もしも、何らかの理由でホテルかどこかに軟禁されるとして「AVを3本だけもっていける」と言われたら、迷わずドリームチケットがリリースしている[脅迫スイートルーム]シリーズを選ぶだろう。[脅迫スイートルーム]のシリーズには、必ずといっていいほど男と女のやりとりがある。つまり、女はCAだったり教師だったりするのだが「なんらかの事情で男たちに借りがある」のだ。
それが「金」であるのか、「義理」であるのかは釈然としない。ストーリーは起承転結でいうと「転」でスタートし「なんらかの事情で借りを清算しにきた」女が抵抗を試みるも、徐々に悦楽に目覚めてしまい、また何度も清算しに男たちに傅く、というスタイルだ。
ここで重要なのは「設定」の妙である。かつて、AVは規定により「絡みのシーンは全体の30%まで」などと尺がきまっていた。したがって、ドラマ仕立てにして、ある程度の演技シーンやイメージ映像を入れざるを得なかったのだ。
そこで、普段は映画を撮っているクルーたちの出番となった。映画屋が作るAVは斬新であり、カット割りに凝っており、なんといっても抜けた。ところがある時点(90年代の終わりごろか)で、規定は解除され、AVは絡みだらけとなった。
メーカーは「とりあえず絡みシーンをぶっこんでおけ」というやや投げやりな制作姿勢となる。
そうした風潮に抵抗するなら、作り手としての矜持が必要だ。
ドリームチケットの作品群には、そうした作り手としての矜持があり、意地がある。
だからこそ、絡みに持ち込むまでの「前ふり」がしっかりしており、おもしろいのである。
さて、「艶っぽい」映像を作るプロフェッショナルは、いったい何人が残っているのだろうか。機会があればまた、珠玉の作品をご紹介しようと思う。そう年間に何本もあるもんじゃないから、こまめに当ブログをチェックしていただければと思う。
(北極ゼロ号)