第181回臨時国会が召集された。
「野田首相は、問責が可決しての影響で参議院での所信演説をやっていない。こんなことは史上初めてだ。一日でも長く内閣にいたいから、もうなりふりかまわず逃げた答弁を繰り返している」(自民党議員秘書)
政府は、内政も外交ももはや機能していない。
「政府が閣議決定した緊急経済対策では、4000億円にとどまった。経済対策になっていない。今、民主党内は前原発言を見てもわかるが、結束どころではない。離党を食い止めるのに躍起で、経済対策どころではないね」(民主党関係者)
今回の経済対策には、東日本大震災で被災した中小企業が立ち直るための資金、いわゆる「グループ補助金」(801億円)や福島県内への企業誘致を促す「企業立地補助金」(402億円)が盛り込まれている。
「しかし、いかんせん力不足で、あまたある中小企業を助けるのにはいかにも心細い。民主党政権は11月中に第2弾の経済対策を策定するとしているが、臨時国会には間に合いそうもない。東北には、今か今かと補助金を待っている中小企業がたくさんあるのに、呑気だとしかいいようがないね」(全国紙政治記者)
今回の対策では、地方自治体にツケが1700億円もまわるという。
予算の執行を抑え、自治体に地方交付税をまわすタイミングを凍結した結果「自治体に財政出動せよ」とは、やっていることが滅茶苦茶である。
「赤字国債が発行されるのに特例公債法案も成立していない。とにかく緊急に予算を組みすぎたきらいがある。これこそ“理念なきばら撒き”ですよ」(区役所勤務)
問責決議を受けた首相が国会召集するケースは、憲政史上、初めての失態だ。
「参議院として問責を決議したのだから、しかるべき説明がなければ、本来は国会が開会できない。所信表明演説は聴かない、だが国会では議論しなくてはいけない。与野党ともに変な空気が流れています」(政治アナリスト)
野田首相の言葉はまったく国民の心に響いていない。
いっぽうで、石原慎太郎の「仮想・新党」が意外にも人気を集めているという。
「野田は懸命に解散を先延ばしにしていますが、もはや将棋で言えば“詰まれている”状況。この状況で解散すれば、議席が半減する。延命さえすれば、選挙対策が充分にでき、安倍総裁の陣営も業を煮やして選挙への緊張感がなくなってくる。野田はズルズルと来年の1月までは首相でいるでしょうね。そのほうが民主党議員が正月に地元まわりができますから」(識者)
もはや死に体となった野田首相は「解散を延ばすなら、なんでもする」というスタイルとなった。国民の声をまったく聴かない、支持率18%の内閣がそこにある。
(TK)