「いったい飯島内閣官房参与はなんのために北朝鮮を訪れているのだろうか。自民党中枢でも、そのわけを知らない連中がいるからね」(永田町関係者)
日中米が対北朝鮮で関係を密接にしている中、安倍首相がけんせい球を投げたという見方もある。安倍首相にとっては、拉致問題の解決はライフワークだったはずで、いつのまにか憲法改正問題が前面に出てしまい、ないがしろにされた感は否めない。
その安倍首相は5月15日午前の参院予算委員会の集中審議で、飯島勲内閣官房参与の訪朝について「政府としてはノーコメントだ」と述べ、言及を避けている。首相はそのうえで、対北朝鮮外交の基本姿勢について、「拉致、核、ミサイル問題を解決して、日朝平壌宣言にあるように、日朝関係を改善していくということだ」と説明。さらに、拉致問題については「対話と圧力の姿勢で完全な解決を目指していく。拉致被害者全員の生還、拉致問題の真相の解明、実行犯の日本への引き渡しが基本的な方針だ」と強調している。自民党の石破幹事長は、飯島氏の訪朝について「拉致の問題を含めて(解決の)糸口を探る(という)ことではないかという推測はある。内閣官房参与の立場で行っているのだから、それなりの重みがある」と語った。
「2002年と2004年に、拉致被害者が日本に帰された際には、日本から北朝鮮への秘密裏の見返りがあったとされているが、今の日本でそうした寝技を使えるのは飯島秘書官くらいだろう。北朝鮮との関係が太くなれば中国やロシアに対してのプレッシャーになるはずで、これからの外交に有効的なカードになるはずだ」(外交筋)
北朝鮮の核ミサイル発射が、仮に日本からのアドバイスでストップできるならば、6カ国協議での日本の立場も強くなる。さて、安倍首相の密使、飯島氏は果たして捨て駒となるのか、それとも効果的な一手となるのだろうか。
(鹿砦丸)