野田佳彦首相が「近いうちに信を問う」としている衆院解散の時期について、前原誠司国家戦略担当相は10月21日のフジテレビ「新報道2001」で「私の感覚で言うと、年明けに解散したら『近いうち』じゃない。首相は約束を絶対に守る人だ」と述べ、年内に踏み切るべきだとの考えを示した。野党側からは「発言は重い」(安倍晋三自民党総裁)などと歓迎の声が上がる一方で、民主党の安住淳幹事長代行は不快感を示し、政府・与党の足並みの乱れが著しい。
「そりゃ、前原は今の組閣では首相の目がない。野田から替わったほうがすごろくとしてはあがりやすいだろうから、選挙で負けて、衆参ともに苦しくなったほうが派閥の領袖として光るだろうな」(民主党関係者)
野田は、原発政策や尖閣を巡る中国との折衝でブレにブレている。そのあおりを閣僚の前原が受けている。
「前原はそうとう、イラついているね。“イラ菅”ならぬ“イラ原”と永田町では呼ばれ始めたくらいだ」(全国紙政治記者)
前原氏は10月19日の民主、自民、公明3党首会談で首相が(1)衆院選挙区の「一票の格差」を是正するための「0増5減」の先行実施(2)特例公債法案処理のルール作り(3)社会保障制度改革国民会議の設置-の3条件に言及したことに触れ、「首相は3つが終わったら、信は必ず問うと言っている。おのずと落としどころは決まってくる」と発言している。
「かなり踏み込んだ発言だが、首相のコンセンサスをまったく得ていない。岡田副総理からもきつくお叱りを受けた。これは、ちょっと民主党は分裂ぎみですよね」(民主党議員秘書)
それにしても、明けても暮れても野田首相が具体的な解散時期を明示しないことについても民主党内から「いったいするのかしないのか。するならいつなのか言ってくれないと選挙資金がもたない」と不満があがっている。
野田首相としては、「解散と言った途端にレームダック(死に体)になり、何かがあったときに(やるべきことを)できなくなることを心配している」と説明。野党が3条件に協力することが解散への近道になるとした上で「首相は誠実な人だから、自分の言ったことには責任を持たれる」と記者会見で発言した。
「要するに、来年の7月で衆議院の4年という任期が切れるから、それまではのらりくらりと逃げ切ればいいわけです。尖閣や竹島に絡む問題で中国や韓国との軋轢は、なんとかかわせる算段がついたのでしょう」(官邸詰め全国紙記者)
それにしてもGDPの見通しや、雇用問題、少子化と問題は山積している。
いったい、野田首相に「国家を運営する力」はあるのか。
それではと大阪方面を向けば調査では“ハシシタ”こと橋下徹の支持率も急落している。
政治は、出口のない迷走を始めたようだ。
(TK)