の一助を担いたいと。発表を聞いた時、僕ら全員泣きましたもん」(「本当か?という無言の質問が矢のように飛んでくるが、会場は一応静まっている)。

―― 気鋭の社会学者が芥川賞受賞実現すれば、ボブディランのノーベル文学賞受賞に似ている、という話題もありました。

「あ、それ、かなり意識はしていたんです。あれ見てカッコイイなと。ボブディランは授賞式に参加しなかったじゃないですか。だから彼も『東京で控えてください』と言われていたらしいんですけど、あえて大阪に縛り付けた。詳しくは言えませんが色々考えたわけです。最後はご本人の意向もありますけど」

◆上昇志向を隠しきれない本性を取材班は見抜いていた

―― 受賞の確信はおありになった?

「うーん、確信なんて持てませんけど、なんか天啓(受賞しない)みたいなものはあって。だから僕らは動いたのかな。僕らの中で議論したんですけど、実は彼がかなりの上昇志向なんだと読み解いたんです。たぶん無意識に。 」
  

 
 

  
「『地味に』とか『片田舎でひっそりと』とか『無名』とかそういう言葉が出ちゃうってことは、脳のどこかで真逆のことを発信している神経細胞、生理というか、もうこれは生得的なモノなんでしょうけどそういうものを『持っている』。だから『紀伊國屋じんぶん大賞』受賞のコメントでも『この本の最大の特徴は、何の勉強にもならない、ということだと思います。いちおう社会学というタイトルはついていますが、これを読んでも社会学や哲学や現代思想についての知識が増えることはありません。これは何の役にも立たない本なのです』と書いているんですが、直後に『この本で書いたことは、まずひとつは、私たちは無意味な断片的な存在である、ということと、もうひとつは、そうした無意味で断片的な私たちが必死で生きようとするときに、「意味」が生まれるのだということです』ってかなり断定的な言い方してるじゃないですか。押し付けがましいほどに。僕らから見たらこれは明らかな矛盾ですよ。決定的ともいえる意味の亀裂です。けど彼は矛盾と感じてはいない。これはかなり重要なポイントで、おそらく多くの読者も気づいていないと思うな。でも僕らは、それを見逃さなかった。あ、話それちゃったごめんなさい。確信はなかったけど、受賞に向けて最大限に力を尽くした。これは言い切れます」

―― 作品自体はお読みになりましたか?

「いや、あんなもの読んでる暇ないですよ。それほど悠長な暮らしはしていませんよ(笑)。だって僕たちは毎日、毎日原稿書いて、1本いくらの生活しているわけですから。日雇労働みたいなものです。世間には『読まなきゃ批評しちゃいけない、現場にいなきゃ発言しちゃいけない』と厳しいことを言う人がいるのは知っています。でも選挙で人柄に惚れて候補者に投票するなんてことは、日常的にあるわけです。『小泉現象』なんかまさにそうだったわけじゃないですか。作品から作家に興味を持つ場合もあれば、作家の人となりから作品の受賞を応援することだって許されていいんじゃないでしょうか。まあそのきっかけが僕らの場合偶然にも『M君リンチ事件』への彼の関わりだった訳で、これは大学教員としての見解を聞くべきだ、と思いましたね。僕らはジャーナリズム論を声高に掲げるつもりは全然ないけど、他のメディアが酷過ぎるるでしょ。それは申し訳ないけど断言しますよ。鹿砦社特別取材班なんかたかが10人足らずですが、今の報道状況への疑問は共有していますね。それが取材の根源を支える力にもなっている」

―― 受賞にはいたりませんでしたが、どのくらい貢献されたと思いますか。

「それはわからない、としか言えませんが、言えないこと、書けないことを含めて皆さんが想像される以上に頑張った。まあ、このくらいで勘弁してください」

―― 次回作が気になりますが。

「うーん。ギャラ次第ですかね。冗談ですよ(笑)。だって大学からの給与もあるし、共稼ぎですから、経済的には全然困っていないわけです。テレビ出演なんか準備はそんなにいらない割にギャラはいいし。僕ら日雇いとは違うんです。それからこれは強調したいんだけど、たぶん彼は本業の手を抜く気はないんですよ。研究者としてという意味です。だから次回作は未定でしょうね。と思ったらツイッターで『このたび残念な結果になりましたが、心からほっとしております(笑)。ここまで来ただけでもすごいことだと思います。みなさまのおかげです、ありがとうございました。今後も書き続けていきたいと思います。よろしくお願いします』とか『さあ、飲みに行くで!!!!(笑)みんなほんとにありがとー! また書くから絶対読んでね!!!』とか書いている。このあたりが僕らにはひっかかる。まあ正直と言えば正直な気落ちの吐露でしょうが、こういう言行不一致から人間性が見えてくるわけです」

―― これからも書き続けるということは芥川賞受賞を狙った大学教授ということになりますね。

「それを狙っていたわけです。彼には是非階段を上がって頂いて、著名になって欲しかった。経歴はだいぶ異なるけど、同じ大阪出身の高橋和巳を目指してほしいですね(「無理だよ無理!」の声が飛ぶ)、ああ、じゃあ高橋源一郎くらいにしときましょうか(爆笑)。でも毎年ノーベル文学賞候補になって、何年たっても受賞できない村上春樹って惨めだと思いません?そりゃ本出だしゃ売れるし、海外での翻訳も多いけど、あの露骨な『ノーベル賞欲しいよー』にはこっちが恥ずかしさを感じる。彼にもそうならない保証はないし、そのあたりは今後も注視しますよ」

―― ここまで熱心に応援された理由は何でしょうか。

「たぶん次の編集長には私がなると思っていた。それもありますね」

―― ちょっと意味が解らないんですが。
  

 
 

 
「僕らも解りませんよ。業務時間中のほとんどを『ネットパトロール』に費やしていて、国会前集会の決壊の準備までしていた藤井正美さんにはかないません」

―― ますますわからないんですが。

「しばき隊にそんなこと言ったら『ボケ』、『カス』、『死ね』と言われちゃいますよ(笑)。僕らは体張って仕事してますけど、笑いを大切にしているので(ただうちわネタ過ぎて解りにくいでしょうけど)、時に数人しか笑ってもらえなくても、死ぬほど笑わしたいという変な欲求があるんです。鹿砦社には吉本も手が出せませんしね(笑)」

―― 受賞応援以外にも何か目的があるようにも思えますが。

「『なおさらノーコメント』って言わせたいんでしょ(爆笑)。もちろんありますが、それは鹿砦社の出版物を読んで頂ければわかるのであえて発言するのは控えます」

◆鹿砦社特別取材班の地道な取材は続く

―― 特別取材班の次のターゲットは。

「引き続きこの問題に取り組まざるを得ないでしょう。というよりも、すでに今手一杯なんですよ。もちろん中心は『M君リンチ事件』。問題意識に変わりはありませんが、彼を襲った『しばき隊』が、そろそろ実質的にも力を失ってきている。これはかなり確信を持って言えます。彼らの相方であった『在特会』がおとなしくなって存在意義が揺らいじゃった。そこに『M君リンチ事件』が世に広まったでしょ。一部のコアな人を除いてそりゃ離れますよ。理念なき野合、しかもヒステリックじゃなきゃはじかれる訳でしょ。それからこの取材をしていると最近痛感するんだけれど、事件や自然災害にしてもそこへ向けられる人びとの注目、関心の期間・スパンがすごく短くなっている。これは社会的には良くない傾向だと思います。たぶんマスメディアの影響が大きいのでしょうが、大事件でも、年中行事でもニュースの価値・意味付けに対する感覚が、根元の部分で歪んでしまっている。しかも、マスメディアが持ち札を切るスピードは増すばかり。だから『風化』というのは、あらゆる事象に共通する現代的な問題だと思います。それに抗う意味でもわれわれは原則的に問題を追います。これは本当に地味な作業ですが『M君リンチ事件』は最後までフォローしますよ」

―― ありがとうございました。受賞おめでとうございました。

「いやいや、受賞できなかったじゃないですか」

―― 記者クラブから「芥川賞アシスト特別賞」を鹿砦社特別取材班に授与します。

「え!本当ですか?」

―― はい、副賞は岸政彦氏へ再度の取材依頼です。

「光栄です。次回は前回のように簡単には引き下がりませんよ。岸先生にお伝えください。他のメディアがやらなくて、提灯持ち記事ばかり書けば書くほど、僕たちは燃えるんです。僕たちは権威も権力も怖れませんから。『M君リンチ事件』隠蔽に彼が果たした役割も追い続けます」

(鹿砦社特別取材班)

 
残部僅少!『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊)
 増刷出来!『ヘイトと暴力の連鎖』

籾井会長1月24日退任でNHK周辺居酒屋の「退任万歳の宴」予約盛況!

1月24日に3年の任期切れで退陣を表明しているNHKの籾井勝人会長については、契約世帯ならずとも世間からさまざまな理由で嫌われていたが、NHK職員たちからも「退陣万歳」の声が出ている。

「NHK近くの居酒屋やカフェバーなどはNHK職員やスタッフの『MS会』と呼ばれる隠語で予約が満杯のようです。『MS会』とはずばり、『籾井会長、さよなら会』のことですよ。とにかく何か籾井会長が暴言や失言をやらかすたびに、友人や知人から嫌味を言われる生活から解放されると思うと安堵のひとこと」(NHK関係者)

NHK全体では「1万人近い職員が働いてるが、地方局のスタッフも渋谷の本部の職員からの誘いで上京して『MS』会に参加する連中もいるようですよ」(同)

そもそも、2014年1月25日の就任会見では「政府が右というものを左というわけにはいかない」「(従軍慰安婦は)どこの国にもあった」「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」など大放言を連発した。ネットは大炎上し、国会でも議員からさんざん追及され、NHK予算は3年連続で全会一致の承認を得られない異例の事態となった。

「例年だとこの時期には、NHK会長が最後に勤務する日は、花束で送りだそうとか、そんな話が局長クラスから持ち上がるのですが、そんな話すらも出ずに『ようやく消えてくれるのか』という声ばかりを聞く。これは極めて異様な事態です」(同)

さかのぼれば、2015年3月には私的なゴルフで乗車したハイヤー代金をNHKに請求していたことが発覚し、マスコミの餌食に。

前出のNHK関係者は「籾井さんでは、マスコミの前に出ていくたびに、受信料の徴収率が落ちるといわれていた。このまま続投されていては組織が持たないので本来、会長を支えるはずなのに胸をなでおろしている経営委員は多いです」とひそかに語る。

「とにかく籾井会長は悪代官の印象が強かったです。携帯の保有者からワンセグ携帯の受信料について裁判を起こされて負けたのに、ただちに控訴。即座に高等裁判所に控訴して『受信料の支払いを主張していく』と昨年10月に息巻いたタイミングでは相当、NHK職員たちが世間にたたかれました。そして無理とわかっているのに執拗に『SMAPの紅白出場』へとこだわり続けた。あれこそ『皆さまに愛される』どころか『皆さまに嫌われる』NHKを作っていくだけ」(同)

さらに、2025年から一部運用していくという新社屋に約3400億円もかけるというバブルな計画も『籾井離れ』を加速させた一因だ。

報道局にいる40代社員は「籾井時代は、彼の覚えがめでたい幹部は、やたらと経費が落ちやすかったようだ。そうした情報にいつもいつも現場の僕らはカリカリしていた。いまだに籾井さんの印鑑がないと経費が落ちずに精査にまわっている、『M経費』と呼ばれるグレーな製作費が数百万あると聞いているが、まあそのまま藪の中だろうな。つぎの上田新会長がまともな運営をしてくれることと祈るよ」と語る。

かくして、NHK本部近郊の居酒屋では「籾井退陣、万歳」の乾杯の声がさぞかし聞かれることだろう。

それでも、籾井会長を評価する声も確かに一部ある。籾井会長は実績として「リオパラリンピックのネットライブ配信」「国際放送の強化」「受信料支払い率80%達成」などと局内で評価して、退任を残念がる職員がいることも確か。

「8Kに加えて4K放送の実施を決断したり、ネットによる同時送信の推進も打ち出した。受信料値下げも検討するはずだったが、やりとげてほしかった」という声もあり「最後の日は式典などで声を聞きたい」という局内から出ているという。

NHK広報に「籾井会長を送り出す式典や花束贈呈はやるのですか」と聞いてみたが、5分近く保留されたうえに「籾井会長に関してそのような情報がきていません」(1月6日18:33)とのこと。

次期会長には、三菱商事の副社長で現職のNHK経営委員・監査委員の上田良一氏が就任となるが、「籾井体制」の垢を洗い流せるか。注目したい。

(伊東北斗)

 
商業出版の限界を超えた問題作!
『芸能界薬物汚染 その恐るべき実態』