オスプレイの配備に揺れる沖縄。
普天間第二小学校で出会った、主婦は言う。
「子どもの安全を考えたら、事故を頻発しているオスプレイの導入に反対するのは、当たり前でしょう」

そんな折、またしても米兵による女性への暴行事件が起きた。
沖縄では、2カ月前に女性が襲われる事件が起きたばかりで、相次ぐ事件に県民の怒りは頂点に達している。
「沖縄の人を何と思っているんでしょう。本当に惨めですね、悲しいですよ」「また繰り返されたかと思って、非常に怒りを感じますね」と沖縄の人々は語り合っている。
沸き上がる県民の怒りの声。

森本防衛相は「極めて悪質で、到底わが国としては、地元も含めて受け入れることのできない、非常に深刻で重大だと思います」と教科書通りのコメント。
これでは、沖縄県民、日本国民の怒りは伝わらない。御用学者では無理もない。自身、たいした怒りも感じていないのだろう。

集団強姦致傷の疑いで10月16日に逮捕されたのは、アメリカ海軍の兵士、クリストファー・ブローニング容疑者(23)と、スカイラー・ドージャーウォーカー容疑者(23)。
この2人は、16日午前3時半から午前4時半ごろ、宿泊先のホテルの近くで酒を飲んだあと、帰宅途中の女性に対し、片言の日本語で声をかけ、それを無視して歩き続ける女性に対し、背後から襲いかかり犯行に及んだ。

逮捕された2人は、数日前から任務のため沖縄入りし、事件を起こした数時間後には、グアムの基地に向けて出発する予定だったというから「たつ鳥、あとを濁して」去るつもりだったのか。
ドージャーウォーカー容疑者は容疑を認めているが、ブローニング容疑者は容疑を否認しているからあきれかえる。

沖縄県警は、襲われた女性の荷物がなくなっていることから、窃盗や強盗の疑いでも捜査を進めるとしている。
「頭に来ますね。沖縄県では、8月にも那覇市で40代の女性にわいせつな行為をしたとして、アメリカ兵が逮捕されたばかりなんですよ。沖縄では今、基地そのものの是非を問うタイミングだと思います」(基地に反対している活動家)

沖縄県の仲井真知事は10月17日午前、防衛省を訪れ、森本防衛相に対して厳しく抗議した。
仲井真知事は「もはや正気の沙汰ではないという感じすら受けます。もっと厳しい対応と、それから沖縄県警への捜査協力を、しっかりと強くアメリカ側に申し入れていただきますよう」と強く言い放った。

また、フランス・パリを訪問中の玄葉外相は「これは、もう本当にあってはならない事件です。抜本的な対応策を考えていかないといけない」と話した。
外務省では、吉良副大臣がルース駐日大使を呼んで抗議し、再発防止を求めている。
ルース駐日大使は「私はたくさんの人々が感じている怒りを理解している。アメリカは、日本の捜査に全面的に協力していく」と語る。

琉球民謡の草分け的な存在で「風狂の唄者」と呼ばれた嘉手苅林昌の作品に「時代の流れ」という唄がある。
「唐ぬ世から 大和ぬ世
大和ぬ世から アメリカ世
ひるまさ変わたる くぬ沖縄」
これは、世の移り変わりを唄ったもので、大意は「中国の時代(冊封時代)から大和(日本支配)の時代 大和の時代からアメリカ(米軍統治)時代 よくよく替わるものだよ、この沖縄は」となろうか。

短い歌詞ながら、大国の都合で翻弄された沖縄の歴史をよく表現している。
沖縄は米国、中国、そして台湾からの「文化の風」を受けてインターナショナルな場所として多くの人たちに愛されてきた。愛される場所であり続けなくてはならない。それだけの美しい自然が沖縄には残っている。
「美しい島」での安寧を脅かす、米兵の暴行事件を日本国民は決して許してはならない。平和な沖縄を、一日も早く取り戻したいものだ。(TK)

(写真)
▲宜野湾市の平和都市宣言