10月1日、福岡市を拠点に活動している市民映像メディア「Oneness TV」に、福井県警が家宅捜索を行い、パソコン、HDD、SDメモリーカードを押収した。
何のための家宅捜索なのか。聞けば、極めて不可解だ。
9月20日、福井県警公安課、小浜、敦賀両署の合同捜査本部は、静岡市在住の60歳の男性を逮捕した。
7月1日に起動する大飯原発再稼働に反対して、前日の6月30日には約650名の市民が集まってデモンストレーションを行っていた。
報道によれば、その日の午後3時半ごろ、その男性は、大飯原発ゲート付近で、警備会社の車両内に火のついた発炎筒を置いて車両を損壊させ、福井市の男性警備員の背中に発炎筒を押し当て左肩に約2週間のやけどを負わせ、立ちふさがった福井市の男性警備員に発火した発炎筒を振り回し、警備員室に発炎筒を投げ込み、おおい町の男性警備員のズボンを燃やした、疑い、があるのだという。
先ず第一の疑問。なぜこれほど大暴れしている人物が現行犯逮捕されず、3カ月近くも経ってから逮捕されたのだろうか。しかも相手は、警備のプロなのである。
そして、私たちの仲間も現場に行っているが、大飯原発再稼働反対のデモは「非暴力抵抗」で行われていた。
原発に向かう道路を車両や人の波で塞いだが、機動隊と対峙する際には、両手を上げて「再稼働反対」を叫ぶ、という徹底ぶりだった。
それはOneness TVによる、以下の「オキュパイ大飯の真実 ?市民が占拠した36時間に何があったのか?」というドキュメントでも明らかだ。
男性の犯行が実際にあったのかどうかも疑問だが、男性とはなんら関係のないOneness TVに家宅捜索が入り、パソコンなどの機材が押収されたことは、極めて許し難いことだ。
男性の犯行を裏付ける映像がそこにあるのではないかと期待しての、福井県警の捜索だと考えられるが、これは取材、表現の自由を侵害するものだ。
捜索とメディアでは、これまで様々な問題が生じている。
1978年に成田空港で起きた管制塔占拠事件では、撮影した映像を提出するように裁判所に求められて、どの放送局もこれを拒否した。
空港反対同盟との信頼関係が損なわれれば、取材ができなくなるからだ。
和歌山毒物カレー事件の裁判では、放映されたTV映像が証拠採用されることが議論になったが、裁判所は「問題なし」とした。
家宅捜索として警備当局がメディアに押し入り、映像物を持ち去るなど、議論以前に、あってはならないことだろう。
いまだ機材は返却されておらず、Oneness TVは取材活動にも支障をきたしているという。
まさしく、言論弾圧ではないか。
家宅捜索に抗議し、機材の返却を求める署名活動も行われている。
一人でも多くの方々に、署名していただきたい。
この間、訴え続けているように、私たちの『タブーなき原発事故調書 超A級戦犯完全リスト』は、取次から委託配本拒否という、焚書のごとき扱いを受けている。
また、『タブーなき原発事故調書』を取り上げた番組が、そのことによって番組ごと打ち切りになる、という事態がFM熊本で起きた。FM秋田とFM新潟では、その部分のみが音楽に差し替えられた。FM仙台と青森、岩手、山形、琉球放送のAM各局では、改変されずに放送された。
私たちは、Oneness TVに断固連帯するものである。
10月17日に亡くなった若松孝二監督は、『赤軍-PFLP世界戦争宣言』を撮ったことで、公安警察に追われ、何度も家宅捜索された。
亡くなる直前に言い残していたのは、足立正生監督によれば「東電をやっつける。闘ってみせる」だったという。
私たちもその意気で、闘っていきたい。
今回、『タブーなき原発事故調書 超A級戦犯完全リスト』が書店に配本されるのは、事前に心ある書店からご注文いただいた冊数を指定配本するなど発行部数の一部(10数%程度)にしかなりません。できるだけ鹿砦社販売部(sales@rokusaisha.com)に直接ご注文をお願いいたします。直接お申し込みの方には早速発送します。送料サービス/代金後払いです(冒頭の表紙写真をクリックすることで、販売ページに飛ぶこともできます)。
(FY)