今、精神科医含めてメンタル系の業界は、7千億円規模と言われる。
『平成22年の掌握で精神神経治療剤が3287億円、精神科の医療費が3789億円です。』(厚生省医政局)
と言われるメンタル・ヘルスのマーケット。そんな今、精神医療界では、「過剰投与」が問題視されている。それならば、うがった見方ではあるが五月こそかきいれどきではないのか。たとえば日本うつ病学会でも、過剰投与の問題を指摘しており、ガイドラインを発表している。薬メーカーの賛助金を多く集めながら、過剰投与を指摘するとは、矛盾に満ちているのではないか。
薬メーカーの新しいガイドラインができたのは、2001年のことで、「精神科治療薬の処方ガイドライン[モーズレイ]」が基準となっているようだ。この書は、精神科治療薬の使用方法を詳細かつ実践的に解説した、世界的に使用されている由緒ある処方ガイドラインで、SDA(セロトニン・ドパミン拮抗薬)やSSRI(抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、SNRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)といった薬についても詳しく使用方法が解説されており、多くの新薬がこのころから出回り始めた。
「このころから、薬の認可のガイドラインが緩やかになったような気がします」(A氏)
厚生労働省の治験認可は、いわゆるアメリカの医学会の影響をもろに受けたためか、急速に外資系の薬が大量に入ってきた。
「このあたりから、薬を大量に処方する“ブーム”のようなものが起きたと思うのです。とくに『ジェイゾロフト』などの向精神薬を作る『ファイザー製薬』の薬も大量に入ってきました」
ファイザー製薬はオバマ大統領のスポンサーとしてつとに有名である。
「かの有名な禁煙薬『チャンピックス』もまた、オバマ大統領の肝いりで日本に輸入されてきたはずです。審査のガイドラインもアメリカで、輸入薬もアメリカ。かくもわかりやすい図式があります」
かくして、このような外資系ブームにのっとり、「過剰投与」は、問題化してくるのである。そこへきて、「かきいれどき」の五月病の季節がやってくるとあれば薬のメーカーは喜び勇むことだろう。
薬はどのような流通を経て、患者のもとに届くのだろうか。
例えば抗うつ剤「パキシルCR」(英グラクソ・スミスクライン社)は10ミリグラムでメーカーとしてはイギリス本国からの販売価格が600円だとされる(グラクソ・スミスクライン関係者)。患者が手に取るときの販売価格は、10mg1錠が105.6円となる。
「メーカーは、卸会社が1割を抜いて、卸会社を経由して薬局に販売している。メーカーから卸会社を経由した残りの9割のうち(540円)、薬剤師の取り分が3割(162円)、残りがメーカー(378円)という図式が成り立っている。患者負担はわずかなものだが、医師に処方箋代として約400円プラスしてとられることになります。ただしメーカーによって多少、バラつきがありますし、本来は企業秘密です」(外資系MR)
日本だけで1錠で494.4円円近く儲ける計算がここで成り立つ。パキシルは年に60万錠ほど日本に出荷していると言われ、これだけで2億9600万円の売り上げを生むことになる。(続く)
(鹿砦丸)