8月18日のブログで、ミャンマー難民を夫に持つ、ジャーナリストの深山沙衣子さんと長女が、ミャンマー大使館からミャンマーへの渡航ビザの発行を拒否された、という話を書いた。夫がミャンマー大使館に支払うべき税金を納めていない、という理不尽な理由で、税金は累積して243万円になっているという。
その後、ビザは下りた。以前に深山さんが取材したことのある、中川正春防災大臣に陳情したのだ。そこから、ミャンマー議連の田中慶秋議員と外務省につながり、外務省が在日本ミャンマー大使に、「日本人にきちんとビザを出して欲しい」と要請したのだ。外務省の職員も同席して、ミャンマー大使との面談も実現した。ミャンマー難民である夫が支払う税金と、深山さんと長女へのビザ発給は、「別物として考えたい」と、大使館職員は言った。
2人へのビザ発給は喜ぶべきことだが、訳の分からない、夫の税金の支払いについては、日本のミャンマー大使館では払わなくていいが、ミャンマー国外務省で支払うか否かを検討するという。難民の夫のパスポート発行についても、在日本ミャンマー大使館ではなく、ミャンマー国外務省が判断するとのこと。
大使館から仄めかされたのは、夫は「光に入る」という意味の書類に署名する必要がある、ということだ。今の政府に恭順の意を現すということで、日本で言えば「転向」に近い意味あいだ。
しかしこれは、ミャンマーが軍事政権から脱し、民主化を遂げようとしてるのなら、実に不思議な話だ。
夫は民主化を求めて軍事政権に抗っていたのであり、ミャンマー政府が民主化しているなら、最初から立場が一致しているはずで、「転向」の必要はないだろう。むしろ夫は、ミャンマーの新政府から歓迎されるべき存在のはずだ。
それらのことも含めて、ビザが出たのは嬉しいが、後味が悪い、と深山さんは語る。
深山さんは、永田町や霞ヶ関をたずね、ミャンマー大使館には4回も行った。普通の市民の多くは、それだけの手間暇をかけるパワーがないことも多く、陳情という手段を思いつくこともない。他のミャンマー人と日本人カップルたちは、いまもなお、税金なのか、認証発行なのか、離婚時の帰国費用デポジットなのか、なんだかよく分からない金銭を徴収されているのだ。
真に、ミャンマーが民主化されるよう、見守っていきたい。
(FY)