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◆『さらば日大!』和田秀樹医師が暴く日本大学と「医学部」「医師界」の闇
 構成・文責/編集部

 

 

日本最大の学校組織・日本大学で、林真理子理事長から常務理事として招聘を受けながら、同氏によって今年1月に辞任させられた精神科医の和田秀樹氏が7月、『さらば日大!』(ブックマン社)でその真相を明かした。

日大は2018年にアメフト部の悪質タックル問題が勃発。林理事長となった昨年7月にも同部で大麻事件が発覚した。両事件や田中英壽前理事長の問題については『さらば日大!』でも年表とともに詳述されている。これら「日大問題」があれだけ世論を席巻したにもかかわらず、それをまとめた書籍がこれまで出ていなかったこと自体が〝闇?の深さを象徴しており、同書の大きな存在意義だといえる。

医師として「薬漬け医療」をはじめ、日本の医学が抱える数々の問題を追及してきた和田氏に日大と「大学医学部」「医師界」の内実を聞いた。

 あまりに軽い林理事長のクビ宣告

── 日本大学医学部附属板橋病院(東京都)の建て替え計画を巡る背任事件での逮捕を受けて、田中英壽前理事長(今年1月に死去)が辞任したのが2021年末。翌年7月に作家である林氏が理事長に就任しました。まず、林理事長の常務理事招聘で、和田さんに対して求められていたものとは何だったのでしょうか。

和田 林さんとは20年以上の親交があり、「和田さんのような“異星人”に来てほしい」と言われて日大理事を引き受けました。そこから約1年半で大学を去ることになったわけですが、私には成城学園で理事を務め、国際医療福祉大学では教授として医学部(2017年)の新設に関わってきた経験があります。当然、日大では医学部の改革が私の役割だという認識でしたが、今から振り返ると、林さんが、私のこうした能力に期待していたわけではないのかもしれません。「エンジン01文化戦略会議」という文化人団体で、林さんを継いで、現在の幹事長を私が務めています。そうした関係性から、「使いやすい人間」だと思ったのではないでしょうか。

そもそも私を含めた林体制とは、日大にとって、独裁者として知られ暴力団との“黒い交際”まで発覚した田中英壽理事長からの脱却をアピールするのが一番の目的です。就任前から林さんと打ち合わせを重ねて「不正事案洗い出しのための特別調査委員会」の設置を決め、一部の反発を受けながらも新生日大の象徴となっています。にもかかわらず、林さんは後に否定しますが、私をクビにした理由として、「和田さんがいろいろなことを言うことで学部長たちが怒っている」と口にしました。私は、それは気の毒だと思って辞任を受け入れたものの、あまりに軽い一言でしたね。

── 日大医学部や附属病院(現在、医学部附属板橋病院と日本大学病院)が抱えていた問題とは。

和田 まず、常識から考えて、大学病院で赤字なんて絶対におかしい。病院に患者さんが集まり、学生から人気のある医学部は作れると考えました。国際医療福祉大学では、給料は決して高くなくとも、大学教授の肩書きを与えることで医者を集めることに成功しています。医者の愚かさともいえますが、医学部教授の肩書きはそれほど魅力的なわけです。

それを考えれば、日大はブランド力をどぶに捨てている、真逆の経営です。なにしろ、理工学部約240人に対して、医学部にはおよそ40人しか医学部教授がいないのです。近隣の順天堂大学は220人以上の教授を抱えています。私から見ると日大はとても不思議な組織で、改革の余地と可能性があることは明らかでした。

── 林理事長就任からすでに2年半を経過しても、日大が不祥事のイメージから脱却したようには見えません。

和田 林さんは、言うまでもなく直木賞の選考委員長をはじめ、すでに文壇での地位は高かった。そんな作家の仕事を制限されても、社会的信用を失い、ドン底にあった日大を立て直したいと、自ら手を上げたのは事実でしょう。たとえば法政大学では田中優子前総長がイメージを大幅に改善。明治大学も広報戦略で「女子高生が選ぶナンバー1」となった。彼女も作家としての力で日大のイメージを良くし、特に女子学生の比率を上げることは可能だと考えたのだと思います。ただし、そのためにしたことといえば、たとえば当初の彼女が出した案は、社長と昵懇のマガジンハウスと組んで雑誌型のパンフレットを作るといったもの。少し甘いのではないかという印象はありました。

そんな林さんに対して、老獪な旧勢力は、官僚が政治家を手なづけるようにしていたと思います。その結果が表れたのが大麻事件で、林さんが重要な報告を受けていなかったことが事態の展開に大きく影響しました。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n341f706d3e88

◆岸田首相「核なき世界」約束8日後に退陣表明 広島市の妨害を打破した平和式典「反戦集会」
 取材・文◎浅野健一

 

 

1895年の台湾武力併合以降、アジア太平洋諸国を侵略・強制占領した大日本帝国が無条件降伏した「8・15」の前日である8月14日午前10時半、NHKが「岸田文雄首相が総裁選不出馬を党幹部に伝えた」と速報した。

岸田氏は11時半から官邸で記者会見し、「総裁選で自民党が変わる姿を示すことが重要で、最もわかりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ」などと表明。会見は30分前に内閣記者会に通告され、正副の官房副長官が同席しない異例の事態だった。

司会は7月1日に就任した小林麻紀内閣広報官。小林氏は外務報道官だった6月26日の会見で、政府と沖縄県警が米兵による少女強姦被告事件(2023年12月24日)を半年間隠蔽していたことについて、「個別具体的な事案の内容に応じて適切に判断して対応している」と居直った外務官僚だ。

幹事社である日経新聞の秋山裕之記者が「日本外交の顔が見えてくるようになった今、総裁選に出馬して政権を維持する選択肢はなかったのか」と質問した。幹事社の質問内容は常勤幹事社19社の総意で決まる。他の記者からも、特筆すべき質問はなかった。司会の内閣広報官が一方的に閉会を告げるいつものパターンで会見は終了。たった20分で、安倍晋三、菅義偉両氏の退陣会見に比べても異常に短い。一方的な会見終了に記者から抗議の声はなかった。

官邸での首相・官房長官の会見は内閣記者会の主催でも、官邸報道室がすべて仕切っている。これは内閣記者会の規約に違反している。1970年代には、佐藤栄作首相の会見をボイコットすることもあった。米ホワイトハウス記者会(キシャクラブではない)も大統領の会見が無内容で宣伝目的だと判断するとボイコットする。第2次安倍政権以降、内閣記者会はまったく権力監視機能を失った。

この会見で岸田氏は、「憲法改正については、緊急事態条項の条文化の作業や、自衛隊の明記の論点整理を進めている。着実に実行してまいりたい」と意欲を示した。1週間前の8月7日、党本部で憲法改正実現本部の全体会合に出席し、緊急事態条項に加え憲法9条への自衛隊明記をテーマとする国民投票の実施を目指す考えを示していた。また岸田氏は会見で「原発再稼働、新型革新炉の設置など、エネルギー政策を転換した」と強調した。

自由と民主主義を蹂躙し、軍国主義化を進める岸田氏に憲法を語る資格はない。憲法第99条で憲法尊重順守義務を課せられている首相が、憲法に口出しするのは不当だ。

 安倍・菅退陣時と同じキシャクラブメディアの自民協力

岸田氏の不出馬表明後、総裁選(9月12日告示・27日投開票)に最初に名乗りを上げたのは、若手が推すとされる極右・靖国派で統一協会=国際勝共連合まみれの小林鷹之前経済安全保障担当相(衆議院千葉2区)だった。それ以来、メディアは小林氏を持ち上げるが、NHKが19日午後2時の定時ニュース枠を延長する形で、小林氏の出馬会見を衆院議員会館から生中継したのには、さすがに驚いた。

NHKは総合テレビでの甲子園の高校野球中継をEテレに切り替え、何の実績もない財務官僚の小林氏の宣伝をした。小林氏は、自分は「普通のサラリーマン家庭」に生まれ、大学生の時に父親の会社が倒産したなどと自己紹介。まるで政見放送のようだった。

スタジオ出演した政治部記者は「派閥がなくなって初めての総裁選」と解説したが、派閥は森山グループ以外、まだ政治資金規正法の「政治団体」としての解散手続きを終えていない。麻生派は解散しないと決めている。小林氏の父親の泰芳氏は財閥系の「大倉商事」の幹部でグループ会社の社長などを歴任。倒産後も老舗建材メーカーでいきなり貿易事業部長を任されて取締役に出世。決して「普通のサラリーマン」ではない。

私が代表を務める千葉県「戦争のない世界を憲法9条で実現しよう!憲法9条世界へ未来へ連絡会」(9条連)が8月17日に開いた定期総会で、宮川伸元衆院議員(立憲民主党・千葉13区)は「2021年の衆院選前と今はそっくりだ。東京五輪が終わり、菅義偉政権の支持率は20%台と低い中、菅総理は降りた。自民党総裁選の2週間、自民党のメディアジャックで、市民の関心が自民党に向く中で解散して選挙に圧勝した。今回は同じ事態を避けなければならない」と強調した。

自民党が電通や博報堂を動員し、メディアを動かしての巧妙な看板替え作戦が進んでいる。自民党は自ら定めた党綱領、運動方針に違反した犯罪者集団組織である。岸田氏らは、党首が変わることで党が原点に戻り再生するというが、問題を起こした団体がリーダーを替えれば組織が新生するなら、山口組も統一協会もオウム真理教もリーダーを一新すればいいということになる。

 メディアが報じない「要望を聞く会」

岸田氏の政権放棄表明が広島・長崎の原爆記念日と敗戦記念日の間に行なわれたことは深刻だ。オバマ米大統領が2016年に広島を訪問して以降、私はほぼ毎年、8月6日に現地を訪れてきた。そのたび最も暑い時に、無差別に市民を大虐殺した米国の核攻撃への憤りを覚える。言語哲学の父といわれる米国のノーム・チョムスキー氏は私との対談で、日米戦争の時代、日本人は「害虫」扱いだったと教えてくれた。極東のアジア人を狙った人種差別の人体実験だった。

その米国の「拡大抑止」戦略の下、対中戦争を見据えた軍事同盟の強化の中で、今年の広島での式典は開催された。7月28日の日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)会合で、自衛隊が来春までに「統合作戦司令部」を設けるのに合わせ、米国が在日米軍を再編し、統合軍司令部を新設する方針が決まった。また同日から、陸自と米海兵隊の実動訓練「レゾリュート・ドラゴン24」が8月7日まで岩国・九州・沖縄を舞台に過去最大規模で行なわれた。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nc1935794d703

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年10月号

『紙の爆弾』2024年 10月号

『さらば日大!』和田秀樹医師が暴く日本大学と「医学部」「医師界」の闇
旭川女子中学生凍死事件 再調査委員会が隠した社会の病巣 山田寿彦
安倍・岸田軍拡43兆円の無駄遣い 隠蔽主義の「カルト集団」防衛省・自衛隊 清谷信一
日本にも進出する情報統制機関 政府・企業・組織「検閲産業複合体」の脅威 青柳貞一郎
広島市の妨害を民衆が打破 平和記念式典「反戦集会」 浅野健一
“勝ち目”のあるうちに退いた 岸田文雄首相「退陣表明」の裏側 山田厚俊
僚支配・憲法無視・米国追従 「能動的サイバー防御」とは何か 足立昌勝
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地獄の黙示録1984+40 佐藤雅彦
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連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
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シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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