先日、鳥取に行った。鳥取は電車で通過したことはあるが、泊まったのは初めてだ。
これで、日本の都道府県のすべてに泊まったことになる。もちろん、どの土地も広い。北海道の別海町などは、東京の23区よりも広く、人よりも牛のほうが多いという。
都道府県すべてに泊まったからといっても、日本のすべてを知っていることにはならないのは当然だ。

地方はどこも苦しんでいるが、それぞれに頑張っている。
鳥取に行くのに最初、夜行列車「サンライズ出雲」で行こうと思った。
従来の夜行列車のイメージと違い、住宅メーカーと共同で設計した室内は、木の温もりを生かしたインテリアに統一され、清潔で快適。女性にも人気だ。
出発の3日前に行ったら、サンライズ出雲のチケットは売り切れだった。
それだけ人気があるのだ。
皆、目指すのは終点の出雲だろう。「平成の大遷宮」で出雲大社が生まれ変わったこともあり、出雲は今賑わっている。

サンライズ出雲を米子で降り、鳥取県内を縦断しようと考えていたのは、私くらいか。
とにかくチケットが売り切れていたので、新幹線から特急「やくも」に乗り継いで、米子に向かう。

米子から、最初に目指したのは、水木しげるロードだ。
事前の情報では、境線は「鬼太郎列車」と改名され、境港駅は「鬼太郎駅」となり、それぞれの駅も「ねずみ男駅」「ざしきわらし駅」「こなきじじい駅」「すなかけばばあ駅」となったとあった。
JR米子駅で、料金の記載された路線図を見あげると、境港駅は境港駅のままだ。他の駅も元の名称のまま記されている。
どうもJR内で取り組みに温度差があるようだが、列車は、外も内も鬼太郎のキャラクターが描かれている。

鬼太郎のキャラクターのオブジェが並ぶ、水木しげるロード。
NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』放送中は、「ここは原宿か!?」というくらい混み合っていたようだが、今は閑散としている。
やはり、流行に左右されてしまうのが、地方の哀しい現実だ。

この日泊まったのは、皆生温泉。
近くにソープランド街もあり、昔はオヤジ向けのエロ温泉町だったのだろうが、健全化して一般客を呼び込もうと務めている。
泊まった宿では、檜風呂に入ると、天井のスピーカーからジャズが響いているという、他にはないサービスで憩うことができた。

次の日は、レトロな街並みが残る倉吉などを見ながら、三朝温泉に泊まる。
射的、芝居小屋など、温泉本通りという狭い路地には、昭和がそのまま残っている(写真)。
鳥取というと、砂丘しか思い浮かばないという向きも多いと思うが、けっこう楽しめるところの多い穴場である。

(FY)