自民圧勝の勢いを受けて、昨年暮れから、安倍新政権による、原発再稼働の動きが活発化している。
就任翌日の12月27日、福島県を訪れた石原伸晃環境相は「(原発稼働ゼロは)現実的ではない」と言い切った。
12月23日の当ブログで紹介したように、自民党は福島では「脱原発」を掲げたパンフレットを掲げていた。わざわざ福島の地で、それを翻した。
同じく27日、茂木(もてぎ)敏充経済産業相は27日の閣議後の記者会見で、「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」との方針について「再検討が必要」と語った。「(原子力規制委員会で)安全性が確認された原発は、政府の責任において再稼働を決めていきたい」と言い、既に着工しているJパワー(電源開発)大間原発と中国電力島根原発3号機の建設を容認する方針を表明。原発推進の立場でアクセルを踏んでいく姿勢を明らかにした。
一方、安全性を確認する、原子力規制委員会であるが、専門家調査団は28日、関西電力大飯原発への2度目の現地調査を始めた。以前から、大飯原発敷地内の亀裂について、活断層の疑いが指摘されている。
検査に先立つ説明会で、関電は新たな調査は不要と主張したが、専門家調査団団長の島崎邦彦規制委員長代理は、「われわれは無駄だと思っていない」と反論した。
原子力規制委員会の有識者会合は12月10日、日本原子力発電・敦賀原発(福井県)2号機原子炉建屋の直下に活断層が通っている可能性がある、とする見解で大筋合意した。規制委の田中俊一委員長は「今のままでは再稼働の安全審査はできない」と、現段階での再稼働は認めない考えを示した。敦賀原発は廃炉の可能性が高まっている。
大飯原発の下に活断層がある可能性が指摘されれば、現在唯一稼働中の3、4号機は停止を迫られ、「原発ゼロ」が再び現実味を帯びる。
当初、原発推進派だった原子力マフィアの横滑りと批判された、原子力規制委員会だが、今のところ、科学者が自らの良心に立ち返って、判断を行っている、と評価していい内容だ。
政府と原子力規制委員会が、真っ向から対立している構図だ。
29日のテレビ放送で、石原環境相は「原発の運転規制を判断するのは(規制委員会ではなく)政府。政府とは自民と公明」と語った。
だが、原子力規制委員会は、政府から独立した立場を認められている、独立行政委員会である。福島第一原発事故の反省を踏まえ、利害とは関係なく、完全に科学的知見に基づいて、原発の安全性を審査する必要がある、という考えから設置されたものだ。
石原環境相は、そうした立場を否定して、これまで通りのデタラメな原発稼働を行っていくと、視聴者の前で公言したことになる。
すでに、福島原発事故でまき散らされた放射能によって、苦しみを与えられた子供が増え始めている。
こうしたことを絶対に許してはならない。
今年こそ、原発ゼロの元年としなければならない。
(FY)