女子だけのマッチメイク第三弾 美しく激しい魅惑の超格闘技! 堀田春樹

幼い顔した若い選手から主婦クラスまで幅広い世代が入り混じった女子だけの興行第三弾は、ノックアウト勝利は一つも無く、ノックダウンも一つも無かったが、諦めない鬩ぎ合いで盛り上げを見せた。

NANAが昨年のGODDESSで対戦した上野hippo宣子を再び判定で下し初防衛。
NaoがWMC日本ピン級チャンピオンのMIREYを大差判定で下す。

◎GODDESS OF VICTORY Ⅲ / 3月16日(日)GENスポーツパレス16:15~19:47
主催:NJKFミネルヴァ実行委員会 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)

◆第13試合 ミネルヴァ・スーパーフライ級タイトルマッチ 3回戦

選手権者初防衛戦 NANA(エス/ 52.16kg)24戦16勝6敗2分
        VS
挑戦者同級3位上野hippo宣子(ナックルズ/ 51.8kg)27戦7勝(1KO)17敗3分
勝者:NANA / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:岡田30-27. 児島30-27. 梅下30-27

昨年4月14日のGODDESSに於いてのミネルヴァ・スーパーフライ級王座決定戦で、上野hippo宣子に判定勝利も、計量失格により王座奪還成らなかった元・チャンピオンNANAは、10月6日に新日本キックボクシング協会での王座争奪4人制ワンデートーナメントに於いて王座奪還。今回の初防衛戦は上野hippo宣子との再戦となった。両者のどんな成長が見られるかが注目された。

初回のパンチ中心の交錯からヒザ蹴り、前蹴り加えて出るNANA。上野の打って来るタイミングを見計らって身体を躱し、上野に肩透かしでバランスを崩すなど経験値で優り、蹴りが少ない展開の中でもNANAの蹴るタイミングが上手く、組み合ってのヒザ蹴りも技の多彩さで大きく優ったフルマークの判定勝利。

重いパンチの上野宣子を上回ったNANAの攻勢
NANAの蹴り技、ヒザ蹴りも攻勢を維持、試合運びの上手さが目立った

NANAは試合後、「本当はもっとキックを出したかったんですけど、脚が全然動かなくて、ウォーミングアップ不足でしたね。それでパンチだけに切り替えて、取り敢えず守ることに集中しました。上野さんは昨年よりパンチが重くなってて2ラウンド目から心折れかかりましたが、皆の応援の声があったから頑張れました。」

リング上のマイクでは、「35歳で引退するつもりでやって来ました。あと3ヶ月で35歳になります。あと一年で動きが無ければ進退を考えようと思っています。」とも語っており、この一年が新たな展開、上を目指す勝負となるだろう。

その今後については「ONE Championn Shipとか世界戦とか、国外でもやってみたいです。負けてもいいから強い人とやりたいですし、挑戦したいです。」とすぐ先を見据えた回答。

ミネルヴァ王座については「“防衛しろ”と言われているので浅井さん(スーパーバンタム級前ChampionのV2)に追い付かないといけませんね。」

引退までの目指す方向と、デビュー戦を終えた長女の応援アピールするNANA

今や親子で活躍する選手も増えた中、NANAの娘さんも第1試合でプロデビューしているという応援を促していた。

◆第12試合 ミネルヴァ・ピン級(100LBS)ノンタイトル3回戦(2分制)

アトム級チャンピオン.Nao(AX/ 45.3kg)10戦8勝(3KO)1敗1分
      VS
WMC女子日本ピン級チャンピオン.MIREY(WSR・F三ノ輪/ 45.15kg)20戦9勝10敗1分
勝者:Nao / 判定3-0
主審:マット(=テーチャカリン・チューワタナ)
副審:中山30-27. 児島30-27. 梅下30-27

Naoの蹴りの圧力、前蹴りで突き放し、組み合ってのヒザ蹴りも優った。MIREYも打ち合いに出るが巻き返すには至らない。終始圧倒したNaoがフルマークの判定勝利。

NaoのハイキックがMIREYの顔面を掠める、終始圧倒の展開へ
Naoのミドルキック、蹴り足を掴むMIREYだが効果なく

◆第11試合 ミネルヴァ・アトム級(102LBS)3回戦(2分制)

ピン級1位.祥子JSK(治政館/1983.12.3埼玉県出身/ 45.9kg)29戦9勝19敗1分
       VS
アトム級3位.Marina(健心塾/ 45.85kg)10戦4勝(1KO)6敗 
勝者:祥子JSK / 判定2-0
主審:岡田敦子
副審:中山29-29. 児島30-28. マット30-29

初回、蹴りから首相撲の展開は互角の攻防。祥子はパンチで出るMarinaにやや圧されるも、この日は蹴り数多く、パワーで巻き返し、徐々にペースを掴んで僅差ながら主導権奪った攻勢で判定勝利。

祥子は蹴る圧力が優った流れを維持した

◆第10試合 ミネルヴァ・ペーパー級(95LBS)3回戦(2分制)

ペーパー級2位.AIKO(AX/1987.2.10生/ 43.05kg)19戦9勝9敗1分
      VS
沙緒里(ワイルドシーサー前橋関根/ 42.95kg)3戦2敗1分
勝者:AIKO / 判定3-0
主審:梅下湧暉
副審:中山30-27. 岡田30-27. マット30-27

開始早々の威嚇の飛びヒザ蹴りを見せた沙緒里だが、AIKOは慌てずパンチとヒザ蹴りで優って行く。組み合う展開が多く、コーナーに詰めたり身体を預けてスタミナ削るAIKOの攻勢。沙緒里はバックハンドブローを見せるも的は外れるのみ。圧倒したAIKOがフルマークの判定勝利。

AIKOがヒザ蹴りで沙緒里を圧倒、組み合っても離れても攻撃力が優った

◆第9試合 ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

スーパーフライ級5位.紗耶香(格闘技スタジオBLOOM/ 51.95kg)
17戦5勝(1KO)11敗1分
        VS
同級7位響子JSK(治政館/ 51.9kg)11戦4勝4敗3分 
勝者:響子JSK / 判定0-3
主審:児島真人
副審:中山28-30. 梅下29-30. マット28-30

パンチで出る紗耶香が響子をコーナーに追い詰めるも、長身の響子は蹴りでリズムを作り紗耶香の攻撃を封じていく。ヒザ蹴りも距離の取り方上手くヒット。いかに自分の距離を維持するかの戦いで響子が上手く攻めて判定勝利。

響子もヒザ蹴りヒット、距離に応じた蹴りが上手く攻勢を維持した

◆第8試合 ミネルヴァ・ライトフライ級3回戦(2分制)

ライトフライ級7位.堀田優月(闘神塾/ 48.55kg)4戦3勝1分
        VS
ラジーナ・ビスタ(エラワンムエタイ/ 48.9kg)6戦3勝3敗
勝者:堀田優月 / 判定3-0
主審:岡田敦子
副審:中山30-29. 梅下30-28. 児島30-28

ラジーナ・ビスタの長身に対し、距離に応じて戦い方上手かった堀田優月。組んでも離れても先手打ち、ラジーナのパンチも蹴りも上手く躱し、攻めを封じた堀田優月が判定勝利。

ラジーナ・ビスタを追い詰めた堀田優月、蹴られても動じなかった

◆第7試合 ミネルヴァ・ペーパー級3回戦(2分制)

ペーパー級4位.Uver∞miyU(T-KIX/ 43.09kg)15戦5勝9敗1分
        VS
港町なぎさ(ワイルドシーサー前橋元総社/ 42.7kg)2戦1勝1敗
勝者:Uver∞miyU / 判定3-0
主審:マット(=テーチャカリン・チューワタナ)
副審:岡田30-29. 梅下30-29. 児島30-29

パンチと蹴り、組み合ってヒザ蹴りのアグレッシブな攻防が続く中、パンチで圧していくUve・miyU。港町なぎさも打ち返すが、第3ラウンドに蹴りを加えた圧力が優ったUverが判定勝利。ジャッジ三者が揃ったラウンドは無く、激しさあっても差が付き難い攻防だった。

◆第6試合 ミネルヴァ55.0kg契約3回戦(2分制)
 
スーパーフライ級10位.松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/ 54.55 kg)7戦3勝4敗
       VS
妃芽奈(ワイルドシーサー高崎/ 54.35kg)2戦2勝
勝者:妃芽奈 / 判定0-2
主審:中山宏美
副審:岡田29-29. マット28-29. 児島28-29

初回の蹴りの攻防から妃芽奈が蹴りで攻勢を維持する流れも、松藤麻衣が右ローキックで妃芽奈の脚を殺し始めた。妃芽奈の左太腿は真っ赤に腫れ上がっていき、やや失速も蹴りの攻勢を維持して判定勝利。第3ラウンドは採点が分かれるなど、松藤のローキックを評価したと見られる蹴りの攻防となった。

◆第5試合 ミネルヴァ47.5kg契約3回戦(2分制)

山崎希恵(クロスポイント吉祥寺/ 47.7→47.5kg)3戦2勝(1KO)1敗
        VS
杉田風夏(谷山ジム小田原道場/ 47.4kg)3戦2勝(1KO)1敗
勝者:杉田風夏 / 判定0-3
主審:梅下湧暉
副審:中山28-30. マット28-30. 児島29-30

杉田風夏が組み合っての攻防でヒザ蹴りから身体を預ける圧力で崩すパワーと、離れて戦っても蹴りで優っていき判定勝利。山崎希恵は劣勢でも懸命に蹴り返す踏ん張りが見られた。

◆第4試合 ミネルヴァ・フライ級3回戦(2分制)

紗彩(ドージョー☆シャカリキ/ 50.5kg)8戦2勝5敗1分
      VS
二ノ峰かなこ(KFG URAWA/ 51.05→50.8kg)4戦1勝(1KO)3敗
勝者:紗彩 / 判定3-0
主審:岡田敦子
副審:中山30-28. 梅下30-27. 児島30-28

パンチとヒザ蹴りの攻防。主に組み合ってのヒザ蹴りが続き、紗彩が主導権支配して判定勝利。

◆第3試合 ミネルヴァ・ピン級3回戦(2分制)

ロウ・イツブン(NEXT LEVEL渋谷/ 45.05kg)6戦2勝4敗
        VS
鈴木萌(クロスポイント吉祥寺/ 45.05kg)2戦1勝1分
勝者:鈴木萌 / 判定0-3
主審:マット(=テーチャカリン・チューワタナ)
副審:中山28-30. 梅下28-30. 岡田29-30

パンチと蹴りの攻防。徐々に鈴木萌がリズムを掴み、柔軟に距離をコントロールし攻め優った。ロウ・イツブンはやや動きが硬く、攻める力が足りなかった。

◆第2試合 ミネルヴァ・スーパーバンタム級3回戦(2分制)

朱乃(CORE/ 55.25kg)2戦1勝1敗
    VS
あきなZLS(チームゼロス/ 55.1kg)2戦2勝
勝者:あきなZLS / 判定0-3
主審:児島真人
副審:マット28-30. 梅下29-30. 岡田28-30

初回は蹴りとパンチ、ヒザ蹴りも加えた互角の攻防から、第2ラウンドからあきなZLSが徐々に優ったヒットで判定勝利。

◆プロ第1試合 ミネルヴァ・ライトフライ級3回戦(2分制)デビュー戦同士

MOMO(エス/ 48.5kg)vsあゆな(笹羅/ 48.45kg)
勝者:MOMO(1戦1勝) / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:マット30-28. 児島30-29. 岡田30-27

NANAの愛娘デビュー戦。アグレッシブなパンチヒットが優って判定勝利。

NANAの愛娘、MOMOがパンチで攻勢、デビュー戦を飾る

◆アマチュアEXPLOSION第5試合 50.8kg契約2回戦(90秒制)

塩谷薫(VERTEX/ 50.0kg)vs山下実穂(クロスポイント大泉/ 50.3kg)
勝者:塩谷薫 / 旗判定3-0    

「3月16日はこれまでより新しいスタイルで練習して来たことを全部出し切りたいと思っているので頑張ります。」と2月9日のDUEL興行後に語っていた塩谷薫。練習して来たことを出し切ったか、先手を打った蹴りで優って赤と青の旗判定はジャッジ三者とも赤(塩谷薫)に上がった。

◆アマチュアEXPLOSION第4試合 35.0kg契約2回戦(90秒制)

野本かれん(WIVERN/ 34.95kg)vs久田愛心(TEAM SBS/ 34.65kg)
勝者:野本かれん / 旗判定3-0

◆アマチュアEXPLOSION第3試合 33.0kg契約2回戦(90秒制)

夢々(KANALOA/ 32.0kg)vs苑田優月(AX/ 32.0kg)
勝者:夢々 / 旗判定2-1

◆アマチュアEXPLOSION第2試合 30.0kg契約2回戦(90秒制)

木村有那(キング/ 30.0kg)vs清水舞羽(TRASH/ 28.5kg)
勝者:木村有那 / 旗判定3-0

◆アマチュアEXPLOSION第1試合 48.0kg契約2回戦(90秒制)

中島瑠花(X-PLOSION/ 48.0kg)vs三橋暖愛(士道館ひばりヶ丘道場/ 46.0kg)
勝者:中島瑠花 / 旗判定3-0

《取材戦記》

女子だけの興行も試合の展開がすばらしい。諦めたりスタミナ切れして失速する選手はいなかった。それはラウンド数の少なさ、2分制に救われている影響もあるだろう。これが本来の3分制5回戦だったらそうはいかないかもしれない。プロボクシングにおいても男子と比べて女子の試合はラウンド数少なく、2分制であったりするから男子と同じにする訳にもいかないが、身体へのダメージを考慮しつつ、女子に5回戦は難しいのか追求してみたいものです。

NANAの娘さん、MOMOが第1試合出場で判定勝利。NANAが試合後、マイクで語るまで気付かなかった。振り返ればMOMOのセコンドにわずかに写っていたNANAが居た。やっぱり参考までにセコンドの動きも撮っておくべきものである。興行に於いてはとにかく使わなくても撮っておくことでの画像を振り返り、気付かされる人の動きや変化は多いのである。

次回、NJKF興行は4月27日(日)にNJKF CHALLENGER 8(2025.2nd)が後楽園ホール夜興行に於いて行われます。

バンタム級とスーパーバンタム級で各4名参加のトーナメント準決勝戦の他、伝説のキックボクサー、立嶋篤史がNJKFに復活(20年ぶりか)。国内100戦目をNJKF三階級制覇の前田浩喜(CORE)と対戦します。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」