《回想》『季節』創刊から10年後の想い 鹿砦社代表 松岡利康

本誌は2014年8月に創刊しました。創刊時の誌名は『NO NUKES voice』でした。私が創刊時の編集長を務めました。実は他に編集長に据えた人物がいたのですが、実際に取材、編集活動に入る寸前で降りたのでやむなく私が務め船出しました。私は6号まで編集長を務め、7号から小島卓に引き継ぎ現在に至っています。

創刊時の発行部数は、なんと2万部! その後、実売が芳しくないとの理由で取次会社にどんどん書店への委託配本部数を減らされてきています。現在の部数はあえて秘しますが、推して知るべしです。あれだけの甚大な被害を与え、多くの方々の人生や暮らしを一変させ、いまだに避難を余儀なくさせたり後遺症に苦しませている原発事故は他人事になったのでしょうか? ひとつの小さな雑誌の売行が悪いからといって申し上げているのではありませんが、福島の原発事故は、遺憾ながら風化し忘却の彼方に追いやられています。

幸い、たんぽぽ舎はじめ直販や定期購読などでこの雑誌は命脈を保っています。ちょうどいい機会ですから声を大きくして叫びますが、ぜひ友人、知人の方々に拡販をお願いする次第です。

3・11東日本大震災により福島第一原発に大事故が起きました。この時、日本中の多くの人たちが、この国の未来に恐怖を覚えたはずです。だからこそ、多くの人たちが抗議の声を挙げ続けたのではないでしょうか。それも今はもうどこかに行ったのでしょうか。――

その時の危機感が、私たちに原発事故を起こした責任者追及の本を出させたと思います。『東電・原発おっかけマップ』『タブーなき原発事故調書』で、東電や御用学者らへの直撃取材は、この時の怒りが基になっています。これら2冊の本は、その内容ゆえに取次会社に書店への配本を拒否させられました。未読の方は、これらもぜひご購読いただきたいと思います。

これに続いて反原発関係の書籍も続けるつもりでしたが、むしろ定期刊行物を発行し続けることで反(脱)原発の声を挙げ続けている方々、福島県内外で頑張っておられる被災者の方々らと連携し、その声を誌面に反映していくことに気持ちが高まっていき、これが本誌創刊の動機になっています。

創刊から5年が経った20号で、この時の想いを書いておりますのでぜひ紐解いていただきたいですが、この頃はまだコロナ以前で、会社も左団扇の時代でした。会社が創業50年の年でした。

その後コロナが襲来、この5年はコロナとの闘いでもあり、発行自体が困難な時期で、それは今も続いています。

限られた誌面で、この10年の想いは語り尽くせませんが、前半は比較的余裕があり、後半は逆に苦境の中での発行でした。苦境は今でも続いていますが、それはそれとして、福島で必死に頑張っている方々を思うと、放り投げるわけにはいきません。岩にかじりついてでも連帯して発行を継続しなければなりません。なにしろ類似誌がないわけですから、この雑誌がなくなれば福島の声や全国の反(脱)原発の声を反映する場がなくなります。

皆様方にありましては、どうか本誌の発行継続のためにご支援をお願いする次第です。

(松岡利康)

8月5日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)

A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!