仮に尖閣に中国偽装漁民が上陸すれば、宮古列島襲撃が遠慮なく起きる可能性もあった。在中国の通信記者は言う。
「尖閣を奪うとともに、日本の航空戦力を叩いておきたい、というのが中国側の本音です。航空戦力を壊滅に追い込めば、外交カードとして非常に有利なものとなります」
空母での制空権を取った後、本格的な「尖閣占有作戦」の主役となるのが、戦車10両、海軍陸戦隊200名からなる戦車揚陸艦だ。
「上海基地を出て、尖閣諸島に到着するまでは、24時間かからないでしょう。それに対して、陸上自衛隊の普通科連隊650名が乗艦する海上自衛隊『おおすみ』型輸送艦は、長崎・佐世保を出港してから、尖閣まで40時間かかってしまう」(軍事アナリスト)
また、2010年に南京軍区(江蘇省)では空軍が戦闘機30機による24時間の連続飛行訓練を実施したほか、成都軍区(四川省)、広州軍区(広東省)でも最近、演習を実施したと伝えられている。軍区は明らかにされていないものの、黄海で新型の高速艇を使った精度の高い実弾射撃訓練も行われていた。今から思えば、これこそが尖閣上陸作戦の準備段階だったという指摘もある。
「国際法上は軍事目的に利用される商船は軍事目標となって攻撃を許容せねばならないが、日本のトップから出ている命令は、はるかに厳しく、厳正な識別を要求されている。軍事目的で利用されていても非武装の商船は攻撃してはならない、という理不尽な命令が出ているのです。そこも巧妙に利用して、銃の運搬などに利用する可能性があります」(同)
あの手、この手で尖閣諸島を攻撃する布陣を整える中国人民解放軍。
いっぽうで、日米両政府が沖縄県・尖閣諸島をめぐる日本有事を念頭に共同作戦計画の策定に乗り出したことが明らかになっている。岩崎茂統合幕僚長とロックリア米太平洋軍司令官が同日から米ハワイで会談し、作業加速を申し合わせる見通しだ。計画策定は、日本と中国の対立が偶発的な武力衝突に発展しかねないことを懸念した日本側が米国に打診。尖閣への中国軍上陸や衝突に至った場合、陸海空の自衛隊が合同で米軍と共同作戦に当たるなど複数の具体的なシナリオが検討されているという。
「しかしどうだろう。武力行使は最小限、ということに永田町と霞ヶ関が過剰にこだわった結果、三十日たってやっと統合部隊兵力が決定するような事態になるのではないか」(自民党関係者)
石原慎太郎がしかけて国有化に至った尖閣諸島が、あっという間に占拠される。
つぎに上陸が懸念されるのは沖縄のメモリアル・デーである「慰霊の日」である6月23日と見るむきもあるが、断じてそんな愚行を許してはいけない。
(鹿砦丸)