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◆鈴木宣弘東大大学院教授が語る「食料安全保障」日本の農と食を潰す洗脳を解く
 構成・文責◎本誌編集部

 

 

「紙の爆弾」4月号で残留農薬・人工肉の問題や、食料・農業・農村基本法改悪について解説した鈴木宣弘東大大学院教授が5月21日に横浜市で行なった講演「大人が学び考えよう『食の安全保障をどう守るか』」(豈プロジェクト主催)の内容を編集部でまとめた。現在のコメ価格高騰の〝真犯人?と、事態が示す真の危険性も見えてくる。(本誌編集部)

 米国と経産省の思惑が一致

まず、日本の食料安全保障の問題から始めたいと思います。低すぎる食料自給率は、なぜそうなったのか。一番の理由はアメリカとの関係です。

アメリカでは戦後、膨大な農産物が余りました。それをどこで処理するか、日本が処分場の役割を果たすことになりました。米(コメ)以外の農産物の関税が実質的に撤廃させられ、アメリカの農産物がどんどん日本に入ってきた。日本の麦や大豆、トウモロコシの生産は壊滅しました。

それでも、アメリカにとって都合が悪いことが1つありました。それは日本人の主食が米だということです。アメリカの小麦が胃袋に入れられない。そこで回し者の学者も使われて「米を食べると頭が悪くなる」という内容の本(林髞著『頭脳才能をひきだす処方箋』光文社カッパブックス/1958年刊。著者は慶應義塾大学医学部生理学教授)が出て、大ベストセラーになりました。このような洗脳政策で、私たちはアメリカの食料への依存症にどんどん冒されました。

日本国内の勢力もこれをうまく活用しました。経済産業省(旧通産省)が中心の経済政策です。経産省と農林水産省は犬猿の仲。農水は私が15年勤めた省ですか、まだ人がいい。対して経産省は優秀な者は多いが、ずる賢くて手が早い(これは褒め言葉です)。

賢い経産省は「アメリカを喜ばせばいい」と考えた。だから食料の輸入関税の撤廃を進めた。その代わりに日本は自動車などを輸出して、そのお金で食料を安く買えばよいと考えた。そして、これを「食料安全保障」と呼び、その流れを強めてきました。

もう1つの問題は、財務省(旧大蔵省)です。彼らは税金の取り立てばかりやっていますが、それを国民のために使っているのか? 1970年時、当時の農林省の予算は1兆円近くありました。その規模は防衛予算の2倍ほど。それが50年以上経った現在、農業予算2兆円に対して防衛予算は10兆円規模に膨れ上がっています。

ちなみに再生エネルギーの買い取りで、事業者に支払われている金額が4.2兆円。これだけで農水省予算の2倍です。

軍事と食料とエネルギーは「国家存立の三本柱」といわれるものの、命を一番に守る大事な要かなめは食料です。その食料の予算だけがどんどん減らされてきた。これでは、農業が苦しめられ、輸入が増えて自給率が低下するという流れは止められません。

 食料は安全保障の基本

そうした中で、私が「クワトロショック」と呼んでいる4つのショック、すなわち①コロナ・ショック②中国の爆買い③異常気象の通常化④紛争リスクの高まり、が起き、食料とその生産資材が海外から調達しにくい世界的危機が続いています。

食料は武器です。ロシアやベラルーシはもう日本に農産物を売ってくれません。世界の穀倉地帯であるウクライナの土地は破壊されました。

一番深刻なのは、食料の囲い込みです。インドのように麦や米の生産において世界で1、2位を争う輸出国が、自国民を守るために輸出を止めた。今や世界の30カ国ほどが食料の輸出を止めています。これで大変になってきたのが日本の農業です。まず、餌と穀物が十分に手に入らない。酪農畜産農家は餌の価格が2倍に上がったためにどんどん倒産しています。

もっと深刻な問題は化学肥料です。肥料の原料を日本はほぼ100%輸入に頼ってきました。それが当たり前だと思っていた。ところが今では中国もロシアも売ってくれずお手上げです。これで日本の慣行農業が重大な岐路に立たされています。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n5945473386a3

◆「政教分離」をかなぐり捨てる創価学会 公明党・山口那津男代表〝一転〞退任の真相
 取材・文◎大山友樹

 

 

 5月まで「続投」を明言していた

公明党は9月28日の党大会で代表の交代を発表した。2009年9月から15年もの長きにわたって代表を務めた山口那津男参院議員が退任し、石井啓一幹事長(衆院議員・元国土交通相)が新代表に就任した。

退任の理由は「世代交代」。党大会に先立つ9月10日、山口氏は国会内で記者会見し、「公明党は定年制を設けて党の活力を維持してきたが、私はその例外として代表を継続してきた。その間、中堅・若手の人材も育ち、新しい陣容を整える状況が来たと認識した。今、国内外とも政治の世界で世代交代の波が押し寄せているようにも感じる。70歳を超えた私としては、次の世代にバトンを譲るべきだと決断した」(公明新聞9月11日付)と述べた。

もっとも今年5月にBS11の番組に出演した際、山口氏は自らの進退について「代表任期が9月で満了した後の対応に関し、『無責任に放り投げることは考えていない』と述べ、続投する可能性を示唆した。自民党の政治資金規正法違反事件を受けた与党への逆風を念頭に、『党勢維持にしっかり道筋をつけるのが責任だ』」(読売新聞オンライン5月31日付)と続投の意思を示していた。

にもかかわらず急遽、退任へと変節したのは、岸田前首相の総裁選不出馬宣言を受けて自民党がお得意の看板の掛け替えで新総裁を選出し、「刷新」「世代交代」を大義名分に衆院の解散総選挙に突入する一方、公明党が古い看板のままで総選挙を戦うのは印象が悪く、選挙戦術上不都合と組織母体である創価学会が判断したからにほかならない。

自民党が旧統一教会問題や裏金事件など、安倍晋三元首相の“負の遺産”を糊塗するために「刷新」を掲げて選挙戦に臨むにもかかわらず、公明党は「桜を見る会」で安倍首相とともに杯を挙げる姿を幾度もニュース映像で流されている山口代表が看板では、あまりにもきまりが悪いということだろう。「自民党は新総裁を選ぶやすぐに衆院の解散総選挙に打って出るだろう。その日程は最短で10月27日投票といわれている。この選挙日程は昨年11月15日に死去した池田大作創価学会三代会長の一周忌、公明党創立60周年の節目と重なっている。そんな大事な時期の衆院選、しかも組織の求心力の要だった絶対的カリスマの池田氏を失って初めて挑む国政選挙に、創価学会は負けるわけにはいかない。

まさに乾坤一擲を賭けてのぞむ衆院選に、オールドネームの山口代表のまま戦ったのでは展望は開けない。ここは厳しい政治状況だが、世代交代の波に乗る形で新代表を押し立て、危機感を煽って組織の全力を挙げて中央突破を図るしかないと創価学会も腹を括ったのだろう」(創価学会問題に詳しいジャーナリストの段勲氏)

 アベ・スガ・キシダ追従、公明党の「平和・清潔・福祉」を地に落とした十余年

振り返れば2009年8月の衆院選での自公惨敗による民主党への政権交代と、大田昭宏代表(当時)の小選挙区落選という事態を受けて、参院議員でありながら緊急避難的に代表に選任されたのが山口氏だった。

その15年に及ぶ代表期間の大半は、2012年末に政権に返り咲いた第二次安倍政権(二次~四次)との二人三脚であり、さらに菅・岸田と続いた自公政権では、格差と分断の拡大、平和憲法と議会制民主主義の破壊、そしてアメリカの属国化に拍車がかかった。その意味では、公明党における山口時代とは、「平和・清潔・福祉」を金看板とした公明党の政治理念を地に落とし、存在意義を自ら破壊した「暗愚の10余年」だったといえるのではないか。

退任に言及した9月10日の記者会見において山口代表は、「公明党らしさは、立党精神にある。民主政治の基本として掲げているものであり、議員の政治姿勢、政党のあり方、政策の方向の根底にある。これからもしっかりと守っていきたい」と語るとともに、今後の政治課題として、「大きな政策目標の柱は『大衆福祉』」「もう一つは『世界平和』だ」と、「福祉」と「平和」の重要性を訴えているが、これはもうブラックジョークとしか言いようがない。

特に山口代表は、公明党創立者の池田氏が示した「大衆とともに」との結党理念の順守・励行を口にしているが、その池田氏が主張した核兵器廃絶や憲法九条の護持、脱原発や軍事費の削減に尽力することはなかった。むしろ池田氏が自らのライフワークとする小説『人間革命』を沖縄で書き始めたことが象徴する、戦火に苦しんだ沖縄を「平和の楽土に」との池田氏の強い思い、ことに「沖縄には核も基地もいらない」との池田氏の再三の叫びを無視して、米軍海兵隊の辺野古新基地の建設を公明党の歴代の国土交通大臣が推進してきたことは、党創立者の意志に反する自家撞着でしかない。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n8d06e59f0a54

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『紙の爆弾』2024年 11月号
A5判 130ページ 定価700円(税込み)
【特集】いま政治が問うべきこと
鈴木宣弘東大大学院教授が語る「食料安全保障」 日本の農と食を潰す洗脳を解く
国民を騙して導入し、人と国を弱体化させる消費税を廃止せよ 
川内博史・原口一博(立憲民主党衆院議員)
米国植民地からの脱却が東アジアの平和をつくる 
鳩山友紀夫(元首相)・末松義規(立憲民主党衆院議員)

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