後で分担しようと思い、石屋に払う石塔の代金を妹に立て替えてもらおうと思ったが、メールは届かず、電話は通じない。忙しいのは分かっているが、メールも届かないというのは、どういうことだろう。
だが、そんな用件で、何度もしつこく電話をするのは、煩わしい。
銀行のローンを利用することにした。
口座のある、みずほ銀行には多目的ローンというのがある。
車購入、結婚資金、旅行費用、家電製品の購入、葬祭費用など、用途が書いてある。
まさにこういう時のために、使うべきものだろう。
年利は6パーセント程度で、せいぜい数ヶ月のうちに返すものだから、たいした額にはならないはずだ。
申し込んで数日すると、「ご要望にはお応えできません」という通知が来る。
なぜだ?!
「なぜ借りられないのですか?」
通知に書かれていた、みずほ銀行の部署に電話をすると、オリエントコーポレーションに連絡して聞いてほしい、とのこと。
オリエントコーポレーションというのは、クレジット会社ではないか。
みずほ銀行は、クレジット会社と提携して、信販の判断をしているということだ。
オリエントコーポレーションに電話をしてみる。
「こちらでは、ご要望にお応えできるかどうか、その理由をお話しするということはありません」
「いや、みずほ銀行では、そちらで聞いてくれ、と電話番号を教えられたんだ」
「みずほさんで、そんなことを、おっしゃったんですか?」
押し問答をするが、埒があかない。
再び、みずほ銀行に電話をする。
取引のある支店に電話をしてくれ、とのことだ。
なんだこれは? 役所がよくやる、たらい回しではないか。
しかたがないので、言われた通り、支店の担当課長に電話をする。
「こちらは父親が亡くなって、まとまったお金が必要になったんですよ。こういう時にこそ、多目的ローンはあるんじゃないんですか」
検討する、ということになったが、翌日に電話がかかってきて、やはり要望には応えられない、ということだ。
たらい回しされているのだから、こちらも、しつこくやるしかないだろう。
みずほ銀行の、「お客様相談室」に電話する。
「御社のホームページのトップに、頭取の塚本隆史さんのメッセージがありますよね。お客さまのライフステージや生活シーンに最適な会員サービスを提供するって、書いてあるじゃないですか。葬祭に必要な時にローンを利用できないんじゃ、まったくこのメッセージに反してるんじゃないですか」
そう言ったが、数日後に返ってきたのは、やはり要望には応えられない、との言葉だった。
私は信頼関係の厚い人物に、お金を用立ててもらい、数ヶ月後にお返しした。
みずほ銀行は私に貸していれば、利子が稼げたわけだが、そんな小さな額は取るに足りない、というわけだろう。
都市銀行も消費者目線に立つようになったと言われているが、そんなことはない。
営利追求だけを追及する血も涙もない金貸しが、あいも変わらぬ姿である。
(FY)