◆年末の紅白でも全く取り上げられなかった国家プロジェクト
4月13日の万博開催まで三か月を切ったが全く盛り上がらない。先日関東在住の方とZOOM会議を行った際「万博っていつからですか?」と聞かれた。今日は京都在住の方からも同じことを聞かれた。国家プロジェクトなのに、年末の紅白でも全く取り上げられなかった。
なんというか、この状態、全校生徒からシカトされている、超いじめ状態にあっているようなもの。虐めは虐められる側にも問題があるという人がいるが、私は確実に虐める側に問題があると思う。
しかし万博に関しては、このご時世に万博やろうとブチ挙げた維新の会に大いに問題があると考える。チケットは全く売れてない。企業が買った(買わされた)分が、そのうち大安売りで出てくるだろう。
維新のやることは全てそうだ。大阪城公園の樹木をバッサバッサと切り倒して作られた劇場「KEREN」が開演するとき、ある人から「吉本のお偉いさんに怒られるのでチケット、ただで貰って」とメールがきたね。
新今宮駅北側に星野リゾートが開業したと同時に高架下に造られた「新今宮屋台村」、当初は営業していたが今は閉まったまま。地元で有名なホルモン屋を立ち退かせてまで作った割にはどうなってるんだ。ていうか、カラ家賃、今誰が払ってるんだ。
◆40億円近くかけた「機運醸成キャンペーン」の愚
万博が全く盛り上がらないなか、焦った連中が始めたのが40億円近くかけた「機運醸成(きうんじょうせい)キャンペーン」。昭和どころか、大正、明治なおっさんらがひねり出したこのネーミング。「三者凡退」の世界だな。若い連中で「おっさん、あっすみません。部長、こんなネーミング、ダメダメですよ」という人がいなかったのか?それが一番怖い。こんなネーミングで機運が醸成するかよ!
「今回はだめだけど、70年万博は良かったね」という声もあるが、そうだろうか。私の住む釜ヶ崎は、先の70年大阪万博開催のため、労働者を大量に集めるために作られた地域だ。釜ヶ崎の研究を続ける原口剛さん(神戸大准教授)によれば、70年万博の工事では、尻無川水門事故で11名が生き埋め死亡、会場造成工事で17人が死亡、開幕後の地下鉄天神橋筋六丁目の建設工事で、ガス爆発で79名死亡、420名重軽傷の犠牲を出すなど、多くの労働者が犠牲になっている。
◆「カジノで儲けて福祉に回す」
工事が遅れに遅れ、開演時に完成してるパビリオンはわずか3ケ国だという。今後突貫工事が必至だろうが、そんな工事現場でさらに犠牲者は増えるだろう。わずか184日間(4月13日~10月13日)の万博のために、多くの労働者が犠牲になり、私たち府民・市民が赤字を背負う羽目になる万博にはやる意味があるのか? しかも、万博開催のために、昨年12月1日、釜ヶ崎のセンター周辺に野宿する人たちがいきなり強制排除された。釜ヶ崎からこそ万博に反対していかなくてはならない。なのに、仲間と作った万博反対のチラシを、釜ヶ崎の越冬闘争の現場で多くのちに読んでもらおうとまいたら、「(公園の)外でまけ」とどやされたそうだ。なぜ?
万博開催の目的は、そのあとに予定するIR・カジノをやるためだ。カジノ(ばくち場)建設のために道路や鉄道を整備の整備費用に税金を使ったら、さすがにまずいと考えた維新は、まずはその前の万博のために道路や鉄道を整備しましたと口実につかった。
元市長の松井は「カジノで儲けて福祉に回す」とのたまった。「父ちゃん、ボートで取ったら、お前らに美味しいモノ食わせてやっからよ」の世界だ。「父ちゃん、住ノ江(ボート)行くのやめて、今日の夕飯のコメ買って」と父ちゃんの足元に縋りつくところだろうよ。
吉村、松井よ! 生活保護のおっちゃんらが月末頼りにしていた激安スーパー玉出のひと玉19円のうどんもなくなったんだぞ。万博、IR・カジノにつぎ込む金は、いますぐ生活に困窮した人たちの生活費用に回せ!
▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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