AfD(「ドイツのための選択肢」)がドイツ州議会の第一党になった。与党三党の合計を上回ったのだ。それで大騒ぎになった。「危機の時代の大躍進」、ナチスの復活だと言うことだ。


◎[参考動画]ドイツ 旧東ドイツの州議会選挙で極右政党AfDが第一党に(TBS NEWS DIG 2024年9月2日)

しかし、本当にナチスの復活なのか。

確かにAfDは、ドイツ民族主義だ。それに、反移民であるのも、ナチスの反ユダヤを彷彿させるところがある。

だが、AfDには、ナチスと決定的に違うところがある。それは、AfDには「覇権」「侵略」がないということだ。

ナチスは、米英覇権に対抗する独覇権を目指した。だから、ナチスが引き起こした第二次大戦は、覇権をめぐる米英との覇権争奪戦だったと言うことができる。

だが、「覇権」「侵略」を目指していないAfDの米英との抗争は、覇権抗争だとは言えない。覇権抗争と言うより、反覇権、脱覇権の闘いだと言えるのではないか。

AfDだけではない。今日、「自国第一主義」を掲げる組織や国を「極右」と言い、ナチス、ファシズムと同一視する傾向がメディア、政界では一般的だが、皆間違っていると思う。

なぜなら、現時代は、覇権の時代ではなく、反覇権、脱覇権の時代だからだ。

反覇権、脱覇権の時代の「自国第一主義」は、「極右」、「ファシズム」ではない。米覇権と闘う反覇権、脱覇権の進歩勢力だ。

米覇権の側にいる世界のメディア、政界が「自国第一主義」を「極右」と言い、「ファシズム」と言って排撃するのは、そのためではないだろうか。

脱覇権の時代である今日、国と民族を掲げ、米覇権と闘う勢力こそがもっとも進歩的で革命的な勢力だと言うことができる。

今日、米欧、そして日本のメディア、政界が「自国第一主義」を「極右」「ファシズム」だと排撃し、大騒ぎしているのは、まさにそのためではないだろうか。

小西隆裕さん

◎ピョンヤンから感じる時代の風 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=105

▼小西隆裕(こにし・たかひろ)さん
1944年7月28日生。東京大学(医)入学。東京大学医学部共闘会議議長。共産同赤軍派。1970年によど号赤軍として渡朝。現在「かりの会」「アジアの内の日本の会」会員。HP「ようこそ、よど号日本人村」で情報発信中。

『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』(紙の爆弾 2021年12月号増刊)

『一九七〇年 端境期の時代』