10年もの間、FBIに追われ続けていた天才的ハッカー、ケビン・ミトニックは服役後、ネットの危機管理コンサルタントになって、テレビ番組の質問にこう答えた。
Q..なぜハッカーは、ハッキングするのでしょうか?
ハッキングの目的は、ハッカーによりそれぞれ異なります。私のように思想犯的なハッカーもいますし、そうでない者もいます。私は、今でもハッキングをしていますが、かつてとは大きな違いがあります。世界中の企業から許可を得て、彼らのシステム、ネットワークに侵入する、彼らの施設に物理的に侵入することが可能か、彼らのセキュリティー管理システムをテストするのです。私がテストを行い、彼らの問題点を発見し、それらを改善するのです。企業は、セキュリティーシステムの強化に積極的に取り組み、不名誉な事態を招いたり損害を被ることがないように、問題がないか調べるべきです。
Q..一般的なハッカーの目的は何でしょう?
犯罪としてハッキングをする目的は、お金を稼ぐこと。私のような古いタイプのハッカーは、セキュリティー的な障害を突破する腕を身につけること。ビデオゲームをやる時と同じようなアナログ的な感覚です。その中間的な人たちもいます。目的は、ひとそれぞれなのです。
今、ハッカーの多くは、私のようなセキュリティーのプロか、悪意を持った人のいずれかなので、私たちは注意しなければなりません。以前ほど数は多くはありませんが、短なる娯楽として、リスクを味わうことを目的にハッキングする人もいます。
さまざまハッキングをしたケビンでさえも、防御プログラムが破られるほど、今のハッキングは技術が発達している。
コンピュータのセキュリティ会社に取材したことがあるが、「いまどき、ツイッターやフェイスブックからは、簡単にアドレスが抜けますよ」と言い切った。
試に自分のフェイスブックを出して、セキュリティ会社の社員に画面を見せると、あたかもマジックでも見ているかのごとく、ものの3分ほどで画面には個人情報が展開していた。パンをトースターに入れるがごとく、簡単な作業だ。どんなソフトを開発したのだろうか。
「売ってください」と言ったが、無理。
当たり前の話である。
「今、個人情報は金になるんです。グーグルプラスも個人の情報をかき集めていますよ。グーグルとかヤフーのアドレスが一番、ハックでIPアドレスを抜きやすいです」とセキュリティ会社のスタッフは言う。そら恐ろしい話だ。
「セレブや金持ちの名簿や個人情報が高く売れるのです。とりわけ、マーケットアナリストが何歳の、収入いくらの人が、何を欲しがるのかという分析をするのに使うのです」(前出・セキュリティ会社)
冗談ではない。それでは危なくてパソコンを開けないではないか、と青ざめると「だから、私たちのようなセキュリティ会社の出番なのです」とセキュリティ会社の人は言う。
そう、あなたのPCはこうしている今ものぞかれているかもしれないのだ。
(黒川龍一郎)