栃東以来、この8年間、日本人の横綱はいない。
「もしかしたら、今度の名古屋場所が、日本人横綱が生まれる10年に一度くらいのチャンスかもしれない」(相撲ジャーナリスト)
夏場所で13勝した大関・稀勢の里について、横綱審議委員会が名古屋場所で14勝以上で優勝すれば、横綱に推薦する可能性との見解を示している。内山斉委員長は「全勝優勝を目指してほしい」とコメントした。
稀勢の里の夏場所の前取り組みを見たが、なかなかに腰が降りていて、立ち合いの踏み込みも評価できる。しかしいかんせん苦手な力士が多すぎる。千秋楽でライバルの琴奨菊に一方的に押し出された相撲を見たが、横綱を狙う力士としてはいかがなものか。今、日本人横綱が待望されている状況では、少し、横綱になるための条件がゆるくなっている感は否めない。なにしろ13勝に終わった大関に対して「つぎが綱とりの場所になる」とするのは、大甘といってもいいだろう。
夏場所は白鵬が全勝して、25回目の優勝をしたが、対抗する力士が稀勢の里しかいない状況も至極、悲しいものがある。ほかの大関たちはいったい何をしているのだろうか。とくに琴欧州にいたっては、8勝7敗で、立会いで変化してとったりで勝つ相撲も見られた。はっきりいって、大関がその地位を保つのに勝ち越しでは甘すぎる。
せめて10勝以上にすべきであると思う。
「なにせ、稽古量が少ない。早朝から稽古する習慣も減りつつあります。まだ序二段なのに、朝11時起きは当たり前という部屋もあります」(前出・相撲ジャーナリスト)
妙義龍が11勝をあげて技能賞に輝いたが、厳しく見渡せば、大関になれそうなのは彼くらいなもので、甘く見て、夏場所では7勝8敗に終わった豪栄道が大関候補か。
大関から横綱にあがるには、「勝ちっぷり」も美しくないとならない。立ち合いで変化などはもってのほかである。
「どちらにせよ、今後10年の相撲人気を考えると、今年中に日本人横綱が出ないといけない。なにしろ、日本人で力士になりたがる人が減ってしまう」(相撲ファン)
さて、七月の名古屋場所で日本人の横綱が誕生するであろうか。乞うご期待といきたいところだ。
(鹿砦丸)