冤罪を疑う声が急激に増えている和歌山カレー事件。そんな今、当の林眞須美さん(51)の近況が気になる人におすすめしたいのが、関西で林さんの支援を続ける人たちが発行している「あおぞら通信」という支援誌だ。
同誌は、林さんが最高裁に上告中だった2007年3月、大阪府在住の坂口誠也さんが知人たちと一緒に創刊した。坂口さんによると、府内で開かれた林さんの支援集会に参加するなどして事件に関心を持ち、「こういう運動をするなら、紙の通信(誌)が必要だろう」と創刊を思い立ったという。創刊以来、今年3月に発行した第23号まで3カ月に1回のペースで6年以上、事件に関心を持つ全国の人たちに同誌を発送し、林さんの声や弁護団の主張を伝えてきた。現在の発行部数は約330部という。
そんな同誌の最大の読みどころは、やはりなんといっても、弁護団から毎号報告されている林さんの肉声だ。
それを最新の第23号から引用してみると、
〈居室からの脱出は週2回の入浴の20分、月、水、金の戸外運動の30分、弁護士面会があれば30分、一般面会、親族があれば10分〉
〈12/31(月) 年内ラスト入浴。12/29~1/3の休庁日の入浴は、この日一回とされる〉
などと林さんの日々の生活が克明に報告されているのに加え、
〈11/24和歌山駅前でのビラくばりに参加して下さった方々に感謝の気持ちでいっぱいです〉
〈××××様(筆者注・原文では実名)には、いつも本、雑誌を届けて下さり、毎月のビラくばり参加とありがとうございます〉
〈ワァッ、弁護人は11人となり、活気づくし超うれしいと←←←ハイテンションになってしまいました。〉
などという林さんが日々、どんな思いで獄中生活を送っているかがわかる肉声も満載だ。
面会や手紙のやりとりが厳しく制限されている確定死刑囚の肉声をここまで克明に伝えている媒体は珍しい。そういう意味では、和歌山カレー事件や林さんに関心のある人はもちろん、確定死刑囚の一般的な日常生活などを知りたい人も興味を持てる内容かもしれない。
ちなみに、坂口さんらは同誌を発行するのに加え、6年近くにわたって毎月第4土曜日にJR和歌山駅前で林さんの無実を訴えるビラくばりをしているのだが、今年になって街行く人たちの反応が随分良くなっているという。
「ビラの受け取りを拒否する人が少なくなったんです。以前はビラを受け取った後、返しにくる人もいましたが、そういう人はすっかりいなくなりました」(坂口さん)
支援者らの努力もあり、冤罪疑惑がジワジワと広まってきたこの事件。今年あたり、大きな動きがありそうな気配はたしかにある。
【DATE】「あおぞら通信」は一部100円。年間購読料1000円。問い合わせは、「あおぞらの会」(TEL072-858-6808 seiyadenden@bluesky.zaq.jp)まで。
(片岡健)