未遂に終わったが、念入りに計画されていた偽装漁民の尖閣上陸作戦。
ゴールデンウィークでは、なにしろ閣僚たちも選挙のために地元に帰っている可能性が大きい。指揮系統は十分に機能するか疑問だった。
「とはいうものの、我慢できないほうが威嚇射撃を行うが、日本側が威嚇射撃を行う可能性が大きい。なぜなら、敵との距離が詰まったら、海保は睨みあうような状況に慣れていない。威嚇射撃するにしても、上空に向けて撃つよう訓練がなされている。偽装漁民は自動小銃で応戦。たちまち撃ち合いになり、双方に負傷者が出るだろう。高度な政治判断を求めて関係機関に連絡しなければならないが、中国側のハッキングですべての回線はダウンするはずです。まず中国側が行うのは、無線回線のハッキングなのです」(軍事ジャーナリスト)
軍事行動を起こさない限り、日本の航空自衛隊は、数百メートル先に設定された「防空識別圏」に接近する国際不明機をレーダー探知し、F-15が離陸して迎撃するシステムだ。しかし、これでは接続水域にいる空母から発鑑する武装したJ-15の領空侵犯に対応することはできない。そうした隙間を突いてくるのだ。
さらに、実際に数百万人いるというサイバー用兵は、この日のために手ぐすねを引いて、ハッキングにいそしんできた。
「上海に拠点を置くハッキング特別部隊『61398』は『世界中の20業種141企業からデータを盗み出した』という実力の持ち主。日本の自衛隊のオペレーションマニュアルなどとっくに入手して先回りできる。尖閣において重要なのは俊敏さだ。中国の原子力潜水艦は、その機能からいって脅威だ。推進力とミサイルで自衛隊をかく乱するだろう」
(前出・軍事ジャーナリスト)
中国の最終的な目的は、原子力潜水艦「晋型」を配置して、水深100メートルから200メートル程度の東シナ海の大陸棚から、西太平洋の深い海に解き放ち、プレッシャーをかけることだ。
尖閣を実効支配した中国は、ロシアと連携する。ロシアは中国の実効支配を承認する形をとり、日本に対して「武装解除」を宣告してくることが容易に予想できる。
「そうなると、ロシアのシェール・ガスが喉から手が出るほど欲しい日本としては、エネルギーをとるか、尖閣をとるかの二者択一を選ぶことになる。はっきりいって、日本は尖閣をあきらめざるを得ないだろう」(外交ジャーナリスト)
偽装漁船に扮して尖閣に上陸をしなかった理由は、日露の関係が意外に改善されてきたことだと分析できる。
少なくともプーチンに領土問題に関して「ヒキワケ」という言い方をしている。中国がもし尖閣に上陸すれば、ロシアとしては北方領土問題に影響するかもしれないとして計画を中止したという見方もできる。(続く)
(鹿砦丸)